LLMO対策(AIの答えに自社が出るようにする取り組み)の会社に実績を聞くときは、AIの画面の写し1枚で終わらせず、5つの記録を見せてもらいます。
5つとは、AIに聞いた質問文そのもの、聞いた回数と出た回数、始める前と後の比較、測った日とAIの種類、書かれ方の中身です。
弊社が2026年10月2日にClaudeで測ると、弊社のページが引用されたのは、社名を入れた質問では4回中2回、社名を入れない質問では22回中1回でした。
同じ日・同じAI・同じ会社でこの差になるので、質問文が分からない実績は読みようがありません。
結論:「AIに取り上げられた実績」を聞くとき、見せてもらうのは5つです
実績の資料は、数字の大きさより先に、数字の作られ方を見ます。
作られ方が書いてあれば、小さな数字でも自社に当てはめて読めます。
見せてもらう5点と、それで分かること
先に全体を表で示します。
| 見せてもらうもの | それで分かること | 無いときに分からないこと |
|---|---|---|
| 1 AIに聞いた質問文そのもの | 社名を入れた質問か、入れない質問か | 買い手が社名を知らない段階で出たのかどうか |
| 2 同じ質問を何回聞いて何回出たか | たまたまの1回か、繰り返し出るのか | 次に聞いたときも出るのかどうか |
| 3 始める前と後を同じ条件で比べた記録 | 取り組みの前から出ていたのか、後から出たのか | 数字が動いたのかどうか |
| 4 測った日・AIの種類・聞き方 | どのAIの、いつの、どんな設定の結果か | 自社の買い手が使うAIでも同じかどうか |
| 5 書かれ方の中身 | 名前が出ただけか、引用元に付いたか、内容は正しいか | 出たことが自社の得になっているのかどうか |
5つのうち、最初に見るのは1番の質問文です。
質問文が決まらないと、2番から5番の数字は何について数えたものかが定まりません。
画面の写し1枚で確かめられないこと
画面の写しに写っているのは、ある1回の答えです。
その前後に何回聞いたか、ほかの回では出たのか、は写りません。
質問文が画面の外に切れていれば、社名を入れて聞いたのかどうかも分かりません。
画面の写しは「この答えが1回あった」ことの記録として受け取り、残りを5点で足してもらう、という読み方になります。
この質問をAIに聞いたときの答えと、引用元
弊社は、買い手がAIに聞きそうな質問を40問作っています。
この記事の題にした質問はその1つで、2026年10月1日にClaudeに2回聞きました。
弊社の名前が出たのは2回中0回、引用元に弊社のページが付いたのは0件です。
条件を直した10月2日の測り直しでも、2回とも同じ結果でした。
引用元は1回目も2回目も7件ずつ付いていました。
引用元のページを読むと、書かれていた事実は、進め方の手順、用語の定義、流入の伸び、答えの揺れを調べた記事が中心でした。
この記事では、そこに無かった材料として、海外の研究の条件つきの数字と、弊社が自分で数えた回数を足します。
この記事で使う数字の出どころ
数字は、出どころを3つに分けて書きます。
| 本文での書き方 | 出どころ | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 「弊社では」「弊社が」 | 弊社が自分で質問し、自分で数えたもの | 1社・1つのAI・1日の記録です |
| 「海外の実験では」「海外の調査では」 | 海外の論文 | 英語やドイツ語の質問が中心で、日本語で同じ数字になるとは言えません |
| 「著者の立場」と断った数字 | 計測を仕事にする会社の人が書いた論文 | 結論がその仕事を後押しする向きであることを頭に置いて読みます |
論文は弊社が92本を1本ずつ日本語で解説しており、解説の一覧から原文の情報までたどれます。
実験で確かめられたことと、いま動いている実際のサービスで同じことが起きるかは、分けて読む必要があります。
ここに書く読み方をしても、良い依頼先に必ず当たるという約束はできません。
書けるのは、資料のどこを見て、何を足してもらうか、までです。
5つを見る順を1枚の図にしました
5つには見る順があります。
図は上から下へ進みます。
図の読み方
1番の質問文で、数字が「社名を知らない買い手」の話かどうかが決まります。
2番の回数で、その数字が1回きりのものか、繰り返しても出るものかが分かります。
3番の前後で、取り組みによって動いたと言える材料があるかを見ます。
4番の条件で、自社の買い手が使うAIに当てはまるかを見ます。
