開業して1年ほどたつのに、新しい患者さんがなかなか増えない。
チラシを配っても反応が薄く、一度来た人も2回目の予約を入れずに離れていく。
この記事は、そうした悩みを抱える整骨院や接骨院の院長の方と、院のホームページやチラシを任されている方に向けて書いています。
最初に、整骨院を探している人が、電話をかける直前にどこで迷っているのかを整理します。
次に、柔道整復の広告には法律で細かな決まりがあるという前提に立って、何をどの順番で直せば初めての人が安心して予約してくれるのかを見ていきます。
読み終えたときに、自院のホームページかチラシで最初に直す場所が1つ決まっている。
そこをこの記事のゴールにしています。
Q&Aサイトで見かけた、ある院長の悩み
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿者は、開業して1年に満たない20代の院長でした。
施術をするのは院長ひとりで、受付のスタッフが交代で入っている小さな院です。
相談の中身
最近はリピーターが減り、ポスティングや新聞の折り込みチラシを出しても反応がほとんど無い、という相談でした。
院内には音楽を流し、施術のあとには香りつきのおしぼりを渡し、待合にはマッサージ機を置いている。
できる工夫は重ねているのに、なぜ人が増えないのか分からない、という書き方でした。
チラシにどう書けばよいのか、どんな失敗があるのかを、同業者にも同業者でない人にも聞きたいと結ばれていました。
回答に並んだ2つの意見
回答は、大きく2つに分かれていました。
1つは、サービスにこだわるより施術で差をつけるしかなく、宣伝は口コミが一番だという意見です。
もう1つは、同業の方の長い回答でした。
前任の院長がチラシや初診の割引を重ねても赤字が続いていたところ、施術の前後で何が変わったのかを毎回きちんと説明するようにしたら、広告を出さずに通い続ける人が増えた、という経験談です。
この回答者は、週に1回や月に1回のペースで通う人が中心なので、新しい人が週に6人来ても1日あたりでは1人しか増えない、という計算も添えていました。
2つの回答は、どちらも正しいことを言っています。
ただ、この院長がいま知りたいのは、口コミが育つまでの間に、初めての人にどうやって最初の1回を決めてもらうかです。
相談者の院を、外から見た姿に置き換える
相談の中身を、初めて院を探す人の目線で置き換えてみます。
施術するのは院長ひとり、ベッドは2台なので、同じ時間に受けられるのは多くても2人です。
つまり、行けばすぐに診てもらえるとは限らず、予約をしたほうが確実な院だということになります。
ところが、チラシにもホームページにも、予約の方法や混みやすい時間帯の案内はありませんでした。
外から見ると、行ってみたら待たされるかもしれない院に見えていた可能性があります。
小さな院ほど、予約の案内と空いている時間帯の情報は、来院を決める大きな材料になります。
これは9割の院が陥る罠です
この相談で院長が挙げた工夫は、どれも来院した人のためのものでした。
音楽も、おしぼりも、マッサージ機も、院の中に入ってから初めて分かることです。
院の外にいる人には何も届いていない
整骨院を探している人は、まだ院の外にいます。
その人が知りたいのは、自分の痛みでこの院に行ってよいのか、保険は使えるのか、何時まで開いているのか、車を停められるのか、という院に入る前の話です。
チラシに院内の工夫を並べても、この問いには答えていません。
院の中の心づかいは、院の外の人には見えません。
院長の工夫は、2回目以降の人のためのもの
音楽やおしぼりの工夫が無駄だと言いたいわけではありません。
こうした心づかいは、一度来てくれた人が「また来たい」と感じる理由になります。
ただ、それが効くのは2回目以降の人に対してです。
初めての人を呼ぶ仕事と、来てくれた人をつなぎ止める仕事は、分けて考える必要があります。
相談者の院では、つなぎ止める工夫は重ねられていたのに、初めての人を呼ぶための情報がほとんど外に出ていませんでした。
迷っている人は電話の手前で止まる
整骨院は、行ってみないと中が分からない場所です。
初めての人ほど、何をされるのか、どれくらい時間がかかるのか、途中で断れるのかが気になります。
この不安が1つでも残っていると、人は電話をかけずに画面を閉じ、次の院を探し始めます。
チラシの反応が悪いと感じるとき、読まれてはいても、この手前で止まっている場合が少なくありません。
| 読んでいるあなたの状況 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 開業から1〜2年で新しい患者が増えない | 院の存在は知られても、行ってよいかの判断材料が無い | 初めての日の流れと保険の扱いを先に書く |
| チラシやポスティングの反応が落ちてきた | 院内の工夫や割引を並べ、行く前の不安に答えていない | チラシの見出しを「行く前の疑問」に置き換える |
| 1回来た人が2回目を予約しない | 施術の前後で何が変わったかが伝わっていない | 施術のあとに変化と次の目安を説明する |
| 地図の口コミが少ない、または偏っている | 口コミを頼む場面が決まっていない | 説明を終えたあとに一言添える場面を決める |
| ホームページはあるが電話が鳴らない | 書いてよい事項を探しながら書いたので、中身が薄い | 書いてよい事項を患者の都合から並べ直す |
表のどの行に近いかを1つ決めておくと、この先の話を自院に当てはめやすくなります。
この記事では、開業から数年の個人の院を中心に書き、複数の院を持つ場合に違いが出るところは後半で補います。
整骨院を探す人が、電話の前に確かめていること
では、院の外にいる人は、具体的に何を確かめてから電話をかけるのでしょうか。
来院のきっかけで多いのは、ぎっくり腰や寝違え、部活動や仕事中のけが、交通事故のあとの痛みです。
どれも「急に痛くなった」「今日か明日には診てほしい」という状況で探しています。
