AIに引用される記事の材料は、検索して出てくる情報より先に、社内の人から聞き取った事実で集めます。
聞き取るのは、数字・条件・断っている仕事・実際にあった失敗の4種類です。
聞いた数字は、元の資料で確かめてから載せます。
「残りわずか」「限定」と煽る言葉を商品説明に足した海外の実験では、AIの推薦は増えずに減りました。
この記事では、誰に何を聞くか、どう聞くか、聞いた数字をどう確かめるかを、表と質問の例つきで順に書きます。
結論:材料は4種類で、どれも社内の人が持っています
記事の材料になるのは、買い手の質問に答える事実です。
その事実は、検索結果より先に、営業・現場・経営者・お客様対応の担当者の頭の中と、社内の書類の中にあります。
集める材料は4種類
4種類を、聞き取りで出てくる形と、記事での使い道に分けて表にしました。
| 材料の種類 | 聞き取りで出てくる形 | 記事での使い道 | 載せる前に確かめること |
|---|---|---|---|
| 数字 | 件数・回数・日数・割合 | 比べられる表の値 | 年度・条件・分母 |
| 条件 | 「この場合はこうなる」という分かれ目 | 表の行の見出し | 分かれ目がどの書類に書いてあるか |
| 断っている仕事 | 引き受けなかった依頼と、その理由 | 「できないこと」の節 | いまも同じ方針か |
| 実際にあった失敗 | やり直しになった出来事と、その後に変えたこと | 注意点の節と、よくある質問 | お客様が特定されない書き方になっているか |
4種類に共通するのは、その会社の人に聞かないと出てこない点です。
逆に、業界の一般論や用語の説明は、検索すれば誰でも同じものにたどり着きます。
この記事の数字の出どころ
本文の数字は、出どころを2種類に分けて書きます。
「海外の実験では」「海外の調査では」と書いた数字は、弊社が日本語で解説した海外の論文から引いたものです。
「弊社では」と書いた数字は、弊社が自分の作業で数えたものです。
弊社では海外のGEO・LLMO・AIOの論文を92本読み、1本ずつ解説した一覧と、全体のまとめを公開しています。
お断りしておくと、これらの論文は英語と海外の検証が中心です。
実験で動いたことが、日本語の質問や実際のAIサービスでも同じように動くとは言えません。
この記事の手順を踏めば引用される、という約束もできません。
書けるのは、材料をどこから、どういう順で集めるかという手順までです。
聞き取りから記事の表までの流れと、この記事の位置
聞き取りは、聞いて終わりにはなりません。
質問を持っていく所から、記事の表にする所までを1枚の図にしました。
上から下へ進み、金色で囲んだ4番を通った数字だけが、5番の表に入ります。
矢印の横に書いた言葉は、前の箱が次の箱へ渡すものです。
9つの工程のうちの3番目にあたります
弊社は、LLMO対策のやり方を9つの工程で書いた記事を公開しています。
この記事は、その9つの工程のうちの3番目「一次情報を取る」を1本に広げたものです。
前の工程は買い手の質問を4段に並べる工程2で、ここで作った質問の一覧を、聞き取りにそのまま持っていきます。
次の工程はAIの答えと、根拠にされたページを読む工程4です。
LLMO対策そのものの考え方はLLMO対策の考え方をまとめた記事に、最初の1本を自分で直す手順は自分でできる入口の作業の記事に書きました。
入口の記事に書いたことと、この記事で足すこと
入口の記事には、聞く相手の表と、出来事を聞くほうが事実が出る、という要点までを書きました。
この記事で足すのは4つです。
聞き取りに使う質問の例、聞いた数字の確かめ方の表、海外の研究が確かめたこと、弊社が自分の記事で数字の書き方を直した実例を、順に載せます。
なぜ検索より先に社内から集めるのか
検索して集めた材料は、同じ言葉で検索した会社が全員持っています。
その材料だけで書くと、どの会社が書いても同じ文になります。
検索で集まる材料と、社内でしか集まらない材料
2つを並べると、違いは「ほかの会社も同じものを持っているか」に出ます。
| 比べる点 | 検索で集まる材料 | 社内で集まる材料 |
|---|---|---|
| 中身 | 用語の説明、一般的な手順、公的機関の資料 | 自社の件数・条件・断った依頼・失敗 |
| ほかの会社も持っているか | 持っている | 持っていない |
| 買い手の質問への答え方 | 「一般にはこうです」 | 「この条件ならこうなります」 |
