AI検索はウィキペディアをよく参照すると聞いて、自社も載せたい。そう考えている中小企業の経営者や広報担当の方に向けて書きます。
掲載の基準は何か、自分で書いてよいのか、代行に頼んでよいのか。この3つに、日本語版ウィキペディアの方針ページを2026年10月22日に開いて確かめた範囲で答えます。
先に答え:基準は第三者の言及、自社で作るのも代行も慎重に扱われる
掲載の基準は、会社の規模や頑張りでは決まりません。
その会社について、会社とは無関係の信頼できる情報源が、きちんと書いているかどうかで決まります。
基準は「独立記事作成の目安」にまとまっている
日本語版ウィキペディアでは、記事にするだけの価値があるかどうかの基準を「独立記事作成の目安」と呼んでいます。
旧称は「特筆性」や「著名性」です。ページの冒頭に、そう明記されています。
目安の本文には、こう書かれています。
「もし対象と無関係な信頼できる情報源から有意な言及があった場合、その話題はウィキペディアの独立記事として作成、収録するだけの価値があると推定されます。」
つまり、会社自身が発表した文章は数に入りません。取材記事や報道のように、他人が書いた文章が材料になります。
自分の会社の記事を自分で作ることは、基本的に勧められていない
ウィキペディアには「自分自身の記事をつくらない」というガイドラインがあります。
この中で、慎重になるべき対象に「あなたの会社」が名指しで入っています。
自分自身についての記事を新しく作ることは「基本的に推奨されません」と書かれ、作ると削除依頼が出されることもあると続きます。
代行に頼むこと自体は、確かめた方針ページに禁止とは書かれていなかった
確かめた範囲では、第三者に報酬を払って書いてもらうことを禁じる文言は見つかりませんでした。
ただし、報酬を受け取って書く人には、雇用主と顧客を明らかにする義務があります。これはウィキメディア財団の利用規約に書かれています。
開示は書く人に課される義務ですが、依頼する会社も確認しておく必要があります。詳しくは後ろの章で書きます。
先に結論を表でまとめる
| 疑問 | 答え | 確かめた場所 |
|---|---|---|
| 掲載の基準は何か | 無関係な信頼できる情報源での有意な言及 | 独立記事作成の目安 |
| 自分で書いてよいか | 基本的に勧められない。誤りの修正は可 | 自分自身の記事をつくらない |
| 代行に頼んでよいか | 開示が必要。宣伝調なら削除の対象 | ウィキメディア財団の利用規約 |
| 載せれば集客に効くか | 載れば保証されるわけではない | 独立記事作成の目安 |
| 先にやることは何か | 第三者に取り上げられる実績を積む | この記事の後半 |
Q&Aサイトで見かけた、社長が自社の記事を書いてよいかという悩み
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿は2014年のもので、方針は今と細部が違うかもしれません。ただ、中小企業の担当者が抱く不安の形は、今もそのまま通用します。
質問者は、親戚の小さなメーカーのために、削除されない書き方を探していた
質問者の親戚は小さなメーカーを経営していて、ウィキペディアに会社の記事を立てることを考えていました。
検索で有利になる、社名が載るだけで社会的な信用が出る、と聞いたのが動機だそうです。
一方で、削除される記事も多く、中小企業や政治家の宣伝的な記事はよく消されると聞いていました。
そこで、社長が自分で書く場合に削除されない書き方はあるのか、素人が新しく立項するのはそんなに難しいのか、と尋ねていました。
回答は、削除の理由は特筆性の有無だと説明していた
寄せられた回答には、いくつかの立場がありました。
ある回答者は、百科事典に載せるだけの特筆性があるかどうかで判断される、削除は管理者の好みとは関係がない、と書いていました。
基本的には、できれば複数の信頼できる文献で、些末でない言及がされている必要があるという説明です。