今日行けるかどうか
痛みがある人は、まず今日か明日に行けるかを見ます。
施術時間と休みの日、予約が要るかどうか、当日でも受けてもらえるかが、最初に探される情報です。
ここが見つからないと、どれだけ院の説明が丁寧でも、人は次の院を開きます。
夜遅くまで開いている、土日も開いている、という事実は、それだけで選ばれる理由になります。
自分の痛みで行ってよいのか
次に気になるのが、自分の症状で整骨院に行ってよいのかどうかです。
整形外科と整骨院の違いが分からない人は多く、レントゲンを撮らなくて大丈夫なのか、病院に行くべきなのかと迷います。
この迷いに答えずにいると、慎重な人ほど病院を選び、整骨院には来ません。
保険が使えるのか
整骨院の料金を気にする人は、保険が使えるかどうかを必ず確かめます。
Q&Aサイトにも、整骨院で保険が使えると思って行ったら使えなかった、同意書に何を書かされたのか分からない、という質問がいくつも並んでいます。
保険の扱いがあいまいな院は、初めての人から見ると、後で思わぬ請求をされるかもしれない院に見えます。
どんな人がやっているのか
最後に、施術をする人の顔と、院の雰囲気を見ます。
ただし、ここで経歴や技術の自慢を並べられないのが整骨院の難しいところで、この点は次の章で詳しく書きます。
駐車場や行き方も含めたこうした確認を通過できた人だけが、電話をかけるか、予約のボタンを押します。
表の5つの確認は、スマートフォンの小さな画面で、数十秒のうちに行われます。
どれか1つでも見つからなければ、人は戻るボタンを押し、次の院の情報を開きます。
| 探している人が確かめること | 見つからないときに起きること | ホームページやチラシに置くもの |
|---|---|---|
| 今日か明日に行けるか | 次の院を開く | 施術日と施術時間、予約の要否、当日の受付 |
| 自分の痛みで行ってよいか | 病院を選ぶ | けがの種類と、病院をすすめる場合の目安 |
| 保険が使えるか | 後の請求を恐れて見送る | 保険が使える場合と使えない場合の違い |
| どんな人がやっているか | 雰囲気が分からず先延ばしにする | 施術者の氏名と顔、院内の写真 |
| 駐車場や行き方 | 当日に迷うのを嫌がる | 駐車設備と、目印になる建物 |
整骨院の集客が年々むずかしくなっている理由
最初に、整骨院を取り巻く数字を確かめておきます。
感覚で「整骨院が増えた」と言われることは多いものの、実際の数を見ると、その増え方がはっきりします。
施術所の数は10年で1割以上増えた
厚生労働省が公表した令和6年の衛生行政報告例には、次のように書かれています。
「「柔道整復の施術所」は50,924か所で、前回に比べ8か所(0.0%)増加している。」
同じ統計で10年前の平成26年末を見ると、柔道整復の施術所は45,572か所でした。
10年で5,352か所、率にして11.7%増えたことになります。
働いている柔道整復師も、平成26年末の63,873人から、令和6年末には78,666人まで増えています。
増えるのが止まった今、奪い合いが始まっている
ここ2年の増加は8か所にとどまり、数の伸びはほぼ止まりました。
新しい院が増えなくなったのは、需要がそれ以上伸びないところまで院が行き渡ったからだと読めます。
つまり今は、同じ地域の限られた患者を、すでにある院どうしで分け合っている状態です。
Q&Aサイトにも、近所の通りに整骨院が4軒も並んでいるのは儲かるからなのか、という質問が寄せられていました。
| 時点 | 柔道整復の施術所 | 就業している柔道整復師 |
|---|---|---|
| 平成26年末 | 45,572か所 | 63,873人 |
| 平成30年末 | 50,077か所 | 73,017人 |
| 令和4年末 | 50,916か所 | 77,632人 |
| 令和6年末 | 50,924か所 | 78,666人 |
厚生労働省の衛生行政報告例をもとに、この記事で表にしました。
地域の中で、何軒の院と比べられているか
全国の数字より大切なのは、自院の周りで何軒の院と比べられているかです。
地図のアプリで「整骨院」と検索し、自院から歩いて10分ほどの範囲に何軒あるかを数えてみてください。
それぞれの院が、施術時間、予約、駐車場、保険の扱いをどこまで書いているかを見比べると、自院が書いていない情報がはっきりします。
多くの場合、どの院も同じように院の名前と電話番号しか書いていません。
その中で、行く前の疑問に答えている院が1軒だけあれば、初めての人はその院を選びます。
保険の取り扱いが厳しくなり、来院の理由が変わった
もう1つの変化が、健康保険の扱いです。
整骨院で健康保険が使えるのは、骨折、脱臼、打撲、捻挫、いわゆる肉離れといった、けがによる痛みに限られています。
骨折と脱臼は、応急の手当てをのぞいて医師の同意が必要です。
以前は慢性の肩こりや腰痛にも保険を使う院が見られましたが、保険者による確認が厳しくなり、こうした使い方は難しくなりました。
その結果、保険が使えない痛みについては、自費の施術として選ばれる必要が出てきました。
自費になると、患者は「この院にお金を払う理由」を行く前に探すようになります。
整形外科と整体院のあいだで、患者は迷っている
整骨院を探す人の多くは、整形外科と整体院と整骨院の違いをよく知りません。
整形外科は医師がいて、レントゲンなどの検査ができ、薬も出せます。
整体院は国家資格が無くても開くことができ、健康保険は使えません。
整骨院と接骨院は、柔道整復師という国家資格を持つ人が施術をし、けがによる痛みには健康保険が使えます。
この違いを知らない人から見ると、3つは同じ「体の痛みを診てくれる場所」に見えます。
そのため、整骨院は整形外科とも整体院とも比べられ、どちらにも負けやすい立場に置かれています。
違いを説明しない院は、整体院と同じに見える
ホームページで整骨院であることを説明していないと、探している人は整体院と区別がつきません。
