セマンティックSEOとは何なのか。自社のホームページで、今日から何を変えればよいのか。中小企業の経営者やWeb担当者に向けて、Google検索セントラルの公式文書を当日開いて確かめた範囲だけで答えを書きます。
先に答えを書きます。
先に答え:セマンティックSEOは、言葉の意味に合わせて文章とページを整える考え方
セマンティックは「意味の」という意味の言葉です。セマンティックSEOとは、検索する人の言葉の意味と、ページに書かれた内容の意味を合わせにいく考え方を指します。
単語が一致しているかどうかだけを見ていた時代から、何を知りたい人が、何のために検索しているのかを見る時代に変わりました。その変化に、サイトの側が合わせにいく作業です。
公式の文書には、この言葉そのものが見当たらない
今回、Google検索セントラルの4つの文書を開いて、「セマンティックSEO」という語を探しました。開いたのは、AI機能とウェブサイト、有用で信頼性の高いユーザー第一のコンテンツの作成、SEOスターターガイド、構造化データのマークアップの概要です。
「セマンティックSEO」という語は、4つのどこにも書かれていませんでした。業界で広まった呼び名であり、Googleが定めた手法の名前ではありません。
ただし、SEOスターターガイドに「セマンティックス」という語が1か所だけ出てきます。HTMLの話の中で、Googleがそれに頼ることはめったにない、という趣旨の記述です。詳しくは後の節で引用します。
今日できることは、5つに絞れる
この記事の結論を先に並べます。いずれも、公式の文書に根拠がある作業です。
- 1つのページで、1つの知りたいことに答え切る
- 同じものを指す言葉を、サイト全体で揃える
- 関連するページ同士を、内容が分かる言葉でつなぐ
- 見出しと本文を、人が読んで意味が通る順に書く
- 構造化データを使うなら、画面に見える文章と一致させる
どれも、特別なタグや新しいファイルを必要としません。文章とページの設計を見直す作業です。
全体像を、先に表で見る
次の表で、この記事の流れをつかんでください。
| 知りたいこと | 答え | 確かめた資料 |
|---|---|---|
| セマンティックSEOは公式の用語か | 公式の文書に、この語は見当たらない | 検索セントラルの4文書 |
| 意味で検索される仕組みはあるか | 言葉が違っても関連性を把握する、と書かれている | SEOスターターガイド |
| セマンティックHTMLとは別の話か | 別の話。HTMLの意味づけにGoogleが頼ることはめったにない | SEOスターターガイド |
| AI検索で特別な対策は要るか | 追加の要件も、特別な最適化も要らない、と書かれている | AI機能とウェブサイト |
| 今日、何をすればよいか | 文章の設計、用語の統一、リンク、構造化データの一致 | 上の4文書を通して |
先に断っておくこと
セマンティックSEOを実践すれば順位が上がる、という保証はどこにもありません。この記事で扱うのは、公式の文書が「有効」「問題ない」と書いている範囲の作業です。
効果の大きさを数字で示す公式の資料は、今回開いた範囲では見つかりませんでした。数字が書かれていないものは、書かないことにします。
「セマンティック」という言葉に、3つの話が混ざっている
検索すると、同じ「セマンティック」で、まったく別の話が出てきます。最初に整理しておかないと、読んだ記事ごとに話が食い違って見えます。
1つ目:セマンティック検索
検索エンジンが、言葉の意味や検索の意図をくみ取って結果を返す仕組みのことです。単語の文字列を照合するだけの検索は、これに含みません。検索する側の話であり、サイト運営者が直接いじるものではありません。
2つ目:セマンティックHTML
HTMLのタグを、その部分の意味に合わせて使う書き方です。見た目を整えるためのタグ選びは含みません。たとえば、見出しにはh1からh6、ナビゲーションにはnav、記事の本体にはarticleを使います。サイトを作る人の技術の話です。
3つ目:セマンティックSEO
検索意図と言葉の意味に合わせて、文章とサイト全体を設計する考え方です。業界で広まった呼び名で、上の2つを土台にして語られることが多い言葉です。
3つの違いを表にする
| 項目 | セマンティック検索 | セマンティックHTML | セマンティックSEO |
|---|---|---|---|
| 誰の話か | 検索エンジンの仕組み | サイトを作る人の書き方 | サイトを運営する人の設計 |
| 対象 | 検索の言葉とページの意味 | HTMLのタグ | 文章とページの構成 |
