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  3. 3C分析のやり方と例 表を埋めたのに決まらない人がHPの最初の一文を決める手順

3C分析のやり方と例 表を埋めたのに決まらない人がHPの最初の一文を決める手順

2026 10/25
2026年10月25日
中野輝規
3C分析のやり方と例 表を埋めたのに決まらない人がHPの最初の一文を決める手順

3C分析をやってみた。顧客、競合、自社の3つの欄は、ひと通り埋まった。それなのに、ホームページで何を一番上に書けばいいのかは、少しも決まらない。

この記事は、そんな状態で止まっている中小企業の経営者とWeb担当の方に向けて書きました。

結論から言うと、表が埋まっても決まらない原因は、欄に入れている言葉の種類にあります。入れる言葉を3か所だけ書き換えると、表の最後に「トップページの最初の一文」が1つ残ります。

目次

先に答え:3C分析は「ホームページで何を一番上に書くか」を決める道具として使う

3C分析とは、顧客、競合、自社の3つを並べて、自社がどこで選ばれるのかを見つける整理の方法です。

大企業の経営会議では、新規事業に進むかどうかの判断材料として使われます。中小企業のホームページ担当者が同じ使い方をしても、判断に使える材料は出てきません。

中小企業が3C分析から取り出したいのは、市場の全体像よりも、たった1つの答えです。初めてホームページを開いた人に、一番上で何を約束するのか。

その答えは、次の3つの書き換えで出てきます。

欄 よくある埋め方 書き換えた埋め方
顧客 年齢、職業、年収などの属性 来る前に困っていることと、検索した言葉
競合 近くの同業者の社名の一覧 相手のサイトが一番上で約束していること
自社 できること、歴史、強みの一覧 顧客の困りごとのうち、競合が約束していなくて自社が答えられること

3つの欄を書き換えて並べると、顧客が困っていて、競合がまだ約束していなくて、自社が答えられることが残ります。それがそのままトップページの最初の一文の材料になります。

この記事で答える4つのこと

次の4点を、順に書きます。

  1. 3C分析の表を埋めても何も決まらなくなる、5つの症状
  2. 顧客、競合、自社の3つの欄を、ホームページ向けに書き換える方法
  3. 表の結果から「トップページの最初の一文」を1つ決める手順
  4. 業種ごとの書き換えの例と、書いた後の点検の仕方

トップページの最初の一文とは何を指すのか

ここで言う「最初の一文」は、ホームページを開いた人の画面に最初に出る、大きな見出しや一行の説明のことです。キャッチコピーと呼ばれる部分に近いものです。

訪れた人は、この一文を読んで、自分の用件がここで済みそうかどうかを数秒で決めます。ここで合わないと感じられると、下のページにどれだけ良い内容を書いていても、読まれません。

たとえば、小ロットの金属加工を請け負う会社なら、次のような違いが出ます。

一文の種類 例 読んだ人の受け取り方
強みの列挙 高い技術力と丁寧な対応で、お客様の信頼にお応えします どの会社にも書ける。違いが分からない
顧客の困りごと入り 試作を1個だけ頼める先が見つからない方へ。図面の相談から受けます 自分の話だと分かり、先を読み進める

右側の一文は、顧客の欄、競合の欄、自社の欄の3つが揃って初めて書けます。表の目的は、この一文を作ることです。

確かめた出典と、書かない範囲

公的な統計は、中小企業庁の「2026年版中小企業白書」を2026年10月25日に開いて、図表の元データまで確かめた数字だけを使います。

費用の話は書きません。実在する会社の名前も出しません。

業種ごとの書き換えの例は、よくある型として私が書いた例文です。実在する会社の表ではありません。

Q&Aサイトで見た「顧客の欄に何を書けばいいのか」という問い

先日、Q&Aサイトでこのような悩みを拝見しました。原文は載せず、要点だけを書き直して紹介します。

質問者さんは、有名な大手企業を3C分析するとき、顧客の欄にはどんなことを書けばいいのか、と尋ねていました。

つまり、3つの欄の名前は知っていても、顧客の欄に入れる中身が分からない、という悩みです。

寄せられた回答は、たった一言だった

この質問に付いていた回答は、短いものが1つでした。内容は「商品の評価」を書く、というものです。

間違いではありません。商品がどう評価されているかは、顧客の欄に入る材料のひとつです。

ただ、この一言だけでは、質問者さんが明日から表を埋められるようにはなりません。評価をどこで集め、どんな形で書くのかが、まだ見えないからです。

この質問から見える2つの疑問

私がこの質問から読み取ったのは、次の2つです。

1つ目は、欄に入れる言葉の種類が分からない、という疑問です。「顧客」と書かれた枠に、年齢を入れるのか、評価を入れるのか、悩みを入れるのかで、表の使い道が変わります。

2つ目は、表を埋めたあとに何をするのかが分からない、という疑問です。質問者さんの文面は、表を埋める手前で止まっていました。けれども、この手前の迷いを抜けた人の多くが、次に「埋めたけれど何も決まらない」という壁に当たります。

この記事は、その2つ目の壁を越えるための手順です。

質問を、中小企業の場面に置き換える

この質問を、自社のホームページを直したい担当者の言葉に置き換えると、次のようになります。

「顧客の欄に何を書けば、ホームページの文章が決まるのか」。この形にすると、欄の名前の問題から、欄に入れる中身の問題に移ります。

中身の問題は、書く言葉の種類を決めれば解けます。年齢や職業を書くのか、評価を書くのか、悩みを書くのか。ホームページの一文を決めたい場合は、悩みと、悩んだときに検索する言葉です。

その理由を、この記事の中ほどで公的な統計を使って確かめます。

大手企業の例と、中小企業の表は役目が違う

質問者さんが挙げたのは、世間によく知られた大手企業でした。大手企業の3C分析は、調査会社のデータや社内の販売記録が揃っている前提で行われます。

中小企業の手元にあるのは、問い合わせのメールと、商談のメモと、ホームページのアクセス数くらいです。同じ表を使っても、中身の作り方が違います。

作り方が違えば、表から取り出すものも変わります。大手企業は事業の方針を取り出し、中小企業はホームページの最初の一文を取り出す。これが、この記事の立場です。

3C分析とは:3つの欄に入れるものを短く確認する

ここで、3C分析の基本を短く確認します。すでにご存じの方は、次の見出しに進んでください。

3C分析は、顧客、競合、自社を英語にしたときの3つの頭文字Cをとった呼び名です。経営コンサルタントの大前研一氏が提唱した枠組みとして広く知られています。

3つを別々に調べるより、「顧客の求めていることに、競合と自社がそれぞれどう応えているか」という関係で見るのが、この表の使い方です。

3つの欄の定義と、解説でよく見る書き方

上位の解説の大半は、3つの欄を次のように説明しています。

欄 一般的な説明 解説でよく見る調べ方
顧客 市場の規模、成長性、顧客のニーズや購買動機 統計データ、アンケート、市場調査
競合 競合の強み、弱み、売上、シェア、戦略 競合の公開情報、決算資料、サイトの観察
自社 自社の経営資源、強み、弱み 社内の数字、社員へのヒアリング

この説明自体は正しいものです。ただ、これをそのまま中小企業のホームページ担当者が実行すると、市場規模や競合の売上という、手が届かない情報を集めるところから始まってしまいます。

3つの関係を、1つの文で言うと

3C分析の中身を1つの文にまとめると、次の形になります。「顧客が困っていて、競合がまだ応えていなくて、自社なら応えられること」。

この文の主語は、顧客です。顧客が困っていなければ、競合が応えていないことにも、自社が応えられることにも、意味がありません。

そして、この文の最後の部分が、ホームページの一番上に置く約束になります。3つの欄は、この1文を作るための材料置き場だと考えると、欄ごとに集める情報の範囲が絞れます。

材料置き場としての表は、広く集めるほど役に立つわけではありません。1文に使わない情報は、集めた時点で余計な荷物になります。この点は、後の章で何度か戻ってきます。

3C分析の「やり方」は、目的で形が変わる

3C分析のやり方に唯一の正解はありません。新規事業を検討するなら市場規模が要りますし、既存の事業の見せ方を直すなら、市場規模はほとんど要りません。

この記事は後者です。すでにある事業の、ホームページの見せ方を決める。そのために、3つの欄に入れる言葉を、目的に合わせて選び直します。

上位の解説と、この記事の違い

3C分析の検索結果の上位を、2026年10月25日に確認しました。見出しの並びは、定義、3つの欄の説明、手順の5つのステップ、大企業の例、テンプレートの配布、という構成が中心でした。

