5つの力の名前は言える。新規参入、代替品、買い手、売り手、業界内の競争。それでも、書き出した表を前にして、自社のホームページの何を直せばよいのかが決まらない。
この記事は、そういう状態の経営者とWeb担当者に向けて書きました。5つの力の名前を覚える記事ではありません。5つの力のそれぞれが、自社サイトのどのページに現れているかを、1つずつ結びつける記事です。
使った事実は、書いた日に開いて確かめたものだけです。5つの力を最初に発表した論文の掲載ページと、経済産業省が2026年6月26日に公表した価格交渉促進月間のフォローアップ調査の結果を、2026年11月6日に開きました。確かめられなかった点は、書かずに省いています。
先に答え:5フォース分析とは、業界の儲けやすさを5つの力で見る道具
結論から言います。5フォース分析とは、自社が戦っている業界の儲けやすさを、5つの力の強さで見る道具です。
5つの力とは、業界内の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力です。この5つが強いほど、業界の中で利益を残しにくくなります。弱いほど、利益が残りやすくなります。
自社の強みや弱みを書き出す道具ではありません。自社の外側にある、業界の構造を見る道具です。
最初に、5つの力を1枚の表にします。
| 5つの力 | 見ている問い | 強いときに起きること |
|---|---|---|
| 業界内の競争 | すでに同じ客を取り合う相手がどれだけいるか | 値引きや宣伝の競り合いが続く |
| 新規参入の脅威 | これから入ってくる相手が、簡単に入れるか | 利益が出ると、すぐ同じ商売が増える |
| 代替品の脅威 | 別の方法で、同じ困りごとが解決されないか | 付けられる価格に天井ができる |
| 買い手の交渉力 | お客様が、値段や条件を動かせる立場にあるか | 値引きや条件の上乗せを求められる |
| 売り手の交渉力 | 仕入れ先や外注先が、値段や条件を動かせる立場にあるか | 仕入れ値が上がっても、売り値に乗せにくい |
この表のとおり、5つの力はすべて、お客様や他社との関係の話です。自社の中の話は1つも入っていません。
5フォース分析と、SWOT分析の違いを1行で
隣り合う道具との違いを、先に1行で押さえておきます。SWOT分析は、自社の強み・弱みと、外の機会・脅威を並べる道具です。5フォース分析は、そのうち外側の脅威と機会を、業界の構造から細かく掘る道具です。
SWOT分析の外側の欄を書く前に、5つの力で見ておくと、機会と脅威の欄に根拠が入ります。
中小企業が使うときの、たった1つの決まり
大企業の解説では、5つの力を巨大な業界全体にあてはめた例がよく出てきます。中小企業が同じ使い方をすると、書いた表が自社の日々の仕事から遠くなります。
中小企業が使うときの決まりは1つです。業界を、自社が実際にお客様を取り合っている範囲まで、狭く切ること。
たとえば「建設業界」とは書かず、「自社の商圏の、戸建てのリフォーム」まで切ります。切り方は、後ろの節で詳しく書きます。
先日見かけたQ&Aサイトの悩み:テストの正誤問題でつまずいた
ここで、先日Q&Aサイトで拝見した悩みを紹介します。投稿者は、経営学のテストを控えた方でした。
内容を要約すると、次のようなものでした。5つの力についての記述を読んで、正しいかどうかを答える問題が出た。答えが分からないので、教えてほしい。
問題の記述は3つでした。1つめは、新規参入者は誰か特定できないので、このモデルには入れられない、という記述です。2つめは、5つの要因の現れ方は産業ごとに特殊性がなく、どの産業でも普遍的だ、という記述です。3つめは、戦略論が重視するのは個々の企業だけで、産業構造の影響はこのモデルでは考慮されていない、という記述です。
3つの記述は、すべて誤りの形をしている
回答に付いていた説明を、要約して整理します。3つとも、誤りと判断されていました。
| 記述 | 判断 | 理由の要約 |
|---|---|---|
| 新規参入者は特定できないのでモデルに入れられない | 誤り | 実際の新規参入は、すでにいる企業の顔ぶれを知ったうえで起きる。参入の難しさは、業界の構造として読める |
| 5つの要因の現れ方は、産業を問わず普遍的 | 誤り | 5つの要因という枠組みは共通だが、強さは産業ごとに違う。規制が厳しく設備に大きな費用がかかる産業と、少ない投資で始められる飲食店のような産業では、新規参入の脅威が違う |
| 戦略論は個々の企業だけを見て、産業構造は考慮しない | 誤り | このモデルは、収益性を決める5つの競争要因を使った、産業構造を分析する道具の1つである |
3つの記述に共通するのは、5つの力という枠組みを、「誰が」「どの業界で」という具体から切り離して読んでいる点です。
この悩みは、テストの外でも同じ形で起きる
テストの問題を解く悩みと、自社サイトを直す悩みは、遠く見えるかもしれません。ところが、つまずきの形は同じです。
5つの力を、具体的な業界と、具体的な相手に結びつけないまま読むと、「強い」「弱い」の判断ができません。判断ができないと、サイトのどこを直せばよいかも決まりません。
質問者が確かめたかった「産業ごとに違う」という点は、そのまま中小企業の実務に効いてきます。自社が戦う範囲を狭く切るほど、5つの力の強さが具体的に見えるからです。
この記事で答える3つのこと
この記事は、質問者の悩みに沿って、次の3つに答えます。