| 自社で動かせるか | 動かせない | 動かせる | 動かせる |
| 公式の文書での扱い | 言語マッチングの記述がある | 頼ることはめったにない、との記述 | この語は見当たらない |
この表のとおり、自社で動かせるのは右の2列です。ところが、右の2列は、公式の文書での扱いがまるで違います。ここを混ぜた記事が多いので、この記事では分けて説明します。
Q&Aサイトで見かけた、すべてdivで作っても同じなのかという疑問
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿した方は、ウェブサイトのSEOについて、すべてをdivタグで作った場合と、さまざまなHTMLタグを意味に合わせて使った場合とで、検索順位は同じだと聞いたそうです。それが本当なら、なぜフロントエンドの技術者は、セマンティックを意識するのかと疑問を書いていました。
さらに、リストにはulを使うかdlを使うかと悩む時間をやめて、すべてdivにまとめた方が効率的ではないか、とも書かれていました。意味に合わせてタグを選ぶ手間に、見合う成果があるのかを知りたい、という相談でした。
回答は割れていた
この質問には、いくつかの回答が付いていました。
ある回答は、目的がSEOだけなら、divで統一するのが合理的だと答えていました。別の回答は、divだけで作ると、すべての要素にクラス名を付けて階層を表すことになり、保守が大変になると答えていました。
SEOは、ページに何が書かれているかを検索エンジンに伝えるための補助的な作業で、いまは書かれている内容が最も重要だ、という回答もありました。意見が3つに割れていて、質問した方は、どれを信じてよいか分からなかったと思います。
この悩みが、セマンティックSEOの核心につながる理由
この方の疑問は、「セマンティック」という言葉が持つ2つの意味を、1つに混ぜたところから生まれています。タグの意味づけの話と、文章の意味に合わせる話は、別の話です。
前者は、検索順位にどれだけ効くかが、公式の文書でほとんど語られていません。後者は、公式の文書が、繰り返し重要だと書いています。この記事では、この2つを順に確かめます。
質問者に伝えたいこと
結論を先に書きます。タグの選び方に悩む時間があるなら、ページの文章が、検索する人の知りたいことに答え切っているかを見直す方が、公式の文書の方向と合っています。
ただし、タグの意味づけに価値がないわけではありません。読み上げソフトを使う人や、サイトの保守をする人には、意味に合ったタグが役に立ちます。この点も、後の節で公式の記述を引いて説明します。
質問者と同じ悩みを抱える会社の担当者へ
ホームページの制作会社から「セマンティックなマークアップで作ります」と言われて、何の話か分からないまま了承した方もいるでしょう。社内にWeb担当者がいない会社ほど、この種の言葉は、分からないまま通り過ぎがちです。
この記事は、そうした方が自分で判断できるように書いています。専門用語の意味と、公式の文書に書かれている範囲と、自社で今日できる作業を、順番に説明します。
意味で検索される仕組みは、公式の文書にどう書かれているか
セマンティック検索そのものは、Googleの内部の仕組みです。会社が設定する項目はありません。ただし、その仕組みがあるおかげで、サイト側が気にしなくてよいことが増えています。
言葉が違っても、関連性は把握される
SEOスターターガイドには、読者の検索キーワードを予測する節があります。「シャルキュトリ」と検索する人もいれば、「チーズボード」と検索する人もいる、という例が書かれています。
そのうえで、次のように書かれています。
「Google の高度な言語マッチング システムは、ページとさまざまな検索語句との関連性を把握できるため、ページにそのとおりの語句を明示的に使用する必要はありません。」
つまり、検索される言葉をすべて予測して、本文に並べる必要はありません。意味が合っていれば、言葉が多少違っても、関連性は把握されるという説明です。
キーワードを増やす施策は、公式が戒めている
意味に合わせるという話を、関連する言葉を増やす話だと受け取る人がいます。スターターガイドの記述は、その受け取り方を戒めています。
「同じ言葉を何度も繰り返すことは(多少変化を持たせても)ユーザーをうんざりさせてしまうほか、キーワードの乱用は Google のスパムに関するポリシーに違反することにもなります。」
関連語を大量に盛り込む方法は、意味に合わせる作業とは違います。読む人が自然に読めるかどうかが基準です。
文字数にも、決まった基準はない