5番の書かれ方で、出たことの中身を確かめます。
この記事の使い方
この記事は、相手の会社を試すための質問集として書いていません。
受け取った資料に何が書いてあり、何が書いていないかを、自分で読めるようにするためのものです。
AIの答えを自社で測る手順そのものは、LLMO対策のやり方を全部書いた記事にまとめてあります。
自分で1度測ってみると、資料のどこが省かれているかに気づきやすくなります。
質問文:社名を入れた質問か、入れない質問かを先に見ます
実績の資料で最初に見るのは、AIに何と聞いたかです。
社名を入れて聞いた結果と、社名を入れずに聞いた結果は、同じ会社でもまったく違う数字になります。
弊社の実測:4回中2回と、22回中1回
弊社は2026年10月2日、40問のうち13問をClaudeに2回ずつ聞きました。
13問のうち2問は社名を入れた質問、11問は社名を入れない質問です。
| 質問の種類 | 質問の数 | 聞いた回数 | 弊社のページが引用された回数 |
|---|---|---|---|
| 社名を入れた質問 | 2問 | 4回 | 2回 |
| 社名を入れない質問 | 11問 | 22回 | 1回 |
弊社のメインサイトの公開記事は、2026年10月2日の時点で1,008本あります。
それでも、社名を入れない11問で弊社のページが引用されたのは、22回中1回でした。
この表の上の行だけを切り取れば、「AIに聞くと2回に1回は出る会社」に見えます。
下の行まで並べると、社名を知らない買い手の質問には、22回に1回しか出ていない会社だと分かります。
どちらも事実で、違うのは質問文だけです。
海外の実験でも、同じ向きの差が出ています
海外の実験で、新しい製品112件を2つのAIに英語で聞いたものがあります。
製品名を出した質問と、名前を伏せて種類だけで聞いた質問を分けて数えています。
| AI | 名前を出した質問で名前が出た割合 | 名前を伏せた質問で名前が出た割合 | 条件 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 99.4%(336回中334回) | 3.32%(784回中26回) | 小型のモデルを、検索の機能なしで呼び出したもの |
| Perplexity | 94.3%(336回中317回) | 8.29%(784回中65回) | ウェブ検索つき |
この実験は英語の質問だけで、対象は英語圏の新しい製品、各質問は1回ずつの実行です。
名前を伏せた質問には「新しい」「最近の」といった条件が多く含まれ、判定は名前の文字が答えに出たかどうかだけで行われています。
査読前の論文なので、日本の会社で同じ割合になるとは言えません。
読み取れるのは、名前を出した質問の成績は、名前を伏せた質問の成績の代わりにならない、という向きまでです。
条件と限界はこの論文の解説に書いています。
資料で見る所:質問文の一覧と、2種類の数え分け
資料では、次の2つを探します。
1つ目は、AIに聞いた質問文が、文面そのままで一覧になっているかです。
2つ目は、社名を入れた質問と入れない質問が、別々に数えてあるかです。
2種類を1つの数字に混ぜると、混ぜる比率で合計が変わります。
海外の論文に、数字を仮に置いた架空の例でこれを計算したものがあります。
名前を出さずに探す質問の重みを20%から80%へ動かすと、2つの架空のサービスの優劣が入れ替わりました。
実在のサービスで逆転が起きたという話とは別で、混ぜ方が結果を左右することを示す計算です(解説)。
回数:1回の結果は実績になりません
AIは同じ質問にも、聞くたびに違う答えを返します。
出た1回を見せてもらったら、何回聞いたうちの1回かを合わせて見ます。
同じ質問を繰り返すと、出典が入れ替わります
海外の調査に、4つのAI検索(ChatGPT、Gemini、GoogleのAIモード、Perplexity)へ同じ32問を繰り返し聞いたものがあります。
24時間以内に同じ質問を繰り返したとき、2回の答えに共通して出た出典の割合は、分野ごとの平均で0.32〜0.43でした。
企業名の重なりは0.33〜0.48です。
この調査はスイスの4分野、質問はドイツ語、査読前の論文です。
日本語で同じ値になるかは確かめられていません。
何回聞けば、数字として読めるのか
同じ調査は、1日に聞く回数を増やすと、企業名が出る割合の見積もりのぶれがどう縮むかも計算しています。
| 1日に聞いた回数 | 見積もりのぶれ(標準誤差) | 読み方 |