| 確かめ方 | 発行元のページを開く | 社内の書類と照らす |
| 記事での置き場所 | 前提の説明 | 冒頭の答えと表 |
検索で集まる材料が要らないわけではありません。
制度や用語の説明は、発行元のページを確かめて前提として書きます。
順番として、社内の事実を先に集め、足りない前提をあとから検索で補います。
海外の実験:AIが重く見たのは、質問との関連でした
材料を「質問に答える事実」に絞る根拠として、1本の研究を紹介します。
2024年に公開された海外の実験は、賛否が分かれる質問について、対立する2つの文章をAIに読ませ、どちらを根拠に答えるかを調べました。
この実験の解説によると、AIは質問との関連性が高い文章を強く重視しました。
文章を書き換える実験では、関連性を上げる4種類の書き換えはいずれも選ばれる割合が上がりました。
見た目や文体を変える6種類の書き換えは、変わらないか、下がる方向でした。
科学的な出典を足す書き換えと、自信のある文体に変える書き換えも、この6種類に入っています。
読みやすさの指標は、どのモデルでも選ばれ方とほぼ相関しませんでした。
この実験から言えないこと
対象は2023年当時のモデルで、実験用に作ったデータを使っています。
2つの文章を見せて、はい・いいえで答えさせる設定でもあります。
日本語の文章で同じ結果になるか、いまのAIサービスで同じ結果になるかは、この研究では確かめられていません。
足した出典や数字が事実として正しいかどうかも、実験の対象外です。
解説記事は、専門用語や自信のある言い回しを足す前に、まず質問との関連を見直すことを、この実験の教訓としてまとめています。
文体を飾る前に、質問に答える中身を用意する、という順番です。
その中身が、社内の人から聞き取る4種類の材料にあたります。
誰に何を聞くか:買い手の質問を、相手ごとに持っていく
聞く相手は、営業の担当者・現場の担当者・経営者・お客様対応の担当者の4者です。
相手ごとに何を聞き、記事のどこに使うかは、入口の記事の工程3に表で載せました。
ここでは、その表に「実際に口に出す質問の例」を足します。
買い手の質問を、そのままの形で持っていく
聞き取りに持っていくのは、工程2で作った買い手の質問の一覧です。
買い手が聞く形のまま、社内の人に投げます。
「この記事に書くネタはありますか」と聞くと、答える人は何を話せばよいか決められません。
「お客様からこう聞かれたら、何と答えていますか」と聞けば、ふだんの答えがそのまま出てきます。
相手ごとの質問の例
下の表は、質問の形を示すための例です。
自社の買い手の質問に置き換えて使ってください。
| 聞く相手 | 口に出す質問の例 | 出てくる材料 | 続けて聞くこと |
|---|---|---|---|
| 営業の担当者 | 「直近の商談で、最初に聞かれたことは何でしたか」 | 買い手の質問と、ふだんの答え | 「その答えで、相手は次に何を聞きましたか」 |
| 営業の担当者 | 「見積もりを出す前に、必ず確かめることは何ですか」 | 条件 | 「それが分からないと、何が決められませんか」 |
| 現場の担当者 | 「いちばん最近の案件は、依頼から完了まで何日でしたか」 | 数字 | 「それより長くなったのは、どんな案件でしたか」 |
| 現場の担当者 | 「やり直しになった作業を1つ教えてください」 | 実際にあった失敗 | 「そのあと、手順のどこを変えましたか」 |
| 経営者 | 「この1年で、お断りした依頼はありましたか」 | 断っている仕事 | 「どこが合わなかったのですか」 |
| お客様対応の担当者 | 「契約のあとで『聞いていなかった』と言われた点はありますか」 | 条件と、実際にあった失敗 | 「契約の前に、どのページを読んでいれば防げましたか」 |
表の質問には、共通点が1つあります。
どれも「いつの、どの1件か」を指していて、答える人が特定の出来事を思い出せる形になっています。
「続けて聞くこと」の列は、最初の答えを条件や数字に近づけるための質問です。
聞いた内容の残し方
聞いた内容は、その場で文字に残します。
あとで記事に使うとき、誰がいつ話したことかを追えるようにしておくためです。
残す項目は、次のように決めておけます。
| 残す項目 | 書くこと | あとで使う場面 |
|---|---|---|
| 話した人 | 部署と役割 | 数字を確かめ直すとき、誰に聞けばよいかが分かる |
