自社サイトの一番上や、配ったチラシの見出しに、気の利いた一言を載せたい。そう思ってペンを持つと、たいてい手が止まります。ようやく絞り出した言葉も、翌日読み返すとどこかで見たような文句に見えてくる。載せてみても、問い合わせの電話が増えるわけでもない。中小企業の経営者やサイトの担当をしている方から、この相談を毎週のように受けます。時間をかけて考えたのに手応えがない、というのは、努力が足りないからではありません。力の入れどころが1つずれているだけのことが、とても多いのです。
結論から言うと、反応が返ってこないのは言葉のセンスが足りないからではありません。プロのコピーライターの語彙を借りようとするほど、自分の会社の言いたいことから話が始まり、読む人の頭のなかにある悩みと噛み合わなくなります。キャッチコピーは発明する作業に見えて、実際は、お客様がすでに口にしている言葉を拾い、それを置くべき場所に置き直す作業に近いのです。
この記事では、売れるサイトの見出しやチラシのキャッチコピーの作り方を、5つの手順に分けてたどります。読み終えたとき、自社サイトのどの一文を、どう書き替えるかが1つ決まっている状態を目指します。手を動かせる形にすることを最優先にしているので、表と図を多めに使いました。読み物として眺めるより、手元に自社サイトを開き、直す場所を探しながら読むと効き目が変わります。
なぜプロっぽい言葉を並べても反応が返ってこないのか
まず、うまくいかない原因を切り分けます。たいていの場合、問題は言葉の巧みさよりも、言葉の向きにあります。誰に向かって、どの瞬間に、何を言うのかがずれていると、どれだけ磨いた一文も素通りされます。
「かっこいい言葉」と「反応がある言葉」は別物
広告や有名企業の標語を思い浮かべると、短くて余韻のある表現に憧れます。ただ、それらは長い年月をかけて認知を積んだブランドだからこそ効く言葉です。まだ知られていない会社が同じ抽象度で書くと、意味が伝わる前に読み飛ばされます。中小企業のサイトで反応を生むのは、余韻のある言葉よりも、読んだ人が自分のことだと気づく具体的な言葉です。
たとえば工務店のサイトに「地域に根ざし、真心を込めた家づくりをお約束します」と書いてあっても、読む人の心は動きにくい。ところが「築25年の実家、寒さと雨漏りをそのままにしていませんか」と書くと、思い当たる人の指が止まります。前者は会社の姿勢の説明で、後者は読む人がいま抱えている状況の名指しだからです。
自己紹介から始まる見出しは読み飛ばされる
反応の薄いサイトに共通するのは、見出しが会社の自己紹介から始まっている点です。「私たちは〇〇を提供する会社です」という書き出しは、読む人にとってまだ関心の外にあります。人は自分の悩みが解けそうなときに初めて、それを誰が解くのかへ興味を移します。順番が逆になっているのです。まず相手の困りごとを差し出し、それが解けそうだと感じてもらってから、会社の話へ進むと読まれます。
私たちが相談の現場でサイトを一緒に読むと、最初の見出しが「サービスの名前と会社の姿勢」で占められている例がとても多い。読む人が探しているのは、自分の困りごとがここで片づくという手応えです。その手応えを先に差し出すと、続きが読まれ始めます。見出しを1行替えるだけで、同じ商品でも問い合わせの入り方が変わる場面を、相談の現場で何度も見てきました。
この記事を読み終えたときに決まること
この記事のゴールは、キャッチコピーの理屈を増やすことではありません。読み終えたときに、自社サイトのファーストビュー、つまり画面を開いて最初に目に入る見出しを、どの言葉に書き替えるかが1つ決まっていることです。直す場所を1か所に絞れば、その効果も確かめやすくなります。あれこれ同時に手を入れると、良くなっても悪くなっても理由が分からず、次の判断に迷います。1つずつ確かめる進め方が、遠回りに見えて確実です。
キャッチコピーとは何か、3つの型を先に分ける
作り方に入る前に、言葉の種類を3つに分けておきます。ここが混ざると、目を止めるための一言に説明を詰め込みすぎたり、覚えてもらうための言葉で具体的な悩みを語ろうとしたりして、どっちつかずになります。
目を止める一言、キャッチフレーズ