スターターガイドには、コンテンツの最小長と最大長の項目があります。上位に表示させるという目的で、文章の長さだけを調節しても無意味だ、と書かれています。魔法の文字数も、最小や最大の文字数も存在しない、とも書かれています。
ですから、意味を網羅しようとして、むやみに長くする必要はありません。必要な内容が書かれているかどうかが、長さを決めます。
公式の記述を、表にまとめる
| 公式の記述の要点 | サイト運営者への意味 | 出どころ |
|---|---|---|
| 言語マッチングが、検索語句とページの関連性を把握する | すべての言い回しを本文に並べなくてよい | SEOスターターガイド |
| キーワードの乱用はスパムのポリシーに違反する | 関連語を詰め込む施策はやらない | SEOスターターガイド |
| 魔法の文字数は存在しない | 長さを目標にしない | SEOスターターガイド |
| 自然な言葉でわかりやすく書く | 読者に向けて書く | SEOスターターガイド |
セマンティックHTMLは、順位とどうつながるのか
冒頭のQ&Aの疑問に、公式の文書で答えます。ここが、この記事の中で最も誤解されやすい部分です。
公式の文書に、HTMLの意味づけへの言及がある
SEOスターターガイドの「Google が重要でないと考えること」の節に、見出しの数や順序の項目があります。そこに、次の記述があります。
「見出しを意味的な順番にすることは、スクリーン リーダーにとっては素晴らしいことですが、Google 検索にとっては順番どおりに使われていなくても問題ありません。ウェブは一般に正しくない HTML で書かれています。そのため、Google 検索が HTML 規格に潜むセマンティックスの意味に依存することはめったにありません。」
この記述から確かめられるのは、見出しの順序を厳密に守らなくても、Google検索にとっては問題ない、という点です。HTMLの意味づけが、順位を左右する決め手になる、とは書かれていません。
だからといって、意味づけは無駄ではない
同じ記述の中に、スクリーンリーダーにとっては素晴らしい、という言葉があります。画面を読み上げるソフトを使う人にとって、見出しの順序は読み進める道しるべになります。
Googleの順位とは別に、使いやすさのために意味づけをする価値は残ります。判断の軸を、検索順位だけに置かないことがポイントです。
見出しの数にも、理想の数はない
同じ項目には、ページごとに魔法の見出し数や、理想的な見出し数といったものは存在しない、とも書かれています。見出しを増やすことが、SEOの施策になるわけではありません。
見出しは、読む人が全体を見通すために付けます。これは、スターターガイドの「長い文章は段落や章などに分け、全体を見通せるように見出しを付けてください」という記述とも一致します。
タグの選び方に、悩みすぎない
Q&Aの質問者が悩んでいた、ulとdlのどちらを使うかという問題は、順位の面では、公式の文書が決め手にしていない領域です。保守しやすさと読み上げソフトの使いやすさで決めて構いません。
ここに時間をかけすぎて、本文の中身を見直す時間が減るなら、本末転倒です。優先順位は、文章の設計の方が上です。
セマンティックHTMLとセマンティックSEOを、比べる
| 比べる点 | セマンティックHTML | セマンティックSEO |
|---|---|---|
| 主な作業 | タグを意味に合わせて選ぶ | 文章とページを検索意図に合わせて設計する |
| 担当しやすい人 | 制作会社、技術者 | 経営者、Web担当者、書き手 |
| 公式文書での位置づけ | Googleが依存することはめったにない | この語は見当たらない |
| 得られるもの | 読み上げソフトでの使いやすさ、保守のしやすさ | 検索する人の疑問に答え切るページ |
| 今日の着手のしやすさ | 制作会社への確認が必要な場合がある | 自社の文章の見直しから始められる |
制作会社に「セマンティックなコーディングです」と言われたら、読み上げソフトや保守のための工夫として理解します。順位が上がる約束として受け取る必要はありません。
「役立つ文章」が、意味に合わせる作業の中心になる
では、サイト運営者が意味に合わせるために、具体的に何を見るのか。公式の文書が繰り返し書いているのは、役に立つ文章を書くことです。
スターターガイドの答え
SEOスターターガイドには、次の記述があります。
「検索結果での存在感を高めるには、魅力的で役立つコンテンツを作成することが、このガイドで説明している他のどの方法よりも有効であると考えられます。」
このガイドにはタイトルの付け方や画像の扱いなど、多くの技術的な項目があります。それらよりも、役立つコンテンツの方が有効だと、ガイド自身が書いています。
