Wikidata(ウィキデータ)とは何なのか。自社の項目を作ると、GoogleやAI検索に効くのか。そもそも会社が自分で作ってよいのか。中小企業の経営者やWeb担当者に向けて、ウィキデータの公式ページを今日開いて確かめた範囲だけで答えを書きます。
先に答えを書きます。
先に答え:Wikidataは、誰でも編集できる無料の構造化データベース。会社の項目は、作れば載るものではない
ウィキデータは、人や場所、会社、作品などの情報を「項目」ごとに整理して蓄える、公開のデータベースです。公式の紹介ページには、無料で、共同で編集され、多言語で、二次的な知識ベースである、と書かれています。
書き込むのは、ウィキデータの編集者と自動のプログラムです。会社が専用の窓口から申し込む場所ではありません。編集者が方針に沿って書く場所です。
会社にとっての要点は3つ
1つ目は、項目には「載せてよい対象」の基準があることです。特筆性という方針に、満たすべき3つの条件が書かれています。
2つ目は、自社について書くときには、お金の関係を開示する決まりがあることです。会社の仕事として編集するなら、誰がお金を払っているかを明らかにします。
3つ目は、ウィキデータに項目を作ることが、GoogleやAI検索に載る条件として、公式の文書に書かれていないことです。作る前に、自社サイトの会社概要を整えるほうが先になります。
全体像を、先に表で見る
次の表で、この記事の流れをつかんでください。
| 知りたいこと | 答え | 確かめた資料 |
|---|---|---|
| Wikidataとは何か | 無料で共同編集される、構造化データの知識ベース | Wikidataの入門ページ |
| Q番号とは何か | 項目を一意に見分けるID | Wikidataの入門ページ |
| 会社の項目を作ってよいか | 特筆性の3条件のどれかを満たす必要がある | 特筆性の方針ページ |
| 自社の関係者が作ってよいか | 利益相反の場合は、新規項目の依頼の場で頼む案内がある | 新規項目の依頼ページ |
| お金をもらって編集するとき | 支払う側の組織や個人の開示が必須 | 有償編集の開示の方針ページ |
| GoogleのAI機能に効くか | 公式の文書に、効くという記述は見当たらない | 検索セントラル「AI機能とウェブサイト」 |
先に断っておくこと
この記事は、ウィキデータに自社の項目を作る方法の手引きではありません。作ってよい会社かどうかを見極め、作らない場合に何をするかを書きます。
また、項目を作れば検索やAIの答えに出る、とは約束できません。出るという保証は、確かめた資料のどこにも書かれていませんでした。
Wikidataとは何か:公式の紹介が言っていること
Wikidataの入門ページは、冒頭で自分をこう説明しています。無料で、共同で編集され、多言語で使える、二次的な知識ベースである、という内容です。
続けて、構造化されたデータを集めて、Wikipediaなどウィキメディア系のサイトと、世界中の誰もを支える、と書かれています。ここでの要点は、機械が読める形のデータの置き場だということです。Wikipediaの文章の置き場とは役割が違います。
無料で、再利用できる
入門ページによると、データは「クリエイティブ・コモンズ パブリックドメイン提供1.0」で公開されています。許可を求めずに、複製、改変、配布ができ、商用でも使えます。
ライセンスの概要ページにも、構造化データはクリエイティブ・コモンズ・ゼロ(CC0)で公開される、と書かれています。公共の財産と同じ扱いです。
会社にとっての意味は、書かれた内容を誰でも自由に使えるということです。自社の情報を書くなら、自社の事実が自由に流通することを前提にします。
共同で編集され、会社の持ち物にならない
入門ページには、データは編集者が入力し、維持する、と書かれています。内容づくりの規則も、編集者が決めます。
つまり、ウィキデータの項目は、会社のホームページと違って、会社が管理する場所ではありません。自社の項目があっても、書き換えや削除を、第三者が行うことがあります。
二次的な知識ベースとは
入門ページは、ウィキデータが文だけでなく、その出典や、ほかのデータベースとのつながりも記録する、と説明しています。これが「二次的」の意味です。
ウィキデータは、世界の事実そのものを持つ場所とは違います。どの資料にそう書かれているかを指し示す場所です。出典の扱いは、後の章でもう一度確かめます。
ここまでの用語を表に整理する
| 公式の紹介の言葉 | 意味 | 会社にとっての受け取り方 |
|---|---|---|