画面やチラシの一番上で、読む人の指と目を止める短い言葉です。役割は続きを読ませることだけに絞ります。ここで全部を伝えようとすると長くなり、逆に止まらなくなります。売れるサイトの見出しは、この一言に一番の力を注いでいます。
読ませて動かす文章、ボディコピー
キャッチフレーズで止まった人に、もう少し詳しい中身を伝える本文です。悩みへの共感、解決の道筋、その裏づけを、この部分で落ち着いて語ります。長さを許されるのはここなので、具体的な数字や事例を置く場所もここになります。キャッチフレーズで生んだ期待を、この本文で裏づけて安心へ変えるのが役割です。
会社を覚えてもらう言葉、タグライン
会社やサービスの名前に添えて、姿勢や約束をひとことで表す言葉です。長く使い続けて認知を積むための言葉なので、すぐに問い合わせを増やす役割は担いません。反応が欲しい局面で、タグラインの抽象度で書いてしまう取り違えが起きやすいので注意します。
| 言葉の型 | 役割 | いま反応が欲しいなら |
|---|---|---|
| キャッチフレーズ | 指と目を止め、続きを読ませる | ここに一番の力を注ぐ |
| ボディコピー | 悩みと解決の道筋を落ち着いて伝える | 数字と事例を置く |
| タグライン | 会社の姿勢を長く覚えてもらう | 今回は後回しでよい |
売れるサイトの見出しが満たしている4つの条件
型を分けたら、良い見出しが共通して満たしている条件を先に頭に入れます。作った案をこの4つに照らすと、どこを直せばいいのかが具体的に見えてきます。感覚で良し悪しを決めず、この物差しに当てて判断します。
短く言い切っている
ファーストビューの見出しは、一息で読める長さに収めます。行動情報技術という分野の研究によると、人がウェブページの第一印象を決めるのにかかる時間はおよそ0.05秒です。読む前に見た目で判断が始まるので、長い一文は最初の一瞬で敬遠されます。言いたいことが2つあるなら、見出しは1つに絞り、残りはボディコピーへ回します。
専門用語で煙に巻いていない
その業界では当たり前でも、お客様には初耳の言葉があります。読む人がつまずいた瞬間に、続きは読まれなくなります。社内で毎日使う略語や工程名は、いったん中学生に説明するつもりで言い直します。分かりやすさは、賢く見せることより強く効きます。自分では説明できているつもりでも、相手に通じていない言葉は思ったよりあります。社外の人に見出しを1度読んでもらうと、つまずく場所がはっきりします。
誇張して実態から離れていない
「業界No.1」「絶対に失敗しない」といった強い言葉は、一瞬の目を引きますが、裏づけがないと不信を招きます。読む人は誇張に敏感です。数字を出すなら根拠のあるものだけにし、約束できることだけを書きます。地味でも本当のことのほうが、最終的な問い合わせにつながります。
読み手の欲求に触れている
良い見出しは、読む人が心のなかで抱えている望みや不安に、そっと触れます。「時間を取り戻したい」「損をしたくない」「恥をかきたくない」といった素朴な気持ちです。商品の機能よりも、その機能で満たされる欲求のほうを言葉にすると、自分事として読まれます。
| 条件 | 満たしている見出し | 外している見出し |
|---|---|---|
| 短く言い切る | 一息で読める1文 | 説明を2つ以上詰め込む |
| 専門用語を避ける | 初めての人に通じる言葉 | 社内の略語や工程名 |
| 誇張しない | 根拠のある範囲で書く | 裏づけのない最上級 |
| 欲求に触れる | 読み手の望みを名指す | 機能の説明で終わる |
キャッチコピーの作り方、全体像を5つの手順で見る
ここから具体的な作り方に入ります。全体は5つの手順です。順番に土台を積み、最後に言葉へ落とします。この順で進むと、白紙の前で固まる時間がぐっと減ります。
図の通り、言葉づくりは最後の1手です。手前の4手で土台を固めておくほど、最後に迷いません。
| 手順 | やること | 次に渡すもの |
|---|---|---|
| 1 | たった1人の読み手を決める | その人の口ぐせ |
| 2 | その人が使う言葉を集める | 生の言葉のかたまり |
| 3 | 悩みと提供価値を1本の線で結ぶ | 伝える中身 |