| 聞いた日 | 年月日 | 記事を更新するとき、どの時点の話かが分かる |
| 持っていった質問 | 買い手の質問の文そのまま | どの記事のどの節に使うかが決まる |
| 答え | 話した言葉のまま。要約しない | 条件や数字を拾い直せる |
| 確かめる資料 | その数字が載っているはずの書類の名前 | 次の「確かめる」段にそのまま渡せる |
| 載せてよいか | 未確認・確認済み・載せない、のどれか | 書く人が迷わない |
「確かめる資料」の欄は、聞き取りの最中に埋めます。
数字が出たその場で「それは何を見れば分かりますか」と聞いておけば、あとで資料を探し回らずに済みます。
聞き方:強みを聞かず、出来事を聞く
同じ相手に聞いても、聞き方で出てくる答えは変わります。
強みを聞くと宣伝に近い文が返り、出来事を聞くと事実が返ってきます。
強みを聞くと、言葉を選んだ文が返ってきます
「うちの強みは何ですか」と聞かれた人は、会社を代表して答えようとします。
返ってくるのは「丁寧な対応」「高い品質」のような、まとめた言葉です。
まとめた言葉は、ほかの会社のサイトにも同じものが載っています。
買い手が比べたいのは、まとめる前の中身のほうです。
聞き方の言い換え例
左の聞き方を、右の聞き方に言い換えます。
| 答えが宣伝になる聞き方 | 事実が出る聞き方 | 出てくる材料 |
|---|---|---|
| 「うちの強みは何ですか」 | 「先月、お客様から直接お礼を言われた場面はありましたか。何をした直後でしたか」 | 実際の出来事と、その条件 |
| 「対応は早いほうですか」 | 「直近の問い合わせに、最初の返事を出したのは受け取ってから何日目でしたか」 | 数字 |
| 「品質には自信がありますか」 | 「納品の前に、必ず確かめている項目を順番に教えてください」 | 手順と、項目の数 |
| 「どんな依頼でも受けられますか」 | 「先月、お断りした依頼はありましたか」 | 断っている仕事 |
| 「お客様の満足度は高いですか」 | 「続けて依頼をくださった方と、1回で終わった方は、去年それぞれ何社でしたか」 | 数字と、その分母 |
| 「失敗はありませんか」 | 「やり直しになった案件を1つ挙げるとしたら、どれですか」 | 実際にあった失敗 |
右の列の質問は、答えが「はい」「いいえ」で終わりません。
答える人が、特定の日や特定の案件を思い出して話す形になっています。
出来事を聞く質問の作り方
言い換えは、次の3つの手順で作れます。
1つ目は、時期を区切ることです。
「ふだんは」を「先月は」「直近の1件は」に替えると、答えが平均の印象から実際の1件に変わります。
2つ目は、評価の言葉を数えられる言葉に替えることです。
「早い」「多い」「丁寧」は、日数・件数・確かめる項目の数に置き換えられます。
3つ目は、うまくいかなかった側も同じ形で聞くことです。
断った依頼とやり直しになった案件は、聞かれないかぎり話に出てきません。
この2つは、記事の「できないこと」と注意点の節になります。
答えた人が責められていると受け取らないように、「記事で買い手に先に伝えておきたいので」と目的を添えて聞きます。
「場合による」を、条件ごとの行に分ける
聞き取りで最もよく返ってくる答えは「場合によります」です。
ここで止めると、記事にも「場合によります」と書くことになります。
「場合による」は、材料の入口です
「場合による」と答える人は、頭の中で場合分けをしています。
その場合分けを口に出してもらえば、条件が手に入ります。
条件ごとの答えは、そのまま表の行になります。
聞き直す順番
聞き直しは、次の順に進められます。
| 順番 | 聞き直す質問 | 手に入るもの | 表のどこになるか |
|---|---|---|---|
| 1 | 「何によって変わりますか」 | 条件の名前 | 左端の列の見出し |
| 2 | 「どこを境に変わりますか」 | 分かれ目 | 行の区切り |
| 3 | 「それぞれの場合、答えはどうなりますか」 | 条件ごとの答え | 行の中身 |
| 4 | 「いちばん多いのは、どの場合ですか」 | 行の並び順 | いちばん上の行 |
| 5 | 「どれにも当てはまらなかった例はありますか」 | 例外 | 表の下の注記 |
1番の答えが2つ以上出たときは、1つずつ順に2番へ進みます。
条件が2つあるなら、表は縦と横に条件を置く形になります。
