エージェンティックコマースとは何なのか。AIが代わりに調べて買う時代に、自社の商品やサービスはどう扱われるのか。
通販、店舗、BtoBの受注をしている中小企業の経営者と担当者に向けて、Google、OpenAI、Amazonの公式の資料を2026年10月24日に開いて確かめた範囲だけで答えを書きます。
先に答えを書きます。
先に答え:エージェンティックコマースとは、AIが利用者に代わって調べ、比べ、買うところまで動く仕組み
エージェンティックコマースは、AIのエージェントが、利用者の指示にそって商品やサービスを探し、比べ、購入の手続きまで進める買い物の形です。
人が検索結果を見て、ページを開き、カートに入れる流れの一部を、AIが引き受けます。
公式の資料が使っている説明
Googleは、ユニバーサル コマース プロトコルのヘルプで、エージェントによる購入手続き機能を次のように説明しています。
「Google のエージェントによる購入手続き機能では、購入者の指示に従って、販売者のウェブサイトで購入者に代わって直接購入が行われます。」
Amazonは、Buy for Meの発表で、エージェントのAIを、利用者の指示のもとで、利用者に代わって、人の介入を最小限にして特定の作業を行えるものと説明しています。
2社の説明に共通するのは、決めるのは利用者で、動くのがAIという分担です。
中小企業にとっての要点は2つ
1つ目は、日本の中小企業が今すぐ参加できる公式の仕組みは、確かめた範囲では見つからなかったことです。Google、OpenAI、Amazonの購入手続きの機能は、いずれも対象の国や参加者が限られています。
2つ目は、AIが読み取る先は、結局のところ自社サイトの情報だということです。商品、料金の考え方、在庫、納期、問い合わせの条件を、機械にも人にも読める形で出しておく作業は、今日から始められます。
全体像を、先に表で見る
次の表で、この記事の流れをつかんでください。
| 知りたいこと | 答え | 確かめた資料 |
|---|---|---|
| エージェンティックコマースとは | AIが利用者に代わって探し、比べ、買う仕組み | GoogleとAmazonの公式の説明 |
| いま公式に発表されている仕組み | Googleの購入手続き、OpenAIの商品フィード、Amazonの代行購入 | 各社の公式ヘルプと開発者向け文書 |
| 日本で使えるか | 日本が対象と書かれた記載は確かめられなかった | 同上 |
| 自社サイトで用意すること | 商品、料金の考え方、在庫、納期、問い合わせ条件のページ | Google検索セントラルの文書 |
| 先にやる作業 | 本文の事実を揃え、次に構造化データで写す | 同上 |
先に断っておくこと
この記事に書くのは、公式の資料で確かめられた事実と、そこから組み立てた自社サイトの整え方です。
AIの回答や購入の候補に自社が選ばれることは、約束できません。どの仕組みも、選ぶのは各社のシステムと利用者です。
Q&Aサイトで見かけた、AIが何でも買ってくれる時代への不安
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿した方は、AIが欲しいものを何でも買ってくれる時代が来たら、大手のネット通販は倒れてしまうのか、と尋ねていました。
回答には、安い店を探すようAIに頼めば海外の安売りの店が選ばれる、という見方がありました。反対に、AIは店頭で買えないので通販を使い、通販の最大手がますます栄える、という見方もありました。
質問者が見ているのは、大手の行方
この質問が見ているのは、AIの時代に、どの大手が勝つのかという点です。
中小企業の経営者が知りたいのは、少し違います。AIが買い物を代行する世界で、自社の商品は候補に入るのか、入るために何を用意するのか、という点です。
回答に共通して見えない前提
回答は、AIが何を基準に店を選ぶのかを、確かな資料なしに想像で書いています。基準が分からなければ、勝ち負けの予想は当たりません。
そこでこの記事では、予想を並べずに、公式の資料に書かれている仕組みと条件だけを確かめます。
悩みへの短い答え
AIが買い物を代行する仕組みは、すでに公式に発表されています。ただし、確かめた範囲では、対象は米国などに限られ、日本の中小企業が申請して使える段階とは書かれていません。
それでも、自社サイトの情報の出し方は今から整えられます。AIが読むのは、結局のところ自社のページだからです。
言葉の整理:エージェンティックコマースと、似た言葉の違い
検索すると、似た言葉がいくつも出てきます。範囲を分けておきます。
買い物のAIには、3つの段階がある
AIが買い物に関わる深さは、段階で分けると整理しやすくなります。この分け方は、公式の資料の説明をもとに、この記事で整理したものです。