| 無料 | 再利用できる | 書いた内容は、誰でも使える |
| 共同編集 | 編集者が内容を決める | 会社の持ち物ではない |
| 多言語 | どの言語でも編集と閲覧ができる | 日本語で書いた内容も、他の言語から見える |
| 二次的な知識ベース | 出典を指し示す | 出典の無い情報は、書いても残りにくい |
| 構造化データ | 項目と値の形で整理する | 文章よりも、機械が読みやすい形になる |
Q&Aサイトで見かけた、名前の下の説明文の悩み
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿した方は、Wikipediaで人物のページを開くと、名前の下に「日本の動画投稿者」のような短い説明が出ていることに気づきました。この部分の名前が分からず、書き方も知りたい、という相談でした。
回答した方は、ウィキデータという、ウィキペディアの姉妹プロジェクトを使う、と答えていました。ページに結びつけられたウィキデータの項目を開くと、言語ごとの名前や説明を設定できる、という内容でした。
この悩みが、会社にとっても他人事ではない理由
会社の経営者から、同じ種類の相談を受けることがあります。「自社の説明が、検索や百科事典のようなサイトで、勝手に書かれている」「自分たちで正しく書けないのか」という声です。
Wikipediaの名前の下の説明が、どこから来ているのかは、自社の情報が外でどう扱われるかを知る入口になります。入門ページには、ウィキデータがWikipediaの情報ボックスや、他の言語版へのリンクを支える、と書かれています。
悩みへの短い答え
名前の下の説明のような短い文は、Wikidataの項目にある「説明」などの情報が使われる場合があります。ただし、この点は、Q&Aサイトの回答で触れられていた範囲で、公式のページで確かめたものではありません。個別のページでそう動いているかは、そのページで確かめてください。
自社の説明を、自分で直したいときは、先に自社が項目に載せてよい対象かどうかを確かめます。次の章から、仕組みの順に確かめます。
Wikidataの仕組み:項目・Q番号・プロパティ・ステートメント
ウィキデータの中身は、4つの部品で説明できます。項目、プロパティ、値、そして出典です。入門ページに、この4つの関係を示す図があります。
用語がいくつか出てきますが、ひとつずつ、公式の例で確かめます。
項目とQ番号:Wikidata IDの正体
項目は、ウィキデータの中心になる単位です。入門ページによると、項目にはラベル(名前)、説明、そして任意の数の別名があります。
項目は、Qに数字を続けた番号で、一意に見分けられます。入門ページの例は、ダグラス・アダムスのQ42です。
検索で見かける「ウィキデータ ID」は、多くの場合、このQ番号を指します。会社の項目があれば、その会社にも固有のQ番号が付きます。
プロパティとP番号:何についての情報か
プロパティは、項目の性質を表す部品です。Pに数字を続けた番号で見分けます。入門ページの例は、「学んだ学校」にあたるP69です。
ダグラス・アダムスの項目に、P69を使って、セント・ジョンズ・カレッジ(Q691283)を値として結ぶと、1つの文ができます。Q42、P69、Q691283の3つが並ぶ形です。
ステートメント:プロパティと値の組み合わせ
入門ページは、ステートメントを、項目の詳しい特徴を表すもので、プロパティと値からなる、と説明しています。データモデルのページでは、主語、述語、目的語の形だと書かれています。
データモデルのページの例は、ティム・バーナーズ=リー(Q80)の雇用主(P108)が欧州原子核研究機構(Q42944)である、という文です。さらに、開始時期(P580)や終了時期(P582)を添えて、期間を限定することもできます。
識別子とサイトリンク
入門ページには、ほかのデータベースへつなぐプロパティを「識別子」と呼ぶ、と書かれています。図書館や公文書館の典拠データベースへのつながりが例に挙がっています。
もう1つ、サイトリンクという部品があります。項目を、Wikipedia、ウィキブックス、ウィキクォートなどの対応するページに結びつけるものです。
部品を表で整理する
| 部品 | 見分け方 | 公式の例 | 会社の場合の見立て |
|---|---|---|---|
| 項目 | Qと数字 | ダグラス・アダムス(Q42) | 会社1社に、1つの項目 |
| プロパティ | Pと数字 | 学んだ学校(P69) | 設立日、所在地、公式サイトなどの種類 |