どれも、表の作り方としては正しい内容です。けれども、表を作ったあとに、ホームページの何をどう変えるのかまでは、書かれていないものが大半でした。

この記事は、定義と作り方を短く済ませて、そこから先の「トップページの最初の一文を決める」ところまでを手順にしています。

「テンプレート」と「例」について

3C分析のテンプレートは、3列か3段の空欄を埋める形のものがほとんどです。この記事では、空欄の枠そのものは配りません。

代わりに、欄ごとに「何を聞き、どんな形で書くか」を、表にして示します。枠は自分で引けても、欄に入れる言葉の選び方は、引けないからです。

また、例は業種ごとの型で示します。製造業、士業、飲食店、工務店の4つです。自社に近い型を1つ選び、書き換えの前と後を見比べてください。

3C分析の表を埋めても何も決まらない5つの症状

自社の表に、次の症状が出ていないか見てください。ひとつでも当てはまれば、欄に入れる言葉がホームページの役に立たない種類になっています。

症状 表の中で起きていること ホームページに出る結果
顧客の欄が年齢や職業の説明で終わる 属性は並ぶが、困っている場面が書かれていない 誰にでも当てはまる見出しになる
競合の欄が社名の一覧になる 相手の名前は並ぶが、相手が何を約束しているかが空白 他社との違いが書けない
自社の欄が「技術力」「実績」「丁寧」で埋まる 強みの言葉が、どの会社にも当てはまる形になっている 他社と取り替えても読める文章になる
3つの欄が互いに無関係に書かれている 顧客の悩みと自社の強みが、つながっていない 強みを並べただけのトップページになる
表の最後に結論の欄がない 埋めた後に使う場所が決まっていない 資料として保存されて終わる

どの症状も、担当者の怠慢から起きているわけではありません。解説の通りに真面目に埋めると、自然にこうなります。

症状の根っこは、すべて「言葉の種類」にある

5つの症状を並べると、共通点が見えてきます。欄に入っている言葉が、社内で使っている整理の言葉になっていて、お客様の頭の中にある言葉になっていないことです。

属性、社名、強みという言葉は、社内の会議では便利です。ところが、ホームページを開いた人は、そんな言葉で自分の悩みを考えていません。

だから、表の言葉をそのままページに持ち込んでも、読む人には何も響きません。3つの欄の言葉を、お客様が検索する言葉と、お客様が競合のページで目にする言葉に直す必要があります。

自社の表を見分ける3つの質問

自社の表がどの症状に当てはまるのか、次の3つの質問で見分けられます。

1つ目は、顧客の欄の言葉を、そのまま検索窓に入力できるかどうかです。入力して意味が通じなければ、それは属性の説明です。

2つ目は、競合の欄の言葉を見て、相手のサイトのどこに書いてあるのかを指させるかどうかです。指せなければ、頭の中のイメージで書いています。

3つ目は、自社の欄の言葉を競合の社名に置き換えて、そのまま読めてしまうかどうかです。読めてしまうなら、強みとは呼べません。

この3つの質問は、30分で終わる

3つの質問に答えるだけなら、新しい調査は要りません。手元の表と、検索窓と、競合のホームページを2つ開けば足ります。

答えが「はい」と言える欄がひとつもない場合は、表を作り直す必要はありません。同じ表の中で、欄の言葉を3か所だけ書き換えます。次の章から、その書き換えの理由と手順を順に書きます。

表を埋めた人が、次に陥りやすい行動

表が埋まったのに何も決まらないとき、担当者は次のどちらかに進みがちです。

1つは、調査を増やす道です。市場規模の数字や、競合の売上を調べ直し、表をさらに細かくします。細かくなるほど、表は資料らしく見えますが、ホームページの一文には近づきません。

もう1つは、別の分析手法に移る道です。3C分析で決まらなかったから、強み弱みを並べる別の表を試す。ここでも、欄に入れる言葉の種類が変わらなければ、同じところで止まります。

どちらの道も、原因を「分析の量や種類」に置いています。原因は、欄に入れた言葉の種類にあるので、調査を増やしても、手法を替えても、決まるようにはなりません。

このあとの章の読み方

時間がない方は、次の表の「書き換える欄」の章だけを読んでも、手順は追えます。

知りたいこと 読む章 かかる時間の目安
なぜ決まらないのかの背景 解説どおりに埋めると決まらない理由 5分
顧客の欄の書き換え 顧客の欄を、来る前に困っていることで埋める 10分
競合の欄の書き換え 競合の欄を、相手のサイトの一番上で埋める 10分
自社の欄の書き換え 自社の欄を、競合が約束していないことで埋める 10分
最初の一文の決め方 トップページの最初の一文を1つ決める手順 15分
自社に近い例 業種の型で見る前と後 5分

全部を通して実際に手を動かすと、1日あれば最初の一文の候補までたどり着きます。余裕があれば、1週間に分けて進める計画も、最後の章に載せています。

解説どおりに3C分析を埋めると、なぜ決まらないのか

表が埋まっても決まらないのは、担当者の力不足から起きるわけではありません。解説の通りに進めたときに、誰にでも起きる構造の問題です。順に整理します。

欄の枠が、社内の整理の言葉を誘う

3C分析のテンプレートは、顧客、競合、自社という見出しの下に、空欄が並んでいます。空欄を前にすると、人は思いつきやすい言葉から埋めていきます。

顧客の欄なら年齢や職業、競合の欄なら近所の同業者の名前、自社の欄なら創業年や設備や実績。どれも手元にあって、すぐ書ける言葉です。

すぐ書ける言葉は、社内の会議では通じます。ただ、ホームページを開く人の頭の中にある言葉とは、種類が違います。

欄の見出し 空欄を見て思いつく言葉 ホームページで要る言葉
顧客 30代から50代、経営者、都内在住 試作を1個だけ頼める先が見つからない
競合 近所の同業のA社、B社、全国チェーンのC社 量産対応と短納期を、トップの1行目で約束している
自社 創業40年、設備が充実、丁寧な対応 図面がなくても、電話1本で相談を受ける

左の列を右の列に変えるために、特別な調査は要りません。聞く相手と、見る場所を変えるだけです。この点は、次の章から手順で示します。

大企業の例を真似ると、手が届かない情報から始まる

3C分析の解説に載っている例は、ほとんどが大企業です。大企業の例は、市場規模、シェア、売上の推移といった数字で埋まっています。

中小企業が同じ表を作ろうとすると、まず市場規模を調べることになります。調べても、自社が戦う地域や客層に絞った数字は、手に入りにくいものです。

数字を探す作業に時間を使い切ると、肝心の「お客様が何に困っているのか」を確かめる時間が残りません。

大企業の例は、表の形を知るためには役に立ちます。中身の作り方は、別に考える必要があります。

目的が「分析」で止まり、「一文」まで届かない

解説の多くは、3C分析の目的を「戦略の方向性を決めること」や「成功要因を見つけること」と説明しています。

目的が大きいほど、表の最後が「方向性が見えた」という感想で終わります。ホームページの何を変えるのかは、担当者が自分で考え直すことになります。

この記事では、目的を小さく決め直します。表の最後に出す答えは、トップページの最初の一文です。出口が具体的になると、欄に入れる言葉の選び方も具体的になります。

公的な統計で見る、中小企業が外部環境に求めているもの

欄に入れる言葉の種類を決めるとき、私の感覚だけに頼りたくはありません。そこで、中小企業庁が2026年4月に閣議決定した「2026年版中小企業白書」を開いて、関係する調査結果を確かめました。

確かめたのは、第2部第2章の図表です。調査は、帝国データバンクが実施した「令和7年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」で、図表の元データ(表計算ファイル)まで開いて、数字を読み取りました。

事業を考えるとき、顧客のニーズや課題が最も重視されている

白書の第2-2-44図は、経営戦略や新規事業を検討するとき、どの外部環境の要素を重視するかを聞いたものです。

白書は、この図について次のように書いています。「これを見ると、業種に関わらず、「顧客のニーズ・課題」と回答した事業者が最も多く」。

重視する外部環境の要素 製造業(回答2,837社) 非製造業(回答9,378社)
顧客のニーズ・課題 80.4% 71.9%
競合他社の特徴・動向 46.2% 45.6%
対象市場の規模・成長性 48.0% 41.3%
顧客の属性・購買行動 31.0% 29.0%