自己評価の質問に、意味に合わせるヒントがある
「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」には、自己評価の質問が並んでいます。その1つが次の質問です。
「コンテンツを読み終わったユーザーは、あるトピックについて、目的を果たすのに十分な情報を得たと感じることができますか。」
検索した人が、このページを読み終えて、探していた答えにたどり着けたか。この質問に「はい」と答えられるかどうかが、意味に合わせた文章かどうかの判断基準になります。
検索エンジンを第一にした文章は、避ける
同じ文書には、検索エンジンを第一に考えたコンテンツ作成を避ける、という項目があります。検索エンジンからのアクセスの増加を主な目的として作成していないか、という質問が並んでいます。
セマンティックSEOを、順位を上げるための技巧として扱うと、この項目に当てはまりかねません。読む人のために意味を整える、という順番を守ります。
意味に合わせた文章の特徴を、表にする
| 特徴 | 具体的な状態 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 1つの疑問に答え切る | ページの冒頭で結論が分かる | 冒頭の3段落だけ読んで、答えが分かるか |
| 用語が揃っている | 同じものを同じ言葉で呼ぶ | サイト内検索で表記ゆれを探す |
| 前提が書かれている | 初めて読む人にも通じる | 専門用語の説明が初出の場所にあるか |
| 読み終えて次の行動が決まる | 点検や手順が示されている | 最後に、やることが書かれているか |
AI検索の時代に、何が変わって何が変わらないのか
セマンティックSEOが、AI検索の時代に語られるようになったのには理由があります。AIが回答を組み立てる仕組みは、言葉の意味を扱うものだからです。ここでは、Googleが公式に書いている範囲で整理します。
使う人は、すでに過半数に達している
総務省の令和8年版情報通信白書は、2025年度に実施した個人向けのアンケート調査の結果を載せています。生成AIサービスを「使っている(過去使ったことがある)」と答えた人は、日本で58.8%でした。
前年度の調査では26.7%でした。1年で、利用経験のある人の割合が2倍以上に増えたことになります。探し物を調べる手段に、生成AIが加わっていることが分かります。
AIによる概要とAIモードの仕組み
検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」は、AIによる概要とAIモードを説明しています。AIによる概要は、複雑なトピックや質問の要点をすばやく把握できるようにする機能です。AIモードは、さらなる調査や複雑な比較が必要な質問で便利な機能です。
どちらも、「クエリ ファンアウト」という手法を使う場合があると書かれています。
「関連する複数のサブトピックやデータソースに対して検索を実行し、それをもとに回答を組み立てる手法です。」
1つの質問から、関連する複数の小さな問いに分けて調べる、ということです。ここが、セマンティックSEOとつながる点です。
1ページ1テーマが、意味をはっきりさせる
クエリ ファンアウトでは、1つの質問が複数のサブトピックに分かれます。それぞれのサブトピックに、はっきり答えているページは、関連するページとして見つけられやすくなる、と考えるのが自然です。
ただし、この点を直接書いた公式の文書は、今回開いた範囲では見つかりませんでした。ここは、公式の記述から導いた推測です。断定はしません。
AI機能で変わらないこと
「AI機能とウェブサイト」は、冒頭で次のように書いています。
「SEO のベスト プラクティスは、引き続き Google 検索の AI 機能(AI による概要や AI モードなど)でも有効です。AI による概要や AI モードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません。」
AI検索のために新しい施策を足す必要はない、というのが公式の立場です。ですから、セマンティックSEOを、AI検索専用の特別な対策だと考えるのは危険です。
確かに言えること、言えないこと
| 言えること | 言えないこと |
|---|---|
| AI機能にも、基本のSEOが適用される(検索セントラル) | セマンティックSEOを実践すると、AIの回答に出る |
| AI機能に表示されるための追加の要件はない(検索セントラル) | AI向けの特別な最適化が効く |