管理者権限を持つと名乗る回答者は、中小企業の素人による新規立項は非常に厳しいと答えていました。
別の回答者は、以前いた会社が長く掲載されたままになっていると書いています。ただし、特筆するような会社ではなかったという感想も添えていました。
この質問から読み取れること
質問者が探していたのは、削除されない書き方でした。
回答の多くが指していたのは、書き方の前に、会社の外の信頼できる文献があるかどうかです。
この線の引き方は、現在の方針にも通じます。自社の中だけにある情報は材料にならず、外で公刊された情報だけが材料になります。
回答に出てきた削除の割合などの数字は、方針ページで確かめられないので、この記事では使いません。
AIはウィキペディアを参照するのか:確かめられたことと確かめられないこと
AI検索のためにウィキペディアへ載りたい、という動機がこの記事の出発点でした。
ここは断定せず、一次資料で確かめられた範囲だけを書きます。
GPT-3の論文には、学習データにウィキペディアが入っていると書かれている
2020年に公開されたGPT-3の論文には、学習に使ったデータの一覧表があります。
その表では、英語版のウィキペディアが学習の配分の3%を占め、学習中に3.4回読まれたと書かれています。ウェブから集めた文書は配分が60%で、読まれた回数は0.44回でした。
量は少なくても、質が高いと見なされて繰り返し読まれた、という位置づけです。
初代のLlamaの論文には、ウィキペディアが学習の4.5%とある
メタ社が2023年に公開した言語モデルの論文でも、学習データの内訳が表にまとめられています。
ウィキペディアは配分の4.5%で、約2回繰り返して読まれたとあります。
ただし、使われた言語は20個で、ラテン文字かキリル文字を使うものに限られていました。日本語は含まれていません。
確かめられないこと:今のChatGPTやGeminiが回答のたびに参照しているか
上の2つは、過去のモデルを作るときの学習データの話です。
今のChatGPTやGeminiが、回答を作るときにウィキペディアをどれだけ参照しているかは、公式に数字が公表されたものを確かめられませんでした。ですので、載れば引用される、とは書けません。
日本語版が学習や回答の材料になっているかどうかも、同じく確かめられていません。
確かめられたことと、確かめられないことの整理
| 項目 | 確かめられたか | 根拠 |
|---|---|---|
| 過去のモデルの学習データにウィキペディアが入っていた | 確かめられた | GPT-3と初代Llamaの論文 |
| 配分の大きさ | GPT-3は3%、Llamaは4.5% | 各論文の表 |
| 日本語版が初代Llamaの学習に入っていたか | 入っていない | 論文の言語一覧 |
| 今の回答でウィキペディアが参照される割合 | 確かめられなかった | 公式の数字が見つからない |
| 載れば自社が引用される | 確かめられなかった | 同上 |
次の章から、肝心の方針を順に見ていきます。
日本語版の基準を分解する:「対象と無関係」「信頼できる」「有意な言及」
先ほどの一文には、3つの条件が入っています。
目安のページは、それぞれの語を別の見出しで説明しています。ここでは、会社に当てはめて読み直します。
「対象と無関係」の意味:自分たちが出した文章は材料にならない
目安のページは、自己宣伝、広告、記事主題が自ら公表したもの、自叙伝、プレスリリースを取り除くと書いています。
提携や協力の関係にある情報源も、同じく取り除かれます。
理由は、主題自身やそれと強く関係する人が公表したものは、世間で広く注目されている証拠にならないからだと説明されています。
自社サイトのお知らせ欄も、自社の公式ブログも、この条件では材料に入りません。
「信頼できる」の意味:形式やメディアは問わない
「信頼できる」とは、別ページの「信頼できる情報源」のガイドラインを満たすことを指します。