| 段階 | AIがすること | 購入する人 | 例 |
|---|---|---|---|
| 探す | 条件にあう商品を見つけて並べる | 利用者本人 | AIが候補を紹介し、利用者が店のページへ進む |
| 手続きを助ける | 配送先や支払いの入力を引き受ける | 利用者が最後に確認する | AIの画面の中に購入ボタンが出る |
| 代わりに買う | 利用者の指示で、店のサイトで購入を進める | AIが手続きを進め、利用者が条件を承認する | Amazonの代行購入 |
エージェンティックコマースは、狭くは3段目、広くは2段目から3段目を指して使われています。定義は、資料ごとにばらつきがあります。
日本語の資料で見られる定義のばらつき
日本語で書かれた資料では、AIが商品の検索から決済までを担うことを指す説明が多く見られます。一方で、探す段階のAIの紹介までを含めて使う資料もあります。
この記事では、探す段階も含めた広い意味で扱います。自社サイトの整え方は、3つの段階のどれにも共通するからです。
似た言葉との関係
| 言葉 | 意味 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| AI検索 | AIが検索結果を要約して答える | 探す段階。関連する別の記事がある |
| ChatGPTのショッピング | 会話の中で商品を探す | 探す段階。商品フィードの話は別の記事で扱った |
| AIブラウザ | AIが利用者のかわりにページを閲覧して操作する | 代わりに買う段階の土台。別の記事で扱った |
| エージェンティックコマース | AIが探して買うところまで進む | この記事の中心 |
この記事は、全体の見取り図を担当します。個別の話は、次の3本に詳しく書いています。
AIブラウザがサイトを閲覧する仕組みはChatGPT Atlas終了後にAIが自社サイトを閲覧・操作する仕組みと事業者の備え、商品フィードの申請はChatGPTショッピングに商品フィードを送るには、研究の側からの見方はLLMO論文解説です。
2026年10月に公式の資料で確かめた、3社の仕組み
ここからは、各社が公式に出している資料だけを根拠に、仕組みを確かめます。ニュース記事や解説記事の要約は使いません。
Google:検索のAIモードとGeminiに、購入ボタンを出す仕組み
Googleは、ユニバーサル コマース プロトコル(UCP)を、エージェントによる商取引のための新しいオープンスタンダードと説明しています。
商品の発見から購入、購入後のサポートまで、買い物の流れ全体で使えるものとされています。
UCPと連携すると、Google検索のAIモードとGeminiで、対象の商品リスティングに購入手続きボタンを出せます。購入者はGoogleウォレットに保存した支払い方法と配送情報で、Google Payから手続きできます。
販売者は、引き続き最終販売責任を負う商業者のままです。顧客のデータと関係も販売者が持ち続けると、開発者向けのページに書かれています。
Googleの仕組みで、事業者が準備すると書かれていること
購入ボタンが出るのは、native_commerceという商品属性を使っているリスティングだけです。
ヘルプには、Merchant Centerの商品フィードからブランドの素材まで、データをできるだけ堅牢で最新の状態に保つことが、最善の準備だと書かれています。
つまりGoogleの仕組みでも、土台になるのは商品データの正確さです。
OpenAI:ChatGPTの商品フィードと、購入手続きの3つの流れ
OpenAIは、開発者向けにAgentic Commerce Protocolの文書を公開しています。ChatGPTでの購入手続き、代理の支払い、商品フィードが対象です。
購入手続きまで対応するには、事業者が3つの流れを用意する必要があると、文書に書かれています。
| 流れ | 内容 | 事業者がすること |
|---|---|---|
| 商品フィード | 商品の名前、価格、在庫などを構造化して渡す | 定期的に更新して共有する |
| 購入手続き | ChatGPTの画面で購入者の情報を集め、事業者の側の仕組みに渡す | 注文を受けるか断るかを事業者のシステムで決める |
| 支払い | 一度限りの支払いの権限を、事業者の決済の仕組みに渡す | 既存の決済の仕組みで課金する |
文書には、OpenAIは最終販売責任を負う商業者にはならないと明記されています。支払いの処理は、事業者の側で行います。
OpenAIの商品フィードで、最低限必要な9つの項目
商品フィードの文書には、発見のために必須の項目が9つ挙げられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| item_id | 品目ごとの変わらない番号 |
