週末と連休は、駐車場が埋まる。
ところが平日になると、広い駐車場に車が数台しか止まっていない。
観光地で施設を営んでいる方なら、この景色に覚えがあると思います。
この記事は、地方の観光施設を営む経営者の方に向けて書いています。
体験施設、道の駅、観光農園、資料館、観光地の食事処や土産物店といった、旅の途中に立ち寄ってもらう場所が対象です。
観光協会や自治体で観光を担当している方にも、使える話を後半に入れました。
旅館やホテルなど、泊まる場所の集客は扱いません。
宿の話はホテルの集客について書いた記事と民泊の集客について書いた記事にまとめています。
この記事で扱うのは、目的地として選ばれ、旅程の中に名前を書き込んでもらうための話です。
観光の集客には、街なかのお店にない難しさが1つあります。
来る人が、遠く離れた家の中で、何日も前に行き先を決めていることです。
だから、決める瞬間に開かれるページの中身が、そのまま来る人の数になります。
あわせて、観光庁や日本政府観光局が公表している数字のうち、一次資料で確かめられたものだけを使って、いまの人の流れを整理します。
読み終えたときに、自分の施設のサイトで最初に直す場所が1つ決まっている。
そこをこの記事のゴールにしています。
Q&Aサイトで見かけた、平日に人が来ない食事処の相談
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿されたのは2025年の6月で、山梨県の観光地で郷土料理の店を営んでいる方からの相談でした。
土日は忙しく、平日は空席が目立つ
投稿者の店は、土日と祝日は忙しく回っているそうです。
困っているのは平日で、客足が落ちて集客にとても苦労していると書いていました。
駐車場は広く、席も40ほどあるので、観光バスの立ち寄りには向いているはずだという見立てでした。
実際に、平日にバスが昼食で立ち寄ってくれる日は、それだけで売上の目処が立つそうです。
そこで、観光バスの立ち寄りをもっと増やしたい。
ただ、営業や周知のやり方が分からない、という相談でした。
回答に並んだのは、売り込み先の話だった
寄せられた回答は、どれも「誰に売り込むか」についての助言でした。
ある回答者は、旅行会社への営業を専門に請け負う会社と組むのがよいと書いていました。
旅行業界の経験がないまま旅行会社に営業しても、うまくいかないという理由です。
別の回答者は、観光バスは無料では来てくれないと指摘していました。
旅行会社に送客の手数料を払う前提で、各社と契約を結ぶ必要がある、という具体的な話です。
都市から出ている日帰りのバス旅行を調べ、そのバス会社に直接出向いて話をする、という手順を挙げた回答もありました。
どれも、業界の中にいる人ならではの実務的な助言だと思います。
売り込む前に、受け取る側を整えておく
回答に書かれていた手段は、どれも間違っていません。
旅行会社やバス会社に会いに行くことは、団体の立ち寄りを増やすうえで避けて通れない道です。
ただ、この相談にはもう1つ見ておきたい点があります。
営業を受けた旅行会社の担当者は、その場で決めずに、まず施設のことを調べます。
駐車場に大型のバスが何台入るのか、40人が一度に座れるのか、食事に何分かかるのか。
担当者はそうした条件を確かめたうえで、上司や企画の会議に「ここに寄りたい」と持ち込みます。
その確かめる場所で答えが見つからなければ、営業でいくら熱意を伝えても、旅程には書き込まれません。
売り込み先を探す前に、売り込んだ相手が開くページを整えておく価値があります。
| 試していること | そこで起きていたかもしれないこと | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 旅行会社に営業する | 担当者が施設のページで条件を探し、見つけられなかった | 団体の受け入れ条件がサイトの1か所にまとまっているか |
| バス会社に直接出向く | 話は聞いてもらえたが、社内で回す資料がなかった | 担当者が印刷して社内で回せるページがあるか |
| 土日の混雑で手一杯 | 平日に来られる人への案内を書く余裕がなかった | 平日に来る理由になる情報が1行でも載っているか |
| 駐車場の広さを売りにする | 「広い」とだけ書いて台数や大型車の可否がない | 大型バスの台数と出入口の位置が書いてあるか |
| 席数を売りにする | 席はあっても、一度に何人まで食べられるかが分からない | 団体の人数と食事にかかる時間の目安が書いてあるか |
これは観光施設の9割が入り込む落とし穴です
平日に人が来ない理由を「知られていないから」と考えるのは自然なことです。
知られていないなら、知らせる量を増やせばいい。
そう考えて、チラシを観光案内所に置き、写真の投稿を増やし、旅行サイトに掲載を申し込む。
ところが、知らせる量を増やしても、平日の空席がそのまま残ることがよくあります。
