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4P分析とは 読み方と例とテンプレート 4つの食い違いから直すページを決める手順

2026 10/31
2026年10月31日
中野輝規
4P分析とは 読み方と例とテンプレート 4つの食い違いから直すページを決める手順

4P分析を調べると、製品、価格、流通、販促の4つの欄が並んだ表と、有名な会社を使った記入例が出てきます。表の形は一目で分かるのに、自社のホームページのどこを直せばよいのかは、どの解説にも書かれていません。

この記事は、中小企業の経営者と、マーケティングの表づくりを任されたWeb担当者に向けて書きました。4P分析の意味と読み方、4つの項目の中身、記入例、テンプレート、4Cとの違いを押さえます。そのうえで、4つの欄の食い違いを見つけて、自社サイトのどのページを直すかを決めるところまで進みます。

使った資料は、書いた日に開いて確かめたものだけです。総務省が2026年5月29日に公表した令和7年通信利用動向調査と、コトバンクに収録されているブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、マーケティング用語集です。どれも2026年10月31日に開いて、記述を確認しました。

4P分析を最初に唱えた年は、辞書や学術の一次情報で確かめられなかったため、書いていません。提唱者の名前は、事典の記述に沿って書きます。

目次

先に答え:4P分析は、4つの欄の食い違いを見つけて、直すページを決める道具として使う

4P分析とは、製品、価格、流通、販促の4つの項目に分けて、売り方を整理する方法です。読み方は「よんぴーぶんせき」で、「フォーピーぶんせき」と読む人もいます。

4つの欄を埋めること自体は、30分もあれば終わります。ところが、埋めた表を眺めても、来週から何を直せばよいのかは見えてきません。

見えない原因は、4つの欄を別々に埋めているところにあります。4つの欄は、互いに支え合う関係にあります。欄と欄を並べて照らし、噛み合っていない所を探すと、直す場所が見つかります。

中小企業の場合、直す場所のほとんどは、自社のホームページのどこかのページに当たります。製品の欄は商品やサービスの紹介ページに、価格の欄は料金のページに、流通の欄は予約や購入の導線に、販促の欄はトップページや記事の入口に、それぞれ対応するからです。

次の表が、この記事で進める全体の流れです。

段 やること 出てくるもの
1 4つの欄を、お客様に見える言葉で埋める 4項目の記入表
2 欄と欄を2つずつ照らして、食い違いを探す 食い違いのメモ
3 食い違いを、サイトのページに対応させる 直すページの一覧
4 1週間で直すページを1つ決める 今週の作業

流れの出口は、直すページの一覧です。記入表は途中の材料にすぎません。この記事では、この一覧の作り方に紙面の半分以上を使います。

先日見かけたQ&Aサイトの悩み:「製造方式はProductとPriceのどちらに書くのか」

先日、Q&Aサイトでこのような質問を拝見しました。ある家具の販売会社を題材に4P分析をしている学生と思われる方が、製品の欄をどこまで考えればよいのか分からず、投稿していました。

その会社は、部品を組み立てる前の状態で運ぶ生産方式を採っています。質問者は、この生産方式を製品の欄に書くべきか、価格の欄で掘り下げるべきかを迷っていました。

回答は、全部が正しかった

寄せられた回答は、大きく分けて3つの考え方でした。

1つ目は、4P分析は施策を立てるための枠なので、その生産方式は製品を中心にしつつ、価格にも流通にも販促にも使える、という答えでした。

2つ目は、何をどの欄に書くかは、見る視点で変わるので、一概には言えない、という答えでした。

3つ目は、出発点は製品で、その生産方式で原価が下がり、販売価格を下げられた、という筋で価格につなげる、という答えでした。

3つとも間違いではありません。ただ、質問者の手は、おそらく止まったままでした。どの欄に書いても正解になる状態では、書く場所を選ぶ基準がないからです。

質問に書かれていなかったこと

質問には、その表を何に使うのかが書かれていませんでした。課題の提出に使うのか、その会社の売り方を直すのか、分析の目的が決まっていないため、答えも決まりません。

ここに、4P分析で手が止まる理由が出ています。欄の分け方に迷うのは、分けた結果で何を決めるのかが見えていないからです。

決めることが「直すページ」であれば、迷いは小さくなります。生産方式が価格の説明に効くなら、料金のページに書きます。製品の魅力として効くなら、商品の紹介ページに書きます。両方に効くなら、両方に書きます。書く場所を選ぶ基準は、お客様がどのページでそれを知りたがるかです。

中小企業のホームページでも、同じ所で手が止まる

この質問は、学生の課題に限った話ではありません。自社の4P分析を任された担当者も、同じ所で手が止まります。

たとえば、庭木の手入れを請け負う会社が「年間を通して見守る管理」を売りにしているとします。この売りは、製品の欄に書くのか、価格の欄に書くのか、販促の欄に書くのか、迷います。

答えは、3つの欄すべてに、違う言葉で書きます。製品の欄には管理の中身を、価格の欄には年間でまとめる考え方を、販促の欄には「単発より年間のほうが手間が減る」という伝え方を書きます。そして、その3つがサイトのページで揃っているかを確かめます。

この確かめる作業が、この記事の中心です。

4P分析とは:製品、価格、流通、販促の4つと、読み方

4P分析の土台は、マーケティングミックスという考え方です。1つの商品やサービスを売るために、複数の手段を、ちょうどよい組み合わせにして使う考え方を指します。

コトバンクに収録されているブリタニカ国際大百科事典 小項目事典は、4Pを次のように説明しています。「マッカーシーが定義したマーケティング・ミックスの構成要素」で、製品、場所、プロモーション、価格の頭文字を表すとあります。

この事典の記述から、提唱者はマッカーシーという名前であることが確かめられます。年号は事典の記述になかったため、書きません。

4つの項目の中身を、1行ずつ確認する

4つの項目を、サイトで見える場所と並べて整理します。

項目 英語 意味 サイトで見える場所
製品 Product 市場の要望に合った商品やサービス 商品やサービスの紹介ページ
価格 Price 市場に出すときの価格の決め方と見せ方 料金のページ、見積もりの案内
流通 Place お客様に届ける経路と、買える場所 予約や購入の導線、店舗や対応地域のページ
販促 Promotion 知ってもらい、買う気にさせる伝え方 トップページ、記事、広告の飛び先

意味の列は、コトバンクに収録されているマーケティング用語集の説明に沿っています。製品は「市場のニーズにマッチした製品・サービスを提供するための戦略」、流通は「消費者に効果的に製品を届けるために流通を最適化するための戦略」とあります。

販促の項目は、日本語では販売促進と訳されます。広告やチラシだけでなく、ホームページの文章も、お客様に伝える手段としてここに入ります。

4つの間に、優先順位はない

事典には、見逃せない一文があります。「各P間の関係は,相互に依存し,優先順位はなく,顧客に対して同格で取り扱われる」という記述です。

この一文を読み替えると、製品だけを磨いても、価格だけを下げても、片方の欄だけでは売れない、という意味になります。4つのうち1つでも他と噛み合わないと、全体の効きが落ちます。

中小企業のサイトでは、この噛み合わなさが目に見える形で出ます。製品のページは丁寧なのに料金のページは空欄に近い、販促のページは派手なのに予約の導線が分かりにくい、といった状態です。

各項目に、最初に書く問いを決めておく

4つの欄を白紙のまま渡されると、人は思いついたことを順に書いてしまいます。最初に、各欄で答える問いを1つずつ決めておくと、書く内容が揃います。

項目 最初に答える問い 書き方の目安
製品 お客様は、買ったあとに何が手に入るのか 機能の一覧より、手に入る変化を1文で書く
価格 お客様は、どの基準で高い安いを判断するのか 金額そのものより、決め方と含まれる範囲を書く
流通 お客様は、どこで、どうやって手に入れるのか 買える場所、予約の方法、届くまでの日数を書く
販促 お客様は、どこで私たちを知り、何を見て決めるのか 知る場所と、決める前に見るページを分けて書く

価格の欄に金額を書き込むと、表が数字の置き場になってしまい、決め方の議論が消えます。金額は別の資料に持たせて、この表には「何を基準に決めたか」を書きます。

表を作る前に、集めておく材料

白紙から表を埋めようとすると、記憶に頼って書くことになります。作る前に、材料を5つだけ集めておくと、欄に書く内容に根拠ができます。

材料 集める場所 役立つ欄
最近の問い合わせの内容 メールや電話のメモ 製品、販促
断られた理由 見積もりのあとの記録 価格
現場でよく聞かれる質問 担当者への聞き取り 流通、製品
広告やチラシの文面 過去の原稿 販促
サイトの主なページ 自社のサイトを開く 全部の欄