情報源の形式やメディアは問わない、とも書かれています。紙の雑誌でも、ウェブの記事でも、番組でも構いません。
「有意な言及」の意味:取るに足らないものより上の、直接的で詳しい言及
「有意な言及」とは、対象の話題について直接的かつ詳細に述べていることです。
その話題だけを扱う記事である必要はありませんが、他の話題の記述の中で蛇足的に触れられた程度では足りません。
名簿やデータベース、重要度の低いニュース記事による言及は、信頼できる情報源に当たっても、独立記事にする価値の証拠にはならないと書かれています。
数の目安:複数の独立した情報源があったほうがよい
必要な情報源の質と数は、言及の深さによって変わります。
そのうえで目安のページは「一般的に、複数の情報源があったほうがよいでしょう」と書いています。
同じ発行元が再版したものは、複数の情報源とは数えません。同じ地域の同じ出版社が出した同じ記事も、複数にはなりません。
3つの条件を会社に当てはめる表
| 条件 | 満たすもの | 満たさないもの |
|---|---|---|
| 対象と無関係 | 新聞や雑誌の取材記事、書籍での紹介 | 自社サイト、プレスリリース、広告記事 |
| 信頼できる | 編集の仕組みのある媒体の記事 | 個人のブログ、出所の分からない転載 |
| 有意な言及 | 会社の取り組みを詳しく扱った記事 | 一覧表への社名の掲載、一行の紹介 |
| 複数の情報源 | 別々の媒体が、別の機会に書いた記事 | 同じ記事の再掲載、同じ発行元の続報 |
会社に当てはまる基準:「特筆性 (組織)」で何が言われているか
会社には、一般的な目安のほかに、組織向けの補足ガイドラインがあります。
ページ名は「特筆性 (組織)」で、企業、会社、個人事業者、団体などを対象にしています。
主要な基準:二次情報源で報道の対象になっていること
このガイドラインは、企業や組織は、二次情報源で報道の対象となっている場合に特筆性がある、と書いています。
その情報源は、信頼できるもので、対象の組織から独立していなければなりません。
二次情報源の例として挙がっているのは、新聞記事、書籍、テレビのドキュメンタリー番組です。
二次情報源から除かれるもの:プレスリリースや会社紹介
同じ段落で、二次情報源から除かれるものも列挙されています。
「プレスリリースや自伝。企業や組織自らの刊行物。それを第三者が転載したもの。企業や組織の宣伝。会社紹介やプロモーションビデオ。自費出版や広告記事。」
第三者が転載したものも除かれる点は、見落としやすいところです。自社のプレスリリースを配信サイトが載せても、独立した情報源にはなりません。
別ページの「独立した情報源」も、プレスリリースを、独立した情報源とは言えず「通常、企業や組織が書いたもの」だと説明しています。
営業時間や所在地だけの報道では、足りない
些末な報道では、特筆性を裏付けられないとも書かれています。
例として、営業時間や閉店時刻の延長のお知らせ、電話番号や所在地の公表、ビジネスタウンページの案内が挙がっています。
地元の情報サイトに店名が載っている、というだけでは材料になりません。
ニュース報道にも条件がある:定常的な報道は有意な言及とみなされない
目安のページには「ニュース報道等」という節があります。
そこでは、単発の出来事に関する定常的なニュース報道は、有意な言及とは言えないと書かれています。
プレス発表についての定常的な報道も、目安に合致する根拠にならない、と明記されています。新商品の発表が記事になった、というだけでは足りません。
小さな会社には、厳しい一文がある
「ウィキペディアは何ではないか」という方針のページには、広告活動について次の一文があります。
「ごく小規模な個人商店や地元企業の記事は通常受け入れられないでしょう。」
小さな会社が載れないと決まっているわけではありません。組織の目安は、小規模な組織でも著名になり得ると別の箇所で述べています。ただ、第三者の言及で裏付けられているかどうかが、いっそう問われます。