| 4 | 型に当てはめて言葉にする | 見出しの案 |
| 5 | 声に出して整え、1か所で試す | 公開する1文 |
手順1、たった1人の読み手を決める
最初の手は、言葉より先に相手を決めることです。ここが全体の効き目を左右します。誰に宛てるかがぼやけたまま書くと、当たり障りのない言葉に落ち着きます。
「みんな」に向けると誰にも当たらない
幅広く届けたい気持ちから、つい全員に向けて書こうとします。ところが全員に向けた言葉は角が取れて、誰の心にも引っかからなくなります。1人へ宛てた手紙のような言葉のほうが、結果として似た状況の人へ広く届きます。
全員に向けた言葉は、かえって誰の心にも当たりません。まず1人を思い浮かべます。
1人に絞る具体的なやり方
絞り込みは、実在するお客様を1人思い浮かべると早い。過去に一番喜んでくれた顧客、あるいは対応にいちばん手応えがあった相手を選びます。その人の年齢や仕事、いま抱えている困りごと、口ぐせまで書き出します。架空の平均像より、顔の浮かぶ1人にすると、言葉の解像度が一気に上がります。「経営者」という大きな枠で考えると手が止まりますが、「去年、経理担当が辞めて自分で帳簿をつけ始めた50代の社長」まで絞ると、かけたい言葉が自然に浮かんできます。
| 絞り方の粒度 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| みんな向け | 言葉が抽象的で誰にも刺さらない | 実在の1人を選び直す |
| 属性だけ指定 | 年齢や業種は決めたが困りごとが曖昧 | 具体的な悩みを1つ書き出す |
| 顔の浮かぶ1人 | 口ぐせや不安まで見えている | その言葉を見出しに使う |
手順2、その人が使っている言葉を集める
相手が決まったら、次はその人の言葉を集めます。ここで自分の頭のなかから言葉をひねり出そうとすると、また会社目線に戻ってしまいます。言葉は発明せず、外から拾ってきます。
言葉は発明せず抜き書きする
心に刺さる見出しは、たいていお客様がすでに口にしている言葉でできています。相手が使う表現をそのまま抜き書きすると、読んだ人は自分の言葉を見つけて立ち止まります。たとえば経理で困っている経営者から「毎月の請求書の計算に、金曜の夜がまるごと消えていました」と聞いたら、その一文がそのまま強い見出しの素になります。
どこから言葉を拾うか
言葉の宝庫は身近にあります。問い合わせメールの一文、電話でのやり取り、アンケートの自由記述、商談での何気ないつぶやき。こうした場所には、相手が本当に困っている言い回しが落ちています。集めるときは、要約せず、相手が言った通りの言葉のまま書きとめておきます。
| 言葉を拾う場所 | 拾える言葉 | 使い方 |
|---|---|---|
| 問い合わせメール | 困りごとの具体的な言い回し | 見出しの主語にする |
| 電話や商談 | 思わずこぼれた本音 | 共感の一文に使う |
| アンケートの自由記述 | 決め手になった理由 | 裏づけの言葉にする |
| お客様の声 | 変化のビフォーとアフター | ボディコピーへ置く |
手順3、悩みと提供価値を1本の線でつなぐ
言葉が集まったら、相手の悩みと、自社が差し出せる価値を1本の線で結びます。ここでよくつまずくのが、自社の特徴をそのまま並べてしまうことです。
特徴を得られる変化へ翻訳する
サイトに書きがちなのは「最新の設備」「経験20年」といった特徴の一覧です。読む人が知りたいのは、その特徴によって自分の毎日がどう変わるかです。特徴は、相手が得る変化に翻訳して初めて意味を持ちます。
書くのは機能の一覧ではありません。その機能で相手の毎日がどう変わるかを書きます。
ベネフィットの見つけ方
翻訳のコツは、特徴のうしろに「だから、あなたは」と続けてみることです。「最新の設備がある、だから、あなたは待ち時間が半分になる」。この「だから」の先に出てくる言葉が、読む人にとっての価値です。特徴を1つずつこの問いにかけると、見出しに使える言葉が並び始めます。うまく続かない特徴は、そもそも読む人の得につながっていない合図なので、見出しからは外して判断材料にします。
| 自社の特徴 | だから、あなたは | 見出しに使う言葉 |
|---|---|---|
