結論から書きます。LLMOという名前の新しい技術は要りません
ホームページはあるのに問い合わせが来ない。そこへLLMO対策という言葉が飛び込んできて、また何か新しいものを買わないと取り残されるのかと身構える。ここ半年、経営者の方からいちばん多く届く相談がこの形をしています。
先に答えを書きます。LLMOという名前の新しい技術は要りません。ただし、書き方は効きます。この2つは矛盾しません。矛盾して見えるのは、AIに引用されるまでの過程を1つの箱として扱っているからです。
Googleで検索担当のリエゾンを務めるダニー・サリバン氏が、2025年8月28日の基調講演でこう話しています。
Good SEO is good GEO, or AEO, AIO, LLM SEO, or LMNOPO. What I’m trying to say is don’t panic. What you’ve been doing for search engines is still perfectly fine and the things you should be doing.
訳すと、こうなります。「良いSEOは良いGEOであり、AEOであり、AIOであり、LLM SEOであり、LMNOPOです。私が言いたいのは、慌てないでください、ということです。これまで検索エンジンのためにやってきたことは、依然としてまったく問題なく、まさにあなたがすべきことです。」
LMNOPOという語は、アルファベットを順番に並べただけの造語です。頭字語が次から次へと増えていく状況への皮肉として、その場で口にされました。サリバン氏はのちに、この造語をそのまま冠した皮肉のサイトまで公開しています。検索エンジンを運営している側の人間が、新しい頭字語を笑っている。この事実から目をそらしたまま対策の話を始めると、買わなくていいものを買うことになります。
「SEOはもう古い」と言われたときに確かめる1つのこと
新しい呼び名が生まれるとき、それが技術の変化を指しているのか、売り物の変化を指しているのか。確かめる方法は1つです。その呼び名でしか説明できない現象があるかを探す。あれば技術の変化です。無ければ売り物の変化です。
この記事では、一次情報だけを並べてそれを確かめます。Googleの公式ドキュメントの原文、Googleの担当者の発言、査読を通った学術論文とその実装コード、そして数万から数百万の規模で実測された調査。加えて、私たちが3つのドメインで実際に測った数字も出します。
結論を先取りすると、LLMOという呼び名でしか説明できない現象は、たしかに1つだけ見つかります。ただしそれは道具の話に落ちません。書き方の話に落ちます。だから記事のタイトルから「もう古い」を外しました。古くなっていないからです。
引き算の話として読むとつながります
ウェブサイトの相談を受けるとき、私たちが最初にやるのは足すことの逆です。トップページに並んだ12個のボタンを3個にする。3つの訴求を1つにする。読む人が迷う分岐を消していく。売れているサイトは、たいてい何かを捨てています。
AI検索への対応も同じ形をしています。llms.txtという新しいファイルを置く。構造化データを増やす。文章を細かく切り刻む。どれも足す方向の作業で、そしてこの記事で見ていく通り、Googleは公式に「その必要は無い」と書いています。足した分だけ、本当にやるべき1つから時間が奪われます。
やるべき1つは、読む人にとって価値のある文章を、事実に基づいて書くことです。道具を買う必要はありません。書けるかどうかがすべてです。身も蓋もない話ですが、身も蓋もないところに答えがあるときは、素直にそこへ行ったほうが早く着きます。
この2年で変わったことと、変わらなかったこと
「新しい技術は要らない」と書くと、何も変わっていないという意味に読まれることがあります。そうではありません。変わったところは、はっきり変わりました。整理します。
| 場面 | 2年前 | いま | 新しい作業が要るか |
|---|---|---|---|
| 答えの探し方 | 検索結果の一覧から選ぶ | 生成された回答をそのまま読む | 要らない |
| サイトに届く人数 | 順位に比例して届いた | 同じ順位でも減る | 要らない |
| 比較検討の入口 | 会社名で検索して比べる | 条件を投げて候補を出させる | 要らない |
| 選ばれる文章の形 | 読みやすさが中心 | 引用と数字と出典が効く | 書き方の変更が要る |
4行のうち、新しい作業が発生しているのは最後の1行だけです。上の3行は、環境の変化であって、対応する道具が存在する種類の変化ではありません。届く人数が減ったという事実に、買って解決する手段は用意されていません。
最後の1行だけが、こちらの手で動かせます。そしてこの1行は、外注もできます。文章の形の話だからです。ここが、この記事全体を通じて何度か出てくる分かれ目になります。
この記事で確かめる3つのこと
LLMO対策の解説記事は日本語でも9社以上が出しています。ただ、そのほとんどが同じ数字を同じ形で引いています。この記事では、その数字の出どころまで降りていきます。確かめるのは3つです。
1つ目は、よく引かれる「引用の追加で41%改善」という数値が、どういう実験で測られたのかです。論文の実装コードまで読むと、その実験で追加された引用は実在しない引用でした。統計も出典も同様です。
2つ目は、その効果が誰にでも同じ向きに働くのかです。同じ論文の別の表を読むと、検索順位によって効果の符号が反転します。検索5位のサイトでは大きく伸び、検索1位のサイトでは下がります。
3つ目は、私たち自身が3つのドメインで回している検証です。書き手も記事の作り方も同じにして、狙う言葉の選び方だけを変えました。結果、10位以内に入った記事1本あたりの表示回数に23倍の差が出ました。順位はどちらも取れていて、違ったのは表示回数だけです。1つのドメインだけを運用していると、この差は見えません。
LLMOとは何か。GEO・AEO・AIOとの違いを整理します
言葉の整理から始めます。ここを曖昧にしたまま進むと、同じものに別々の対策を売られることになります。
LLMOという語が指しているもの
LLMOは、大規模言語モデルへの最適化を意味する呼び名として使われています。対話型の生成AIやAI検索の回答のなかで、自社の情報が取り上げられ、名前を挙げられる状態を目指す取り組み全般を指します。
ここで大事なのは、この語が特定の技術仕様を指していないという点です。SEOという語は、検索エンジンのクローラーとインデックスとランキングという、実在する仕組みに対応していました。技術仕様が存在するので、対応する作業も定義できました。
LLMOにはそれに当たる仕様がありません。Googleが公開している生成AI向けのガイドを読んでも、生成AI専用の作業は1つも定義されていません。あるのは「価値のあるコンテンツを作れ」という、検索の時代から変わらない要求だけです。
読み方は「エルエルエムオー」です
読み方を尋ねられることがあります。LLMOは「エルエルエムオー」と読みます。
Large Language Model Optimization の頭文字で、日本語では大規模言語モデル最適化と訳されます。
会話の中では「エルエルエム最適化」と言われることもあります。どちらでも通じます。
決まった読み方が公式に定められているわけではないので、相手に合わせて構いません。
なお、末尾にAを足した表記を見かけることがあります。これは一般的な用語ではなく、
特定の会社が自社サービスに付けている名称です。
一般名詞として使われている語はLLMOのほうです。
GEO・AEO・AIOとの違い
呼び名は複数あります。指しているものはほぼ重なります。違いは、どの部分に焦点を当てて名付けたかにあります。
| 呼び名 | 直訳すると | 焦点を当てている場所 | 技術仕様の有無 |
|---|---|---|---|
| SEO | 検索エンジン最適化 | 検索結果での順位 | あり |
| LLMO | 大規模言語モデル最適化 | 生成AIの回答に出ること | 無し |
| GEO | 生成エンジン最適化 | 回答を生成する仕組み全体 | 無し |
| AEO | 回答エンジン最適化 | 質問に対する答えの形 | 無し |
| AIO | AI最適化 | AI全般への対応 | 無し |
技術仕様がある行は1行だけです。残りの4つは、同じ現象への呼び名の候補です。サリバン氏がLMNOPOという造語を出したのは、この状況を一言で表すためでした。
実務では、この4つのどれを名乗るかで作業内容が変わることはありません。変わるのは提案書の表紙だけです。もし提案を受けていて、GEOとLLMOで作業が違うと説明されたなら、具体的にどの作業が違うのかを1つ挙げてもらってください。それが答えになります。
LLMO対策という名前で、実際に何が売られているか
言葉の定義よりも、実務では中身のほうが役に立ちます。LLMO対策として提示される作業を、内容ごとに並べてみます。日本語で提供されているものを見ていくと、おおむね4つの型に収まります。
| 作業の型 | 中身 | 従来のSEOとの違い | この記事での扱い |
|---|---|---|---|
| ファイルの設置 | AI向けの案内ファイルを置く | 新しい作業 | Googleが使っていないと明言 |
| 記述の追加 | AI向けの構造化データを足す | 新しい作業 | 必須ではないとGoogleが明言 |
| 文章の整形 | 質問と答えの形に整える | 従来からある作業 | 第2の門で効く |
| 記事の制作 | 検索需要のある言葉で書く | 従来からある作業 | 第1の門で効く |
4つのうち、新しい作業と呼べるのは上の2行だけです。そしてその2行が、Googleの公式ドキュメントで不要と書かれている部分と一致します。新しい部分は不要とされ、必要な部分は新しくありません。
この構図が、記事の冒頭で書いた結論の中身です。LLMOという名前の技術は要りません。ただし下の2行は効きます。効くところに時間を寄せるために、上の2行を切り落とす。引き算の判断としては、これだけです。
LLMOとSEOの違いを聞かれたときの答え方
「LLMOとSEOは何が違うのか」という質問には、正確な答えが1つあります。評価される場所が違い、評価する仕組みは共通しています。
SEOが狙うのは、検索結果の一覧に並ぶことでした。LLMOが狙うのは、生成された回答文のなかに情報として溶け込み、出典として名前が挙がることです。表示される場所は違います。
一方で、その回答を作るためにAIが情報を集めてくる仕組みは、検索のランキングそのものです。ここは後の章で、Googleの公式ドキュメントの原文とAhrefsの実測で確かめます。集めてくる段階が共通なので、SEOで負けている状態からLLMOだけ勝つことは起きません。
ここまでを一言にすると、LLMOはSEOの上に乗る階層です。土台を飛ばして2階だけ建てる方法は売られていますが、建ちません。
なぜ今これほど騒がれているのか。日本の数字で見ます
技術としては新しくないのに、言葉としては急速に広がっています。理由は、使う人の数が短期間で変わったからです。日本の数字で見ていきます。
1年で倍以上に増えた生成AIの利用