出典は、中小企業庁「2026年版中小企業白書」第2-2-44図です。複数回答のため、合計は100%になりません。

非製造業の場合、顧客のニーズ・課題を重視する事業者は71.9%で、顧客の属性や購買行動を選んだ29.0%の2倍を超えています。

3C分析の表に、この順位を当てはめる

この結果を、3C分析の欄に当てはめます。顧客の欄の中身として、中小企業が最も重視しているのは、ニーズと課題です。属性や購買行動は、その次です。

ところが、解説やテンプレートで顧客の欄を見ると、最初に出てくるのは年齢、性別、職業といった属性の項目です。重視している順位と、表が誘導する順位が逆になっています。

だから、表を埋めても、重視している情報が欄の中に入っていない状態が起きます。

競合については、非製造業で45.6%、製造業で46.2%が「競合他社の特徴・動向」を重視しています。重視されているのは相手の特徴と動きで、社名の数は問われていません。

自社の強みを見つけた方法は、顧客や取引先に聞くことが最も多かった

もう1つ、第2-2-43図は、他社との差別化につながる自社の強みや特徴を見つけるために、有効だった取組を聞いたものです。

有効だった取組 回答した事業者の割合(回答11,252社)
顧客・取引先へのアンケートやヒアリング 36.3%
社内でのディスカッション 32.3%
社内データ(販売、顧客データ等)の分析 27.3%
他経営者との意見交換 26.0%
外部イベント(業界セミナー・展示会等)への参加 17.1%
支援機関の活用 9.0%

出典は、中小企業庁「2026年版中小企業白書」第2-2-43図です。差別化で重視している要素について、「特に差別化を重視していない」と答えた事業者以外に聞いた結果で、複数回答です。

白書は、この結果について「顧客・取引先へのアンケートやヒアリング」と回答した事業者が最も多いと説明しています。

自社の強みを見つける作業でも、顧客に聞くことが最も効いたということです。社内の会議だけで強みを決めるより、顧客の言葉を入口にするほうが、実際に役立った事業者が多かったことになります。

数字の読み方の注意

この調査は、事業者の回答を集めたものです。顧客のニーズを重視したから業績が良くなった、と言い切れる資料ではありません。

白書は別の図で、差別化と外部環境を重視している事業者のほうが、付加価値額の変化率の中央値が高いと述べています。ただし、これは回答の比較です。重視したから増えたと決められる資料ではないと、私は読んでいます。

この記事で使うのは、あくまで「中小企業が実際に何を見て経営を考えているか」という実態の部分です。表の欄に入れる言葉の優先順位を決めるための、傍証として読んでください。

大企業と中小企業では、表を読む人が違う

3C分析の表は、読む人によって求められる中身が変わります。ここを取り違えると、表が立派でも使い道がなくなります。

比べる点 大企業の経営会議 中小企業のホームページ担当
表を読む人 役員、事業部長 初めてホームページを開いた人
表の使い方 投資や撤退の判断材料にする 一番上に置く言葉を決める材料にする
欄に入れる情報 市場規模、シェア、売上 困りごと、検索した言葉、相手の約束
出口 事業の方針 トップページの最初の一文

大企業の使い方は、表を読む人が判断を下す立場にあるから成り立ちます。中小企業のホームページでは、表を読む人はいません。表から取り出した一文だけが、お客様の目に触れます。

表を作る目的が変われば、欄の言葉も変わります。ここまでが、表が埋まっても決まらない構造の説明です。

同じ表でも、誰が埋めるかで中身が変わる

担当者が1人で、パソコンの前で埋めた表は、どうしても手元の資料と思い込みで書かれます。

顧客のことは営業の人が一番知っていて、競合のことは、実際に比較されている場面を見ている人が知っています。自社のことは、現場で顧客の反応を見ている人のほうが、社長よりも具体的に語れる場合があります。

表を1人で埋めずに、営業と現場に10分ずつ話を聞いてから書くだけで、欄の中身は具体的になります。聞く内容は、この後の章で、欄ごとに示します。

顧客の言葉を使うことは、お客様に迎合することではない

顧客の言葉を欄に入れると言うと、お客様に合わせすぎて会社の個性が消えるのではないか、と心配する方がいます。

顧客の言葉を使うのは、入口の部分だけです。最初の一文でお客様の困りごとを、お客様の言葉で言い当てる。その後ろで、自社が何をどう引き受けるのかを、自社の言葉で書きます。

入口を合わせることは、お客様に媚びることとは違います。話を聞いてもらうための、最低限の礼儀です。個性は、入口の後ろの、答え方の部分に出します。

競合の欄が社名の一覧になる理由

競合の欄に社名を並べるのは、最も手軽に埋められるからです。「競合」と見出しに書かれていれば、ライバルの名前を書きたくなります。

社名の一覧は、事実としては正しい情報です。しかし、社名からは、相手が何を約束しているのかが読み取れません。

他社との違いを書くには、相手が何を言っているのかを知る必要があります。その材料は、相手のホームページの一番上に書かれています。調べる場所と見方は、競合の欄の章で説明します。

属性と困りごとは、何が違うのか

属性と困りごとの違いは、同じお客様を2つの言葉で描いてみると分かります。

項目 属性で描いた場合 困りごとで描いた場合
書き方 45歳の男性、機械メーカーの購買担当 試作を1個だけ頼みたいのに、小ロットは断られると聞いて困っている
同じ属性の人の数 無数にいる 同じ状況の人は限られる
見出しにしたとき 機械メーカーの購買担当者様へ 試作を1個から頼める先をお探しの方へ
読んだ人の反応 自分に向けた言葉か分からない 自分のことだと分かる

属性は、同じ属性の人全員に当てはまる言葉です。だから、特定の1人の悩みには届きません。

困りごとは、その状況にある人だけに当てはまります。範囲は狭くなりますが、当てはまる人には強く届きます。

検索した言葉は、困りごとの記録になる

顧客の困りごとを集める方法として、検索した言葉が役に立ちます。検索窓に打ち込まれた言葉は、お客様が自分の悩みを自分の言葉で表した、数少ない記録だからです。

たとえば、相続の手続きで困っている人は、「相続 何から」「亡くなった後 銀行 手続き」といった言葉を入れます。専門家が使う「遺産分割協議」という言葉は、最初の段階では出てきません。

この言葉の差が、ホームページの一文が読まれるかどうかを分けます。お客様の言葉で書かれた一文は、検索結果の説明文でも、トップページの見出しでも、自分のことだと受け取られます。

手元にある材料の棚卸し

顧客の言葉を集めるのに、新しい調査は要りません。すでに手元にある材料が、十分な量になっていることが多いからです。

材料 集まる言葉 集め方
問い合わせのメールや電話のメモ お客様が最初に書いた困りごと 直近20件の最初の1〜2行を書き写す
商談の最初の5分のメモ 相談の入口になった言葉 担当者に、よく聞かれる質問を3つ挙げてもらう
Googleのサーチコンソールの検索語 自社のページに来た人が打った言葉 検索パフォーマンスの一覧を、上位30件見る
検索窓の候補と、関連する質問 まだ自社に来ていない人の言葉 業種名や商品名を入れて、出てくる候補を写す
Q&Aサイトの質問 一般の人が書く、困りごとの文章 業種名を入れて、質問の1行目を読む

最初から全部を集める必要はありません。手元の問い合わせ20件と、サーチコンソールの検索語30件があれば、顧客の欄は書き始められます。

材料が少ない会社の場合

問い合わせが月に数件しかない会社や、開業して間もない会社は、材料が足りないと感じるかもしれません。

その場合は、検索窓の候補とQ&Aサイトの質問を中心に集めます。実際に自社に来た言葉でなくても、同じ悩みを持つ他の人が書いた言葉は、顧客の言葉として使えます。

また、直近で受けた商談や見積もりの依頼を担当者に思い出してもらい、お客様が最初に言ったことを3つ挙げてもらうだけでも、書き出しには十分です。材料が少ないことは、表を作らない理由になりません。

表の欄は、お客様に聞かれる順に並べ直す

3C分析の表は、顧客、競合、自社の順に欄が並んでいます。この並びは、調べる順番としては自然です。

ただ、お客様がホームページを開くときの頭の中は、順番が違います。最初に浮かぶのは自分の困りごとで、次に「他の会社ではどうなのか」を考え、最後に「この会社は何をしてくれるのか」を知りたくなります。

表の欄の順番は、そのままお客様の思考の順番と重なります。顧客、競合、自社の並びを守って埋めれば、完成した表を上から読むだけで、トップページの文章の流れになります。

お客様の頭の中 対応する欄 トップページで答える場所
自分は何に困っているのか 顧客の欄 一番上の呼びかけ
他の会社は何と言っているのか 競合の欄 見出しで使わない言葉を決める
この会社は何を引き受けてくれるのか 自社の欄 一文の後半と、その下の根拠

