独立して1年目の春、作品集のサイトを公開した日のことを覚えている方は少なくないと思います。
自分で組んだ見せ方に、会社員時代から手がけてきた仕事を並べた。
これで直接の依頼が来るはずだと思っていたのに、問い合わせの欄は静かなままだった。
この記事は、独立して仕事をしているグラフィックデザイナーやウェブデザイナーの方に向けて書いています。
数人で回している小さなデザイン事務所の代表の方にも、そのまま使える話にしました。
対象にしているのは、企業や団体から仕事を受ける側の方です。
個人のお客様から似顔絵や年賀状のデザインを受ける話は扱いません。
デザインを頼む企業の側には、街のお店にない事情が1つあります。
サイトを見て「この人にお願いしたい」と思った担当者が、たいていは自分ひとりで発注を決められないことです。
上司に説明し、予算の枠を確かめ、ときには稟議の書類を回してから、ようやく依頼の連絡が来ます。
だから、デザイナーのサイトに求められるのは、見た人の心を動かす作品だけでは足りません。
見た人が社内で説明するときに、そのまま使える材料が置いてあるかどうかが、依頼の数を左右します。
この記事では、総務省や内閣官房、中小企業庁などが公表している一次資料のうち、確かめられた数字だけを使って、フリーランスのデザイナーが置かれている状況を整理します。
読み終えたときに、自分のサイトで最初に直す場所が1つ決まっている。
そこをこの記事のゴールにしています。
Q&Aサイトで見かけた、独立1年目のデザイナーの相談
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿されたのは2023年の9月で、デザイナーとして独立して1年が経った方からの相談でした。
下請けを減らしたくて独立したのに
投稿者は、独立するときに「なるべく下請けはしない」と決めていたそうです。
自分の会社として、企業から直接仕事を受けたい。
その思いで1年やってきたものの、このままでは事業が続かないところまで来てしまったと書いていました。
いまは3社から少しずつ仕事をもらいながら、つないでいる状態です。
SNSとチラシで、直接の依頼を待っている
下請けの仕事でしのぎながら、自分の会社への依頼はSNSでの発信とチラシ配りで待っているそうです。
相談の最後は「とりあえずこの感じで大丈夫そうですか」という問いで結ばれていました。
短い文面でしたが、焦りと迷いがそのまま伝わってくる相談でした。
回答は「待ち方を変えて、会いに行け」
寄せられた回答には、厳しい言葉も並んでいました。
ある回答者は、デザインは頼む側が限られているので、チラシの効き目はほとんどないと書いていました。
SNSから注文が来るのも、自分の場合は数年に1回くらいだという実感も添えられていました。
そのうえで、作品集を持って営業し、発注を決める立場の人を100人ほど確保して「頼む先の候補」に入れてもらうのがよい、という助言でした。
別の回答者は、大きな企業の仕事は代理店や制作会社を通した下請けでないと関われないので、自分は下請けを中心にしていると書いていました。
個人の店主や小さな会社からの直接の依頼は、制作に詳しくない相手や予算の少ない相手も多く、条件が合わないことがあるという指摘です。
どちらも、現場で長く仕事をしてきた人ならではの率直な助言だと思います。
会いに行く前に、相手が開くページを整える
回答に書かれていたことは、どれも間違っていません。
発注を決める人に会いに行くことは、直接の依頼を増やすうえで避けて通れない道です。
ただ、この相談にはもう1つ見ておきたい点があります。
名刺を受け取った担当者は、その場では決めずに、会社に戻ってからデザイナーのサイトを開きます。
どんな仕事を受けているのか、どう進めてくれるのか、頼むときに何を用意すればいいのか。
担当者はそれを確かめたうえで、上司に「この人に頼みたい」と持ち込みます。
その確かめる場所で答えが見つからなければ、名刺を100枚配っても、依頼の連絡にはつながりません。
会いに行く前に、会った相手が開くページを整えておく価値があります。
| 試していること | そこで起きていたかもしれないこと | 次に確かめること |
|---|---|---|
| SNSで作品を発信する | 見た人は「上手だ」と思っても、頼み方が分からず離れた | 投稿から飛んだ先に、依頼の流れが書いてあるか |
| チラシを配る | 受け取った人の中に、デザインを発注する立場の人がいなかった | 配る相手が発注を決める立場の人かどうか |
| 下請けで食いつなぐ | 直請けの営業に回す時間がなくなっていた | 週に何時間を直請けのために使えているか |
