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マーケティング戦略とは 違いとフレームワークの並べ方 1枚の戦略からサイトを直す手順

2026 11/05
2026年11月5日
中野輝規
マーケティング戦略とは 違いとフレームワークの並べ方 1枚の戦略からサイトの直す場所を決める手順

マーケティング戦略の本を読んだのに、手元に残ったのは用語の一覧だけだった。3C、SWOT、STP、4Pと、道具の名前は言えるようになった。それでも、自社のホームページの何を直せばよいのかは決まらない。

この記事は、そういう状態の経営者とWeb担当者に向けて書きました。道具の名前を増やす記事ではありません。道具を並べる順番と、1枚にまとめた戦略をサイトの直す場所に落とす順番を、先に決める記事です。

使った事実は、書いた日に開いて確かめたものだけです。中小企業庁の2026年版 小規模企業白書と、デジタル大辞泉の「戦略」「戦術」の項を、2026年11月5日に開きました。確かめられなかった点は、書かずに省いています。

目次

先に答え:マーケティング戦略とは、誰に何をどう届けるかを1枚に書いた約束

結論から言います。マーケティング戦略とは、誰に、何を、どう届けるかを、1枚の紙に書いた約束です。

3C分析やSWOT分析などのフレームワークは、その1枚を埋めるための材料集めの道具です。道具が戦略なのではありません。戦略は、道具を使って出した答えを並べた、1枚の紙のほうです。

この2つを取り違えると、表は何枚も増えるのに、サイトは1行も変わらない状態になります。

戦術や施策との違いも、先に押さえておきます。

言葉 答える問い 例
戦略 誰に、何を、どう届けるか 開業して3年以内の美容室に、予約の取りこぼしを減らす相談を届ける
戦術 その約束を、どんな手段で実行するか 相談の事例を載せた記事を月2本公開する
施策 戦術の中の、1回ごとの作業 今月の事例記事の取材と原稿づくり

上から下へ、範囲が小さくなります。戦略が決まっていないまま施策を始めると、施策ごとに向きがばらばらになります。

サイトの話に引き寄せると、戦略はトップページの最初の一文に出ます。戦術は、サイトに置くページの種類と更新の頻度に出ます。施策は、今週書く1ページです。

辞書では、戦略と戦術はどう書かれているか

言葉の意味を、辞書で確かめておきます。デジタル大辞泉の「戦略」の項には、組織などを運営していくうえで「将来を見通しての方策」とあり、「販売戦略を立てる」という使い方の例が載っています。

補説には、『具体的・実際的な「戦術」に対して、より大局的・長期的なものをいう』と書かれています。

同じ辞書の「戦術」の項は、「ある目的を達成するための具体的な方法・手段」としています。

辞書の言い方をそのまま借りると、戦略は大局的で長期的なもの、戦術は具体的な方法です。この記事でも、この使い分けを土台にします。

販売戦略、経営戦略、事業戦略との違いも、範囲で見分ける

サジェストに出てくる「違い」の疑問も、ここで片付けておきます。戦略という言葉には、頭に付く語によって範囲の違いがあります。

言葉 決める範囲 問い
経営戦略 会社全体 どの事業で、何を目指すか
事業戦略 1つの事業 その事業で、どこで勝負するか
マーケティング戦略 事業の中の、顧客に届ける部分 誰に、何を、どう届けるか
販売戦略 マーケティング戦略の中の、売り方 どの経路で、どう売るか

辞書にある「販売戦略を立てる」という例のとおり、販売戦略は、戦略の下に置かれる小さな単位です。

この表は、弊社が範囲の広さで並べた整理です。公的な定義ではないので、会社によって呼び分けは変わります。

呼び名が違っても、変わらない見分け方があります。その計画が、誰に何を届けるかを決めているかどうかです。決めていれば、名前が何であれ、マーケティング戦略の役目を果たしています。

先日見かけたQ&Aサイトの悩み:本は戦術ばかりで、全体の地図が無い

ここで、先日Q&Aサイトで拝見した悩みを紹介します。投稿者は、マーケティングの入門向けの検定の教材を読み終えた方でした。

内容を要約すると、次のようなものでした。読んだ本は、戦略というより戦術の話ばかりに思えた。それぞれの知識を見渡せる地図がなく、たとえば強みと弱みを考える道具、機会と脅威を考える道具の関係が、本のどこにも書かれていない。

さらに、戦略と戦術を立てても、実行にはお金が要る。そのお金の根拠や、使える人と時間という視点が、本にはまったく無い。これでは絵に描いた餅の理論ではないか、というのが投稿者の疑問でした。

悩みは3つに分けられる

投稿者の疑問を、分けて整理します。

悩み 言い換え この記事での答え
戦術ばかりで戦略が見えない 何を決めるのが戦略なのか分からない 戦略は、誰に何をどう届けるかの約束
道具同士の関係が書いていない どの道具をどの順に使うのか分からない 道具は、決める問いの順に並べる
実行の資金や人の視点が無い 絵に描いた餅になる 1枚の戦略に、使える時間と人の欄を入れる

3つとも、もっともな疑問です。入門の教材は、広い範囲の用語を短く紹介する作りになっているため、道具同士のつながりや資源の話まで届かないことがあります。

質問者の見立ては、的を射ています。ただ、本が悪いわけでもありません。道具は、決める問いの順に並べ直すと、1つの地図になります。この記事の前半は、その並べ直しにあてます。

地図の無い状態が、サイトにどう出るか

地図が無いまま道具を使った会社には、共通の症状が出ます。サイトの側から見ると、次のような形です。

トップページの最初の一文が、どの会社でも言えそうな言葉になっている。商品の紹介ページの言葉と、広告の言葉がそろっていない。料金のページが、誰に向けた話なのか読み取れない。

どれも、誰に何を届けるかが決まっていないときの症状です。道具を知っていても、それが症状を直すとは限りません。順番が要ります。

質問者が挙げたお金の根拠については、後半で扱います。1枚の戦略に入れる8つの欄の中に、使える時間と人と金額の上限を書く欄を置きます。

この記事で答える3つのこと

この記事は、質問者の悩みに沿って、次の3つに答えます。

  1. フレームワークを、決める問いの順に並べた地図を作る
  2. 1枚の戦略を書く欄を、8つに絞って示す
  3. 書いた戦略を、サイトのどのページから直すかの順番を決める

3つめが、競合の解説にあまり書かれていない部分です。戦略は、サイトの直す場所が決まったときに、初めて動き出します。

マーケティング戦略とは:決める3つのことと、決めない1つのこと

戦略とは、決めることを絞る作業でもあります。決めることは、実は3つしかありません。

誰に届けるのか。何を届けるのか。どうやって届けるのか。この3つです。

3つの問いを、短い言葉で言い切る

3つの問いに、それぞれ1文で答えます。中小企業の場合、1文で言い切れないときは、まだ決まっていません。

問い 答えの形 言い切れないときの症状
誰に 業種、状況、困りごとで絞った1つの集まり 「どなたでも」と書いてしまう
何を その人が得られる変化を1つ 商品の機能を並べてしまう
どう届ける 見つけてもらう経路と、決めてもらう流れ 手段の名前だけを並べてしまう

この3つが決まっていれば、フレームワークの名前を1つも知らなくても、戦略は書けます。反対に、道具の名前をすべて知っていても、この3つが決まっていなければ、戦略はありません。

決めないことも、1つ書いておく

戦略には、決めないことを書く欄も要ります。誰にでも売ろうとすると、誰にも刺さらない言葉になるからです。

決めないことは、たとえば次のような形で書きます。自社の対象外の業種、受けない地域、扱わない依頼の種類です。

対象外を書くと、サイトの最初の画面も書きやすくなります。合わない人が、早く離れてくれるからです。

対象外の書き方は、STP分析の記事に詳しく書きました。ここでは、決めないことも戦略の一部だと覚えておいてください。

戦略を立てる人は、誰か

最後に、小さな会社ではだれが戦略を決めるのかに触れます。結論は、経営者です。

制作会社や広告の担当者は、決まった戦略を形にする手伝いはできます。しかし、誰に何を届けるかを決められるのは、事業の責任を持つ人だけです。

任せる部分と任せない部分を分けておくと、外部に頼むときも迷いません。戦略は任せずに、形にする部分を任せる、という分け方になります。

戦略が先で、道具があとになる理由

道具を先に使うと、道具の欄を埋めることが目的になります。3C分析なら顧客、競合、自社の3つの欄が、SWOT分析なら4つの欄が空いています。空欄があると、人は埋めたくなります。

埋めた表を見て満足すると、そこで作業が止まります。表に書いたことのうち、何をサイトに反映するのかが決まらないからです。

戦略を先に1行で仮置きすると、順番が逆になります。仮置きした「誰に、何を」に照らして、道具の欄が埋まっていきます。欄を埋める作業は後回しになり、仮置きした1行が正しいかどうかを、道具で確かめる使い方になります。

仮置きは、あとで何度でも書き換えて構いません。最初の1行が外れていても、道具で確かめれば、どこがずれているかが分かります。

弊社が使う、戦略があるかを確かめる5つの問い

自社に戦略があるかどうかは、次の5つの問いで確かめられます。1つでも「いいえ」があれば、その欄は決まっていません。

問い 「はい」の目安 「いいえ」のとき
誰に届けるかを、1文で言えるか 業種と状況と困りごとが入っている 既存のお客様の共通点から書き出す
何を届けるかを、1文で言えるか お客様の得る変化が入っている 問い合わせの言葉から拾う
他社と違う点を、1つ言えるか お客様が比べる点で言える 競合のサイトの最初の画面を読み比べる
数字の目標が、1つあるか 期限のある数字になっている 問い合わせの件数から逆算する
使える時間と人が、書いてあるか 週に何時間、何人かが書いてある 今の業務の空きを実際に数える