|---|---|---|
| 1回 | 0.370 | ぶれが大きく、出る割合の見当がつきません |
| 3回 | 0.188 | 1回の半分ほどに縮みます |
| 5回 | 0.123 | まだ0.10を上回ります |
| 7回 | 0.081 | 0.10を下回ります |
著者らはここから、企業名の出方を追うなら1つの質問を1日に7回以上聞くことを勧めています。
ただし論文自身が、7回は「80%と20%のような大きな差」を見分ける精度で、近い水準の会社どうしの順位づけには足りないと書いています。
32問から出た目安なので、どの業種でも7回で足りるとは言えません(解説)。
「回答の◯%に出た」は、分母を見ます
割合で示された実績は、何を何で割ったかで値が変わります。
海外の論文が、公開済みの集計を組み直して計算した例があります。
3つの質問の集まりを混ぜる比率だけを変えると、検索結果にAIの要約が表示される割合は39.66%にも70.54%にもなりました。
それぞれの集まりの中の値は同じままです。
この計算は米国の2日間の集計を使ったもので、両端の集まりをわざと選んでいます。
差の大きさをふだんの揺れの目安にはできない、と論文自身が断っています。
同じ論文は、名前が出る割合を仮に置いた計算で、分母を「すべての質問」から「AIの要約が表示された質問」に替えると割合が約1.42倍から約2.52倍になることも示しています。
資料で見る所:「◯回中◯回」の形になっているか
回数の記録は、「同じ質問を◯回聞いて◯回出た」という形で書いてあると読めます。
割合だけが書いてある資料は、分母の質問の数と、聞いた回数を足してもらいます。
1回だけの結果なら、1回だけと書いてあれば、それはそれで正しい記録です。
前と後:始める前の数字が残っているかを見ます
「取り組みの後に出るようになった」と言うには、取り組みの前の数字が要ります。
後の数字だけでは、もとから出ていたのかどうかを区別できません。
前の数字が無いときに、分からなくなること
知名度のある会社は、何もしなくても名前が出ることがあります。
社名を入れた質問であれば、なおさらです。
始める前に測った記録があれば、後の数字からその分を引いて読めます。
記録が無ければ、後の数字は「いまこう出ている」という現在地の報告として受け取ります。
前と後でそろえるもの
前後の比較は、次の4つがそろっていて初めて並べられます。
| そろえるもの | そろっていないときに起きること | 資料で見る所 |
|---|---|---|
| 質問文 | 出やすい質問に替わっただけで数字が上がります | 前と後で質問の一覧が同じか |
| AIの種類 | 出やすいAIに替わっただけで数字が上がります | 前と後で同じAIか |
| 聞いた回数 | 回数が違うと、ぶれの大きさが違います | 前も後も「◯回中◯回」で書いてあるか |
| 数え方 | 名前が出た回数と、引用された回数が混ざります | 何を1回と数えたかが書いてあるか |
海外の論文も、書き換えの効果を語るときは、前と後の両方にぶれの幅を付けるよう求めています。
弊社も、前後の比較はまだ持っていません
弊社は2026年10月2日に基準の数字を取り直しました。
次は2026年11月1日ごろ、同じ質問・同じAI・同じ回数で測ります。
いま手元にあるのは「前」の数字だけなので、弊社は自社の取り組みについて「増えた」と書ける材料を持っていません。
測り直しの進め方は、測り直しの記事に分けて書いています。
条件:測った日・AIの種類・聞き方を見ます
同じ質問でも、AIの種類と設定と聞き方で、出る割合は変わります。
資料の数字が、自社の買い手が使う場面に近い条件で測られたかを見ます。
弊社は、条件の誤りで数字が変わりました
弊社自身、条件の誤りで数字が変わった経験があります。
2026年10月1日の最初の計測では、社名を入れた質問で、4回中4回、弊社のページが引用されました。
翌日に記録を読み返すと、計測のしくみが弊社のパソコンの設定を読み込んでおり、弊社の社名や作業の経緯がAIに渡っていました。
設定を読み込まない条件で測り直すと、4回中2回でした。
測った人のパソコンやアカウントの情報がAIに渡っていないかは、資料を見るときにも聞いてよい条件です。
経緯は測り直しの記事に書いています。
AIが違えば、数字が違います
海外の調査に、102のブランドを5つのAIで数えたものがあります。
社名を入れない質問で名前が出た割合は、AIごとに次のとおりでした。