- 5つの力を、論文で確かめた意味どおりに読む
- 5つの力を、自社が戦う範囲に切り直して、強さを判断する
- 判断した結果を、自社サイトの直すページに結びつける
3つめが、検索で上位に出てくる解説にあまり書かれていない部分です。解説は5つの力の説明と大企業の例で終わるものが多く、読み終えたあとの手が止まります。
5つの力の出どころ:論文で確かめたこと
誰が、いつ、何と言ったのかを、開いて確かめた範囲で書きます。
2026年11月6日に、5つの力を最初に発表した論文の掲載ページを開きました。米国の経営学の雑誌の1979年3月号に載った、マイケル・E・ポーターの論文です。題名は「競争の力は戦略をどう形づくるか」と訳せます。
ページに載っていた要旨には、業界の競争の状態を決める主な力として、新規参入の脅威、顧客と供給業者の交渉力、競争相手同士の激しい競り合い、代替品やサービスの脅威が挙げられていました。つまり、5つです。
論文の書き出しは、競争の見方を広げている
論文の書き出しを、弊社の訳で引きます。
「業界の激しい競争は、偶然でも不運でもない」
この一文のあと、競争は現にいる相手だけにあらわれるのではないと続きます。顧客、供給業者、これから入ってくる相手、代替品も、業界によって目立つ度合いは違うものの、すべて競争相手だと書かれています。
ここで言う競争相手は、同じ商品を売る他社だけに限りません。取引先も、代わりになる方法も、競争の一部として数えます。
5つの力の合計が、業界の利益の見込みを決める
論文は、5つの力が合わさった強さについて、次のように書いています。弊社の訳です。
「これらの力が合わさった強さが、その業界の最終的な利益の見込みを決める」
力が強いほど利益を残しにくく、弱いほど残しやすい、という意味です。冒頭で書いた、5つの力の強弱と儲けやすさの関係は、この一文が出どころです。
論文は、戦略を立てる人の目標も書いています。
「戦略を立てる人の目標は、自社がこれらの力から最もよく身を守れる、あるいは力を自社に有利に動かせる位置を、業界の中に見つけることだ」
これも弊社の訳です。身を守る位置を探すという目標は、後ろの節で、サイトのどのページをその位置づくりにあてるかという話につなげます。
論文が書いていないことも、確かめておく
論文は、5つの力を書き出して終わりにする使い方を勧めていません。力の強さを見たうえで、自社の位置を決めるところまでが、1セットです。
中小企業のホームページの作り方について、論文は何も書いていません。5つの力をサイトの直す場所に結びつける手順は、弊社の整理です。公的な定義ではないので、その前提で読んでください。
| この記事で書いたこと | 出どころ |
|---|---|
| 5つの力の名前と、合計が利益の見込みを決める | 論文(2026年11月6日に掲載ページを確認) |
| 提唱者はマイケル・E・ポーター、発表は1979年3月 | 論文の掲載ページ(同上) |
| 5つの力をサイトの直す場所へ結びつける手順 | 弊社の整理(公的な定義ではない) |
| 取引での価格転嫁の数字 | 経済産業省の2026年6月26日公表(後述) |
発表年は、解説記事によって1979年と1980年に分かれて書かれています。この記事では、論文の掲載ページで確かめた1979年3月を使います。
5つの力を1つずつ読む:論文の見方を、中小企業の言葉に直す
論文には、5つの力それぞれについて、力が強くなる条件が書かれています。2026年11月6日に開いた掲載ページから、確かめられた条件を拾い、中小企業の商売の言葉に直します。
条件の拾い方は、論文の記述が出どころです。中小企業の例への当てはめは、弊社の整理です。
力1 業界内の競争:同じ客を取り合う相手との競り合い
論文は、既存の競争相手同士の競り合いを、値引き、新商品の投入、広告の応酬といった形で説明しています。競り合いが激しくなる条件として、次のようなものが挙がっていました。
競争相手の数が多いか、規模や力がほぼ同じであること。業界の成長が遅く、市場の取り合いになること。商品やサービスに差がなく、乗り換えを止める仕組みもないこと。固定費が重いこと。撤退の壁が高いこと。
中小企業の言葉に直すと、次の表になります。
| 論文の条件 | 中小企業の場面 | サイトに出る症状 |
|---|---|---|
| 競争相手が多く、規模が同じ | 同じ商圏に似た規模の店が何軒もある | 検索結果に同じような会社が並ぶ |
| 成長が遅い | 地域の人口やお客様の数が増えない | 新規の問い合わせが月ごとに横ばい |
| 差がなく、乗り換えが簡単 | 料金や内容が似ていて、どこでも頼める | 問い合わせの最初の質問が、料金だけになる |
| 固定費が重い | 店舗や設備や人件費が大きい | 値引きの要望に応じてしまう |
最後の列が大事です。力の強さは、サイトを見れば、症状として出ています。
力2 新規参入の脅威:これから入ってくる相手が、簡単に入れるか
論文は、新規参入の脅威の強さを、参入の壁の高さで説明しています。壁が高ければ、新しく入ろうとする相手は入ってきません。論文は、壁の出どころを6つに分けています。
| 論文の壁の出どころ | 意味 | 中小企業の場面の例 |
|---|---|---|
| 規模の経済 | 大きくやるほど1件あたりの費用が下がる | 仕入れや配送で、大手が有利になる |
| 製品の差別化 | 名前や信頼で、お客様が離れにくい | 長く通う常連が、他の店に移らない |