| 値 | 項目、日付、文字など | セント・ジョンズ・カレッジ(Q691283) | 設立日の日付、所在地の項目 |
| 識別子 | 外部の番号を結ぶプロパティ | 典拠データベースの番号 | 他のデータベースにある会社の番号 |
| サイトリンク | 対応するページへの結びつき | Wikipediaの記事 | 会社の記事がある場合だけ |
プロパティの数は、公式のページで確かめられる
データモデルのページには、2026年10月24日に開いた時点で、ウィキデータのプロパティが14,008個ある、と書かれていました。数は日々変わるため、あくまでもその時点の値です。
そのうち一部は、ほかのデータベースへの外部の識別子だと説明されています。つまり、ウィキデータは、会社の事実を文章で書く場所よりも、決まった型の入れ物に値を入れる場所です。
出典の扱い:書いたことは、資料で裏づけられる必要がある
Wikidataの特徴のひとつが、出典の扱いです。入門ページの「二次的な知識ベース」という言葉が、ここに結びつきます。
出典のヘルプページには、ステートメントの大半は検証できるべきで、本や学術論文、新聞記事などの情報源に裏づけられるべきだ、と書かれています。出典の指し方は、プロパティと値の組み合わせです。
出典を指す2つのプロパティ
ヘルプページによると、出典によく使うプロパティは2つあります。出版物やメディアを指す「出典」(P248)と、ウェブサイトを指す「参照URL」(P854)です。
会社のホームページは、後者の参照URLで指すのが自然です。自社サイトに事実が書かれていることが、出典の土台になるわけです。
出典が要らない場合もある
ヘルプページは、出典が要らない例も挙げています。誰もが知る常識で争いが無いもの、外部の典拠データベースの番号のように、その場で確かめられるものです。
会社の設立日や所在地、事業内容は、常識ではありません。出典を付けるのが前提になる情報です。
検証可能性のページは、まだ提案の段階
検証可能性を扱うページには、ステートメントはすべて出典で裏づけられる必要があり、出典の無いもの、出典と合わないものは削除される、と書かれています。
ただし、このページの冒頭に、方針や指針に昇格させる提案の段階だ、と表示されています。公式な決まりとして読まず、考え方の説明として読みます。
会社の公式ページは、出典になりうる
同じページに、政府機関、会社、団体が明確に発行したウェブページは、信頼できる情報源とみなされることが多い、という記述があります。一方で、個人ブログのような自己発信の情報は、その発信者自身についての文に使え、かつ自己宣伝でない場合に限られます。
自社サイトは、自社の事実の出典になりえます。ただし、自社の自慢や評価の主張は、第三者の資料が要ると考えておくのが安全です。
出典の扱いを表にする
| 場面 | 公式の考え方 | 会社が用意すること |
|---|---|---|
| 設立日や所在地 | 出典で裏づける | 自社サイトの会社概要に、日付と住所を明記する |
| 事業内容 | 出典で裏づける | 事業内容を、平易な言葉で1か所に書く |
| 受賞や評価 | 第三者の資料が望ましい | 掲載記事や発表の資料を残す |
| 外部の番号 | 外部のデータベースが出典 | 登録番号などを、公式に確かめられる形で示す |
| 出典の無い自慢 | 削除されうる | 書かない |
WikipediaとWikidataの関係:同じ財団、別の場所
名前が似ているため、2つを同じものと考える人がいます。項目のヘルプページは、項目をWikipediaの記事のウィキデータ版と考えがちだと断ったうえで、Wikipediaの内容を集めただけのデータベースではない、と書いています。
メディアファイルの置き場であるウィキメディア・コモンズのほうが、性質は近いとも説明されています。
役割の違いを表で見る
| 比べる点 | Wikipedia | Wikidata |
|---|---|---|
| 中身 | 文章で書かれた記事 | 項目と値の構造化データ |
| 書き手 | 記事の編集者 | データの編集者と自動のプログラム |
| 載せてよい基準 | 各言語版の基準 | 特筆性の方針ページの基準 |
| 会社にとっての見え方 | 記事として読まれる | 他のサイトや機械が使う |
両者はつながっている
入門ページには、ウィキデータは、情報ボックスや他の言語へのリンクを、より保守しやすくする形でWikipediaを支える、と書かれています。ある言語での更新が、ほかの言語でも使えるようになります。
Wikipediaに会社の記事がある場合、その記事とウィキデータの項目はサイトリンクで結ばれます。Wikipediaの記事の有無は、次の章の特筆性にも関わります。