| AI | 社名を入れない質問で名前が出た割合 |
|---|---|
| ChatGPT | 22.1% |
| Gemini | 18.7% |
| Perplexity | 23.9% |
| Claude | 51.5% |
| Grok | 12.0% |
各ブランドの最初の計測の値で、AIごとに対象のブランド数が違います。
Claudeが高いのは、対象が少なく知名度の高いブランドに偏っているためでもある、と論文が注記しています。
この調査は計測サービスを売る会社の人が書いた自社の報告で、例文は英語、業種にも偏りがあります。
ここから言えるのは、1つのAIで出たことを、ほかのAIでも出たことに読み替えられない、という点です。
検索を使う設定かどうかでも変わります
先ほどの112件の実験では、検索の機能なしのAIで3.32%、ウェブ検索つきのAIで8.29%でした。
AIの種類が違うので設定だけの差とは言えませんが、検索を使うかどうかは記録に書いておく項目です。
5つのAIの調査でも、毎回検索するAIと、週に1回だけ検索するAIが混ざっていました。
聞き方で結果が変わります
質問文の作り方も、結果を動かします。
海外の論文は、ある研究の結果として、答えのばらつきのうち質問の言語で説明できる部分が26.5%、ブランドの違いで説明できる部分が1.5%だったと紹介しています。
紹介した論文と元の研究は同じ著者のもので、著者は計測サービスを売る会社の経営者です。
割合の読み方を扱った先ほどの論文の計算では、疑問文の形の質問と、語句だけに書き換えた質問とで、AIの要約が表示される割合が86.2%と76.5%に分かれました。
こちらは米国の集計です。
どちらも日本語の質問を調べたものではありません(質問文の作り方を扱った論文の解説)。
引用の順位表は、何問で作ったかを見ます
「引用されたサイトの順位」を示す資料もあります。
海外の調査で、3つのAI・10分野・1分野125問を使い、順位表が落ち着くまでに何件の答えが要るかを調べたものがあります。
落ち着いたと判定された時点は、33件目から94件目まで広がりました。
30の組み合わせのうち3つは、125件でも届いていません。
条件がそろった組でも、上位10サイトのうち平均2つは、125件まで集めた結果と入れ替わっていました。
この調査も計測サービスの会社の人による自社の報告で、査読前です(解説)。
記録に書いてあってほしい項目
| 項目 | 書き方の例(数字は入れていません) | 書いていないと起きること |
|---|---|---|
| 測った日 | (例)◯年◯月◯日 | いまも同じかどうかが分かりません |
| AIの種類 | (例)AIの名前と、分かればモデルの名前 | 別のAIの結果と混ざります |
| 検索を使う設定か | (例)検索あり/検索なし | 条件の違う数字を並べてしまいます |
| 質問の言語と文面 | (例)日本語・文面そのまま | 聞き方の違いが結果に混ざります |
| 何を1回と数えたか | (例)名前が本文に出た/引用元に付いた | 2種類の回数が足し合わされます |
書かれ方:名前が出た・引用元に付いた・内容が正しい、は別のことです
「AIに取り上げられた」という言葉には、3つの違う出来事が入っています。
資料では、どれを数えたのかを分けて見ます。
3つを分けて数えます
| 段 | 起きていること | 資料で見る所 |
|---|---|---|
| 名前が出た | 答えの本文に社名や商品名が書かれた | どんな文脈で書かれたか。並んだだけか、薦められたか |
| 引用元に付いた | 自社のページが、答えの根拠として示された | どのページが付いたか。自社のページか、他の人が書いたページか |
| 内容が正しい | 書かれた説明が、自社の事実と合っている | 対応範囲や所在地などが、いまの事実と同じか |
3つは別々に起きます。
名前は出たが引用元は他の人のページだった、という回もあれば、引用元に付いたが本文に名前は無い、という回もあります。
弊社の記録では、2つを別の列に書いています
弊社の2026年10月2日の記録は、名前が出た回数と、弊社のページが引用された回数を別々に数えています。
社名を入れない11問では、名前も引用も22回中1回でした。
社名を入れた2問では、引用が4回中2回です。
今回はたまたま2つの列が同じ数になりましたが、数える対象は別です。
名前の文字が出ただけで「成功」に数える測り方もあります
112件の実験は、製品名の文字が答えに現れたかどうかだけで判定していました。