| 経験20年の職人 | 初めてでも安心して任せられる | 初めての人ほど頼っている |
| 予約が取りやすい | 思い立った日に相談できる | 今日の悩みを今日ぶつけられる |
| 作業の記録を全部残す | あとで言った言わないが起きない | やり取りが全部残る安心 |
手順4、型に当てはめて言葉にする
ここでようやく言葉づくりです。土台ができているので、いくつかの型に当てはめるだけで案が出ます。ゼロから名文をひねる必要はありません。
数字を入れて具体性を出す
抽象的な形容よりも、具体的な数字のほうが信じられます。「たくさんの実績」より「これまでに127社」、「すぐに対応」より「最短で当日中に」。集めた言葉のなかに数字にできる部分があれば、そこを数字へ置き替えます。「たくさん」では大きさが人によってばらつきますが、「127社」と書けば誰の頭にも同じ像が浮かびます。ここが数字の強みで、読む人の想像を1つの絵にそろえてくれます。
問いかけで自分事にする
問いかけの形は、読む人を立ち止まらせます。「まだ手書きの帳簿で消耗していませんか」のように、相手のいまの状況を問いにすると、思い当たる人が自分の話として受け取ります。ただし問いを重ねると軽くなるので、見出しに使うのは1つに絞ります。問いを2つ並べると、答えを探すより先に読む気力が削がれます。だからこそ、一番刺さる問いを1つだけ選びます。
呼びかけで対象を名指す
宛先を名指すと、その人の視線が止まります。「築30年の家にお住まいの方へ」のように呼びかけると、当てはまる人は自分が呼ばれたと感じます。手順1で1人に絞ってあれば、この名指しは自然に書けます。宛先をはっきり書くほど、当てはまらない人は静かに離れ、当てはまる人だけが濃く残ります。全員に届けようとするより、この選別が起きるほうが問い合わせの質は上がります。
| 型 | 作り方 | 見出しの例 |
|---|---|---|
| 数字 | 曖昧な量を具体的な数へ | これまでに127社が乗り換えた方法 |
| 問いかけ | いまの状況を問いにする | まだ手書きの帳簿で消耗していませんか |
| 呼びかけ | 宛先を名指す | 築30年の家にお住まいの方へ |
| ベネフィット | 得られる変化を先頭に置く | 金曜の夜を家族に返しませんか |
手順5、声に出して整え、1か所で試す
案が出たら、仕上げに移ります。ここを省くと、頭では良いはずの言葉が、実際には読みにくいまま公開されます。
声に出すと不自然さが分かる
できた見出しを、必ず声に出して読みます。目で追うと素通りする引っかかりが、口に出すとすぐ分かります。息継ぎに困る長さ、続けて発音しにくい音、意味の切れ目が合わない箇所。読みにくい言葉は、画面のなかでも読み飛ばされます。リズムが整うまで、言葉の順番を入れ替えます。
直す場所は1か所に絞る
いきなりサイト全体の言葉を入れ替えると、何が効いたのか分からなくなります。まずは一番目立つ場所、つまりファーストビューの見出しだけを新しい言葉に替えます。1か所だけ替えて反応の変化を見れば、その言葉の力を確かめられます。効いたと分かってから、次の場所へ広げます。
| 点検の観点 | 見るところ | 直し方 |
|---|---|---|
| 長さ | 一息で読めるか | 言いたいことを1つに絞る |
| 音 | 声に出して詰まらないか | 語順を入れ替える |
| 宛先 | 誰に言っているか伝わるか | 1人を名指す |
| 試す範囲 | 1か所に絞れているか | まず見出しだけ替える |
効果を高める書き方のコツ
5つの手順の上に、仕上がりを一段引き上げる小さなコツがあります。どれも土台ができた後で効くものです。
曖昧な量を具体的な数字に置き替える
「多くの人が使っています」より「3人に2人が使っています」のほうが、頭に像が浮かびます。書き終えた見出しやボディコピーを読み返し、量を表す曖昧な言葉を数字に替えられないか探します。根拠のある数字だけを使うのが前提です。裏づけのない数字は、逆に信頼を削ります。
オノマトペで手触りを出す