将来の可能性は、評価の対象にならない
目安のページは、よくある誤解として「将来の可能性」を挙げています。
現在は不十分でも、将来は目安を満たすだろうから載せるべきだ、という考えです。これは評価の対象にならない、と書かれています。
目安に合致することを確認できてから、記事を作成してください、という順番です。
基準を満たしても、載るとは限らない
目安を満たしていても、記事の作成や収録が保証されるわけではありません。
編集者の間の合意形成によって、作成や収録にふさわしくないとされる話題もある、と書かれています。
逆に、いったん目安を満たさないと判断された対象でも、あとで情報が出そろえば再評価されます。
組織の基準を、見る順に並べた表
| 見る順 | 確かめること | よくある落とし穴 |
|---|---|---|
| 1 | 会社と無関係の媒体が取り上げたか | 自社発信のものを数えてしまう |
| 2 | その媒体が信頼できるか | 掲載料を払った広告記事を数えてしまう |
| 3 | 言及が詳しいか | 営業時間や所在地だけの紹介を数えてしまう |
| 4 | 複数の媒体があるか | 同じ記事の再掲載を別々に数えてしまう |
| 5 | 出来事の報道だけでなく継続した言及か | 新商品の発表記事だけで足りると考える |
自分で書く場合:方針は「自分自身の記事をつくらない」で決まっている
自社の担当者が自分でページを作る場合に、まず当たるのがこのガイドラインです。
日本語版のウィキペディアには、他の言語版にある利益相反行為のガイドラインに当たるものがありません。
有償の寄稿の開示のページには、日本語版にあるのは「自分自身の記事をつくらない」のガイドラインだけだ、と書かれています。
対象に「あなたの会社」が入っている
このガイドラインは、個人的に関わっていることがらについて記事を書くときは、いつも以上に注意を払うか、控えなければならない、と述べています。
対象として、あなた自身、あなたの業績、あなたの会社、あなたの出版物、あなたのウェブサイトなどが並んでいます。
自社のことを、自社の人が書くのは、まさにこの対象に当たります。
自分について書くと起きる3つの問題
ガイドラインは、自分のことを書くときに根本的な問題が起こると説明しています。
中立的な観点の問題は、自分に都合のよいように書きがちなことです。
検証可能性の問題は、情報源が自分だけだと読者が確かめられないことです。
独自研究の問題は、公表されたことのない内容を持ち込んでしまうことです。
会社の担当者が書く文章は、悪意がなくても、この3つに引っかかりやすい形をしています。
「他の人に任せるのが望ましい」と書かれている
ガイドラインには、こういう文があります。
「自分のことについて、中立的な立場から書くことは誰にとってもとても難しいものです。そのため、ウィキペディアにおいては自分のことについては他の利用者に執筆を任せるのが望ましいとされています。」
すでに記事がある場合も同じで、自分で編集するより、ノートページで出典や提案を出し、利害関係のない第三者の編集を待つよう勧められています。
自分で直してよい範囲もある
すべてが禁止されているわけではありません。
荒らしの差し戻しや、結婚の有無、現在の勤め先、出生地のような誤った基礎情報の修正は、自由にしてよいと書かれています。
事実に異なる解釈ができる場合は、他の人も編集することを理解してください、という注意も付いています。
公式サイトに書いておくことが、手助けになる
ガイドラインは、他の執筆者を手助けする方法も挙げています。
すでに公式サイトがあるなら、ウィキペディアに載せてほしい事実をそのサイトに書き入れておく、というものです。
大げさな内容が書かれていなければ、本人のウェブサイトは一般的な基礎情報の出典として使える、とされています。企業の記事でも、公式サイトへの言及は許容されると別の方針に書かれています。