解説でも触れたとおり、この数え方では、AIが内容を正しく説明できたかどうかまでは分かりません。
102ブランドの調査では、社名を入れない質問で3回以上名前が出た組み合わせのうち、45.5%で書かれ方が好意的と否定的の間を行き来していました。
この分類はAIによる自動の判定で、判定そのもののぶれも混ざっている、と論文が書いています。
出た回数の隣に、どう書かれたかの列がある資料は、それだけ中身を確かめやすくなります。
内容の正しさは、引用元を開いて確かめます
書かれた内容が正しいかどうかは、答えの文と、引用元のページの該当する所を並べて読むと分かります。
海外の論文も、引用が表示されたことと、その出典が答えの中身に使われたことは別に測るべきだと述べています。
答えと引用元を読む手順は、AIの答えと引用元を読む記事に、記録の表つきで書いています。
入口の記事では工程4にあたる作業です。
割合と倍率の読み方:差が揺れより大きいかを見ます
「◯ポイント上がった」「◯倍になった」という数字は、何と比べたかで意味が変わります。
資料の言い方ごとに、先に確かめることを整理します。
数ポイントの差は、揺れの範囲に入ることがあります
海外の調査に、同じ200問を3つのAI検索へ9日間聞き続けたものがあります。
同じ質問への2回の答えで、引用されたサイトの重なりは中央値で0.29〜0.50でした。
200問を1回聞いて出した引用の割合には、あるAIではよく引用されるサイトの大半で3〜6ポイントの幅がありました。
論文は、見かけの差が5〜7ポイント未満のサイトどうしは、多くが揺れと区別できなかったと書いています。
8%から11%へ3ポイント上がった例も、幅の内側に収まるとされています。
著者は計測サービスの会社の人で、対象は英語の3分野、査読前の論文です。
揺れの大きさは大学の調査とおおむね合っていますが、必要な質問の数までそのまま日本語に当てはめることはできません(解説)。
「流入が数倍」は、手を入れなかったページと並べます
AIからの流入(AIの答えから自社サイトへ来た人の数)が何倍になった、という実績もあります。
海外の論文に、1つのサイトでこれを分けて数えたものがあります。
ChatGPTからの流入は全体で5.7倍に増えましたが、手を入れていないページでも3.5倍に増えていました。
手を入れたページは6.1倍です。
手を入れたページと入れていないページの比は、取り組みの時期に1.82倍の段差を作りました。
ただし最も厳しい検定では基準を満たさず、著者自身が、示唆にとどまり決定的とは言えないと述べています。
これは1つのサイトだけの、運営する会社自身による報告です。
ほかのサイトで同じ倍率になるとは言えません(解説)。
読み取れるのは、AIを使う人が増えている時期の倍率には、何もしなくても増えた分が含まれる、という点です。
資料の言い方と、先に確かめること
| 資料の言い方 | 先に確かめること | 海外の研究で確かめられた数字(条件つき) |
|---|---|---|
| 引用の割合が数ポイント上がった | 何問を何回聞いたか。ぶれの幅は書いてあるか | 200問を1回聞いた割合に3〜6ポイントの幅(英語の3分野・あるAI) |
| 回答の◯%に出た | 分母は何か。社名を入れた質問は何割か | 質問の混ぜ方だけで39.66%と70.54%(米国の集計の組み直し) |
| AIからの流入が◯倍になった | 手を入れなかったページは何倍か | 全体5.7倍、手を入れないページも3.5倍(1つのサイト) |
| 引用の順位が上がった | 何問の答えから作った順位表か | 上位10サイトの順位の幅は中央値で5位分(3つのAI・10分野) |
流入や問い合わせまで含めた測り方は、効果測定の記事で扱っています。
知名度の差を、実績と取り違えない
事例として示された会社が、もともとよく知られた会社かどうかも見ます。
知名度だけで、AIに名前が出る割合が大きく違うからです。
知名度の3段で、73%・44%・11%
102ブランドの調査は、ブランドを知名度で3段に分け、社名を入れない質問で名前が出た割合を数えています。
| 知名度の段 | ブランドの数 | 社名を入れない質問で名前が出た割合 | 95%信頼区間 |
|---|---|---|---|
| 1段目:世界的に知られた大手 | 11 | 72.9% | 60.1〜84.2 |
| 2段目:中堅・地域の有力ブランド | 36 | 43.6% | 36.4〜50.9 |