| 必要な資本 | 始めるのに大きな投資が要る | 設備や在庫が大きく要る商売 |
| 規模に依存しないコスト面の有利 | 先に始めた会社が、立地や経験で有利になる | 地域の取引先との長い付き合い |
| 流通経路の確保 | 売り場や販路を押さえる難しさ | 紹介でしか仕事が回らない業界 |
| 政府の政策 | 許認可や規制で、入れる人が限られる | 資格や許可が要る商売 |
この6つのうち、サイトで見せられるのは、製品の差別化にあたる部分です。実績、お客様の声、地域での年数。サイトに積み上げた事実は、新しく入ってくる相手が、一朝一夕には真似できない壁になります。
力3 代替品の脅威:別の方法で、同じ困りごとが解決されないか
論文は、代替品や代替サービスが、業界が付けられる価格に天井を作ると書いています。代替品の価格と性能のつり合いが魅力的なほど、天井は低くなります。
代替品は、同じ商品を売る他社のことではありません。同じ困りごとを、別の方法で解決する手段のことです。
たとえば、庭の草取りを頼む場合を考えます。草刈りの業者に頼む代わりに、自分で道具を買って刈る。除草シートを敷いて、そもそも生えなくする。どちらも、草刈り業者の代替品です。
| 代替品の形 | 例 | サイトで答えておくこと |
|---|---|---|
| 自分でやる | 道具を買って、自分で作業する | 自分でやる場合との違いと、向き不向き |
| 別の手段で解決する | 草が生えない仕組みに変える | 根本の解決と、その場しのぎの違い |
| 何もしない | 困りごとを放置する | 放置した場合に起きること |
代替品を意識すると、サイトに書く内容が変わります。他社との比較の外に、「自分でやる場合との違い」というページを、もう1枚足せるからです。
力4 買い手の交渉力:お客様が、値段や条件を動かせる立場にあるか
論文は、買い手の力が強くなる条件を、いくつか挙げています。買い手が集中していて、大量に買うこと。買う商品が標準的で、差がないこと。買う商品が、買い手自身の商品の中で、費用の大きな割合を占めること。
買い手が、他の供給元をいつでも見つけられると確信していると、供給業者同士を競わせます。論文はそう説明しています。
中小企業の場合、買い手の力は2つの形で現れます。BtoBでは、大きな発注元が、値段や納期を決める形。BtoCでは、お客様が複数の会社から見積もりを取り、比べて決める形です。
| 条件 | BtoBの場面 | BtoCの場面 |
|---|---|---|
| 少数の買い手に集中 | 売上の大半が数社 | 紹介元の1社に依存している |
| 差がなく、他でも買える | 規格品の加工 | 内容が似ているサービス |
| 費用の大きな割合を占める | 発注元の原価の大きな部分 | お客様の出費として大きい買い物 |
買い手の力は、サイトでは、料金の見せ方に出ます。この点は後ろで、公的な数字と一緒に詳しく扱います。
力5 売り手の交渉力:仕入れ先や外注先が、条件を動かせる立場にあるか
論文は、供給業者の力が強い条件として、少数の会社が握っていて、買う側の業界より集中していること、商品が独自のものか、他と区別されていること、乗り換えの費用がかかることを挙げていました。
中小企業の言葉に直すと、特定の仕入れ先にしか頼めない材料、特定の職人にしか頼めない工程、他の取引先に切り替えると手間がかかる関係、などが当てはまります。
売り手の力は、サイトの外の話に見えます。ところが、仕入れ値の変動や納期の遅れは、サイトに書く内容に響きます。
たとえば、仕入れが不安定な材料を使う商品を、サイトで常に「在庫あり」と書いていたら、お客様の期待と現実がずれます。売り手の力が強いと分かったら、納期の書き方を変える。代わりの材料で作る案を用意する。サイトの側で、できる備えがあります。
業界の切り方で、答えが変わる
5つの力を判断するときに、最初にぶつかる難しさがあります。どこまでを業界と呼ぶのか、という問いです。
広く切ると、5つの力はどれも「そこそこ強い」としか言えなくなります。狭く切ると、強い力と弱い力の差が見えてきます。
広く切った業界では、力の強さが言えない
たとえば、地方の小さな工務店が、自社の業界を「建設業」と置いたとします。建設業全体には、大手の会社も、公共工事も、個人の大工も含まれます。
その中で、新規参入の脅威を判断しようとしても、「大手には参入しにくいが、個人の大工は始めやすい」といった、バラバラの答えしか出ません。1つの表に書き込めなくなります。
狭く切ると、5つの力の違いが見えてくる
同じ工務店が、業界を「自社の商圏の、戸建てのリフォーム」と置き直すと、状況は変わります。競争相手は、同じ商圏のリフォーム会社に絞れます。買い手は、リフォームを考える戸建ての持ち主です。代替品は、設備を自分で取り替える、建て替える、など具体的に挙がります。
| 業界の置き方 | 競争相手 | 買い手 | 判断のしやすさ |
|---|---|---|---|
| 建設業 | 大手から個人まで | 公共、法人、個人 | バラバラで書き込めない |
| 戸建ての新築 | 地域の工務店とハウスメーカー | 家を建てる人 | 書けるが、自社の主力と違うことがある |
| 自社の商圏の、戸建てのリフォーム | 同じ商圏のリフォーム会社 | リフォームを考える持ち主 | 力ごとに答えが出る |