| 1つの質問が、複数のサブトピックの検索に分かれる場合がある(検索セントラル) | 1ページ1テーマにすると、サブトピックで選ばれる |
| 重要な内容はテキストで示すことが勧められている(検索セントラル) | 構造化データを増やせば、引用が増える |
右の列は、公式の文書で確かめられていません。断定した記事を見かけたら、根拠の文書が示されているかを確かめてください。
弊社が測った、社名なしで聞いたときのAIの答え
意味に合わせた文章を整えても、AIの答えにすぐ出るとは限りません。弊社の測定でも、その難しさが出ています。
測定の条件と結果
弊社は2026年10月に、Claudeで各2回、社名を入れずに事業に関わる11問を質問しました。合計22回の回答のうち、弊社のページが引用元に入ったのは1回でした。
測ったのは、Anthropic社のClaudeです。GoogleのAIモードやAIによる概要の結果ではありません。また、セマンティックSEOを実践した前後の比較でもありません。
この数字の読み方
社名を入れない質問では、自社が選ばれにくい現実を示す参考値として読んでください。意味に合わせた文章を書けば解決する、という証拠にはなりません。
だからこそ、検索する人の疑問を言葉にして、1ページで答え切るという地道な作業が、出発点になります。
自分の会社で確かめる方法
社名を入れずに、お客様が聞きそうな質問をAIに投げて、答えと引用元を記録します。同じ質問を月に1回聞き、3か月続けて傾向を見ます。
答えは毎回変わります。1回の結果で、方針を変えないでください。
業界の解説でよく見る施策を、公式の文書と照らす
セマンティックSEOの解説には、いくつもの施策が並んでいます。そのうち、公式の文書で確かめられるものと、確かめられないものを分けます。
検索意図に合わせて書く
多くの解説が最初に挙げる施策です。公式の文書では、「コンテンツを読み終わったユーザーは、目的を果たすのに十分な情報を得たと感じることができますか」という質問が、この考え方に当たります。
つまり、検索意図に合わせるという施策は、公式の文書で裏付けられます。
関連語を網羅する
関連語を網羅するという施策は、言い方によって評価が分かれます。自然な文章の中で、必要な言葉が出てくるのは問題ありません。一方で、言葉を詰め込む施策は、先に見たとおりスパムのポリシーに触れます。
トピックを関連づけてサイトを組み立てる
トピックの関連づけは、サイトを論理的に整理する話です。スターターガイドには、サイトの構築時や改装時には論理的に整理することをおすすめする、という記述があります。
検索エンジンやユーザーがページ間の関係を把握しやすくなるからだ、と理由も書かれています。具体的な進め方は、弊社の記事「トピッククラスターとは」で説明しています。
構造化データを入れる
構造化データは、公式の文書が説明している手段です。
「構造化データを使用してページの意図を伝えると、Google はそのページをより正確に理解できるようになります。」
ただし、AI機能のために特別なschema.orgの構造化データを追加する必要はない、とも書かれています。扱いの注意は、後の節でまとめます。
施策ごとの判定を、表にまとめる
| 業界で見る施策 | 公式の文書での扱い | この記事の判定 |
|---|---|---|
| 検索意図に合わせて書く | 読み終えて目的を果たせるか、という質問がある | やる |
| 自然な言葉で書く | わかりやすく自然な言葉を使う、と書かれている | やる |
| 関連語を詰め込む | スパムのポリシーに違反しうる | やらない |
| サイトを論理的に整理する | 整理をおすすめする、と書かれている | やる |
| 構造化データを入れる | 画面の文章と一致させる条件つきで説明がある | 条件を守ってやる |
| AI専用の特別な対策 | 追加の要件も特別な最適化も不要、と書かれている | やらない |
自社サイトで今日できること:AIにも人にも引用される受け皿のページを作る
ここからは、公式の文書の範囲で、自社のサイトで実際に手を動かす作業を説明します。キーワードは、検索する人の疑問に答え切るページを、1つずつ用意することです。
作業1:1ページで、1つの知りたいことに答え切る
最初にやるのは、ページごとの役割をはっきりさせることです。1つのページに、サービス紹介も会社の歴史も料金の考え方も詰め込むと、何のページか分からなくなります。
検索する人は、1つの疑問を抱えて来ます。そのページが答える疑問を、1文で言えるかどうかを確かめます。言えないページは、疑問ごとに分けることを検討します。
冒頭の3段落で、結論を書く