整骨院は国家資格を持つ人が施術する場所で、けがによる痛みには保険が使える。
この事実は、書いてよい事項の範囲で伝えられます。
柔道整復師である旨、ほねつぎや接骨という言葉、療養費の申請ができる旨は、いずれも告示や条文で認められています。
ここを最初にきちんと伝えるだけで、「どこに行けばいいのか分からない」という人の迷いを1つ減らせます。
柔道整復の広告には、法律で決まりがある
ここからが、整骨院の集客でいちばん見落とされている点です。
整骨院や接骨院の広告は、柔道整復師法という法律で、書いてよい事項が限られています。
条文が書いていること
柔道整復師法の第24条は、次のように定めています。
「柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。」
書いてよい事項として挙げられているのは、柔道整復師である旨と氏名、施術所の名称と電話番号と場所、施術日と施術時間、そして厚生労働大臣が指定する事項です。
同じ条の第2項には、こうあります。
「その内容は、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。」
つまり、腕がいい、この施術法で治す、有名な先生のもとで学んだ、といった内容は、広告に書けません。
厚生労働大臣が指定する事項
大臣が指定する事項は、厚生省の告示で決められています。
ほねつぎ又は接骨という言葉、届け出た施術所である旨、医療保険の療養費の支給申請ができる旨、予約による施術、休日や夜間の施術、出張による施術、駐車設備に関する事項です。
療養費の支給申請ができる旨については、脱臼や骨折の施術に医師の同意が要ることを明示する場合に限る、という条件がついています。
令和7年に指針ができた
令和7年2月18日には、厚生労働省が、あん摩マッサージ指圧やはり、きゅう、柔道整復の広告についての指針を定めました。
この指針は、次の3つをすべて満たすものを広告として扱うとしています。
「利用者を施術所等に誘引する意図があること」「施術者の氏名又は施術所等の名称が特定可能であること」「一般人が認知できる状態にあること」
院の名前が入り、来てほしいという意図があり、誰でも見られる状態にあるなら、チラシでも看板でもインターネットの情報でも、広告として見られると考えておくのが安全です。
同じ指針は、虚偽のものや、ほかと比べて自院が優れていると示すもの、早く利用するよう過度にあおる表現なども、してはいけない広告として挙げています。
看板や院の外観も、同じ決まりの中にある
広告の決まりは、チラシやホームページだけの話ではありません。
院の前に出す看板や、窓に貼る案内も、院の名前が入り、通る人が見られるなら、同じ決まりの中にあります。
「肩こり、腰痛、何でもお任せ」といった張り紙は、症状への効果をうたう表現として注意が要ります。
看板に書けるのも、院の名前、施術時間、予約や駐車場の案内といった、書いてよい事項が中心です。
決まりを守ることは、患者からの信頼にもつながる
決まりを守った書き方は、患者の側から見ても信頼できる書き方です。
何でも治ると書く院より、どんなけがで来る人が多いのか、保険がどこまで使えるのかを淡々と書く院のほうが、初めての人は安心します。
決まりに沿って書くことが、そのまま選ばれる理由になる、というのが整骨院の集客の面白いところです。
| 書いてよいこと | 書けないこと | 迷ったときの考え方 |
|---|---|---|
| 柔道整復師である旨と氏名 | 施術者の経歴や受賞歴 | 事実でも経歴にあたるものは書かない |
| 院の名称、電話番号、場所 | 腕のよさや技術の自慢 | 患者の感想で言わせるのも避ける |
| 施術日と施術時間、休日や夜間の施術 | 独自の施術法の名前や効果 | 施術の流れの書き方は保健所に確かめる |
| 予約による施術、出張による施術 | ほかの院と比べて優れているという表現 | 比べる言葉を使わない |
| 駐車設備に関する事項 | 早く来るよう過度にあおる表現 | 期限や人数でせかさない |
| 療養費の支給申請ができる旨 | 慢性の痛みにも保険が使えるという表現 | 医師の同意が要る場合を必ず添える |
ホームページやSNSの書き方で判断に迷ったときは、院を管轄する保健所に確かめるのがいちばん確実です。
ホームページで書いてよいことを、一度書き出してみる
決まりを読んだら、自院について書いてよい事項を、紙に書き出してみることをおすすめします。
柔道整復師の氏名、院の名前と電話番号と場所、曜日ごとの施術時間、予約の方法、休日や夜間の施術、出張の有無、駐車場の台数、保険の申請ができる旨。
書き出してみると、思っていたより書けることが多いと気づくはずです。
そして、その多くが、いまのホームページやチラシに載っていないことにも気づきます。
この書き出しが、後の章でページを並べ直すときの材料になります。
世に出回る集客の助言が、決まりとぶつかる
困るのは、世の中に出回っている整骨院の集客の助言の多くが、この決まりを踏まえていないことです。
資格と経歴を載せて信頼を得よ、という助言
よく見かけるのが、施術者の資格や経歴、実績をしっかり載せて信頼を得ましょう、という助言です。
一般のお店ならもっともな助言ですが、整骨院では経歴そのものが広告に書けない事項にあたります。
助言どおりに書くと、指導の対象になりかねません。
施術法を打ち出して差をつけよ、という助言
独自の施術法に名前をつけて打ち出しましょう、という助言もよく見かけます。
これも施術方法に関する事項で、広告としては書けません。
決まりを気にして、何も書けなくなる院
逆に、決まりを知っている院ほど、何を書いても違反になる気がして、院の名前と電話番号と地図しか載せないホームページになりがちです。
これでは、前の章で見た「今日行けるか」「保険が使えるか」という問いに答えられず、探している人は次の院へ移ります。