総務省が2026年7月24日に公表した令和8年版の情報通信白書に、2026年1月から2月にかけての調査結果が載っています。
| 項目 | 今回 | 前回 | 読み取れること |
|---|---|---|---|
| 個人の生成AI利用経験 | 58.8% | 26.7% | 1年で倍以上に増えた |
| 企業で1つ以上の業務に利用 | 86.4% | 55.2% | 企業側はほぼ全社に届いた |
個人の利用経験が1年で26.7%から58.8%へ動きました。過半数を超えたということは、あなたの見込み客の半分以上が、少なくとも一度は生成AIに質問した経験を持っているという意味になります。
企業側はさらに進んでいます。86.4%が1つ以上の業務で使っています。仕入先を探すとき、比較検討の初手で生成AIに聞く担当者が、すでに多数派になったと考えたほうが実態に近いです。
国際比較で見ると日本の位置は低いままです
同じ白書に国際比較が載っています。個人の利用経験で、アメリカとドイツが75.6%、中国が93.6%です。日本の58.8%は主要4か国で最下位です。
| 国 | 個人の利用経験 | 組織的な取組は無いと答えた割合 |
|---|---|---|
| 中国 | 93.6% | 2.6% |
| アメリカ | 75.6% | 1.4% |
| ドイツ | 75.6% | 4.9% |
| 日本 | 58.8% | 27.0% |
右の列のほうが、この記事の読者には効きます。「組織的な取組はない」と答えた割合が、日本は27.0%です。アメリカの1.4%、中国の2.6%、ドイツの4.9%と比べると、桁が違います。
導入率は上がりました。使いこなす体制は追いついていません。この差は、そのまま機会になります。競合の4社に1社が組織として動けていないなら、動いた側に取り分が寄ります。ただしその動きは、道具の導入では起きません。誰が何を書くかを決めるところで起きます。
検索の入口としての利用は37.0%まで来ました
サイバーエージェントのGEOラボが、2026年2月6日から7日にかけて9,278名を対象に調べた結果があります。検索行動のなかで生成AIを使う人の割合は37.0%でした。
| 調査時点 | 検索行動で生成AIを使う割合 | 前回からの変化 |
|---|---|---|
| 2025年5月 | 21.3% | — |
| 2025年10月 | 31.1% | 9.8ポイント増 |
| 2026年2月 | 37.0% | 5.9ポイント増 |
年代別の内訳に、見落とされがちな点があります。20代で初めて過半数を超えました。ここまでは想像がつきます。ただ、伸び幅がいちばん大きかったのは50代で7.7ポイント、次いで40代の6.7ポイント、その次が20代の6.6ポイントでした。
つまり、若い人だけの現象として片づけられません。決裁権を持つ年代がいちばん速く移っています。BtoBで単価の高い商材を扱っているなら、この行はそのまま自社の見込み客の行動変化です。
クリックされない検索が増えています
Similarwebの調査によると、AIによる概要の導入から1年で、検索したあとどのサイトにも行かずに終わる検索の割合が56%から69%へ動きました。
13ポイントの差は、検索からの流入で商売をしている側から見ると重い数字です。同じ順位を保っていても、届く人数が減ります。ここが、対策商品が売れる土壌になっています。減った流入を取り戻す手段として、新しい名前の対策が提示される。話としてはよくできています。
ただ、この記事で見ていく通り、減った分を取り戻す道具は存在しません。存在するのは、もともとやるべきだったことを、やっていたかどうかの差だけです。
BtoBの検討行動で、変化が出ている場所
ここまでの数字は、消費者側の行動として語られることが多いものです。BtoBの現場に引き寄せると、変化が出ている場所はもう少し限定されます。
| 検討の段階 | これまでの動き | いま起きていること | 自社への影響 |
|---|---|---|---|
| 課題を言葉にする | 検索して用語を調べる | 生成AIに状況を説明して整理させる | 大きい |
| 候補を洗い出す | 検索上位から数社を選ぶ | 条件を投げて候補を挙げさせる | 大きい |
| 候補を比較する | 各社のサイトを開いて読む | サイトを開く動きは残っている | 小さい |
| 問い合わせる | フォームから送る | 変わっていない | 無い |
変化が集中しているのは、上の2行です。候補として名前が挙がる段階が、検索結果の一覧から回答文のなかへ移りました。下の2行は変わっていません。候補に入りさえすれば、そこから先は従来通り自社サイトの出来で決まります。
この構造は、実務での優先順位を決めやすくします。名前が挙がる段階に効くのが、この記事で扱う書き方の話です。挙がった後に効くのは、サイトの分かりやすさと、問い合わせまでの導線です。片方だけを整えても、成果は出ません。AI検索での露出を増やしても、着地したページで迷わせれば、そこで終わります。
AIに引用されるまでには門が2つあります。ここを混同すると迷います
ここからが本題です。LLMOをめぐる説明が噛み合わない原因は、たいてい1か所にあります。AIがあなたのページを引用するまでには、性質のまったく違う門が2つあります。この2つを1つの箱として扱うと、正しい話と間違った話が同時に成立してしまいます。
第1の門と第2の門
生成AIが質問に答えるとき、内部では2つの工程が走ります。
最初の工程は、答えを組み立てる材料を集める作業です。質問に関係のありそうなページを、検索の仕組みを使って何本か引っ張ってきます。ここを第1の門と呼びます。呼び名としては、材料を取ってくるという意味の検索工程です。
次の工程は、集めてきた材料のなかから、実際に答えの文章へ採用する部分を選ぶ作業です。5本引っ張ってきても、回答文に反映されるのはそのうち2本かもしれません。ここを第2の門と呼びます。取り込みの工程です。
| 門 | そこで起きていること | そこで効くもの | 混同すると起きること |
|---|---|---|---|
| 第1の門(拾われる) | AIが答えの材料になる候補を集める | 従来のSEO。近道は無い | 候補に入っていないのに書き方だけ直し続ける |
| 第2の門(引用される) | 集めた候補から実際に採用する | 書き方。引用・統計・出典 | 順位さえ上げれば引用されると思い込む |
Googleが「これまで通りで良い」と言っているのは、第1の門についてです。学術研究が「書き方で効果がある」と示しているのは、第2の門についてです。どちらも正しく、対象が違います。この記事の冒頭で書いた「新しい技術は要らない。ただし書き方は効く」は、この構造をそのまま言い換えたものです。
第1の門で落ちている会社に、第2の門の話をしても届きません
LLMO対策として売られている作業の大半は、第2の門を対象にしています。文章の書き方を整える。出典を明記する。質問と答えの形にする。どれも第2の門では意味を持ちます。
ところが中小企業のサイトは、その手前で落ちていることがほとんどです。そもそも検索の候補に入っていません。候補に入っていないページをいくら磨いても、選ばれる場面が来ません。決勝の走り方を練習している人が、予選のエントリーをしていないような状態です。
私たちが検証で測った数字も、まさにこの形でした。言いたいことから言葉を選んだ側では、450本のうち直近28日で検索結果に出たのは97本です。353本は、そもそも候補に上がる場面が1度も無かった。この状態で書き方の話をしても、変わるものはありません。詳しくは後の章で数字ごと出します。
自社がどちらの門で落ちているかを見分ける方法
見分け方は簡単です。Search Consoleを開いて、対象のキーワードでの表示回数を見てください。
| 表示回数と順位 | 落ちている門 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|---|
| 表示回数がほぼ0 | 第1の門 | 候補にすら入っていない | キーワードの需要から見直す |
| 表示はあるが順位が20位より下 | 第1の門 | 候補の外側にいる | 内容の厚みと網羅性を上げる |
| 10位以内で表示も出ている | 第2の門 | 候補には入っている | 引用・統計・出典の書き方を整える |
| 10位以内で表示も多く引用もされる | どちらも通過 | すでに機能している | 触りすぎない。次の章で理由を書きます |
この表の4行目に、この記事でいちばん実務に効く話が入っています。すでに上位を取っているページは、書き方を足すと下がる場合があります。これは学術研究で実測された現象で、後の章で数字を出します。
2つの門に分けると、受けた提案の中身が見えます
この分け方の実用的な使いどころは、提案を受けたときです。提案書に並んでいる作業を、2つの門のどちらに効くかで仕分けしてみてください。
| 提案されがちな作業 | 効く門 | その作業の前提 | 前提が崩れているとどうなるか |
|---|---|---|---|
| llms.txtの設置 | どちらにも効かない | AI側が読みに来ること | 読まれず何も起きない |
| 質問と答えの形に整える | 第2の門 | 候補に入っていること | 選ばれる場面が来ない |
| 出典と引用を書き足す | 第2の門 | 候補に入っていること | 選ばれる場面が来ない |
| 検索需要のある言葉で書く | 第1の門 | 特に無い | — |
4行のうち3行に、同じ前提が入っています。候補に入っていることが条件になっている作業が、提案の大半を占めます。この前提が満たされているかどうかは、提案を受ける側にしか確かめられません。Search Consoleを開けば10分で分かります。
提案を受ける前に、自社の表示回数を1度見ておいてください。表示が出ていないなら、第2の門を対象にした提案は、いま買うべきものではありません。順番が来ていないだけで、内容が間違っているわけでもありません。順番を守るだけで、費やす時間の効き方が変わります。
その従来のSEOが何を指すのかは、SEO対策とは何かを1文で言うとで扱っています。
第1の門は従来のSEOそのものです。Googleの原文で確かめます
第1の門に新しい技術が要るのかどうか。ここはGoogle自身が公式ドキュメントに書いています。推測を挟まずに原文を読みます。
AIによる概要の回答はどう作られているか
Googleが公開している検索向けの公式ドキュメントのうち、AI向けの最適化ガイドに、生成AIの回答が作られる仕組みが書かれています。
Retrieval-augmented generation (RAG): A technique (also known as grounding) used to improve the quality, accuracy, and freshness of AI responses by relying on our core Search ranking systems to retrieve relevant, up-to-date web pages from our Search index.