| 3段目:小規模・専門の分野 | 55 | 11.4% | 4.2〜20.3 |
計測の1回目の時点の値です。
著者は計測サービスを売る会社の人で、論文の中で、売る側が作った計測の研究として重みを付けて読んでほしいと断っています。
段の分け方は著者1人が公開情報から手作業で決めたもので、データは公開されていません。
例文は英語で、日本の会社は調べられていません(解説)。
この数字から言えること、言えないこと
言えるのは、この調査の対象では、知名度の段ごとに出る割合が大きく違った、という所までです。
知名度を上げれば出る割合が上がる、という因果は確かめられていません。
実績の読み方に引き直すと、よく知られた会社の事例で高い割合が出ていても、それが取り組みによるものかは、始める前の数字が無いと分かりません。
自社と近い規模の会社の事例で、前と後が並んでいる資料のほうが、自社に当てはめやすくなります。
「毎回出ない」が最も多い、という結果もあります
同じ調査は、同じブランド・同じ質問・同じAIの組み合わせを3回以上計測した結果も数えています。
社名を入れない質問では、毎回名前が出なかった組み合わせが63.2%、毎回出た組み合わせが14.3%でした。
残りは、出たり出なかったりする組み合わせです。
出たり出なかったりする質問ほど、1回の画面の写しでは実力が読めません。
聞くときの質問票
ここまでの5点を、そのまま聞ける形にまとめます。
答えの形の例には、数字を入れていません。
質問票
| 聞くこと | 答えの形の例 | 5点のどれか |
|---|---|---|
| AIに聞いた質問文を、文面のまま見せてもらえますか | (例)質問文の一覧。社名を入れた質問と入れない質問に分けてある | 1 質問文 |
| 同じ質問を何回聞いて、そのうち何回名前が出ましたか | (例)質問ごとに「◯回中◯回」 | 2 回数 |
| 始める前の数字は、同じ質問・同じAI・同じ回数で残っていますか | (例)前と後が同じ表に並んでいる | 3 前後 |
| 測った日と、AIの種類と、検索を使う設定かどうかを教えてください | (例)日付・AIの名前・検索あり/なし | 4 条件 |
| 数えたのは、名前が出た回数ですか、引用元に付いた回数ですか | (例)2つが別の列になっている | 5 書かれ方 |
| 書かれた内容に、事実と違う所はありましたか | (例)違っていた所の一覧と、その後の対応 | 5 書かれ方 |
聞く順番
聞く順番は、図と同じく質問文からです。
質問文の一覧が出てくれば、残りの5つの問いは、その一覧に列を足す形で答えてもらえます。
「同じ質問を何回聞いて、そのうち何回名前が出ましたか」という問いは、相手を疑うための問いとして使うものではありません。
資料に列を1つ足してもらうための問いです。
出なかった質問の記録も、見せてもらいます
出た質問だけが並んだ資料では、全体の何問のうちの何問かが分かりません。
弊社の記録でも、11問・22回のうち21回が「出なかった」記録です。
出なかった質問が分かると、次にどの質問へ向けて書くかが決まります。
出なかった記録が残っている資料は、測り方が一通りそろっている、と読めます。
資料が出てこないときの受け止め方
5点がそろった資料が、その場で出てこないこともあります。
それだけで依頼先としての良し悪しは決まりません。
測り方がまだ定まっていない会社もあります
AIの答えへの出方には、検索順位のように提供元が用意した公式の測定の道具が、先ほどの4つのAI検索の調査の時点で用意されていませんでした。
何問集めれば足りるかも、海外の調査が「決まった数は無い」と結論しています。
測り方そのものが固まりきっていない分野なので、記録の形が会社ごとに違うのは、いまの時点では自然なことです。
弊社自身も、基準の数字を取ったのは2026年10月2日です。
その場でできること
資料が無いときは、次のように進められます。
社名を入れない質問を1つ決め、打ち合わせの場で同じAIに複数回聞き、何回中何回出たかを一緒に数えます。
それがその日の「前」の数字になります。
自社の名前で試す手順は、自社名の調べ方の記事にあります。
出てきた資料ごとの読み方
| 出てきた資料 | 読めること | 足してもらうもの |
|---|---|---|
| 画面の写し1枚 | その答えが1回あったこと | 質問文、聞いた回数、測った日 |
| 「◯%に出た」という割合 | ある質問の集まりでの出方 | 分母、質問の一覧、社名を入れた質問の割合 |