この5問は、公的な基準ではありません。弊社が、相談を受けるときに最初に確かめている問いです。

5つとも「はい」の会社は、実は多くありません。「いいえ」が3つ以上あるなら、道具を探す前に、答えられない問いから順に決めていきます。

マーケティングという言葉を、白書はどう定義しているか

中小企業庁の2026年版 小規模企業白書は、小規模事業者の経営リテラシーを分析した節で、マーケティングという言葉に定義を与えています。

白書には、「ここでの『マーケティング』とは、外部環境の情報収集及び差別化への取組を行うことを指す」と書かれています。

この定義は、白書の分析のために置かれたものです。マーケティングという言葉の一般的な定義ではありません。ただ、小さな会社がまず取り組む範囲を示すものとして、参考になります。

外部環境の情報収集とは、お客様や競合、市場の変化を知ることです。差別化とは、他社と違う点をつくることです。この2つは、あとで見る地図の前半、つまり外を見て、誰に何を届けるかを決める部分にそのまま対応します。

戦略のある会社と、ない会社のサイトの違い

架空の2社で、違いを見てみます。どちらも、地方で庭木の手入れをする造園業です。

戦略のないA社のトップページには、「お庭のことなら何でもお任せください」と書かれています。サービスの一覧には、剪定、伐採、草刈り、害虫駆除、庭づくりが並び、どれが得意なのか分かりません。

戦略のあるB社のトップページには、「空き家になった実家の庭を、年に2回の見回りで荒らさない」と書かれています。対象は、遠方に住む空き家の持ち主です。サービスは見回りと剪定に絞り、庭づくりは受けないと明記しています。

問い合わせの件数だけを比べても、違いは出ません。ただ、問い合わせの中身が違ってきます。A社には値段の比較だけの連絡が来ます。B社には、実家の庭の状況を具体的に書いた連絡が来ます。

この差を生むのが、誰に何を届けるかの決定です。B社は、道具を1つも使わなくても、この決定さえあれば足ります。道具は、決定を間違えていないかを確かめる役目です。

戦略を立てる前に、確かめておく3つの前提

戦略の紙を書き始める前に、前提を3つ確かめておくと、あとの手戻りが減ります。前提が決まっていないと、書く途中で何度も止まります。

前提 確かめること 決まっていないときの症状
事業の範囲 いま売っているものと、これから売るものの境目 戦略が、2つの事業の話に分かれてしまう
決める人 最後に決めるのは誰か 意見が割れたまま、紙が完成しない
見直す日 次に紙を開く日はいつか 書いたまま、半年たってしまう

事業の範囲は、1枚の紙で扱える大きさに区切ります。複数の事業がある会社は、事業ごとに紙を1枚ずつ書きます。

決める人は、経営者と決めておきます。意見を集めることは大事ですが、最後の1文を決める人が曖昧だと、紙は完成しません。

見直す日は、紙の1枚目の隅に書いておきます。書いてあれば、その日が近づいたときに思い出せます。

似た言葉との違いも、1行ずつ押さえておく

マーケティング戦略の周りには、似た言葉がいくつもあります。混ざりやすいものを、短く整理しておきます。

言葉 指すもの マーケティング戦略との関係
ブランディング 自社の印象や認識を育てる取り組み 戦略の中の、約束を磨く部分に関わる
営業 個別のお客様に、直接売る活動 戦略で決めた約束を、1件ずつ届ける場
広告 お金を出して、知らせる手段 戦略の中の、販促の1つの手段
内製化 社内の人で、実行すること 戦略を、誰が実行するかの選び方

ブランディングとの違いは、ブランディングとマーケティングの違いの記事で整理しています。実行を社内で担うかどうかの判断は、インハウスマーケティングの記事に書きました。

どちらの記事も、戦略の紙の1枚目とは別の角度から書いています。この記事の紙は、2つの記事のどちらを読んだあとでも使えます。

実行を社内でやるか、外に頼むかで、紙の持ち方が変わる

戦略の紙の持ち方は、実行する人によって変わります。社内の1人が全部やるなら、紙は自分用のメモで足ります。外部に頼むなら、紙は、頼む相手への依頼書になります。

外部に頼むときに、紙の2と3の欄を渡しておくと、相手が最初に聞いてくる質問の大半に、先に答えられます。

頼む相手が変わっても、紙があれば、戦略は社内に残ります。担当者が変わるたびに、最初から説明し直す必要がなくなります。

戦略の紙に、書かなくてよいこと

戦略の紙には、書かないほうがよいこともあります。書くと、紙が長くなり、読み返されなくなるからです。

書かないこと 理由 代わりにどこへ書くか
施策の細かい手順 戦略は、手段が変わっても保つ約束だから 施策ごとの作業メモ
競合の会社名と悪口 紙が、他社の話で埋まるから 調べた記録のメモ
3年先の細かい数字 変わりやすく、見直しの手間が増えるから 目標の欄は、期限のある1つだけ
社内の事情や不満 約束とは関係がないから 社内の相談の記録

紙に残すのは、誰に何をどう届けるかの約束と、その約束を支える3行ずつの材料だけです。余った情報は、別のメモに分けて置きます。

分けて置いておくと、紙は1枚のまま保てます。必要になったときに、メモのほうから材料を取り出せます。

弊社が相談を受けるときの、最初の10分

弊社が、ホームページの相談を受けるときにまず聞くのは、戦略の紙の2つの欄です。誰に届けたいのかと、その人は何に困っているのか、の2つです。

この2つが即座に出てくる会社は、サイトの直し方も早く決まります。出てこない会社は、サイトを直す前に、この2つを決める作業から始めます。

この整理は、弊社の相談の場での経験をもとにしています。統計ではありません。ただ、直す場所が決まらない会社に共通して、この2つが曖昧です。

良い戦略かどうかを見分ける、3つの目安

書き上げた戦略が良いものかどうかは、3つの目安で見分けられます。点数をつける必要はなく、「はい」か「いいえ」で足ります。

目安 確かめ方 「いいえ」のときの直し方
他の会社の名前に置き換えると、通じなくなるか 紙の社名を、競合の名前に入れ替えて読む 通じてしまうなら、約束を絞る
対象外の人が、読んで自分だと思わないか 向かない人に、1文を読んでもらう 自分のことだと思われるなら、対象を狭める
来週のサイトの直し方が、1つ言えるか 紙を見て、最初に直す場所を答える 言えないなら、約束の言葉を具体的にする

3つとも「はい」なら、戦略として使える形になっています。1つでも「いいえ」なら、その欄だけを書き直します。

特に1つめの目安は、強力です。競合の名前を入れて通じてしまう約束は、お客様から見ると、どの会社を選んでも同じに見えます。

戦略の紙を、最初に書く人と、読む人

戦略の紙は、経営者が1人で書き上げる必要はありません。下書きは、お客様と接している担当者が書き、経営者が最後に決める形が、うまくいきやすくなります。

役割 担う作業 理由
担当者 外の3行と、お客様の言葉の下書き お客様に近く、言葉を知っている
経営者 誰に何をの決定と、対象外 事業の責任を持つ
書いていない人 完成した紙の通読 詰まった欄を見つけられる

担当者の下書きに、経営者が手を入れる流れにすると、現場の言葉が紙に残ります。経営者の言葉だけで書くと、社内でしか通じない紙になりやすくなります。

紙が完成したら、書いていない人に通読してもらいます。通読で詰まった欄は、まだ決まっていない欄です。

フレームワークの地図:決める問いの順に、道具を並べる

質問者が欲しがっていた全体の地図を、ここで作ります。並べ方の原則は1つだけです。道具の名前の順は捨てて、決める問いの順に並べます。

問いは6つあります。1つめは、何を目指すのかという仮の目標です。続いて、外を見る、中を見る、誰に何を届けるかを決める、どう届けるかを決める、測る、という順になります。

6つの問いと道具を、1枚の表にする

順 決める問い 使う道具 出てくる答え 詳しい記事
0 何を目指すか KGI 期限のある数字の目標を1つ KGIとKPIの記事
1 外で何が起きているか PEST分析、3Cの顧客と競合 追い風と向かい風、お客様の困りごと PEST分析の記事
2 自社に何があるか SWOT分析、3Cの自社 強みと弱み、使える資源 SWOT分析の記事
3 誰に何を届けるか STP分析 狙う集まりと、立ち位置 STP分析の記事
4 どう届けるか 4P分析 製品、価格、流通、販促の組み合わせ 4P分析の記事
5 うまくいっているか KPI 週に見る数字を3つまで KGIとKPIの記事

この表が、質問者の言う全体の地図に当たります。強みと弱みを見る道具と、機会と脅威を見る道具の関係も、この表で分かります。

外を見る道具のPEST分析は、1の段に入ります。中を見るSWOT分析は2の段です。SWOT分析の機会と脅威の欄は、1の段で拾った外の変化を書き写す場所になります。

各道具の中身は、それぞれの記事に詳しく書いてあります。この記事では、中身を繰り返しません。並べ方だけを扱います。

道具を使う順は、使う目的で決まる

地図の順番には、理由があります。後ろの段は、前の段の答えを材料にするからです。

段 前の段から受け取るもの 受け取れないときに起きること
1 外を見る 0の目標 何のために調べているのか分からず、調べ物が終わらない
2 中を見る 1の外の変化 強みが、お客様に関係のない自慢話になる
3 誰に何を 1と2の答え 狙う集まりが、願望で決まる
4 どう届ける 3の狙う集まり 4つの欄が、誰に向けた話なのか分からなくなる
5 測る 0の目標と、4の施策 数字を見ても、直す場所が決まらない

順番を守ると、どの段も、前の段の答えを使います。それだけで、全体がひとつながりになります。

SWOT分析から始めると、なぜ迷うのか

教材や記事の多くは、SWOT分析を最初に紹介します。そのため、SWOT分析から始める人が多くいます。

ところが、強みと弱みを書こうとすると、何に対しての強みなのかが決まりません。強みは、相手のお客様や競合と比べて初めて決まるものだからです。

外を見る前に中を見ると、強みの欄には、社内で言い慣れた言葉が入ります。「技術力が高い」「歴史がある」といった言葉です。お客様がその言葉で選んでいるかどうかは、確かめられていません。

