「AIによる概要(AI Overviews)が出ると、クリックは何割減るのか」。この問いには、調べた会社ごとに違う数字が出ています。
ある調査は34.5%減、同じ会社の更新版は58%減、日本向けの2026年6月版は62.7%減です。
別の調査は、AI要約のある検索結果ページで従来のリンクをクリックした訪問が、ない場合の約半分だったと示しています。
一方、Googleは、クリック数の総量は比較的安定していると述べています。
どれかが間違っているのでしょうか。結論から言うと、各社が数えているものが違います。
この記事は、自社サイトの検索流入を見ているWeb担当者と経営者に向けて、3つの調査とGoogleの見解を並べます。そして、何を数えた数字なのかを分けて読む方法を説明します。
Googleや各調査会社の公開ページは、2026年10月17日に開いて確かめた内容です。
調査の数字は各社の公表値をそのまま写し、筆者の判断や推測は、そう分かるように分けて書きます。
AIによる概要に自社サイトが出ているかを確かめる方法は、別の記事「Google AI OverviewsとAI Modeに自社サイトが出ているか確かめる方法」にあります。
ここでは、クリックへの影響を伝える数字の読み方に絞ります。
先に結論 クリックは減るのか
結論を、調査や公式発表が示すことと、筆者の判断に分けて並べます。
| 論点 | 調査や公式発表が示すこと | 筆者の判断 |
|---|---|---|
| クリックへの影響 | 3つの調査はいずれも、AIによる概要が出る検索でクリック率が低いと示している | 影響はあると見て備えるのが安全です |
| 数字の大きさ | 米国の閲覧データでは8%対15%、1位ページの比較では62.7%減まで幅がある | 1つの数字をそのまま自社に当てはめない |
| Googleの見解 | クリック数の総量は前年と比べて比較的安定している | 総量と個別の検索は単位が違い、直接は比べられない |
| 引用されたとき | 引用されたブランドのクリック率は、されなかったときより高い | 出ることに価値はあるが、元の水準に戻るとは言えない |
| 自社への影響 | 検索の種類によって、AIによる概要の出る割合が大きく変わる | Search Consoleの自社データで確かめる |
影響はあると見て備える
3つの調査は、集め方も対象も違います。それでも「AIによる概要が出る検索では、出ない検索よりクリック率が低い」という向きは揃っています。
向きが揃っていることと、大きさが分かっていることは別です。備える理由にはなりますが、売上への影響額を計算する根拠にはなりません。
数字は単位をそろえて読む
「58%減」や「62.7%減」は、特定のキーワード群の1位ページのクリック率について、予測と実際の差を測った数字です。
サイト全体のクリック数がその割合で減った、という意味ではありません。この区別は、後の章で詳しく説明します。
自社のデータで確かめる
自社への影響は、自社のSearch Consoleで確かめられます。見る順番は、後の章の「自社のデータで確かめる手順」にまとめました。
調査の数字は、自社のデータを読むときの目安として使います。
調べた情報源の一覧
この記事で扱う情報源は、調査が6件、Googleの公式発表が3件です。まず全体を表にします。
| 出典 | 公開日 | 対象 | 示した主な数字 |
|---|---|---|---|
| Pew Research Center | 2025年7月22日 | 米国の成人900人の2025年3月の閲覧データ、Google検索68,879件 | 従来のリンクをクリックした訪問は、AI要約ありで8%、なしで15% |
| Ahrefs(初回) | 2025年4月17日 | 30万キーワード、2024年3月と2025年3月 | 1位ページのクリック率が34.5%低い |
| Ahrefs(更新) | 2026年2月4日 | 同じ手法、2023年12月と2025年12月 | 1位ページのクリック率が58%低い |
| Ahrefs(日本と米国) | 2026年7月21日 | 情報収集型キーワード、2025年12月と2026年6月 | 日本は38%減から62.7%減へ、米国は58%減から68.8%減へ |
| Seer Interactive(2025年9月版) | 2025年11月4日 | 42組織の検索語3,119件、2024年6月から2025年9月 | AIによる概要ありの検索で、オーガニックのクリック率が1.76%から0.61%へ |