書けないことを気にするあまり、書いてよいことまで書いていない。
多くの院が本当につまずいているのは、実はここです。
患者が増えないときに、多くの院がやってしまうこと
ここからは、新しい患者が増えないときに院がよく打つ手と、その後に起きることを見ていきます。
どれも一見まっとうな手で、実際に一時的な効果が出ることもあります。
ただ、根っこにある「行く前の不安」には手をつけていないので、しばらくすると元に戻ります。
間違い1 チラシの枚数を増やす
反応が落ちたとき、最初に考えるのがチラシを増やすことです。
配る地域を広げ、折り込みの回数を増やし、自分でもポスティングに出ます。
反応率は上がらず、手間だけが増える。
チラシの中身が同じなら、枚数を増やしても反応する人の割合は変わりません。
配る範囲を広げると、院から遠い人にまで届き、かえって来院にはつながりにくくなります。
整骨院は痛いときに行く場所なので、歩くか車で数分の範囲に住む人でなければ、なかなか足を運びません。
院長がひとりで施術している院では、ポスティングに出る時間そのものが、施術や説明に使えたはずの時間です。
配る時期を考えずに配るのも、反応が落ちる原因になります。
雪が降る時期や、運動会やスポーツの大会が多い時期、年末の大掃除の時期のように、けがが増えやすい時期があります。
配る枚数を増やすより、こうした時期に合わせて、その場面で痛めた人に向けた見出しで配るほうが、同じ枚数でも反応は変わります。
高齢の方に届けたいときは、中身を変える。
日中の空いている時間に、高齢の方に来てほしいという院は多くあります。
Q&Aサイトでも、日中の患者が増えず困っている、高齢の方を増やすにはどうしているか、という相談がありました。
回答には、高齢の方は時間に余裕があり、興味があればチラシを隅から隅まで読む、という意見が寄せられていました。
この意見のとおり、高齢の方はチラシをよく読みます。
だからこそ、読んだあとに「自分が行ってよい院か」が分かる中身になっているかが問われます。
階段があるか、手すりはあるか、送り迎えの家族が車を停められるか、何分くらいで終わるか。
こうしたことは、書いてよい事項の範囲で十分に書けます。
枚数を増やす前に、いま配っているチラシを、院を知らない人の目で読み直してみてください。
施術時間はどこに書いてあるか、保険の扱いは分かるか、駐車場はあるか、初めての日に何をするのか。
この4点がすぐに見つからないなら、枚数を増やしても、同じところで読む人が止まるだけです。
見つからない点を書き足したチラシを、同じ枚数で配ってみるほうが、効果はずっと確かめやすくなります。
間違い2 初回の割引や無料を打ち出す
次によく見かけるのが、初回の割引や、初回無料の打ち出しです。
割引で来た人は、割引が終わると来なくなる。
Q&Aサイトで同業の方が書いていた前任の院長も、初診の割引やクーポンを重ねて赤字が続いていたそうです。
割引で来た人は、割引という理由で来ているので、2回目以降の通常の料金を見た時点で離れます。
割引を目当てに院を回る人ばかりが集まると、施術の中身を評価してくれる人が育ちません。
料金をせかす表現は、指針にも触れる。
令和7年の指針は、早くサービスを利用するよう過度にあおる表現を、してはいけない広告の例に挙げています。
「今月だけ」「先着何名」といった打ち出し方は、この点で注意が必要です。
料金を大きく書いたチラシは、料金で比べられる土俵に自分から上がることにもなります。
SNSでクーポンを配るやり方も、同じ結果になりがちです。
クーポンで来た人の多くは、別の院がもっと大きな割引を出したときに、そちらへ移っていきます。
割引をやめたとたんに予約が減るのは、割引が院を選ぶ理由のすべてになっていたからです。
間違い3 治せる症状を並べ、保険の説明をぼかす
3つ目は、肩こり、腰痛、頭痛、自律神経の乱れ、と症状の名前をずらりと並べるやり方です。
症状を並べるほど、何の院か分からなくなる。
症状を並べるのは、何でも診られることを伝えたいからです。
ところが、見る側から見ると、何でも書いてある院は、何が得意なのかが分からない院に見えます。
しかも、症状に対して効果があると受け取れる書き方は、施術の効果をうたう広告として問題になりえます。
保険をぼかすと、最初の会計で信頼を失う。
症状を並べたうえで保険の説明をぼかすと、慢性の肩こりでも保険で受けられると思って来る人が出てきます。
受付で「その痛みは保険の対象外です」と伝えると、その人は二度と来ません。
Q&Aサイトには、同意書の意味が分からないまま署名した、保険で受けていた施術を途中から自費に切り替えられた、という相談がいくつも寄せられています。
保険のことで不信を持った人は、その話を家族や知り合いにもします。
間違い4 集客の窓口をいくつも増やす
最後は、予約のサイトや地図のアプリ、SNS、動画と、窓口を次々に増やすやり方です。
窓口ごとに情報が食い違う。
窓口を増やすと、施術時間や休みの日の情報を、それぞれで直さなければならなくなります。
どこか1か所だけ古いままだと、その日に来た人が閉まった扉の前で帰ることになります。
窓口が多いほど、この食い違いは起きやすくなります。
更新が止まった窓口は、閉院したように見える。
SNSの最後の投稿が半年前のままになっていると、見た人は院が閉まったのかと思います。
続けられない窓口なら、最初から開かないほうが院のためになります。
| よくある打ち手 | しばらく後に起きること | 代わりにすること |
|---|---|---|
| チラシの枚数を増やす | 反応率は変わらず、院長の時間が減る | チラシの中身を「行く前の疑問」への答えに替える |
| 初回の割引や無料を打ち出す | 割引目当ての人が集まり、2回目で離れる | 初めての日の流れと所要時間を伝える |
| 治せる症状をずらりと並べる | 何の院か分からず、効果をうたう書き方にもなる | 来院のきっかけになるけがの種類を書く |