地図の順番どおり、外を先に見ておくと、強みの欄を書くときに、お客様の困りごとと照らし合わせられます。同じSWOT分析でも、書ける中身が変わります。

1つの道具が、2つの段にまたがる場合

地図は、すべての道具をきれいに1段に収められるわけではありません。3C分析は、顧客と競合が1の段、自社が2の段にまたがります。

また、4P分析は売り手の言葉で書く表です。買い手の側から読み直す4Cという見方もあります。4Pと4Cの違いは、4P分析の記事に書きました。

またがる道具は、欄ごとに、どの段で使うかを決めれば足ります。道具の名前に引きずられず、問いのほうを先に見ます。

地図にない道具は、どこに置くか

ほかにも、ここに載せなかった道具があります。質問者が挙げていたVRIOは、自社の資源が強みと言えるかどうかを見る道具のひとつです。

ほかの道具が出てきたら、どの問いに答える道具なのかを、先に見ます。環境を見る道具なら1の段、自社の資源を見る道具なら2の段です。置き場所が決まれば、使うかどうかは、そのあとに考えれば足ります。

道具は、問いに答えるために使います。置き場所を決められない道具は、いまの自社には要りません。

手順0:何を目指すかを、期限のある数字で1つ仮置きする

地図の入口は、目指す数字です。目標が無いと、外を見る作業が終わりません。調べるほど、どの情報も大事に見えてくるからです。

目標は、サイトの外の数字から始める

目標は、問い合わせの件数や受注の件数など、事業の結果に近い数字で置きます。サイトの訪問者数のような手前の数字は、目標には使わず、あとで置く測りの数字にします。

KGIとKPIの違いや、置く順番は、KGIとKPIの記事に詳しく書きました。この段階では、次の形で1つだけ置きます。

「2027年3月までに、新規の問い合わせを月に◯件にする」という形です。数字の根拠は、いまの件数から、無理のない伸びを置けば足ります。

仮置きの数字を、あとで変えてよい理由

仮置きの数字は、地図を1周したあとで見直します。外と中を見ると、思っていたより市場が小さい、または、使える人が足りない、と分かることがあるからです。

見直しを前提にしておくと、最初の数字を決めるのに時間をかけすぎずに済みます。数字を決めることより、最初の1周を終えることを優先します。

手順1:外を見る。PEST分析と、3Cの顧客と競合

1の段では、自社の外で起きていることを集めます。ここで集める材料は、2種類に分かれます。広い世の中の変化と、目の前のお客様と競合です。

世の中の変化は、PEST分析で拾う

世の中の変化は、政治、経済、社会、技術の4つの窓から眺めると、見落としにくくなります。これがPEST分析です。

中小企業の場合、4つの窓すべてを細かく調べる必要はありません。自社の売上に響きそうな変化を、各窓から1つずつ拾えば足ります。

拾い方と、サイトの更新予定への落とし方は、PEST分析の記事にまとめました。

お客様と競合は、3Cの顧客と競合の欄で見る

目の前のお客様と競合は、3C分析の顧客と競合の欄で見ます。ここで大事なのは、競合の定義です。

競合とは、同じ業種の会社だけではありません。お客様が、同じ困りごとを解決するために、ほかに選ぶ手段のすべてを指します。自分でやる、先延ばしにする、別の業種に頼む、も競合です。

小さな会社が最初に集める情報は、お客様の困りごと

中小企業庁の2026年版 小規模企業白書は、外部環境の情報を集めている小規模事業者に、集めている内容を尋ねています。

白書には、「顧客のニーズ・課題」と答えた割合が最も高く、次いで「競合他社の特徴・動向」、「顧客の属性・購買行動」と続く、と書かれています。ここでの「外部環境の情報」とは、顧客のニーズや購買行動の変化、競合他社の特徴・動向、市場の変化のことです。

小さな会社が最初に集めているのは、お客様の困りごとだということが分かります。順番としては、そのとおりで構いません。

集める情報 集め方 小さな会社の入手元
お客様の困りごと お客様の言葉をそのまま書き留める 問い合わせのメール、電話のメモ、現場で聞かれたこと
競合の特徴 競合のサイトの最初の画面を読む 検索で上位に出るサイトの、トップページ
お客様の属性と購買行動 誰が、どんな順で、何を比べたかを聞く 注文や見積もりの記録、初回の聞き取り

3つとも、社内の記録とサイトの閲覧で集められます。特別な調査は、最初は要りません。

外を見る段の終わりは、3行にまとめられたとき

1の段は、調べ続けると終わりません。終わりの目安は、次の3行が書けたときです。

1行目は、お客様の一番の困りごと。2行目は、競合が約束していること。3行目は、追い風か向かい風になりそうな世の中の変化。

3行が書けたら、次の段に進みます。足りない情報は、あとで見つけたときに足せば足ります。

手順2:中を見る。SWOT分析と、使える時間と人

2の段では、自社の中にあるものを見ます。ここで見るのは、強みと弱みだけではありません。質問者が不足を指摘した、実行に使える資源も、この段で書きます。

強みは、1の段の3行と照らして書く

SWOT分析の強みと弱みの欄は、1の段で書いた3行と照らしながら埋めます。お客様の一番の困りごとに答えられることが強み、答えられないことが弱みです。

競合が約束していることと、自社が約束できることを並べたときに、自社だけが言えることが残れば、それが強みの候補です。

見る相手 照らす問い 強みの候補になる条件
お客様の困りごと 自社は、その困りごとに答えられるか 答えられ、かつ実績を示せる
競合の約束 競合が約束していないことを、自社は約束できるか 約束でき、中身が伴っている
世の中の変化 追い風を、自社の持ち味で生かせるか 生かせる経験が社内にある

実行に使える資源を、数字で書く

質問者が気にしていた、実行のお金と人の視点は、この段で書きます。ここで書くのは、使える時間、人、金額の上限の3つです。

資源 書き方 書き方の例
時間 週に何時間まで使えるか 週に3時間
人 誰が、どの作業を担えるか 経営者が文章、事務の方が写真の整理
金額 年にいくらまでなら出せるか 上限を決めて、超える案は見送る

金額の欄には、実際の上限を書いてください。この記事では、金額の例を示しません。会社ごとに違い、一般的な目安を示せる出典が無いためです。

資源の欄を先に埋めておくと、4の段で施策を選ぶときに、実行できる施策だけが残ります。質問者が絵に描いた餅と感じた理由は、この欄がないまま戦略を立てることにあります。

中を見る段の終わりは、強み1つと弱み1つと資源の3行

2の段の終わりの目安も、3行です。お客様に響く強みが1つ、お客様が気にする弱みが1つ、週に使える時間と人の3つ目の行です。

強みと弱みを10個ずつ書いても、戦略には使えません。絞った3行があれば、次の段の判断に使えます。

地図を1周するのにかかる時間の目安

地図を1周するのに、どれくらい時間がかかるかは、会社の規模や調べる範囲で変わります。弊社の目安として、小さな会社が最初の1周を終えるまでの時間を、段ごとに示します。公的な基準ではないので、参考程度にしてください。

段 作業 時間の目安
0 目標を1つ仮置きする 30分
1 外の3行を書く 2時間
2 中の3行を書く 1時間
3 誰に何をを1文にする 1時間
4 4つの欄を埋める 1時間
5 測る数字を3つ決める 30分

合計で6時間ほどです。1日で終える必要はありません。週に2時間ずつ、3週間で終える形でも構いません。

1周目は、粗くても構いません。2周目に、粗かった欄を直せば足ります。1周目で完璧を目指すと、止まってしまいます。

外を見る段で起きやすい、3つの取り違え

外を見る段では、次の3つの取り違えが起きやすくなります。

1つめは、競合を、同業の会社だけにしてしまうことです。お客様は、自分でやる、先延ばしにする、別の業種に頼む、という選択肢も持っています。競合の欄には、これらも書きます。

2つめは、お客様の困りごとを、自社の商品名で書いてしまうことです。「当社のサービスが必要」と書くと、お客様の困りごとが見えなくなります。困りごとは、商品名を使わずに書きます。

3つめは、世の中の変化を、自社に関係なく集めてしまうことです。変化は、売上に響きそうなものを、4つの窓から1つずつ選べば足ります。

中を見る段で、1周目と2周目の間に起きる書き直し

2の段を終えたあと、1の段に戻って書き直すことがあります。中を見て初めて、外で拾うべき情報が分かることがあるからです。

たとえば、強みが「写真で説明すること」と分かったら、競合が写真で説明しているかどうかを、もう一度確かめたくなります。この書き直しは、地図が機能している証拠です。

戻るのは、1つ前の段までを目安にします。何段も戻ると、進まなくなります。戻る回数も、各段で1回までと決めておくと、作業が終わります。

競合のサイトを読む、5分の手順

外を見る段では、競合のサイトを読みます。読み方に決まりがないと、見た目の好みで終わってしまいます。5分で読む手順を決めておきます。

順 見る場所 書き留めること
1 トップページの最初の画面 誰に、何を約束しているか
2 料金や費用の案内 金額を出しているか、決め方を出しているか
3 事例や実績 どんな集まりの事例が多いか
4 問い合わせの方法 手段の数と、最初の画面での見つけやすさ
5 対象外の記述 引き受けない範囲を書いているか