| Seer Interactive(2026年4月版) | 2026年4月24日 | 53ブランド、547万の検索語、2025年1月から2026年2月 | AIによる概要ありの検索のクリック率は、2025年12月の1.3%から2026年2月の2.4%へ上がった |
| Google(I/Oの発表) | 2024年5月14日 | Google検索のAIによる概要 | AIによる概要の中のリンクは、従来の一覧に出た場合よりクリックが多いとGoogleは述べている |
| Google(検索責任者の投稿) | 2025年8月6日 | Google検索全体 | オーガニックのクリック総量は前年比で比較的安定 |
| Google(Search Central Blog) | 2026年6月3日 | Search Console | 検索の生成AI機能での表示を見るレポートを導入 |
調査と公式発表を分けて見る
上の5件の調査は、第三者が集計したものです。Googleの投稿は、検索を運営する側の見解です。
立場が違うので、数字の出どころと、公表されている根拠の範囲を分けて読みます。
古い数字と新しい数字を混ぜない
AhrefsもSeerも、同じ手法で数字を更新しています。Ahrefsの1位ページの数字は、2025年4月、2026年2月、2026年7月の3回公開されています。
2025年の数字と2026年の数字を同じ表で並べるときは、必ず年を添えます。
古い版の数字だけを引くと、現在の状況と食い違うおそれがあります。
Pewの調査 検索結果ページでの行動を実測したデータ
ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)は、米国の調査機関です。2025年7月22日の記事で、Googleの検索結果にAI要約が出たときの行動を報告しています。
この調査は、利用者が検索結果ページを開いたあとにどう動いたかを見ている点が特徴です。
何を調べた調査か
調査の対象は、米国の成人900人です。2025年3月の1か月分のウェブ閲覧データを購入して分析しています。
記事によると、データに含まれるGoogle検索は68,879件です。
次に開いたURLなどから、利用者の動きを分類しています。リンクをクリックする、検索を続ける、ブラウザを終了する、といった区分です。
結果の数字
主な結果を表にします。数字は、検索結果ページを開いた訪問に対する割合です。
| 見た項目 | AI要約が出た検索結果ページ | AI要約が出なかった検索結果ページ |
|---|---|---|
| 従来の検索結果のリンクをクリックした割合 | 8% | 15% |
| 要約の中のリンクをクリックした割合 | 1% | 該当なし |
| その後にブラウザを終了した割合 | 26% | 16% |
このほかに、記事は次の数字も挙げています。調査した成人の58%が、期間中に1回以上、AI要約のついた検索結果を見ていました。
Google検索全体の18%で、AI要約が生成されました。要約の88%は、3つ以上の出典を載せていました。
検索語の種類による違い
AI要約が出る割合は、検索語によって大きく違います。記事の数字を表にします。
| 検索語の種類 | AI要約が出た割合 |
|---|---|
| 1語か2語の検索 | 8% |
| 10語以上の検索 | 53% |
| 「誰」「何」「いつ」「なぜ」にあたる英語の疑問詞で始まる検索 | 60% |
| 名詞と動詞を含む文の形の検索 | 36% |
長く具体的な質問ほど、AI要約が出やすいと読めます。自社が狙う検索語の種類によって、影響の受け方が変わる可能性があります。
これは筆者の推測です。
読むときの注意
この調査は、検索結果ページの行動を測ったもので、サイトへの流入数を測ったものではありません。
対象は米国の利用者の2025年3月の行動です。日本語の検索にそのまま当てはまるとは言えません。
クリックしなかった訪問が、不満足だったとは限りません。要約で足りたのか、迷って離れたのかは、この調査からは分かりません。
Ahrefsの調査 1位ページのクリック率を予測と比べる
Ahrefsは、SEOツールを提供する会社です。2025年4月17日に最初の調査を公開し、2026年2月4日に同じ手法で更新しています。
さらに2026年7月21日に、日本と米国の2026年6月版を公開しました。
2025年4月の調査
Ahrefsは、キーワード30万件を選びました。内訳は、AIによる概要が出るキーワード15万件と、情報収集が目的でAIによる概要が出ないキーワード15万件です。
Search Consoleの集計データから、1位ページの月ごとのクリック率(パソコン)を出しています。比べた時期は、2024年3月(米国での提供前)と2025年3月です。