| title | 商品名。150字以内が目安 |
| description | 事実にそった説明。5,000字以内が目安 |
| url | 商品ページのアドレス |
| brand | ページに表示しているブランド名 |
| seller_name | 販売者の名前 |
| image_url | 主な画像のアドレス |
| availability | 在庫の状態 |
| price | 通常の価格 |
在庫の状態は、在庫あり、在庫なし、予約受付、入荷待ち、不明の5種類から選ぶ決まりです。空欄や認識できない値の行は、受け付けられません。
Amazon:他店の商品を、AIが代わりに買う仕組み
Amazonは、Buy for Meを、Amazonのアプリから、Amazonで扱っていない他のブランドの店で購入できる機能として発表しました。
利用者がBuy for Meを押すと、Amazonの購入画面で配送先、税、送料、支払い方法を確認します。そのうえでAmazonのAIが、暗号化された名前、住所、支払いの情報を使って、ブランドの店のサイトで購入を完了します。
配送、返品、交換、問い合わせは、ブランドの店が受け持ちます。注文の確認メールも、ブランドの店から届くと説明されています。
Amazonの2026年3月の発表で分かること
Amazonは2026年3月11日の発表で、Shop Directという仕組みの規模を示しました。1億を超える商品と、40万を超える販売者が含まれ、そのうち数千万の商品がBuy for Meで購入できるとされています。
販売者は、すでに他の相手に出している商品フィードを使って、カタログ、価格、在庫を連携させられると書かれています。
同じ発表には、販売者の店の名前が明確に表示されることも書かれています。AIが買う場合でも、どの店から買うのかは利用者に示されます。
3社の仕組みを並べて見る
| 項目 | OpenAI | Amazon | |
|---|---|---|---|
| 仕組みの名前 | UCPによる購入手続き | Agentic Commerce Protocol | Buy for Me |
| 表示される場所 | AIモード、Gemini | ChatGPT | Amazonのアプリ、サイト |
| 事業者が用意するもの | 商品属性、商品データ、決済の連携 | 商品フィード、購入手続き、支払い | 商品フィード |
| 購入後の責任 | 販売者 | 販売者 | 販売者のサイト |
| 参加のしかた | 興味を示すフォーム | 承認されたパートナー向け | 販売者が選んで参加 |
どの仕組みでも、商品データを渡すことと、売った後の責任を販売者が持つことは共通しています。
日本で使えるのか:確かめられたことと、確かめられなかったこと
日本の事業者にとって、最も気になる点です。公式の資料に書かれた範囲だけを、そのまま報告します。
Googleの記載
Googleのヘルプの冒頭には、次のように書かれています。
「この記事は、米国、カナダ、オーストラリアで対象となる商品、および参加している販売者とパートナーのみを対象としています。」
また、この購入手続き機能は、現時点では一部の販売者のみが利用できるとも書かれています。関連する利用規約のページには、米国のみという表記がありました。
日本が対象と書かれた記載は、確かめた範囲では見つかりませんでした。
OpenAIの記載
商品フィードの文書には、標準のアップロードは米国向けで、共有の形式が表せる国は米国、カナダ、メキシコと書かれています。
また、国の欄が空であることは、世界中を意味しないとも書かれています。追加の市場は、OpenAIが連携と対象の国と通貨を確認してから使う決まりです。
商品フィードの受け入れは、現在は承認されたパートナー向けと、文書の冒頭に書かれています。日本が対象と書かれた記載は、確かめられませんでした。
Amazonの記載
2026年3月の発表には、Shop Directは米国のすべての利用者に提供されていると書かれています。Buy for Meの最初の発表でも、対象は米国の一部の利用者でした。
日本のAmazonでBuy for Meが使えるという記載は、確かめた範囲では見つかりませんでした。
確かめた結果を、表にする
| 仕組み | 公式に書かれた対象 | 日本の記載 |
|---|---|---|
| Googleの購入手続き | 米国、カナダ、オーストラリアの一部の販売者 | 確かめられなかった |
| OpenAIの商品フィード | 標準は米国。共有の形式は米国、カナダ、メキシコ | 確かめられなかった |
| AmazonのShop Direct | 米国の利用者 | 確かめられなかった |