| 作品集のサイトを公開した | 作品は見られても、社内で説明する材料がなかった | 事例ごとに、依頼の背景と進め方が書いてあるか |
| 交流会で名刺を配る | 名刺を受け取った人が、後でサイトを見て迷った | 名刺から開くページで、受けている仕事が分かるか |
これはデザイナーの9割が入り込む落とし穴です
直接の依頼が来ない理由を「知られていないから」と考えるのは自然なことです。
知られていないなら、知らせる量を増やせばいい。
そう考えて、SNSの投稿を増やし、チラシを刷り、交流会に顔を出す。
ところが、知らせる量を増やしても、問い合わせの欄は静かなままということがよくあります。
知った人が依頼を決める段になって、サイトの中で判断の材料を見つけられずにいるからです。
この記事で「9割」と書いたのは、統計の数字ではありません。
独立したデザイナーや小さな事務所の相談を受けていると、ほとんどの方が最初に「知らせる量」の話から始める、という実感を言葉にしたものです。
「見てもらえる」と「頼まれる」は別の問題
作品集のサイトがそれなりに見られているのに依頼が来ないなら、足りないのは知名度とは別のものです。
見た人が「頼みたい」と思ってから、実際に連絡するまでの間に、越えなければいけない段差があります。
上司に説明できるか、予算の枠に収まりそうか、進め方が自社の都合に合うか。
この段差を越える材料が、作品だけを並べたサイトには置かれていません。
作品の見栄えをいくら磨いても、この段差は低くなりません。
作品を見る人と、発注を決める人は同じではない
企業でデザインを頼むとき、デザイナーのサイトを最初に見るのは、広報や販促や商品企画の担当者であることがほとんどです。
その担当者が「この人がいい」と思っても、最後に決めるのは課長や部長、小さな会社なら社長です。
決める人は、作品をじっくり見る時間を取ってくれません。
担当者が短い言葉で「なぜこの人なのか」を説明できるかどうかで、依頼が通るかどうかが決まります。
作品集のサイトは、作品を見る人には届いても、決める人まで届く作りになっていないことが多いのです。
| いまの状態 | 数字や反応に出ること | 先に手を打つ場所 |
|---|---|---|
| 見られているのに依頼が来ない | サイトの閲覧はあるのに問い合わせがない | 事例ごとに依頼の背景と進め方を書く |
| 問い合わせは来るが決まらない | 見積もりを出したあと返事が途絶える | 頼むときの流れと、決めるための材料を1ページにまとめる |
| 下請けの割合が高すぎる | 売上の半分以上が1社に集まっている | 直請けの入口を1つだけ作り、週の時間を確保する |
| 誰に見られているか分からない | サイトの閲覧の記録を見ていない | 問い合わせの際に「何を見て連絡したか」を1つ聞く |
| 依頼の中身がばらばら | 得意でない仕事ばかり問い合わせが来る | 受けている仕事と受けていない仕事を書き分ける |
数字で見る、フリーランスのデザイナーが置かれている状況
サイトを直す前に、独立して働く人がどれくらいいて、どんな形で仕事を受けているのかを確かめておきます。
ここでは、総務省と内閣官房などが公表している一次資料から、確かめられた数字だけを使います。
本業がフリーランスの人は209万人いる
総務省統計局の令和4年就業構造基本調査によると、本業がフリーランスの人は209.4万人でした。
この調査でいうフリーランスは、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主又は一人社長であって、その仕事で収入を得る者」と定義されています。
独立したデザイナーの多くは、この定義にそのまま当てはまります。
同じ調査では、本業がフリーランスの人がその働き方を選んだ理由として、「専門的な技能等を生かせるから」が32.5%で最も多くなっていました。
腕一本で独立した人が多いということは、腕のよさだけでは差がつきにくいということでもあります。
209万人の中で選ばれるには、作品の出来とは別の理由が要ります。
7割以上が、依頼者から直接仕事を受けている
内閣官房、公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁が共同で行った令和3年度のフリーランス実態調査では、7,188人のフリーランスに仕事の受け方を尋ねています。
仕事を得るときに仲介の事業者やサービスを使うかという問いに、「利用していない(専ら依頼者から直接仕事を受けている)」と答えた人が72.7%でした。