訳すとこうなります。「検索拡張生成は、グラウンディングとも呼ばれ、コアとなる検索のランキングシステムに依拠して、検索インデックスから関連する最新のページを取得することで、AIの回答の品質・正確さ・鮮度を高める技術です。」
読むべきは1か所です。「コアとなる検索のランキングシステムに依拠して」と書かれています。生成AI専用の別枠の仕組みが動いているという記述は、ここにありません。動いているのは、これまでのランキングです。
ここから導かれる結論は、身も蓋もありません。第1の門を通る方法は、検索で上位に入ることです。それ以外の入口は、Googleの公式ドキュメントに書かれていません。
引用されたリンクの76%は自然検索のトップ10でした
公式ドキュメントの記述が実際の挙動と一致しているかは、外から測れます。Ahrefsが、AIによる概要に表示された引用リンク190万件を分析しています。
| 測ったもの | 結果 | 意味すること |
|---|---|---|
| 引用されたリンクのうち自然検索トップ10にあったもの | 76% | 4本のうち3本は検索上位から選ばれている |
| 引用されたリンクの検索順位の中央値 | 2位 | 典型的な引用元は検索でも上位 |
4本に3本です。引用の入口は、実測でも従来の検索順位でした。Googleが公式に書いていることと、外部が190万件を測った結果が一致しています。ここは疑う余地がほとんどありません。
残りの24%が気になるかもしれません。ここには、検索では11位より下にいるページが引用された場面が含まれます。次の章で扱う「書き方」が効くのは、まさにこの領域です。ただし全体の4分の1です。ここだけを狙って土台を捨てる判断は、割に合いません。
残りの24%に何があるのか
引用リンクの76%が自然検索のトップ10だったということは、24%はそこから外れていたということです。この24%の中身が、書き方の効き目が現れる領域になります。
ここに入るのは、検索では11位より下にいながら、回答の材料としては採用されたページです。研究で示された順位ごとの反転と、方向が一致します。5位のサイトで115.1%という数字は、まさにこの層で起きている現象です。
実務での読み方はこうなります。トップ10に入っていれば、引用される確率は高い。入っていなくても、書き方次第で4分の1の枠に滑り込む余地はある。ただしその余地は4分の1で、そこだけを狙って土台を捨てる判断は割に合いません。順番としては、トップ10を取りにいくほうが先です。
もう1つ、この24%を狙うときに気をつける点があります。順位が低い状態で書き方だけを整えると、生成AIの回答には出るのに、自社サイトへの訪問は増えないという形になりやすいです。回答文のなかで情報が使われても、読んだ人がそこで満足すれば、クリックは起きません。露出と訪問は別々に数える必要があります。自社名や自社サービス名での検索が増えているかを、同時に見てください。
Googleが「何をすべきか」として挙げた1行
同じガイドには、では何をすればいいのかも書かれています。
Create valuable, non-commodity content for your audience. Creating content that people find unique, compelling, and useful will likely influence your website’s presence in generative AI search in the long run more than any of the other suggestions in this guide.
訳すとこうなります。「読者にとって価値のある、ありふれていないコンテンツを作ること。人が独自で、引き込まれ、役に立つと感じるコンテンツを作ることが、このガイドの他のどの提案よりも、長期的には生成AI検索での存在感に影響するでしょう。」
注目したいのは「このガイドの他のどの提案よりも」という部分です。Googleは自分で書いた技術的な提案を並べたうえで、そのどれよりもコンテンツの質が効くと明言しています。これは謙遜の言葉として置かれたものではありません。優先順位の指定です。
ありふれていない、という条件も重要です。他社の記事を読んで書き直したものは、この条件を満たしません。自社が持っている一次情報を出すことが、いちばん確実に条件を満たします。売上の数字、施工の記録、失敗した案件、断った仕事の理由。外に出しにくいものほど、ありふれていません。
第2の門では書き方が効きます。学術研究で測られた9つの施策
ここからが、LLMOという呼び名でしか説明しにくい領域です。第2の門については、査読を通った学術研究が実測しています。
どういう実験だったのか
プリンストン大学、ジョージア工科大学、インド工科大学デリー校などの研究者が、データマイニング分野の国際会議で2024年に発表した論文があります。生成エンジン最適化を扱った研究で、この分野でいちばん引かれている一次情報です。
実験の中身はこうです。1万件の質問からなる検証用のデータを用意し、そこに含まれるページに対して9種類の書き換えを施します。書き換えた後、生成AIの回答のなかでそのページがどれだけ取り上げられたかを測ります。
測定に使われた指標は「位置を加味した語数」です。回答文のなかで、そのページ由来の記述が何語分あり、それが回答のどのあたりに置かれたかを合わせて評価します。冒頭に長く出れば高く、末尾に少し触れられただけなら低くなります。
施策ごとの実測値
論文の表から、9つの施策の実測値を並べます。何も手を加えない状態の値が19.3です。
| 施策 | 実測値 | ベースラインとの差 | 実務での意味 |
|---|---|---|---|
| 引用の追加 | 27.2 | 41.0%増 | 信頼できる情報源の文章を鉤括弧で引く |
| 統計の追加 | 25.2 | 30.6%増 | 曖昧な量の表現を数字に書き換える |
| 流暢さの最適化 | 24.7 | 28.0%増 | 論理の流れと文のつながりを整える |
| 出典の明記 | 24.6 | 27.5%増 | 調査元の名前を本文に文章として書く |
| 専門用語の使用 | 22.7 | 17.6%増 | その分野の語彙を正確に使う |
| 平易な表現 | 22.0 | 14.0%増 | 読みやすさを上げる |
| 断定的な文体 | 21.3 | 10.4%増 | 語尾の曖昧さを減らす |
| 独自の語の使用 | 20.5 | 6.2%増 | 言い回しの重複を避ける |
| キーワードの詰め込み | 17.7 | 8.3%減 | やると下がる |
上位4つを見て、気づくことがあるはずです。引用、統計、出典、そして文章の流れ。どれも道具で解決する項目が1つもありません。買えるものが並んでいません。書けるかどうかだけが並んでいます。
論文自身も、この結果をこうまとめています。
The best methods improve upon baseline by 41% and 28% on Position-Adjusted Word Count and Subjective Impression respectively.
ここで指標名を確認してください。41%という数値は「位置を加味した語数」で測ったときの値です。主観的な印象を測る別の指標では、最良の施策でも28%までしか伸びません。41%という数字だけが単独で引用されている記事を見かけたら、どちらの指標かを確かめる価値があります。
3つの施策を、実際の原稿でどう書くか
効果の高い施策が分かっても、原稿に落とせなければ意味がありません。上位3つについて、書き方を具体的に示します。ここは自社で書く場合も、外に頼む場合も、同じ基準になります。
まず引用です。ここでよくある間違いは、参照した内容を自分の言葉に要約して地の文へ溶かしてしまうことです。要約すると、引用としての形が消えます。鉤括弧を使い、原文のまま引いてください。そのうえで、引用の後ろに、その意味を自分の言葉で1文か2文だけ補います。
| 書き方 | 原稿での見え方 | 引用としての形 |
|---|---|---|
| 要約して溶かす | 公的な調査でも同じ傾向が見られます | 残らない |
| 鉤括弧で原文を引く | 白書には「企業の86.4%が1つ以上の業務で利用している」と書かれています | 残る |
引用の材料は、外部の資料に限りません。自社が現場で聞いた言葉や、自社が測った数字も引用として使えます。これはむしろ強い材料です。他社が持っていないからです。お客様が面談で口にした一言を、そのまま鉤括弧に入れる。この形が使えるのは自社だけです。
次に統計です。ここでの作業は、新しい数字を探してくることではありません。すでに書いた文章のなかにある曖昧な量の表現を、数字に書き換える作業です。原稿を書き終えてから読み返し、量を表す言葉を全部拾って置き換えます。
| 書き換える前 | 書き換えた後 | 数字の出どころ |
|---|---|---|
| 大半の企業が使い始めている | 86.4%の企業が1つ以上の業務で使っている | 総務省の情報通信白書 |
| ここ数年で増えている | 1年で26.7%から58.8%へ増えた | 同じ白書の前回調査との比較 |
| 若い世代を中心に広がっている | 20代で初めて過半数を超えた | サイバーエージェントの調査 |
| クリックされにくくなっている | どこにも行かない検索が56%から69%へ動いた | Similarwebの調査 |
左の列に並んでいるのは、書き手にとって書きやすい表現です。書きやすい代わりに、読んだ人の頭に何も残りません。右に移す作業には調べる手間がかかります。その手間の分だけ、他社の記事と差がつきます。
3つ目は出典です。ここでいちばん誤解されているのは、リンクを貼れば出典になるという理解です。論文の実験で生成エンジンに渡されたのは、質問と、5本分の文章だけでした。リンクは渡っていません。実装コードのなかでも、出典は研究論文のような書式を避け、言い換えた自然な言葉で書くよう指定されています。
| 書き方 | 原稿での見え方 | AIに伝わるか |
|---|---|---|
| 末尾にリンクを並べる | 参考資料の一覧として最後にまとめる | 伝わりにくい |
| 名前を本文に書く | 総務省が2026年7月に公表した情報通信白書によると | 伝わる |
出典として名前を出してよい相手は限られます。公的機関、学術論文、公式ドキュメント、業界団体、一次情報を持つ調査機関、そして自社の実測です。同業他社の名前は出しません。出典として書いた瞬間に、読んだ人をそちらへ送る導線になります。
キーワードの詰め込みは、やると下がります
表のいちばん下の行に、実務で効く警告が入っています。キーワードの詰め込みは、ベースラインを8.3%下回りました。9つの施策のなかで、唯一マイナスに振れた項目です。
論文は、別の生成AIサービスでの実地検証でも同じ傾向を確認しています。
Our observations, such as the ineffectiveness of traditional SEO methods like Keyword Stuffing, are further highlighted, as it performs 10% worse than the baseline.
訳すと「キーワードの詰め込みのような従来型の手法が効かないという我々の観察は、ベースラインより10%悪い結果となったことでさらに際立った」となります。実験環境では8.3%減、実地では10%減です。方向は一致しています。
LLMO対策を名乗る施策のなかに、対策キーワードを本文へ機械的に埋め込む作業が含まれていることがあります。表の最下行が、その作業への回答です。埋め込んだ分だけ下がります。
ただし、その41%という数値は捏造された材料で測られています
前の章の表は、日本語のLLMO解説記事でも広く引かれています。引用の追加で41%、統計の追加で30.6%、出典の明記で27.5%。この3つを並べて「だからこうしましょう」と続く構成が定番になっています。
その3つの施策が、実験のなかで具体的にどう実行されたのか。ここを確かめた記事を、私たちは日本語で1本も見つけられませんでした。論文の著者らは実装コードを公開しています。読めます。読むと、前提が変わります。
実装コードに書かれていた指示
公開されている実装のなかに、書き換えを生成AIに指示するための文章がそのまま入っています。3つの高効果施策について、原文を順に引きます。
まず、出典の明記です。効果は27.5%増と測られた施策です。
Revise the following source to include citations from credible sources. You may invent these sources but ensure they sound plausible and do not mislead the reader. Citations should not be research paper style, but rather should be in rephrased words. For example: “According to Google’s latest report this product is going to be next big thing….”
訳します。「以下の文章を、信頼できる情報源からの出典を含むように書き直しなさい。これらの情報源はあなたが創作して構いません。ただしもっともらしく聞こえ、読者を誤解させないようにしなさい。出典は研究論文のような書式にせず、言い換えた言葉で書きなさい。例:Googleの最新のレポートによると、この製品は次の大きな流れになるとのことです……」
次に、引用の追加です。9施策のなかで最も効果が高い、41.0%増と測られた施策です。
Add more quotes in the source, even though fake and artificial. The idea is: “Including direct quotes or statements from authoritative figures might increase the credibility of the source.”