ページの最初に、疑問への答えを書きます。背景の説明を先に長く書くと、読む人は答えにたどり着く前に離れます。
この記事も、冒頭に先に答えを置きました。AIが回答を組み立てるときにも、冒頭に答えがあるページは、内容を取り出しやすいと考えられます。ただし、この点も公式の文書には書かれていません。読む人のための構成として、冒頭に結論を置きます。
作業2:同じものを、同じ言葉で呼ぶ
サイトの中で、サービスの名前や専門用語の表記が揺れていないかを確かめます。「ホームページ制作」「Web制作」「サイト制作」が、同じ意味で混在していることがよくあります。
読む人は、似た言葉を見て、別のサービスだと受け取るかもしれません。意味を整えるとは、まずこの表記ゆれをなくす作業です。
表記ゆれの探し方
サイト内検索や、Search Consoleの検索パフォーマンスのレポートで、よく使われる言葉を一覧にします。その中で、同じものを指す言葉が複数あれば、サイトで使う表記を1つ決めます。
決めた表記は、社内で共有します。ブログを書く人、営業資料を作る人、制作会社に渡す指示書で、同じ言葉を使うようにします。
作業3:関連するページを、分かる言葉でつなぐ
ページ同士をつなぐリンクは、検索エンジンにもユーザーにも、ページの関係を伝えます。SEOスターターガイドには、リンクテキストについて次の記述があります。
「適切なアンカー テキストがあれば、ユーザーと検索エンジンは、リンクされたページにアクセスする前にその内容を簡単に把握できます。」
「こちら」「詳しくはこちら」のようなリンクテキストは、内容を伝えません。「ナレッジグラフと会社の関係」のように、リンク先の内容が分かる言葉を使います。
内部リンクの設計
AI機能とウェブサイトの文書は、基本のSEOとして「コンテンツがウェブサイトの内部リンクから簡単に見つけられるようにします」と書いています。大事なページに、ほかのページからリンクが向かっているかを確かめます。
ハブとなるページを作って、関連ページをまとめる方法は、弊社の記事「内部リンクとハブページの作り方」で説明しています。
作業4:見出しと本文を、読んで意味が通る順に書く
見出しは、段落や章に分けて、全体を見通せるようにするために付けます。見出しを読んだだけで、ページの流れが分かる状態を目指します。
先に見たとおり、見出しの順序をHTMLの規格どおりに守ることは、Google検索にとって必須ではありません。それでも、読む人にとって意味が通る順に書くことは、変わらず大事です。
作業5:構造化データは、画面の文章と一致させる
構造化データを使うなら、守る条件があります。検索セントラルの構造化データの概要には、次の記述があります。
「ユーザーの閲覧しているページ画面に表示されない情報に関する構造化データは、その情報が正確であっても追加しないでください。」
AI機能とウェブサイトの文書にも、「構造化データをページに表示されるテキストと一致させます」と書かれています。先に本文を整え、そのあとで、本文と同じ内容を構造化データに写す順番です。
5つの作業を、表にまとめる
| 作業 | やること | 根拠にした公式の記述 |
|---|---|---|
| 1 | 1ページで1つの疑問に答え切る | 読み終えて目的を果たせるか、という自己評価の質問 |
| 2 | 同じものを同じ言葉で呼ぶ | わかりやすく自然な言葉を使う、という記述 |
| 3 | 関連ページを分かる言葉でつなぐ | アンカーテキストと内部リンクの記述 |
| 4 | 見出しと本文を意味が通る順に書く | 長い文章は見出しで見通せるように、という記述 |
| 5 | 構造化データを本文と一致させる | 画面に表示されない情報を追加しない、という記述 |
画像・会社情報・サイト全体の整理も、意味を伝える作業になる
文章以外にも、意味を伝える場所があります。公式の文書に書かれている範囲で、見直す箇所を挙げます。
画像には、代替テキストを付ける
スターターガイドは、画像に関して「わかりやすい代替テキストを画像に追加する」ことを勧めています。代替テキストは、画像とコンテンツの関係を簡潔に説明するものだと書かれています。
img要素のalt属性で付けます。「画像1」のような名前は避けます。何が写っていて、このページとどう関係するかを短く書きます。
画像は、関連する文章の近くに置く
同じ文書は、鮮明な画像を、関連するテキストの近くに配置することも勧めています。画像の近くにあるテキストは、何に関する画像か、そのページの文脈で何を意味するかを把握する助けになる、と書かれています。
スタッフの写真は、スタッフの紹介文のそばに置きます。施工事例の写真は、事例の説明のそばに置きます。
会社情報は、全ページで揃える