AIによる概要が出ないキーワードのクリック率の下がり方を使って、出るキーワードのクリック率の予測値を作ります。そして、予測と実際の差を測っています。
その結果、AIによる概要が出るキーワードでは、1位ページのクリック率が予測より34.5%低くなりました。
記事の本文は「相関する」という表現を使っています。
2026年2月の更新
同じ手法で、2023年12月と2025年12月を比べ直しています。2年の間隔にした理由は、2024年12月はすでに提供後だからだと説明されています。
結果は、予測より58%低いというものです。
| 項目 | 2023年12月 | 2025年12月 |
|---|---|---|
| AIによる概要が出ないキーワードの1位のクリック率 | 0.076 | 0.039 |
| AIによる概要が出るキーワードの1位のクリック率 | 0.073 | 0.016 |
ここでの「出るキーワード」は、2025年12月にAIによる概要が表示されたキーワードです。2023年12月の時点では、これらのキーワードにも表示はありませんでした。
2026年7月の日本と米国の数字
2026年7月21日の記事は、日本と米国の情報収集型キーワードについて、2026年6月の数字を示しています。調査日は2026年7月16日と記されています。
低下率の出し方は、これまでと同じです。AIによる概要がなければ得られたはずのクリック率(予測)に対する、実測の下落幅です。
| 地域 | 2025年12月 | 2026年6月 | 悪化幅 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 38%減 | 62.7%減 | 24.7ポイント |
| 米国 | 58%減 | 68.8%減 | 10.8ポイント |
計算の元になった数字も公開されています。1位のクリック率です。
| 項目 | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
| AIによる概要なし(2024年6月) | 31.1% | 28.6% |
| AIによる概要なし(2026年6月) | 31.7% | 28.5% |
| AIによる概要あり(2024年6月) | 23.7% | 14.5% |
| 予測(2026年6月) | 24.1% | 14.4% |
| 実測(2026年6月) | 9.0% | 4.5% |
日本では、AIによる概要が出ないキーワードの1位のクリック率が、ほぼ横ばいです。そのうえで、出るキーワードの実測が予測を大きく下回っています。
記事は、順位は維持できていてもクリック率が下がっていることを課題に挙げています。
順位が下がると影響は小さくなる
Ahrefsは、同じ分析を2位から10位のページにも当てはめています。
順位ごとの影響を表にします。数字は、クリック率の予測との差です。
| 検索結果の順位 | クリック率への影響 |
|---|---|
| 1位 | 58.0%減 |
| 2位 | 50.8%減 |
| 3位 | 46.4%減 |
| 4位 | 38.8%減 |
| 5位 | 32.6%減 |
| 6位から9位 | 約29%から30%減 |
| 10位 | 19.4%減 |
順位が低いほど、減る割合は小さく見えます。ただしAhrefsは、2位から10位はもともとクリック率が低いため、これは小さな救いにすぎないと書いています。
読むときの注意
2026年2月の更新では、AIによる概要が出ないキーワードでも、1位のクリック率は0.076から0.039へ、ほぼ半分になっています。
一方、2026年7月の日本版では、AIによる概要が出ないキーワードの1位は横ばいです。同じ会社でも、データの出どころや対象が違うためと考えられます。
これは筆者の推測です。
Ahrefsは、ローカルパックや強調スニペットなど、画面の中で答えが完結する機能が、以前からクリック率を下げてきたと説明しています。
58%という差は、この下がり方を差し引いたうえで出した数字です。それでも、AIによる概要以外の要因が全く含まれないとは言い切れません。
これは筆者の見方です。
また、この数字は1位ページのクリック率が対象で、サイト全体のクリック数ではありません。
Seer Interactiveの調査 自社の顧客サイトを追い続けた記録
Seer Interactiveは、検索マーケティングの会社です。自社が支援する顧客組織の検索データを使い、AIによる概要の影響を継続して公開しています。