自社サイトの受け皿ページの考え方は、この点とつながります。
自分で書く場合の判断表
| 場面 | 方針上の扱い | 取れる行動 |
|---|---|---|
| 自社の記事を新しく作る | 基本的に推奨されない。削除依頼が出ることもある | 第三者に取り上げられるのを待つ |
| すでにある自社の記事に誤りがある | 基礎情報の誤りは修正してよい | 事実の誤りだけを直す |
| 内容に意見の相違がありそう | ノートで本人であると明記して提案する | 合意を得てから編集する |
| 出典になりうる情報がある | ノートページで提供できる | 公式サイトに事実を載せておく |
代行に頼む場合:有償の寄稿は、開示しなければならない
代行業者に頼んで、自社の記事を作ってもらう場合の決まりです。
根拠は、ウィキメディア財団の利用規約と、日本語版の「有償の寄稿の開示」のページです。
利用規約の文言:雇用主、顧客、提携団体の開示
利用規約の日本語版には、次のように書かれています。
「あなたは報酬を受け取る、または受け取る予定の寄稿に関して、雇用主、顧客および提携団体について開示しなければなりません。」
日本語版のページにある利用規約の引用に基づく文言です。
開示は、利用者ページでの声明、寄稿に付随するノートページでの声明、編集の要約での声明の、少なくともどれかで行います。
日本語版のページは、この規定について、財団の方針であり日本語版の方針でもある、と述べています。
雇用主と顧客は、同じ会社を指すことが多い
日本語版のページでは、雇用主を「利用者に報酬を支払ってウィキペディアに寄稿させている人または団体」と定義しています。
顧客は、利用者が代表して寄稿している人または団体で、多くの場合は記事の主題になっている会社です。
例として、広告会社に雇われて編集する場合は、広告会社とその顧客の両方を開示しなければならない、と書かれています。
報酬は、お金に限らない
報酬の定義は「お金、商品またはサービスの交換」です。
直接の給与が出ていないインターンでも、編集を指示されたり期待されたりしていれば、有償編集者と同じ扱いになります。
利用者が雇用主の社員であるかどうかは問わない、とも書かれています。社内の担当者が仕事として編集する場合も、同じ扱いになると読めます。
有償編集者による宣伝も、禁じられている
日本語版のページには、有償編集者はウィキペディアでそのサービスを宣伝してはいけない、とも書かれています。
利用規約と方針で定められた開示は、宣伝とはみなされないという但し書きも付いています。
開示は義務で、宣伝は禁止で、この2つは別の決まりです。
代行に頼む場合の判断表
| 確認すること | 方針上の根拠 | 依頼する会社の側ですること |
|---|---|---|
| 書く人が報酬を受け取るか | 有償の寄稿の開示 | 依頼先に開示を行うか確認する |
| 開示の方法は何か | 利用者ページ、会話ページ、要約欄のいずれか | 開示の場所を事前に聞く |
| 記事が宣伝調にならないか | ウィキペディアは宣伝の手段ではない | 自社の主張は避け、出典のある事実だけを渡す |
| 掲載が確約されるか | 編集者の合意形成で決まる | 確約をうたう依頼先は避ける |
宣伝とみなされると、どうなるか:統合、削除、そして宣伝の除去
最後に、方針違反とされたときの結果を見ておきます。
ウィキペディアの記事は、書いた時点で終わりではありません。公開の場で、他の編集者に点検されます。
「ウィキペディアは何ではないか」:企業の記事は客観的で中立的に
宣伝の禁止は、「ウィキペディアは演説台、広告宣伝の手段ではありません」という項目に書かれています。
企業や製品に関する記事は、客観的かつ中立的に、誇張なく記述されなければなりません。
主題と関係を持たない中立的な第三者が公表した記事や書籍などで、検証できる必要もあります。
「即時削除の方針」:露骨な宣伝のみが目的のページ
即時削除の方針には、宣伝や広告が目的のページが対象として挙がっています。
対象は「露骨な宣伝・広告のみが目的と思われるページ」で、特定商品の宣伝で全文が占められているものなどです。
同じ項目に、単に企業や製品を主題とした記事は、この方針の削除対象にならないとも書かれています。会社の記事が存在すること自体は問題にされません。
目安を満たさない記事は、統合されるか削除される
独立記事作成の目安のページには、条件を満たさない主題は独立した記事として存続できない、と書かれています。
そうした記事は、関連の深い記事や一覧に統合もしくはリダイレクトされ、統合先がなければ削除される、という流れです。
ただし、その判断の前には誠実な調査をするよう求められています。
削除の理由に、書き手の素性は挙がっていない
即時削除の方針には、立項したアカウントが記事名と同じ名前であることは、それだけでは即時削除の理由にならない、と書かれています。