競合を3社ほど読めば、約束がどこに集まっているかが見えてきます。集まっていない場所が、自社が言える余地です。

競合の悪口や、真似をする目的で読むのではありません。お客様が比べるときに、何を見ているのかを知るために読みます。

お客様の言葉を集める、聞き取りの質問例

お客様の困りごとは、聞き取りで集められます。聞く場面は、初回の打ち合わせや、納品後の確認など、すでにある機会で足ります。

聞く質問 引き出せること 書き留める形
最初に、何で困っていましたか 困りごとの言葉 お客様の言い回しのまま
頼む前に、何と比べましたか 競合と、判断の基準 比べた相手と、見た点
迷った点は、何でしたか 決める前の不安 不安の言葉のまま
決めた理由は、何でしたか 選ばれた強み 理由の言葉のまま
頼んだあとに、変わったことは何ですか 得られた変化 変化の言葉のまま

5つの質問を、5人に聞けば、外の3行の材料は、ほぼそろいます。答えは、要約せずに、お客様の言葉のまま書き留めます。

要約すると、社内の言葉に置き換わってしまうからです。お客様の言い回しは、そのままサイトの見出しの案にもなります。

材料を集めすぎないための、3つの線引き

外と中を見る段で、材料を集めすぎると、判断が遅れます。次の3つの線を引いておきます。

線引き 内容
件数 お客様の聞き取りは5件、競合のサイトは3社まで
期限 1つの段に使うのは、1週間まで
新しさ 1年以上前の情報は、確かめられる範囲だけ使う

線を超えそうなときは、足りない材料を、仮の答えで先に進めます。仮の答えは、あとの周回で直せます。

外と中の材料を、1枚に並べて書く

1の段と2の段の答えは、並べて書くと、つながりが見えます。次の形で、左に外の3行、右に中の3行を置きます。

お客様の一番の困りごと 自社の強み 照らした結果
初めて雇うとき、書類の順番が分からない 小さな会社の初めての雇用に慣れている 困りごとに直接答えられる。強みとして残す
費用が適正かどうか分からない 相談の段階で、含まれる範囲を説明している 答えられるが、まだ言葉にしていない
他の会社の事例を知りたい 事例の公開が少ない 弱み。公開できる事例を増やす

左の行ごとに、右が「答えられる」「答えられない」のどちらかに分かれます。答えられる行が、約束の候補です。答えられない行は、弱みとして書き残します。

照らした結果の欄に、「まだ言葉にしていない」と書ける行が見つかることがあります。このような行が、サイトに書き足す内容になります。

手順3:誰に何を届けるかを決める。STP分析で、1つの集まりに絞る

3の段が、戦略の中心です。1と2で集めた材料を使って、誰に何を届けるかを決めます。ここで使う道具が、STP分析です。

STPは、市場を区切る、狙う集まりを選ぶ、立ち位置を決める、という3つの段で成り立っています。それぞれの意味と記入表は、STP分析の記事に詳しく書きました。この記事では、地図の中での使い方だけを書きます。

1の段の3行から、区切り方を選ぶ

市場の区切り方は、年齢や地域、業種、困りごとの種類など、いくつもあります。選ぶ基準は、1の段で書いた、お客様の一番の困りごとです。

困りごとの種類が違えば、必要な言葉が変わります。言葉が変わる区切り方を選んでおくと、サイトの文章を書き分けられます。

区切り方 向いている会社 サイトでの使い方
困りごとの種類で区切る 解決する課題がはっきりしている会社 悩み別のページを作る
業種で区切る 企業向けに販売している会社 業種別の事例ページを作る
地域で区切る 来てもらう範囲が決まっている会社 対応地域の案内を最初の画面に置く
状況で区切る 時期や段階で必要なものが変わる会社 段階別の入口を作る

狙う集まりを、1つだけ選ぶ

区切ったあとは、狙う集まりを1つ選びます。2つ選ぶと、サイトの最初の一文がぼやけます。

選ぶ基準は3つです。自社が答えられる困りごとか。自社の資源で、継続して応えられるか。競合が手薄か。

この3つの基準のうち、1つめと2つめは2の段の答えと照らして決まります。3つめは1の段の競合の約束を見れば分かります。

立ち位置は、1行で言い切る

立ち位置とは、お客様が比べる点で、自社がどこに立つかという位置づけです。1行で言い切れる形にします。

たとえば、「早さで選ぶ人には向かないが、仕上がりの丁寧さで選ぶ人には向く」という形です。向かない人を先に書いておくと、向く人が自分の場合だと気づきやすくなります。

立ち位置を決めたら、狙う集まりと合わせて、1文にします。これが、サイトの最初の一文の原型です。

要素 書き方 例(架空の造園業)
誰に 状況と困りごと 遠方に住み、空き家の庭を持て余している持ち主に
何を 得られる変化 荒れる前に手を入れて、近所への迷惑を防ぐ
立ち位置 比べる点での位置 工事の大きさより、見回りの確かさで選ばれる

対象外を、1行書く

3の段の最後に、対象外を1行書きます。「次の方には向きません」という形です。

対象外を書くと、問い合わせの質が上がります。合わない人からの連絡が減り、対応にかける時間を、合う人に回せます。

手順4:どう届けるかを決める。4P分析で、食い違いを探す

4の段では、3で決めた約束を、どう届けるかを決めます。使う道具が、4P分析です。

4Pとは、製品、価格、流通、販促の4つの欄のことです。それぞれの欄に何を書くかは、4P分析の記事に詳しく書きました。

4つの欄は、3の1文に向けて書く

4つの欄は、すべて3で決めた1文に向けて書きます。製品の欄には、狙う集まりが欲しい変化を実現する内容を書きます。

価格の欄には、金額よりも先に、価格の決め方を書きます。流通の欄には、お客様が頼む手段と、届く範囲を書きます。販促の欄には、お客様に最初に見つけてもらう方法を書きます。

4つの欄が同じ集まりに向いていれば、サイトの各ページも同じ方向を向きます。

欄 3の1文に向けた書き方 食い違いの例
製品 狙う集まりが欲しい変化を中心に書く 機能の自慢が並んでいる
価格 決め方と、含まれる範囲を書く 誰向けの料金なのか分からない
流通 頼める手段と、届く範囲を書く 電話しか手段がない集まりに、フォームだけを置いている
販促 最初に見つけてもらう言葉を書く 製品の中身と違う言葉で広告を出している

食い違いを探す、という使い方

4の段の使い方のうち、いちばん役に立つのは、4つの欄の食い違いを探す作業です。書き終えた4つの欄を、縦と横から読み比べます。

製品の欄が高い品質を言っているのに、価格の欄が安さだけを言っていれば、食い違いです。流通の欄が来店だけなのに、販促の欄が全国向けなら、これも食い違いです。

食い違いを見つけたら、直す場所がそのままサイトの直す場所になります。この考え方は、あとの手順で使います。

施策は、使える資源で選ぶ

4つの欄を埋めると、やりたい施策がたくさん出てきます。ここで、2の段で書いた資源の欄を使います。

週に使える時間と、担当できる人、金額の上限の3つに収まる施策だけを残します。収まらない施策は、今期は見送ります。

見送った施策も、捨てずに書き残しておきます。資源が増えたときに、次の候補になるからです。

手順5:うまくいっているかを、3つの数字で測る

最後の段は、測る数字を決める作業です。測る数字は、0の段で置いた目標から逆算して決めます。

目標から、手前の数字へ戻る

目標が「新規の問い合わせを月に◯件」なら、手前には、問い合わせのフォームに来た人の数、さらに手前には、サイトを見た人の数があります。

数字は、3つまでに絞ります。多いと、見る時間が取れなくなり、直す場所が分からなくなります。

段階 数字の例 動かす施策
結果 新規の問い合わせの件数 サイト全体
手前 問い合わせのページを見た人の数 料金のページ、事例のページ
さらに手前 狙う言葉で見つけてもらった回数 悩み別のページ

見る頻度は、週に1回10分

数字は、週に1回、10分だけ見ます。毎日見ると、日ごとのばらつきに振り回されます。月に1回では、直すのが遅くなります。

見る日を、曜日で固定しておきます。数字が動いていなければ、手前の数字に戻って、どの施策が動いていないかを確かめます。

公的な数字で見る:小規模事業者の経営計画とマーケティングの実態

ここまでの地図の考え方が、実際の小さな会社でどう扱われているのか、公的な調査で確かめます。使うのは、中小企業庁の2026年版 小規模企業白書の、第2部第1章第2節です。2026年11月5日に開いて確かめました。

経営計画を作っている小規模事業者は、約2割

白書には、経営計画の策定状況について、「経営計画を策定しており、社内で共有している」と「経営計画を策定しているが、社内では共有していない」を合わせても、約2割にとどまる、と書かれています。

白書は、このことから、経営計画の策定に取り組んでいる小規模事業者は少ないと整理しています。ここでの経営計画は、自社が現状から将来のあるべき姿に到達するための計画のことです。

マーケティング戦略は、経営計画の一部分に当たります。残る約8割は、経営計画をまだ策定していない計算になります。

計画を作った会社は、業績が上がった割合が高い

白書によれば、経営計画を策定している事業者は、策定していない事業者より、売上高と営業利益率が「増加」「上昇」と答えた割合が高くなっていました。

白書はこの結果を、「事業目標を定めるほど、更には経営計画を策定するほど、業績向上につながる可能性がある」と書いています。因果関係を断定してはいません。

この記事も、同じ立場で読みます。計画があれば必ず上がる、とは言えません。ただ、書いたほうが、結果の傾向がよい方向にそろっていました。

作っても、見直さなければ効果が出にくい

同じ節には、計画を作ったあとの扱いも出ています。実績と比べた進捗の確認をしていない事業者の約3割が、「ほとんど効果が得られなかった」と答えています。

また、社内で共有している事業者は、共有していない事業者より、想定した効果が得られたと答えた割合が高くなっています。

つまり、書いた計画を、社内で共有して、進み具合を確かめることが、効果を左右しています。地図の最後の段が、測る段になっている理由も、ここにあります。

マーケティングに取り組む会社は、約6割

白書は、外部環境の情報収集と差別化に取り組んでいる小規模事業者を、「約6割」としています。

取り組んでいる事業者は、取り組んでいない事業者より、売上高、営業利益率、顧客数のそれぞれで、「増加」「上昇」と答えた割合が高い、と書かれています。

白書で確かめた事実 数字 この記事での読み方
経営計画を策定している事業者 約2割 計画を書いている会社は、まだ少数
進捗を確認していない事業者の「ほとんど効果なし」 約3割 書いて終わりでは効きにくい
マーケティングに取り組む事業者 約6割 外を見て差別化する会社は、半数を超える
強み・弱みの把握に取り組まない事業者の「特に取組なし」 3割超 中を見ないと、施策も止まりがち