特筆性の方針:会社の項目を作ってよいかどうかの物差し
自社の項目を作る前に、最初に読むべき方針が、特筆性の方針ページです。ページの上部に、これはウィキデータの方針で、編集者が通常従うべき広く受け入れられた基準だ、と書かれています。
同じページに、基準はあえて少しあいまいにしてある、という断り書きもあります。判断が分かれたときは、削除の依頼を出し、最終的にはコミュニティが決める、という流れです。
項目が認められる3つの条件
ページには、項目が認められるのは、次の3つの条件のうち、少なくとも1つを満たす場合だ、と書かれています。
| 条件 | ページの内容 | 会社の場合の見立て |
|---|---|---|
| 1 サイトリンク | Wikipediaなどウィキメディア系のサイトの有効なページへのリンクが、少なくとも1つある | 会社の記事が、Wikipediaに存在する場合 |
| 2 識別できる対象 | 明確に識別できる概念上または物質上の対象で、きちんとした公開資料で説明できる | 公開された信頼できる資料で、会社を説明できる場合 |
| 3 構造上の必要 | ほかの項目の文をより役立てるために必要 | 会社の項目から、ほかの項目が参照される場合 |
2つ目の条件が、中小企業に関わる
多くの中小企業は、Wikipediaに記事がありません。1つ目の条件には当てはまらないため、2つ目の条件を満たせるかが争点になります。
公式の原文にある「きちんとした、公開されている資料」という表現が、何を指すかは、ページに細かい一覧がありません。出典の方針を参考に、政府機関や会社などが発行したウェブページ、新聞記事、書籍などが、候補になると考えられます。
基準を満たさないデータは、受け付けられない
ページには、この基準の外にあるデータは、残念ながら受け付けられない、と書かれています。代替として、姉妹のプロジェクトであるウィキベース・クラウドとウィキベース・スイートが、データの置き場になりうると案内されています。
ここで確かめられたのは、案内の存在です。自社用のデータの置き場としてどうかは、別の話になります。
基準そのものも、見直しの議論中
ページの上部に、この方針を変える議論が進行中だ、という表示があります。基準が将来変わる可能性があります。
作る前に、必ずその日のページを開き直してください。この記事の内容も、2026年10月24日に開いたページの内容です。
「宣伝のために項目を作らない」:項目のヘルプが明記していること
項目のヘルプページには、載せる対象の条件のあとに、一文が付いています。最も重要なこととして、宣伝の目的で項目を作らないこと、と書かれています。
会社の項目は、営業のための場所ではありません。検索で目立ちたいから作る、という動機は、ヘルプの趣旨と合いません。
宣伝にならない書き方とは
項目に書くのは、名前、種類、設立日、所在地などの、確かめられる事実です。キャッチコピーや強みの訴えは、項目の役割から外れます。
この考え方は、自社サイトの会社概要を書くときにも、役立ちます。事実を、平易に、淡々と書く文章は、どの場所でも使いまわせます。
作る前に調べる:すでに項目があるかもしれない
新しく作る前に、すでに自社の項目があるかを確認します。入門ページには、項目を探すための道具として、ウィキデータ・クエリ・サービスや、リゾネーターが挙がっています。
まずは、Wikidataの検索窓で、社名を入力して調べます。同名の別会社の項目があることもあります。
利益相反:自社のことを、自社の人が書くとき
自社に関わる人が、自社の項目を作る場合は、利益相反の問題が生じます。新規項目の依頼ページには、この点がはっきり書かれています。
誰でも項目を作れる、と案内したうえで、次のような場合は、そのページで依頼してもよい、と案内しています。
依頼ページが挙げる、依頼の場を使える場合
| 場面 | 依頼ページの案内 | 会社の場合 |
|---|---|---|
| 利益相反がある | 自分自身、自分の組織、自分の会社など、近い関係の対象の項目は、ここで依頼してもよい | 自社の項目は、依頼の形が案内されている |
| 基準を満たすか不安 | 依頼して確認を得られる | 特筆性に自信が無い場合 |
| 作り方が分からない | 別の編集者に、作ってよいか確認してもらう | 初めて触る担当者 |
依頼するときは、特筆性の方針を満たすことを示す証拠を添えるよう求められています。
依頼ページの利用は、利益相反を消さない