「ぴかぴか」「さらさら」「ずっしり」のような擬音や擬態の言葉は、商品の手触りを一瞬で伝えます。説明を1文足すより、音の1語のほうが早いことがあります。食べ物、肌ざわり、動きの軽さなど、感覚に訴える商材と相性が良い手です。ただし乱発すると子どもっぽくなるので、見出しに使うのは1語か2語にとどめ、残りは説明の言葉で支えます。効かせどころを絞るほど、その1語が立ちます。
一文を短くする
見出しの一文は、読点を挟まず言い切れる長さが理想です。目安として、20字前後を超えたら切れないか疑います。長い一文は、途中で意味を見失わせます。伝えたいことが2つあるなら、見出しとボディコピーに分けて役割を持たせます。1文に2つの主張を詰めると、読む人はどちらを受け取ればいいか迷い、結局どちらも残りません。1文に1つの主張を守ると、意味がまっすぐ通ります。
| 曖昧な書き方 | 具体的な書き方 | 効く理由 |
|---|---|---|
| 多くの人に選ばれています | 3人に2人が選んでいます | 頭に像が浮かぶ |
| すぐに対応します | 最短で当日中に伺います | 行動を想像できる |
| やわらかい肌ざわり | ふんわり包まれる肌ざわり | 感覚で伝わる |
やってはいけない3つの罠
最後に、反応を遠ざける典型的な失敗を3つ挙げます。良い作り方を知っていても、この罠に足を取られると台無しになります。
言いたいことを詰め込みすぎる
あれもこれも伝えたくて、1つの見出しに要素を積み重ねると、結局どれも印象に残りません。読む人が一度に受け取れることは、ほんのわずかです。見出しは1つのことだけを言い切り、残りはボディコピーに預けます。削る勇気が、伝わる力を上げます。
かっこいいだけで意味が伝わらない
言葉遊びに凝りすぎると、読み手が意味を追えなくなります。作った本人は満足でも、初めて見る人には何の話か伝わらない。おしゃれさより、まず何の役に立つのかが分かることを優先します。分かりやすさは、いつでも巧みさに勝ります。
誰にでも良い顔をする
全員に嫌われない言葉を目指すと、誰の心も動かせません。1人に深く刺さる言葉は、別の誰かには響かないこともあります。それでかまいません。手順1で選んだ1人に向けて言い切ることが、結果として大勢の人を動かします。
| 罠 | 起きること | 抜け出す一手 |
|---|---|---|
| 詰め込みすぎ | どの要素も印象に残らない | 1つに絞り残りは本文へ |
| かっこよさ優先 | 意味が伝わらず素通り | 役に立つことを先に言う |
| 全員に良い顔 | 誰の心も動かない | 選んだ1人へ言い切る |
作ったキャッチコピーを自社サイトのどこに置くか
言葉ができたら、置き場所で効き目が変わります。同じ一文でも、置く場所を間違えると読まれません。
ファーストビューの見出しが最優先
一番力を入れた言葉は、画面を開いて最初に目に入る位置に置きます。読む人はスクロールする前に、この一瞬で読み進めるかどうかを決めます。ここに会社の自己紹介を置くと、せっかくの言葉が下に埋もれます。まずファーストビューの見出しを、作った1文に替えます。ここが会社の自己紹介のままだと、その下にどれだけ良い言葉を並べても、読む人はスクロールする前に離れてしまいます。一番上の一文に、一番の力を置きます。
問い合わせボタンの周りの一言
行動を促す直前の一言も、反応を左右します。ボタンの手前に、背中を押す短い言葉を添えます。「まずは話を聞くだけでも大丈夫です」のような一言が、最後のためらいを軽くします。ここは長く語らず、1文で足ります。ボタンの文字そのものも、「送信」より「まず相談してみる」のように、押した先で何が起きるかが分かる言葉にすると、指が動きやすくなります。
| 置き場所 | 役割 | 置く言葉 |
|---|---|---|
| ファーストビューの見出し | 読み進めるかを決めさせる | 一番力を入れた1文 |
| 本文の小見出し | 読み手を先へ運ぶ | 悩みに寄り添う問いかけ |
| 問い合わせボタンの周り | 最後のためらいを消す | 背中を押す短い一言 |
業種によってキャッチコピーの作り方はどう変わるか
5つの手順は業種を問わず同じですが、どの欲求に触れるかは商材で変わります。自社がどの型に近いかを知っておくと、見出しの狙いを定めやすくなります。ここでは相談の現場でよく出会う3つのタイプを取り上げ、どこに力を入れるかを見ていきます。