最後の行は、白書の記述にあるものです。自社の経営資源の強み、弱み、課題の把握に取り組んでいない事業者は、顧客数を増やすための取組について、3割超が「特に取組は行っていない」と答えています。

白書はここで、強みと弱みの把握が、具体的な取組につながる可能性を指摘しています。地図の2の段が、4の段の施策につながることと、同じ向きの結果です。

白書が、小さな会社に求めている視点

白書は、小規模事業者について、一般に経営資源が乏しいことを踏まえ、「どうすれば稼げるか」という視点に立ち、戦略的に事業に取り組むことが重要だと書いています。

資源が乏しい会社ほど、手当たり次第の施策は打てません。1枚の戦略で、やることを絞る意味があります。

1枚の戦略から、サイトの直す場所へ目標を置く数字を1つ材料にする外と中を見る3行ずつ書く答えを渡す誰に何を決める1文に言い切る順に直すサイトに写すトップの一文から

4の段で届ける経路を選ぶとき、3つの条件で絞る

どう届けるかを決める段では、経路の選び方で迷います。検索、紹介、広告、SNS、チラシなど、手段は数えきれないほどあります。

選ぶ条件は3つです。狙う集まりが、普段どこで情報を探しているか。その経路を、使える資源で続けられるか。経路の先に、受け皿になるページを用意できるか。

経路 向いている場面 続けるのに要る資源 受け皿になるページ
検索 困りごとを、言葉にして調べる人が多い 悩み別の記事を書く時間 悩み別のページ
紹介 信頼で選ばれる商材 既存のお客様との関係 紹介された人が最初に見る会社案内
広告 時期が決まっていて、すぐに届けたい 継続して出せる金額の上限 広告専用の入口のページ
SNS 見た目や人柄で、選ばれやすい 継続して投稿する時間 プロフィールからつながるトップページ
チラシや看板 地域が限られた商圏 配る手間と場所 二次元コードから開くページ

どの経路を選んでも、受け皿のページが戦略と食い違っていると、反応は落ちます。経路を選ぶ前に、受け皿のページの最初の一文が、3の段の1文と同じ集まりに向いているかを確かめてください。

3の段で迷ったときの、3つの確かめ方

誰に何を届けるかを決める段は、いちばん迷いやすい段です。迷ったときは、次の3つで確かめます。

1つめは、既存のお客様の共通点を見ることです。実際に選んでくれた人の状況と困りごとに、共通点があれば、狙う集まりの候補になります。

2つめは、断った依頼を思い出すことです。断った理由が共通しているなら、それが対象外の1行になります。

3つめは、書いた1文を、お客様に近い人に読んでもらうことです。「これは自分のことだ」と感じてもらえたら、狙う集まりが合っています。

確かめ方 見るもの 迷いが解けたときの形
既存のお客様の共通点 過去1年の受注の記録 狙う集まりの状況が、言葉になる
断った依頼 断った理由のメモ 対象外の1行が決まる
お客様に近い人の反応 1文を読んだ感想 自分のことだと言われる

白書の数字を、自社の説明に使うときの注意

白書の数字は、自社の戦略を説明するときの材料にできます。ただし、使い方に注意が要ります。

白書の結果は、調査に答えた小規模事業者の傾向です。自社に当てはまるかどうかは、自社の数字で確かめる必要があります。

白書自身も、「可能性がある」「示唆される」という表現で書いています。説明に使うときも、「そうなる」と断定せず、「そうなる傾向がある」と書いてください。

数字を引用するときは、調査の名前と年を添えます。この記事のように、中小企業庁の2026年版 小規模企業白書と書けば、読んだ人が確かめられます。

価格の欄は、金額を書かずに決め方で書く

4つの欄の中で、いちばん書きにくいのが価格です。金額を載せることをためらう会社は、決め方を書けば足ります。

書く点 書き方 架空の造園業の例
何で決まるか 金額が変わる条件 庭の広さと、木の本数や高さ
何が含まれるか 追加の請求が出ない範囲 手入れで出た枝や葉の片付け
何が別になるか 別に請求するもの 大きく育った木の伐採

3点を書いておくと、お客様は、頼む前に、自分の場合を想像できます。想像できる料金のページは、問い合わせの質を上げます。

別になるものを隠すと、あとで驚かれます。別にかかるものほど、先に書いておきます。

施策を選ぶときの、簡単な点数づけ

施策の候補が多すぎるときは、点数づけで絞ります。基準は、約束に合うか、資源に収まるか、すぐ始められるか、の3つです。

基準 3点 2点 1点
約束に合うか 狙う集まりに直接届く 間接的に届く 関係が薄い
資源に収まるか 週の時間内で続けられる 時々、超える 続けられない
すぐ始められるか 1週間以内に始められる 1か月以内 準備に時間がかかる

3つの合計が高い施策から、2つか3つだけ選びます。点数は、弊社が絞り込みのために使う目安です。公的な基準ではありません。

点数が同じなら、約束に合う点が高いほうを選びます。約束からずれた施策は、続けても、成果に結びつきにくいからです。

施策を決めたあとに、やらないことを書く

施策を選んだら、見送った施策を、紙の隅に書き残します。やらないことを決めておくと、あとから別の施策に目移りしにくくなります。

見送りの理由も、1行添えます。資源が足りない、約束と合わない、など、理由があれば、資源が増えたときに見直せます。

戦略を見直す、3つのきっかけ

紙は、年に1回の見直しのほかに、きっかけが起きたときにも開きます。きっかけは、3種類に分けられます。

きっかけ 例 開く欄
お客様の変化 問い合わせの内容が、これまでと変わってきた 2の外の3行、4の誰に
競合の動き 競合が、自社と同じ約束を言い出した 2の外の3行、3の中の3行
資源の変化 担当者が増えた、または減った 3の中の3行の資源、7の施策

きっかけが起きたら、その欄だけを開いて、書き直します。紙全体を作り直す必要はありません。

数字の動きも、見直しのきっかけになります。測る数字が、3か月続けて動かないときは、約束と中身のずれを疑います。

1枚の戦略テンプレート:8つの欄に、地図の答えを書き写す

ここまでの6つの段の答えを、1枚の紙に書き写します。欄は8つです。8つに絞ったのは、見渡せる広さに収めるためです。

8つの欄と、書き方

欄 書くこと 地図の段
1 目標 期限のある数字を1つ 0
2 外の3行 お客様の困りごと、競合の約束、世の中の変化 1
3 中の3行 強み1つ、弱み1つ、使える資源 2
4 誰に 狙う集まりを1つ 3
5 何を その集まりが得る変化を1つ 3
6 対象外 向かない人を1行 3
7 どう届ける 4つの欄の要点を1行ずつ 4
8 測る数字 3つまで、見る曜日 5

使える時間と人と金額の上限は、3の欄の中に書きます。これで、質問者が指摘した資源の視点が、戦略の紙に入ります。

書き方の決まり

8つの欄は、1欄につき2行までにします。長く書くと、あとで読み返さなくなります。

専門用語は、社内で通じる言葉に置き換えます。お客様に言われた言葉をそのまま書くと、サイトの文章に写しやすくなります。

書き終えたら、書いていない人に1分で読んでもらいます。読んで詰まった欄は、まだ決まっていません。

紙は、年に1回と、大きな変化のたびに書き直す

戦略の紙は、固定しません。年に1回の見直しと、大きな変化があったときの書き直しをします。

大きな変化とは、主力のお客様の変化、競合の動き、法制度の変更などです。紙が1枚なら、書き直しに半日もかかりません。

中小企業の例:架空の3社で、1枚の戦略を書いてみる

地図と8つの欄が、実際の小さな会社でどう埋まるのかを、架空の3社で確かめます。3社とも、実在の会社ではありません。業種の違う3社を並べたので、自社に近い1社から読んでください。

A社:地方の社会保険労務士事務所

A社は、従業員が5人から30人の会社を相手にする、社会保険労務士の事務所です。ホームページはあるものの、問い合わせは紹介が中心でした。

欄 A社の答え
1 目標 2027年3月までに、ホームページ経由の相談を月に2件
2 外の3行 お客様は、人を初めて雇う会社で、書類の順番が分からない。競合は、すべての手続きに対応と約束している。就業規則の見直しが話題になっている
3 中の3行 強みは、小さな会社の初めての雇用に慣れていること。弱みは、写真と事例が少ないこと。使えるのは、週に3時間と、所長1人
4 誰に 初めて従業員を雇う、従業員が1人から10人の会社の経営者に
5 何を 採用から最初の給与までの手続きを、順番どおりに終える安心を
6 対象外 従業員が50人を超える会社、労働争議の対応
7 どう届ける 製品は初回の手続き一式。価格は決め方を明示。流通はフォームとメール。販促は初めて雇うときの疑問の記事
8 測る数字 相談フォームのページを見た人、フォームの送信、記事を見つけてもらった回数