依頼するからといって、自社の利益相反が無かったことにはなりません。ページは、利益相反を開示したうえで、独立した立場の編集者の判断を求める場所です。
ページ上の依頼例にも、「利益相反の開示」という項目を立てて、自分がその対象の関係者だと明記しているものがあります。隠さずに書くのが、この場の作法です。
有償編集の開示:お金をもらって編集するとき
制作会社や代行業者に、ウィキデータの項目作成を頼む場合は、有償編集の開示が必要です。ウィキデータ自身の方針と、運営団体の利用規約の両方に定めがあります。
Wikidataの方針が求めること
有償編集の開示の方針ページには、運営団体の利用規約が有償編集の開示を求めている、と書かれています。さらに、ウィキデータの利用者もその方針に従うことを期待する、とあります。
利用者は、ウィキデータへの貢献に対してお金を払う組織(法的な地位は問わない)と個人の名前を、すべて開示しなければなりません。開示の方法は、利用者ページに文章で書くか、専用のテンプレートを使うか、のどちらかです。
運営団体の利用規約が求めること
利用規約の該当部分には、報酬を受け取る、または受け取る見込みの貢献について、雇用主、依頼主、意図した受益者、そして関係を開示せよ、と書かれています。開示の場所は、利用者ページ、貢献に付く議論ページ、編集の要約欄のうち、少なくとも1か所です。
さらに、各プロジェクトの方針や運営団体の指針が、利益相反について、より厳しい制限や詳しい開示を求めることがある、とも書かれています。
守られなかった場合
方針ページには、違反した場合の対応も書かれています。最初は丁寧な注意が基本ですが、続けると、一定期間または無期限で、編集の権限を取り上げられることがあります。
編集者がしつこく妨害的だと管理者が判断すれば、警告なしにブロックされることもあります。ブロックされても、閲覧は続けられますが、変更はできなくなります。
発注側の会社が確かめること
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 業者が、開示の方法を理解しているか | 発注した会社の名前が、開示の対象になる |
| 業者が、特筆性の基準を説明できるか | 基準を満たさない項目は、削除されうる |
| 出典となる資料が、自社の側にあるか | 出典の無い文は残らない |
| 作成後の保守を、誰が行うか | 項目は共同編集で、会社の持ち物ではない |
| 「載ること」を約束する業者でないか | 載せるかどうかの決定は、コミュニティにある |
自分自身についての編集:Wikidataの自伝のページが言っていること
ウィキデータには、自分自身、または自分が代表する人についての項目を扱う、自伝のページがあります。個人を想定したページですが、会社の関係者が自社を書く場面を考える手がかりになります。
自分の項目を編集することは、許されている
ページには、一般に、自分自身や、知り合い、代表する相手の項目を編集することは、許されていると書かれています。ただし、特筆性の基準を満たすと確信がある場合を除き、自分の項目を新しく作らないよう求めています。
書くなら、出典が要る
自分の経歴や実績を足す場合は、信頼できる、検証可能な出典に基づく必要があります。自分のウェブサイトやブログなどを使ってもよいが、それは自分自身についての情報に限る、とも書かれています。
また、出典のある文を、自分で消してはいけません。間違いだと思う場合は、プロジェクトチャットで相談する、と案内されています。
自伝のページを会社に当てはめる
| ページの内容 | 会社に当てはめた見方 |
|---|---|
| 自分の項目の編集は許される | 自社の項目の編集も、無条件で禁じられてはいない(個人向けの記述からの類推) |
| 基準を満たす確信が無ければ、作らない | 自社の特筆性が不明なら、作らない |
| 出典のある文を消さない | 自社に不都合な事実でも、出典があれば消さない |
| 自分のサイトは、自分についての出典に使える | 自社サイトは、自社の事実の出典になりうる |
| 報酬があれば、開示する | 業者への依頼は、開示が必要 |
会社に関する決まりは、このページに書かれていません。表の右の列は、個人向けの記述を会社に当てはめた筆者の見立てであり、公式の規則ではありません。
Wikidataの項目は、GoogleのAI機能や検索に効くのか
この記事でいちばん聞かれそうな問いに、公式の文書で確かめた範囲で答えます。2026年10月24日に、Googleの公式ページを開いて確認しました。
結論から書くと、Wikidataに項目を作ることが、検索やAI機能への掲載の条件だと書いた公式の記述は、確かめた範囲に見当たりませんでした。