切り方の目安は、お客様の頭の中にあります。お客様が、見積もりを取るときに並べて比べる相手は誰か。その相手の集まりが、自社の業界です。
業界が2つに分かれる会社の扱い
事業が2つに分かれている会社は、事業ごとに1枚ずつ書きます。たとえば、工務店が新築とリフォームの両方をしている場合、競争相手も買い手も違うからです。
1枚に混ぜると、どの力についての話か分からなくなります。2枚書くのは手間に見えますが、後でサイトのページに結びつけるときに、混ざらないという利点があります。
業界を切り直すと、同じ会社でも、5つの力の強さが変わって見えます。これが、論文の言う「産業ごとに違う」の、中小企業での現れ方です。
やり方の順番:6つの手順で、1枚の表にする
5つの力の読み方が分かったら、次は自社の1枚を書きます。手順は6つです。紙1枚と、30分あれば最初の版が書けます。
手順1 業界を、お客様が見積もりで比べる範囲に狭く切る
最初に、業界を切ります。前の節で書いたとおり、お客様が見積もりを取るときに並べて比べる相手の集まりが、自社の業界です。
紙の上に、1行で書きます。「どの地域の、どんなお客様に向けた、どんなサービスか」の形です。1行に収まらないときは、事業が複数あるので、1枚を分けます。
手順2 5つの力を、強い・中・弱いで仮に置く
次に、5つの力を1つずつ、強い、中、弱いの3段階で仮に置きます。ここでは正確さを求めません。
根拠を1行ずつ添えます。たとえば「買い手の交渉力:強い。ほぼ毎回、3社から見積もりを取られている」のように。根拠が書けない力は、「不明」と書いておきます。
手順3 仮置きを、自社の記録で確かめる
仮置きは、自分の感覚で置いたものです。感覚は、強い印象が残った出来事に引きずられます。そこで、手元の記録で確かめます。
| 力 | 確かめる記録 | 見るところ |
|---|---|---|
| 業界内の競争 | 失注の記録、問い合わせの最初の質問 | 比べられた相手の名前の出方、料金だけを聞かれる割合 |
| 新規参入の脅威 | 同業の開業の知らせ、検索結果の顔ぶれ | この1年で同じ商売を始めた相手が何件あるか |
| 代替品の脅威 | 断られた理由、問い合わせ時の言葉 | 「自分でやってみる」「今回は見送る」の理由の出方 |
| 買い手の交渉力 | 見積もりの記録、値引きの要望 | 相見積もりの件数、値引きの頻度、条件の追加要望 |
| 売り手の交渉力 | 仕入れ値の変化、納期の遅れの記録 | 値上げの通知の回数、代わりの仕入れ先の有無 |
記録が無い力は、今日から記録を付けます。1か月つければ、次の版で仮置きを直せます。
手順4 いちばん強い力を、1つか2つだけ選ぶ
5つの力すべてに手を打つ必要はありません。強い力を1つか2つ選びます。
選ぶ基準は、強さと、自社が動かせるかどうかです。たとえば、買い手の力が強くても、売上の大半が1社だと、サイトで動かせることは限られます。その場合は、次に強い力を選びます。
手順5 身を守る位置を、1文で決める
論文は、戦略を立てる人の目標を、力から身を守れる位置を業界の中に見つけることだと書いています。この目標を、1文にします。
たとえば、競争が強い場合は、「価格で競わない条件の仕事だけを受ける」。買い手の力が強い場合は、「見積もりの前に、条件の違いを説明して比べられ方を変える」。形は、強い力ごとに変わります。
手順6 位置を、サイトの直すページに結びつける
最後に、決めた位置を、サイトのどのページで見せるかを決めます。この手順が、ほかの解説にあまり書かれていない部分で、次の節以降で詳しく扱います。
| 手順 | 書くこと | かける時間の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 業界を1行で | 5分 |
| 2 | 5つの力を3段階で仮置き | 10分 |
| 3 | 記録で確かめる | 10分(記録がある場合) |
| 4 | 強い力を1〜2つ選ぶ | 3分 |
| 5 | 身を守る位置を1文で | 5分 |
| 6 | サイトの直すページを決める | 次の節以降 |
公的な数字で見る:買い手と売り手の力は、取引の数字に出る
買い手と売り手の力は、感覚で語られやすい力です。ここでは、公的な調査の数字で確かめます。
経済産業省は、2026年6月26日に、中小企業庁が実施した「価格交渉促進月間(2026年3月)」のフォローアップ調査の結果を公表しました。受注側の中小企業30万社に調査票を配り、69,625社が回答しています。
調査の結果、価格転嫁率は54.2%でした。前回から約1ポイント増えています。
経済産業省は、価格転嫁をこう説明しています。
「『価格転嫁』とは、モノやサービスを製造・提供する際にコストが膨らんだとき、その上昇分を価格に反映することです」
54.2%は、半分を少し超える数字です。弊社は、コストの上昇を価格に乗せきれず、受注した側の中小企業が自分で抱えている部分が、残りに相当すると読みました。この読み方は弊社の整理で、公表資料が同じ言い方をしているわけではありません。
コストの種類で、転嫁のしやすさは違う
調査では、コスト要素別の転嫁率も公表されています。
| コストの種類 | 価格転嫁率 |
|---|---|
| 原材料費 | 55.7% |
| 労務費 | 50.0% |
| エネルギーコスト | 48.9% |
原材料費は、数字や証拠を示しやすいので、価格に乗せやすい傾向があります。労務費は、人の働きに対する対価なので、取引先に説明しにくい。この解釈は弊社の推測で、公表資料に理由は書かれていません。