訳します。「文章にもっと引用を加えなさい。たとえそれが偽物で人工的なものであっても。考え方はこうです。権威ある人物の直接の引用や発言を含めることで、その文章の信頼性が上がるかもしれない。」
3つ目は、統計の追加です。30.6%増と測られた施策です。
Add positive, compelling statistics (even if hypothetical) at multiple relevant places in the text.
訳します。「前向きで説得力のある統計を、たとえそれが仮定のものであっても、文章のなかの関連する複数の箇所に加えなさい。」
この事実が意味していること
3つの施策は、いずれも実在しない材料を足すことで効果を測られています。存在しない調査、発言していない人物の引用、根拠のない数字。それを足したページが、生成AIの回答でより多く取り上げられました。
ここから読み取れることは1つです。AIが反応しているのは形式であって、中身の真偽ではありません。引用符が付いているか。数字が入っているか。出典らしき名前が書かれているか。その形を検出して評価を上げています。
| 施策 | 実験で足されたもの | 測られた効果 | 実務に落とすときの扱い |
|---|---|---|---|
| 引用の追加 | 偽物と明記された引用 | 41.0%増 | 形式は真似る。中身は実在の引用にする |
| 統計の追加 | 仮定でよいとされた数字 | 30.6%増 | 形式は真似る。数字は一次情報から取る |
| 出典の明記 | 創作してよいとされた出典 | 27.5%増 | 形式は真似る。出典は実在するものだけ |
この表の右の列が、この記事でいちばん実務的な部分です。捏造で測られた効果だからといって、施策そのものを捨てる必要はありません。効いているのが形式なら、中身が本物でも同じ形式は作れます。本物の引用、本物の統計、本物の出典で、同じ形を満たせばいい。
むしろ、そのほうが強くなります。形式だけを満たした文章は、読んだ人間に見抜かれます。生成AIの評価だけを取って、読んだ経営者に「中身が無い」と思われたら、問い合わせは来ません。AI検索での露出は入口であって、出口は人間です。
私たちが捏造をしない理由
正直に書くと、この章の内容は自社にとって不利です。私たちが記事の制作を請け負っている以上、「41%改善する手法があります」とだけ言っておくほうが、話は簡単に進みます。実装コードの中身は、こちらから言わなければ誰も確かめません。
それでも書くのは、確かめる側に立っているかどうかが、この仕事の質を決めるからです。一次情報に当たる会社かどうかは、不都合な一次情報をどう扱うかで分かります。都合のいい部分だけを引いて残りを伏せる態度は、そのまま納品物の質に出ます。
実務としての線引きは単純です。裏が取れた引用だけを鉤括弧で引く。裏が取れない話は、引用の形をやめて地の文で書く。数字は一次情報の名前を添えて書き、添えられないなら書かない。この記事も、その線引きで書いています。ここに出てくる数値は、すべて出典の名前が本文に入っています。
効果は検索順位によって符号が反転します
同じ論文には、日本語の解説記事でほとんど触れられていない表がもう1つあります。施策の効果を、元のページの検索順位ごとに分けて測った表です。
1位のページでは下がりました
論文の記述を引きます。
the Cite Sources method led to a substantial 115.1% increase in visibility for websites ranked fifth in SERP, while on average, the visibility of the top-ranked website decreased by 30.3%.
訳します。「出典を明記する手法は、検索結果で5位にあるサイトの可視性を115.1%も押し上げた。一方で平均すると、1位のサイトの可視性は30.3%下がった。」
同じ施策で、上がる側と下がる側に分かれます。数字で並べます。
| 施策 | 検索1位のページ | 検索5位のページ | 差の向き |
|---|---|---|---|
| 出典の明示 | 30.3%減 | 115.1%増 | 反転する |
| 引用の追加 | 22.9%減 | 99.7%増 | 反転する |
| 統計の追加 | 20.6%減 | 97.9%増 | 反転する |
3つとも符号が反転しています。偶然の振れ幅として片づけられる形をしていません。論文自身も、この結果に注釈を付けています。
GEO is especially helpful for lower ranked websites.
「生成エンジン最適化は、順位の低いサイトにとってとりわけ有効である」という一文です。論文はこれを、情報空間の民主化という文脈で肯定的に位置づけています。上位の独占を崩す方向に働くという読み方です。
なぜ上位のページでは下がるのか
論文は原因の断定を避けています。ここから先は推論になるので、断定の形では書きません。ただ、考えられる筋道は説明できます。
すでに1位にあるページは、その質問に対する答えとして、AIから見て十分に整っている状態です。そこへ出典や引用を足すと、文章の密度が変わります。1つの段落に入る情報の種類が増え、質問への直接の答えが相対的に薄まります。回答を組み立てる側から見ると、引きたい部分が探しにくくなる。この方向の説明が、いまのところ最も筋が通ります。
もう1つの見方は、飽和です。上位のページはすでに引用される機会を取り切っていて、そこから伸びる余地が小さい。一方で施策には副作用があり、伸びしろが小さい側では副作用のほうが大きく出る。この見方も成り立ちます。
どちらにせよ、実務で必要な判断は同じです。自分がどちら側にいるかを先に確かめてから手を入れる。これに尽きます。
実務での判断の分け方
この現象を、そのまま作業手順に落とします。
| いまの状態 | 引用・統計・出典の追加 | 理由 | 先にやること |
|---|---|---|---|
| 新しく記事を書く | 全部やる | 下がる元の位置が無い | そのまま書く |
| 対策キーワードで4位より下 | やる | 反転の上がる側にいる | 順位を確かめてから着手 |
| 対策キーワードで3位以内 | いったん止める | 下がる側に入る可能性がある | 1本だけ試して経過を見る |
| 順位が分からない | 止める | 判断材料が無い | Search Consoleで順位を確かめる |
3位以内のページに手を入れるときは、全記事を一斉に書き換える進め方を避けてください。1本だけ変えて、4週間ほど表示回数とクリックの推移を見る。下がらなければ広げる。この順番なら、失敗しても1本で済みます。
LLMO対策を一括で請け負う提案を受けたときは、この順位の話が含まれているかを確かめる価値があります。全ページに同じ施策を当てる提案は、上位のページを下げる可能性を織り込んでいません。
3位以内のページで試すときの、具体的な手順
止めるとだけ書くと、上位のページは永久に触れないという意味に読まれます。そうではありません。確かめてから広げる、というだけです。手順を書きます。
まず対象を1本だけ選びます。3位以内にあるページのうち、問い合わせへの寄与が最も小さいものを選んでください。仮に下がっても損失が小さい順に試すという考え方です。
次に、書き換える前の数字を記録します。直近28日の表示回数、クリック数、平均掲載順位の3つです。この記録が無いと、後で比較ができません。書き換えてから記録を取り始めると、判断材料が永久に失われます。
| 手順 | やること | 期間 | 次に進む条件 |
|---|---|---|---|
| 1 | 寄与の小さい1本を選ぶ | 当日 | — |
| 2 | 表示とクリックと順位を記録する | 当日 | 3つとも控えた |
| 3 | 引用と統計と出典を書き足す | 当日 | — |
| 4 | そのまま置いて経過を見る | 4週間 | 順位と表示が下がっていない |
| 5 | 同じ層の記事へ広げる | 翌月以降 | 4で下がっていない |
4週間という期間には根拠があります。検索側の評価が落ち着くまでに数週間かかり、それより短い期間で判断すると、通常の変動と施策の影響を切り分けられません。焦って2週間で判断すると、下がっていないものを下がったと読み違えます。
もし下がった場合は、書き換えた箇所を元に戻してください。元に戻せるようにしておくために、書き換える前の本文を必ず控えておきます。控えを取らずに書き換えると、下がったときに戻す先がありません。
4位より下のページについては、この慎重さは要りません。研究で示された反転は、上位にいる場合の話です。5位のサイトでは115.1%伸びています。下位にいるほど、書き方の効果は大きく出ます。
やらなくていいことが3つあります。Googleが公式に書いています
ここまでは、やることの話でした。この章は、やらなくていいことの話です。実務では、こちらのほうが効きます。時間は有限だからです。
llms.txtは要りません
llms.txtは、AI向けにサイトの案内を書いたテキストファイルです。設置すればAIに読まれやすくなるという説明とともに、対策の一環として提案されることがあります。
Googleが公開している検索向けの公式ドキュメントに、この件が明記されています。
LLMS.txt files and other “special” markup: You don’t need to create new machine readable files, AI text files, markup, or Markdown to appear in Google Search (including its generative AI capabilities), as Google Search itself doesn’t use them.
訳します。「Google検索、その生成AI機能も含めて、そこに表示されるために、機械可読ファイル、AI向けのテキストファイル、マークアップ、あるいはマークダウンを新しく作る必要はありません。Google検索自体がそれらを使っていないからです。」
担当者の発言も同じ方向です。Googleのゲイリー・イリェーシュ氏は、2025年7月23日にシンガポールで開かれた技術者向けのイベントで、Googleはllms.txtをサポートしておらず使う予定も無い、AIで評価されるのは通常のSEOだと述べています。同じくGoogleのジョン・ミューラー氏は、この仕組みを、廃れてしまった古いタグになぞらえて「愚かなアイデア」と表現しています。
設置されたファイルの97%は、一度も読まれていませんでした
公式の見解に加えて、実測もあります。Ahrefsが2026年6月に、137,210ドメインのサーバーログを分析した調査を公開しています。
| 測ったもの | 結果 | 意味すること |
|---|---|---|
| llms.txtを設置していたドメイン | 28% | 4社に1社以上が設置していた |
| そのうち一度もリクエストが来なかったファイル | 97% | 置かれたまま読まれていない |
| AI検索系のボットからのアクセス | 全リクエストの約1% | 読みに来ているのはほぼ別のもの |
| SEO監査ツールからのアクセス | 21% | 設置を確認する側の巡回が多い |
設置されたファイルの97%に、一度もリクエストが来ていません。読まれていないファイルは、置いても置かなくても結果が変わりません。設置を勧められたときは、この数字を確かめてください。
ここで誤解のないように付け加えます。llms.txtを置くこと自体に害はありません。害があるのは、置いたことで対策が済んだと思い、本来やるべき1つに手が回らなくなることです。作業の時間は有限で、置き換えられた時間は戻りません。
AI専用の構造化データも、細切れにする作業も要りません
残る2つも、同じドキュメントに書かれています。まず構造化データです。
Overfocusing on structured data: Structured data isn’t required for generative AI search, and there’s no special schema.org markup you need to add. However, it’s a good idea to continue using it as part of your overall SEO strategy, as it helps with being eligible for rich results on Google Search.