形が見えない相談業やコンサルの場合
士業やコンサルのように、成果が形として見えにくい仕事では、読む人は「本当に自分の悩みを分かってくれるのか」を先に確かめようとします。だからこそ、手順2で集めた相手の言葉をそのまま見出しに使う効果が大きい。「相続の話を、どこから始めればいいのか分からない」といった、相手が実際にこぼした一言を見出しに置くと、読んだ人は自分の胸のうちを言い当てられたと感じます。実績の数を誇るより、悩みの解像度のほうが信頼を生みます。まず相手の状況を正しく名指し、その上で解決の道筋をボディコピーで示す順番が効きます。
手に取れる商品を売る物販の場合
食べ物や日用品のように、手に取れる商品では、感覚に訴える言葉が効きます。手順4で触れたオノマトペが、とくに力を発揮する場面です。「ふんわり」「もっちり」「ひんやり」といった手触りの言葉に、使う場面を1つ添えます。「朝の一杯を、香りから変える」のように、暮らしのどの瞬間で役立つかを見せると、読む人は自分の生活のなかにその商品を置いて考え始めます。写真で伝わる見た目の情報とは別に、言葉でしか運べない手触りと場面を担当させると、両方がそろって商品の魅力が立ち上がります。
来店や予約につなげたいサービス業の場合
飲食店や施術店のように、足を運んでもらう仕事では、行動へのためらいを軽くする言葉が要ります。初めての人は「自分が場違いになるのではないか」を気にします。「1人でも入りやすい」「予約なしでも大丈夫」といった、心のハードルを下げる一言が、最後のひと押しになります。手順5で触れた、問い合わせや予約のボタンの周りに置く言葉が、この業種では特に効きます。来てほしい気持ちを前に出すより、来る人の不安を先に消すほうが、結果として足が向きます。
| 業種のタイプ | 読み手が先に確かめたいこと | 効く見出しの方向 |
|---|---|---|
| 相談業やコンサル | 悩みを分かってくれるか | 相手の言葉をそのまま置く |
| 物販 | 使うとどんな感じか | 手触りと使う場面を見せる |
| 来店型のサービス業 | 自分が場違いにならないか | 心のハードルを下げる |
キャッチコピーが決まらないときの抜け道
手順どおり進めても、案が絞りきれない日があります。そんなときに使える抜け道を3つ用意しました。どれも、頭のなかだけで悩むのをやめて、外にある材料へ戻る動きです。行き詰まったら、自分の想像力を責める前に、材料が足りているかを疑います。
一番喜ばれた瞬間を思い出す
過去のお客様が、どの瞬間に一番喜んでくれたかを思い出します。「そこまでやってくれるとは思わなかった」と言われた場面には、自社の価値がむき出しで表れています。その驚きを、これから来る人に向けた見出しへ翻訳します。机の上でひねり出す言葉より、実際に喜ばれた記憶のほうが正直で、読む人にも伝わります。日報や納品の記録を読み返すと、忘れていた場面が出てきます。
断られた理由を裏返す
見送られたとき、相手が口にした理由にも、見出しの種があります。「高そうだと思った」「時間がかかりそうで」といった不安は、同じ立場の人がたいてい抱えています。その不安を先回りして打ち消す一言を見出しに置くと、同じ理由で迷っている人の背中を押せます。断られた理由は痛いところですが、次に来る人の迷いを言い当てるための、いちばん確かな手がかりになります。
同じことを別の言葉で10通り書く
1つの案が出たら、同じ意味を別の言い回しで10通り書き出します。最初に出た言葉が最良とは限りません。数を出す過程で、思いがけず良い一文が混ざります。10通りのなかから、声に出して一番すっと入るものを選びます。粘って数を出すことが、結果として質を連れてきます。1案で手を止めると、たいてい平凡なところに落ち着きます。
| 行き詰まりの状態 | 戻る材料 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 案が浮かばない | 喜ばれた瞬間の記憶 | その驚きを見出しに翻訳する |
| ありきたりになる | 断られた理由 | 不安を先回りで打ち消す |
| 1案で満足してしまう | 別の言い回し | 同じ意味を10通り書く |