材料は新しく調べる必要がありません。すでに社内にある記録を、机の上に並べるだけで足ります。

材料を並べると、書く前から、欄ごとの食い違いに気づく場合もあります。気づいたことは、そのまま食い違いのメモに先に書き込んでおきます。

欄の言葉は、お客様に見える言葉で書く

もう1つ、書き始める前に決めておくことがあります。欄に書く言葉は、お客様の目に触れる言葉にする、というルールです。

社内でしか通じない言葉を欄に書くと、サイトのページに写すときに、もう一度言い換える手間が出ます。たとえば「高付加価値の提案型サービス」と書いた欄は、そのままではサイトに載せられません。

「見積もりの前に、お庭の写真を見ながら、残す木と切る木を一緒に決めます」と書けば、そのまま商品の紹介ページの文になります。欄の時点でお客様の言葉にしておくと、後の作業が1つ減ります。

欄に書いた1行が、そのままサイトに載せられるかどうか。これを、書いた直後の確認の基準にします。

表を埋める順番は、製品から始めなくてよい

多くの解説は、製品、価格、流通、販促の順に書くよう勧めています。この順は、覚えやすい並びです。

実際の作業では、すでに決まっている欄から埋めるほうが、進みます。料金の決め方が先に決まっている会社は、価格の欄から書き始めて構いません。

先に決まっている欄は、他の欄を縛ります。縛られた結果、他の欄に無理が出ていないかを見るのが、次の読み方の節の入口になります。

4P分析を使う場面と、まだ使わない場面

4P分析が力を出すのは、売る相手と、言うことがおおむね決まったあとです。その手前の段階で使うと、欄が埋まらずに終わります。

場面 4P分析を使うか 理由
新しいサービスを売り出す前 使う 4つの面を揃えてから公開すると、直す手間が減る
売れ行きが落ちた原因を探すとき 使う 欄と欄の食い違いが、落ちた場所の候補になる
ホームページを作り直す前 使う 作るページと、各ページに書く内容の根拠になる
誰に売るのか決まっていないとき 使わない 欄ごとに別の客を思い浮かべて、食い違いだらけになる
自社の強みが言葉になっていないとき 先に強みを決める USPなどで言葉を決めてから、4つの面に写す

自社に今どの場面が当てはまるかを、ここで1つ選んでおいてください。選んだ場面によって、次の節以降で読む箇所が変わります。

売り出す前なら、これから決める4つの欄を揃える使い方になります。すでに売っているなら、現状の4つの欄を書き出して、食い違いを探す使い方になります。この記事の例は、後者の使い方を中心に書いています。

読み方と、似た名前の取り違え

読み方は、先ほど書いたとおり「よんぴー」「フォーピー」のどちらでも通じます。社内で呼び方を揃えておくと、会議で混乱しません。

名前が似ている分析に、顧客、競合、自社を並べる3C分析や、強みと弱みを並べるSWOT分析があります。4P分析は、これらと並べて使う場面もありますが、役割が違います。

3C分析やSWOT分析が、状況を整理して「何を言うか」を探す道具だとすると、4P分析は、言うことが決まったあとで「どう売るか」を揃える道具です。

前の段階にあたる分析と、顧客の絞り込み

4P分析の前には、誰に売るのかを絞る作業があります。市場を分け、売る相手を選び、相手の中での自社の立ち位置を決める、STP分析と呼ばれる手順です。

STP分析は、明日以降の別の記事で詳しく扱います。この記事では、売る相手がすでに決まっている前提で、4つの欄を揃える方法に絞ります。

相手が決まっていない状態で4つの欄を埋めると、欄ごとに別の客を思い浮かべてしまい、食い違いの数が増えます。相手が1人に絞れない場合は、まず「一番困っている人」を1人決めてから、先に進みます。

近い記事との違い

3C分析、SWOT分析、USP、AISASについては、すでに別の記事で書きました。

3C分析のやり方と例は、顧客、競合、自社の欄を書き換えて、トップページの最初の一文を決める記事です。SWOT分析のやり方は、4つの欄を掛け合わせて、やることとやめることを選ぶ記事です。

USPとはは、客に約束する一文の作り方を扱いました。AISASとはは、検索と共有の受け皿になるページを点検する記事です。

この記事の4P分析は、それらで決めた言葉を、製品、価格、流通、販促の4つの面で揃えて、直すページを決める役割を受け持ちます。

この記事で使う、3つの架空の会社

記入例には、実在する会社の商品を使いません。他社の名前を借りると、公開されている断片的な情報から推測で書くことになり、事実の裏付けが取れないからです。

代わりに、中小企業によくある3つの業種を、架空の会社として作りました。この記事の後半で、同じ3社を繰り返し使います。

架空の会社 業種 売りにしていること
A社 庭木の手入れを請け負う会社 年間を通して見守る管理
B社 地域の小さな学習塾 少人数で定期テストの点を上げる指導
C社 靴の修理店 持ち込んだ当日に渡すかかとの修理

3社とも、どこかの町に実在していそうな規模です。自社に近い1社を選んで読むと、後半の表が自分の会社に置き換えやすくなります。

4P分析の読み方:4つの欄を、縦と横の両方から読む

4P分析の表は、埋めた時点では、ただの文字の並びです。表から直す場所を取り出すには、読み方が要ります。

読み方は2つあります。1つの欄の中を読む縦の読み方と、欄と欄を照らす横の読み方です。

縦に読む:1つの欄の中で、言っていることが揃っているか

縦に読むとは、1つの欄の中に書かれた複数の項目が、同じ方向を向いているかを見ることです。

製品の欄に「高級感のある仕上がり」と「手軽に頼める」が並んでいたら、向いている方向が違います。高級感を求める客は、手軽さを安さと受け取ることがあるからです。

縦の読み方で見つかる食い違いは、欄の中の整理で直せます。表だけで完結するため、サイトのページを直す話にはまだなりません。

横に読む:欄と欄を2つずつ照らして、噛み合わない所を探す

横に読むとは、2つの欄を並べて、片方が約束したことをもう片方が支えているかを見ることです。

4つの欄から2つを選ぶ組み合わせは、全部で6通りです。製品と価格、製品と流通、製品と販促、価格と流通、価格と販促、流通と販促の6組を順に照らします。

この横の読み方が、この記事の軸です。事典の「各P間の関係は,相互に依存し,優先順位はなく」という記述は、2つの欄を照らす読み方の根拠になります。

読み方 見るもの 見つかるもの 直す先
縦 1つの欄の中の言葉の向き 欄の中の矛盾 表の書き換え
横 2つの欄の約束と裏づけ 欄どうしの食い違い サイトのページ

縦の読み方は、表を整える作業です。横の読み方は、売り方の穴を見つける作業です。直すページが決まるのは、横の読み方のほうです。

食い違いには、4つの種類がある

横に読んで見つかる食い違いは、おおまかに4種類に分けられます。種類を知っておくと、見つけるときの目印になります。

種類 起きていること A社での現れ方
言葉の食い違い 欄ごとに、同じものを別の言葉で呼んでいる 製品は「見守り」、販促は「お見積り」
相手の食い違い 欄ごとに、思い浮かべている客が違う 製品は長く付き合う客向け、販促は一度きりの客向け
約束の食い違い 片方が約束したことを、もう片方が支えていない 年間の見守りを売るのに、年間の料金の説明がない
手間の食い違い 約束した手軽さと、実際に頼む手間が合わない 手軽さを売るのに、予約が電話しかない

種類ごとに、直し方の方向も変わります。言葉の食い違いは文章の書き換えで、相手の食い違いは載せる情報の取捨選択で、約束の食い違いはページの追加で、手間の食い違いは導線の整備で直ります。

食い違いを見つけたら、まず種類を一言書き添えておきます。直し方の見当が、その場でつきます。

見つけた食い違いは、1文にして書き残す

食い違いは、見つけたその場で、決まった形の1文にして書き残します。形を決めておくと、後から読んだ人にも伝わります。

書き方の型は、「Aの欄で〇〇と約束しているが、Bの欄では△△になっている」です。

会社 書き残した1文
A社 製品の欄で年間の見守りを約束しているが、価格の欄は作業ごとの見積もりだけになっている
B社 製品の欄で定期テストの点を上げると約束しているが、販促の欄は志望校合格を呼んでいる
C社 販促の欄で全国から受付と約束しているが、流通の欄は店舗のみになっている