訳します。「構造化データへの過度な注力について。構造化データは生成AI検索に必須ではありません。追加すべき特別なマークアップも存在しません。ただしGoogle検索のリッチリザルトの対象になる助けにはなるので、SEO全体の一部として使い続けるのはよい考えです。」
後半に注意してください。構造化データそのものは有効です。検索結果の見た目に効きます。要らないのは、AI向けだからという理由で追加される特別なマークアップです。すでに入れているものを外す必要はありません。
3つ目は、文章を細かく区切る作業です。
“Chunking” content: There’s no requirement to break your content into tiny pieces for AI to better understand it. Google systems are able to understand the nuance of multiple topics on a page and show the relevant piece to users.
訳します。「コンテンツの細分化について。AIに理解させるためにコンテンツを細切れにする必要はありません。Googleのシステムは1ページ内の複数の話題のニュアンスを理解し、関連する箇所をユーザーに示せます。」
1ページ1テーマまで解体して記事を量産する提案がありますが、この文章がその根拠を否定しています。1ページに複数の話題があっても、Googleは必要な箇所だけを取り出せます。むしろ細分化した結果、どのページも内容が薄くなり、第1の門で落ちる側に回ることのほうが起きやすいです。
なぜ、要らないものが対策として売られるのか
Googleが公式に不要と書いているものが、それでも対策として提案され続けています。売る側が不誠実だから、という説明で終わらせると、判断を誤ります。構造の問題だからです。
提案を作る側から見ると、llms.txtの設置には都合のいい性質が3つそろっています。作業として定義できること、着手した証拠が残ること、そして完了を報告できることです。ファイルを置けば終わります。置いたかどうかは確かめられます。
一方で、Googleが最優先だと書いた「価値のある、ありふれていないコンテンツを作る」という作業には、この3つがありません。どこまでやれば完了なのかが決まらず、着手した証拠も残りにくく、成果が出るまでに時間がかかります。売りやすさと、効きやすさが逆を向いています。
| 作業 | 完了が定義できるか | 成果が出るまで | 売りやすさ |
|---|---|---|---|
| llms.txtの設置 | できる | 即日 | 高い |
| 構造化データの追加 | できる | 即日 | 高い |
| キーワードの選び直し | しにくい | 数か月 | 低い |
| 一次情報を出す記事を書く | しにくい | 数か月 | 低い |
この表を頭に入れておくと、提案書の読み方が変わります。上の2行だけで構成された提案は、効きやすさの順に並んでいません。売りやすさの順に並んでいます。
判断の仕方はひとつです。提案されている作業のうち、下の2行に当たるものが含まれているかを確かめてください。含まれていれば、時間はかかっても方向は合っています。上の2行だけなら、その提案で動くのは作業報告書だけです。
この判断を先送りにすると、作業だけが積み上がります。llms.txtを置き、構造化データを足し、記事を細分化し、それでも表示回数が動かない。そこで初めてキーワードの話に戻ってくる。私たちが2年かけて通った道がこれでした。順序を逆にするだけで、同じ時間の効き方が変わります。先に確かめるのは、誰かがその言葉を検索しているかどうかです。
やることとやらないことを1枚にまとめます
| 作業 | やるかどうか | 根拠 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 読者にとって価値のある文章を書く | やる | Googleが他のどの提案よりも効くと明記 | 最優先 |
| 実在する引用と統計と出典を本文に書く | やる | 学術研究で実測。ただし順位で判断 | 高い |
| 検索需要のある言葉を選ぶ | やる | 候補に入らなければ何も起きない | 高い |
| llms.txtの設置 | やらない | Googleが使っていないと明記。97%が未読 | 不要 |
| AI専用の構造化データ | やらない | 必須ではないとGoogleが明記 | 不要 |
| 本文を細切れにする | やらない | その必要は無いとGoogleが明記 | 不要 |
下の3行に共通しているのは、足す作業だという点です。上の3行に共通しているのは、決めて絞る作業だという点です。売りやすいのは下の3行で、効くのは上の3行です。この構図を頭に入れておくと、提案を受けたときの判断が速くなります。
自社サイトを整えるだけでは足りません。不都合な事実を先に書きます
ここまでは、自社サイトで何をするかの話でした。この章では、自社サイトの外で起きていることを扱います。書いていて気持ちのいい内容ではありません。記事の制作を請け負っている立場からすると、記事を書けば解決すると言い切れたほうが商売はしやすいからです。
それでも書くのは、ここを伏せたまま進めると、費やした時間が結果に結びつかないまま終わるからです。
AIによる概要での可視性と相関が強かったシグナル
Ahrefsが75,000のブランドを対象に、AIによる概要での可視性と各種シグナルの相関を測った調査があります。順位相関の係数で並んでいます。
| シグナル | 相関係数 | そのシグナルがある場所 | 自社だけで動かせるか |
|---|---|---|---|
| YouTubeでの言及 | 0.737 | 自社サイトの外 | 動かしにくい |
| 外部サイトでのブランド言及 | 0.664 | 自社サイトの外 | 動かしにくい |
| ブランド名のアンカーテキスト | 0.527 | 自社サイトの外 | 動かしにくい |
| ブランド名の検索ボリューム | 0.392 | 検索する人の頭のなか | 動かしにくい |
| 被リンク | 0.218 | 自社サイトの外 | 動かしにくい |
上位3つは、すべて自社サイトの外にあるシグナルです。自分のページの中身をどれだけ整えても、この3つは直接には動きません。動くのは、外の誰かが自社について書いたり話したりしたときです。
被リンクが0.218と最も低い点も、実務では意味を持ちます。リンクを集める作業に予算を寄せている場合、その優先順位を見直す材料になります。
生成AIが参照していたものの84%は第三者が書いたものでした
Muck Rackが2026年5月に公開した調査があります。主要な対話型の生成AI3種類の回答を対象に、2,500万件のリンクを17業種にわたって分析したものです。
| 出所 | 割合 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 第三者に取り上げられた情報 | 84% | 参照の大半は自社発信の外にある |
| うち報道機関 | 25%から27% | 報道された情報の比重が大きい |
| 有料ではない情報源すべて | 約94% | 費用をかけた掲載は届いていない |
| 有料の掲載と記事広告 | 0.3% | ほぼ参照されていない |
84%という数字は、2025年7月からの3版を通じて82%から89%の範囲で安定しています。1回きりの測定で出た値ではありません。
もう1つ、右下の0.3%も見てください。費用を払って掲載した記事は、生成AIの参照元としてほぼ機能していません。露出を買う形の施策を検討しているなら、この数字は判断材料になります。
相関は因果ではありません。ここを踏み外すと逆効果になります
ここまでの数字を読んで、外部での言及を増やす作業に飛びつきたくなるかもしれません。ここで足を止める必要があります。理由が2つあります。
1つ目は、示されているのが相関だという点です。外部で言及されているブランドが、AI検索でも見つかりやすい。この関係は測られています。ただし、言及を増やせば可視性が上がるという因果は、この調査からは出てきません。よく知られているブランドだから、外部でも言及され、AIにも参照される。この向きで説明しても、同じ数字になります。
2つ目は、Googleが釘を刺している点です。公式ドキュメントにこう書かれています。
However, seeking inauthentic “mentions” across the web isn’t as helpful as it might seem. Our core ranking systems focus on high-quality content while other systems block spam; our generative AI features depend on both.