さかのぼって、内閣官房日本経済再生総合事務局が令和2年5月に公表した調査でも、仲介の事業者を仕事の獲得に使っている人は21.5%にとどまっています。
つまり、フリーランスの仕事の大半は、依頼者と直接やり取りする中で生まれています。
直接やり取りする相手が最初に確かめるのは、名刺に書かれたサイトの中身です。
売上の大半を1社に頼っている人も少なくない
同じ令和3年度の調査では、売上がいちばん大きい依頼者が、その人の売上全体の何割を占めているかも尋ねています。
「90%以上」と答えた人が27.5%で、半分以上を1社に頼っている人を合わせると55.6%になりました。
冒頭の相談者のように、数社からの下請けでつないでいる状態は、決して珍しくありません。
1社の発注が止まれば、翌月から仕事がなくなる。
その怖さを抱えたまま、直請けの営業に時間を割くのは簡単なことではありません。
| 数字 | 資料の名前 | デザイナーにとっての意味 |
|---|---|---|
| 本業がフリーランスの人 209.4万人 | 総務省 令和4年就業構造基本調査 | 独立して働く人は、同じ土俵に大勢いる |
| 働く理由「専門的な技能等を生かせるから」32.5% | 同上 | 腕に自信のある人同士で比べられる |
| 仲介を使わず直接仕事を受けている 72.7% | 内閣官房ほか 令和3年度フリーランス実態調査 | 依頼者が自分で調べて、自分で決めている |
| 仲介の事業者を仕事の獲得に使っている 21.5% | 内閣官房 フリーランス実態調査(令和2年5月) | 仲介に頼らない受け方が主流になっている |
| 最大の依頼者が売上の90%以上 27.5% | 内閣官房ほか 令和3年度フリーランス実態調査 | 1社に頼り切っている人が4人に1人いる |
デザイナーの集客がうまくいかない構造
独立して働く人は多く、その大半が依頼者と直接やり取りしている。
それなのに、自分のところには直接の依頼が来ない。
この食い違いは、デザイナー本人の腕や努力が足りないから起きるのではありません。
デザインという仕事の頼まれ方そのものに、作品集のサイトが損をしやすい構造があります。
デザインを頼む人は、そもそも数が少ない
冒頭の相談に寄せられた回答にもあったように、デザインを発注する立場の人は限られています。
飲食店の客なら街を歩く人の誰もが候補ですが、企業のデザインを頼む人は、1社の中に数人いるかどうかです。
しかも、その人たちがデザイナーを探すのは、年に何度もありません。
新しい商品が出るとき、会社案内を作り直すとき、展示会に出ると決まったとき。
探す日は突然やって来て、その日に見つかった人が候補になります。
作品を見る人と、お金を出すと決める人が違う
先に触れたとおり、企業の中でデザイナーを探す担当者と、発注を決める人は別の人です。
担当者は作品の良し悪しを見分けられても、決める人に向けて説明する言葉を持っていないことがあります。
「この人の作品が素敵だったので」という理由だけでは、決める人は首を縦に振りません。
決める人が知りたいのは、頼んだあとに何が起きるかです。
期日に間に合うのか、社内の手間はどれくらいか、途中で揉めたときにどうなるのか。
作品集のサイトは、この問いにほとんど答えていません。
作品の権利と守秘の事情で、見せられる仕事が限られる
デザイナーならではの事情もあります。
手がけた仕事の中には、依頼主との約束で公開できないものや、代理店を通した仕事で自分の名前を出せないものがあります。
いちばん自信のある仕事ほど、作品集に載せられないということも起こります。
その結果、作品集には公開できる仕事だけが並び、本当の得意分野が伝わらないことがあります。
載せられない仕事があるなら、その仕事で何をしたのかを、作品を見せずに言葉で書く工夫が要ります。
下請けの仕事は、自分の名前で語りにくい
代理店や制作会社から受けた仕事は、表向きにはその会社の仕事として世に出ます。
どれだけ大きな案件に関わっていても、自分のサイトで「これを作りました」と言いにくい場面があります。
下請けの割合が高いほど、自分の名前で語れる実績は増えません。
直請けを増やしたいのに、直請けの依頼者に見せる材料が育たない。
この堂々めぐりが、独立して数年たっても下請けから抜けられない理由の1つです。
| 構造の問題 | デザイナーの側で起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 頼む人の数が少ない | 誰に向けて発信しているのか分からなくなる | 依頼してほしい業種と担当者の役職を1つ決める |