欄の並びと、お客様の思考の順番が一致していることは、この方法のよい点です。解説の枠を壊さずに、中身の言葉だけを書き換えられます。

表を埋める前に、先に決めておくこと

書き換えの手順に入る前に、3つだけ決めておくと、手戻りが減ります。

決めること 決め方の例 決めないとどうなるか
対象にするサービスは1つ 一番問い合わせを増やしたいサービスを1つ選ぶ 欄が広がりすぎて、一文が絞れない
対象にするお客様の場面は1つ 問い合わせの多い相談の入口を1つ選ぶ 困りごとが混ざって、見出しが曖昧になる
表を埋める期間は1日か1週間 1日で一文の候補まで出すか、1週間に分けるかを決める いつまでも資料づくりが終わらない

サービスが複数ある会社は、1つずつ別の表を作ります。1つの表に複数のサービスを入れると、顧客の欄の困りごとが混ざり、最後の一文が決まらなくなります。

最初は、一番問い合わせを増やしたいサービスだけで構いません。1つ作れば、残りは同じ手順で短時間で作れます。

完璧な表は、最初から目指さない

初めて書き換える表は、粗くて構いません。顧客の欄が3行、競合の欄が5社分の1行ずつ、自社の欄が3行あれば、一文の下書きは書けます。

書いた一文を、実際にホームページに載せて、問い合わせの変化を見ながら直していくほうが、机の上で表を磨くよりも早く正解に近づきます。

粗い表で一文を出し、反応を見て表に戻る。この往復を前提にして、次の章に進んでください。

よくある間違った3C分析の進め方と、その末路

3C分析がホームページの役に立たなくなる進め方には、いくつかの決まった型があります。どれも真剣に取り組んだ結果として起きるので、自分がどの型に近いのか、確かめてみてください。

間違いの型 進めている途中で起きること たどり着く末路
大企業の例の順に、市場規模から調べる 数字集めに時間がかかり、お客様に聞く時間が残らない 立派な資料ができて、トップページは変わらない
競合を社名で並べ、相手の強みを真似る 他社と同じ言葉が自社のページにも並ぶ 違いが見えなくなり、価格で比べられる
自社の強みを社内の会議だけで決める 社長と担当者が思う強みが書かれる お客様が知りたいことと、ずれたまま公開される
3つの欄を埋め終わってから結論を考える 埋める作業が目的に変わる 結論の欄が空のまま、表が保管される
手法やテンプレートを次々に増やす 表の数だけ増えて、一文が決まらない 担当者が疲れて、見直しが止まる

間違い1:市場規模の数字から調べ始める

解説の通りに顧客の欄から進めると、最初の項目は「市場規模」や「成長性」です。担当者は、業界団体の資料や調査会社のレポートを探し始めます。

数字は見つかりますが、自社の客層に絞った数字にはなりません。たとえば地域の工務店が全国の住宅市場の規模を調べても、その数字はトップページの一文に何も足してくれません。

数字集めに2週間かけた担当者が、「結局、何を書けばいいのか分からない」と表を閉じる。この型は、中小企業で一番よく見かけます。

起きる末路

市場規模の欄が埋まった時点で、担当者はひと仕事を終えた気持ちになります。ところが、次に開くホームページの画面は、1週間前と同じです。

調べた数字がページのどこにも出てこないので、「分析はしたが、役に立たなかった」という感想だけが残ります。この感想が、次に別の分析を始める気持ちを下げます。

間違い2:競合を社名で並べ、相手の強みを真似る

競合の欄に近所の同業者の名前を並べ、各社のホームページを見て、強みを書き写す。ここまでは正しい作業です。

問題はその後です。相手の強みとして書き写した言葉を、自社の欄にも似た形で書いてしまう。「品質が高い」「納期が早い」「丁寧な対応」が、両方の欄に並びます。

競合が言っていることを自社も言い始めると、お客様から見て2社の違いはなくなります。違いが見えなくなった市場では、最後に残る比べる材料は価格だけです。

競合調査の落とし穴は、別の記事でも整理しています

競合ばかりを見て、目の前のお客様を見なくなる落とし穴については、「BtoB競合調査の罠:他社ばかり見て「目の前の顧客の現実」を見ていない経営者たち」で書いています。

この記事では、競合を見るのは、あくまで「相手がまだ約束していないこと」を見つけるためだと決めて進めます。

間違い3:自社の強みを社内の会議だけで決める

自社の欄は、社内で一番書きやすい欄です。創業年、設備、資格、実績など、書ける材料がいくらでもあります。

ところが、社内の会議で出る強みは、作る側の視点で選ばれたものです。お客様が選んだ理由と一致しているとは限りません。

白書の調査でも、強みを見つけるために有効だった取組は、顧客や取引先へのアンケートやヒアリングが36.3%で最も多く、社内でのディスカッションは32.3%でした。社内だけで決めた強みは、答えの半分しか見ていない可能性があります。

起きる末路

社内で決めた強みをトップページの一番上に置くと、お客様の側から見て「自分の悩みに答えている」とは感じられません。

アクセスはあるのに問い合わせが増えない、という状態が続くと、担当者は「ホームページのデザインが悪いのかもしれない」と考え始めます。原因は見た目よりも、一番上の言葉にあるのですが、そこに気づくまで時間がかかります。

間違い4:3つの欄を埋め終わってから、結論を考える

解説の手順は、「顧客を調べる、競合を調べる、自社を調べる、成功要因を見つける、戦略を立てる」という流れです。

この順に進めると、埋める作業に集中しすぎて、結論の段で気力が残りません。また、結論を最後に考えると、欄に入れた言葉が結論につながるのかを、確かめる機会がありません。

結論を先に決める方法もあります。「トップページの最初の一文を決める」という出口を先に置き、一文の材料になるものだけを欄に集めます。この順にすると、集める情報の範囲が自然に絞れます。

間違い5:手法やテンプレートを次々に増やす

3C分析で決まらなかったとき、別の分析手法に移る方がいます。強み弱みを並べる表、市場の環境を見る表、4つの切り口で商品を見る表など、手法の数は多いです。

手法を増やすと、表の数が増えて、資料が厚くなります。それでも、各表の欄に入れる言葉の種類が変わらなければ、結論は決まりません。

この記事の方法は、新しい手法を足す話ではありません。3C分析の欄に入れる言葉を3か所書き換える話です。手法を1つ追加するより、いまある表の欄を直すほうが、早く結論に届きます。

担当者がつまずく本当の理由は、表を終わらせようとすること

3C分析に限らず、解説に沿った作業は「全部の欄を埋めること」がゴールになりがちです。埋まった欄の数は目に見えるので、進んでいる実感も得られます。

しかし、ホームページの成果は、欄が何個埋まったかでは決まりません。トップページの一番上が変わったかどうかで決まります。

進み具合を測る単位を、欄の数から「一文の候補の数」に替えると、作業の向きが変わります。1日の終わりに、候補が1つ増えていれば、その日は前に進んでいます。

表に3週間かけた担当者の、よくある経過

ここで、よくある経過を1つ、型として書きます。特定の会社の話ではありません。複数の相談に共通する流れを、1つにまとめたものです。

製造業の中小企業で、ホームページ担当に任命された社員が、3C分析のテンプレートを見つけます。1週目に市場規模を調べ、2週目に競合5社のサイトを見て強みを書き写し、3週目に自社の強みを社長に聞いて欄を埋めました。

表は完成しました。しかし、見直してみると、競合5社の強みと自社の強みが、ほとんど同じ言葉で並んでいます。

トップページの一番上は、3週間前と同じ「高い技術力でお応えします」のままでした。3週間の作業が、ページには1文字も反映されていません。

間違いが続いたときに、ホームページ側に出る兆候

間違った進め方で作ったトップページには、いくつかの兆候が出ます。数字の大きさは会社ごとに違うので、前の月との比較で見てください。

見る場所 起きやすい変化 考えられる理由
トップページから次のページへの移動 最初のページで閉じる人が多い 一番上の言葉が、自分の用件と合わないと判断された
サービス紹介ページの閲覧 見られてはいるが、問い合わせフォームまで進まない 他社と何が違うのかが、読み取れない
問い合わせの内容 「とりあえず見積もりを」という連絡が多い 違いが伝わらず、価格だけで比べられている
検索で来た言葉と、ページの一番上の言葉 2つがずれている 社内の言葉でページが書かれていて、顧客の言葉が入っていない