検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」
Googleの検索セントラルには、AIによる概要とAIモードを、サイト運営者の立場から説明するページがあります。このページには、AIによる概要やAIモードに表示されるために、追加の要件や、特別な最適化は必要ない、と書かれています。
表示される支えのリンクになる条件は、ページがインデックスされ、スニペット付きで検索に表示できることです。追加の技術要件は無い、とも書かれています。
このページの本文を調べると、ウィキデータという語は1回も出てきませんでした。
組織の構造化データのページ
次に、組織の構造化データを説明するページを開きました。ホームページに組織の構造化データを入れると、Googleが組織の管理上の詳細を理解し、検索結果で組織を見分ける助けになる、と書かれています。
このページにも、ウィキデータという語は出てきませんでした。例のコードにはsameAsという項目があり、自社のプロフィールにあたる外部ページのURLを並べる形が示されています。
ナレッジパネルのヘルプ
ナレッジパネルのヘルプには、ナレッジパネルは自動的に生成され、表示される情報はウェブ上のさまざまな情報を元にしている、と書かれています。映画や音楽のような特定の話題では、信頼できるデータ提供元と協力することもある、とあります。
このヘルプにも、ウィキデータの名前は出てきません。ナレッジパネルとナレッジグラフの全体像は、ナレッジグラフとは何かでも、公式の文書を確かめながら整理しています。
確かめられたことを表で整理する
| 資料 | 確かめた内容 | Wikidataへの言及 |
|---|---|---|
| 検索セントラル「AI機能とウェブサイト」 | 追加の要件や特別な最適化は不要 | 無し |
| 組織の構造化データのページ | 組織の理解と見分けを助ける | 無し |
| ナレッジパネルのヘルプ | 自動生成で、情報源はウェブ上のさまざまな情報 | 無し |
| ナレッジグラフ検索のAPIの文書 | 相互につながった実体が必要なら、Wikidataのデータの利用を勧める | 有り(開発者向けの案内) |
| schema.orgのsameAsの説明 | 同一性を示す参照ページのURL。Wikidataは例のひとつ | 有り(例として) |
「有り」の2つは、掲載の条件の話ではない
ナレッジグラフ検索のAPIの文書には、そのAPIが個別の実体を返すだけで、つながり合った実体の集まりは返さないため、必要なら、データの利用を勧める、と書かれています。開発者に向けた使い方の案内です。
schema.orgの説明は、sameAsを、項目の同一性をはっきり示す参照ページのURLと定義しています。例として、Wikipediaのページやウィキデータの項目、公式サイトが挙がっています。どれも例であって、必須とは書かれていません。
sameAsに、Wikidataは必須か:Wikidata自身が答えている
「sameAsにWikidataのURLを入れたいから、項目を作りたい」と考える担当者もいます。この点は、ウィキデータの新規項目の依頼ページが、直接答えています。
依頼ページの一文
依頼ページには、schema.orgのsameAsの文のためにURLを得ようとして項目を依頼しているなら、当てはまる任意のURLを使えばよく、ウィキデータは必須ではない、という趣旨の注意書きがあります。
つまり、sameAsのためだけにウィキデータの項目を作る必要は、Wikidata自身が、必須ではないと書いています。sameAsの書き方と並べてよい先は、sameAsとはで、公式の文書を確かめて説明しています。
他のAIサービスについては、確かめていない
ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexityなどが、回答を作るときにウィキデータを参照するかどうかは、今回、公式の文書で確かめられませんでした。確かめられないことは、書きません。
「ウィキデータに項目を作ればAIに引用される」という説明を見かけたら、その根拠が公式の文書か、実測かを確かめてください。根拠が示されていなければ、鵜呑みにしないほうが安全です。
解決策:先に、自社サイトに「第三者が確かめられる事実」の受け皿を用意する
ここまでで、ウィキデータの項目は、作る前に確かめることが多いと分かりました。特筆性、利益相反、有償編集の開示、そして出典です。