1文に書けない食い違いは、まだ整理が足りません。2つの欄のどちらが何を約束しているのかが、はっきりしていないからです。

1文にできたら、その文の「約束している側」の欄を直すか、「なっている側」の欄を直すかを決めます。直しやすいほうを選んで構いません。

読む順番は、販促から逆にたどる

横に読むときは、お客様が通る順番に沿うと、無理なく進みます。お客様は、まず販促で会社を知り、製品と価格を見て、流通を通って手に入れます。

この順に沿って、販促と製品、製品と価格、価格と流通の順に、隣り合う欄を照らしていきます。残りの組は、最後にまとめて見ます。

隣り合う欄の食い違いは、お客様が途中で離れる場所と重なります。広告で見た内容と、飛んだ先のページの内容が違うと、お客様はそこで戻ってしまうからです。

4P分析の例:A社の記入表を、欄ごとに読む

4P分析の例を探すと、誰もが知っている有名企業の分析が並びます。中小企業が手本にするには、規模も事情も違いすぎます。

この記事では、庭木の手入れを請け負う架空のA社で、記入表を作ります。A社は、年間を通して見守る管理を売りにしている会社です。

項目 A社が書いた内容
製品 年間を通した庭木の手入れ。季節ごとに様子を見て、必要な作業だけを行う
価格 作業ごとの見積もり。現地を見てから、作業内容に合わせて決める
流通 市内の戸建て住宅に訪問する。受付は電話とメール
販促 近隣へのチラシ。「お見積り無料」を大きく書く

一見すると、きれいに埋まった表です。それぞれの欄に、嘘は1つも書かれていません。

製品の欄:売りは「年間の見守り」

A社の製品の欄は、年間を通した手入れです。作業のたびに呼ばれるのを待たず、季節ごとに様子を見て、必要な作業だけを行う点が売りです。

この売りは、お客様にとって「いつ頼めばいいか分からない」という悩みへの答えになります。木の手入れは、時期を逃すと、あとで大がかりな作業になりやすいからです。

製品の欄を書くときは、売りが解決する悩みも一緒に書いておきます。後で販促の欄と照らすときに、悩みの言葉が共通の物差しになります。

価格の欄:作業ごとの見積もり

A社の価格の欄は、作業ごとの見積もりです。現地を見て、作業内容に合わせて決めます。

ここまで読んで、気づいた方もいるかもしれません。製品の欄は年間の見守りを売りにしているのに、価格の欄は作業ごとの見積もりです。

年間の見守りを買うお客様は、年間でいくらかかるのかを知りたがります。作業ごとの見積もりだけが書かれていると、見守りの価値が価格の面から見えません。

流通の欄:訪問と、電話とメールの受付

A社は市内の戸建てに訪問します。受付は電話とメールで、予約フォームはありません。

訪問型の会社の流通は、頼める経路が中心になります。電話しかない会社は、昼間に電話できない客を取りこぼします。

流通の欄には、経路だけでなく、頼むまでの手間も書いておくと、食い違いが見えやすくなります。

販促の欄:チラシと「お見積り無料」

A社の販促は、近隣へのチラシです。「お見積り無料」が大きく書かれています。

お見積り無料という言葉は、単発の作業を呼び込む言葉です。年間の見守りを売りにしているのに、販促の言葉が単発の依頼を呼んでいます。

製品の欄の「年間」と、販促の欄の「お見積り」が、同じ方向を向いていません。この食い違いは、4つの欄を並べて初めて見えます。

A社の表を、隣り合う欄で3回だけ照らす

先ほどのA社の表を、お客様が通る順に、隣り合う欄で照らしてみます。

照らす組 片方が約束したこと もう片方の状態 見つかった食い違い
販促と製品 「お見積り無料」で単発の依頼を呼ぶ 製品は年間の見守りが売り 言葉と相手の食い違い
製品と価格 年間を通して見守る 価格は作業ごとの見積もりだけ 約束の食い違い
価格と流通 現地を見て見積もりを出す 受付は昼間の電話とメール 手間の食い違い

3回照らしただけで、3つの食い違いが見つかりました。表の4つの欄を眺めていたときには、1つも見えなかった点です。

この3つが、そのままA社のサイトで直すページの候補になります。直す先は、後の節でページごとに決めていきます。

B社の記入表:少人数の学習塾

B社は、少人数で定期テストの点を上げる指導を売りにしている、地域の小さな学習塾です。

項目 B社が書いた内容
製品 1クラス少人数の指導。定期テストの前に、範囲を絞って演習する
価格 月ごとの授業料。教材費は別に集める
流通 駅から歩いて通える教室と、オンラインの授業
販促 新聞折込のチラシと、通っている生徒の紹介。「志望校合格をめざす」と大きく書く

製品の欄は定期テストの点を上げる指導で、販促の欄は志望校合格です。目指す先の言葉が、2つの欄で違っています。

保護者が「うちの子の定期テストの点が悪い」という悩みで探していても、チラシの「志望校合格」には自分の悩みが書かれていません。

C社の記入表:靴の修理店

C社は、持ち込んだ当日に渡すかかとの修理を売りにしている、靴の修理店です。

項目 C社が書いた内容
製品 かかとの修理を中心に、持ち込み当日に仕上げる
価格 修理の種類ごとの価格表を、店頭に貼る
流通 店舗での受付のみ。郵送の受付はしていない
販促 遠方の人にも使ってもらえるよう、ホームページで「全国から受付」と告知する

流通の欄は店舗のみで、販促の欄は全国から受付です。約束した範囲と、実際に届けられる範囲が違っています。

持ち込み当日に渡す修理は、店に来られる人にしか使えません。全国という言葉を見て問い合わせた人は、最初のやり取りで断られます。

3社の表に共通する、書いた本人が気づけない理由

3社とも、書いた内容は事実です。嘘や誇張はありません。それなのに、並べると食い違いが出ます。

書いた本人が気づけない理由は、4つの欄を別々の日に、別々の資料を見ながら書いているからです。製品の欄は現場の話から、販促の欄は広告の担当者の話から、書き写されます。

別々に書いた欄は、書いた時点では正しくても、並べた時点で噛み合わなくなります。並べて照らす作業は、別々に書いた事実を、1枚の紙の上で出会わせる作業です。

4Pと4Cの違い:売り手の言葉で書いた表を、買い手の言葉で読み直す

4P分析を調べると、4C分析という言葉が必ず出てきます。違いを整理しておきます。

コトバンクに収録されているマーケティング用語集は、4Cを「マッカーシーの4Pを購買者視点に置き換えた概念」と説明しています。提唱者として、ロバート・ラウターボーンの名前が挙がっています。

4つのCは、顧客価値、顧客コスト、利便性、コミュニケーションです。用語集は、製品が顧客価値に、価格が顧客コストに、流通が利便性に、プロモーションがコミュニケーションに対応すると書いています。

4P(売り手の言葉) 4C(買い手の言葉) 買い手が気にすること
製品 顧客価値 これを買うと、自分の困りごとが解決するか
価格 顧客コスト 買うまでと買ったあとに、全部でどれだけかかるか
流通 利便性 手間なく手に入るか
販促 コミュニケーション 一方的に言われるだけか、聞いてもらえるか

4Pと4Cは、どちらを使うかを選ばなくてよい

用語集の説明には、「この4Cを十分検討したうえで4Pを構築することが重要と提唱されている」という一文があります。4Cで買い手の側を考え、4Pで売り方を組み立てる、という順番です。

つまり、4Pと4Cは対立する別の方法ではありません。同じ4つの面を、売り手の言葉と買い手の言葉で、2回書くことになります。

4Cは、欄を書き換えるための物差しにする

4Cを別の表としてもう1枚作る必要はありません。4Pの欄を埋めたあとで、4Cの言葉で読み直す物差しとして使えば足ります。

価格の欄に「作業ごとの見積もり」と書いたA社を、顧客コストの目で読み直すと、年間でいくらになるか分からない不安が見えてきます。この不安が、サイトの料金ページで答えるべき内容になります。

4Cの目で読み直すと、欄の言葉が、お客様の知りたいことに近づきます。それが、サイトのページに写しやすい言葉になります。

4Cの欄が、ほかの分析と重なる所

顧客価値の考え方は、USPに近く、顧客コストは、価格のページの説明と重なります。利便性は予約や購入の導線に、コミュニケーションは問い合わせへの返事の早さと言葉づかいに、そのまま現れます。

3C分析の顧客の欄で見つけた、お客様の困りごとを、4Cの顧客価値の欄に流用できます。分析の結果を使い回すと、書く量が減り、言葉の向きも揃います。

A社の欄を、4Cの言葉で読み直す

4Cの物差しを、A社の表に当ててみます。顧客価値の目で製品の欄を読むと、「庭木の手入れ」よりも「時期を逃して大きな作業にならない安心」が、お客様の手に入るものだと分かります。