価格交渉は、ほぼ行われている
同じ調査で、「価格交渉が行われた」と答えた割合は90.7%でした。前回から微増です。
交渉の場に座ること自体は、ほとんどの会社でできています。それでも転嫁率は半分強にとどまります。5つの力で言えば、買い手の力が交渉の結果に響いているとみられます。これも弊社の読み方です。
交渉が行われたものの、コスト上昇分の全額の転嫁には至らなかった企業のうち、発注企業から「納得できる説明があった」と答えた企業は約6割でした。残りの約4割は、納得できる説明が無かったと答えたことになります。
取引の階層が深いほど、転嫁率は低い傾向にある
経済産業省は、サプライチェーンの段階について、こう整理しています。受注企業の取引階層が深くなるにつれて、価格転嫁の割合が低くなる傾向がみられる。ただし、1次請けの企業と4次請け以上の企業の転嫁率の差は縮小した、と。
また、都道府県別では、上位の都道府県と下位の都道府県で、価格転嫁率に20%以上の差が生じていると公表されています。
| 公表された事実 | 5つの力での読み方(弊社の整理) |
|---|---|
| 取引階層が深いほど転嫁率が低い傾向 | 発注元との間に何段もあるほど、買い手の力が強く現れる |
| 地域で20%以上の差 | 同じ業種でも、商圏によって買い手の力が違う |
| 「納得できる説明があった」は約6割 | 説明の質が、力関係を動かす余地になる |
最後の行が、サイトの話につながります。納得できる説明があったかどうかが、転嫁の結果を分けるなら、自社の説明を、取引が始まる前から、サイトで用意しておく価値があります。経済産業省は、「全体として改善傾向にはありますが、まだ道半ば」とまとめています。
よくある間違った進め方と、その末路
5つの力を使った会社が、同じところでつまずきます。典型を4つ挙げます。
間違い1 大企業の例を、そのまま自社に写す
検索すると、大企業の分析例がたくさん出てきます。その表をなぞって、自社の欄を埋める。ここで起きるのは、自社の日々の仕事から遠い表の出来上がりです。
大企業の例では、新規参入の壁は設備投資の大きさだったり、買い手は大手の量販店だったりします。自社の商圏では、同じ言葉が別の意味になります。
末路は、表が1枚できて、次の月には誰も開かない状態です。
間違い2 5つの力を、すべて「強い」と書く
5つの力のどれも強いと書くと、自社は厳しい業界にいる、という結論になります。結論は出ますが、手が決まりません。
すべてが強いと書いてしまうのは、業界を広く切りすぎているときに起きます。狭く切り直すと、強い力と弱い力が分かれます。
間違い3 分析を書いて、そこで終わる
5つの力の表を書いて満足して、サイトは1行も変えない。これも、よくある終わり方です。
論文は、力の強さを見たうえで、自社の位置を決めるところまでを求めています。位置が決まっても、お客様の目に触れる場所が変わらなければ、効果はありません。
間違い4 力に押されて、値引きで応じる
競争や買い手の力が強いと分かったとき、いちばん手近な対応は値引きです。値引きは、短期では受注に効きます。
ただ、値引きに頼ると、今度は売り手の力が効いてきます。仕入れ値が上がったときに、売り値に乗せにくくなるからです。先ほどの調査で、価格転嫁率が半分強だったのは、この構図が背景にあるとみられます。この見方は弊社の整理です。
| 間違い | 起きること | 避ける手 |
|---|---|---|
| 大企業の例を写す | 自社から遠い表になる | 業界を商圏まで狭く切る |
| すべて強いと書く | 手が決まらない | 切り方を直して強弱をつける |
| 書いて終わる | サイトが変わらない | 手順6まで1日で進める |
| 値引きで応じる | 利益が残らない | 比べられ方を変える説明を用意する |
中小企業の例:架空の3社で、5つの力を読んでみる
手順を、架空の3社で動かしてみます。社名も数字も、説明のために作ったものです。実在の会社や、実際の調査結果ではありません。
3社は、業種も、お客様の種類も違います。同じ5つの力でも、強い力が会社ごとに変わる様子を見てください。
架空の例1 地方都市の工務店:戸建てのリフォーム
1社目は、地方都市で戸建てのリフォームを請け負う、従業員8人の工務店です。業界は、自社の商圏の、戸建てのリフォームと置きます。
| 力 | 強弱 | 根拠(架空の記録) |
|---|---|---|
| 業界内の競争 | 強い | 同じ商圏に、似た規模のリフォーム会社が何社もある |
| 新規参入の脅威 | 中 | 許可があれば始められるが、地域の信頼を積むのに年数がかかる |
| 代替品の脅威 | 中 | 設備を自分で取り替える人が、小さな工事で一定数いる |
| 買い手の交渉力 | 強い | 相見積もりを取られることが、ほぼ毎回ある |
| 売り手の交渉力 | 中 | 資材の仕入れ先は複数あるが、職人の手配は限られる |
強い力は、競争と買い手の2つです。この2つは同じ原因で起きています。比べられる前提で、お客様が相手を探しているからです。
身を守る位置は、「比べられる前に、見積もりの中身の違いを説明する」と決めました。直すページは、見積もりの見方を説明するページと、工事ごとの事例のページです。
架空の例2 金属部品を加工する町工場:BtoB