よくある質問
Q. キャッチコピーを作るために、最初にすべきことは何ですか。
言葉を考える前に、たった1人の読み手を決めることです。実在するお客様を思い浮かべ、その人の困りごとと口ぐせを書き出します。相手が決まると、集める言葉も、選ぶ型も自然に定まります。白紙の前で固まるのは、たいてい相手を決めずに言葉から入ろうとするときです。
Q. センスがなくても良いキャッチコピーは作れますか。
作れます。心に刺さる見出しの大半は、お客様がすでに口にしている言葉の抜き書きでできています。問い合わせメールや商談での言い回しを集め、それを置くべき場所に置き直す作業なので、才能よりも手順と観察が効きます。
Q. 見出しは何文字くらいが適切ですか。
ファーストビューの見出しは、一息で読み切れる長さが目安です。読点を挟まず言い切れる範囲、おおむね20字前後までに収まると読みやすくなります。伝えたいことが増えたら、見出しを長くせず、ボディコピーへ回して役割を分けます。
Q. 作った言葉が効いているか、どう確かめますか。
直す場所を1か所に絞って試すのが確実です。まずファーストビューの見出しだけを新しい言葉に替え、問い合わせや反応の変化を見ます。一度にあちこち替えると、どの言葉が効いたのか分からなくなります。効いたと分かってから、次の場所へ広げます。
Q. チラシとサイトで、キャッチコピーの作り方は変わりますか。
基本の手順は同じです。1人を決め、その人の言葉を集め、悩みと価値を結んで型に当てはめる流れは共通します。違うのは読まれ方で、チラシは一瞬で通り過ぎ、サイトは自分で探して開きます。サイトでは、検索して来た人の悩みに見出しを合わせると、より自分事として読まれます。
まとめ
キャッチコピーの作り方は、気の利いた言葉を探す技術に見えて、実際は相手を決めて言葉を拾い、置き場所を選ぶ地道な作業です。プロっぽい言葉を並べても反応が返ってこないのは、会社の自己紹介から話を始めているからでした。順番を、読む人の悩みの名指しから始める形に入れ替えます。
まずは5つの手順のうち、手順1と手順2だけでも今日試せます。一番喜んでくれたお客様を1人思い浮かべ、その人が言った言葉を書き出す。それだけで、次に書く見出しの解像度が変わります。そして直す場所は、ファーストビューの見出し1か所に絞ります。1か所なら、効いたかどうかを確かめられます。小さく試して確かめてから広げる進め方は、遠回りに見えて、実のところ一番早く正解へ近づきます。
言葉を磨く前に、誰に何を言うかを決める。この順番を守るだけで、同じ商品でも反応は変わります。今日、自社サイトの一番上の一文を、選んだ1人に宛て直すところから始めてみてください。言葉づくりは、才能のある人だけの技ではありません。相手をよく見て、相手の言葉を拾い、置き場所を選ぶ。この地道な手順を踏めるかどうかが、反応の差を生みます。
今日できる点検
読み終えたその日のうちに、次の表を上から順に確かめます。全部でなくても、1つ直せば前進です。
| 点検する場所 | いま起きていること | 今日できる一手 |
|---|---|---|
| ファーストビューの見出し | 会社の自己紹介から始まっている | 読み手の悩みの名指しに替える |
| 宛先 | みんなに向けて書いている | 実在の1人へ宛て直す |
| 言葉の出どころ | 自分の頭でひねり出している | 問い合わせメールから抜き書きする |
| 特徴の書き方 | 機能や実績を並べている | 得られる変化に翻訳する |
| 見出しの長さ | 一息で読み切れない | 1つに絞り20字前後に収める |
| 試す範囲 | あちこち同時に替えている | まず見出し1か所だけ替える |
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
ウェブサイトから要素を引き算し、訪れた人が迷わず次の一歩に進む形へ組み直す。初回60分のオンラインで御社のサイトを一緒に読み、どこから直すべきかをお伝えします。手順をまとめた無料の診断と解説動画もご用意しています。
初回は無料・60分・オンライン完結・その場で契約のお願いはいたしません
初回は無料・60分・オンライン完結・その場で契約のお願いはいたしません