顧客コストの目で価格の欄を読むと、お客様が気にするのは1回分の見積もりよりも、1年を通して何回、どれだけ手間がかかるかです。

利便性の目で流通の欄を読むと、昼間に電話できない人にとって、頼む手間そのものがコストになっています。コミュニケーションの目で販促の欄を読むと、チラシは一方的に伝えるだけで、聞き返せる窓口がありません。

4Cで読み直すと、4Pの欄に書いた言葉が、買い手の言葉に変わります。変わった言葉は、そのまま見出しや説明文に使えます。

B社とC社の欄も、4Cの言葉に置き換えてみる

同じ読み直しを、B社とC社でも行います。左の列が書き換える前の欄、右の列が4Cの言葉で書き直した欄です。

会社と欄 売り手の言葉 買い手の言葉に直したもの
B社の製品 少人数の指導 次の定期テストで、点が上がる見通しが立つ
B社の販促 志望校合格をめざす 今の成績が気になる保護者が、自分の悩みだと分かる
C社の製品 当日仕上げのかかと修理 履いて出かける予定に、修理が間に合う
C社の流通 店舗での受付のみ 店まで来られる人にだけ、頼める

書き直した右の列は、そのままサイトの見出しになる言葉です。左の列のままでは、お客様は自分に関係があると気づきません。

右の列に直すだけで、B社の販促とC社の流通がどこで食い違っているかも、はっきりします。B社は悩みの言葉が合っておらず、C社は頼める範囲の言葉が合っていません。

4P分析の表を埋めても、何も直らない5つの症状

ここまでの例で、表の4つの欄が事実で埋まっていても、食い違いが残ることを見ました。実際の現場では、食い違いに気づかないまま、次のような症状が出て止まります。

症状 現場で起きていること 本当の原因
表が埋まって会議が終わる 「きれいにまとまった」で解散し、翌週は何も変わらない 直す対象が、表の中に書かれていない
欄ごとに担当者が違う 製品は現場、価格は経理、販促は広告担当が書いて、つなぎ合わせない 欄を並べて照らす人がいない
広告の反応は良いのに成約しない 問い合わせは来るが、話が噛み合わず断られる 販促の約束と製品の中身が違う
問い合わせが来ても途中で消える 見積もり依頼の途中で連絡が途絶える 流通の手間が、約束した手軽さと合わない
値下げしても反応が変わらない 価格の欄だけを動かして、効果が出ない 価格以外の欄に、原因がある

5つとも、どれか1つの欄の出来が悪いのではありません。欄と欄の間に、原因があります。

症状1:表が埋まって会議が終わる

4P分析の会議は、表を埋めた時点で達成感が出て、終わりやすい会議です。

会議の最後に「で、来週何をやるのか」と聞くと、静かになります。表は埋まっていても、表から導かれる作業が1つも書かれていないからです。

症状2:欄ごとに担当者が違い、並べて照らす人がいない

中小企業でも、製品は現場の責任者、価格は経営者、販促は外注先というように、欄ごとに話を持つ人が違います。

それぞれが自分の欄を正しく書きます。誰も、他の欄との関係を見ていません。

食い違いは、担当の境目に生まれます。境目を見る役を、誰か1人に決めておくと、症状がかなり減ります。

症状3:広告の反応は良いのに、成約しない

問い合わせの数は増えたのに、契約にならない状態です。広告の担当者は成果が出たと感じ、現場の担当者は話が噛み合わないと感じます。

原因は、販促が呼んだ客と、製品が向いている客が違うことです。A社の「お見積り無料」は、1回だけ安く済ませたい客を呼びます。その客に年間の見守りを勧めても、話は進みません。

症状4:問い合わせが来ても、途中で消える

ページを見て、電話しようとして、やめる。そういう動きは、数字に出にくい食い違いです。

C社の「全国から受付」に反応した遠方の客は、店舗のみと分かった時点で去ります。去った客は、問い合わせの記録にも残りません。

症状5:値下げしても、反応が変わらない

価格の欄だけを動かして、効果が出ないと感じたら、他の欄に原因があります。

B社が授業料を見直しても、チラシが「志望校合格」を呼んでいる限り、定期テストの点で悩む保護者は来ません。価格は、客と製品が噛み合ってから初めて効きます。

B社に起きたこと:チラシの約束と、保護者の悩みがずれる

B社の場面を、保護者の目で追ってみます。ある保護者は、子どもの定期テストの点が下がったことに悩んでいます。

新聞折込のチラシには「志望校合格をめざす」と大きく書かれています。保護者は、受験はまだ先だと感じて、自分の悩みとは別の塾だと受け取ります。

チラシを捨てなかった保護者が、ホームページを開いたとします。トップページにも志望校合格の言葉が並んでいれば、そのまま閉じます。

定期テストの点を上げる指導という、B社の本当の売りは、サイトの奥の授業案内にしか書かれていません。奥まで読んでもらう前に、離れてしまいます。

C社に起きたこと:全国の客を、最初の電話で断る

C社の場面は、遠方の客の目で追います。靴のかかとがすり減った人が、自分の町に修理店が少なくて、検索しています。

C社のサイトには「全国から受付」と書かれています。その人は、郵送で送ればよいのだと考えて、電話をかけます。

電話口で「店舗での受付のみ」と言われます。その人は、わざわざ遠くの店まで行く気はなく、電話を切ります。

C社には、断った記録は残ります。断られた客が、どれだけ期待していたかは残りません。サイトの1行が、客と店の双方の時間を減らしています。

2社に共通するのは、サイトの1行が約束を広げすぎていること

B社もC社も、製品そのものには問題がありません。問題は、販促の欄の1行が、製品の中身より大きな約束をしていることです。

約束を大きくすると、最初の反応は増えます。その反応は、中身と合わないぶん、あとで消えます。

直す場所は、製品を作り直すことではありません。約束の1行を、中身に合わせて正しい大きさに戻すことです。この作業は、サイトの文章を直すだけで済み、費用がほとんどかかりません。

食い違いは、小さな会社のほうが大きく響く

大きな会社は、広告の約束と中身が少しずれても、知名度が客を支えてくれます。名前を知っている客が、細かい食い違いを許してくれるからです。

中小企業のお客様は、会社を初めて知る人が中心です。初めて出会う会社の約束は、そのまま信頼の最初の材料になります。

最初の材料が中身と違うと、その会社への信頼が始まる前に終わります。中小企業ほど、4つの欄を揃える作業が、成果に直結します。

比べる点 知名度のある会社 初めて知られる会社
最初の約束の役割 既にある信頼を確認する 信頼の最初の材料になる
食い違いを見つけたお客様 気にせず進むことがある その場で離れやすい
4つの欄を揃える効果 少しずつ現れる 反応の違いとして早く現れる

この違いがあるから、自社に合う4P分析は、有名企業の表を真似ても作れません。自社のお客様が最初に出会う場面から、逆算して作ります。

解説どおりに4P分析をすると、なぜ直すページが決まらないのか

4P分析の解説を読んで、そのとおりに表を作る。それなのに直す場所が決まらないのは、解説が悪いからではありません。解説が想定している読者と、中小企業の担当者の目的が違うからです。

解説は、商品を売る側の視点で止まっている

多くの解説は、4P分析を「施策を企画するための枠組み」として説明します。企画が終わった時点で説明が終わるため、できあがった企画を自社サイトのどこに写すかは、書かれません。

大きな会社では、企画を実行する部門が別にあり、その部門がサイトも広告も売り場も直します。中小企業では、企画した人がサイトも直します。

だから中小企業の4P分析は、表で終わらせず、直すページまで書く必要があります。

4つの欄は、サイトの別々のページに対応する

もう1つの理由は、4つの欄が、サイトの別々のページに対応していることです。

製品は商品やサービスの紹介ページ、価格は料金のページ、流通は予約や購入の導線、販促はトップページや記事です。別々のページは、別々の更新作業で直します。

表の上では1枚に収まっている4つの欄が、サイトの上では4か所以上に散らばります。散らばった先を一覧にしないと、どれを直すのかが決まりません。

お客様は、検索して、比べて、買っている

ここで、お客様の行動を、公的な調査で確かめておきます。総務省が2026年5月29日に公表した令和7年通信利用動向調査によると、インターネット利用者のうち「検索サービスの利用」は77.5%でした。

同じ調査で、「商品・サービスの購入・取引」は60.7%です。インターネットを使う人の6割が、ネットで買う行動をしています。

この2つの数字は、4つの欄に共通する前提を示しています。お客様は、広告で知るだけでなく、検索で調べ、ページを比べ、買う手前でサイトを見ています。つまり、4つの欄で約束したことは、サイトのページで確かめられます。