A社の最初の一文は、「初めて従業員を雇う会社の、採用から最初の給与までの手続きを、順番どおりにお手伝いします」になります。

B社:住宅の外壁塗装を手がける工務店

B社は、築10年から20年の戸建てを持つ人を相手にする、地域の工務店です。広告を出していたころは問い合わせがありましたが、比較だけの連絡が多いのが悩みでした。

欄 B社の答え
1 目標 2027年3月までに、現地調査の依頼を月に4件
2 外の3行 お客様は、塗り替えの時期と、見積もりの適正さが分からない。競合は、安さと実績の数を約束している。外壁の劣化に関する関心が上がっている
3 中の3行 強みは、劣化の写真を残して説明すること。弱みは、広い地域には対応できないこと。使えるのは、週に5時間と、現場担当者1人
4 誰に 築10年から20年の持ち家で、塗り替えの時期を迷っている人に
5 何を いま塗るべきかどうかの、写真付きの判断を
6 対象外 対応地域の外、新築の外壁
7 どう届ける 製品は診断と塗装。価格は含まれる範囲を明示。流通は現地調査の予約。販促は劣化の見分け方の記事
8 測る数字 調査予約のページを見た人、予約の件数、見分け方の記事の閲覧

B社の最初の一文は、「築10年を過ぎた外壁を、塗るべきかどうかから、写真で見て判断します」です。

C社:家庭向けの学習教室

C社は、小学生を相手にする小さな学習教室です。体験の申し込みが、時期によって大きく上下します。

欄 C社の答え
1 目標 2027年3月までに、体験の申し込みを月に5件
2 外の3行 お客様は、保護者で、子どもが勉強を嫌がることに悩んでいる。競合は、成績の向上を約束している。学習の方法が変わる時期に関心が高まる
3 中の3行 強みは、子どもの得意を見つけて伸ばす面談。弱みは、定員が少ないこと。使えるのは、週に2時間と、教室長1人
4 誰に 勉強を嫌がり始めた小学校中学年の子どもの、保護者に
5 何を 嫌がる理由を一緒に見つけて、勉強の入口を作り直す支援を
6 対象外 受験の直前対策だけを求める方
7 どう届ける 製品は面談と少人数の授業。価格は月ごとの決め方を明示。流通は体験の申し込み。販促は勉強を嫌がる理由の記事
8 測る数字 体験のページを見た人、申し込み、記事の閲覧

C社の最初の一文は、「勉強を嫌がり始めた理由を、保護者と一緒に見つけます」です。

3社に共通していること

3社とも、誰に届けるかを、状況と困りごとで絞っています。同じ業種の中でも、どの集まりを選ぶかで、サイトの最初の一文が変わります。

3社とも、対象外を書いています。向かない人を先に書くことで、狙う集まりの輪郭がはっきりします。

また、3社とも、使える資源を数字で書いています。週に2時間しか使えない教室では、毎週の記事は書けません。資源を先に書くと、施策が現実的になります。

戦略からサイトの直す場所へ落とす順番

ここからが、この記事の中心です。1枚の戦略ができたら、サイトの直す場所を、決まった順番で選びます。順番を間違えると、直した場所と戦略がかみ合いません。

直す順番は、約束から入口までの7つ

順 直す場所 戦略のどの欄から 直すこと
1 トップページの最初の一文 4 誰に、5 何を 狙う集まりと約束を、最初の一文で言い切る
2 悩み別のページの見出し 2 外の3行 お客様が検索する言葉に書き換える
3 料金のページ 7 どう届けるの価格 金額より先に、決め方と含まれる範囲を書く
4 問い合わせの導線 7 どう届けるの流通 頼める手段と、届く範囲を最初の画面で言う
5 事例と実績のページ 3 中の3行の強み 狙う集まりに近い事例を先頭に置く
6 記事と入口のページ 7 どう届けるの販促 検索される言葉の入口を、悩み別に増やす
7 数字の見方 8 測る数字 手前の数字を、3つに絞って見る

この順番には、理由があります。1と2は、全ページが参照する約束です。ここがずれていると、後ろのページをどれだけ直しても、約束が伝わりません。

理由1:約束が先にないと、後ろのページが迷う

トップページの最初の一文が決まると、料金や事例のページは、その一文に向けて書けます。逆に、料金のページから先に直すと、誰に向けた料金なのかが決まらないまま書くことになります。

まず1の約束を決め、2から先は、約束と矛盾していないかを確かめながら進めます。

理由2:行動の導線は、約束と裏づけがそろってから直す

3の料金と4の問い合わせの導線は、お客様が決めて動くところです。約束が伝わり、事例などで裏づけられてから直すと、効果が出やすくなります。

約束が伝わらないまま導線だけを直しても、導線にたどり着く人が増えません。

理由3:入口は、中身が整ったあとに増やす

6の記事や入口のページは、新しいお客様を呼び込む場所です。中身が整う前に入口を増やすと、来た人が迷います。

整える順に、約束、裏づけ、導線、入口の順番です。この順で進めれば、入口から来た人が、約束を読み、裏づけを見て、導線で動けます。

手順ごとに、サイトの何を、どう直すか

7つの直す場所を、順に具体的に見ていきます。1つずつ、直す前の状態と、直したあとの状態を示します。

1 トップページの最初の一文を、戦略の1文にする

最初に直すのは、トップページの最初の一文です。戦略の4と5の欄を、そのまま1文にします。

直す前 直したあと 変わる点
お客様に寄り添い、最適なご提案をいたします 初めて従業員を雇う会社の、採用から最初の給与までを、順番どおりにお手伝いします 誰に、何をが入った
地域に根ざした総合建設会社です 築10年を過ぎた外壁を、塗るべきかどうかから、写真で見て判断します 約束が1つに絞られた
一人ひとりに合わせた指導を行います 勉強を嫌がり始めた理由を、保護者と一緒に見つけます お客様の状況が入った

直す前の言葉は、どの会社にも当てはまります。直したあとの言葉は、その会社にしか言えません。

2 悩み別のページの見出しを、検索される言葉に書き換える

2番目は、悩み別のページの見出しです。戦略の2の欄の、お客様の困りごとを、お客様が検索する言葉に近づけます。

社内の言葉で付けた見出しは、検索されない可能性が高くなります。お客様が検索窓に入れる言葉は、問い合わせの記録から拾えます。拾い方は、顧客分析の記事にも書きました。

3 料金のページに、決め方と含まれる範囲を書く

3番目は、料金のページです。戦略の7の価格の欄を、そのまま写します。

金額だけを載せると、比べられます。決め方と、含まれる範囲を先に載せると、お客様は、自分の場合を想像できます。

4 問い合わせの導線を、最初の画面で言い切る

4番目は、問い合わせの導線です。戦略の7の流通の欄を、最初の画面に写します。

頼める手段と、届く範囲を、最初の画面で言い切ると、遠くて頼めない人が早く離れ、頼める人が迷わず動きます。

5 事例のページを、狙う集まりに近い順に並べる

5番目は、事例と実績のページです。戦略の3の強みを、事例で裏づけます。

事例は、狙う集まりに近いものを先頭に並べます。狙う集まりに近い事例があれば、お客様は自分の場合だと気づきます。

6 入口になる記事を、悩み別に増やす

6番目は、入口になる記事のページです。ここで初めて、新しい記事を足します。

1つの記事は、1つの悩みに答えます。資源の欄に書いた時間で書ける本数だけ、足します。

7 測る数字を、3つに絞って見る

最後は、数字の見方です。戦略の8の欄に書いた3つの数字だけを、週に1回見ます。

数字が動いていなければ、直す順番の表に戻ります。数字が動かないのは、直した場所が約束とずれているからです。

直す場所の表を、自社用に書き写す

7つの直す場所の表は、そのまま自社用に書き写せます。次の形で、自社のページ名と、直す日を書き込みます。

順 直す場所 自社のページ名 直す言葉の案 直す日
1 トップページの最初の一文
2 悩み別のページの見出し
3 料金のページ
4 問い合わせの導線
5 事例と実績のページ
6 記事と入口のページ
7 数字の見方

直す日を、1週間に1か所ずつ入れていくと、7週間で1周します。7週間で、約束から入口まで、戦略がサイトに写されます。

直す順番を変えてよい場合

直す順番は、基本の形です。例外が1つあります。すでに、問い合わせの導線で大きく離れていることが分かっている場合です。

たとえば、フォームの入力が長すぎて、途中でやめる人が多いと分かっているなら、4の導線を先に直します。離れている場所を放っておくと、他を直しても、成果に結びつきません。

ただし、その場合も、1の最初の一文は、できるだけ早く決めます。約束が決まらないままだと、導線を直したあとに、もう一度直す羽目になるからです。

直したあとに、変えてはいけないもの

戦略をサイトに写すとき、変えてはいけないものがあります。お客様が、すでに頼りにしている部分です。

変えない部分 理由
既存のお客様が使っている問い合わせの手段 急に変えると、連絡が取れなくなる
長く検索で見つけてもらっているページの題 題を変えると、見つけてもらえなくなる場合がある
実績として載せている事例 狙う集まりに遠くても、信頼の裏づけとして残す

変えない部分は、先に書き出しておきます。書き出しておけば、直す作業の途中で、うっかり消してしまうことが防げます。

戦略の紙とサイトの言葉を、照合する

直し終えたら、紙とサイトを照合します。照合は、次の表で行います。

紙の欄 サイトで見る場所 食い違いの例
4 誰に トップページの最初の一文 紙は初めての会社なのに、サイトは全企業向け
5 何を 商品のページの見出し 紙は変化なのに、サイトは機能の一覧
6 対象外 問い合わせのページの注意書き 紙は書いてあるのに、サイトに無い
7 どう届ける 料金と問い合わせのページ 紙は決め方を書くのに、サイトは金額だけ

食い違いが見つかったら、紙とサイトのどちらを直すかを決めます。紙が古くなっていれば、紙を直します。サイトが追いついていなければ、サイトを直します。

架空のA社が、7週間で直していく様子

社会保険労務士事務所のA社が、直す順番の表を、7週間で進めた様子を追ってみます。実在する会社ではありません。この記事のための想定です。

週 直した場所 具体的な作業 使った時間
1 トップページの最初の一文 戦略の1文に差し替え 1時間
2 悩み別のページの見出し 初めて雇うときの疑問を、問い合わせの言葉で書き換え 2時間
3 料金のページ 決め方と、含まれる範囲を追記 2時間
4 問い合わせの導線 最初の画面に、フォームの場所と返信の目安を追記 1時間
5 事例のページ 初めて雇う会社の事例を、先頭に移動 1時間
6 入口の記事 採用から最初の給与までの流れの記事を1本 3時間
7 数字の見方 3つの数字を、週に1回見る形にする 30分