2社目は、金属部品の加工を請け負う、従業員15人の町工場です。売上の大半が、数社の発注元で占められています。
| 力 | 強弱 | 根拠(架空の記録) |
|---|---|---|
| 業界内の競争 | 中 | 同じ加工ができる工場は近隣にあるが、設備の違いで得意が分かれる |
| 新規参入の脅威 | 弱い | 機械を揃える投資が大きく、新しく始める会社は少ない |
| 代替品の脅威 | 中 | 別の素材や、別の加工方法への切り替えが、発注元で検討される |
| 買い手の交渉力 | 強い | 売上の大半が数社で、値段と納期は発注元が決める |
| 売り手の交渉力 | 中 | 材料の仕入れ先が限られ、値上げの通知が年に何度かある |
強い力は、買い手の1つです。必要な資本が大きいので、新規参入の壁は高い。ここは守られています。
身を守る位置は、「発注元を少しずつ増やして、1社への依存を下げる」と決めました。論文が書いていた、買い手が集中している場合に力が強まるという条件を、そのまま避ける方向です。
直すページは、設備の一覧と、加工できる材料と精度のページです。新しい発注元になりうる会社が、検索で見つけて、「ここに頼めるか」を判断できるようにします。
架空の例3 個人経営の美容室
3社目は、住宅街にある、スタッフ3人の美容室です。業界は、自社から歩いて通える範囲の、女性向けの美容室と置きます。
| 力 | 強弱 | 根拠(架空の記録) |
|---|---|---|
| 業界内の競争 | 強い | 徒歩圏に、予約サイトで安さを前面に出す店が何軒もある |
| 新規参入の脅威 | 強い | 少ない投資で、スタッフ1人でも開業できる |
| 代替品の脅威 | 中 | 自宅で染める、ネットで買った道具で整える、などがある |
| 買い手の交渉力 | 弱い | お客様は価格より、担当者との相性で決める傾向がある |
| 売り手の交渉力 | 弱い | 薬剤や備品の仕入れ先は、複数から選べる |
強い力は、競争と新規参入の2つです。この2つは、お客様の側からでなく、同業の側から来る力です。
身を守る位置は、「担当者を指名して通うお客様を増やす」と決めました。お客様の乗り換えを止める仕組みが、論文の言う、競り合いを弱める条件の1つにあたるからです。直すページは、スタッフの紹介と、仕上がりの事例のページです。
3社を並べると、直す場所が会社ごとに違う
3社を並べて、強い力と直すページを表にします。
| 会社 | 強い力 | 身を守る位置 | 最初に直すページ |
|---|---|---|---|
| 工務店 | 競争、買い手 | 比べられる前に見積もりの中身を説明する | 見積もりの見方のページ |
| 町工場 | 買い手 | 発注元を増やして、依存を下げる | 設備と加工条件のページ |
| 美容室 | 競争、新規参入 | 指名して通うお客様を増やす | スタッフ紹介のページ |
同じ5つの力を使っても、直す場所は3社とも違いました。トップページの1文を書き直す、という共通の答えでは済みません。力の強さを見る意味は、ここにあります。
力ごとに、サイトの直す場所を決める
ここからが、この記事の中心です。5つの力それぞれに、サイトのどのページが答える役を持つのかを、表にします。この対応表は、弊社の整理です。
業界内の競争が強いとき:違いを、比べられる前に1行で言う
競争が強いサイトでは、お客様は、ページを開いた瞬間に、他の会社と見比べています。見比べたとき、違いが1行で言えない会社は、料金だけで比べられます。
直す場所は、トップページの最初の1文と、「選ばれる理由」のページです。同業に言える言葉で書いてあるなら、書き直します。
新規参入の脅威が強いとき:積み上げた事実を、見える形にする
新規参入が簡単な業界では、新しい相手が増えても、お客様が離れない理由が要ります。論文が壁の1つに挙げた、製品の差別化が、ここにあたります。
直す場所は、事例のページ、お客様の声、運営の年数、スタッフの紹介です。積み上げた事実は、新しい会社がすぐには真似できません。
代替品の脅威が強いとき:自分でやる場合との違いを、先に答える
代替品が強い業界では、お客様は「自分でやったらどうなるか」を、頭の中で比べています。その比較を、サイトの側が先に引き受けます。
直す場所は、「自分でやる場合との違い」のページと、よくある質問です。自分でやるほうが向く場合も、正直に書きます。向かない人に断る姿勢は、向く人の信頼につながります。
買い手の交渉力が強いとき:料金の考え方を、見積もりの前に見せる
買い手の力が強い業界では、お客様は、相見積もりを取る前提で動きます。金額の根拠が見えないと、金額だけで比べられます。
直す場所は、料金のページです。金額そのものを載せる場合も、載せない場合も、何で金額が決まるかを書きます。工務店なら、見積もりの見方のページが、これにあたります。
売り手の交渉力が強いとき:納期と代替の書き方を、備えておく
売り手の力は、サイトの外の話に見えますが、書き方で備えられます。仕入れ先に左右される部分は、納期の書き方に出ます。
直す場所は、納期の説明と、在庫の書き方、代わりの材料や方法を使う場合の案内です。約束できないことを、約束の形で書かない。これだけで、遅れたときの信頼の傷が小さくなります。
| 強い力 | 直すページ | そのページで答える問い |
|---|---|---|
| 業界内の競争 | トップの1文、選ばれる理由 | 他と何が違うのか |