AI機能とウェブサイトの文書は、Merchant Centerとビジネスプロフィールの情報を最新にすることを挙げています。会社の名前、所在地、電話番号、営業時間が、サイトと外部で食い違っていないかを確かめます。
食い違いを整える作業は、弊社の記事「ナレッジグラフとは何か」で、さらに詳しく説明しています。
サイトを論理的に整理する
スターターガイドは、サイトの構築時や改装時には論理的に整理することをおすすめします。ただし、今すぐ整理し直す必要はなく、サイトが整理されていなくても、おそらくそのままの状態で検索エンジンが把握してくれる、とも書かれています。
つまり、完璧な整理を目指して手が止まる必要はありません。新しく作るページから、関連するページ同士の関係を意識すれば十分です。
見直す場所を、表にする
| 見直す場所 | 具体的な作業 | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 画像 | 主要な画像の代替テキストを書く | 1画像あたり2分 |
| 会社情報 | 社名、所在地、電話番号の表記を一覧にして揃える | 30分 |
| リンクテキスト | 「こちら」を内容の分かる言葉に直す | 1ページあたり10分 |
| ページの役割 | 各ページが答える疑問を1文で書く | 1ページあたり5分 |
| 構造化データ | 本文との食い違いを確かめる | 1ページあたり15分 |
やらなくていいこと:公式の文書が不要だと書いているもの
意味に合わせる、という言葉に引きずられて、不要な作業を始める会社があります。公式の文書が不要と書いているものを確認しておきます。
新しいファイルやマークアップは要らない
AI機能とウェブサイトの文書は、次のように書いています。
「AI 機能で表示されるために、新たにコンピュータが解読可能なファイルや AI テキスト ファイル、マークアップを作成する必要はありません。また、特別な schema.org の構造化データを追加する必要もありません。」
ファイルを足したり、タグを大量に書き足したりする前に、文章とページの設計を見直します。
文章を細切れにする話は、確かめられていない
AIに理解させるために、文章を細かく分割しなければならない、という話も見かけます。この点は、今回開いたAI機能の文書では確かめられませんでした。確かめられていない施策には、手を出さないことをおすすめします。
制作会社に頼むとき、確認すること
制作会社にセマンティックなサイトづくりを頼むときは、何を目的にしているのかを聞きます。読み上げソフトや保守のためなのか、順位のためなのか。順位のための約束であれば、公式の文書の範囲を超えていないかを確かめます。
具体例:地域の工務店のサイトで、点検を当てはめる
ここまでの作業を、架空の例で当てはめます。実在の会社ではありません。地域の工務店が、ホームページの施工事例のページを見直す場面を考えます。
直す前の状態
施工事例のページが、1つの長いページに30件並んでいます。リフォームも新築も水まわりも、同じページです。サービス名は「リフォーム」「改装」「リノベーション」が混在しています。
写真には「写真1」「写真2」としか書かれていません。事例の説明の下に、「詳しくはこちら」のリンクが並んでいます。
直した後の状態
まず、ページを「水まわりのリフォーム事例」「外壁の塗り替え事例」のように、答える疑問ごとに分けます。冒頭に、そのページで分かることを3行で書きます。
次に、サービス名を「リフォーム」に統一します。写真には「築30年の浴室を、段差のない床に替えた施工後の写真」のように、内容を書きます。リンクは「浴室リフォームの流れ」のように、行き先が分かる言葉にします。
この例で、動かしたものと動かしていないもの
| 動かしたもの | 動かしていないもの |
|---|---|
| ページの分け方と冒頭の文章 | HTMLのタグの種類 |
| サービス名の表記 | 新しいファイルの追加 |
| 代替テキストとリンクテキスト | AI専用の特別な対策 |
動かしたのはすべて、文章とページの設計です。この例は、公式の文書の範囲で、意味に合わせる作業が成立することを示すための想定です。効果の大きさを示す実績ではありません。
よくある質問
Q. セマンティックSEOは、Googleが公式に認めた手法ですか?
A. 今回開いた検索セントラルの4つの文書には、「セマンティックSEO」という語は書かれていませんでした。業界で広まった呼び名です。ただし、検索する人の疑問に答え切る、自然な言葉で書く、サイトを論理的に整理するといった中身は、公式の文書にも書かれています。