| 流入の伸びのグラフ | AIから来た人が増えたこと | 手を入れなかったページの伸び |
| 知られた会社の事例 | その会社がAIに出ていること | 始める前の数字、自社に近い規模の事例 |
| 資料が無い | これから測り始める段階であること | 契約の後、どの5点を記録して報告するか |
営業の説明を受けたときに確かめる点は説明の確かめ方の記事に、依頼先を比べる観点は会社の選び方の記事にまとめています。
よくある質問
LLMO対策の会社に「AIに取り上げられた実績」を聞くとき、何を見せてもらえばいいですか
質問文そのもの、聞いた回数と出た回数、始める前と後の比較、測った日とAIの種類、書かれ方の中身の5つです。
最初に見るのは質問文で、社名を入れた質問か入れない質問かを確かめます。
画面の写しを見せてもらうだけでは足りませんか
画面の写しから分かるのは、その答えが1回あったことです。
海外の調査では、24時間以内に同じ質問を繰り返しても、共通する出典は平均で0.32〜0.43にとどまりました(ドイツ語の32問・4つのAI検索)。
何回聞いたうちの1回かを、合わせて見せてもらいます。
社名を入れた質問で出ていれば、実績と言えますか
社名を知っている人に対して出ている、という実績にはなります。
社名を知らない買い手の質問で出ているかは、別に数える必要があります。
弊社の2026年10月2日の記録では、弊社のページが引用されたのは、社名を入れた質問が4回中2回、入れない質問が22回中1回でした。
何回聞いた結果なら、信じてよいですか
決まった回数はありません。
海外の調査は、1つの質問を1日に7回以上聞くことを勧めていますが、32問から出した目安で、近い水準の会社どうしの順位づけには足りないと断っています。
回数が書いてあれば、少ない回数でも、少ない回数の記録として読めます。
「引用率が上がった」と言われたら、何を聞けばいいですか
何問を何回聞いた割合か、分母は何か、ぶれの幅は書いてあるか、の3つです。
海外の調査では、200問を1回聞いて出した引用の割合に3〜6ポイントの幅があり、8%から11%への変化は幅の内側に収まるとされました(英語の3分野・あるAI)。
まとめ
「AIに取り上げられた実績」は、画面の写し1枚では確かめられません。
見せてもらうのは、質問文、回数、前と後、条件、書かれ方の5つです。
弊社の記録では、同じ日・同じAIで、社名を入れた質問は4回中2回、入れない質問は22回中1回でした。
質問文を見ないまま数字だけを比べると、この2つを取り違えます。
海外の研究が示しているのも、1回の結果は揺れること、割合は分母で変わること、倍率は比べる相手で変わること、でした。
どれも英語や海外のサービスを調べたもので、日本語の質問で同じ数字になるとは言えません。
資料がそろっていない会社に出会ったら、足りない列を足してもらえるかを聞きます。
LLMO対策の全体像はLLMO対策の記事に、自社で進める範囲は自分で進める記事に、避けたほうがよい施策はやってはいけない施策の記事に書いています。
今日できる点検
手元に実績の資料があれば、次の表に沿って読んでみてください。
資料が無ければ、これから受け取る資料の確認用に使えます。
| 点検すること | 資料のどこを見るか | 書いていなかったら |
|---|---|---|
| 質問文が文面のまま載っているか | 表の左端の列、または別紙の一覧 | 質問文の一覧を足してもらいます |
| 社名を入れた質問と入れない質問が分けてあるか | 質問文の中に事例の会社の名前があるか | 2種類を別々に数えてもらいます |
| 「◯回中◯回」の形で書いてあるか | 回数の列 | 聞いた回数を足してもらいます |
| 始める前の数字が同じ条件で並んでいるか | 前と後の2列 | 現在地の報告として受け取ります |
| 測った日・AIの種類・検索の設定があるか | 表の上や欄外の注 | 条件を足してもらいます |
| 名前が出た回数と、引用された回数が別か | 数えた対象の説明 | 何を1回と数えたかを聞きます |
6行のうち、最初に埋めるのは1行目です。
自社でも、社名を入れない質問を1つ決めて同じAIに複数回聞き、何回中何回出たかを書き留めておくと、受け取った資料と同じ形で並べて読めます。
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
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