| 新規参入の脅威 | 事例、お客様の声、スタッフ紹介 | この会社は、積み上げた実績があるのか |
| 代替品の脅威 | 自分でやる場合との違い、よくある質問 | 自分でやるのと、どう違うのか |
| 買い手の交渉力 | 料金の考え方、見積もりの見方 | 金額は、何で決まるのか |
| 売り手の交渉力 | 納期の説明、代わりの案内 | 約束は、どこまで守れるのか |
1枚のテンプレート:10の欄に、手順の答えを書き写す
手順1から6の答えを、紙1枚に収めるテンプレートを示します。欄は10個です。1欄2行までで書きます。
| 欄 | 書くこと | 書き方の例(架空の工務店) |
|---|---|---|
| 1 業界の1行 | どの地域の、誰向けの、何のサービスか | 自社の商圏の、戸建てのリフォーム |
| 2 業界内の競争 | 強弱と根拠1行 | 強い:似た規模の会社が何社もある |
| 3 新規参入の脅威 | 強弱と根拠1行 | 中:信頼を積むのに年数がかかる |
| 4 代替品の脅威 | 強弱と根拠1行 | 中:自分で取り替える人がいる |
| 5 買い手の交渉力 | 強弱と根拠1行 | 強い:相見積もりがほぼ毎回ある |
| 6 売り手の交渉力 | 強弱と根拠1行 | 中:職人の手配が限られる |
| 7 強い力 | 1つか2つ | 競争と買い手 |
| 8 身を守る位置 | 1文 | 比べられる前に見積もりの中身を説明する |
| 9 直すページ | 3つまで | 見積もりの見方、工事の事例、トップの1文 |
| 10 確かめる数字 | 3つ以内 | 見積もりの相談件数、相見積もりの割合、成約率 |
10の欄を書くときの3つの決まり
1つめは、1欄を2行までにすること。長く書くと、読み返さなくなります。
2つめは、根拠を、自社の記録から1行書くこと。根拠が書けない欄は、「不明」と書き、記録を取ることを、10の欄に加えます。
3つめは、半年に1度、書き直すこと。業界の力は、新規参入や取引先の変化で動きます。同じ表を何年も使い続けると、自社の現実と離れていきます。
10の欄の、最後の欄が大切な理由
欄10の「確かめる数字」は、手を打ったあとに、効いたかどうかを見る数字です。数字を3つ以内にしておくと、次の月に見直すときに、迷いません。
サイトを直しても、数字を見ないと、直したことが良かったのか分かりません。見積もりの相談件数や、成約までの日数のような、自社の記録から取れる数字を選んでください。
解決策:「売れるサイトはみな謙虚」の考え方で、5つの力をサイトに写す
ここからが、この記事の仕上げです。決めた位置を、サイトの直す場所に写す作業を、「売れるサイトはみな謙虚」という考え方で進めます。
この考え方は、ウェブサイトから要素を引き算して、訪れた人が迷わず次の一歩に進める形に組み直す、というものです。
5つの力に当てはめると、自社の言いたいことを減らし、お客様が比べたいことに先に答える作業になります。
謙虚とは、自慢を、お客様の比べたいことの後ろに置くこと
競争が強い業界のサイトは、自慢の言葉で埋まりがちです。「業界トップクラス」「安心の品質」「お客様第一」。どの会社のサイトにも、同じ言葉が並びます。
お客様は、そうした言葉を、頭の中で読み飛ばしています。比べたいのは、期間、条件、進め方、費用の決まり方といった、具体の違いだからです。
謙虚に書くとは、自慢の言葉を減らして、比べたい点に先に答えることです。自慢が減ると、約束も小さくなります。約束が小さいほど、中身との食い違いも減ります。
引き算の基準は、5つの力のどれに答えているか
サイトに載っている言葉を、5つの力と照らし合わせます。どの力にも答えていない言葉は、後ろに回します。
| 問い | 「いいえ」のとき |
|---|---|
| 比べられたとき、違いが分かる言葉か | 同業に言える言葉なので、具体に直す |
| お客様が、不安に思うことに答えているか | 自慢話なので、後ろに回す |
| 自社が、実際に約束できる内容か | 約束を小さくする |
3つとも「はい」になる言葉だけを、サイトの上のほうに残します。「いいえ」が残った言葉は、無理に消さず、ページの後ろに回すだけで構いません。
1週間で、最初の3か所を直す進め方
サイトの全部を一度に直す必要はありません。1週間で、10の欄の9に書いた、直すページの1つめから3つめまでを直します。
| 日 | 作業 | 使う時間の目安 |
|---|---|---|
| 1日目 | 10の欄の、8の身を守る位置を、お客様の言葉の1文にする | 1時間 |
| 2日目 | 強い力に答えるページの見出しを、その1文に合わせて直す | 1時間 |
| 3日目 | そのページの中身を、お客様が比べたい点の順に並べ直す | 1時間 |
| 4日目 | 自慢の言葉を、ページの後ろに回す | 30分 |
| 5日目 | 書いていない人に読んでもらい、違いが伝わったか聞く | 30分 |
足りない作業は、翌週に回します。1週間で全部を終えようとすると、サイトの言葉が、急いだ言葉になります。
3か月後に、表を見直す
3か月たったら、10の欄の表を見直します。見るのは、次の3点です。
| 見る点 | 確かめること | 外れたときの直し方 |
|---|---|---|
| 確かめる数字 | 欄10の数字が動いているか | 動いていない数字のページに戻る |
| 問い合わせの内容 | 比べられ方が変わったか | 見出しを見直す |