会社名のアカウントで作ったから消される、という決まりはありません。
消されるかどうかは、主題が目安を満たすか、宣伝になっていないかという中身で決まります。
結果の整理表
| 状況 | 起こりうること | 会社への影響 |
|---|---|---|
| 第三者の言及がない状態で記事を作る | 目安を満たさないとして削除依頼が出る | 記事が消え、審議の記録が残る |
| 宣伝調の文章で書く | 宣伝の除去、または即時削除 | 自社の主張が受け入れられない |
| 有償であることを開示しない | 利用規約と方針に反する | 依頼した会社の側も確認が必要 |
| 第三者の言及が十分にある | 記事が残る可能性が高まる | 保証ではないが、土台はできる |
解決の道すじ:載るに値する第三者の言及を、実際に積む
ここまでの方針を踏まえると、会社ができることは1つに絞られます。
ウィキペディアに書く前に、会社と無関係の信頼できる情報源に、実際に取り上げてもらうことです。
ウィキペディアは、書かれるのを待つ場所です。載せるための作業より、載るに値する状態を作る作業を先に置きます。
取材を受ける:新聞、雑誌、業界紙、テレビ
二次情報源の例に、新聞記事、書籍、テレビのドキュメンタリー番組が挙がっていました。
取材記事は、記者が自分の判断で書くので、会社が発信した文章とは扱いが違います。
取材されるには、記事にする理由が要ります。地域の課題に取り組んだ、業界で珍しい手法を使った、といった具体的な事実です。
取り上げられる出来事を作る:ただし、発表報道だけでは足りない
先ほど見たとおり、プレス発表についての定常的な報道は、根拠として足りないとされています。
新商品の発表を載せてもらうこと自体は構いません。ただ、それだけを積んでも目安の材料にはなりにくい、ということです。
会社の取り組みそのものを、記者が掘り下げて書いたものが材料になります。
業界団体や専門メディアでの評価:受賞、特集、講演
目安のページは、別の手段として、専門分野の信頼できるメディアからの評価を挙げています。
具体的には、その分野の専門家が集まる学会や大会、専門分野のメディアでの特別な受賞実績や、対象を主とした講演会や特集です。
会員として名簿に載ることと、団体から表彰されたり特集されたりすることは、扱いが違います。名簿やデータベースへの掲載は、材料にならないと書かれていました。
お金で買った掲載は、材料から除かれる
広告記事は、二次情報源から除かれるものに入っていました。
掲載料を払って載った紹介記事は、それが取材記事の体裁をしていても、独立した言及とは見なされない恐れがあります。
実績として自社サイトに載せるのは構いません。ただ、ウィキペディアの目安の材料として数えるかどうかは、別の話です。
取り組み別の表:何が材料になり、何がならないか
| 取り組み | 材料になるか | 理由 |
|---|---|---|
| 新聞や雑誌が取材し、会社を詳しく扱った | なりやすい | 無関係の媒体による有意な言及 |
| テレビ番組が会社の取り組みを特集した | なりやすい | 目安のページが二次情報源として例示 |
| 専門分野のメディアでの受賞や特集 | なりやすい | 別の手段として目安に例示 |
| 新商品を発表し、定常的に報道された | なりにくい | 定常的な報道は根拠にならない |
| 業界団体の会員名簿への掲載 | なりにくい | 名簿は有意な言及に当たらない |
| 掲載料を払った広告記事 | 材料から除かれる | 広告記事は二次情報源に含まれない |
受け皿ページを自社サイトに作る:第三者の言及を、正確に一か所へ
第三者の言及が積み上がったら、その事実を自社サイトの1つのページにまとめます。
目的は、会社の外から見たとき、事実を確かめる場所が1つあることです。
受け皿ページは、何のためにあるのか
ウィキペディアの目安は、自社が出した文章を材料に数えません。ですので、このページが材料になるわけではありません。
役割は、第三者の言及がどこにあるかを、探す人に分かる形で示すことです。
自分自身の記事のガイドラインは、公式サイトに事実を書いておくことが、他の執筆者の手助けになると述べていました。その考え方を、会社向けに広げます。
受け皿ページの流れを、図で確かめる
次の図は、言及を積むところから、受け皿ページに整理するまでの順序です。
図の最後は、書く人を会社の外に置いています。ここが、ウィキペディアの方針と食い違わないための要点です。
掲載実績の1件に書くこと
1件の掲載につき、媒体名、掲載日、記事のタイトル、記事へのリンクを並べます。
加えて、その記事が会社について何を書いているかを、1〜2文で要約します。
要約は、記事に書かれていることだけにとどめます。会社の評価や感想を足すと、自社の主張になってしまい、第三者の言及とは呼べなくなります。