この記事では、2025年11月4日公開の「2025年9月版」と、2026年4月24日公開の「2026年版」を扱います。
2025年9月版の対象と結果
2025年9月版は、情報収集型の検索語に絞っています。42組織の検索語3,119件を、2024年6月から2025年9月まで追っています。
AIによる概要の有無と、ブランドが引用されたかどうかで検索語を分けています。主な結果を表にします。
| 見た項目 | 2024年6月 | 2025年9月 | 変化 |
|---|---|---|---|
| AIによる概要が出る検索語のオーガニックのクリック率 | 1.76% | 0.61% | 61%減 |
| AIによる概要が出ない検索語のオーガニックのクリック率 | 約2.7% | 1.62% | 41%減 |
AIによる概要が出ない検索語のクリック率も、4割ほど下がっています。Seerは、AIによる概要だけの問題ではない、という見方を書いています。
もともとクリック率が低い検索語に出ている
Seerは、2025年9月版で前提を修正しています。AIによる概要が出た検索語は、調査期間のどの月でも、出ない検索語よりクリック率が低かったと書いています。
2024年6月の時点で、すでに1.76%対約2.7%の差がありました。
AIによる概要は、クリック率が高かった検索語に出て急に下げたとは限りません。もともと答えだけで済ませる人が多い検索語に出ている、とSeerは見ています。
この見方は、強調スニペットの時と似ていると同社は書いています。
引用されたブランドの数字
同じ版は、引用の効果も示しています。2025年の第3四半期の平均で、引用されたブランドのオーガニックのクリック率は0.70%、されなかったブランドは0.52%でした。
引用されたほうが、35%高い計算になります。
Seerは、引用がクリック率を上げたと証明はできないと書いています。もともと権威があって、クリック率が高いブランドが引用されやすい可能性があるためです。
2026年4月版の対象と方法
2026年版は、対象を広げています。53ブランド、547万の検索語、24.3億回のオーガニックの表示回数です。
2025年1月から2026年2月までの実績を集めています。
情報収集型だけでなく、取引型と比較検討型の検索語も含みます。Seerは、この版を方向を見るための数字だと位置づけています。
対象のブランドと検索語が2025年版と違うため、クリック率の水準は2025年版の数字と直接は比べられません。
下げ止まりの兆し
2026年版で目立つのは、2025年12月から2026年2月の変化です。AIによる概要が出る検索語のオーガニックのクリック率は、2025年12月の1.3%から、2026年2月の2.4%へ上がりました。
2025年1月は3.2%でした。AIによる概要が出ない検索語は、2025年1月の2.8%から2026年2月の3.8%へ上がっています。
Seerは、2025年のデータで作った予測では下がり続けるはずだったが、実際は上がったと書いています。底を打った可能性があるが、元の水準に戻るとは見ていない、というのが同社の見方です。
この動きが続くかは、2026年10月17日時点では分かりません。
引用されたときのクリックの違い
2026年版は、情報収集型の検索について、引用の有無によるクリックの違いも示しています。
100万回表示された場合の試算
Seerは、オーガニックの表示回数が100万回あった場合のクリック数を、3つの状態で示しています。
| 状態 | クリック数の目安 |
|---|---|
| AIによる概要が出ない | 約33,500 |
| AIによる概要が出て、自社が引用された | 約20,743 |
| AIによる概要が出て、自社が引用されなかった | 約9,445 |
引用された場合は、引用されなかった場合より約120%多くクリックされます。ただし、AIによる概要が出ない場合と比べると、約38%少ない水準です。
Seerは、引用は同じ画面に出ている他の競合より有利になるが、AIによる概要が出る前の水準に戻るわけではない、と書いています。
クリック率の低下とクリック数の減少は別
Seerの2026年版には、引用されたブランドのクリック率が下がった例が出ています。表示回数が2倍以上に増えた一方で、クリック数はほぼ変わらなかった、というものです。
つまり、引用される検索語が増えたことで、クリック率の分母が増えただけの可能性があります。Seerは、原因を特定するには自社ごとの調査が必要だと書いています。
クリック率だけを見て悪化と判断せず、クリック数と表示回数を別に見ます。これは、自社のデータを読むときの基本です。
検索の種類で違うAIによる概要の出方