確かめられなかったことは、使えないという断定にはなりません。公式の資料に書かれていないだけで、今後広がる可能性はあります。
この結果から言える、現実的な見方
日本の中小企業が、今月中にこれらの購入手続きに参加するという場面は、確かめた範囲では想定しにくい状況です。
ただし、購入の仕組みに参加できなくても、AIが自社のページを読む場面は残ります。Google検索セントラルの文書には、AIによる概要やAIモードが、回答に関連するリンクとしてウェブのページを表示すると書かれています。
その入り口で読まれるのが、自社サイトの情報です。次の章から、その整え方に入ります。
日本の買い物は、いまどこまでネットに移っているのか
AIが買い物を代行する世界を考える前に、日本の取引がどのくらいネットで行われているかを確かめます。
経済産業省が公表した、電子商取引に関する市場調査の最新版を使います。
経済産業省の最新の調査で確かめた数字
経済産業省は2025年8月26日に、令和6年度の電子商取引に関する市場調査の結果を公表しました。同省のページで確かめた範囲では、これが公表されている最新の調査です。
「2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、26.1兆円(前年24.8兆円、前々年22.7兆円、前年比5.1%増)に拡大しています。」
同じ公表資料では、BtoB-EC(企業間電子商取引)の市場規模は514.4兆円で、前年比10.6%増でした。
EC化率という数字の読み方
EC化率は、すべての取引金額に占める、電子的な取引金額の比率です。2024年は、BtoC-ECで9.8%、BtoB-ECで43.1%でした。
| 区分 | 市場規模 | EC化率 | 前年からの変化 |
|---|---|---|---|
| BtoC-EC | 26.1兆円 | 9.8% | 0.4ポイント増 |
| BtoB-EC | 514.4兆円 | 43.1% | 3.1ポイント増 |
| 物販系分野(BtoC) | 15兆2,194億円 | 9.78% | 3.70%増 |
消費者向けの取引の約9割は、まだネットの外で行われています。BtoBでは、すでに4割を超える取引が電子化されています。
中小企業の経営にとっての意味
数字から言えるのは、ネットでの取引がまだ伸びていて、AIが関わる余地も残っているという点です。AIが買い物を代行する世界が、いきなり店頭を置き換えるわけではありません。
そのため、店舗や対面の受注が中心の会社は、慌てて仕組みを入れる段階にありません。まず自社サイトの情報を整えるところから始めれば、間に合います。
AIが買う流れの中で、自社サイトのどこが読まれるのか
3社の仕組みを見ると、AIが買い物を進める流れには共通の段階があります。この流れのどこで自社の情報が読まれるかを、図にします。
流れは、発見、比較、確認、購入、購入後の5つ
| 段階 | AIがすること | 読まれる自社の情報 |
|---|---|---|
| 発見 | 条件にあう店と商品を探す | 事業の内容、取り扱い商品、所在地 |
| 比較 | 複数の候補の違いを整理する | 仕様、料金の考え方、対象範囲 |
| 確認 | 在庫、価格、納期を調べる | 在庫の状態、納期、送料の条件 |
| 購入 | 手続きを進める | 注文の方法、支払い、問い合わせ条件 |
| 購入後 | 配送の状況、返品、問い合わせに答える | 返品の規定、連絡先、対応時間 |
AIにとって、情報が足りないページは選びにくい
AIが比較する場面では、情報が揃っているページは候補に残り、揃っていないページは外れやすくなると考えられます。公式の資料に、そう断言する記述はありません。
OpenAIの商品フィードの文書が、必須の項目を決めていること自体が、その裏付けの1つです。名前、価格、在庫が空欄の商品は、受け付けられません。
Googleの文書が求めていること
Google検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」には、SEOの基本が引き続き重要だと書かれています。その中に、次の項目があります。
「重要なコンテンツはテキスト形式で提示します。」
「構造化データをページに表示されるテキストと一致させます。」
「Merchant Centerとビジネスプロフィールの情報が最新のものであることを確認します。」
この3つは、次の章以降で作業に落とします。
受け皿のページに載せる情報:商品とサービスの出し方
ここからは、自社サイトの作業です。AIが読み取れる受け皿のページとは、商品やサービスの事実を、本文に文章と表で書いたページを指します。
画像の中の文字や、電話で聞かないと分からない条件は、AIが読めません。ページの本文に書くことが、出発点です。