| 5つの力の強さ | 新しい会社が入ってきていないか | 欄2から6を書き直す |
見直しは、表を捨てる作業ではありません。ずれた欄を1つ直す作業です。
隣の道具との並べ方:5つの力の前後に置く道具
5つの力は、1つの道具です。ほかの道具と並べると、使いどころが見えてきます。弊社の過去の記事のうち、隣り合う道具を、1つずつ紹介します。
| 道具 | 見るもの | 5つの力との関係(弊社の整理) |
|---|---|---|
| PEST分析 | 政治・経済・社会・技術の大きな流れ | 5つの力の手前で、業界全体の追い風と向かい風を見る |
| 3C分析 | 顧客・競合・自社 | 5つの力のうち、競争と買い手を、1社ずつ具体に書く |
| SWOT分析 | 自社の強み・弱みと、外の機会・脅威 | 5つの力の答えを、外側の欄の根拠にする |
| STP分析 | 誰に絞り、どの位置を取るか | 5つの力で見つけた位置を、1つの集まりに絞る |
| 4P分析 | 商品・価格・流通・販促の整合 | 位置を決めたあと、売り方がそろっているかを見る |
隣の道具を使うかどうかは、会社によって違います。5つの力だけで、直すページが決まる会社もあります。
戦略全体の中の位置と、小さな会社の戦い方
戦略全体の中で、5つの力がどこに入るかは、マーケティング戦略の記事で、道具を並べる順番として書きました。
力の強さが分かったあと、小さな会社が取れる戦い方の考え方は、ランチェスター戦略の記事にまとめています。
どちらの記事も、5つの力の話を繰り返していません。この記事とは、答える問いが違います。
よくある質問
Q. 5フォース分析は、中小企業や個人事業にも使えますか?
使えます。ただし、業界を、お客様が見積もりで比べる範囲まで狭く切ることが条件です。
業界を広く切ると、どの力も「そこそこ強い」としか書けず、手が決まりません。
Q. 5つの力の強さは、どうやって判断すればよいですか?
最初は、強い、中、弱いの3段階で仮に置きます。そのあと、失注の記録や、見積もりの記録で確かめます。
記録が無い力は、「不明」と書いて、今日から記録を付けます。1か月つければ、次の版で直せます。
Q. 自社の強みや弱みは、どこに書きますか?
5つの力には、自社の強みと弱みを書く欄がありません。業界の構造だけを見るからです。
強みと弱みは、SWOT分析の内側の欄に書きます。5つの力の答えは、SWOT分析の外側の欄の根拠にします。
Q. 5つの力の数字は、どこで調べればよいですか?
公的な調査を使う場合は、経済産業省や中小企業庁などの公表資料が出どころになります。取引の力関係なら、この記事で紹介した価格交渉促進月間のフォローアップ調査が参考になります。
自社の力は、自社の記録で確かめるのが基本です。業界全体の数字は、直接の根拠とは扱わず、見方を補う材料として使います。
Q. 分析のあと、サイトはどこから直せばよいですか?
強い力に答えるページから直します。競争が強ければトップの1文と選ばれる理由、買い手が強ければ料金の考え方のページです。
1つのページを、お客様の比べたい点の順に並べ直すところから始めてください。
まとめ:5つの力は、直すページを決めるために読む
5フォース分析とは、自社が戦う業界の儲けやすさを、5つの力の強さで見る道具です。5つの力は、業界内の競争、新規参入、代替品、買い手、売り手です。
最初に発表したのは、米国の経営学の雑誌の1979年3月号に載った、マイケル・E・ポーターの論文です。2026年11月6日に、掲載ページで確かめました。
中小企業が使うときの決まりは、業界を、お客様が見積もりで比べる範囲まで狭く切ることです。切り方で、力の強さの見え方が変わります。
手順は6つです。業界を切り、力を仮置きし、記録で確かめ、強い力を1つか2つ選び、位置を1文にして、サイトのページに結びつけます。
経済産業省が2026年6月26日に公表した調査では、価格転嫁率は54.2%でした。買い手と売り手の力は、取引の数字に現れます。
力の強さが分かったら、強い力に答えるページから直します。表を書いて終わりにせず、1ページ直すところまでを、1日の仕事にしてください。
今日できる点検
| 点検すること | 見る場所 | 直すこと |
|---|---|---|
| 自社の業界を、1行で言えるか | 白紙、または頭の中 | 地域、お客様、サービスの3つを入れて書く |
| 5つの力のうち、強い力は何か | 失注の記録、見積もりの記録 | 強い、中、弱いで仮置きして、根拠を1行書く |
| 強い力は、1つか2つに絞れているか | 5つの力の表 | 多ければ、自社が動かせる力から選ぶ |
| 強い力に答えるページが、サイトにあるか | 自社サイトの目次 | 無ければ、見出しだけでも先に作る |
| トップの1文は、同業に言える言葉になっていないか | 自社のトップページ | 比べたい点に答える1文に差し替える |
| 確かめる数字が、3つ以内で決まっているか | 10の欄の欄10 | 見積もりの相談件数など、記録から取れる数字を選ぶ |
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
生成AIに引用されるページを、お話しいただくだけでお作りします。お時間をいただくのは初回15分のヒアリングだけです。まず1ページ、無料でお作りします。
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