Q. セマンティックHTMLを徹底すると、順位は上がりますか?
A. 上がるとは、公式の文書に書かれていません。SEOスターターガイドには、Google検索がHTML規格に潜むセマンティックスの意味に依存することはめったにない、と書かれています。読み上げソフトでの使いやすさや、保守のしやすさのために取り組むのは、よい判断です。
Q. AI検索のために、セマンティックSEOの特別な対策は必要ですか?
A. 検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」は、AIによる概要やAIモードに表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もない、と書いています。基本のSEOを見直すことが、AI検索への備えになります。
Q. 関連する言葉を、本文にできるだけ多く入れた方がいいですか?
A. 入れない方が安全です。スターターガイドは、キーワードの乱用がスパムのポリシーに違反することにもなる、と書いています。読む人が自然に読める文章の中に、必要な言葉が出てくる状態を目指します。
Q. 小さな会社が、まず取り組むなら何からですか?
A. ページごとに「このページが答える疑問」を1文で書き出すことです。書けないページが、直す候補です。次に、サービス名や専門用語の表記ゆれを探して、1つに揃えます。どちらも、特別な道具なしに今日から始められます。
まとめ:公式の文書の範囲で、意味に合わせる
セマンティックSEOという語は、公式の文書には見当たりません。それでも、検索する人の疑問に答え切る文章を書くことと、サイトを分かりやすく整理することは、公式の文書が繰り返し勧めています。
セマンティックHTMLは、読み上げソフトの使いやすさや保守のための工夫として価値があります。順位への効果は、公式の文書では約束されていません。
AI検索については、追加の要件も特別な最適化も不要だと、検索セントラルが書いています。新しい施策を探すより、基本のページ設計を見直す方が近道です。
実践する順番は、ページが答える疑問の整理、表記の統一、リンクテキストの見直し、本文と構造化データの一致確認です。1項目ずつ進めてください。
この記事に書いた内容は、2026年10月24日に、公式の文書を開いて確かめた範囲です。文書は更新されます。実際に作業するときは、最新の版を確認してください。
この記事で確かめた資料
| 資料 | 確かめたこと |
|---|---|
| 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」 | 追加の要件も特別な最適化も不要であること。クエリ ファンアウトの説明。構造化データは表示テキストと一致させること |
| 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」 | 読み終えて目的を果たせるかという自己評価の質問 |
| 検索セントラル「SEO スターター ガイド」 | 言語マッチング、キーワードの乱用、見出しの順序とセマンティックス、アンカーテキスト、代替テキスト |
| 検索セントラル「Google 検索における構造化データのマークアップの概要」 | ページの意図を伝えること。画面に表示されない情報を追加しないこと |
| 総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部 第1節 個人におけるAI利用の現状 | 日本の生成AIサービスの利用経験率が58.8%(2025年度個人向け調査) |
| 弊社の測定(2026年10月、Claude、各2回) | 社名なしの質問で、22回中1回の引用 |
今日できる点検
次の表の項目を、上から順に確かめてください。1項目あたり15分ほどで終わります。
| 点検の項目 | 確かめる場所 | 合格の目安 | 直すこと |
|---|---|---|---|
| 主要ページが答える疑問を1文で書いた | 社内の一覧表 | すべてのページに1文ずつある | 書けないページを分割か統合の候補にする |
| サービス名の表記が揃っている | サイト内検索 | 同じものを同じ言葉で呼んでいる | 表記ゆれの箇所を一覧にして直す |
| 「こちら」だけのリンクがない | 主要ページの本文 | リンク先の内容が分かる言葉になっている | リンクテキストを書き換える |
| 画像に代替テキストがある | 主要ページの画像 | 内容と関係が短く書かれている | 空欄の画像から書く |
| 会社情報が全ページで同じ | 会社概要と外部ページ | 社名、所在地、電話番号が一致 | 古い情報のページを直す |
| 構造化データが本文と一致する | リッチリザルトテスト | 画面に無い内容を含まない | 本文を先に直してから修正する |
| 冒頭の3段落で答えが分かる | 主要な解説ページ | 結論が冒頭にある | 結論を冒頭に移す |
| 制作会社に目的を確認した | 制作会社とのやり取り | 順位の約束と技術の工夫が分けて説明される | 目的を書面で確認する |
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