作業1:商品ごとに、1つのページを持つ
商品やサービスごとに、独立したページを用意します。複数の商品を1枚の画像にまとめたページでは、AIが1つの商品として扱えません。
OpenAIの商品フィードの文書も、1行が購入できる1つの品目や型番に対応することを求めています。サイト側でも、同じ単位でページを分けると、後でフィードや構造化データを作るときに楽になります。
ページの本文に書く項目
| 項目 | 書き方 | 書かないとき起きること |
|---|---|---|
| 名前 | ページの見出しと同じ名前を使う | 別の商品と混同される |
| 説明 | 用途、対象、特徴を事実だけで書く | 比較の材料が足りない |
| 仕様 | 大きさ、素材、容量などを表にする | 条件の合う候補から外れる |
| 対象 | 向く人と向かない人を書く | 合わない購入が増える |
| 画像 | 本文の説明と矛盾しない写真を置く | 説明との食い違いが起きる |
作業2:料金は、金額を書く前に、条件を書く
料金のページは、金額だけを置くと足りません。AIが比較するときは、金額が何の対価なのかを読み取ります。
金額そのものは、自社が決めて書く領域です。この記事では金額を書かず、並べる条件の方を説明します。
料金のページに並べる条件
| 条件 | 書くこと |
|---|---|
| 単位 | 1個、1回、1か月など、金額が何に対するものか |
| 税 | 税込か税別か |
| 送料と手数料 | かかる条件と、無料になる条件 |
| 最低数量 | 注文できる最小の数 |
| 変動する場合 | 変動の理由と、見積もりが必要な範囲 |
| 見積もりの有効期限 | いつまで有効か |
見積もりが必要な商品は、見積もりが必要だと明記します。金額が空欄のまま、理由の説明もないページは、AIにも人にも読み取れません。
料金を出したくない場合の書き方
BtoBでは、金額を公開しない会社もあります。その場合も、何によって金額が決まるのかは書けます。
数量、納期、仕様、契約期間などの決まり方を表にすれば、比較する側は、問い合わせるべきかどうかを判断できます。
サービス業の場合は、提供の範囲と流れを書く
形のない商品を扱う会社も、同じ考え方で書けます。何をどこまでやるのかを、本文に書きます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 提供する内容 | 作業の範囲と、成果として渡すもの |
| 含まれないもの | 別料金になる作業や、対象外の依頼 |
| 進め方 | 依頼から納品までの流れと、各段階の期間 |
| 対応地域 | 訪問できる範囲、オンラインの可否 |
| 必要な準備 | 依頼する側が用意する資料や情報 |
含まれないものを書くと、問い合わせの質が上がります。AIが紹介した後に来る相談が、自社の条件に合うものへ寄るからです。
事実は、1か所に決めて書く
同じ事実がページごとに違う書き方をされていると、AIはどれが正しいかを判断できません。
料金の単位、営業時間、対応地域などは、正本になるページを1つ決めます。他のページは、その内容をそのまま写すか、正本へのリンクにします。
在庫、納期、送料、返品、問い合わせ条件の書き方
AIが購入の手前で確かめるのは、買えるのか、いつ届くのか、困ったときにどうなるのか、という点です。ここを本文に書いておきます。
在庫は、状態の種類を決めて書く
在庫の表示が「残りわずか」「お早めに」のような言葉だけだと、AIは状態を判断できません。
OpenAIの商品フィードは、在庫あり、在庫なし、予約受付、入荷待ち、不明という5つの値から選ぶ決まりです。自社のページも、同じように状態の種類を決めておくと、後で連携するときに迷いません。
| 状態 | ページの書き方 | 補足 |
|---|---|---|
| 在庫あり | 「在庫あり」と書き、出荷までの日数を添える | 数が少ないときは残数を書く |
| 在庫なし | 「在庫なし」と書き、再入荷の予定があれば書く | 予定がなければ、その旨を書く |
| 予約受付 | 受付の期間と、発送の予定を書く | 予約のキャンセル条件も書く |
| 入荷待ち | 入荷の見込みと、注文の扱いを書く | 先に注文できるのかを明記する |
在庫の更新が追いつかないときの考え方
在庫をリアルタイムで更新できない会社も多くあります。その場合は、更新の頻度をページに書きます。
「在庫は1日1回、朝に更新しています」と書けば、読む側は情報の鮮度を判断できます。更新できていないのに、在庫ありと表示し続けるほうが、後の信頼を損ないます。
納期は、出荷と到着を分ける