| 見る人と決める人が違う | 担当者が社内で説明できずに話が止まる | 決める人が知りたい進め方と期日を書く |
| 見せられない仕事がある | 得意分野の実績がサイトに載らない | 作品を伏せたまま、課題と工夫を言葉で書く |
| 下請けの仕事は名前を出せない | 自分の名前で語れる実績が増えない | 許可が取れる範囲で、関わった工程を書く |
| 探す日が突然やって来る | その日に見つからなければ候補に入らない | 依頼してほしい仕事の名前でページを1つ作る |
発注する担当者は、何を見てデザイナーを決めているのか
ここで、デザインを頼む側に立って、何を見て決めているのかを整理しておきます。
頼む側にもいくつかの立場があり、それぞれ確かめることが違います。
広報や販促の担当者が確かめること
最初にデザイナーを探すのは、多くの場合、広報や販促、商品企画の担当者です。
この人はまず、作品の雰囲気が自社に合うかどうかを見ます。
次に確かめるのは、自分が頼みたい種類の仕事を、この人が受けているかどうかです。
会社案内、商品のパッケージ、展示会の装飾、採用のページ。
頼みたい仕事の名前がサイトのどこにもなければ、担当者はそこで別の候補を探し始めます。
上司や社長が確かめること
担当者から話を聞いた上司や社長が確かめるのは、頼んだあとの見通しです。
どれくらいの期間で仕上がるのか、何回くらい打ち合わせが要るのか、修正は何回まで受けてもらえるのか。
金額の話は見積もりで確かめるとしても、進め方が分からない相手には見積もりを頼む気になりません。
決める人にとって、進め方が書いてあることは、それだけで安心の材料になります。
経理や総務の担当者が確かめること
会社によっては、初めての取引先と契約するときに、経理や総務の担当者が確認に入ります。
請求書をどう出すのか、契約書や発注書を交わせるのか、支払いの期日はいつになるのか。
個人のデザイナーに頼むのが初めての会社ほど、この確認に時間がかかります。
取引の決まりがサイトに書いてあれば、初めての会社でも社内の手続きが進めやすくなります。
| 決める立場 | 最初に確かめること | サイトに置いておく情報 |
|---|---|---|
| 広報や販促の担当者 | 自社に合うか、頼みたい仕事を受けているか | 業種ごとの事例、受けている仕事の名前 |
| 商品企画の担当者 | 商品の狙いを理解してくれるか | 依頼の背景と、そこから考えたこと |
| 上司や部長 | 頼んだあとの見通しが立つか | 進め方、期間の目安、修正の決まり |
| 社長(小さな会社) | 任せて大丈夫な相手か | 代表の考え方、続いている取引の例 |
| 経理や総務の担当者 | 取引の手続きが進められるか | 契約書や発注書の扱い、請求と支払いの決まり |
よくある打ち手と、その先に起きること
直接の依頼が来ないとき、独立したデザイナーの多くが同じような打ち手を試します。
どれも一度はやってみる価値がありますが、サイトの中身を直さないまま続けると、手間ばかりが増えていきます。
ここでは、よく見かける打ち手と、その先で起きがちなことを順番に見ていきます。
作品の投稿を毎日続ける
SNSに作品を毎日のように投稿し、フォロワーを増やす。
同業のデザイナーや、デザインが好きな人に知ってもらうには、確かに効き目のある方法です。
ただ、投稿に反応するのは同業者や学生であることが多く、企業でデザインを発注する人はあまり混ざっていません。
冒頭の相談の回答者が、SNSからの注文は数年に1回くらいだと書いていたのは、この事情によるものだと思います。
投稿を見て興味を持った担当者がいたとしても、飛んだ先のサイトで頼み方が分からなければ、そこで止まります。
毎日の投稿は、続けるほど本業の時間を削っていきます。
作品集に載せる作品を増やす
依頼が来ないのは作品が足りないからだと考えて、自主制作の作品を作って作品集に足していく。
腕を磨く意味はありますが、作品の数が増えるほど、見る人はどれを見ればいいのか迷います。
しかも、自主制作の作品には、依頼主の課題も制約もありません。
企業の担当者が知りたいのは、自社と似た課題を、決められた期日と予算の中でどう形にしたかです。
自由に作った作品が何十点並んでいても、その問いには答えられません。
作品を足す時間があるなら、すでにある依頼の仕事の1つに、背景と進め方を書き足すほうが先です。
値段を下げて受ける
直請けを取るために、相場より低い料金で引き受ける。
一時的に仕事は入りますが、値段で選んだ依頼主は、次も値段で選びます。
低い料金で受けた仕事ほど、修正の回数が増え、時間あたりの手取りはさらに減っていきます。
値段を下げたことが口伝えに広がると、元の料金に戻すのが難しくなります。
そうして忙しいのに楽にならない状態が続き、直請けの営業に回す時間がなくなっていきます。
交流会で名刺を配る
商工会議所の会合や異業種の交流会に参加して、名刺を配る。
同じ地域の経営者と知り合えるので、昔からある堅実な方法です。
ただ、名刺を受け取った人がその場でデザインを頼むことは、まずありません。
数か月後、会社案内を作り直す話が出たときに、名刺の束から名前を思い出してもらえるかどうかです。
思い出して開いたサイトに、会社案内の事例も頼み方も書かれていなければ、名刺はそのまま机の引き出しに戻ります。
自分のサイトを凝った作りにする
デザイナーの腕を見せるために、自分のサイトに動きや仕掛けをたくさん入れる。
見た人に驚いてもらえる作りは、表現の力を伝える手段としては悪くありません。