最後の兆候は、サーチコンソールの検索語と、トップページの見出しを並べて見ると確かめられます。検索語に含まれる言葉が見出しに1つも出てこない場合は、書き換える余地が大きい状態です。

間違いが続くと、社内で起きること

表を作っても何も決まらない経験を繰り返すと、社内に「3C分析は役に立たない」という空気が生まれます。

すると、次に本当に必要になったとき、顧客や競合を整理する作業そのものが避けられるようになります。欄に入れる言葉の使い方が合っていなかっただけなのに、道具ごと捨てられてしまいます。

だからこそ、次の章からの書き換えは、最初の1回で成果が出る形にしておく必要があります。表を埋める作業は、必ず「トップページの最初の一文」という出口までつなげます。

業種の型で見る:よくある3C分析の表(書き換える前)

書き換えの手順に入る前に、よくある表の様子を、業種ごとの型で見ておきます。いずれも私が書いた例で、実在の会社の表ではありません。

製造業の型(小ロットの金属加工)

欄 よくある埋め方
顧客 機械メーカーの購買担当、設計担当。30代から50代。従業員50名以上
競合 同じ市内の金属加工のA社、B社。県外の大手C社
自社 創業40年。高精度の加工機。熟練の職人。丁寧な対応

士業の型(相続の手続き)

欄 よくある埋め方
顧客 親を亡くした50代から70代の相続人
競合 近隣の行政書士A、司法書士B、税理士法人C
自社 相続専門。実績多数。親身な対応

飲食店の型(地域の洋食店)

欄 よくある埋め方
顧客 30代から40代の家族連れ。近隣に住む人
競合 駅前のレストランA。チェーンのB店
自社 自家製ソース。厳選した食材。アットホームな雰囲気

工務店の型(地域のリフォーム)

欄 よくある埋め方
顧客 40代の持ち家の世帯。地域に住む人
競合 地元の工務店A社。大手のB社
自社 自然素材。高品質。地域密着。アフターフォロー

4つの表に共通する問題

4つの表は、どれも正しい情報で書かれています。嘘は1つもありません。

ただ、4つとも、顧客の欄は属性だけ、競合の欄は社名だけ、自社の欄はどの同業者にも書ける言葉だけです。自社の欄の「丁寧な対応」「親身な対応」「高品質」は、競合の名前に差し替えても、そのまま読めてしまいます。

この4つの表からは、トップページの一文は決まりません。どの欄も、お客様の悩みの場面と、相手が約束している内容を含んでいないからです。

前の章の3つの質問を、4つの表に当てはめる

前の章で挙げた、自社の表を見分ける3つの質問を、これらの表に当てはめてみます。

質問 製造業の型 士業の型
顧客の欄の言葉を、検索窓に入れられるか 「機械メーカー 購買担当」では、何を探している人か分からない 「50代から70代の相続人」では、検索の目的が分からない
競合の欄の言葉で、相手のサイトのどこを指すのか 社名だけで、相手のサイトの何行目か指せない 士業の種類の名前だけで、約束の中身が見えない
自社の欄の言葉を、競合の名前に置き換えて読めるか 「創業40年」「丁寧な対応」は、どの会社にも読める 「実績多数」「親身な対応」は、どの事務所にも読める

3つの質問のどれにも「はい」と答えられない表が、そのまま「よくある表」です。次の章から、同じ業種の型を使って、この表を書き換えます。

各業種の型で、欠けているもの

4つの表で、それぞれ何が欠けているのかを、一言ずつ書きます。

製造業の型には、「図面はあるのに、1個だけの試作を引き受けてくれる先が見つからない」という場面がありません。購買担当者が検索窓に打つ言葉が、どこにも出てこないのです。

士業の型には、相続が起きた直後の「何から手を付ければいいのか分からない」という状態がありません。相続人が最初に調べる言葉も、競合のサイトが一番上で何と言っているかも、欄に入っていません。

飲食店の型には、「小さな子どもを連れて入れる店が見つからない」といった、来店前の困りごとがありません。家族連れという属性は、困りごとの代わりになりません。

工務店の型には、「見積もりを取ったが、何が含まれているのか分からない」という不安がありません。自然素材や高品質という言葉は、その不安への答えになっていません。

欠けているものは、4つとも同じです。お客様が来る前に困っていた場面です。その場面を、次の章から欄に入れていきます。

3C分析の表から一文を決める流れ顧客の困りごと検索した言葉並べる競合の約束トップの1行空白を探す自社の答え証拠つき選ぶ最初の一文1つに絞る

解決策:「売れるサイトはみな謙虚」の考え方で、3つの欄を書き換える

ここまでの原因は、欄に入れる言葉の種類にありました。解決策は、3つの欄の言葉を、ホームページを開く人の側に寄せて書き換えることです。新しい手法を足す必要はありません。

その軸にするのが、私が「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいる考え方です。

謙虚とは、会社を小さく見せることではない

謙虚という言葉は、控えめに振る舞うことだと受け取られがちです。ここでの意味は違います。

会社が言いたいことを一度引いて、お客様が知りたいことに先に答える。この順番を守ることを、謙虚と呼んでいます。

3C分析の欄に当てはめると、会社の側の言葉を欄から引いて、お客様の側の言葉を入れる作業になります。

引き算の基準は、3つの問い

欄に書く言葉を選ぶときは、次の3つの問いを順に当てます。

1つ目は、お客様がその言葉を実際に口にするかどうかです。口にしない言葉は、社内の整理の言葉なので、欄から引きます。

2つ目は、競合のページにも同じ言葉が書かれているかどうかです。書かれているなら、お客様から見て違いにならないので、一番上には置きません。

3つ目は、自社がその言葉の裏づけを、1つでも出せるかどうかです。出せないなら、約束にならないので、欄に残しません。

書き換えの全体の流れ

書き換えは、4つの段で進めます。上から順に、1つの段の結果が次の段の入口になります。

段 やること 欄に書く形 目安の時間
1 顧客の欄を、来る前に困っていることと検索した言葉で埋める お客様の言葉で3行 30分から1時間
2 競合の欄を、相手のサイトの一番上の約束で埋める 相手ごとに1行 1時間
3 自社の欄を、競合が約束していなくて答えられることで埋める 証拠つきで2行 30分
4 3つの欄から、トップページの最初の一文を1つ決める 1文 30分

以降、1つずつ説明します。業種の型は、前の章で見た4つを引き続き使います。

顧客の欄を、来る前に困っていることで埋める

顧客の欄に、属性を書く必要はありません。書くのは、お客様が自社のホームページに来る前に、何に困っていて、何を検索したのかです。

聞く質問は、3つあれば足りる

困りごとを集めるために、営業や現場の担当者、あるいは社長に、次の3つを聞きます。

1つ目は、「お客様が最初の連絡で、最初に言うことは何か」です。電話でもメールでも、最初の1〜2行に、困りごとの本音が出ます。

2つ目は、「お客様は、うちに来る前に他に何を探して、何と比べていたか」です。比べていたものが分かると、お客様の選び方が見えます。

3つ目は、「お客様が、頼む前に一番心配していたことは何か」です。不安は、答えを書くべき場所を教えてくれます。

困りごとを書く3つの型

集めた言葉は、次の3つの型のどれかに当てはまります。欄には、型ごとに1行ずつ書きます。

型 書く内容 例(製造業の型)
場面 困っている具体的な状況 図面はあるのに、1個だけの試作を引き受けてくれる先が見つからない
比較 自社に来る前に探していたもの、比べていたもの 量産専門の工場と、試作専門の小さな工房
不安 頼む前に心配していること 小ロットだと断られる、または割高になるのではないか

3行あれば、顧客の欄は書けています。年齢や職業は、参考として欄の端に書き添える程度で構いません。

検索した言葉を、欄の中に残す

困りごとの下に、お客様が実際に検索しそうな言葉を、かぎ括弧で添えます。

製造業の型なら、「試作 1個 金属加工」「小ロット 切削 依頼」のような言葉です。これらは、サーチコンソールの検索語や、検索窓の候補、Q&Aサイトの質問から拾えます。

検索した言葉は、トップページの一文に入れる単語の候補になります。同じ単語が見出しにあると、検索で来た人は「ここで合っている」と感じます。

検索した言葉の集め方の手順

検索した言葉は、次の順に集めると、30分ほどで10語前後が集まります。

順 やること 見る場所
1 問い合わせの最初の1〜2行から、お客様が使った単語を拾う メール、電話のメモ
2 業種名と困りごとを検索窓に入れ、候補に出る言葉を写す 検索窓の候補
3 検索結果の下に出る、関連する質問を写す 検索結果の画面
4 同じ悩みを書いた質問の1行目を写す Q&Aサイト
5 自社のページに来た検索語を、上位30件確認する サーチコンソール