書かないこと:誇張と、許可のない全文の転載
「業界で唯一」「圧倒的な実績」のような言葉は、出典の記事に書かれていない限り足しません。
ウィキペディアが求める中立的で誇張のない書き方は、読み手にとっても信頼の目安になります。
記事の全文を転載することも避けます。著作権の問題が生じる恐れがあり、リンクと要約で足ります。
会社概要のページと、事実をそろえる
受け皿ページに書く社名、設立年、所在地、事業内容は、会社概要のページと一字一句そろえます。
食い違っていると、第三者が記事を書くときに、どちらが正しいか迷います。
そろえ方は、会社概要ページの作り方の記事にまとめています。
プレスリリースで出す事実と、第三者が書く事実を分けて持つ
プレスリリースは、自社が発信する一次的な情報です。受け皿ページでは、自社発表と第三者の記事を、見出しを分けて並べます。
混ぜてしまうと、どれが第三者の言及か分からなくなります。
プレスリリースの書き方は、AI検索に正しく伝わるプレスリリースの書き方の記事に書きました。
第三者のページと自社サイトの関係は、別の記事で整理している
第三者のページに載ることと、自社サイトを整えることの関係は、第三者の掲載を扱った記事で整理しています。
この記事はウィキペディアの方針が主題なので、AIの引用の傾向には深入りしません。
受け皿ページの項目表
| 項目 | 書くこと | 避けること |
|---|---|---|
| 媒体名と掲載日 | 記事に書かれているとおり | 掲載日の推測や省略 |
| 記事の題とリンク | 原文の題をそのまま | 題の言い換えや要約 |
| 会社についての要約 | 記事に書かれた事実を1〜2文 | 評価語や、記事にない自社の主張 |
| 社名と事業内容 | 会社概要のページと同一 | ページごとに違う表記 |
| 自社発表の情報 | 第三者の言及とは別の見出しで | 同じ見出しに混ぜる |
| 更新日 | 最終更新日を記す | 古い情報を残したまま |
書く人は会社の外にいる:自分で書かずに、書かれる状態を保つ
受け皿ページを作り、第三者の言及を積んだあとは、待つ時間になります。
自分自身の記事のガイドラインは、記事の対象が特筆に値するなら、いつか他の人が作成するはずだ、という考え方を採っています。
会社にできることは、事実を確かめやすくすることまで
自分自身の記事のガイドラインは、情報源のありかを教えてくれれば、公平な観点から執筆する助けになる、と述べています。
つまり、会社にできるのは、情報のありかを示すところまでです。
自社で記事を作るのは、基本的に推奨されない行為でした。
すでに記事があるときは、ノートで提案する
自社の記事がすでにある場合は、記事のノートページで、会社の関係者であることを明記したうえで、出典と提案を出します。
直接編集したい場合も、ノートで提案し、合意を得てから行うことが推奨されています。
出典として出すのは、受け皿ページから辿れる第三者の記事です。
載らないままでも、第三者の言及は無駄にならない
ウィキペディアに記事ができるかどうかは、会社の努力だけでは決まりません。
ただ、取材記事や受賞実績が積み上がれば、それは自社サイトでも、営業の場でも、取引先への説明でも使える材料です。
ウィキペディアの掲載だけを目標にせず、積み上げた言及の使い道を広く持っておくと、手間が無駄になりません。
ありがちな失敗:載せたい気持ちが先走ったとき
ここまでの方針から、会社が陥りやすい失敗を整理しておきます。
どれも、悪意がなくても起こります。
失敗1:第三者の言及がないまま、記事を作る
目安のページは、推定されているだけの記事は、第三者に目安に合致しないと主張され、記事ごと削除されるリスクがある、と書いています。
材料のないまま作ると、このリスクを最初から抱えることになります。
先に材料を積む順番が、結局は近道になります。
失敗2:自社の強みを、そのまま文章にする
自社の資料にある強みの言葉は、宣伝として読まれやすい言葉です。
「業界屈指」「高品質」といった表現は、出典がなければ検証できません。
第三者が書いた記事にある事実だけを、淡々と書くのが方針に沿った書き方です。
失敗3:代行に、掲載の約束を求める
掲載や削除を決めるのは、ボランティアの編集者の合意です。
目安のページも、目安を満たしていても作成や収録にふさわしくないとされる話題があると述べています。
掲載を確約すると言う依頼先は、方針とは別の話をしていることになります。
失敗4:開示の義務を、依頼先に任せきりにする
開示の義務は、報酬を受け取って書く人にかかります。
ただ、依頼したのは会社です。開示の場所と方法を、契約の前に確認しておきます。
開示されないまま作られると、利用規約と方針に反する形になります。依頼した会社が、その状態を知らなかったでは済まない場面も考えられます。