お客様がサイトで確かめていること

検索して比べるお客様は、4つの欄の約束を、ページごとに確かめています。確かめる順番と、見ているものを整理します。

お客様が見るページ 確かめていること 欄との対応
広告やチラシの飛び先 広告で見た約束が、そこに書かれているか 販促
商品やサービスの紹介 自分の困りごとに合っているか 製品
料金のページ 全部でどれだけかかるのか、判断の基準は何か 価格
予約や購入の案内 自分にも頼めるか、手間はどれだけか 流通

4つのページは、お客様の中で1本の流れになっています。1つでも前のページと話が違うと、流れが切れます。

流れが切れたときの動きは、静かです。お客様は文句を言わず、検索結果の画面に戻って、別の会社のページを開きます。

4P分析の表から直すページを決める流れ欄を埋めるお客様の言葉で並べる2つずつ照らす6組の問いで見つけるページに対応直す先を決める絞る1つ直す最初に離れる所

食い違いがあると、確かめた瞬間に気づかれます。販促で見た約束が、製品のページに書かれていなければ、お客様はそこで戻ります。

食い違いは、数字の動きから疑える

食い違いは、サイトの数字にも小さな形で出ます。完全な証拠にはなりませんが、疑う手がかりにはなります。

数字の動き 疑う食い違い 確かめる場所
広告の飛び先の閲覧は多いが、次のページに進まない 販促と製品の言葉の食い違い 飛び先の最初の1画面
料金のページの閲覧は多いが、問い合わせが少ない 製品と価格の約束の食い違い 料金の決め方の説明
予約ページまで来るが、完了が少ない 流通の手間の食い違い 予約の入力項目と受付方法
電話の件数は多いが、成約が少ない 販促が呼んだ客と製品の食い違い 電話で聞かれる質問の記録

数字が示すのは、場所までです。理由は、ページを実際に開いて、お客様の目で読んで初めて分かります。

この記事では、数字は疑うきっかけに使います。直す判断は、4つの欄を照らして決めます。

ほかの分析の結果を、4つの欄に流し込む

3C分析やSWOT分析、USPをすでに作っている会社は、その結果を4つの欄に流し込めます。ゼロから書くより、早く埋まります。

前に作ったもの 流し込む欄 流し込む内容
3C分析の顧客の欄 製品、販促 お客様の困りごとの言葉
3C分析の競合の欄 価格、販促 競合が約束していないこと
SWOT分析の強み 製品 売りにする点
USP 販促 広告やトップページの最初の1行

流し込んだ言葉は、すでに一度、お客様の側から考えた言葉です。4つの欄を埋める作業が、新しく考える作業から、写し替える作業に変わります。

写し替えたあとに、欄と欄を照らします。前の分析で決めた言葉が、価格や流通の欄にも届いているかが、見るべき点です。

製品の欄にだけ、前の分析の言葉が入っている状態が、一番多い食い違いの出どころです。他の3つの欄にも、同じ向きの言葉を通します。

よくある間違った4P分析の進め方と、その末路

4つの欄の食い違いを放置したまま、次の5つのどれかを進めてしまう会社が少なくありません。それぞれ、末路を整理します。

間違った進め方 起きること 末路
欄を担当者ごとに書き分ける 欄の間の食い違いが残る 表が増えるだけで売り方は変わらない
全部の欄を同時に直そうとする 作業が重なって、どれも中途半端になる 3か月後に、何を直したか分からなくなる
有名企業の表を真似る 規模も客も違う型を借りる 自社の悩みが、表に出てこない
価格だけを下げる 利益が減って、客層が変わらない 値上げができなくなる
販促だけを増やす 約束だけが先に膨らむ 成約率が下がり、現場が疲れる

間違い1:欄を担当者ごとに書き分ける

担当者に欄を割り振る進め方は、分担としては自然です。ところが、割り振ったあとで誰も並べないと、食い違いが残ります。

並べて照らす会を、表ができた日のうちに開くことで、この間違いは防げます。

間違い2:全部の欄を同時に直そうとする

食い違いを3つも4つも見つけると、全部を直したくなります。同時に直すと、お客様の反応が変わったとき、どの修正が効いたのか分かりません。

直す場所は、まず1つに絞ります。絞る基準は、お客様が一番最初に離れる場所です。

間違い3:有名企業の表を真似る

有名な会社の4P分析は、その会社の客と規模を前提にしています。中小企業が真似ても、自社の客の悩みに当たりません。

型を借りるのは構いません。欄に入れる言葉は、自社のお客様の言葉で書き直します。

間違い4:価格だけを下げる

売れ行きが落ちると、最初に価格を疑う人は多いです。ところが、価格を動かす前に、製品と販促が噛み合っているかを見る必要があります。

先に価格を下げると、利益だけが減ります。噛み合わない原因が別にあれば、下げても反応は戻りません。

間違い5:販促だけを増やす

広告やチラシの量を増やすのも、よくある進め方です。製品とサイトが約束に応えられない状態で量を増やすと、がっかりする客が増えます。

増やす前に、飛び先のページが約束に応えているかを確かめます。応えていなければ、量を増やす前に、飛び先を直します。

間違い6:食い違いを見つけた人を責めてしまう

最後に、会議の空気の話をします。食い違いが見つかると、その欄を書いた人が責められているように感じる場合があります。

食い違いは、誰かの失敗ではありません。別々に書いた事実が、並べた瞬間に噛み合わなかっただけです。会議の最初に、そう宣言しておくと、見つかった食い違いが隠されずに済みます。

食い違いが多いほど、直せる場所が多いということです。見つかった数を、成果として数えます。

6つの間違いを防ぐ、最初の一手

ここまでの6つの間違いは、どれも、表の外側で起きる問題です。表を整えるだけでは防げません。防ぐための最初の一手を、1つずつ決めておきます。

間違い 防ぐ最初の一手 担当
欄を担当者ごとに書き分ける 表ができた日のうちに、4人で並べて読む会を開く 経営者か、サイトの担当者
全部の欄を同時に直す 直す場所を1つだけ決めて、残りは翌月に回す サイトの担当者
有名企業の表を真似る 欄の言葉を、自社のお客様の言葉で書き直す 現場の責任者
価格だけを下げる 価格を動かす前に、販促と製品の言葉を照らす 経営者
販促だけを増やす 増やす前に、飛び先のページが約束に応えているか開く 広告の担当者
見つけた人を責める 会議の最初に、食い違いは失敗ではないと宣言する 会議の司会

担当の列は、小さな会社なら1人が兼ねて構いません。大事なのは、一手を打つ人の名前が、表に書かれていることです。

名前の書かれていない一手は、会議の翌日に忘れられます。表の最後の列に名前を入れる習慣をつけておくと、実行されやすくなります。

解決策:「売れるサイトはみな謙虚」の考え方で、4つの欄をお客様の言葉に書き換える

ここからが、この記事の本題です。4つの欄の食い違いを見つけて、直すページに落とす手順を説明します。

土台に置くのは、「売れるサイトはみな謙虚」という考え方です。ウェブサイトから要素を引き算して、訪れた人が迷わず次の一歩に進める形に組み直す、という考え方を指します。

4P分析に当てはめると、欄に書く言葉を絞り、お客様が知りたいことに先に答える言葉だけを残す作業になります。

謙虚とは、自分の言いたいことを、お客様の知りたいことの後ろに置くこと

売り手の言葉で書いた4Pの表は、自分の言いたいことの一覧になりがちです。製品の欄には自慢したい機能が並び、販促の欄には目を引きたい言葉が並びます。

謙虚に書くとは、それらを、お客様が知りたいことの後ろに置くことです。お客様の知りたいことは、4Cの言葉で分かります。

言いたいことを減らすと、約束も小さくなります。約束が小さくなると、中身との食い違いも減ります。

手順1:4つの欄を、お客様が検索する言葉で書き換える

最初の作業は、4つの欄に書いた言葉を、お客様が検索窓に打ち込む言葉に近づけることです。

欄 売り手の言葉(書き換える前) お客様が検索する言葉(書き換えた後)
製品 高付加価値の提案型サービス 庭木 手入れ 時期
価格 柔軟な見積もり対応 庭木 手入れ 年間 いくら
流通 迅速な訪問体制 庭木 手入れ 予約 夜
販促 お見積り無料キャンペーン 庭木 手入れ 頼むなら