| 保険の説明をぼかす | 受付で対象外と分かり、信頼を失う | 保険が使える場合と使えない場合を分けて書く |
| 窓口をいくつも増やす | 情報が食い違い、更新が止まる | 続けられる窓口に絞り、施術時間を1か所で管理する |
予約のサイトに頼りきるのも、この打ち手の1つです。
予約のサイトは、探している人に見つけてもらいやすい反面、ほかの院と一覧で並べられ、料金や割引で比べられます。
予約のサイトから来た人が、次に別の院を予約するのも、同じ一覧からです。
予約のサイトを使う場合も、自院のホームページに行く前の疑問への答えをそろえ、2回目からは院に直接予約してもらう流れを作っておきます。
間違い5 資格や施術法の名前で差をつけようとする
ほかの院との違いを出そうとして、取った資格の名前や、学んだ施術法の名前を前に出す院もあります。
第2章で見たとおり、経歴や施術方法に関する事項は、広告として書けません。
仮に書けたとしても、施術法の名前は、探している人にとってほとんど意味を持ちません。
痛みを抱えた人が知りたいのは、その施術法の名前より、自分の痛みを今日診てもらえるかどうかです。
違いは、院の中での説明の丁寧さや、行く前の疑問への答えのそろい方で出すほうが、決まりにも触れず、患者にも伝わります。
うまくいかない院に共通する、院長の時間の使い方
5つの打ち手には、もう1つ共通点があります。
どれも、院長の時間をじわじわと奪っていくことです。
チラシを配り、割引の仕組みを考え、窓口ごとに情報を直し、SNSに投稿する。
ひとりで施術している院では、こうした作業が増えるほど、施術のあとの説明が短くなります。
Q&Aサイトで同業の方が書いていたように、通い続けてもらえるかどうかを決めるのは、施術の前後の説明です。
集客のための作業が、その説明の時間を削っているとしたら、本末転倒です。
同業の院と同じ打ち手を真似る危うさ
近くの院がチラシを増やせば自院も増やし、割引を出せば自院も出す、という動き方も見かけます。
同じ打ち手を真似ると、探している人から見た違いはますます無くなります。
どの院も同じことを言っているなら、人は家から近い院か、料金の安い院を選ぶしかありません。
真似をするなら、ほかの院が書いていない、行く前の疑問への答えを先に書くことです。
どの打ち手も、院の話から始まっている
表に並べた5つの打ち手に共通しているのは、どれも院が言いたいことから始まっている点です。
枚数も、割引も、症状の一覧も、窓口の多さも、院がどれだけ頑張っているかを示すものです。
探している人が知りたい「今日行けるか」「行ってよいか」「保険は使えるか」には、どれも答えていません。
次の章では、この順番をひっくり返します。
売れるサイトはみな謙虚という考え方
ここで、この記事の軸になる考え方をお伝えします。
合同会社謙虚では、中小企業のホームページを見直すときに「売れるサイトはみな謙虚」という言葉を使っています。
院が言いたいことを引き算し、訪れた人が知りたいことを、知りたい順に置く。
選ばれている院のホームページやチラシは、例外なくこの形になっています。
決まりがあるから、謙虚な形が作りやすい
整骨院の場合、この考え方は法律の決まりと驚くほど相性がよくなります。
第2章で見たとおり、柔道整復の広告で書けないのは、技能や施術方法や経歴、つまり院が言いたいことです。
反対に、書いてよい事項を並べてみると、施術時間、休日や夜間の施術、予約、出張、駐車設備と、どれも患者の都合に関わることばかりです。
法律は、院の自慢を書かせず、患者の都合を書かせるように作られています。
決まりを窮屈な制限と見るか、何を書けばよいかの手がかりと見るかで、ホームページの中身は大きく変わります。
自慢を引き算すると、見る人の問いが残る
院長の経歴や施術法の説明を外すと、ページに何も残らない気がするかもしれません。
実際には、そこに「今日行けるか」「行ってよいか」「保険は使えるか」「どうやって行くか」という、見る人の問いへの答えを置くことになります。
この答えがそろっている院は、経歴を並べた院より、初めての人にとってずっと行きやすく見えます。
院長の人柄は、言葉づかいで伝わる
経歴を書けない分、院長の人柄をどう伝えればよいのかと悩む方もいます。
人柄は、経歴の一覧より、ページの言葉づかいに表れます。
初めての人に向けて、何をするのか、どれくらいかかるのか、保険はどうなるのかを、やさしい言葉で順番に説明しているページは、それだけで丁寧な院だと伝わります。
相談者は、おっとりした大人しい先生だと言われると書いていました。
その穏やかさは、自慢の言葉より、落ち着いた説明の文章の中でこそ伝わります。
書いてよい事項を、患者の都合から並べ直す
ここからは、書いてよい事項を1つずつ、患者の目線で並べ直していきます。
施術時間と休みの日は、いちばん上に置く
施術時間と休みの日は、ページの最初の画面で見える場所に置きます。
受付の終了時刻が施術の終了時刻と違うなら、受付は何時までかをはっきり書きます。
祝日の扱いや、年末年始の休みも、決まり次第すぐに書き足します。
予約の要否と、当日の受け付け
予約による施術は、告示で書いてよいとされている事項です。
予約が必要なのか、予約なしでも受けてもらえるのか、当日の予約はできるのかを書きます。
痛みがある人ほど「今日行きたい」ので、当日の受け付けができるなら、それは強い来院の理由になります。
休日や夜間の施術
仕事帰りに通いたい人や、平日に休めない人は、夜間や休日の施術を探しています。
夜は何時まで、土日のどちらが開いているかを、曜日ごとに分かる形で書きます。
駐車設備と行き方
駐車設備に関する事項も、告示で書いてよいとされています。
台数、場所、院の前に停められるのか、近くの駐車場を使うのかを書きます。
高齢の方の送り迎えをする家族にとって、停めやすさは院を選ぶ大きな理由です。
出張による施術
外出がむずかしい高齢の方のために出張をしているなら、それも書けます。