使った時間の合計は、約10時間半です。資源の欄に書いた週3時間の範囲に、おおむね収まります。7週間かけたのは、無理なく続けるためです。

1週目で最初の一文を直しただけでも、サイトを開いた人が受け取る約束は変わっています。残りの6週間は、その約束を裏づけ、行動につなげ、入口を増やす作業です。

直したあとに、見る数字の動き方

直したあとの数字には、動く順番があります。最初に動くのは、直した場所に近い数字です。

最初の一文を直したあとは、トップページから次のページへ進む人の数が、先に変わるかもしれません。問い合わせの数は、さらにあとで変わります。

数字が動くまでは、数週間かかることがあります。直した直後に結果が出なくても、すぐに戻したり、別の場所を直したりはしません。

見る数字は、3つまでと決めておけば、動きを落ち着いて見られます。目に見える変化が少ない時期は、約束と中身のずれを、もう一度点検する期間に当てます。

ページごとに、最初の1画面に置く3点

直す場所を決めたら、各ページの最初の1画面に、置くものを決めます。ページごとに、置く3点は次のとおりです。

ページ 最初の1画面に置く3点
トップページ 誰に、何を、頼むための次の一歩
悩み別のページ お客様の困りごとの言葉、先に答え、詳しい説明への案内
料金のページ 金額が決まる条件、含まれる範囲、別にかかるもの
問い合わせのページ 頼める手段、返信の目安、対象外の1行
事例のページ 誰の事例か、何が変わったか、その人の言葉

最初の1画面に3点そろっていれば、読む人は、ページを下まで読む前に、自分の場合かどうかを判断できます。

判断がしやすいページは、問い合わせの質も上げます。読んだ人が、自分の場合だと分かって連絡してくるからです。

直した場所を、記録に残す

直した場所と日付は、必ず記録に残します。記録がないと、数字が変わったときに、どの直しが効いたのかが分かりません。

記録の形は、日付、直したページ、直した内容の3つを、1行で足ります。1つの直しごとに1行書けば、3か月後の見直しで、そのまま使えます。

直す途中で起きやすい、3つの迷い

直す作業を進めていると、迷いが出てきます。よくある3つを、答えとあわせて整理します。

迷い 答え
1文に絞ると、他のお客様を失いそうで不安 絞った1文でも、他のお客様は、問い合わせの段階で受けられる。サイトの最初の一文だけが絞られる
戦略の紙の言葉が、堅くてサイトに使いにくい 紙の言葉を、お客様の言い回しに書き換えてから写す
直すところが多すぎて、手がつかない 表の1から3までを、1週間で直す。残りは、翌週以降に回す

迷いが出たときは、紙の1枚目に戻ります。誰に何を届けるかが決まっていれば、迷いは、その1文に照らして判断できます。

判断できない迷いは、紙の欄がまだ決まっていないというしるしです。その欄を、先に決めてください。

戦略の紙を、サイトの更新予定に変える

直す場所の表を、更新予定に変えると、実行しやすくなります。更新予定は、月ごとに1行で書きます。

月 直す場所 直す内容 見る数字
1か月目 トップページ、悩み別の見出し 約束の1文と、見出しの書き換え 次のページへ進む人の数
2か月目 料金のページ、問い合わせの導線 決め方の明記、導線の最初の画面への移動 問い合わせのページを見た人の数
3か月目 事例、入口の記事 事例の並べ替え、記事を1本 問い合わせの件数

3か月で1周する形です。資源の欄に収まらないときは、4か月、5か月に延ばして構いません。

更新予定は、紙の隣に貼っておきます。月が替わるたびに、更新予定の行を1つ進めれば、戦略は、日常の作業に混ざります。

本を選ぶときの見方:サジェストの「本」に、短く答える

検索のサジェストには、「本」という語も出てきます。マーケティング戦略の本を選ぶときの見方を、短くまとめます。書名は挙げません。

本の中に、4つの点があるかを見る

書店で手に取ったときに、目次で次の4点を確かめます。

見る点 見方 ないときの対処
道具の関係が書かれているか 道具を使う順番の説明があるか この記事の地図を、手元に置いて読む
実行の資源に触れているか 時間、人、金額の上限の話があるか 自社の資源の欄を、自分で足す
例が自社の規模に近いか 小さな会社の例があるか 例を、自社の言葉に書き換えて読む
数字の出典が書かれているか 調査の名前と年が書かれているか 出典を確かめられない数字は使わない

質問者の悩みのとおり、入門向けの本は、道具の紹介が中心になりがちです。そのときは、自分で地図と資源の欄を足せば、本を生かせます。

本は、1冊を読み切るより、1つの問いを決めて読む

本は、1冊を通読する必要はありません。いま決めたい問いが、地図のどの段にあるかを決めて、その段の部分だけを読めば足ります。

読んだあとに、必ず戦略の紙の1欄を埋めます。紙の欄が増えない読書は、知識だけが増えて、サイトの直す場所が決まりません。

よくある間違ったマーケティング戦略の進め方と、その末路

ここまでの地図と手順を使っても、進め方を間違えると、サイトは変わりません。小さな会社に多い間違いを、症状と末路の形で整理します。

戦略を立てても、何も変わらない5つの症状

症状 サイトに出る形 本当の原因
表が増える 3C、SWOT、4Pの表が、フォルダに溜まっている 表の答えを、1枚に統合していない
最初の一文が変わらない トップページが、どの会社でも言える言葉のまま 誰に何を届けるかを、決めていない
施策がばらばら 記事、広告、SNSが、別々の方向を向いている 1枚の約束に、施策を照らしていない
続かない 3か月で更新が止まる 資源の欄がなく、無理な計画になっている
数字を見ても動けない 数字が多すぎて、直す場所が決まらない 測る数字を、3つに絞っていない

自社に当てはまる症状が1つでもあれば、次に挙げる間違いのどれかが起きています。

間違い1:道具を、名前の順にすべて埋める

教材の順番に、3C、SWOT、PEST、STP、4Pと、すべての表を埋めていく進め方です。真面目な会社ほど、この進め方を選びます。

末路は、表の枚数だけが増えることです。1枚ずつは、もっともな内容です。それでも、表同士の関係が整理されないため、結論が1つにまとまりません。

最後の表を埋めたときには、最初の表の内容を忘れています。地図の順に、問いごとに答えを出し、1枚に写してください。

間違い2:施策から始める

戦略を決める前に、記事や広告、SNSなどの施策から始める進め方です。手を動かしている実感があるため、やめにくくなります。

末路は、施策ごとに向きがばらばらになることです。記事は初心者向け、広告は経験者向け、SNSは若い人向け、というように、狙う集まりが施策ごとに違ってしまいます。

見ている人にとっては、サイトが誰のために作られているのか、分からなくなります。

間違い3:使える資源を書かない

質問者が指摘した点が、まさにここです。資源を書かずに立てた戦略は、実行の段階で止まります。

週に3時間しか使えない会社が、毎日更新の計画を立てると、2週間で止まります。止まったあとは、戦略そのものが悪かったのだと誤解して、紙ごと捨ててしまいます。

資源の欄を先に書いておくと、立てる前に、実行できる範囲だけが残ります。

間違い4:紙に書いて、そこで終わる

戦略を1枚にまとめたあと、サイトに反映しないまま、フォルダに保管する進め方です。

中小企業庁の2026年版 小規模企業白書によると、実績と比べた進捗の確認をしていない事業者の約3割が、「ほとんど効果が得られなかった」と答えています。書いただけで終わらせると、効果は出にくくなります。

末路は、半年後に同じ表をもう一度作ることです。作った事実だけが残り、サイトは、その前と同じ状態です。

間違い5:全員に向けて書く

狙う集まりを絞れず、すべてのお客様に向けた戦略にする進め方です。絞ると取りこぼしが出るような気がして、絞れなくなります。

末路は、最初の一文が、誰にも刺さらない言葉になることです。「お客様に寄り添う」「最適なご提案」といった言葉は、どの会社にも当てはまります。

絞ったときの取りこぼしは、思ったほど出ません。向く人には、向くとはっきり伝わるためです。

解決策:「売れるサイトはみな謙虚」の考え方で、戦略を引き算して、サイトに写す

ここからが、この記事の本題の仕上げです。1枚の戦略を、サイトの直す場所に写す作業を、「売れるサイトはみな謙虚」という考え方で進めます。

この考え方は、ウェブサイトから要素を引き算して、訪れた人が迷わず次の一歩に進める形に組み直す、というものです。

戦略に当てはめると、書く欄を絞り、お客様が知りたいことに先に答える言葉だけを残す作業になります。

謙虚とは、言いたいことを、お客様の知りたいことの後ろに置くこと

売り手の言葉で書いた戦略の紙は、言いたいことの一覧になりがちです。強みの欄には自慢したい点が並び、約束の欄には目を引きたい言葉が並びます。

謙虚に書くとは、それらを、お客様の知りたいことの後ろに置くことです。お客様の知りたいことは、1の段で書いた、お客様の困りごとに現れています。

言いたいことを減らすと、約束も小さくなります。約束が小さくなると、中身との食い違いも減ります。

引き算の基準は、お客様の困りごとに答えているか

戦略の紙に書いた言葉を、次の3つの問いで引き算します。3つとも「はい」になる言葉だけを残します。

問い 「いいえ」のとき
お客様の困りごとに、答えているか 自慢話なので、後ろに回す
お客様が、口に出して言いそうな言葉か 社内の言葉なので、お客様の言葉に直す
自社が、実際に約束できる内容か 約束を小さくする