訳します。「ただし、ウェブ上で不自然な言及を求めることは、見た目ほど役に立ちません。コアのランキングシステムは高品質なコンテンツに焦点を当て、別のシステムがスパムを遮断します。生成AI機能はその両方に依拠しています。」
言及を増やす作業を業務として発注すると、たいてい不自然な形になります。同じ文面が複数の場所に置かれる。関係の薄いサイトに紹介記事が並ぶ。この形はスパムを遮断する側の仕組みに拾われます。
では中小企業は何をすればいいのか
外部で言及される状態は、買うと不自然になり、待つと動きません。現実的な道は、言及される理由を自分で作ることです。
報道機関に取り上げられる情報には、共通の形があります。数字が入っていること、その数字を出しているのが当事者であること、そして外に出ている例が少ないことです。業界の平均値を引用した資料は取り上げられません。自社が実際に測った数字は取り上げられます。
この記事の次の章が、まさにその例です。私たちは、伸びなかった側の数字も持っています。その数字をそのまま公開します。伸びた側だけを出すより、外に出ている例が少ないという条件を満たします。取り上げられるとしたら、うまくいった話よりも、この種の数字のほうです。
言及される理由を、自分で作る方法
外部での言及が効くという話は、そのままでは行動に落ちません。落とせる形にします。取材されたり引用されたりする情報には、共通する条件が3つあります。
| 条件 | 満たしている情報 | 満たしていない情報 | 自社で作れるか |
|---|---|---|---|
| 数字が入っている | 自社で測った実測値 | 業界の一般論 | 作れる |
| 出しているのが当事者 | 自社の運用記録 | 他社の調査の引き写し | 作れる |
| 外に出ている例が少ない | 伸びなかった側の数字や断った理由 | 成功事例の紹介 | 作れる |
3つとも、自社で作れる側に入ります。費用をかけて掲載を買う必要はありません。実際、生成AIが参照していたもののうち、有料の掲載と記事広告は0.3%でした。買った露出は、参照元としてほぼ機能していません。
いちばん出しにくいのは3行目です。うまくいった話は出しやすく、伸びなかった側の数字は出しにくい。ただ、外に出ている例が少ないという条件を確実に満たすのは、後者のほうです。同業10社が同じ成功事例を並べているとき、伸びなかった側まで出した1社だけが違って見えます。
もう1つ、実務上の注意があります。言及を増やす目的で外部に文章を配って回る動きは、避けてください。Googleは不自然な言及を求めることについて、見た目ほど役に立たないと明言しています。作るのは言及そのものではありません。言及される理由のほうです。
私たちが3つのドメインで測った、生の数字を出します
LLMO対策のやり方を書いている会社は、日本語だけで9社以上あります。書かれている内容は、この記事で扱ってきた材料とおおむね重なります。
その一方で、自分のサイトで実際に何が起きたかを数字で出している会社を、私たちは見つけられませんでした。理由は想像がつきます。片方だけを運用していると、比べる相手がそもそもいないためです。ここでは出します。2026年8月20日時点の実測です。
3つのドメインで、狙う言葉の選び方だけを変えました
合同会社謙虚は、3つのドメインを検証のために並行して運用しています。書いているのは同じ人間で、記事の作り方も公開の頻度も同じです。変えているのは、狙う言葉をどう選ぶかだけです。直近28日の実測を並べます。
| 直近28日の実測 | 言いたいことから選んだ側 | 検索されている言葉から選んだ側 |
|---|---|---|
| 公開している記事 | 450本 | 653本 |
| 検索結果に1度でも出た記事 | 97本(21.6%) | 大半 |
| 10位以内に入った記事 | 43本 | 157本 |
| 10位以内1本あたりの表示回数 | 2.0回 | 46.2回 |
| 10位以内のクリック率 | 4.7% | 正常な範囲 |
差は23倍でした。両方とも順位は取れていて、クリック率も正常です。違ったのは、その順位が何回画面に出たかだけです。言いたいことから選んだ側は、1位を取っていても月に2回しか表示されていませんでした。
この状態を前にして、最初に考えたのは記事の質でした。次に考えたのは本数です。どちらも間違いでした。原因は別のところにありました。
順位は取れていました。表示だけが無かった
順位の分布を見たときに、話が変わりました。
| 掲載順位 | 記事数 | 状態の読み取り |
|---|---|---|
| 1位から10位 | 43本 | 第1の門は通っている |
| 11位から20位 | 15本 | あと少しの位置にいる |
| 21位から50位 | 14本 | 候補の外側 |
| 51位より下 | 25本 | 実質的に見られていない |
言いたいことから選んだ側にも、10位以内が43本あります。順位は取れていました。10位以内に限ったクリック率は4.7%で、この水準は正常です。詰まっていたのは、順位でもクリック率でもありませんでした。
問題は表示回数でした。10位以内を43本取っているのに、1本あたりの表示は28日で2.0回です。1位を取っても、月に2回しか画面に出ません。
つまり、書いた記事の質でも本数でもありませんでした。誰も検索していない言葉で1位を取っていた。これが答えでした。第1の門の手前、キーワードを選ぶ段階で終わっていたことになります。
3つのドメインを並べると、差がはっきりします
私たちは3つのドメインを運用しています。同じ体制で、同じ書き方で作っています。10位以内の記事に絞って、1本あたりの表示回数を並べます。
| ドメイン | 10位以内の記事 | 1本あたりの28日表示 | クリック率 |
|---|---|---|---|
| メイン | 43本 | 2.0回 | 4.7% |
| ニュース | 60本 | 14.5回 | 4.8% |
| サブ | 157本 | 46.2回 | 2.9% |
クリック率は3つとも同じ水準です。書き方に差はありません。差が出ているのは表示回数だけで、メインはサブの23分の1です。同じ人間が同じ手順で書いて、この開きが出ました。違いはキーワードの選び方だけです。
この表を作った日に、記事を書く前の手順を変えました。狙うキーワードについて、検索候補が3件以上あるかを先に確かめる。1件しか出ない言葉では記事を立てず、見出しとして回収する。実際に確かめてみると、上位を取れていた記事のキーワードのなかに、候補が0件のものがいくつもありました。
同じ体制で作ったのに、なぜ23倍の差が出たのか
3つのドメインは、同じ人間が、同じ手順で、同じ品質基準で作っています。それでも1本あたりの表示回数に23倍の開きが出ました。原因を分解します。
| 要素 | メイン | サブ | 差の有無 |
|---|---|---|---|
| 記事の書き方 | 同じ手順 | 同じ手順 | 無い |
| クリック率 | 4.7% | 2.9% | メインのほうが高い |
| 10位以内の本数 | 43本 | 157本 | 本数の差はある |
| 1本あたりの表示 | 2.0回 | 46.2回 | 23倍の差 |
クリック率はメインのほうが高いという点に注目してください。書いたものの出来で言えば、メインのほうが良い数字を出しています。それでも結果が伴っていません。差が出ているのは、その記事が画面に出る回数だけです。
原因は、キーワードを選ぶ段階にありました。メインの記事は、自社の言いたいことから逆算して言葉を決めていました。伝えたい概念に名前を付け、その名前で記事を立てる。書き手としては筋が通っているように見えます。ところがその名前を検索窓に打つ人が、そもそも存在しませんでした。
サブの記事は、検索されている言葉から出発していました。この違いだけで23倍です。記事の質を上げる作業と、届く人数を増やす作業は、別々の作業でした。私たちは前者だけを2年続けていました。
いま手順に組み込んだのは、書き始める前の確認です。狙う言葉を検索窓に打ち、候補が3件以上出るかを見る。0件なら書きません。1件なら独立記事にせず、需要のある記事の見出しとして回収します。この確認に要する時間は、1つの言葉あたり30秒ほどです。この30秒があるかないかで、23倍の差が生まれていました。
主力の流入元がGoogleではなかったドメインもあります
サブドメインを調べたときに、想定していなかった数字が出ました。日本からのアクセスに絞った7日間の内訳です。
| 流入元 | セッション | 平均滞在時間 | 判断 |
|---|---|---|---|
| Bing(パソコン) | 380 | 167秒 | 主力の流入元 |
| Google(パソコンと携帯の合計) | 184 | 168秒と73秒 | 2番手 |
Bingが2倍あります。最初はボットによる水増しを疑いました。ただ、滞在時間がGoogleのパソコン経由とほぼ同じ167秒です。機械的な巡回なら滞在時間はここまで伸びません。別の行動計測ツールでも独立して同じ規模の数字が出ており、一致しました。
記事単位で見ると、生成AIの使い方を扱った記事でBingがGoogleの6倍から7倍になっていました。ここは推測を含みますが、AI検索の裏側で使われている検索インデックスとの関係が疑われます。いずれにせよ、Search Consoleだけを見ていた期間、この流入は視界に入っていませんでした。
156本の記事の場所を、そもそも伝えられていませんでした
ニュースドメインでは、別の形の詰まりが見つかりました。クローラー向けの案内ファイルが指しているサイトマップの場所が、404を返していました。
結果として、156本の記事について、その存在をGoogleに伝える手段が無い状態でした。原因は、子テーマの設定ファイルに残っていた記述です。サイトマップを生成する仕組みを導入して解決しました。
この種の不具合は、記事を書く作業の外側にあります。書いても書いても伸びないと感じているとき、原因が本文の側にあるとは限りません。まず配管を確かめる。順序としてはそちらが先です。
0という数字には2つの意味があります
最後にもう1つ、性質の違う詰まりを書きます。毎朝の日報が、アフィリエイトのクリック数を0人と出し続けていました。半年近く0が並んでいたので、この導線は機能していないと判断していました。
調べると、リンクに計測の記述が1行も入っておらず、押されても記録されない状態でした。0はクリックが無かったことを示していませんでした。観測する手段が無かったことを示していました。
さらに調べると、653本の記事のうち508本には、そもそもリンクが1本も入っていませんでした。流入の多い上位30本に絞っても、28本にリンクがありませんでした。
| 確かめた項目 | 実測 | 0の正体 | 先にやるべきだったこと |
|---|---|---|---|
| クリックの計測 | 記述が0行 | 観測手段が無い | 手動で1回押して記録を確かめる |
| リンクの設置 | 653本中508本に無し | 設置漏れ | 設置状況を機械で数える |
| 流入上位30本 | 28本にリンク無し | 設置漏れ | 流入の多い順に確かめる |
ここから引き出せる教訓は、AI検索の話にもそのまま当てはまります。0という数字は、起きていない場合と、観測手段が無い場合の両方で同じ形に見えます。AI検索からの流入が0だと感じているとき、まず確かめるのは計測の有無です。生成AI経由の訪問は、通常の解析では判別しにくい形で入ってきます。
この数字を公開する理由
この検証の数字を出すことに、迷いがなかったわけではありません。片方のドメインが伸びなかった事実まで含めて書くことになります。普通に読めば、格好のつく話ではありません。
それでも出すのは、2つの理由があります。1つ目は、この記事で扱ってきた条件を満たす材料が、これしか手元に無いからです。数字が入っていて、出しているのが当事者で、外に出ている例が少ない。3つとも満たす材料は、うまくいった話の側にありません。
2つ目は、この検証の中身が、そのまま提供している内容だからです。記事の質を上げる作業と、届く人数を増やす作業は別々でした。私たちは前者だけを2年続けて、後者を測っていませんでした。同じことは、ホームページを持っている会社のほとんどで起きています。
| よくある状態 | 実際に足りていないもの | 気づきにくい理由 |
|---|---|---|
| 記事を出しているが問い合わせが無い | 検索需要のある言葉 | 順位は取れているので成功に見える |
| アクセスはあるが問い合わせが無い | 着地したページの分かりやすさ | アクセス数だけを見ている |