どの地域まで行けるのか、どう申し込めばよいのかを添えると、家族が問い合わせやすくなります。
| 書いてよい事項 | 患者が知りたいこと | ページでの書き方 |
|---|---|---|
| 施術日と施術時間 | 今日行けるか、仕事帰りに間に合うか | 曜日ごとの表にし、受付の終了時刻も書く |
| 予約による施術 | 予約が要るか、当日でもよいか | 予約の方法と当日の受け付けの有無を書く |
| 休日や夜間の施術 | 平日に休めなくても通えるか | 夜は何時まで、土日のどちらが開くかを書く |
| 駐車設備 | 車で行けるか、家族が送れるか | 台数と場所、停めやすさを書く |
| 出張による施術 | 外出がむずかしくても受けられるか | 行ける地域と申し込み方を書く |
| 療養費の支給申請ができる旨 | 保険が使えるか | 医師の同意が要る場合を必ず添える |
高齢の方と、送り迎えをする家族に向けて書く
日中の空いた時間に来てほしい高齢の方には、本人だけでなく、送り迎えをする家族にも向けて書きます。
入口に段差があるか、施術用のベッドへの上り下りを手伝ってもらえるか、待合で家族が待てる場所があるか。
こうした情報は、技能や経歴にあたらないので、院の設備の説明として書けます。
家族が「ここなら親を連れて行ける」と判断できれば、予約の電話は家族からかかってきます。
部活動や仕事のけがで来る人に向けて書く
学生の部活動のけがや、仕事中のけがで来る人は、練習や仕事にいつ戻れるかを気にしています。
問診で練習や仕事の予定を聞き、戻る時期の目安を一緒に考えることを、初めての日の流れの中に書いておきます。
仕事中のけがは労災保険の対象になる場合があるので、勤め先への届け出が要ることも添えます。
初めての日の流れを、順番に書く
書いてよい事項に加えて、初めての人の不安をいちばん減らすのが、来院した日の流れです。
何をされるのか分からない不安は、順番と所要時間が分かるだけでかなり小さくなります。
受付と問診で、保険の対象かを確かめる
初めての日は、受付で問診票を書いてもらうところから始まります。
いつ、どこで、何をしていて痛めたのかを聞き、けがによる痛みかどうかを確かめます。
ここで保険の対象になるかどうかを伝え、対象外なら自費の施術になることを、施術の前に説明します。
この順番をページに書いておくだけで、会計の場で驚かせることがなくなります。
病院をすすめる場合があることも書く
問診の結果、骨折が疑われる場合や、しびれが強い場合には、先に病院での検査をすすめることがあります。
このことを書いておくと、慎重な人ほど「無理に施術をされない院」として安心します。
整形外科に行くべきか迷っている人にとって、その判断を手伝ってくれる院は頼りになる存在です。
所要時間と服装
初めての日は、問診と説明を含めて何分くらいかかるのかを書きます。
着替えがあるか、どんな服装で来ればよいかも添えておくと、仕事帰りの人が準備しやすくなります。
痛みが強い日に来た人への配慮
ぎっくり腰のように、歩くのもつらい状態で来る人もいます。
そうした人のために、院の前まで車をつけられるか、待合で横になれる場所があるかを書いておくと、家族が連れて行く決心をしやすくなります。
電話で痛みの様子を聞き、来院の時間を調整できるなら、そのことも書いておきます。
保険が使える場合と、使えない場合を分けて書く
保険の説明は、あいまいにせず、使える場合と使えない場合を分けて書きます。
使える場合
けがによる痛みで、骨折、脱臼、打撲、捻挫、肉離れにあたる場合です。
骨折と脱臼は、応急の手当てをのぞいて医師の同意が要ることを添えます。
使えない場合
原因がはっきりしない慢性の肩こりや腰痛、疲れをほぐしたいという場合は、保険の対象になりません。
この場合は自費での施術になることを、同じ場所に書きます。
交通事故のあとの痛み
交通事故のあとの痛みは、自動車の保険で施術を受けられる場合があります。
保険会社への連絡が必要なことや、病院の受診もあわせてすすめることを書いておくと、事故のあとで不安な人が問い合わせやすくなります。
| 来院のきっかけ | 保険の扱い | ページに添えること |
|---|---|---|
| 急に痛めた捻挫や打撲、肉離れ | 健康保険の対象になる | いつどこで痛めたかを問診で確かめる |
| 骨折や脱臼 | 応急の手当てをのぞき医師の同意が要る | 病院での検査をすすめる場合があること |
| 原因のはっきりしない慢性の痛み | 健康保険の対象にならない | 自費での施術になること |
| 交通事故のあとの痛み | 自動車の保険で受けられる場合がある | 保険会社への連絡と病院の受診 |
| 仕事中のけが | 労災保険の対象になる場合がある | 勤め先への届け出が要ること |
保険の説明は、受付での言い方とそろえる
ホームページに書いた保険の説明は、受付で患者に伝える言い方とそろえておきます。
ページには「けがによる痛みは保険の対象」と書いてあるのに、受付では別の言い方をすると、患者は混乱します。
問診票にも、いつどこで痛めたかを書く欄を設け、ページの説明と同じ順番で確かめていきます。
ページと問診票と受付の言葉がそろっている院は、会計の場で揉めることがほとんどありません。
保険をめぐる不信が生まれないことは、口コミの評価を守ることにもつながります。
施術のあとの説明が、2回目の予約と口コミを生む
ここまでで、初めての1回を決めてもらう準備が整いました。
最後に、Q&Aサイトで同業の方が書いていた、通い続けてもらうための話に戻ります。
前回と今回の変化を、毎回伝える
その方は、施術のあとに前回と今回で何が変わったのかを毎回説明するようにしたところ、広告を出さなくても通い続ける人が増えたと書いていました。
施術の中身そのものは広告に書けませんが、院の中で患者に直接説明することは、何の問題もありません。
変化を言葉にしてもらった患者は、自分の体が良くなっていることを実感し、次の予約を自分から入れます。