けれど、凝った作りのサイトは、スマートフォンで開くと重かったり、肝心の情報にたどり着きにくかったりします。
企業の担当者は、会議の合間に手元の画面でサイトを開くことも多いものです。
開くのに時間がかかったり、どこに何が書いてあるか分からなかったりすると、作品を見る前に閉じられてしまいます。
| よくある打ち手 | その先で起きがちなこと | 先にしておくこと |
|---|---|---|
| 作品の投稿を毎日続ける | 反応するのは同業者が中心で、発注する人に届かない | 投稿から飛んだ先のページに、頼み方を書く |
| 作品集に作品を足す | 数が増えて、見る人がどれを見ればいいか迷う | 依頼してほしい仕事に近い事例を3つに絞る |
| 値段を下げて受ける | 値段で選ぶ依頼主が集まり、修正が増える | 値段以外で選ばれる理由を1つ書く |
| 交流会で名刺を配る | 後でサイトを開いた人が、頼み方が分からず迷う | 名刺から開くページに、受けている仕事を書く |
| サイトを凝った作りにする | 手元の画面で開くと重く、情報にたどり着けない | 頼み方と事例のページは、軽く読みやすく作る |
| 下請けを増やしてしのぐ | 直請けのための時間と実績が育たない | 週に数時間だけ、直請けのための時間を決める |
1社への依存から、なぜ抜けられないのか
ここまでの打ち手は、どれも「知らせる量を増やす」か「受ける条件を下げる」方向の手です。
それでも下請けや1社への依存から抜けられないのは、直請けの依頼主に向けた入口が、サイトの中にまだないからです。
下請けの仕事は、営業をしなくても入ってくる
代理店や制作会社からの下請けは、一度関係ができると、向こうから仕事が来ます。
営業の手間がかからず、仕事の進め方も相手の会社の決まりに合わせればいい。
独立したばかりの時期に、この仕事があることは本当にありがたいものです。
ところが、楽に入ってくる仕事があるほど、直請けのための準備は後回しになります。
気がつくと、内閣官房などの調査で4人に1人がそうだったように、売上の9割以上を1社に頼る形ができあがっています。
直請けの依頼主は、下請けの元請けとは見る場所が違う
代理店や制作会社は、デザイナーの腕を作品と人づての評判で判断します。
同じ業界の人なので、進め方や取引の決まりをわざわざ確かめる必要がありません。
一方で、直請けの依頼主は、デザインの業界の外にいる人です。
進め方も、修正の決まりも、取引の手続きも、確かめないと分かりません。
下請けの元請けに向けて作られた作品集のサイトのままでは、業界の外にいる依頼主の問いに答えられないのです。
直請けの入口を、1つに絞っていない
直請けを増やしたいと思うと、つい全部の業種に向けて少しずつ書きたくなります。
飲食店にも、病院にも、製造業にも、学校にも、と欲張ると、どの人にも届かない文面になります。
最初の1つは、すでに少しでも仕事をしたことのある業種から選ぶのが確実です。
過去に1度でも直接頼まれた業種があるなら、その業種の担当者に向けたページを1つ作るのが近道です。
1つの業種で依頼が入り始めたら、次の業種へ広げていけば十分です。
直請けのための時間を、週の予定に入れていない
下請けの締め切りに追われていると、自分のサイトを直す時間はいつまでも取れません。
「手が空いたらやろう」と思っているうちに、次の下請けの仕事が入ってきます。
直請けを増やしたいなら、週に数時間だけでいいので、自分のサイトと営業のための時間を予定に書き込みます。
その時間を使って、まず1つの業種に向けた事例のページを書く。
小さな一歩ですが、1年続ければ、自分の名前で語れる実績が確実に積み上がります。
| いまの受け方 | その受け方で起きやすいこと | 直請けに向けて次にすること |
|---|---|---|
| 1社からの下請けが中心 | 1社の発注が止まると、翌月の仕事がなくなる | 直請けの入口になる業種を1つ決める |
| 数社からの下請けでつないでいる | 締め切りに追われ、自分のサイトに手が回らない | 週に数時間、直請けのための時間を予定に入れる |
| 直請けと下請けが半々 | 直請けの依頼主に向けた事例が少ない | 直請けの仕事を事例として書く許可をもらう |
| 直請けが中心だが業種がばらばら | 得意でない仕事の問い合わせが多い | いちばん続いている業種に向けたページを作る |
| 紹介だけで回っている | 紹介が途切れると新しい依頼が来ない | 紹介された人が開くページに、進め方を書く |
「売れるサイトはみな謙虚」をデザイナーのサイトに当てはめる
ここまでの話をまとめると、直接の依頼が来ないデザイナーのサイトには共通点があります。
自分の作品は並んでいるのに、頼む側の担当者が抱えている問いに答えていない、という点です。
私たちは、この状態を直す考え方を「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいます。
主役はデザイナーの側にいない
謙虚なサイトでは、主役はデザイナーでも、デザイナーの作品でもありません。
主役は、新しい商品の発売を控えて、社内の期待を背負っている担当者です。
あるいは、会社案内を作り直すと決めたものの、何から手をつければいいか分からずにいる小さな会社の社長です。
デザイナーは、その人の仕事がうまくいくように手を貸す案内役として登場します。
受賞歴や経歴を最初に長く並べるサイトは、主役の座をデザイナーの側に置いています。