納期は、注文から出荷までの日数と、出荷から到着までの日数を分けて書きます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 受注から出荷 | 営業日で数える。土日祝の扱いを書く |
| 出荷から到着 | 地域による違いがあれば表にする |
| 締め切り | 当日発送の受付時間 |
| 遅れるとき | 連絡の方法と、変更の条件 |
| 受注生産 | 製作期間と、途中の連絡の有無 |
送料、返品、キャンセルの条件
返品とキャンセルは、AIが購入を助ける場面で必ず確かめる情報です。
Google検索セントラルの商品の構造化データのページには、販売者の配送に関するポリシーと、返品に関するポリシーを指定できると書かれています。本文に書いたうえで、構造化データでも渡せます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 送料 | 地域別の考え方、無料になる条件 |
| 返品できる期間 | 到着から何日以内か |
| 返品できない商品 | 対象外の理由 |
| 返品の送料 | どちらが負担するか |
| キャンセル | 受け付ける期限と方法 |
問い合わせ条件は、何を伝えれば進むのかを書く
問い合わせの窓口だけを置いたページでは、AIも人も、何を送ればよいか分かりません。
必要な情報を、項目で書きます。たとえば、型番、希望の数量、納期の希望、設置場所などです。受付の時間と、返信までの目安も書いておきます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 連絡の手段 | 電話、メール、フォームのどれが速いか |
| 受付時間 | 曜日と時間帯。祝日の扱い |
| 返信の目安 | 営業日で何日以内か |
| 伝える内容 | 問い合わせで最初に必要な情報 |
| 対応できない相談 | 受けられない範囲 |
構造化データとフィード:本文を先に整え、次に機械が読める形へ写す
本文に事実を書いたら、次に構造化データで写します。この順番を逆にしないことが、ここでの要点です。
Googleの文書が言っていること
Google検索セントラルの商品の構造化データのページには、商品ページに構造化データを足すと、価格、在庫状況、レビューの評価、配送情報などを検索結果ですぐに確認できると書かれています。
また、充実した商品データを出す方法として、商品ページに構造化データを足す方法と、Merchant Centerにフィードを上げて無料リスティングを有効にする方法があり、そのどちらか、または両方を行うと説明されています。
構造化データが必須ではない場面
同じ検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」は、AI機能に表示されるために、新たなマークアップを作る必要はなく、特別なschema.orgの構造化データを足す必要もない、と書いています。
つまり構造化データは、AIに選ばれるための特別な仕掛けではありません。検索結果での商品情報の見せ方を良くするための、従来からの手段です。
本文と構造化データを、必ず一致させる
先に引用したとおり、検索セントラルは、構造化データをページに表示されるテキストと一致させるよう求めています。
本文は在庫なしなのに構造化データが在庫ありのままになっている、という食い違いが起きやすいのは、手作業で別々に更新している場合です。
| 食い違いの例 | 起きる原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 本文は在庫なし、データは在庫あり | データの更新を忘れた | 在庫の更新と同時に直す手順を決める |
| 価格の表示が違う | 本文だけ直した | 価格の正本を1か所にする |
| 返品の期間が違う | ページごとに書き分けた | 返品のページを正本にする |
フィードを使う前に確かめること
Merchant Centerのフィードの利用資格や、国ごとの対象は、Googleのデータ要件のページで確かめる必要があります。この記事では、日本の事業者が使えるかどうかを、確かめていません。
OpenAIの商品フィードは、承認された事業者向けの扱いです。申請の流れは、ChatGPTショッピングに商品フィードを送るにはにまとめています。
BtoBの受注をする会社が用意すること
BtoBの受注では、商品が型番で決まらず、見積もりや契約を経て取引が始まる会社が多くあります。
今回確かめた3社の仕組みは、どれも消費者向けの購入を対象にしていました。BtoBの調達にAIが関わる仕組みは、公式の資料では確かめられていません。
確かめられないことは、自社サイトの情報の質で備える
調達の担当者が、取引先の下調べにAIを使う場面は考えられます。その際に読まれるのも、会社のサイトの本文です。