口コミは、説明を終えた場面で頼む
地図の口コミは、頼まなければなかなか増えません。
変化を説明し、次の目安を伝え終えた場面は、患者がいちばん納得している瞬間です。
そこで「よろしければ、感じたことを地図の口コミに書いていただけると、同じように迷っている方の参考になります」と一言添えます。
口コミの見返りに割引をすることは、やらせの疑いを招くので避けます。
次に来る目安を、日付で伝える
「また痛くなったら来てください」と伝えると、多くの人はそのまま来なくなります。
「3日後にもう一度見せてください」のように、次に来る目安を日付で伝えると、予約につながりやすくなります。
説明に使う言葉を、院の中でそろえる
施術のあとの説明は、院長によって、また日によってばらつきがちです。
前回と比べて何が変わったか、次はいつ来ればよいか、家でどう過ごせばよいか。
この3つを毎回伝えると決めておくと、説明の長さや言葉がそろい、患者も何を聞けばよいかが分かるようになります。
説明の中で使う言葉も、専門用語を避け、患者が家族に話せる言葉を選びます。
患者が家に帰って「今日はここが変わったと言われた」と家族に話すことが、次の紹介につながります。
受付の一言で、2回目が決まることもある
施術のあとの説明と同じくらい大切なのが、会計のときの受付の一言です。
「次は何日ごろがよいと先生が話していましたので、ご予約をお取りしましょうか」と受付が声をかけると、説明の内容が予約に結びつきます。
院長が説明したことを受付が知らないと、この一言は出てきません。
施術のあとに、次の目安をカルテに一言書いておき、受付がそれを見て声をかける流れにしておきます。
Q&Aサイトの相談者のように、受付のスタッフが交代で入っている院ほど、この引き継ぎを決めておく意味があります。
チラシとホームページを、どう書き換えるか
考え方が分かっても、実際の文面に落とすところで手が止まる院は多いものです。
ここでは、よくある書き方を、書いてよい事項の範囲で書き換えた例を並べます。
見出しは、院の自慢から、行く前の疑問への答えに替える
チラシのいちばん上には、院の名前と大きな宣伝文句が置かれていることがよくあります。
この場所を、探している人がまず知りたい「今日行けるか」への答えに使います。
たとえば「夜8時まで受付、土曜も施術しています」「駐車場4台、院の前に停められます」といった事実です。
症状の一覧を、来院のきっかけに替える
肩こり、腰痛、頭痛と症状を並べる代わりに、どんな場面で痛めた人が来ているかを書きます。
「朝、顔を洗おうとして腰を痛めた」「部活動の練習中に足首をひねった」といった場面です。
読んだ人は、自分と同じ場面を見つけたときに「ここに行ってよいのだ」と感じます。
院内の心づかいは、最後に短く添える
音楽やおしぼり、待合のマッサージ機は、院に来てから喜ばれるものです。
書くなら最後に短く添える程度にし、最初の画面は行く前の疑問への答えに譲ります。
| よくある書き方 | 起きていること | 書き換えた例 |
|---|---|---|
| 院名と「確かな技術で根本から改善」 | 技能をうたう表現で、行く前の疑問にも答えていない | 「夜8時まで受付、土曜も施術しています」 |
| 院長の経歴と資格の一覧 | 経歴は広告に書けない事項にあたる | 柔道整復師である旨と氏名、顔写真 |
| 肩こり、腰痛、頭痛などの症状の一覧 | 何の院か分からず、効果をうたう書き方になる | 「朝、顔を洗おうとして腰を痛めた方が来ています」 |
| 「初回限定、今月だけ」 | 過度にあおる表現として注意が要る | 初めての日の流れと所要時間 |
| 「各種保険取り扱い」だけ | 慢性の痛みでも使えると誤解される | 保険が使える場合と使えない場合を分けた一覧 |
チラシの裏面は、初めての日の流れに使う
チラシの表で行く前の疑問に答えたら、裏面には初めての日の流れを書きます。
受付と問診、保険の確認、施術、説明と次の目安という順番と、それぞれにかかる時間の目安です。
地図と駐車場の場所も裏面に置くと、チラシを持ったまま来院できます。
裏面まで読んだ人は、来院の準備がほぼ整った人です。
直したあとに見る数字
書き換えたら、効いているかどうかを数字で確かめます。
見る数字は多くなくてかまいません。
電話と予約の数を、曜日ごとに数える
いちばん大事なのは、新しい人からの電話と予約の数です。
受付で「初めての方」からの電話を、曜日ごとに正の字で数えるだけでも十分です。
書き換えの前の4週間と、あとの4週間を比べます。
どこで院を知ったかを聞く
問診票に「どこで当院を知りましたか」という欄を1つ入れます。
チラシ、地図のアプリ、ホームページ、紹介と、選べる形にしておくと集計が楽になります。
2回目の予約の割合を見る
初めて来た人のうち、何人が2回目の予約を入れたかを数えます。
この割合が上がっていれば、施術のあとの説明がうまく伝わっている証拠になります。
数字を見る時期
書き換えの効果は、すぐには出ません。
地図のアプリやホームページの情報が検索に反映され、チラシが手元に届くまでには時間がかかります。
最初の判断は、書き換えから4週間たってからにします。
季節によって、けがの多い時期と少ない時期があるので、前の年の同じ月とも比べておくと判断を誤りにくくなります。
| 見る数字 | 数え方 | 下がっていたら見直す場所 |
|---|---|---|
| 初めての人からの電話の数 | 受付で曜日ごとに数える | チラシとホームページの最初の画面 |
| どこで院を知ったか | 問診票の選択欄で集計する | 反応の少ない窓口を続けるかどうか |
| 2回目の予約の割合 | 初めて来た人のうち次を予約した人を数える | 施術のあとの説明と、次の目安の伝え方 |
| 地図の口コミの数 | 月ごとに増えた数を記録する | 口コミを頼む場面の決め方 |
院の状況によって変わるところ
ここまでの話は、院長がひとりで施術している院を想定してきました。