読む人が知りたいのは、デザイナーがどれだけ優れているかより、頼んだら自分の仕事がどう進むかです。
デザイナーは、案内役として登場する
案内役としてのデザイナーは、頼む人が迷いそうな場所を先回りして照らします。
最初の打ち合わせまでに何を用意すればいいのか、社内の誰に同席してもらえばいいのか、何回くらいで仕上がるのか。
頼む前に抱く小さな不安に、先に答えておく。
それだけで、読む人は「この人なら任せられる」と感じます。
案内役の言葉は、作品の自慢より控えめに聞こえますが、依頼の連絡をもらう力はずっと強いものです。
全部の仕事を受けると言わない
独立したデザイナーのサイトには、「デザイン全般お受けします」と書かれていることがよくあります。
仕事を断りたくない気持ちはよく分かります。
けれど、何でも受けると書かれたサイトは、頼む側から見ると、何が得意なのかが分かりません。
謙虚なサイトは、受けている仕事と受けていない仕事をはっきり書き分けます。
「飲食店の販促物と、店舗の開業に合わせた一式を中心にお受けしています」と書けば、該当する人は迷わず連絡できます。
該当しない人には、ほかのデザイナーを探してもらうほうが、お互いのためになります。
作品集を「事例」に作り替える
では、頼む側の問いに答えるには、作品集のどこを変えればいいのか。
いちばん効き目が大きいのは、作品を並べるページを、事例を読むページに作り替えることです。
ここでいう事例は、作品の画像に、依頼の背景と進め方と、その後に起きたことを添えたものです。
依頼の背景から書き始める
事例の最初に書くのは、依頼主がどんな状況で、何に困って相談してきたのかです。
「創業30年の食品会社が、若い世代向けの新商品を出すにあたり、従来の包装では売り場で目立たないと悩んでいた」。
この一文があるだけで、似た悩みを抱える担当者は、自分の会社のことだと感じながら読み進めます。
作品の画像だけでは、見る人は自分との接点を見つけられません。
背景の一文が、見る人と作品をつなぐ橋になります。
制約と、そこで考えたことを書く
依頼には、必ず制約があります。
期日が短い、印刷の色数が限られる、既存のロゴは変えられない、社内の承認者が多い。
事例には、その制約の中で何を考え、何を選び、何をあきらめたのかを書きます。
ここが、自主制作の作品にはない、依頼の仕事ならではの部分です。
企業の担当者は、自社にも似た制約があることを知っているので、ここを読んで「この人なら分かってくれる」と判断します。
進め方を、回数と期間で書く
事例の中に、仕事がどう進んだかを書いておきます。
「最初の打ち合わせから納品まで6週間、提案は2案、修正は2回」のように、回数と期間で書くと伝わりやすくなります。
上司や社長に説明するとき、担当者はこの数字をそのまま使えます。
進め方が見えていれば、決める人は自社の予定に当てはめて、頼むかどうかを判断できます。
その後に起きたことを、言える範囲で書く
最後に、納品のあとに何が起きたのかを、依頼主の許可を得たうえで書きます。
売上の数字を出せなくても、「売り場で手に取られる場面が増えたと店長から聞いた」「展示会で名刺交換の数が前回より増えた」といった声で十分です。
依頼主の言葉をそのまま引けるなら、鉤括弧で短く添えます。
許可が取れない場合は、無理に書かずに、背景と進め方までで止めておきます。
見せられない仕事は、言葉だけで書く
守秘の約束で画像を出せない仕事も、事例として書くことはできます。
業種と規模、依頼の背景、制約、進め方、関わった工程を、社名や画像を伏せて書きます。
「上場企業の販促物を、代理店を通して3年続けて担当している」という一文だけでも、読む人には大きな材料になります。
いちばん自信のある仕事が見せられないなら、言葉で語れる部分を丁寧に書いてください。
| 事例に書くこと | 書き方の例 | 誰の問いに答えるか |
|---|---|---|
| 依頼の背景 | 若い世代向けの新商品で、売り場で目立たないと悩んでいた | 似た悩みを抱える担当者 |
| 制約 | 期日は6週間、既存のロゴは変えられない | 自社にも制約がある担当者 |
| 考えたこと | 売り場の棚の高さから、正面の文字の大きさを決めた | 作品の意図を知りたい担当者 |
| 進め方 | 打ち合わせ3回、提案2案、修正2回 | 見通しを知りたい上司や社長 |
| その後に起きたこと | 展示会で名刺交換の数が前回より増えたと聞いた | 成果を確かめたい決める人 |
| 見せられない仕事 | 上場企業の販促物を3年続けて担当している | 実績の幅を知りたい担当者 |
ここまでの話を、発注する担当者がデザイナーに依頼を決めるまでの流れとして図にまとめました。
担当者が社内で回せる「頼み方」の1ページを作る
事例が書けたら、次は頼み方をまとめたページを1つ作ります。
企業の担当者は、事例を読んで「この人に頼みたい」と思ったあと、上司や社長に説明する材料を探します。
そのとき開いてもらうのが、このページです。
頼むときの流れを書く
最初の問い合わせから納品までの流れを、順番に書きます。
問い合わせの方法、返事までの日数、最初の打ち合わせ、見積もりと提案、制作、修正、納品。
それぞれの段階で、依頼主に用意してもらうものと、依頼主の側で決めてもらうことを添えます。
流れが見えていると、担当者は社内の予定に合わせて、いつまでに何をすればいいかを決められます。
用意してもらうものを書く
頼む側の担当者が戸惑うのは、最初の打ち合わせまでに何を準備すればいいか分からないときです。