書き換えた後の言葉は、お客様が実際に調べている言葉の見本です。自社の検索語は、問い合わせのメールや電話で聞かれた質問から拾えます。

検索語に書き換えた欄は、そのままサイトの見出しの案になります。見出しの案が欄ごとに揃うと、次の手順に進めます。

お客様の検索語は、社内に残っている記録から拾う

検索語を調べる専用の道具がなくても、社内には材料があります。問い合わせの記録や、現場で聞かれた質問が、そのままお客様の言葉です。

拾う場所 拾えるもの 使い道
問い合わせのメールや電話のメモ 最初の質問の言葉 製品と販促の欄の見出し案
見積もりのあとに断られた理由 迷った点の言葉 価格の欄の説明文
現場でお客様から聞かれたこと 手に入れる前の不安 流通の欄の案内文
検索窓に語を入れたときの候補 続けて調べられている語 全部の欄の見出し案

材料は5件も集まれば足ります。集めた言葉は、欄の隣に書き写しておきます。

価格の欄は、決め方の3点で書く

価格の欄は、金額を書かずに書く工夫が要ります。決め方の3点で書くと、料金のページにそのまま写せます。

書く点 書き方 A社の例
何を基準に決めるか 金額が変わる条件を書く 庭の広さと、木の本数や高さで決まる
何が含まれるか 追加の請求が出ない範囲を書く 手入れで出た枝や葉の片付けまで含む
何が別になるか 別に請求するものを先に書く 大きく育った木の伐採は別に見積もる

3点を先に書いておくと、お客様は見積もりを頼む前に、自分の場合を想像できます。想像できる料金のページは、問い合わせの質も上げます。

別になるものを隠すと、あとで驚かれます。B社の教材費のように、別にかかるものほど、先に書いておきます。

書き換えた言葉を点検する、3つの問い

書き換えた言葉が、お客様の言葉になっているかを、3つの問いで点検します。

問い 答えが「いいえ」のとき
お客様が口に出して言いそうな言葉か 社内の言葉が残っている。問い合わせの言葉に直す
中身を超えた約束をしていないか 約束を小さくする
見出しに、そのまま使えるか 長すぎる。1文に短くする

3つとも「はい」になった言葉だけを、サイトに写します。

「いいえ」が残った言葉は、無理に写さず、次の見直しまで待っても構いません。あせって写すと、新しい食い違いを作ることがあるからです。

写す前の最後の確認として、書いていない人に声に出して読んでもらいます。つかえたところが、お客様もつかえる場所です。

手順2:約束を、中身に合わせた大きさにする

書き換えた欄を見て、約束が中身より大きくなっていないかを確かめます。

C社の「全国から受付」は、中身より大きな約束でした。店舗のみの受付に合わせて、「店頭でお預かりします。持ち込んだ当日にお渡しします」と、約束を小さくします。

約束を小さくすると、最初の反応は減るかもしれません。ところが、反応した客は、中身と約束が一致しているため、離れません。

A社の4つの欄を、書き換えた後の形にする

手順1と手順2を通したA社の表は、次の形になります。左が元の欄、右が書き換えた欄です。

欄 書き換える前 書き換えた後
製品 年間を通した庭木の手入れ 手入れの時期を逃さず、大きな作業にならない見守り
価格 作業ごとの見積もり 年間でまとめたときの決め方と、含まれる作業
流通 電話とメールで受付 夜でも送れる問い合わせの窓口と、訪問できる地域の明記
販促 お見積り無料 「手入れの時期が分からない方へ」

書き換えた後の4行は、どれもサイトの見出しや説明文に、そのまま使えます。書き換える前の4行は、社内の言葉のままでした。

食い違いの見つけ方:6つの組み合わせを、順に照らす

欄の言葉をお客様の言葉に直したら、いよいよ欄と欄を照らします。6通りの組み合わせを、順に問いに変えます。

組み合わせ 照らす問い 食い違いの兆候
販促と製品 広告で言ったことは、製品の中身と同じか 広告の言葉が、製品のページに出てこない
製品と価格 製品の売りを、価格の決め方が支えているか 売りが年間なのに、料金が単発の説明だけ
価格と流通 価格の約束を、頼む手間が裏切っていないか 気軽な価格を見せながら、申し込みが面倒
流通と販促 広告が呼んだ客に、受け取る経路があるか 全国に呼びかけて、店舗でしか受けない
製品と流通 製品の良さが、届け方で損なわれていないか 当日仕上げを売るのに、受付が日中のみ
価格と販促 広告の価格の見せ方と、実際の価格が一致するか 「無料」を強調して、有料の部分が後から出る

6組すべてに、必ず食い違いがあるわけではありません。1組ずつ、問いに「はい」か「いいえ」で答えます。

販促と製品:広告で言ったことは、中身と同じか

最初に照らすのは、販促と製品です。お客様が一番先に出会うのが、販促だからです。

広告やトップページの最初の1行を声に出して読んで、その約束が製品の紹介ページにも書かれているかを確かめます。書かれていなければ、販促の言葉か製品の説明のどちらかを直します。

A社の場合、「お見積り無料」は製品の紹介ページに出てきません。B社の場合、「志望校合格」は授業案内に出てきません。

製品と価格:売りを、価格の決め方が支えているか

次に、製品と価格を照らします。製品が売りにしていることを、価格の説明が支えているかを見ます。

A社は年間の見守りを売りにしています。価格が作業ごとの見積もりだけだと、年間でどう費用が変わるのかが読み取れません。

「年間でまとめると、作業ごとに頼む場合と、手間と費用の面でこう変わります」という説明が、料金のページに要ります。金額の数字がなくても、決め方の考え方だけで足ります。

価格と流通:価格の約束を、頼む手間が裏切っていないか

3番目は、価格と流通です。気軽に頼める価格を見せているのに、申し込みが面倒だと、お客様は途中で離れます。

A社の受付は電話とメールだけです。昼間に電話できない人は、頼む前に諦めます。

予約フォームを足す、受付時間を明記する、夜でも送れる問い合わせの窓口を作る。どれも、サイトのページを足す作業で解決します。

残りの3組は、まとめて照らす

流通と販促、製品と流通、価格と販促の3組も、同じ手順で照らします。ここまでの3組で食い違いが十分に見つかっていれば、残りは短く済ませて構いません。

食い違いが見つからないときは、見つからなかったことも表に記録しておきます。後で別の人が見たとき、確かめ済みの組が分かります。

食い違いを直すページ:4つの欄とサイトの各ページの対応

食い違いが見つかったら、直すページを決めます。4つの欄と、中小企業のサイトによくあるページの対応を、先に整理します。

欄 対応するページ 直す内容の例
製品 商品やサービスの紹介、よくある質問 売りの1文を先頭に置く、悩みの言葉で見出しをつける
価格 料金のページ、見積もりの流れの案内 金額より先に、決め方と含まれる範囲を書く
流通 予約や問い合わせのフォーム、対応地域や店舗の案内 頼める範囲と手段を、最初の画面で言い切る
販促 トップページ、広告の飛び先、記事 最初の1行を、製品の中身と同じ言葉にする

食い違いの種類ごとに、先に直すページが決まる

先ほど見た食い違いの種類ごとに、先に直すページは決まります。

食い違いの種類 先に直すページ 直し方
言葉の食い違い 広告の飛び先と、トップページ 最初の1行を、製品の紹介と同じ言葉にそろえる
相手の食い違い 製品の紹介ページ 載せる情報を、一番困っている客に絞る
約束の食い違い 料金のページ 売りを支える説明を、決め方の形で足す
手間の食い違い 予約や問い合わせの導線 手段を足し、受付の条件を最初の画面に書く

直すページは、1つに絞る

食い違いが複数見つかった場合も、最初に直すページは1つに絞ります。絞る基準は、お客様が最初に離れる場所です。

お客様が通る順に並べると、先頭にあるページほど、離れた後の影響が大きくなります。広告の飛び先やトップページは、先頭に近いページです。

2番目以降のページは、翌週以降に順番に直します。1週間に1ページずつ直すと、4週間で4つの欄が揃います。

1週間で、1ページを直す進め方

直すページが決まったら、1週間の作業に割り振ります。大きな作業にしないことが、続けるコツです。

曜日の目安 作業 終わりの状態
1日目 直すページを開いて、お客様の目で最初の1画面を読む 食い違いの箇所に印がついている
2日目 欄の書き換えた言葉を見ながら、最初の1行を書き直す 新しい最初の1行ができている
3日目 本文の関係する段落を、同じ言葉にそろえる ページ全体で言葉がそろっている
4日目 社内の、書いていない人に声に出して読んでもらう つかえた箇所が直っている
5日目 公開して、直した日付と内容を記録する 変更の記録が残っている

1ページを直す作業は、慣れれば半日で終わります。5日に分けているのは、4日目の「書いていない人に読んでもらう」を挟むためです。

直したあとに、確かめること

直したあとは、お客様の動きが変わったかを確かめます。確かめる期間は、数週間を見ておきます。

確かめること どこで見るか 判断の目安
次のページへ進む人が増えたか ページの閲覧数の推移 直す前と直した後で並べる
問い合わせの質が変わったか 問い合わせの内容の記録 約束と違う質問が減っているか
断る回数が減ったか 電話やメールの対応記録 受付範囲に関する質問が減っているか