10語前後に絞ったら、似た言葉をまとめます。たとえば「相続 何から」と「相続 手続き 順番」は、同じ困りごとの別の言い方です。まとまった数が多い言葉ほど、お客様の間でよく使われている言い方だと分かります。

顧客の欄の書き換え例(4つの型)

業種の型 書き換える前 書き換えた後
製造業(小ロットの金属加工) 機械メーカーの購買担当、30代から50代 試作を1個だけ頼みたいのに、小ロットは断られると聞いて探している。「試作 1個 金属加工」
士業(相続の手続き) 親を亡くした50代から70代の相続人 亡くなった直後で、何から手を付ければいいのか分からない。「相続 何から」「亡くなった後 銀行」
飲食店(地域の洋食店) 30代から40代の家族連れ 小さな子どもを連れて、気兼ねなく入れる店が見つからない。「子連れ ランチ 個室」
工務店(地域のリフォーム) 40代の持ち家の世帯 見積もりを取ったが、何が含まれているのか分からず決められない。「リフォーム 見積もり 比較」

書き換えた後の欄は、そのまま検索窓に入れられます。入れて意味が通じることが、顧客の欄の合格ラインです。

実在の1人から始めると、困りごとは具体的になる

困りごとを書くとき、頭の中の平均的なお客様を想像すると、言葉が曖昧になります。実際にあった1件の問い合わせを思い出して書くと、具体的な言葉が出ます。

実在する1人のお客様から、人物像を組み立てる方法は、「ペルソナ 作り方でつまずく人へ、実在する一人の顧客から始める組み立て方」で詳しく書いています。

この記事の顧客の欄は、その人物像の一番上の部分、つまり「来る前の困りごと」だけを取り出して書く形です。

顧客の欄でつまずきやすい点

つまずき 起きていること 直し方
困りごとが「集客したい」のような会社側の目標になる 自社の悩みを書いていて、お客様の悩みが入っていない お客様が検索窓に打つ言葉に言い換える
3行で収まらず、10行になる 複数の場面が混ざっている 一番問い合わせが多い場面を1つ選ぶ
専門用語が入る 社内の言葉で書いている お客様が最初のメールで使った言葉に戻す
検索した言葉が見つからない 材料が少ない 検索窓の候補とQ&Aサイトの質問で補う

競合の欄を、相手のサイトの一番上で埋める

競合の欄には、相手の社名を書く必要はありません。書くのは、相手のサイトが一番上で、お客様に何を約束しているかです。

見る場所は、トップページの最初の画面

見るのは、相手のサイトの最初の画面です。パソコンでもスマートフォンでも、開いて最初に目に入る、大きな見出しと、その下の1〜2行です。

訪れた人は、ここで「自分の用件に合うか」を決めます。つまり、競合が一番上に置いている言葉は、競合が一番伝えたいと決めた約束です。

その約束を、お客様が検索した言葉で調べた結果の上位から、5社分、1行ずつ写します。

5社の選び方

顧客の欄に書いた検索した言葉を、そのまま検索窓に入れます。出てきた上位のサイトのうち、自社と同じ地域か、同じ種類のサービスのものを5社選びます。

自分が競合だと思っている会社と、お客様が検索で見つける会社は、一致しないことがよくあります。お客様の検索に出てくる相手を競合と考えるほうが、ホームページの話としては正確です。

約束の6つの分類

写した約束は、次の分類のどれかに当てはまります。相手ごとに、一番上の約束がどれかを決めます。

分類 約束の例 一番上でよく使われる言葉
速さ 短納期、即日対応 最短、翌日、スピード
品質 高精度、高品質 高い技術力、こだわり
実績 経験が長い、件数が多い 創業から、累計、実績多数
対応範囲 大量にも対応、全国対応 量産、一括、ワンストップ
人・相談 担当者が丁寧、相談しやすい 親身、寄り添う
安心 保証、アフターフォロー 安心、万全

「高い技術力」「親身に対応」といった言葉が、1社の約束に見えて、実は同じ分類に何社も並ぶことは珍しくありません。

空白を探す

5社の約束を、分類ごとに並べると、誰も約束していない場所が見えてきます。

相手 一番上の約束 分類
相手1 月1000個以上の量産に対応 対応範囲
相手2 高精度の加工を短納期で 品質、速さ
相手3 創業40年の技術力 実績
相手4 高い技術力でお応えします 品質
相手5 全国対応、一括でお任せ 対応範囲

この例(製造業の型)では、5社とも量産と品質と実績を約束していて、「試作1個から引き受ける」という約束をしている相手が1社もありません。ここが空白です。

空白は、必ずしも見つかるわけではありません。5社の全員が同じ約束をしている市場では、約束の根拠の出し方で違いを作ります。それは自社の欄の章で扱います。

空白が見つからなかったときの考え方

5社の約束を並べても、空白が見つからないことがあります。全員が品質も速さも実績も、一番上で言い切っている市場です。

その場合は、約束の種類で勝負せずに、約束の根拠の見せ方で差をつけます。同じ「短納期」でも、「最短で翌営業日」と書く会社と、「直近1か月の納期の実績を表にして載せる」会社では、後者のほうが信じられます。

根拠は、件数、手順、写真、お客様の言葉の4種類から選べます。競合のページに、この4種類のどれが載っているかを見比べると、根拠の面での空白は見つかります。

競合の欄の書き換え例(4つの型)

業種の型 書き換える前 書き換えた後
製造業 市内のA社、B社。県外の大手C社 量産対応、高精度、創業年数が一番上。「試作1個から」と言っている相手はない
士業 近隣の行政書士A、司法書士B 「相続専門」「実績多数」が一番上。「最初の手続きの順番を示す」と書いている相手は少ない
飲食店 駅前のレストランA、チェーンのB店 食材のこだわりと雰囲気が一番上。「子連れで入れる」を最初に書いている相手はない
工務店 地元のA社、大手のB社 自然素材、高品質、安心が一番上。「見積もりの中身を説明する」を最初に書いている相手はない

この表は、型として私が書いた例です。実際の自社の市場では、検索結果を自分の目で確かめて、事実を書いてください。

社名は書かなくてもよい

競合の欄に、相手の社名を書き添える必要はありません。社名を書くと、次に表を見直すときに、社名の一覧として読み直してしまうからです。

「相手1」「相手2」のように番号で書き、約束の中身だけを残します。社名が必要なときは、別のメモに残しておきます。

相手の約束を真似ずに、空白を見つける

競合の約束を写す目的は、真似ることではありません。相手が言っていないことを見つけるためです。

相手の約束と同じ言葉を自社の一番上に置くと、お客様から見て違いがなくなります。写した約束は、自社が「使わない言葉」の一覧として扱います。

自社の欄を、競合が約束していなくて答えられることで埋める

自社の欄には、できることの一覧を書きません。書くのは、顧客の困りごとのうち、競合が約束していなくて、自社が答えられることです。

3つの問いで、書く内容を絞る

顧客の欄の困りごとの1つずつに対して、次の3つの問いを当てます。3つとも「はい」になったものが、自社の欄に書くことです。

問い 確かめ方 「いいえ」のときの扱い
顧客が実際に困っていることか 顧客の欄の3行のどれかに当たるか 欄に書かない
競合が一番上で約束していないことか 競合の欄の5行に出てこないか 約束していても、根拠の出し方で差をつける
自社が根拠を出せることか 実際の件数、手順、写真、お客様の言葉があるか 書かずに、まず対応の実績を作る

3つ目の問いに答えられないものは、一番上に置いてはいけません。約束が守れなくなると、問い合わせの後で信頼を失います。

強みの言葉を、事実に言い換える

自社の欄に、形容詞を書いたら、事実に言い換えます。言い換えるときは、「いつ、何を、どうした」が分かる形にします。

形容詞の言葉 事実に言い換えた形
丁寧な対応 初回の電話で、図面がなくても要件を聞き取り、翌営業日までに見積もりの内訳を返す
親身な相談 最初の面談で、手続きの順番を紙1枚にまとめて渡す
高品質 納品のときに、測定した数値の記録を添える
実績多数 直近1年間で、同じ種類の依頼を何件お受けしたか数える

事実に言い換えると、競合の名前に置き換えて読んでも成り立たない文になります。他社と取り替えられない文が、自社の欄の合格ラインです。

根拠を集めるために、顧客に聞く

自社の欄の根拠は、社内の会議よりも、顧客に聞くほうが確かです。白書の調査でも、強みを見つける方法として、顧客・取引先へのアンケートやヒアリングが最も多く挙げられていました。