商品の資料、既存のロゴや写真のデータ、社内で気に入っている見本、使う場所の寸法。
用意してほしいものを先に書いておけば、担当者は社内で集めて回れます。
「全部そろっていなくても大丈夫です。分かる範囲で一緒に整理します」と一言添えると、初めて頼む人も連絡しやすくなります。
受けられない条件も、先に書いておく
頼み方のページには、受けられる条件と同じくらい、受けられない条件も書いておきます。
たとえば、納期が2週間を切る依頼は受けていない、競合する同業の2社からは同時に受けない、といった決まりです。
断る話を先に書くのは気が引けるかもしれません。
けれど、担当者にとっては、問い合わせてから断られるより、最初から分かっているほうがずっと助かります。
受けられない条件がはっきりしているデザイナーは、受けられる条件も信用されやすくなります。
| 頼み方のページに置くこと | 書く中身 | 担当者がそれで決められること |
|---|---|---|
| 頼むときの流れ | 問い合わせから納品までの段階と日数 | 社内の予定の組み方 |
| 用意してもらうもの | 資料、データ、見本、寸法 | 打ち合わせまでの準備 |
| 修正の決まり | 修正の回数と、回数を超えたときの扱い | 社内の確認の回し方 |
| 受けられない条件 | 短すぎる納期、同業の同時受注 | 自社の依頼が受けてもらえるか |
| 取引の手続き | 契約書や発注書、請求と支払いの決まり | 経理や総務への説明 |
| 問い合わせの窓口 | 連絡の方法と、返事までの日数 | 最初の一歩の踏み出し方 |
取引の決まりを先に見せると、初めての会社も頼みやすくなる
頼み方のページの中でも、とくに丁寧に書いておきたいのが取引の決まりです。
個人のデザイナーに頼んだことがない会社ほど、ここで足が止まります。
フリーランス法で、取引条件を書面で示すことが求められるようになった
2024年11月1日に、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律が施行されました。
一般にフリーランス法と呼ばれている法律です。
厚生労働省の愛媛労働局は、この法律の説明の冒頭で「近年、配送やデザイン制作など多様な業種で、フリーランスとして働く方が増えています」と書いています。
デザインの仕事は、この法律が想定している代表的な仕事の1つです。
同じ説明では、フリーランスは「個人」で業務を行うため、組織として事業を行う発注者との間で交渉力などに格差が生じやすいとも書かれています。
この法律では、フリーランスに仕事を頼む事業者に、業務の内容や報酬の額、支払期日といった取引条件を、書面や電子メールなどで示すことが求められます。
報酬の支払期日は、成果物を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で定めることとされています。
決まりを知っている人だと分かるだけで、安心の材料になる
この法律の決まりを守る責任は、まず発注する側にあります。
ただ、初めて個人のデザイナーに頼む会社の担当者は、こうした決まりを詳しく知らないことも多いものです。
頼み方のページに「ご依頼の際は、業務の内容、納期、報酬、支払期日を書面でお送りします」と書いておけば、担当者は社内で手続きを進めやすくなります。
決まりをきちんと押さえている人だと分かることが、経理や総務の担当者にとっての安心につながります。
依頼する側とされる側の両方を守る仕組みなので、遠慮せずにサイトに書いて構いません。
| 取引の場面 | 頼む側が気にしていること | サイトに書いておくこと |
|---|---|---|
| 依頼を決めたとき | 何を書面で交わせばいいか | 業務の内容、納期、報酬、支払期日を書面で取り交わすこと |
| 制作の途中 | 内容を変えたくなったらどうなるか | 内容を変える場合は、改めて書面で確認すること |
| 修正のとき | 何回まで直してもらえるか | 修正の回数と、回数を超えたときの扱い |
| 納品のあと | いつまでに支払えばいいか | 請求書を出す時期と、支払期日の決め方 |
| 困ったとき | 揉めたときにどこに相談するか | まずは担当者同士で話し合う窓口の連絡先 |
紹介でもらった仕事を、次の紹介につなげる
独立したデザイナーの仕事は、知人や過去の取引先からの紹介で始まることがよくあります。
紹介は信頼の入口として強い力を持ちますが、紹介された人もまた、サイトを開いて確かめます。
紹介された人は、紹介者の言葉を確かめに来る
「腕のいいデザイナーがいるよ」と紹介された人は、まずその人の名前でサイトを開きます。
確かめたいのは、紹介者の言葉が本当かどうかと、自分の会社の仕事も受けてもらえそうかどうかです。
紹介者と同じ業種の事例が載っていれば、話はそのまま進みます。
紹介者の会社と違う業種でも、頼み方のページで進め方が見えれば、連絡する気持ちが固まります。
納品のときに、事例として書く許可をもらう
紹介を次の紹介につなげるいちばん確かな方法は、納品のときに事例として書く許可をもらうことです。
依頼主が喜んでいるうちに頼めば、快く応じてもらえることがほとんどです。
社名を出せない場合でも、業種と規模と背景だけなら書いてよいと言ってもらえることもあります。
許可をもらった事例が1つ増えるたびに、次に紹介された人が確かめられる材料が1つ増えます。
| 紹介の流れ | 紹介された人が確かめること | デザイナーがしておくこと |
|---|---|---|