3つ以上あるなら、買い手が最初に知りたい条件を2つ選び、残りは注記に回します。
表にするときの列
聞き取りの直後に作る下書きの表は、列を4つにします。
下は形を示すための例で、数字は入れていません。
| 条件(例) | 答え(例) | 話した人 | 確かめる資料 |
|---|---|---|---|
| 対応している地域の内側 | 引き受ける。訪問の回数は決まっている | 営業の担当者 | サービスの案内と、過去の見積書 |
| 対応している地域の外側 | 訪問を伴う作業は引き受けない | 経営者 | サービスの案内 |
| 急ぎの依頼 | 受けられる時期と、受けられない時期がある | 現場の担当者 | 作業の記録 |
| どれにも当てはまらない依頼 | 個別に相談して決める | 経営者 | 過去の相談の記録 |
記事に載せるときは、右の2列を外し、確かめた数字を「答え」の列に入れます。
「話した人」と「確かめる資料」の列は、次の段で数字を確かめるための作業用です。
「個別に相談」の行が残っても構いません。
どの条件までは答えが決まっていて、どこからが相談になるのかが分かれば、買い手は自分がどちらに当たるかを判断できます。
記録が残っていても、そのまま使えるのは一部です
商談の録音や議事録が残っている会社は、聞き取りを省けると考えがちです。
弊社の実例では、記録だけでは足りませんでした。
弊社の実例:41本の記録から121件、使えたのは約20件
弊社は、買い手の質問を商談の記録41本から拾いました。
機械で拾えた引用符つきの質問は121件です。
そのうち、買い手の質問としてそのまま使えたのは約20件でした。
| 数えたもの | 数 | 何の数か |
|---|---|---|
| 材料にした商談の記録 | 41本 | 質問を拾う材料にした記録の本数 |
| 機械で拾えた質問 | 121件 | 記録の中の、引用符つきの質問の件数 |
| そのまま使えた質問 | 約20件 | 121件のうち、買い手の質問として使えた件数 |
| 作った質問の一覧 | 40問 | 4段に10問ずつ並べた、弊社の質問の数 |
121件のうち約20件なので、割合にするとおよそ6分の1です(弊社の概算)。
そのまま使えた約20件は、40問の一覧の半分ほどにあたります。
記録が残っていても、そのまま材料になるのは一部です。
記録は、聞き取りの下準備として使えます
この数字は弊社1社の、買い手の質問を拾う作業での結果です。
ほかの会社の記録で同じ割合になるとは言えません。
言えるのは、記録の本数と、材料として使える件数は別の数だ、という点までです。
記録がある会社は、聞き取りの前に記録を読み、質問の候補と、数字が出てきた箇所に印を付けておけます。
聞き取りでは、その印の箇所について「このときの数字は、何を見れば確かめられますか」と聞けば済みます。
記録が無い会社は、前の節の質問の例から始めれば足ります。
自社でどれだけ拾えるかは、記録の本数・拾えた件数・使えた件数の3つを数えると分かります。
聞いた数字は、元の資料で確かめてから載せる
聞き取りで出た数字は、そのまま記事に入れません。
契約書・見積書・作業の記録といった元の資料と照らし、合っていたものだけを載せます。
人の記憶にある数字は、年度と条件が抜けています
社内の人が話す数字は、うそではなくても、いつの数字か、どの範囲の数字かが抜けていることがあります。
「だいたい数日で終わります」という答えには、いつの案件か、どの種類の依頼か、何件のうちの話かが入っていません。
確かめる点は、年度・条件・分母の3つです。
元の資料の種類と、確かめる点
数字の種類ごとに、照らす資料と確かめる点を表にしました。
| 聞いた数字の種類 | 照らす元の資料 | 年度で確かめること | 条件で確かめること | 分母で確かめること |
|---|---|---|---|---|
| 件数・実績の数 | 契約書、受注の一覧 | いつからいつまでの合計か | どの種類の依頼を数えたか | 途中でやめた案件を含むか |
| 日数・回数 | 作業の記録、納品の記録 | いつの案件の日数か | どこからどこまでを数えたか | 何件のうちの値か。最短か平均か |
| 割合 | 元になった2つの数が載っている一覧 | 2つの数が同じ期間のものか | 分子に入れたものの定義 | 何を100としたか |