BtoBの受け皿のページには、次の情報が必要です。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 取扱範囲 | 受けられる仕事と、受けない仕事 |
| 受注の条件 | 最低数量、最小の取引単位、対応できる規模 |
| 見積もりの手順 | 必要な情報、回答までの日数 |
| 取引の流れ | 初回の面談から契約、納品、請求まで |
| 実績の書き方 | 業種と内容。取引先の許可を得た範囲 |
| 取引条件 | 支払いの締めと、支払い期日の考え方 |
実績は、許可を得た範囲で、事実だけを書く
実績の記述は、取引先の許可を得た範囲で書きます。社名を出せない場合は、業種や規模、課題と結果を書きます。
数字を書く場合は、自社の記録で確かめられるものだけにします。出所の分からない数字は、AIにも人にも信用されません。
やってはいけない作業と、よくある誤解
不安から動くと、効果の確かめられない作業に時間を使いがちです。避けたいことを先に挙げます。
失敗1:参加の申請ばかりを探す
Google、OpenAI、Amazonの仕組みは、確かめた範囲では日本の事業者を対象にした記載がありません。申請の窓口を探し続けても、今は前に進みません。
その時間を、自社サイトの本文の整備に回したほうが、確実に成果が残ります。
失敗2:AI向けの特別なファイルを作る
Googleは、AI機能に表示されるために、新たなコンピュータ向けのファイルやAI用のテキストファイルを作る必要はないと書いています。
人が読んで分かるページを整えることが、そのまま機械の読み取りやすさにつながります。
失敗3:画像の中に条件を書く
料金表や納期を画像で作ると、見た目は整います。ただしAIは文字として読み取れない可能性があります。Googleも、重要なコンテンツはテキスト形式で提示するよう求めています。
画像で見せたい場合は、同じ内容を本文の表にも書きます。
失敗4:1回整えて終わりにする
在庫、納期、送料は変わります。公式の仕様も更新されます。
整えた情報を放置すると、古い事実がAIにも人にも伝わります。更新の担当と頻度を決めてください。
誤解と事実の対応表
| よくある誤解 | 確かめた事実 |
|---|---|
| AIがすぐに買い物の主役になる | 日本の消費者向けの取引で、ネットの比率は9.8%。AIの購入手続きは対象国が限られる |
| 申請すれば日本でも使える | 日本が対象と書かれた記載は確かめられなかった |
| 構造化データを入れればAIに選ばれる | Googleは、AI機能のために特別な構造化データは不要と説明している |
| 大手だけが選ばれる | 選ぶ基準は公式に公開されていない。確かなことは言えない |
最初の3か月の進め方
作業を3つの段階に分けます。1か月ごとに区切ると、担当者の負担が偏りません。
1か月目:棚卸しと、本文の事実の統一
まず、商品、料金、在庫、納期、送料、返品、問い合わせの条件を、すべて1枚の表に書き出します。ページごとの書き方の違いを見つけたら、正本を決めます。
次に、商品ごとのページが独立しているかを確かめます。1枚に複数の商品が詰まっているページは、分けます。
2か月目:受け皿のページの作成
料金の考え方、在庫の状態の決め方、納期、返品、問い合わせ条件のページを、表を使って書きます。
BtoBの会社は、取扱範囲、受注の条件、見積もりの手順、取引の流れのページを作ります。
3か月目:構造化データと確認
本文が固まってから、商品の構造化データを足します。検索セントラルのリッチリザルトテストなどで、エラーが出ていないかを確認します。
最後に、AIに自社の商品を尋ねて、答えがページの内容と合っているかを確かめます。結果は日付とともに記録します。
4か月目以降は、変更のたびに更新する
価格や条件を変えるときは、本文、構造化データ、フィードを同じ日に直します。半年に1回は、記録表と公式の文書を見直します。
よくある質問
Q. エージェンティックコマースは、中小企業も対応が必要ですか。
仕組みへの参加は、確かめた範囲では日本の事業者を対象にした記載がなく、今すぐ必要とは言えません。
ただし、AIが自社のページを読む場面は残ります。商品、料金の考え方、在庫、納期、問い合わせ条件を本文に書く作業は、今から始められます。
Q. 自社の商品を、ChatGPTやGoogleのAIに載せる申請はできますか。
OpenAIの商品フィードは、承認されたパートナー向けとされています。Googleの購入手続きは、一部の販売者向けで、興味を示すフォームがあります。
どちらも、日本の事業者を対象とする記載は、確かめられませんでした。最新の状況は、各社の公式の資料で確認してください。
Q. 料金を公開していないと、AIに紹介されませんか。