この4つに共通するのは、自社の事実が、第三者に確かめられる形で、どこかに書かれている必要があるという点です。その最初の場所が、自社サイトの会社概要のページです。
受け皿のページとは何か
受け皿のページとは、社名、所在地、設立日、事業内容、連絡先などの事実を、1つの場所に、誰が読んでも同じ意味になる書き方でまとめたページです。Wikidataの検証可能性のページ(提案段階)にも、会社が発行したウェブページは信頼できる情報源とみなされることが多い、と書かれています。
ウィキデータの出典のヘルプでは、ウェブサイトを指す出典に、参照URLという種類が使われます。自社の会社概要のページは、そのまま、出典のURLの候補になります。
受け皿のページに書く項目
| 書く項目 | 書き方 | 食い違いが起きやすい点 |
|---|---|---|
| 正式な社名 | 登記と同じ表記で、1か所に | 株式会社の位置、全角と半角 |
| 所在地 | 郵便番号から建物名まで、省略しない | 移転前の住所が残る |
| 設立日 | 西暦と和暦のどちらかに統一 | ページごとに表記が違う |
| 事業内容 | 一文で言える形から始める | 古い事業が残る |
| 代表者 | 氏名と肩書を、同じ表記で | 旧代表者が残る |
| 連絡先 | 電話番号と問い合わせ先 | 旧番号が残る |
第三者の資料を、自社で増やせる範囲
特筆性の2つ目の条件は、きちんとした公開資料で説明できることでした。自社サイトだけでは足りず、自社の外にある資料が必要になります。
自社が動かせるのは、取材や掲載に応じること、公的な登録や発表の記録を残すこと、取引先や団体の紹介ページに載るときの表記を揃えることなどです。載る約束はできませんが、残すことはできます。
表記の統一から始める
社名や住所が、自社サイト、地図の登録、名刺、団体のページでばらばらだと、同じ会社と見なされにくくなります。直す順番と点検の表は、AIに自社を正しく伝える会社概要ページの作り方に整理してあります。
構造化データで、ページの意味を機械に渡す
会社概要のページには、組織の構造化データを入れると、Googleが組織の詳細を理解する助けになります。これは検索セントラルのページで確かめた内容です。
書く内容は、見える本文と合わせます。AI機能のページにも、構造化データをページの見える文章と一致させる、という項目が並んでいます。
Wikidataに進むかどうかの判断の順番
| 順番 | 確かめること | 次にすること |
|---|---|---|
| 1 | 自社サイトの会社概要が、事実を1つの表記で書いているか | 食い違いを直す |
| 2 | 自社の外に、会社を説明する公開資料があるか | 無ければ、載る機会を作る |
| 3 | 特筆性の3つの条件のどれかを、説明できるか | 説明できなければ、項目を作らない |
| 4 | すでに自社の項目があるか | あれば、内容と出典を確かめる |
| 5 | 作る場合、利益相反と有償の開示を整えたか | 整えてから、依頼ページを使う |
最初の3か月の進め方と、避けたい失敗
ウィキデータに項目を作るかどうかを決める前に、3か月で進める作業を、月ごとに分けます。大きな仕組みは要りません。小さく始めて、同じ手順で確かめ続けます。
1か月目:現状の記録と、会社概要の統一
最初の月は、書き足す前に現状を記録します。ウィキデータの検索窓で社名を調べ、項目があるかどうかを、画面の保存とともに記録します。
並行して、会社概要の項目を決めます。正式な社名、所在地、設立日、事業内容を、1つの表記に確定します。
2か月目:自社サイトと外部の掲載を直す
2か月目に、自社サイトの会社概要を、確定した表記に直します。次に、地図の登録や団体の紹介ページなど、自社の外にある掲載を点検します。
直せるものは直し、依頼が要るものは、依頼先と日付を記録します。この作業は、ウィキデータに進まない場合でも、無駄になりません。
3か月目:特筆性の3つの条件に当てはめる
3か月目に、特筆性の方針ページを開き直し、3つの条件のどれに当てはまるかを書き出します。当てはまるものがあり、公開された資料も揃うなら、依頼ページの利用を検討します。
当てはまらないと分かった場合は、項目を作らない、という結論も、立派な成果です。作らないと決めた理由を、記録に残します。
3か月の流れを表にする
| 時期 | やること | 記録するもの |
|---|---|---|
| 1か月目 | Wikidataで社名を検索。会社概要の表記を確定 | 検索画面、確定した表記の一覧 |
| 2か月目 | 自社サイトと外部の掲載を、確定した表記に直す | 直した場所、依頼先と日付 |