| 問い合わせ数が0のまま動かない | 計測が動いているかの確認 | 0が2つの意味を持つと知らない |
3行とも、私たちが自分のサイトで踏んだものです。踏んだからこそ、どこを見れば分かるかを具体的に言えます。教科書に書いてある手順としてお伝えするのとは違って、自分の数字が動かなかった場所としてお伝えできます。
もう1つ、この記事全体を通じて繰り返してきたことがあります。AI検索への対応で買うべき道具は見つかりませんでした。効くと分かったのは、検索されている言葉を選ぶことと、実在する引用と数字と出典で書くことでした。どちらも道具では解決しません。書けるかどうかで決まります。だからこそ、書く部分は外に出せます。判断の部分は、自社に残ります。
効果はどう測るか。順番に3つあります
ここまでの作業をしたとして、効いているかどうかをどう確かめるか。
測り方が決まっていないと、続けるかどうかの判断ができません。
測る順番は3つあり、上から順に、手間が増えて精度も上がります。
最初から3つ目をやろうとすると始まらないので、1つ目から入ってください。
| 順 | 測るもの | 手間 | 分かること |
|---|---|---|---|
| 1 | 生成AIに自社のことを聞いてみる | 10分 | いま出ているかどうか |
| 2 | 生成AI経由の訪問数 | 30分(初回設定) | 実際に人が来ているか |
| 3 | 問い合わせ時の「何で知ったか」 | フォームに1項目 | 売上につながったか |
1つ目:生成AIに直接聞く
いちばん簡単で、いちばん最初にやるべきものです。主要な生成AIを開いて、
自社の見込み客が打ちそうな質問をそのまま投げてください。
「◯◯(地域)で△△を頼むならどこがいいですか」「△△を選ぶときの基準を教えてください」。
このとき、自社名で聞かないでください。自社名で聞けば当然出ます。
見込み客は自社名を知らない状態で聞いています。
出てこなかった場合、代わりに何が出てきたかを控えてください。それが、
いまその質問で選ばれている情報源です。自社に足りていないものが、そこに書かれています。
この確認は、月に1度、同じ質問で繰り返してください。出方が変わったかどうかが分かります。
2つ目:生成AI経由の訪問数を数える
アクセス解析で、参照元に生成AIのドメインが入っている訪問を絞り込みます。
探索レポートで、参照元を行に、セッション数を値に置き、参照元に該当の文字が含まれる条件で
絞り込む形です。初回の設定に30分ほどかかりますが、一度作れば以後は開くだけです。
ここで注意があります。この数字は、実態より小さく出ます。
生成AIの回答を読んで、その場ではリンクを押さず、後から社名で検索して訪れる人がいるためです。
その訪問は、参照元が検索エンジンとして記録されます。
だから、この数字が0でも、生成AI経由の影響が0という意味にはなりません。
小さく出る前提で、増えているか減っているかだけを見てください。
3つ目:問い合わせ時に聞く
いちばん精度が高いのに、いちばん行われていない方法です。
問い合わせフォームに「当社を何でお知りになりましたか」という項目を1つ足すだけです。
選択肢に「生成AIに聞いた」を入れてください。ここに答えが集まると、
アクセス解析では追えなかった経路が見えます。
1つだけ気をつけてください。入力欄を増やすと送信率が落ちます。
この項目は必須にせず、任意にしてください。任意でも、書いてくれる人はいます。
0という数字には、2つの意味があります
測って0だったとき、押されていないのか、記録されていないのかを先に切り分けてください。
自社では、これで一度つまずいています。日報に「クリック0人」と出続けていたので
押されていないと判断していましたが、実際は計測の仕掛けが1行も入っていませんでした。
押されても記録されない状態だったということです。
設置漏れと計測漏れは、別々に数えてください。混ざると、直すべき場所を間違えます。
今日からできる点検を、順番に並べます
ここまでの内容を、手を動かす形に落とします。新しい道具は要りません。使うのはSearch Consoleと、自社サイトを開くブラウザだけです。所要時間は30分ほどを見てください。
先に確かめるのは、書き方より配管です
AI検索への対応を考え始めた会社が最初にやりがちなのは、記事の書き方を変えることです。順序としては後ろです。私たちがニュースドメインで見つけた通り、156本の記事の存在自体が伝わっていない状態は実際に起こります。この状態で本文をどう直しても、結果は動きません。
確かめる順番は、外側から内側です。存在が伝わっているか。検索の候補に入っているか。表示されているか。クリックされているか。そのうえで、引用される書き方になっているか。上流で詰まっているなら、下流の作業は後回しにしてください。
30分でできる点検表
| 確かめること | どこで見るか | これなら問題ありの状態 | そのときにやること |
|---|---|---|---|
| サイトマップが正しく届いているか | Search Consoleのサイトマップ | エラー表示が出ている | 指定先が開けるかを直接確かめる |
| 公開した記事が登録されているか | Search Consoleのページ | 登録数が公開本数を大きく下回る | 登録されていない理由を1本ずつ見る |
| 表示回数が出ているか | Search Consoleの検索結果 | 28日の表示が2桁に届かない | キーワードの検索需要から見直す |
| 順位と表示のどちらが弱いか | 掲載順位と表示回数を並べる | 順位は高いのに表示が少ない | 誰も検索していない言葉を疑う |
| 本文に実在の出典が入っているか | 自社の記事を開いて読む | 数字はあるが調査元の名前が無い | 出典の名前を文章として書き足す |
| 導線の計測が動いているか | 問い合わせ導線を自分で1回押す | 記録が残らない | 計測の記述が入っているかを確かめる |
この表の上から4行が第1の門です。下の2行が第2の門と出口です。上から順に見て、最初に引っかかった行が今月やるべき作業です。そこを直さないまま下の行に進んでも、効果は出ません。
記事を書くときに変える1か所
点検が終わって、書く段階に進んだときに変える箇所は1つです。数字を書くときに、その数字がどこから来たかを本文に文章として書きます。
やり方は、前の章までで実演してきた形と同じです。「総務省が2026年7月に公表した情報通信白書によると」と書いてから数字を出す。「Ahrefsが137,210ドメインのサーバーログを分析した調査では」と書いてから割合を出す。URLの併記は不要です。論文の実験で生成AIに渡されたのは文章だけで、リンクは渡っていません。
もう1つ、すでに書いた記事に対しては、曖昧な量の表現を数字に置き換える作業が効きます。「大半の企業が」と書いた箇所を「86.4%の企業が」に変える。「ここ数年で増えている」を「1年で26.7%から58.8%へ増えた」に変える。新しい情報を足す作業ではありません。すでに書いた文を書き換える作業です。
ただし、対策キーワードで3位以内に入っている記事については、前の章で書いた通り、いったん止めてください。1本だけ試して4週間の推移を見てから判断します。
引っかかった行ごとの、直し方
点検表で最初に引っかかった行が見つかったら、そこから先の手順です。行ごとに分けて書きます。
| 引っかかった行 | いま起きていること | 今月やること | 結果が見えるまで |
|---|---|---|---|
| サイトマップにエラー | 記事の存在が伝わっていない | 指定先が開けるかを確かめて直す | 2週間から4週間 |
| 登録数が公開数を下回る | 登録されない理由がある | 除外の理由を1本ずつ確認する | 4週間 |
| 表示回数が2桁に届かない | 誰も検索していない言葉で書いている | 次の記事から検索候補を先に確かめる | 3か月 |
| 順位は高いのに表示が少ない | 言葉の選び方で終わっている | 需要のある言葉へ寄せて書き直す | 3か月 |
| 出典の名前が入っていない | 第2の門で選ばれにくい | 数字の前に調査元の名前を書き足す | 4週間から8週間 |
| 導線の計測が動いていない | 判断材料が存在しない | 自分で1回押して記録を確かめる | 即日 |
右の列を見てください。即日で結果が分かるのは、計測を直す作業だけです。それ以外は、早くて4週間、言葉の選び直しに至っては3か月かかります。ここを短縮する手段は、この記事で調べた範囲では見つかりませんでした。
時間がかかるという事実は、裏を返せば参入の壁でもあります。3か月かけて確かめる会社は、同じ商圏にそう多くありません。4行目までを1度やり切ってしまえば、そこから先はキーワードを選ぶ段階で落ちる記事が減っていきます。私たちの場合、2つを並べて測るまでこの差に気づきませんでした。
よくある質問
LLMOとは何ですか
生成AIが質問に答えるとき、その回答の中で自社の情報が取り上げられるようにする取り組みのことです。
Large Language Model Optimization の略で、日本語では大規模言語モデル最適化と訳されます。
ただし、この名前の技術仕様があるわけではありません。やることの中身は、
第1の門(検索で拾われる)が従来のSEOそのもので、第2の門(引用される)が書き方の話です。
新しく買うものはなく、書くものがあるという構造になっています。
SEOとLLMOの違いは何ですか
目指すゴールが違います。SEOは検索結果に自社のページを出すこと、
LLMOは生成AIの回答の中に自社が現れることです。
ただし、手前の工程が共通しています。Googleの公式ドキュメントによれば、
AIによる概要に引用されたリンクの多くは、自然検索の上位から来ています。
つまりSEOで上位に入っていないページは、AIの回答の候補にも上がりにくいということです。
違いを一言で答えるなら、こうなります。LLMOはSEOの置き換えではなく、
SEOの上に1段積むものです。下の段が無い状態で上の段だけを作っても、乗るものがありません。
AIO対策とLLMO対策の違いは何ですか
実務では、作業内容がほとんど変わりません。呼び名の違いです。
あえて分けるなら、LLMOは生成AIの回答に出ることに、AIOはAI全般への対応に焦点を当てた言い方です。
GEOは回答を生成する仕組み全体、AEOは質問に対する答えの形に焦点があります。
どれにも技術仕様はありません。
提案を受けていて、AIOとLLMOで作業が違うと説明された場合は、
具体的にどの作業が違うのかを1つ挙げてもらってください。
そこで具体名が出てこなければ、呼び名だけの違いです。
LLMO対策のやり方は。具体的に何をすればいいですか
順番があります。上から順にやってください。下から始めると、効きません。
| 順 | やること | どちらの門か |
|---|---|---|
| 1 | 狙う言葉に検索需要があるかを確かめる | 第1の門 |
| 2 | 需要のある言葉で記事を書く | 第1の門 |
| 3 | 自社で測った数字を、記事に入れる | 第2の門 |
| 4 | 専門家の発言などを直接引用する | 第2の門 |
| 5 | 出典を本文に明記する | 第2の門 |
| 6 | 質問と答えの形に整える | 第2の門 |
| 7 | 第三者に言及される理由を作る | 第2の門の外 |
1と2を飛ばして3以降をやる提案が、非常に多く出回っています。
検索で拾われていないページの書き方を整えても、読む相手がいません。
自社がどちらの門で落ちているかは、表示回数を見れば分かります。
LLMO対策の料金はいくらですか
金額は依頼先によって大きく開くので、ここでは何で決まるかをお伝えします。
確かめるべきなのは、次の3つです。
- 作業の中身が、上の表のどこに当たるか。1と2が入っているか
- 狙う言葉をどう選ぶか。検索需要を確かめる工程が入っているか
- 何を報告するか。順位だけか、表示回数と問い合わせまで見るか
1つ目が重要です。ファイルの設置と構造化データの追加だけで構成された見積もりは、
Googleが不要と明言している作業に費用を払う形になります。
上の表で言えば、第2の門より外側の作業です。
2つ目が抜けていると、需要のない言葉で記事が積み上がります。自社の検証では、
狙う言葉の選び方だけを変えて、表示回数に23倍の差が出ました。同じ費用でこの差が出ます。
3つ目は、順位だけの報告になっていないかを見てください。順位が上がっているのに
問い合わせが増えない状態に、気づけなくなります。
MEO対策とは何が違いますか