聞くのは、難しいことではありません。最近取引のあったお客様に、「うちを選んだ理由は何でしたか」「他に比べた会社はありましたか」の2つを、メールか電話で聞きます。

返ってきた答えの言葉は、そのまま欄に書ける材料になります。社長が思う強みと、お客様が挙げる理由が違っている場合は、お客様の言葉を優先します。

自社の欄の書き換え例(4つの型)

業種の型 書き換える前 書き換えた後
製造業 創業40年。高精度の加工機。丁寧な対応 試作1個から受ける。図面が未完成の段階でも電話で相談を聞く。過去に1個だけの注文を何件お受けしたかを数えて示せる
士業 相続専門。実績多数。親身な対応 最初の面談で、手続きの順番と期限を紙1枚にして渡す。その紙の見本を載せられる
飲食店 自家製ソース。厳選食材。アットホーム 座敷とベビーチェアがあり、離乳食の持ち込みを歓迎している。店内の写真を載せられる
工務店 自然素材。高品質。地域密着 見積もりの項目ごとに、何を含むのかと理由を写真つきで説明する。説明用の資料の見本を載せられる

右の列は、競合が一番上で約束していなくて、顧客の困りごとに答えていて、根拠を見せられる、という3つの条件を満たしています。

トップページの最初の一文を、1つ決める手順

3つの欄が書き換わったら、最後に、トップページの最初の一文を1つ決めます。ここが、この記事の出口です。

一文の組み立て方

一文は、3つの部品を組み合わせて作ります。

部品 取り出す欄 例(製造業の型)
呼びかけ 顧客の欄の場面 試作を1個だけ頼める先が見つからない方へ
約束 自社の欄の、競合が約束していないこと 図面の相談から、1個でもお受けします
根拠の予告 自社の欄の、根拠 過去の1個注文の実例を、下に載せています

3つの部品をつなげると、「試作を1個だけ頼める先が見つからない方へ。図面の相談から、1個でもお受けします」という一文になります。根拠の予告は、一文の下の補足文に回して構いません。

候補を3つ書いて、1つに絞る

最初から1つに決めず、まず候補を3つ書きます。呼びかけの場面を変えたもの、約束の言い方を変えたもの、など、違いを作ります。

候補ができたら、次の4つのテストを当てて、一番通ったものを選びます。

テスト 確かめ方 通らないときの直し方
検索した言葉が入っているか 顧客の欄の検索語が1つ以上含まれるか 検索語を呼びかけの部分に足す
競合の一番上と入れ替えて読めないか 競合5社の一文に当てはめて、成り立つか見る 自社だけの事実を足す
根拠を1つ示せるか 下に載せる写真、数、手順を挙げられるか 約束を弱めるか、根拠を作る
事実と食い違わないか 担当者に、実際にできているかを確認する できていないことを削る

4つ目のテストは特に大切です。一番上で約束したことが、問い合わせの後で守られなければ、読まれる文章に変えた意味がなくなります。

3秒テストと、実在の1人への読み聞かせ

絞った一文を、読み手の目線で確かめます。

1つは、3秒テストです。社内の人に一文だけを3秒見せて隠し、「何をしてくれる会社か、誰向けか」を答えてもらいます。答えが合っていれば、一文は機能しています。

もう1つは、実在のお客様の1人に読んでもらう方法です。最近取引のあったお客様に「この一文を見て、自分に当てはまると感じるか」を聞いてみます。「当てはまる」と言われれば、顧客の欄の書き方は合っています。

キャッチコピーの作りこみは、別の手順で

ここで決めた一文は、キャッチコピーの土台です。この一文を、さらに短く、目に留まる言葉に磨く手順は、「キャッチコピーの作り方 売れるサイトの見出しを5つの手順で作る」にまとめています。

この記事で決めるのは、何を約束するかという中身までです。言い回しの調整は、その手順に任せて構いません。

業種の型で見る:書き換えた後の表

最後に、前の章で見た4つの型の表を、書き換えた後の形で示します。前の表と見比べてください。

製造業の型(小ロットの金属加工)

欄 書き換えた後の埋め方
顧客 図面はあるのに、1個だけの試作を引き受けてくれる先が見つからない。「試作 1個 金属加工」
競合 5社とも量産、高精度、創業年数が一番上。「試作1個から」と言う相手がない
自社 試作1個から受ける。図面が未完成でも電話で相談を聞く。過去の1個注文の件数を示せる
最初の一文 試作を1個だけ頼める先が見つからない方へ。図面の相談から、1個でもお受けします

士業の型(相続の手続き)

欄 書き換えた後の埋め方
顧客 亡くなった直後で、何から手を付ければいいのか分からない。「相続 何から」
競合 「相続専門」「実績多数」が一番上。手続きの順番を最初に示す相手は少ない
自社 最初の面談で、手続きの順番と期限を紙1枚にして渡す。見本を載せられる
最初の一文 相続が起きて、何から始めればいいか分からない方へ。最初の面談で、やる順番を紙1枚にしてお渡しします

飲食店の型(地域の洋食店)

欄 書き換えた後の埋め方
顧客 小さな子どもを連れて、気兼ねなく入れる店が見つからない。「子連れ ランチ」
競合 食材のこだわりと雰囲気が一番上。子連れ歓迎を最初に書く相手がない
自社 座敷とベビーチェアがある。離乳食の持ち込みを歓迎している。店内の写真を載せられる
最初の一文 小さなお子さん連れで、ゆっくりお食事したい方へ。座敷とベビーチェアを用意して、離乳食の持ち込みも歓迎しています

工務店の型(地域のリフォーム)

欄 書き換えた後の埋め方
顧客 見積もりを取ったが、何が含まれているのか分からず決められない。「リフォーム 見積もり 比較」
競合 自然素材、高品質、安心が一番上。見積もりの中身の説明を最初に書く相手がない
自社 見積もりの項目ごとに、含むものと理由を写真つきで説明する。説明資料の見本を載せられる
最初の一文 見積もりの中身が分からず、決められない方へ。項目ごとに何を含むのか、写真つきでご説明します

4つの一文に共通する形

4つの一文は、どれも「誰の、どの困りごとか」で始まり、「何をするか」で終わっています。形容詞は1つも入っていません。

競合の名前に置き換えても成り立たない点も、共通しています。入れ替えられない一文は、お客様の目には「自分に向けて書かれた言葉」として映ります。

3C分析の結果を、ホームページのどこに置くか

最初の一文が決まったら、表のほかの部分も、ホームページのほかの場所に使えます。表を一度作れば、1つの一文で終わらせずに、複数の場所に役立てられます。

3つの欄の、ほかの使い道

欄 使える場所 使い方
顧客の欄 サービス紹介ページの見出し お客様の困りごとの言葉を、そのまま小見出しに使う
顧客の欄 よくある質問のページ 不安の行を、質問の形に直して並べる
競合の欄 他社との違いを書く部分 相手の社名を出さずに、相手が約束していない点を自社の言葉で書く
自社の欄 事例や実績のページ 根拠として挙げた件数、手順、写真を載せる
最初の一文 トップページの一番上、検索結果に出る説明文 同じ一文を、ページの題や説明文にも使う

一番上の一文は、検索結果に出る説明文にも使えます。検索した人が、検索結果の画面の時点で「自分のことだ」と感じれば、ページを開く理由になります。

他社を名指しで下げる書き方は避ける

競合の欄の結果を使うとき、相手の社名を出して「他社には無い」と書くことは避けます。事実の確認が難しく、読む人にも印象が良くありません。

「試作1個から受けています」のように、自社が約束することだけを書きます。相手の約束との違いは、お客様が自分で比べて気づきます。

一番上に置く前の、事実の確認

一番上で約束した内容が、問い合わせの後で守られないと、信頼を失います。公開する前に、担当者に3つだけ確認します。

確認すること 確認する相手 食い違っていたとき
約束どおりの対応が、実際にできているか 営業と現場の担当者 できる範囲に、約束を書き直す
約束を支える数や手順が、最新か 担当者、または帳簿や記録 古い数字を削るか、更新する
約束を守るための体制が、続けられるか 社長と現場の責任者 続けられる範囲に絞る