Seerの2026年版は、検索の意図別に、AIによる概要が出る割合も示しています。
| 検索の意図 | AIによる概要が出る割合 |
|---|---|
| 情報収集型 | 36% |
| 比較検討型 | 約8% |
| 取引型 | 約5% |
情報収集型は、取引型の約7倍です。Seerは、買う場面の検索では、地図や商品の欄が答えになるため、AIによる概要が競合しにくいと説明しています。
比較と質問の形の検索語
情報収集型の検索語3万842件のうち、比較の形(AとBの違いなど)の検索語は、95.4%でAIによる概要が出ました。280件中267件です。
質問の形の検索語は、85.9%でした。1,413件中1,214件です。
比較の記事や質問の記事で流入を得ている場合は、AIによる概要の影響を受けている可能性が高い、とSeerは書いています。
取引型で引用された場合
取引型の検索語で、AIによる概要が出てブランドが引用されたものは、オーガニックのクリック率が2025年1月の0.7%から、2025年12月の1.7%へ上がりました。
Seerは、取引型の検索語は件数が少なく、方向を見る数字だと書いています。買う場面でも、引用される価値は残っている、というのが同社の見方です。
Googleの公式見解
Googleは、AIによる概要が流入を減らすという見方に、否定的な見解を示しています。公式の発表を、時期ごとに見ます。
2024年5月 I/Oでの発表
2024年5月14日の発表は、AIによる概要の拡大を紹介するものでした。
Googleは、AIによる概要に含まれるリンクは、そのページが従来のウェブ検索結果に出た場合より多くクリックされる、と述べています。
数字は示されていません。後にAhrefsは、2025年4月の記事で、AIによる概要のクリックと表示を、Search Consoleのほかのデータと切り分ける方法がないと指摘しています。
2025年8月 検索責任者の投稿
2025年8月6日の投稿は、AIによる概要がクリック総量に与える影響への見解です。要点を表にします。
| Googleの主張 | 内容 |
|---|---|
| クリック総量 | ウェブサイトへのオーガニックのクリック総量は、前年比で比較的安定している |
| クリックの質 | 利用者がすぐに戻らないクリックは、前年よりわずかに増えている |
| 第三者の調査 | 劇的な減少を示す報告は、方法に欠陥がある、個別の例に基づく、提供前の変化を含むなどの点で不正確だと主張している |
| 検索の変化 | 質問が長く複雑になり、画面に出るリンクも増えたと説明している |
| 流入先の移動 | 掲示板、動画、ポッドキャスト、個人の視点の投稿があるサイトへ流れが移り、減るサイトも増えるサイトもあると説明している |
簡単に答えが出る質問は別
同じ投稿は、満月の日付のように、すぐに答えが出る質問では、要約だけで満足してクリックされにくいと認めています。
その一方で、深く知りたい質問や、買い物の質問では、クリックされ続けると説明しています。
Search Consoleの生成AIレポート
2026年6月3日、Search Central Blogは、Search Consoleに生成AIのパフォーマンスレポートを導入したと発表しました。
記事の注記によると、2026年8月31日付で、世界中のすべてのウェブサイトに提供されています。
| レポートの項目 | 内容 |
|---|---|
| インプレッション数 | 検索とDiscoverの生成AI機能で、サイトのURLがどの程度表示されたか |
| ページ | AI機能に表示されたURL |
| 国 | 国ごとの可視性 |
| デバイス | 閲覧に使われたデバイス |
| 日付 | 時間別、日別、週別、月別の推移 |
記事が挙げる項目にクリック数はありません。表示の有無と回数は見られますが、AIによる概要からのクリックの実数は、ここからは読み取れません。
公式見解の限界
Googleの投稿は、サイト全体の総量について述べたものです。個々のサイトや、検索の種類ごとの数字は示していません。
「比較的安定している」という表現にも、基準となる数字はありません。
総量が安定していても、流入が減るサイトと増えるサイトがあるとGoogle自身が書いています。自社がどちら側かは、自社のデータで確かめるしかありません。
数字が食い違う理由
ここまでの数字は、同じ問いに答えているように見えて、数えているものが違います。違いは4つに整理できます。
数える単位が違う
Pewは、検索結果ページを開いた訪問のうち、リンクをクリックした割合を数えています。