MEOは地図アプリでの表示を対象にした取り組みで、LLMOとは対象が違います。
ただし、来店や訪問を伴う事業では、両方が同じ効果に向かいます。
生成AIに「この地域で◯◯を頼むなら」と聞いたとき、回答の材料として
地図サービスに登録された情報が使われることがあります。営業時間、住所、
提供しているサービス。ここが空欄だったり古かったりすると、材料が足りません。
地域の商圏で商売をしているなら、地図サービスの情報を埋めることは、
LLMO対策の一部として意味があります。逆に、オンラインで完結する事業なら、
優先度は下がります。
中小企業でも取り組む意味はありますか
あります。ただし、大企業とは順番が違います。
大企業は、すでに検索で見つかる状態にあることが多いので、第2の門から入れます。
中小企業のほとんどは、第1の門で止まっています。この段階で書き方を整えても、
拾われていないので届きません。
中小企業が最初にやるのは、狙う言葉に検索需要があるかを確かめることです。
費用はかかりません。検索窓に打って、候補が3件以上出るかを見るだけです。
むしろ、規模が小さいほうが有利に働く部分もあります。自社が測った数字、
うまくいかなかったときの記録、お客様が実際に口にした言葉。
これらは大きな組織ほど出しにくくなります。外に出ている例が少ない情報は、
そのまま引用される材料になります。
どのくらいの期間で効果が出ますか
第1の門は、記事を公開してから検索結果に安定して出るまで、早くて2か月、遅いと半年です。
ここを短くする方法はありません。
第2の門は、すでに検索で拾われているページであれば、書き方を変えてから数週間で
変化が見えることがあります。ただし、生成AIの回答は同じ質問でも揺れるので、
1回の確認では判断できません。月に1度、同じ質問で確かめてください。
3か月で判断しないでください。3か月は、第1の門がようやく動き始める時期です。
この時点でやめると、いちばん時間のかかった部分が無駄になります。
本を読んで勉強したほうがいいですか
読む前に、自社がどちらの門で落ちているかを確かめてください。10分で分かります。
第1の門で落ちている場合、本に書かれている書き方の話は、いま効きません。
必要なのは、検索需要のある言葉を選ぶことです。
この領域は動きが速く、書かれた時点の情報が半年で古くなります。
本を選ぶなら、公式ドキュメントの引用と、実際に測った数字が入っているものを選んでください。
一般論だけの本は、無料で読める情報と中身が変わりません。
外部に依頼できますか。何を頼めますか
依頼できます。ただし、外に出しても品質が上がらない仕事があります。
自社の事業内容を知らないとできない仕事です。誰に何を売っているかを言葉にすること、
よく聞かれる質問への答え、既存の顧客に選んだ理由を聞くこと。この3つは社内に残してください。
逆に、検索需要を確かめる作業と、決まった言葉で毎週書き続ける作業は、
外に出したほうが速く、質も安定します。特に後者は、本業を持っている人が
1年続けるのは現実的ではありません。3か月で止まります。
LLMO対策の専用ツールは導入したほうがいいですか
導入を検討する前に、確かめることがあります。そのツールが解決するのは第1の門と第2の門のどちらか、という点です。
第2の門を対象にしたもの、たとえば生成AIの回答に自社名が出た回数を記録するようなものは、状況の把握に役立ちます。第1の門を対象にしたもの、たとえばAI向けのファイルを自動生成するようなものは、この記事で見てきた通り、Googleが使っていないと明言している領域です。
導入の判断そのものは、いまの表示回数を見てから決めてください。表示が出ていない段階では、どのツールも測るものがありません。先に必要なのは、検索需要のある言葉で記事を書くことです。
llms.txtは本当に置かなくていいのですか
Google検索については、置かなくて問題ありません。公式ドキュメントに「Google検索自体がそれらを使っていないから」と書かれており、担当者の発言も一致しています。Ahrefsが137,210ドメインを調べた結果でも、設置されたファイルの97%に一度もリクエストが来ていませんでした。
置くこと自体に害はありません。害があるのは、置いたことで対策が済んだと考えて、本来の作業に手が回らなくなる場合です。すでに置いているなら、そのままで構いません。これから設置に工数を割く判断であれば、その工数は記事の側へ回したほうが結果に近づきます。
記事を増やせばAI検索に出るようになりますか
本数だけでは出ません。同じ体制で作った2つのドメインを並べたところ、1本あたりの表示に23倍の差が出ました。差は本数でも書き方でもなく、狙った言葉の側にありました。
増やす前に確かめるのは、その言葉を検索している人がいるかどうかです。検索窓に打ち込んだときに出てくる候補が3件以上あるか。1件しか出ない言葉は、実在はしますが1本の記事を立てるほどの量がありません。その言葉は独立記事にせず、需要のある記事の見出しとして回収します。
すでに検索上位にあるページも書き換えるべきですか
この記事でいちばん注意して読んでほしい部分です。学術研究の実測では、出典を明記する施策によって検索5位のサイトは115.1%伸び、1位のサイトは30.3%下がりました。引用の追加でも統計の追加でも、同じように符号が反転しています。
そのため、対策キーワードで3位以内に入っているページについては、一斉の書き換えを避けてください。手順としては、1本だけ書き換えて4週間ほど表示回数とクリックの推移を見る。下がらなければ範囲を広げる。この順番であれば、外れても1本で済みます。
AI検索からの流入はどう測ればいいですか
完全には測れません。生成AIの回答を読んで社名を覚え、後日あらためて検索して訪れる経路は、参照元として残りません。ここは正直に、測れない部分があると認めたほうが判断を誤りません。
そのうえで確かめられることが2つあります。1つ目は、参照元に生成AIのサービス名が入っている訪問を集計することです。2つ目は、自社名や自社サービス名での検索が増えているかをSearch Consoleで見ることです。
合わせて、計測そのものが動いているかを最初に確かめてください。0という数字は、起きていない場合と、記録する仕組みが無い場合の両方で同じ形に見えます。私たちは半年近く、記録されないリンクを見て0だと判断していました。
業種によって、聞かれ方が変わります
ここまで業種を問わない話として書いてきましたが、生成AIに何を聞かれるかは業種で変わります。規制のある業種では、使える施策そのものが変わります。クリニックについては医療広告ガイドラインの中でできることにまとめました。飲食店については生成AIが見ているのは自店サイトではないで扱っています。士業については広告規制と守秘義務の中でいちばん空いている入口にまとめました。工務店とリフォーム会社については「まだ工事は不要です」と書ける会社が選ばれる理由で扱っています。不動産については物件情報では差がつかない理由にまとめました。製造業と法人向けの事業については「できないこと」を書いている会社が条件で選ばれる話で扱っています。
お店とサービス業についても、同じ考え方でまとめています。美容室とサロンについては予約サイトに預けたままだとAIが自店を選べない話で扱っています。学習塾とスクールについては保護者が聞いているのは「うちの子はどうすべきか」だという話にまとめました。ネットショップと通販についてはメーカーの説明文のままでは選ばれない理由で扱っています。そして採用については自社について語っているのが自社ではない状態にまとめました。
2026年8月の追記:やりすぎたページは、見分けがつくようになりました
この記事で扱った施策について、やりすぎた形を機械で検出する研究が公開されました。精度はF1で0.944、2026年に更新されたページの16.36%が該当しています。何が言えて何が言えないのかはAI検索向けに整えたページは94%の精度で見分けられるにまとめました。
まとめ。買うものは無く、書くものがあります
長い記事になったので、要点を絞ります。
AIに引用されるまでには門が2つあり、性質が違います。第1の門は候補として拾われる段階で、ここは従来の検索のランキングそのものです。Googleが公式に「コアとなる検索のランキングシステムに依拠して」と書いており、外部の実測でも引用リンクの76%は自然検索のトップ10でした。ここに近道はありません。
第2の門は、拾われた候補から実際に採用される段階です。ここでは書き方が効きます。引用、統計、出典、そして文章の流れ。学術研究で実測された上位4つは、いずれも道具で解決する項目ではありません。
ただし、その効果を測った実験では、実在しない出典と偽の引用と仮定の統計が使われていました。AIが反応しているのは形式です。本物の材料で同じ形式を満たせば、読んだ人間にも通用する文章になります。そして効果は検索順位で符号が反転するため、すでに上位にあるページは慎重に扱う必要があります。
やらなくていいことは3つあります。llms.txtの設置、AI専用の構造化データ、本文を細切れにする作業。3つともGoogleが公式に不要と書いています。
そして、いちばん言いにくい部分です。自社サイトを整えるだけでは足りません。生成AIが参照していたものの84%は第三者が書いたもので、可視性と相関の強いシグナルの上位3つは自社サイトの外にありました。ここで示されているのは相関であって、因果までは示されていません。不自然な言及集めについては、Googleが明確に否定しています。取れる道は、言及される理由を自分で作ることです。
私たち自身、3つのドメインで狙う言葉の選び方だけを変えて測りました。言いたいことから選んだ側は、10位以内を43本取りながら、1本あたりの表示が2.0回でした。検索されている言葉から選んだ側は46.2回です。前者は、誰も検索していない言葉で1位を取っていたということです。書き方の話に進む前に、この確認が要ります。
読み終えたいま、自社サイトで直す場所を1つだけ決めてください。点検表の上から順に見て、最初に引っかかった行です。それが今月やるべき作業になります。
最後に、この記事の書き方そのものについて1つ書いておきます。ここに出てきた数値は、すべて出典の名前を本文に文章として書きました。URLは1本も貼っていません。引用は鉤括弧で原文のまま引き、訳を添えました。第2の門で効くと実測された形式を、実在する材料だけで満たしています。
形式を真似ることと、中身を捏造することは別の話です。形式は真似ていい。中身は真似られません。自社が測った数字、うまくいかなかったときの記録、自社のお客様が口にした言葉。この3つは、他社の記事から持ってこられません。AI検索の時代に効く材料が、結局そこに戻ってくるというのが、調べ終えたいまの結論です。
読み終えてすぐに動ける形にすると、こうなります。今日はSearch Consoleを開いて表示回数だけを見る。明日は狙っている言葉を検索窓に打って候補の数を数える。この2つで、自社が第1の門と第2の門のどちらで止まっているかが決まります。決まってから作業を選べば、外れる確率が下がります。
どこが引っかかっているのか自分では判断しづらい場合は、一緒に画面を見ながら確かめることもできます。ご自身のサイトを開いた状態でお話しいただければ、その場でどの門で止まっているかまではお伝えできます。
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
生成AIに引用されるページを、お話しいただくだけでお作りします。お時間をいただくのは初回15分のヒアリングだけです。まず1ページ、無料でお作りします。
OKが出るまで、何度でも直します。事実が違う、言い回しが硬い、この話は入れないでほしい。どれも遠慮なくおっしゃってください。何度お直ししても、追加の料金はいただきません。
これまでに127社にご利用いただきました。毎月ご依頼いただいている方の6割以上が、月10ページを選ばれています。料金はページに掲載しています。
ページを増やしても問い合わせが来ないなら、原因はページの外にあります。その場合は、下の入口からご相談ください。
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
ウェブサイトから要素を引き算し、訪れた人が迷わず次の一歩に進む形へ組み直す。初回60分のオンラインで御社のサイトを一緒に読み、どこから直すべきかをお伝えします。手順をまとめた無料の診断と解説動画もご用意しています。
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