失敗5:ウィキペディアだけを目標にする
載るかどうかは、会社の手の外で決まります。
載らなかったときに何も残らない計画は、リスクが大きすぎます。
取材記事や受賞実績は、自社サイトでも使えるので、こちらを本線に置きます。
失敗を避けるための表
| 失敗 | 起きること | 避け方 |
|---|---|---|
| 材料がないまま作る | 削除依頼が出る | 第三者の言及を先に積む |
| 強みをそのまま書く | 宣伝として除去される | 出典のある事実だけを書く |
| 掲載の約束を求める | 約束どおりにならない | 決めるのは編集者だと理解する |
| 開示を任せきりにする | 規約違反として扱われる | 契約前に開示の方法を確認する |
| ウィキペディアだけを狙う | 載らないと何も残らない | 言及を自社サイトでも活かす |
よくある質問
Q. 中小企業でも、ウィキペディアに載れますか?
載れる可能性はあります。ただ、規模は基準になっていません。
組織の目安は、比較的小規模な組織も著名になり得ると述べています。一方で、ごく小規模な個人商店や地元企業の記事は通常受け入れられないだろう、とも書かれています。
見られるのは規模より、無関係の信頼できる情報源に複数回取り上げられているかどうかです。
Q. 自社の担当者が、自分で記事を書いてはいけませんか?
禁止と明記されているわけではありません。ただ、自分自身の記事を新しく作ることは、基本的に推奨されないと書かれています。
作った場合は、削除依頼が出る可能性もあります。
自分の会社の事実の誤りを直すことや、ノートで出典を提案することは、認められています。
Q. 代行に頼んだ記事は、必ず削除されますか?
方針ページには、代行の記事を一律に削除するとは書かれていません。
ただし、有償であることの開示が必要で、第三者の言及が足りなければ、代行でも削除の対象になります。宣伝調の文章も同じです。
載るかどうかは、誰が書いたかより、材料と書き方で決まります。
Q. ウィキペディアに載れば、AI検索に出ますか?
確かめられた範囲では、そうは言えません。
過去のモデルの学習データに入っていた論文の記述はありますが、今のChatGPTやGeminiが回答のたびにどれだけ参照しているかは、公式の数字を確かめられませんでした。
日本語版が使われているかどうかも、確かめられていません。
Q. 何から始めればよいですか?
まず、過去に取材された記事、受賞、講演などを一覧にします。
1件でも見つかれば、受け皿ページの最初の1件になります。1件もなければ、取材される理由になる事実を作ることから始めます。
まとめ
ウィキペディアの掲載の基準は、会社と無関係の信頼できる情報源による、有意な言及です。
自社で記事を新しく作ることは、方針上、基本的に推奨されていません。代行に頼む場合は、報酬を受け取る人に、雇用主と顧客の開示が義務づけられています。
露骨な宣伝だけが目的のページは、即時削除の対象になります。条件を満たさない主題は、統合されるか削除されます。
AIがウィキペディアを参照する、という話は、過去のモデルの学習データについては論文で確かめられました。今の回答での参照の度合いは、確かめられていません。
会社にできる本線は、取材、受賞、特集のような第三者の言及を積み、その事実を自社サイトの受け皿ページに正確にまとめておくことです。書くのは会社の外の人、という線を守ります。
今日できる点検
| 点検すること | 見る場所 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 過去に取材された記事や受賞を、媒体名と日付で書き出す | 広報の記録、メールの履歴 | 30分 |
| そのうち、広告記事や自社発信を除く | 書き出した一覧 | 10分 |
| 会社概要と受け皿ページの社名、設立年、所在地をそろえる | 自社サイトの該当ページ | 15分 |
| 自社の項目がすでにあるか、ウィキペディアで検索する | ウィキペディアの検索窓 | 5分 |
| 代行を検討中なら、開示の方法を依頼先に確認する | 見積書や契約書の案 | 15分 |
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
生成AIに引用されるページを、お話しいただくだけでお作りします。お時間をいただくのは初回15分のヒアリングだけです。まず1ページ、無料でお作りします。
OKが出るまで、何度でも直します。事実が違う、言い回しが硬い、この話は入れないでほしい。どれも遠慮なくおっしゃってください。何度お直ししても、追加の料金はいただきません。
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