| 対応できる範囲 | サービスの案内、契約書のひな形 | いまも同じ範囲か | 例外として受けた案件があるか | 範囲の外の依頼を何件断ったか |
| 資格・認証 | 認定証、発行元の名簿 | 有効期限が切れていないか | 会社の認証か、個人の資格か | 社内の何人が持っているか |
| お客様の言葉 | メール、アンケートの原本 | いつ受け取った言葉か | 掲載の許可を得ているか | 何人の回答から選んだか |
照らしてみて数字が違っていたら、資料のほうの数字を載せます。
資料が見つからなかった数字は、載せません。
海外の実験:数量や日付だけが違う文書で、AIの正解率が落ちました
数字と日付を確かめる理由は、読者に対する正確さだけではありません。
2026年に公開された海外の実験は、英語の事実確認の問題638件を使い、AIに渡す根拠3件のうち誤った文書を0件・1件・2件・3件と増やして、正解率を測りました。
この実験の解説によると、誤った文書が増えるほど正解率は全体として下がり、3件すべてが誤った文書のときに大きく落ちました。
誤った文書は4種類が試されています。
平均で最も正解率を崩したのは、本物らしい文書の中の数量や日付といった要所だけが違うものでした。
3件すべてをこの種類にした条件では、2つのモデルと4つの確かめ方を平均した正解率が9.2%です。
誤った文書を混ぜない条件でも、最も良い方式の正解率は5割台でした。
この実験の範囲と、記事を書く側への当てはめ
これは、研究者が用意した根拠をAIに直接渡す実験環境での結果です。
実際のAI検索サービスでは試されておらず、問題は英語です。
研究が調べたのは、わざと誤らせる文書を混ぜたときのAIの判定で、記事の書き方を調べたものではありません。
解説記事は、論文の主張とは別の読み取りとして、価格・所在地・資格・実績の数字などを自社サイトに正確に置くことを、発信する側にできる備えとして挙げています。
年度の抜けた数字や古い日付を自社が載せれば、悪意がなくても、要所だけが事実と違うページを自分で置くことになりかねません。
聞いた数字を元の資料と照らすのは、それを避けるための段です。
何の割合かを書く:弊社が10月2日に直した数字
数字そのものが合っていても、何の割合かが抜けると、別の意味の文になります。
弊社が自分の記事で直した例を、そのまま載せます。
弊社が自分の記事で直した2つの数字
2026年10月2日、弊社は自分の記事の数字の書き方を2か所直しました。
1つ目の14.3%は、入口の記事に書いていた数字です。
| 数字 | 直す前の書き方 | 読み直して分かったこと | 直した後の書き方 |
|---|---|---|---|
| 14.3% | 「128ブランドの平均で14.3%」 | ブランドごとの平均の値ではなかった。URLが分かる引用13万1,514件のうちの割合だった | 「128のブランドを対象にした調査で、自社サイトからの引用は全体の14.3%」 |
| 37.9% | 対象のAIが書かれていなかった | GoogleのAI Overviewsを対象にした数字だった | 対象のAIがGoogleのAI Overviewsであることを書き足した |
14.3%のほうは、分母の取り違えです。
「128ブランドの平均」と書くと、ブランド1つずつの割合を出して平均した値に読めます。
解説記事を読み直すと、実際はURLが分かる引用13万1,514件のうちの割合でした。
37.9%のほうは、対象のAIの書き落としです。
対象が書かれていない数字は、どのAIにも当てはまる数字として読まれます。
どちらも数字は合っていました。抜けていたのは、何を数えた割合かの説明です。
数字に添える4つの項目
社内の数字でも、外から引く数字でも、添える項目は同じです。
| 添える項目 | 書くこと | 抜けたときに起きること | 聞き取りでの聞き方 |
|---|---|---|---|
| 分母 | 何件のうちの割合か。何を100としたか | 平均なのか全体の割合なのかが入れ替わる | 「何件のうちの話ですか」 |
| 条件 | どの種類の依頼、どの範囲の数字か | 当てはまらない買い手が、自分のことだと読む | 「どんな依頼のときの数字ですか」 |
| 時点 | いつからいつまでの数字か | 古い数字が、いまの数字として読まれる | 「いつの数字ですか」 |
| 対象 | 誰が、何を対象に数えたか | 一部の話が、全体の話として読まれる | 「誰が数えた数字ですか」 |