院の状況によって、力を入れる場所が少し変わります。
複数の院を持っている場合
分院がある場合は、院ごとに施術時間や駐車設備が違うことがよくあります。
ホームページでは、院ごとのページを分け、それぞれの施術時間と行き方を最初の画面に置きます。
情報を1か所にまとめて載せると、どの院の話なのかが分からなくなり、違う院に行ってしまう人が出ます。
開業したばかりの院が、最初の3か月でやること
開業したばかりの院は、口コミも紹介もまだありません。
最初の3か月は、ホームページと地図のアプリの情報を、施術時間、予約、駐車設備、初めての日の流れの4点でそろえることに集中します。
チラシを配るなら、院から歩いて行ける範囲に絞り、見出しを行く前の疑問への答えにします。
開業の前後は、内装や機器の準備で手一杯になりがちですが、この4点がそろっていないまま配ったチラシは、ほとんど反応を生みません。
自費の施術を中心にしたい院
保険の対象にならない痛みを、自費の施術で受け入れていきたい院もあるでしょう。
その場合も、施術方法や効果をうたうことはできません。
自費になる場合と保険が使える場合を分けて書き、初めての日に何分かかり、どんな説明をするのかを伝えることが、自費の施術を選んでもらう近道になります。
料金が気になる人には、院の中で丁寧に説明できるよう、問い合わせの窓口を分かりやすく置いておきます。
受付のスタッフが交代で入っている院
受付のスタッフが交代で入っている院では、電話での答え方がスタッフごとに違わないようにしておきます。
保険が使えるかと聞かれたときの答え方、当日の予約を受けられるかの判断、駐車場の案内の仕方を、紙1枚にまとめて受付に置きます。
ホームページに書いた内容と、電話で答える内容がそろっていると、初めての人は安心して来院できます。
電話で聞かれることが多い質問は、そのままホームページのよくある質問に書き足していきます。
よくある質問
Q1. ホームページも広告の決まりの対象になりますか
令和7年の指針は、誘引する意図、院の名前が特定できること、一般の人が見られることの3つを満たすものを広告として扱うとしています。
ホームページもこの3つにあてはまることが多いので、決まりの対象になると考えて書くのが安全です。
判断に迷う書き方は、院を管轄する保健所に確かめてください。
都道府県や市の保健所の中には、施術所の広告についての案内をホームページで公開しているところもあります。
Q2. 施術者の経歴を載せたいときはどうすればよいですか
経歴は、広告に書けない事項にあたります。
代わりに、柔道整復師である旨と氏名、顔写真を載せ、院の中で患者に直接お話しするようにします。
経歴を書かなくても、初めての日の流れを丁寧に説明しているページは、施術者の人柄を十分に伝えてくれます。
Q3. 患者さんの声を載せてもよいですか
患者の感想の形をとっていても、施術の効果をうたう内容になると、広告として問題になりえます。
載せる場合は、効果に触れない感想にとどめ、判断に迷うものは保健所に確かめてください。
Q4. 保険が使えることは書いてよいですか
療養費の支給申請ができる旨は、告示で書いてよいとされている事項です。
ただし、脱臼や骨折の施術に医師の同意が要ることを明示する場合に限られます。
慢性の痛みには使えないことも、同じ場所に書いておきます。
Q5. 開業したばかりで口コミがありません
口コミが無いうちは、施術時間、予約、駐車設備、初めての日の流れといった、行く前の疑問への答えを厚くします。
施術のあとに変化を説明し終えた場面で一言頼むことを続ければ、口コミは少しずつ増えていきます。
まとめ
整骨院の集客は、施術所の数が伸び止まった中で、限られた患者を分け合う段階に入っています。
そのうえ、柔道整復の広告では、技能や施術方法や経歴を書くことができません。
書いてよいのは、施術時間、休日や夜間の施術、予約、出張、駐車設備、保険の申請といった、患者の都合に関わることばかりです。
この決まりを手がかりにして、行く前の疑問に答える順番でページとチラシを並べ直すと、初めての人が迷わず電話をかけられるようになります。
2回目からは、施術のあとの説明が患者をつなぎ止め、口コミを育てます。
Q&Aサイトの相談者のように、院の中の工夫を重ねてきた院ほど、外に向けた情報をそろえたときの伸びしろは大きいはずです。
厚生労働省の衛生行政報告例によると、柔道整復の施術所は全国に50,924か所あります。
その中で選ばれる院になるための材料は、実はもう院長の手元にそろっています。
より詳しい考え方や、ほかの業種での例は、合同会社謙虚のトップページでもご紹介しています。
今日できる点検
最後に、今日のうちに確かめられることを表にまとめます。
| 点検すること | 確かめ方 | できていなかったら |
|---|---|---|
| 施術時間と休みの日が最初の画面にあるか | スマートフォンでホームページを開く | 曜日ごとの表を最初の画面に移す |
| 予約の要否と当日の受け付けが書いてあるか | ホームページとチラシを見比べる | 予約の方法と当日の扱いを書き足す |
| 保険が使える場合と使えない場合が分かれているか | 保険の説明の部分を読む | 表にして分けて書く |
| 経歴や施術法の自慢が残っていないか | 広告に書いてよい事項と照らし合わせる | 削るか、院の中での説明に回す |
| 駐車設備と行き方が書いてあるか | 初めての人の目で行き方を追う | 台数と場所、目印を書き足す |
スマートフォンで自院のホームページを開き、最初の画面に施術時間と休みの日が見えるかを確かめてください。
見えたら、次は保険の説明を読み、使える場合と使えない場合が分かれているかを確かめます。
2つとも見えなければ、施術時間の表を最初の画面に移すところから始めてください。
そこが最初に直す場所です。
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