公式の資料に、料金の公開を条件とする記述は見つかりませんでした。ただし、比較の材料が少ないと、候補として扱いにくいと考えられます。
金額を出さない場合でも、金額の決まり方や、見積もりの手順を書いておきます。
Q. 構造化データは、いま入れるべきですか。
本文を整えるほうが先です。構造化データは、本文と一致していることが前提で、一致していなければ効果が見込めません。
本文が固まっていれば、商品ページに足す価値はあります。検索結果での見せ方が良くなるためです。
Q. BtoBの受注にも、同じ備えは必要ですか。
BtoBの調達にAIが関わる仕組みは、公式の資料では確かめられていません。それでも、取扱範囲と受注の条件を本文に書いておくことは、人が読んでも役に立ちます。
担当者の下調べで比べられる状態を作る、という意味で価値があります。
まとめ
エージェンティックコマースは、AIが利用者の指示にそって探し、比べ、買う仕組みです。Google、OpenAI、Amazonが、それぞれ公式に仕組みを発表しています。
確かめた範囲では、各社の購入手続きの対象は米国などに限られ、日本の事業者が使えるという記載は見つかりませんでした。
日本の消費者向け取引のEC化率は9.8%で、まだ伸びている途中です。慌てて仕組みを入れる段階ではありません。
自社でできるのは、AIが読み取れる受け皿のページを用意することです。商品、料金の条件、在庫、納期、返品、問い合わせ条件を、本文に書き、構造化データで写します。
選ばれることは約束できません。約束できない部分を認めたうえで、整えられる部分から進めてください。
この記事で確かめた資料
この記事の事実は、次の資料を2026年10月24日に開いて確かめたものです。
| 資料 | 確かめた内容 |
|---|---|
| Google Merchant Centerヘルプ「UCPと購入手続き機能について」 | 対象の国、一部の販売者向け、販売者が最終販売責任を負うこと |
| Google for Developers「Universal Commerce Protocol」 | 表示される場所、業種、ロードマップ |
| OpenAI Developers「Agentic Commerce」 | 3つの流れ、商品フィードの必須項目、対象の国、承認制 |
| Amazon「Buy for Me」の発表 | 代行購入の流れ、ブランドの店の役割 |
| Amazon「Shop Direct」の発表(2026年3月) | 規模、米国の利用者への提供 |
| Google検索セントラル「AI機能とウェブサイト」 | 追加の要件が無いこと、基本の項目 |
| Google検索セントラル「商品の構造化データ」 | 価格、在庫、配送、返品の扱い |
| 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」令和6年度 | 市場規模とEC化率 |
今日できる点検
次の表の項目を、上から順に確かめてください。1項目あたり15分ほどで終わります。
| 点検の項目 | 確かめる場所 | 合格の目安 | 直すこと |
|---|---|---|---|
| 商品ごとに独立したページがある | 自社サイトの商品ページ | 1ページに1つの商品 | 詰まったページを分ける |
| 料金の単位と税の扱いが書いてある | 料金のページ | 単位と税込、税別が明記 | 条件の表を足す |
| 在庫の状態の言葉を決めた | 社内の取り決め | 状態の種類が一覧にある | 表現を統一する |
| 納期が出荷と到着で分かれている | 納期のページ | 営業日で書かれている | 受付時間を足す |
| 返品とキャンセルの条件がある | 返品のページ | 期間と負担が明記 | 条件を表にする |
| 問い合わせで必要な情報を書いた | 問い合わせのページ | 項目が列挙されている | 項目の表を足す |
| 重要な条件が画像だけになっていない | 全ページ | 本文にも同じ内容がある | 画像の内容を本文に写す |
| 構造化データが本文と一致している | リッチリザルトテスト | エラーが無い | 本文を先に直す |
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
生成AIに引用されるページを、お話しいただくだけでお作りします。お時間をいただくのは初回15分のヒアリングだけです。まず1ページ、無料でお作りします。
OKが出るまで、何度でも直します。事実が違う、言い回しが硬い、この話は入れないでほしい。どれも遠慮なくおっしゃってください。何度お直ししても、追加の料金はいただきません。
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