4つを数字と同じ文か、隣の文に書きます。
離れた場所に書くと、数字だけが切り取られたときに説明が付いてきません。
弊社の論文解説で決めていること
弊社は海外の論文92本の解説で、数字の扱いを決めています。
論文解説の一覧には、「数値は原文の表から拾い、私が計算した値には『概算』と書きます」とあります。
確かめる人についても、「公開前に、書き手とは別の確認者が、原文と数値・主張を突き合わせます」と書いています。
取り上げない材料も決めていて、「実在を確認できない論文や、民間企業の調査レポートは取り上げません」としています。
10月2日に直した2か所は、どちらも弊社の記事に書いた数字で、分母か対象の説明が抜けていました。
数字を写すたびに、4つの項目が付いてきているかを確かめる作業が要ります。
言葉を足した実験で、何が起きたか:海外の研究4本
材料が足りないとき、言葉や体裁を足して補いたくなります。
足したものがAIの推薦や引用にどう関わったかを調べた海外の研究を、4本並べます。
| 足したもの | 研究で確かめられたこと | 条件 | 代わりに集める材料 |
|---|---|---|---|
| 「残りわずか」「限定」と煽る言葉 | 推薦された回数が減った | 6つのAI、英語の架空の商品説明 | 仕様と、対応できる範囲 |
| 「口コミに返信しています」の一行 | 選ばれる確率の変化は+0.1ポイント | 12のAIモデル、架空のホテル5軒、英語 | 評価点や件数のように、比べられる数字 |
| 体験談の語り口 | 回答の材料に選ばれにくい傾向。回答文の一人称は3.3%から0.06%に | 英語の相談コミュニティ20か所。観察による調査 | 体験の中の条件と数字 |
| 著者名・参考文献 | 引用されたページの64.7%に著者名がなく、60.8%に参考文献がなかった | ChatGPT 5.2 Pro、英語の健康の質問100問。引用されなかったページとの比較は無い | 発行元として確かめられる事実 |
4本とも、英語で行われた実験か調査です。
日本語で同じ結果になるかは、どの研究でも確かめられていません。
煽る言葉:希少性と限定性は、推薦を減らしました
2025年に公開された海外の実験は、架空のコーヒーメーカー・カメラ・本を10商品ずつ用意し、1商品の説明だけを書き換えて、6つのAIに推薦させました。
この実験の解説によると、「残りわずか」と示す書き方は、コーヒーメーカーで推薦された回数を100回あたり13.50回から22.00回減らしました。
「限られた人だけ」と示す書き方は、同じ条件で23.70回から30.11回減らしています。
どちらも、AIが説明文を書き換えた場合の値で、6つのAIのうち統計的に意味のある差が出たAIの範囲です。
本の分野と、専門家が1文だけ足す方式では、「残りわずか」で上がった例もありました。
同じ実験で、ほかの人も選んでいると示す書き方と、値引きを強調する書き方は、推薦された回数を増やしています。
ただし、この実験は書き足した内容が事実かどうかを評価の対象にしていません。
実際の長い商品説明では、足した1文の効き目は小さくなりました。
事実でない実績や声を書くことは別の話で、作文の口コミを扱った記事に分けて書いています。
聞き取りで実際の件数が確かめられたなら、その件数を条件つきで書けば足ります。
数字のない一行:「返信しています」は+0.1でした
2026年に公開された海外の実験は、12のAIモデルに架空のホテル5軒を見せ、1軒を選ばせました。
この実験の解説によると、選択の大半を決めたのは評価点と価格です。
属性ごとの重要度は、評価点が35.7%、価格が33.8%でした。
第三者のエコ認証があると、選ばれる確率は11.6ポイント上がりました。
口コミが2,100件あるホテルは、45件のホテルより8.3ポイント選ばれやすくなっています。
「口コミに返信しています」の一行は+0.1ポイントで、統計的にゼロと同等と判定されました。
比べられる数字と、数字のない一行とで、差がはっきり分かれた結果です。
この数字は、英語の指示文、架空のホテル、1往復の会話という実験室の設定で得たものです。
エコ認証の効き方も、モデルによって+0.2から+29.9ポイントまで割れています。
ホテル以外の業種で同じ序列になるかは、この研究では分かりません。
体験談の語り口と、著者名・監修
「体験を書けば引用される」「著者名や監修を書けば引用される」とは、次の2本からは言えません。