「いいえ」が残った言葉は、無理に写さず、次の見直しまで待って構いません。あせって写すと、約束と中身の食い違いが、新しく生まれることがあります。

1週間で、最初の3か所を直す進め方

サイトの全部を一度に直す必要はありません。1週間で、直す場所の順番表の、1から3までを直します。

日 作業 使う時間の目安
1日目 戦略の紙の、4と5の欄を1文にする 1時間
2日目 トップページの最初の一文を、その1文に差し替える 30分
3日目 悩み別のページの見出しを、お客様の言葉に直す 1時間
4日目 料金のページに、決め方と含まれる範囲を足す 1時間
5日目 直した3か所を、書いていない人に読んでもらう 30分

資源の欄に書いた時間を超えないよう、日ごとの作業は小さく区切ります。足りないときは、翌週に回します。

3か月後に、戦略の紙を見直す

3か月たったら、戦略の紙を見直します。見るのは、次の3点です。

見る点 確かめること 外れたときの直し方
測る数字 手前の数字が動いているか 動いていない手前の数字の、直す場所に戻る
約束と中身 問い合わせの内容が、狙う集まりに近いか 最初の一文を見直す
資源 週に使えた時間が、計画の範囲に収まったか 次の3か月の施策を減らす

見直しは、戦略を捨てる作業ではありません。ずれた欄を1つ直す作業です。

外部に頼むときは、紙の2と3の欄から渡す

戦略をもとに、制作会社や担当者に実行を頼む場面もあります。そのときは、紙をそのまま渡すと、話が早くなります。

渡す欄 相手が、先に分かること
1 目標 何を成果とするのか
2 外の3行 お客様と競合の状況
3 中の3行 強みと、使える資源の上限
6 対象外 引き受けない範囲

資源の上限を渡すことで、相手は、収まる範囲の提案を持ってきます。上限を伝えずに頼むと、提案が膨らみやすくなります。

1人で経営している場合は、紙を半分に減らす

家族経営や1人の会社では、8つの欄を、そのまま埋める必要はありません。5つに減らして構いません。

残す欄 理由
4 誰に 最初の一文に、そのまま使う
5 何を 約束の中身になる
6 対象外 時間を守るために要る
3 中の3行の資源 続けられる量を決める
8 測る数字 1つだけでも見る

欄が減っても、順番は同じです。誰に何を決めてから、直す場所を選びます。

戦略を社内で共有する

中小企業庁の2026年版 小規模企業白書は、経営計画を社内で共有している事業者のほうが、想定した効果が得られたと答えた割合が高い、と示しています。

戦略の紙も、同じです。紙は、経営者の頭の中に置いておくと、日々の判断に使われません。

共有の方法は、簡単で構いません。紙の1枚目を、社内の見える場所に貼る。週に1回の短い打ち合わせで、紙の欄を1つ読む。これで、紙は、社内の共通の言葉になります。

つまずいたときに、見直す順番

戦略の紙を書いている途中で、手が止まることがあります。止まったときは、次の順に見直します。

順 見直すこと 手が動くきっかけ
1 止まっている欄が、前の段の答えを使っているか 前の段に戻り、3行を書き直す
2 欄に書く言葉が、社内の言葉になっていないか お客様の言い回しに置き換える
3 欄を一度に完璧にしようとしていないか 仮の答えで先へ進む
4 資源の欄が先に埋まっているか 週に使える時間を、先に書く

4つのどれにも当てはまらないときは、誰かに1文で話してみます。話しているうちに、決まっていないことが見えてきます。

小さな成功を、紙に記録しておく

戦略を進めるうえで、小さな成功を記録しておくと、続けやすくなります。問い合わせの質が変わった、狙う集まりの人から連絡が来た、といった出来事です。

記録の形は、日付と1行で足ります。数字で測れない変化も、1行書いておけば、3か月後の見直しの材料になります。

記録が溜まると、次の周回で、強みの欄に書く事実が増えます。紙は、一度書いたあとも育てていくものです。

会社の種類で、注意する点が変わる

地図の順番は、どの会社でも同じです。ただ、会社の種類によって、特に注意する点が変わります。

会社の種類 特に注意する点 紙で厚く書く欄
個人のお客様に売る会社 お客様が、短い時間で判断する 5 何を、7 どう届ける
企業に売る会社 決める人が複数いて、時間がかかる 2 外の3行、6 対象外
地域で営業する会社 届く範囲が限られる 4 誰に、7 どう届ける
専門家として売る会社 実績と人柄で選ばれる 3 中の3行、5 何を

個人向けの会社は、最初の1画面で判断されることが多くなります。そのため、5の何をの欄を、短く言い切る練習が役立ちます。

企業向けの会社は、決める人が複数います。2の外の3行に、決める人ごとの困りごとを分けて書くと、サイトの文章を書き分けやすくなります。

地域で営業する会社は、届く範囲が最初の画面で分からないと、問い合わせが遠方から来ます。流通の欄に、範囲を明記してください。

戦略を立てるのに向いている時期

戦略の紙は、思い立ったときに書いて構いません。ただ、向いている時期があります。

新しい商品を出す前、お客様の層が変わってきたと感じたとき、年度の初めなどです。区切りの時期に書くと、見直す日も決めやすくなります。

忙しい時期に無理に書くと、仮の答えが多くなります。それでも、書かないよりは進みます。仮の答えで1周して、落ち着いた時期に2周目を書けば足ります。

反対に、忙しいという理由で、何か月も先延ばしにすることが、いちばん避けたい状態です。先延ばしにすると、施策だけが積み上がり、向きがばらばらになります。

戦略の言葉を、サイトに写すときの書き方の決まり

紙の言葉をサイトに写すときは、書き方の決まりを3つだけ守ります。

決まり 内容 例
1文は短く 1文で1つのことだけを言う 「写真で見て判断します」
お客様の主語で書く 会社の主語を減らす 「頼める手段は電話とフォームです」
約束を超えない 実際にできる範囲だけを書く 対応地域の外は、受けないと明記する

特に3つめは、サイトを見た人の信頼に直結します。約束が小さくても、中身と一致していれば、問い合わせのあとの食い違いが起きません。

食い違いが起きないことは、次のお客様への紹介にもつながります。約束を守る会社は、紹介される会社になります。

よくある質問

Q. マーケティング戦略と戦術は、どう違いますか?

戦略は、誰に何をどう届けるかを決めた約束です。戦術は、その約束を実行する具体的な方法です。

デジタル大辞泉でも、戦略は大局的で長期的なもの、戦術は具体的な方法として書かれています。戦略が決まっていないまま戦術を並べると、向きがばらばらになります。

Q. フレームワークは、どれから使えばよいですか?

先に、何を目指すかの数字を仮置きします。そのあと、外を見る道具、中を見る道具、誰に何を決める道具、どう届けるかを決める道具、の順に使います。

最初に使う道具は、外を見るPEST分析か、3C分析の顧客と競合の欄が向いています。SWOT分析から始めると、強みが自慢話になりやすくなります。

Q. マーケティング戦略は、何枚の紙に書けばよいですか?

1枚です。8つの欄に、1欄2行までで書きます。長く書くと、読み返さなくなります。

1枚に収まらない場合は、まだ決まっていないことがあります。書けない欄から、決めていきます。

Q. 本を読むだけで、戦略は立てられますか?

本は、道具の意味を知るのに役立ちます。ただ、自社の戦略は、自社のお客様の言葉と、自社の資源から決まります。本の例を読んだあとに、必ず、自社の紙の1欄を埋めてください。

本を選ぶときの見方は、この記事の「本を選ぶときの見方」の節にまとめました。

Q. 戦略を立てたあと、サイトはどこから直せばよいですか?

トップページの最初の一文からです。戦略の誰にと何をの欄を、そのまま1文にします。

そのあとは、悩み別のページの見出し、料金のページ、問い合わせの導線の順に直します。順番の理由は、「戦略からサイトの直す場所へ落とす順番」の節に書きました。

まとめ:マーケティング戦略は、道具の名前を覚える作業から、直す場所を決める作業へ

マーケティング戦略とは、誰に何をどう届けるかを、1枚に書いた約束です。道具は、その1枚を埋めるための材料集めです。

フレームワークは、道具の名前の順は捨てて、決める問いの順に並べると、1つの地図になります。何を目指すか、外を見る、中を見る、誰に何を、どう届ける、測る、の6つです。

実行の資源は、中を見る段で、時間と人と金額の上限として書きます。ここを飛ばすと、質問者が心配した絵に描いた餅になります。

1枚の戦略ができたら、トップページの最初の一文、悩み別のページの見出し、料金のページ、問い合わせの導線、事例、入口の記事、数字の見方の順に、サイトの直す場所を決めます。

中小企業庁の2026年版 小規模企業白書では、経営計画を策定している小規模事業者は約2割でした。書いている会社が少ないということは、1枚書くだけで、差がつきやすいということです。

今日は、戦略の紙の1枚目を、4と5の欄だけでも書いてみてください。1文になったら、それがサイトの最初の一文の候補です。

今日できる点検

点検すること 見る場所 直すこと
誰に何を届けるかを、1文で言えるか 自分の頭の中、または白紙 言えないなら、お客様の共通点を3件書き出す
トップページの最初の一文は、どの会社でも言える言葉になっていないか 自社のトップページ 誰に、何をが入った1文に差し替える
使える時間と人が、数字で書かれているか 戦略の紙の、中の3行 週に使える時間を、実際に数える
測る数字が、3つ以内か 数字を見る画面や表 多ければ、手前の数字から3つに絞る
対象外が、1行書かれているか 戦略の紙の6の欄 向かない人を、1行足す
戦略の紙とサイトの言葉が、食い違っていないか 紙と、トップページ、料金のページ 食い違う言葉を、紙のほうに合わせる

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合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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