1週間に分けて進める場合の計画

1日で最初の一文の候補まで進める方法のほかに、1週間に分けて進める方法もあります。担当者が1人で進める場合の例です。

日 作業 所要時間の目安
1日目 問い合わせのメールと商談のメモから、お客様の最初の言葉を20件書き出す 1時間から2時間
2日目 営業と現場の担当者に、3つの質問を聞く 1人30分
3日目 顧客の欄を3行で書く。検索した言葉を添える 1時間
4日目 競合5社の一番上の約束を写し、空白を探す 1時間から2時間
5日目 自社の欄を、3つの問いに通して書く 1時間
6日目 最初の一文の候補を3つ書き、4つのテストで絞る 1時間
7日目 社長に事実を確認してもらい、トップページに載せる 1時間

7日目で公開した後は、翌週から反応を見る数字を記録します。

社長と、先に合意しておくこと

作業を始める前に、社長と2つのことを合意しておくと、手戻りが減ります。

1つは、一番上に置く言葉を、社内の言葉から、お客様の言葉に変えること。もう1つは、社長に確認してもらうのは、事実の部分に絞ること。

言い回しの好みで意見が割れると、いつまでも決まりません。事実が合っているかどうかを確認の基準にすれば、判断が早くなります。

一文が効かなかったとき、どの欄を見直すか

一文を替えても反応が変わらないときは、闇雲に言い回しを直さずに、どの欄の言葉が合っていなかったのかを考えます。

起きていること 疑う欄 確かめ方
トップページで閉じる人が減らない 顧客の欄 一文の呼びかけが、問い合わせの最初の言葉と合っているか見る
読まれるが、問い合わせフォームまで進まない 自社の欄 約束の根拠が、一文の下に見える位置にあるか見る
問い合わせは来るが、希望と合わない 競合の欄 空白だと思った約束が、実は需要の少ない場所でなかったか考える
問い合わせの後で、約束との食い違いが出る 自社の欄 約束した内容を、現場が実際に守れているか確かめる

原因の欄が分かれば、直す範囲も絞れます。表を最初から作り直す必要はありません。

スマートフォンの画面で、一番上を確かめる

ホームページは、スマートフォンで開かれることが多いと考えて確認します。パソコンの画面では一文が収まっていても、スマートフォンでは一番上に大きな画像だけが出て、文字が下に隠れていることがあります。

実際に自分のスマートフォンでトップページを開き、最初の画面に一文が全部見えているかを確かめてください。

見えていないときは、画像の上に文字を重ねるか、画像を小さくして、一文を最初の画面に入れます。競合の約束を写すときも、同じ向きで、スマートフォンの画面で見た一番上を写すと、お客様が見る景色に近づきます。

社内への共有は、表1枚と一文で足りる

表が完成したら、社内の関係者に共有します。細かい資料を何枚も作る必要はありません。

3つの欄を書き換えた表を1枚と、決めた一文、その一文の根拠として載せるものの一覧。この3つがあれば、営業も現場も、ホームページが何を約束しているのかを同じ理解で持てます。

約束を共有しておくと、問い合わせが来たときの最初の返事の言葉も揃います。ホームページの一文と、電話やメールの最初の返事が一致すると、お客様は安心して先に進めます。

反応は、数週間単位で見る

一文を替えて、すぐに結果を判断しないでください。数字は日によって上下するので、1日や2日の変動で結論を出すと、誤った判断になります。

見るのは、トップページから次のページに進んだ人の割合、サービス紹介ページの閲覧、問い合わせの件数の3つです。広告の出し方や繁忙期など、ほかの条件が大きく変わっていないかも、合わせて確かめます。

替える前の一文と、替えた後の一文は、日付をつけて残しておきます。次に見直すときの手がかりになります。

表の見直しは、状況が変わったときに行う

3C分析の表は、一度作って終わりではありません。見直すきっかけは、主に3つあります。

きっかけ 見直す欄 見直す内容
お客様から来る問い合わせの内容が変わった 顧客の欄 最初の言葉を新しく20件書き出して比べる
競合のトップページの一番上が変わった 競合の欄 約束を写し直し、空白が動いたか確かめる
新しいサービスや体制ができた、または終わった 自社の欄 3つの問いに通し直す

定期的な見直しは、半年に1回程度で十分です。その間も、問い合わせの最初の言葉だけは、気づいたときにメモに残しておくと、次の見直しが楽になります。

よくある質問

3C分析について、中小企業の方からよく聞かれる質問に答えます。

Q. 3C分析は、中小企業にも必要ですか。

必須ではありません。ただ、ホームページで何を一番上に書くか迷っている会社には、役に立ちます。

迷う原因の多くは、お客様の困りごとと、競合の約束と、自社の答えが、頭の中で混ざっていることです。3つの欄に分けて書き出すと、混ざったものがほどけます。

Q. 競合が見つからない、または少ない場合はどうしますか。

お客様が検索で見つける相手を、競合と考えます。同業の会社が見つからなくても、お客様が自分で試す方法や、別の業種のサービスが、実質の競合になっていることがあります。

顧客の欄に書いた検索した言葉で検索し、上位に出てくるサイトを5つ見てください。同業でなくても、お客様が比べているものなら、競合の欄に入れます。

Q. 顧客の欄に、年齢や職業などの属性は書かなくてよいのですか。

書いても構いません。欄の端に、参考として添える程度にします。

白書の調査では、顧客のニーズ・課題を重視する事業者が非製造業で71.9%だったのに対し、顧客の属性・購買行動は29.0%でした。属性を書く時間より、困りごとの言葉を集める時間を先に使うほうが、一文の材料になります。

Q. 自社の強みが見つからない場合は、どうすればいいですか。

社内で探すより、お客様に聞く方法が確かです。最近取引のあったお客様に、「うちを選んだ理由」と「他に比べた会社」の2つを聞いてください。

答えが集まらないときは、競合の欄の空白を先に見ます。空白のうち、自社が実際にできることを1つ選び、それを強みの候補にします。できないことを、約束として書かないでください。

Q. 3C分析の表は、どのくらいの頻度でやり直しますか。

半年に1回程度で足ります。問い合わせの内容が変わったときや、競合のトップページが変わったときは、その欄だけを見直します。

全部を最初から作り直す必要はありません。3つの欄のうち、状況が変わった欄だけを新しい言葉に替えれば、一文を見直す材料は揃います。

まとめ

3C分析の表を埋めても何も決まらない原因は、欄に入れる言葉が、ホームページを開く人の言葉になっていないことにあります。

顧客の欄は、属性よりも、来る前に困っていることと検索した言葉で埋めます。競合の欄は、社名の一覧に代えて、相手のサイトが一番上で約束していることを写します。自社の欄は、できることの一覧に代えて、競合が約束していなくて自社が答えられることを、根拠つきで書きます。

3つの欄が揃うと、トップページの最初の一文が決まります。「誰の、どの困りごとか」で始め、「何をするか」で終える一文です。

公的な統計も、この順位づけと重なります。中小企業庁が2026年4月に閣議決定した「2026年版中小企業白書」によると、経営戦略や新規事業を検討するときに重視する外部環境の要素として、非製造業の71.9%、製造業の80.4%が「顧客のニーズ・課題」を挙げました。顧客の属性・購買行動は、非製造業で29.0%、製造業で31.0%でした。

また、自社の強みを見つけるために有効だった取組は、「顧客・取引先へのアンケートやヒアリング」が36.3%で最も多く、社内でのディスカッションの32.3%を上回りました。いずれも、帝国データバンクの「令和7年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」を元にした、同白書の図表です。

「売れるサイトはみな謙虚」の考え方で、会社が言いたいことを一度引き、お客様が知りたいことに先に答える順番へ、表を組み直してください。

今日できる点検

点検すること 確かめ方 結果の使い方
顧客の欄を検索窓に入れて、意味が通じるか 欄の言葉をそのまま入力して、出てくる結果を見る 通じなければ、問い合わせの最初の言葉に書き換える
顧客の欄が、属性だけで終わっていないか 困りごとの行があるか見る なければ、直近20件の問い合わせから拾う
競合の欄が社名だけで終わっていないか 相手のサイトの一番上の約束が書かれているか見る なければ、5社分を1行ずつ写す
競合の約束に空白があるか 5社の約束を分類ごとに並べる 空白を、自社の欄の候補にする
自社の欄を、競合の名前に置き換えて読めないか 5社の名前に差し替えて読む 読めるなら、事実の言葉に言い換える
自社の欄の約束に、根拠を出せるか 件数、手順、写真、お客様の言葉を挙げる 出せなければ、約束から外す
トップページの一番上が、顧客の言葉で始まっているか 呼びかけの部分に困りごとが入っているか見る 入っていなければ、候補を3つ書いて絞る
一番上の約束が、実際にできているか 営業と現場の担当者に確認する できていない点は、書き直す

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この記事を書いた人

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合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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