2026年に公開された海外の調査は、掲示板の会話を1つの回答にまとめるAI検索に、1万問を3回ずつ聞きました。
この調査の解説によると、体験談の語り口のコメントは回答の材料に選ばれにくい傾向でした。
1,000問で比べると、回答文では「私は」にあたる一人称の割合が、元のコメントの3.3%から0.06%に下がっていました。
対象は英語の相談コミュニティ20か所で、論文自身が、因果として読まないよう求めています。
企業のサイトに載せたお客様の声がどう扱われるかも、この調査の範囲の外です。
もう1本は、2026年1月にChatGPT 5.2 Proへ英語の健康の質問100問を入力し、引用された615件の情報源を調べた海外の調査です。
この調査の解説によると、615件の75.7%は、医療機関や公的機関など組織としての裏づけを持つ情報源でした。
一方で、64.7%には著者名が見当たらず、60.8%は参考文献を載せていませんでした。
この調査は、引用されなかったページと比べていません。
著者名を書くと引用されやすくなるのか、書かなくても変わらないのかは、この数字からは決められません。
2本から受け取れるのは、聞いた体験談を語り口のまま載せるより、その中の条件と数字を取り出して載せておく、という手順です。
載せないと決めるもの
聞き取りで集まった材料を、全部載せるわけではありません。
載せないものを先に決めておくと、書く人が迷いません。
| 載せないもの | 見分け方 | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 確かめられなかった数字 | 照らす資料が見つからない。資料と数字が合わず、どちらが正しいか決められない | 数字を外し、確かめられた条件だけを書く |
| お客様が特定できる話 | 業種・地域・時期・規模を並べると、1社に絞れてしまう | 出来事から条件だけを取り出して書く |
| 許可のないお客様の声 | 掲載してよいという返事が、記録として残っていない | 許可をいただくまで載せない。許可の範囲も確かめる |
| いまは変わっている話 | 聞いた時点と、いまの手順や範囲が違う | いまの内容を聞き直して書く |
確かめられなかった数字
資料が見つからなかった数字は、「約」を付けても載せません。
数字を外すと文が弱く見えますが、条件は残せます。
「短い期間で終わります」と書く代わりに、「訪問が1回で済む依頼と、2回以上になる依頼があります」と、確かめられた分かれ目を書けます。
あとで資料が見つかったら、そのときに数字を足します。
お客様が特定できる話と、許可のないお客様の声
失敗の話と断った仕事の話には、相手のお客様が出てきます。
1つずつの情報はぼかしてあっても、業種と地域と時期がそろうと、読んだ人には誰の話か分かることがあります。
記事に要るのは、どんな条件のときに何が起きたか、という部分です。
誰の案件だったかは、記事の役に立ちません。
お客様の声は、聞き取りの記録に残っていても、掲載の許可とは別です。
名前を出してよいか、社名を出してよいか、どの文を使ってよいかを、ご本人に確かめてから載せます。
確かめた返事は、聞き取りの記録の「載せてよいか」の欄に書き込みます。
よくある質問
Q1. 1人で経営していて、社内に聞ける人がいません。どうすればいいですか
自分に向けて、同じ質問を出来事の形で投げて書き出せます。
「直近の1件は何日かかったか」「この1年で断った依頼は何だったか」を紙に書き、答えを見積書や作業の記録と照らします。
聞く相手が自分でも、元の資料で確かめる段は省きません。
Q2. 聞き取りは、何人に何回すれば足りますか
決まった数はお伝えできません。
弊社は、聞き取りにかかる時間を測っていません。
数えられるのは、聞いた人数、聞き取りの回数、そこから拾えた材料の件数です。
最初の数本の記事でこの3つを数えると、自社で1本あたりどれだけ要るかが見えてきます。
Q3. お客様の体験談は、載せないほうがいいのですか
載せて構いません。
海外の調査で分かったのは、英語の相談コミュニティを対象にしたAI検索で、体験談の語り口が選ばれにくい傾向だった、という所までです。
体験談を載せると不利になる、という結果ではありません。
許可をいただいた体験談には、いつ、どんな条件で、何がどうなったかを、確かめられた範囲で添えます。
Q4. 著者名や監修者は、書かなくていいのですか