Ahrefsは、キーワード群の1位ページのクリック率を数えています。Seerは、顧客サイトの検索語ごとのクリック率を数えています。
Googleは、サイトへのクリック総量について述べています。
比べる相手が違う
Pewは、AI要約が出た検索結果ページと、出なかったページを比べています。
Ahrefsは、AIによる概要が出るキーワードの実際のクリック率と、出ない検索語の下がり方から作った予測値を比べています。Seerは、出る検索語と出ない検索語を比べ、さらに引用の有無でも分けています。
時期と地域が違う
Pewは2025年3月の米国です。Ahrefsは版ごとに期間が違い、2025年3月、2025年12月、2026年6月の数字があります。
Seerは2024年6月から2026年2月です。
AIによる概要の出方は、時期によって変わります。古い調査の数字は、いまの画面にそのまま当てはまりません。
対象のサイトが違う
Ahrefsは、自社のキーワードデータベースから選んだキーワードを使っています。Seerは、自社が支援する顧客のサイトです。
調査会社の顧客は、一般のサイトと傾向が異なる可能性があります。この点は筆者の推測です。
4つの情報源を並べた比較
違いを1つの表にします。
| 出典 | 数える単位 | 比べる相手 | 時期と地域 | 対象 |
|---|---|---|---|---|
| Pew | 検索結果ページを開いた訪問 | AI要約の有無 | 2025年3月、米国 | 成人900人の閲覧データ |
| Ahrefs | キーワード群の1位ページのクリック率 | 予測値との差 | 2024年3月から2026年6月まで(版により異なる) | キーワード30万件、日本版は情報収集型キーワード |
| Seer | 検索語ごとのオーガニックのクリック率 | AIによる概要の有無、引用の有無 | 2024年6月から2026年2月まで | 顧客のブランド |
| サイトへのクリック総量 | 前年 | 2025年8月の発表時点 | 検索全体 |
この表を見ると、58%と、8%対15%と、1.76%から0.61%は、そもそも同じ土俵の数字ではないと分かります。
数字を読む順番
筆者は、調査の数字を見たら、次の順番で確かめることを提案します。
| 順番 | 確かめること | 見る場所 |
|---|---|---|
| 1 | 何を数えた数字か | 調査の方法の欄 |
| 2 | 何と比べた数字か | AIの有無、予測値、前年など |
| 3 | いつ、どこの数字か | 調査期間と対象の地域 |
| 4 | 自社に近い条件か | 検索の種類、業種、サイトの規模 |
自社のデータで確かめる手順
調査の数字より役に立つのは、自社のSearch Consoleの数字です。次の手順は、筆者の提案です。
手順1 期間を比べる
Search Consoleの検索パフォーマンスで、直近3か月と、前年の同じ3か月を比べます。クリック数、表示回数、クリック率、掲載順位の4つを並べます。
表示回数が変わらずクリック数が減っていれば、クリック率が下がっています。表示回数が増えてクリック数が変わらない場合は、Seerが示した例と同じ動きです。
手順2 検索の種類で分ける
検索語を、情報収集、比較検討、購入や問い合わせの3つに分けます。
Seerのデータでは、AIによる概要が出る割合が、この3つで大きく違いました。自社の流入が、どの種類に偏っているかを確かめます。
手順3 生成AIレポートを見る
Search Consoleに生成AIのパフォーマンスレポートが出ていれば、AI機能に自社のURLが表示された回数とページを見ます。
表示されているページと、クリックが減ったページが重なるかを確かめます。重なれば、影響の候補として扱えます。
表示の確認方法の詳細は、別の記事「Google AI OverviewsとAI Modeに自社サイトが出ているか確かめる方法」にあります。
手順4 問い合わせと成約を見る
クリック数が減っても、問い合わせや成約が減っていなければ、優先順位は下がります。
GA4で自然検索の流入を見て、問い合わせにつながったページの流入が減っていないかを確かめます。
手順の一覧
| 手順 | 見る場所 | 分かること |
|---|---|---|
| 1 期間を比べる | Search Consoleの検索パフォーマンス | クリック率が下がったか、表示が増えたか |
| 2 検索の種類で分ける | 検索パフォーマンスのクエリ | 影響を受けやすい検索語の割合 |
| 3 生成AIレポートを見る | Search Consoleの生成AIレポート | AI機能に表示されたページ |