| 3か月目 | 特筆性の3条件に当てはめる | 当てはまる条件と、その資料 |
失敗1:サイトリンクを狙って、Wikipediaに記事を作る
Wikipediaの記事があれば、特筆性の1つ目の条件を満たします。ただし、Wikipedia側にも別の掲載基準があり、基準を満たさない記事は、削除されることがあります。掲載の考え方は、Wikipediaに会社の記事を載せるにはで整理しています。
失敗2:出典を付けずに、自社の強みを書く
出典の無い文は、方針により削除されうると、検証可能性のページに書かれています。強みや評価は、第三者の資料が無ければ、書いても残りません。
失敗3:業者に任せて、開示をしない
有償での編集は、支払う側の開示が必須です。開示が無いと、編集の権限を取り上げられることがあります。依頼する会社の名前も開示の対象になるため、事前に業者と合意しておきます。
失敗4:項目を作れば、AIに出ると考える
公式の文書には、そのような記述は確かめられませんでした。項目を作ることを目的にせず、自社サイトの受け皿を整えることを先にします。
よくある質問
Q1 Wikidataとは、どのようなものですか
公式の入門ページによると、無料で、共同で編集され、多言語で使える、二次的な知識ベースです。構造化されたデータを集めて、Wikipediaなどのウィキメディア系のサイトと、世界中の誰もを支えます。
データは、クリエイティブ・コモンズ・ゼロ(CC0)で公開され、商用を含めて自由に再利用できます。
Q2 Wikidata IDとは何ですか。どこで見られますか
項目ごとに付く、Qと数字の番号です。入門ページの例は、ダグラス・アダムスのQ42です。
項目のページの先頭付近に、その番号が表示されます。プロパティには、別にPと数字の番号が付きます。
Q3 ウィキデータ・クエリ・サービスとは何ですか
入門ページに、項目を探したり調べたりする、よく使われる道具として挙がっているものです。ほかに、リゾネーターという道具も挙げられています。
使い方の細かい説明は、この記事では扱いません。公式のツールのページに案内があります。
Q4 自社の項目を、自分で作ってもよいですか
誰でも新規項目を作れる、と依頼ページに書かれています。ただし、自社のように近い関係の対象は、依頼ページで依頼する選択肢が案内されています。
作る場合は、特筆性の条件を満たすことが前提で、宣伝の目的で作ってはいけません。お金を払って頼む場合は、支払う側の開示も必要です。
Q5 Wikidataに項目を作ると、AI検索やGoogleに出やすくなりますか
出やすくなる、と書いた公式の記述は、確かめた範囲に見当たりませんでした。GoogleのAI機能のページには、追加の要件や特別な最適化は不要、と書かれています。
先に整えるべきは、自社サイトの会社概要と、その表記の統一です。
まとめ
ウィキデータは、誰でも編集できる、無料の構造化データベースです。項目はQ番号、性質はP番号で見分け、文には出典が付きます。
会社の項目は、特筆性の3つの条件のどれかを満たし、宣伝の目的でない場合に限って、認められます。利益相反がある場合は、依頼ページの利用が案内され、お金をもらって編集する場合は、支払う側の開示が必須です。
GoogleのAI機能や検索に、Wikidataの項目が必要だと書いた公式の記述は、確かめられませんでした。sameAsの先としても、ウィキデータは必須ではないと、ウィキデータ自身が書いています。
作る前にすることは、自社サイトに、第三者が確かめられる事実の受け皿を用意することです。正式な社名、所在地、設立日、事業内容を、1つの表記で書きます。
今日できる点検
| 点検すること | 見る場所 | 結果の見方 |
|---|---|---|
| 自社の項目がすでにあるか | Wikidataの検索窓で社名を検索 | あれば、内容と出典を確かめる |
| 同名の別会社の項目がないか | 同じ検索結果 | あれば、見分けられる情報を整理する |
| 会社概要の表記が揃っているか | 自社サイト、地図、団体のページ | 食い違いを一覧にして直す |
| 自社を説明する公開資料があるか | 掲載記事、公的な登録、団体の紹介 | 無ければ、載る機会を考える |
| 特筆性の3条件に当てはまるか | 特筆性の方針ページ | 説明できなければ、作らない |
| 業者に頼む場合の開示を合意したか | 業者との契約や確認事項 | 支払う側の開示を、事前に決める |
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