数字が動かなくても、すぐに戻す必要はありません。動かなかった事実も、次に照らす組を決める材料になります。

直す順番を迷ったときの考え方

食い違いが複数あって、直す順番に迷うときは、次の3つの観点で点数をつけます。

観点 問い 高く見るもの
お客様の出会う順 お客様が先に見るページか 広告の飛び先、トップページ
直す手間 1日で直せるか 1行の書き換えで済むもの
離れる影響 直さないと、客を失うか 約束と中身が違っているもの

3つの観点で、高い点が多いページから直します。点が同じときは、お客様の出会う順を優先します。

点をつける作業は、表に印をつけるだけで構いません。数字にこだわらず、迷う時間を短くすることが目的です。

業種の型で見る:書き換えた後の表と、直すページ

最後に、A社、B社、C社の表を、書き換えた後の形で見ます。左が食い違い、右が直すページです。

会社 見つかった食い違い 直すページ 書き換えた言葉
A社 年間の見守りを売るのに、料金が単発の説明だけ 料金のページ 年間でまとめたときの決め方と、含まれる作業
B社 定期テスト対策が売りなのに、販促は志望校合格 トップページ 「次の定期テストで、点を上げたい方へ」
C社 店舗のみの受付なのに、全国から受付と告知 受付の案内 「店頭でお預かり、当日お渡し」

A社:料金のページに、年間の考え方を足す

A社は、料金のページに、年間で見守る場合の考え方を足します。作業ごとの見積もりだけが書かれていたページに、年間の管理の基本を説明する1節を追加します。

「季節ごとに様子を見て、必要な作業だけをお受けします。年間でお預かりすると、作業のたびに連絡する手間が省けます」と書きます。金額の数字は載せなくて構いません。

B社:トップページの最初の1行を、保護者の悩みにそろえる

B社は、トップページの最初の1行を、保護者の悩みの言葉に直します。「志望校合格をめざす」から、「次の定期テストで、点を上げたい方へ」に変えます。

志望校合格の言葉は、料金や指導の紹介ページの奥に移します。保護者が悩みの段階に応じて、順に読める形になります。

C社:受付の案内を、頼める範囲に合わせる

C社は、受付の案内を、実際に頼める範囲に合わせます。「全国から受付」の表記を消して、「店頭でお預かりして、持ち込んだ当日にお渡しします」と書きます。

遠方の客には、今は対応できないと、最初に伝えます。最初の画面で、頼める人と頼めない人を分けておくと、断る場面そのものが減ります。

直したあとの文章の書き方:最初の1画面に、約束を1つだけ置く

直すページが決まったら、実際に文章を書き換えます。書き換えの要所は、ページを開いて最初に見える1画面です。

お客様は、最初の1画面で、このページが自分に関係あるかを判断します。そこに置く約束を1つに絞ると、他の欄との食い違いも起きにくくなります。

最初の1画面に、置くものと置かないもの

置くもの 置かないもの
お客様の悩みの言葉 会社の歴史や理念
その悩みに答える約束を1文 複数の約束の羅列
次に進む手段を1つ 複数の問い合わせ手段の並び
約束の根拠になる事実を1つ 根拠のない形容詞

置かないものは、不要という意味ではありません。最初の1画面の後ろに移すだけです。後ろに移した情報は、約束に興味を持った人が読みます。

A社の料金ページ:書き換える前と後

A社の料金のページの最初の1画面を、書き換える前と後で比べます。

書き換える前は、「作業ごとにお見積りします。まずはお気軽にご相談ください」でした。作業ごとの見積もりが前面に出て、年間の見守りが見えません。

書き換えた後は、「庭木の手入れは、時期を逃すと大きな作業になります。季節ごとに様子を見るやり方と、作業のたびに頼むやり方の違いを、ご説明します」にします。

書き換えた文は、お客様の悩みの言葉で始まり、次の読み物へ誘っています。金額の数字は載せず、決め方への入口だけを置いています。

B社のトップページ:書き換える前と後

B社のトップページは、書き換える前が「志望校合格をめざす、少人数の学習塾」でした。

書き換えた後は、「次の定期テストで、点を上げたい方へ。範囲を絞って、少人数で演習します」です。保護者の悩みの言葉で始まり、約束が1文で完結しています。

志望校合格の話は、進路の相談を扱うページに移します。受験を控えた保護者は、そのページにたどり着いて、必要な情報を読めます。

直した文章は、4つの欄に戻して確かめる

文章を書き換えたら、もう一度、4つの欄に戻します。直した1文が、製品の欄、価格の欄、流通の欄、販促の欄のどれとも噛み合っているかを確かめます。

確かめる欄 問い 噛み合っていないときの対応
製品 約束は、製品の中身と同じか 約束を、中身の側に寄せて小さくする
価格 料金のページに、約束を支える説明があるか 決め方の説明を足す
流通 約束した範囲で、実際に頼めるか 受付の条件を最初の画面に書く
販促 広告から来た人が、同じ言葉に出会えるか 広告の文面かページの1行を揃える

4つとも「はい」になれば、そのページの直しは完了です。1つでも「いいえ」があれば、別の食い違いが残っています。

4P分析のテンプレート:コピーして使える記入表と、食い違いのメモ

ここまでの内容を、そのまま使えるテンプレートにまとめます。表計算ソフトや文書作成ソフトに貼り付けて、自社の言葉で埋めてください。

テンプレートは3枚あります。記入表、食い違いのメモ、直すページの一覧です。3枚を順に埋めると、最後に今週直す1ページが残ります。

テンプレート1:記入表

項目 お客様に見える言葉で書く1行 根拠にした記録 対応するページ
製品 (買ったあとに手に入る変化を書く) (問い合わせのメモなど) (紹介ページ)
価格 (高い安いを判断する基準を書く) (断られた理由の記録など) (料金のページ)
流通 (頼める手段と、受け付ける範囲を書く) (現場で聞かれたことなど) (予約や問い合わせの導線)
販促 (お客様が最初に出会う場所と、そこでの約束を書く) (広告の実績の記録など) (トップページ、広告の飛び先)

記入するときの決まりは3つです。お客様に見える言葉で書くこと、金額より先に決め方を書くこと、根拠にした記録を残すことです。

根拠の列が空のままの行は、思い込みで書いている可能性があります。空の行に印をつけて、先に記録を集めます。

テンプレート2:食い違いのメモ

組み合わせ 照らす問い 答え(はい/いいえ) 食い違いの種類と、気づいたこと
販促と製品 広告で言ったことは、製品の中身と同じか
製品と価格 製品の売りを、価格の決め方が支えているか
価格と流通 価格の約束を、頼む手間が裏切っていないか
流通と販促 広告が呼んだ客に、受け取る経路があるか
製品と流通 製品の良さが、届け方で損なわれていないか
価格と販促 広告の価格の見せ方と、実際の価格が一致するか

「いいえ」が付いた行が、食い違いの候補です。種類の欄には、言葉、相手、約束、手間のどれかを書き込みます。

6行すべてが「はい」になった場合は、自社の表が揃っているということです。次の見直しの時期まで、そのままで構いません。

テンプレート3:直すページの一覧

順位 直すページ 食い違いの内容 書き換える1行 直す日
1
2
3

順位は、お客様が通る順で決めます。広告の飛び先やトップページが先、料金や予約のページが後です。

直す日の欄は、1週間に1ページのペースで埋めます。3行を埋めるだけで、3週間分の予定になります。

3枚のテンプレートを使う順番

1枚目の記入表を埋め終えたら、その日のうちに2枚目で食い違いを探します。日を空けると、記入時の背景を忘れて、読み解く精度が下がります。

2枚目で見つけた食い違いを、3枚目に写します。写すときに、種類ごとに先に直すページが決まる表を見ながら、直すページを選びます。

記入例:A社のテンプレートを埋めてみる

3枚のテンプレートを、A社で埋めた例を見ます。まず食い違いのメモです。

組み合わせ 答え 食い違いの種類と、気づいたこと
販促と製品 いいえ 言葉と相手。お見積り無料は、単発の客を呼んでいる
製品と価格 いいえ 約束。年間の見守りを売るのに、年間の料金の説明がない
価格と流通 いいえ 手間。昼間の電話しか受け付けていない
流通と販促 はい チラシの配布地域と、訪問できる地域が一致している
製品と流通 はい 季節ごとの訪問で、約束した手入れができている
価格と販促 はい 見積もり無料と書いていて、実際も無料である