書かなくていい、とは言えません。
海外の調査は、引用されたページの64.7%に著者名がなかったと報告していますが、引用されなかったページとは比べていません。
対象もChatGPT 5.2 Proと英語の健康の質問100問に限られます。
誰が書いたかは、読む人が確かめたい事実の1つです。
事実であれば書き、書いたから引用されるとは期待しない、という扱いになります。
Q5. 材料集めを、AIに任せてもいいですか
検索して出てくる情報の整理は、AIに任せられます。
ただし、AIが集めてくるのは、ほかの会社も同じように手に入れられる材料です。
自社の件数や断った依頼は、社内の人に聞かないかぎり出てきません。
AIが示した数字と日付は、発行元のページを開いて確かめてから使います。
海外の実験では、数量や日付だけが違う文書が根拠に混ざると、AIの事実確認の正解率が落ちました。
まとめ
AIに引用される記事の材料は、社内の人が持っている数字・条件・断っている仕事・実際にあった失敗の4種類です。
集め方は、買い手の質問を持っていき、強みを聞かずに出来事を聞く、という順番でした。
「場合による」と返ってきたら、条件を聞き直して表の行に分けます。
聞いた数字は、年度・条件・分母を元の資料と照らし、確かめられたものだけを載せます。
数字には、何件のうちの、いつの、誰が数えた割合かを、同じ文か隣の文に添えます。
弊社の実例では、商談の記録41本から機械で拾えた質問121件のうち、そのまま使えたのは約20件でした。
2026年10月2日には、弊社自身が「128ブランドの平均で14.3%」という書き方を、分母が分かる形に直しています。
海外の実験では、煽る言葉を足した商品説明はAIの推薦を減らし、数字のない一行は選ばれ方を動かしませんでした。
どの研究も英語と実験室の設定での結果で、日本語の実際のサービスで同じになるとは言えません。
足す言葉を探す前に、社内の人に1つ質問を持っていく。
この記事の手順は、そこから始まります。
今日できる点検
聞き取りを始める前に、いま公開している記事を1本開いて点検できます。
読むだけで済む項目から並べました。
点検の表
| 点検すること | 見る場所 | 当てはまったら次にすること |
|---|---|---|
| ほかの会社のサイトにも載っている文だけで書かれていないか | 記事の冒頭から3つ目の見出しまで | その記事が答える買い手の質問を1つ決め、社内の人に持っていく |
| 「場合によります」「ご相談ください」で終わっている段落はないか | 料金・期間・対応範囲に触れている段落 | 何によって変わるかを聞き、条件ごとの行に分ける |
| 年度・条件・分母が書かれていない数字はないか | 本文と表の数字すべて | 元の資料と照らし、抜けている説明を数字の隣に足す |
| 元の資料が分からない数字はないか | 実績・件数・割合 | 話した人に資料の名前を聞く。見つからなければ外す |
| 「限定」「残りわずか」「高品質」「安心」が、根拠なしに書かれていないか | 見出しと、段落の最初の文 | 外して、対応できる範囲か、確かめた数字に置き換える |
| お客様の声に、掲載の許可の記録があるか | お客様の声の節 | 記録が無いものは、ご本人に確かめるまで下げる |
点検のあとにすること
当てはまった行が1つでもあれば、その行の「次にすること」を1つだけ進めます。
聞き取りで材料がそろったら、次はAIの答えと、根拠にされたページを読む工程4に進みます。
買い手の質問がまだ決まっていない場合は、質問の地図を作る工程2に戻ります。
言葉や体裁を足す方向の施策を提案されていて判断に迷うときは、やってはいけないLLMO対策をまとめた記事と照らせます。
9つの工程の全体は、LLMO対策のやり方を全部書いた記事で確かめられます。
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
生成AIに引用されるページを、お話しいただくだけでお作りします。お時間をいただくのは初回15分のヒアリングだけです。まず1ページ、無料でお作りします。
OKが出るまで、何度でも直します。事実が違う、言い回しが硬い、この話は入れないでほしい。どれも遠慮なくおっしゃってください。何度お直ししても、追加の料金はいただきません。
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