| 4 成果を見る | GA4と問い合わせの記録 | 売上に近い指標への影響 |
Googleの公式文書の中身は、別の記事「【Google検索セントラル解説】AI機能とウェブサイト」で読み解いています。
数字を記事や資料で引くときの書き方
調査の数字を、社内の資料や自社の記事で引く場合は、条件を添えて書きます。
| 避けたい書き方 | 直した書き方 |
|---|---|
| AIによる概要でクリックが58%減る | Ahrefsの調査では、2025年12月の情報収集型キーワードで、AIによる概要が出る場合の1位ページのクリック率が、予測より58%低かった |
| 日本の検索1位のクリック率が62.7%減った | Ahrefsの2026年7月の記事では、2026年6月の日本の情報収集型キーワードで、AIによる概要が出る場合の1位のクリック率が、予測より62.7%低かった。サイト全体の流入の減少率ではない |
| AIによる概要でサイトの流入が半分になる | Pewの米国の閲覧データでは、AI要約が出た検索結果ページで従来のリンクをクリックした訪問は8%で、出ない場合の15%より少なかった |
| Googleはクリックは減っていないと言っている | Googleは2025年8月の投稿で、クリック総量は前年比で比較的安定していると述べている |
| 引用されれば元に戻る | Seerの2026年版では、引用された場合も、AIによる概要が出ない場合より約38%少なかった |
出典と日付を添える
数字には、出典名と公開日、調べた範囲を添えます。調査は更新されるため、確認日も書きます。
因果を断定しない
相関を示す調査の数字を、原因と結果の形で書かないようにします。Ahrefsは「相関する」と書き、Seerは因果を証明できないと書いています。
判断の分かれ道
自社の状況によって、この話題の優先度は変わります。筆者の提案を表にします。
| 自社の状況 | 見るべきこと | 次の一手 |
|---|---|---|
| 情報収集の記事で流入を得ている | 比較や質問の形の記事のクリック率 | 引用される書き方に整える |
| 購入や問い合わせの検索が中心 | 取引型のクリック率の推移 | 現状の施策を続けながら観測する |
| 表示回数は同じでクリックが減った | AIによる概要の表示とのずれ | 生成AIレポートで該当ページを確認する |
| 表示回数もクリックも安定 | 他の指標との整合 | 慌てて変えず、月次で観測する |
引用される書き方を整える
引用される側に回る方法は、別の記事「生成AI機能向けのサイト最適化ガイド」で、Googleの公式ガイドをもとに整理しています。
中小企業が取り組む施策の順番は、別の記事「AI Overviews対策とは?CTR低下データと中小企業が取るべき施策」にあります。
自己点検の一覧
AI検索に読まれる状態かを一通り点検したい場合は、「AI検索対策の自己診断チェックリスト46項目」が使えます。
よくある失敗
調査の数字を扱うときの失敗は、パターンが決まっています。
1つの数字だけを引いてしまう
「58%減」だけを社内の資料に載せると、サイト全体の流入が6割近く減るように読まれます。
数える単位、比べる相手、時期、地域のうち、1つでも欠けた引用は誤解のもとになります。
古い版の数字を引いてしまう
Ahrefsの1位ページの数字は、34.5%減、58%減、62.7%減と更新されています。検索結果の画面も、時期によって変わります。
最新の版を探し、公開日を添えて引きます。
総量の話と個別の話を混ぜてしまう
Googleが述べているのは、ウェブサイト全体へのクリック総量です。調査が示すのは、特定の検索語や1位ページのクリック率です。
両方が成り立つことは十分にあります。一方の数字で他方を打ち消すと、読み違えます。
クリック率だけで悪化と判断してしまう
クリック率は、クリック数を表示回数で割った数字です。表示回数が増えれば、クリック数が変わらなくても下がります。
Seerが示した例のように、クリック数と表示回数を別に見ます。
調査会社の立場を考えずに読んでしまう
AhrefsもSeerも、検索の計測や支援を事業にしている会社です。数字を疑う理由にはなりませんが、立場を知ったうえで読みます。
これは筆者の考えです。Googleの発表も、検索を運営する側の見解として読みます。
チェックリスト
数字を引く前と、自社のデータを見るときの確認項目です。
数字を引く前
- 出典名、公開日、確認日を書いたか
- 何を数えた数字かを書いたか(訪問、1位ページ、検索語、クリック総量)
- 何と比べた数字かを書いたか(有無、予測値、前年)