6組のうち3組が「いいえ」でした。残りの3組は揃っているため、手を付けなくて構いません。

次に、直すページの一覧です。

順位 直すページ 食い違いの内容 書き換える1行 直す日
1 チラシの飛び先のページ 言葉と相手 「手入れの時期が分からない方へ」 今週
2 料金のページ 約束 「年間でお預かりする場合の、決め方と含まれる作業」 翌週
3 問い合わせの案内 手間 「夜でも送れる問い合わせの窓口」 翌々週

順位1が飛び先のページになったのは、お客様が最初に出会う場所だからです。そこが揃わないと、後ろのページがどれだけ整っていても、読まれません。

記入例:B社とC社の食い違いのメモ

B社とC社も、同じ形で食い違いのメモを埋めます。

会社 組み合わせ 答え 食い違いの種類と、気づいたこと
B社 販促と製品 いいえ 言葉と相手。志望校合格の言葉が、定期テスト対策の悩みと合わない
B社 製品と流通 はい 少人数の指導が、教室とオンラインで実際に受けられる
B社 価格と販促 いいえ 手間。教材費が別に集められることが、チラシに書かれていない
C社 流通と販促 いいえ 約束。全国から受付と書いて、店舗でしか受けられない
C社 製品と流通 いいえ 手間。当日仕上げを売るのに、郵送で受ける体制がない
C社 価格と流通 はい 価格表を店頭に貼り、その場で確認できる

B社の3行目は、これまで触れてこなかった食い違いです。教材費が別にかかることがチラシに書かれていないと、入塾の相談の段階で驚かれます。

表に書き出すと、こうした小さな食い違いも見つかります。小さな食い違いは、先送りにせず、直す一覧の後ろの順位に載せておきます。

C社の2行目は、1行目と原因が同じです。流通の欄の範囲を店舗のみに書き換えると、2つとも一度に解消します。

結果を社内に共有する、1枚の書き方

テンプレートを埋めたら、社内に共有する1枚にまとめます。長い資料にすると、読まれません。

書く項目 内容 長さの目安
見つけた食い違い 1文の形で、上位の3つまで 3行
直すページ 今週直す1ページの名前 1行
書き換える1行 直したあとの最初の1行 1行
確かめる日 直したあとに数字を見る日 1行

この1枚があれば、会議に出ていない人にも、何をなぜ直すのかが伝わります。伝わると、直した後の相談もしやすくなります。

共有するときは、食い違いを見つけた経緯より、直したあとの姿を先に書きます。読む人が知りたいのは、これから何が変わるかです。

1人で使うときと、チームで使うときの違い

テンプレートは、1人で埋めても、数人で埋めても使えます。進め方の違いを、表に整理します。

場面 記入表の埋め方 食い違いのメモの照らし方
1人(小さな会社の経営者) 1時間で、全部の欄を通して埋める 翌日に読み直して、もう1度照らす
2人から3人(経営者と担当者) 欄を分担し、書いた内容を声に出して共有する 全員で、6組の問いに順に答える
外部の制作担当者がいる 制作担当者には、記入表だけを先に渡す 制作担当者の目で見つけた食い違いも、メモに足す

1人で埋める場合は、書いた直後より、1日置いたほうが食い違いに気づけます。書いた直後は、自分の意図で読んでしまうからです。

チームで埋める場合は、欄の持ち主以外の人が、食い違いを指摘する役になります。持ち主は、指摘を受けても弁解せず、メモに書き取ります。

よくある質問

Q. 4P分析の読み方は「よんぴー」と「フォーピー」のどちらですか。

どちらでも通じます。「よんぴーぶんせき」と読む人も、「フォーピーぶんせき」と読む人もいます。

社内や取引先との間で、どちらかに揃えておくと、会議で聞き返す手間がなくなります。

資料の中の表記も、1通りに揃えておきます。社内の資料を検索したときに、同じ語で見つかるようになります。

Q. 3C分析やSWOT分析とは、どちらを先に使えばよいですか。

先に使うのは、3C分析やSWOT分析です。顧客、競合、自社の状況を整理して、売る相手と言うことを決めてから、4P分析で売り方を揃えます。

すでに売っている商品がある場合は、4P分析から始めて、食い違いを見つける使い方もできます。

どちらから始めても、最後に決めることは同じです。直すページを1つ決めるところまで進めば、順番の違いは小さな問題になります。その場合も、食い違いを直す途中で、3C分析の顧客の欄が役に立ちます。

Q. サービス業のように、形のないものでも4P分析は使えますか。

使えます。製品の欄には、サービスの中身と、受けたあとに手に入る変化を書きます。

流通の欄は、サービスを受けられる場所と手段です。来店、訪問、オンラインなど、お客様がサービスを受け取る経路を書きます。この記事のA社、B社も、形のないサービスの例です。

サービス業の場合、製品の欄が抽象的になりがちです。抽象的になったと感じたら、お客様が受けたあとに口にする感想を、そのまま書きます。

感想の言葉は、そのままサイトの見出しにもなります。形のないものほど、お客様の言葉で書く効果が出ます。

Q. 価格の欄には、金額を書いたほうがよいですか。

この記事の使い方では、金額は別の資料に持たせて、価格の欄には決め方と含まれる範囲を書きます。

金額を書くと、表の話し合いが金額の議論になり、他の欄との食い違いの確認が進まなくなります。サイトの料金のページでも、金額より先に決め方を説明するほうが、お客様の迷いが減ります。

金額を載せるかどうかは、4P分析とは別に、料金のページの方針として決めます。決めた方針は、価格の欄の隣にメモしておくと、後から見た人が迷いません。

Q. 4P分析は、どのくらいの間隔で見直せばよいですか。

目安は、3か月に1回です。サービスの中身や、受付の方法を変えたときは、そのたびに照らし直します。

変えた欄が1つでも、他の欄との食い違いが生まれるからです。

小さな変更ほど、照らし直しを忘れがちです。受付の時間を変えただけでも、流通の欄が変わっています。欄を変えた日に、6組の問いに答えるだけで済みます。

見直しの日を、カレンダーに先に入れておくと、忙しい時期にも続きます。見直しの内容は、食い違いのメモの「はい」「いいえ」を書き直すだけです。

まとめ

4P分析は、製品、価格、流通、販促の4つの欄で、売り方を整理する方法です。コトバンクに収録されているブリタニカ国際大百科事典 小項目事典によると、4つのPの関係は相互に依存していて、優先順位はありません。

そのため、表を埋めるだけでは、直す場所は決まりません。欄と欄を2つずつ照らして、食い違いを見つけるところから、直す場所が見えてきます。

食い違いには、言葉、相手、約束、手間の4種類があります。種類が分かると、先に直すページが決まります。

中小企業の場合、直すページは、自社のホームページの中にあります。製品は紹介ページ、価格は料金のページ、流通は予約の導線、販促はトップページと広告の飛び先に対応します。

4Cの言葉を物差しにすると、欄の言葉がお客様の言葉に近づきます。近づいた言葉は、そのまま見出しの案になります。

直すページは、1つに絞ります。1週間で1ページ、4週間で4つの欄が揃います。

全部を完璧に揃える必要はありません。お客様が最初に離れる場所を1つ直すだけで、次の週にどこを直すかが、はっきり見えてきます。

総務省の令和7年通信利用動向調査では、インターネット利用者の77.5%が検索サービスを使い、60.7%が商品やサービスの購入や取引をしていました。お客様は、検索して、サイトで約束を確かめています。サイトのページに食い違いがあれば、確かめた瞬間に気づかれます。

今日できる点検

点検すること 確かめ方 足りないとき
4つの欄を、お客様に見える言葉で書いたか 欄の1行を、そのままサイトに載せられるか声に出す 社内の言葉を、問い合わせの言葉に直す
各欄の根拠になる記録があるか 根拠の列が埋まっているか見る 問い合わせのメモを5件集める
6組の組み合わせを照らしたか 食い違いのメモの「はい」「いいえ」を数える 空の行の組を、今日中に照らす
食い違いの種類を書いたか 言葉、相手、約束、手間のどれかを書く 種類が決まらない行は、2つ書いてよい
広告の飛び先の最初の1行が、製品の紹介と同じ言葉か 広告とページを並べて読む 最初の1行を、製品の紹介の言葉にそろえる
料金のページに、金額より先に決め方があるか 料金のページの先頭を読む 決め方と含まれる範囲の説明を足す
予約や問い合わせの手段が、約束した範囲と合うか 最初の画面で、頼める人と頼めない人が分かるか見る 受付の条件を最初の画面に書く
今週直すページを1つ決めたか 直すページの一覧の1行目を見る お客様が最初に離れる場所を選ぶ

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合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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