| 知人から名前を聞いた | 本当に腕がいいのか | 紹介者と同じ業種の事例を載せる |
| 過去の取引先から紹介された | 自社の仕事も受けてもらえるか | 受けている仕事と受けていない仕事を書き分ける |
| 交流会で紹介された | 頼むとどう進むのか | 頼み方のページに流れを書く |
| 代理店の担当者から紹介された | 直接頼んでも大丈夫か | 取引の決まりと窓口を書く |
小さなデザイン事務所の代表ができること
ここからは、数人のデザイナーで事務所を回している代表の方に向けた話です。
営業の担当がいない事務所では、代表が営業も制作も抱えていることがよくあります。
事務所の得意分野を、1つの言葉にする
数人の事務所では、デザイナーごとに得意分野が違うことがあります。
全員の得意分野を並べると、事務所としての顔が見えにくくなります。
事務所のサイトの最初の画面には、いちばん続いている仕事の分野を1つの言葉で書きます。
「雑誌と書籍のデザインを中心に、定期の刊行物を長く担当しています」と書けば、出版社の担当者は迷わず連絡できます。
ほかの分野の仕事は、事例のページで紹介すれば十分です。
デザイナーの名前と、担当の分野を出す
小さな事務所に頼む側は、誰が担当してくれるのかを気にします。
デザイナーの名前と顔、担当している分野、手がけた事例を、本人の了解を得て載せておきます。
担当する人が見えていると、頼む側は打ち合わせの様子を思い浮かべやすくなります。
代表ひとりが窓口になっている場合も、制作に関わる人の顔が見えるだけで、事務所としての信頼が増します。
よくある質問
Q. 作品集のサイトは、作り直したほうがいいですか?
全部を作り直す必要はありません。
いま載せている作品の中から、依頼してほしい仕事に近いものを3つ選び、背景と進め方を書き足すところから始めてください。
作り直すより、書き足すほうが早く効き目が出ます。
Q. SNSでの発信は、やめたほうがいいですか?
やめる必要はありません。
投稿から興味を持った人が飛ぶ先に、事例と頼み方のページがあれば、投稿の効き目はずっと上がります。
投稿の数を増やす前に、飛んだ先のページを整えてください。
Q. 料金はサイトに書いたほうがいいですか?
仕事の種類ごとに目安を書けるなら、書いておくと問い合わせの前の迷いが減ります。
ただし、デザインの料金は依頼の中身によって大きく変わるため、目安を書くのが難しい場合もあります。
その場合は、見積もりの出し方と、返事までの日数を書いておけば十分です。
Q. 下請けの仕事は、減らしたほうがいいですか?
急に減らす必要はありません。
下請けの仕事は、暮らしを支えながら直請けの準備をするための大切な土台です。
直請けの依頼が少しずつ入り始めてから、時間の配分を見直していけば間に合います。
Q. 守秘の約束で、載せられる作品がほとんどありません。
作品の画像がなくても、事例は書けます。
業種と規模、依頼の背景、制約、関わった工程を、社名を伏せて言葉で書いてください。
依頼主に、社名と画像を伏せた書き方なら載せてよいかを確かめておくと安心です。
まとめ
デザイナーの集客は、知らせる量を増やすだけでは、直接の依頼が増えません。
企業の担当者は、サイトを見て「この人がいい」と思っても、上司や社長に説明できる材料がなければ依頼を決められないからです。
内閣官房などの令和3年度の調査では、フリーランスの72.7%が仲介を使わずに依頼者から直接仕事を受けていました。
直接やり取りする相手に選ばれるには、作品の画像に、依頼の背景と進め方と取引の決まりを添えることが近道です。
デザイナーを主役にするのをやめ、頼む側の担当者を主役にして、デザイナーはその人の仕事の案内役として登場する。
その考え方を、私たちは「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいます。
今日できる点検
最後に、今日のうちに自分のサイトで確かめられることを表にまとめました。
全部を一度に直す必要はありません。
いちばん気になった1か所から始めてください。
| 点検する場所 | 確かめること | 直すときの方向 |
|---|---|---|
| トップページの最初の画面 | 受けている仕事の分野が1つの言葉で分かるか | いちばん続いている仕事の分野を1行で書く |
| 作品集のページ | 作品ごとに依頼の背景が書いてあるか | 依頼してほしい仕事に近い3つに背景を書き足す |
| 事例の進め方 | 期間と打ち合わせの回数が書いてあるか | 回数と期間を数字で書く |
| 頼み方のページ | 問い合わせから納品までの流れがあるか | 段階ごとに、用意してもらうものを添える |
| 取引の決まり | 書面の取り交わしと支払期日の扱いが書いてあるか | 依頼の際に書面で条件を示すことを書く |
| 受けられない条件 | 断る条件が書いてあるか | 短すぎる納期など、受けない条件を先に書く |
| 問い合わせの欄 | 連絡の方法と返事までの日数が書いてあるか | 返事までの日数の目安を書く |
点検してみて、どこから手をつければいいか迷ったときは、いちばん自信のある事例に背景の一文を書き足すところから始めてください。
背景の一文は、作品を見る担当者にも、発注を決める上司にも、最初に必要になる情報だからです。
次に名刺を渡す前に、自分のサイトを、デザインを初めて頼む会社の担当者の目で上から読んでみてください。
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