- 期間と地域を書いたか
- 最新の版かを確かめたか
自社のデータを見るとき
- 直近3か月と前年同期を比べたか
- クリック数、表示回数、クリック率、掲載順位を別々に見たか
- 検索語を、情報収集、比較検討、購入や問い合わせに分けたか
- 生成AIレポートで、表示されているページを確かめたか
- 問い合わせや成約の数も見たか
判断するとき
- 1つの数字だけで結論を出していないか
- 相関と原因を混ぜていないか
- 慌てて記事を書き換える前に、月次で観測したか
よくある質問
Q. 結局、AIによる概要でクリックは減るのですか?
3つの調査は、AIによる概要が出る検索でクリック率が低いと示しています。大きさは、調査の方法によって8%対15%から62.7%減まで違います。
Googleは、クリック総量は比較的安定していると述べています。筆者は、個別の検索では減る場合があり、サイト全体では検索の種類によると受け止めています。
Q. 日本の数字はありますか?
Ahrefsの2026年7月の記事に、日本の情報収集型キーワードの数字があります。2026年6月の1位のクリック率は、予測24.1%に対して実測9.0%で、62.7%の低下です。
Pewの数字は米国の利用者、Seerの数字は同社の顧客ブランドが対象です。日本にそのまま当てはまるとは言えません。
Q. 引用されれば、クリックは戻りますか?
Seerの2026年版では、引用された場合のクリックは、引用されなかった場合の約2.2倍でした。ただし、AIによる概要が出ない場合と比べると、約38%少ない水準です。
Seerは、引用が原因でクリック率が上がったと証明はできないとも書いています。引用は有利になりますが、元の水準に戻る保証はありません。
Q. 自社の流入が減ったのは、AIによる概要のせいですか?
AIによる概要だけが原因とは限りません。Ahrefsは、ローカルパックや強調スニペットなど、ほかの機能もクリック率を下げてきたと書いています。
Seerの2026年版には、比較検討型の検索語で、AIによる概要がほとんど出ないのにクリック率が下がった例があります。自社の検索語を種類別に分けて確かめます。
Q. 調査の数字を社内の資料やブログで使ってよいですか?
出典を明記し、条件を添えて使います。数字をそのまま写すだけでなく、何を数えた数字かを自分の言葉で説明するのが安全です。
引用の範囲や転載のルールは、各社の利用条件で確かめてください。
まとめ
この記事の要点は3つです。
- 数字の違いは、数える単位、比べる相手、時期と地域、対象のサイトの違い。Pew、Ahrefs、Seer、Googleは同じ土俵ではない
- 影響の向きは揃っているが、大きさは分からない。AIによる概要が出る割合は、情報収集型で高く、購入に近い検索で低い
- 判断は自社のSearch ConsoleとGA4で行う。クリック数、表示回数、問い合わせを別々に見る
今日できる点検
まずは、Search Consoleで直近3か月と前年同期を比べ、次の表で確かめます。
| 確かめること | 見る場所 | 問題があったとき |
|---|---|---|
| クリック数が減ったか | Search Consoleの検索パフォーマンス | 表示回数とクリック率に分けて見る |
| 減ったのはどの検索語か | クエリ別の比較 | 情報収集、比較検討、購入に分ける |
| AI機能に表示されているページか | Search Consoleの生成AIレポート | 該当ページの書き方を見直す |
| 問い合わせは減ったか | GA4と問い合わせの記録 | 減っていなければ優先順位を下げる |
| 社内資料の数字に条件を添えたか | 資料の出典欄 | 出典、公開日、数える単位を足す |
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