知った人が行き先を決める段になって、施設のページで判断の材料を見つけられずにいるからです。
この記事で「9割」と書いたのは統計の数字ではありません。
観光に関わる事業者の相談を受けていると、ほとんどの方が最初に「知らせる量」の話から始める、という実感を言葉にしたものです。
「来る人の数」と「来る日の偏り」は別の問題
土日に混んで平日に空く施設は、年間で見た来場者の数が少ないとは限りません。
週末に十分な人が来ているなら、施設そのものはすでに知られています。
足りないのは、平日や閑散期に来てくれる人の側の理由です。
週末に来る人と、平日に来る人は、同じ人ではありません。
週末に来るのは、休みの日に家族や友人と出かける人が中心です。
平日に来るのは、団体の旅行、学校の行事、仕事の合間、年金で暮らす世代の小旅行、平日休みの職業の人といった、別の顔ぶれです。
週末の人に向けたページのまま知らせる量を増やしても、平日の人には響きません。
偏りは、数字を曜日と月で分けると見える
自分の施設がどんな偏りを抱えているかは、手元の記録を曜日と月で分けるだけで見当がつきます。
レジの記録や入場券の枚数を、曜日ごとと月ごとに並べてみてください。
ホームページの閲覧の記録があれば、どの曜日にどのページが読まれているかも並べます。
平日にページは読まれているのに来場が少ないなら、読んだ人が来る理由を見つけられていない状態です。
平日はページもほとんど読まれていないなら、平日に動ける人にまだ届いていない状態です。
団体の問い合わせの記録があれば、問い合わせから実際の予約に進んだ割合も見ておきます。
| いまの状態 | 数字に出ること | 先に手を打つ場所 |
|---|---|---|
| 週末に偏っている | 土日の来場が平日の何倍にもなる | 平日に来る人向けの案内を別に作る |
| 季節に偏っている | 特定の月に来場が集まり、端の月が落ち込む | 季節の端にしかないものをページに書く |
| 平日に読まれて来ない | 平日の閲覧はあるのに来場が伸びない | 所要時間や混み具合など、決める材料を足す |
| 団体が決まらない | 問い合わせは来るのに予約に進まない | 団体の受け入れ条件を1ページにまとめる |
| 数字を見ていない | どこで止まっているのか分からない | 来た人に「何を見て決めたか」を1つだけ聞く |
観光の集客が、街なかのお店より難しい理由
駅前の飲食店や美容室と比べると、観光施設には特有の難しさがあります。
ここを押さえておくと、サイトに何を書けばいいかが見えてきます。
来る人が、遠くで先に行き先を決めている
街なかのお店は、通りがかった人がその場で入ることがあります。
観光施設に来る人の多くは、家を出る前に行き先を決めています。
決める場所は自宅の居間であり、通勤の電車の中であり、旅行会社の会議室です。
施設の外観や店先の雰囲気は、その瞬間には届きません。
届くのは、画面に映ったページと写真と、そこに書かれた言葉だけです。
決める人が2種類いる
観光施設の行き先を決める人には、大きく分けて2種類います。
1つは、自分や家族の旅の行き先を自分で決める個人の旅行者です。
もう1つは、他人のために旅程を組む人です。
旅行会社やバス会社の企画担当、修学旅行や社員旅行の幹事、観光協会の担当者がここに入ります。
2種類の人は、同じページを開いても、探している情報がまるで違います。
個人の旅行者は「楽しそうか」を探し、旅程を組む人は「段取りが組めるか」を探しています。
天気と暦に振り回される
観光施設の来場は、天気と暦に大きく左右されます。
雨が降れば屋外の体験は取りやめになり、連休が短い年は遠くからの客足が鈍ります。
街なかのお店も天気の影響は受けますが、観光施設ほど1日の天気で予定そのものが消えることはありません。
天気や暦の波を受けやすい施設ほど、波が来たときに選ばれる理由を先にページに書いておく必要があります。
| 比べる点 | 街なかのお店 | 観光施設 |
|---|---|---|
| 行き先を決める場所 | 店の前、通りがかり | 自宅や職場、旅行会社の会議室 |
| 決める人 | 来る本人 | 本人に加えて、旅程を組む担当者 |
| 決めるまでの時間 | その場か、数日前 | 数日前から数か月前 |
| 来る日の偏り | 平日と週末の差は比較的小さい | 週末と連休、季節に大きく偏る |
| サイトで答える問い | どんな店か、今日開いているか | 旅程に入れられるか、何分いられるか |
数字で見る、いまの観光の人の流れ
施設のページを直す前に、いま旅をしている人がどれくらいいて、どんな旅をしているのかを確かめておきます。
ここでは、観光庁と日本政府観光局が公表している一次資料から、確かめられた数字だけを使います。
日帰りの旅は、国内の旅の半分近くを占める
観光庁が2026年4月30日に公表した旅行・観光消費動向調査の2025年年間値(確報)によると、日本人の国内延べ旅行者数は5億5,313万人でした。
資料には「2025年の日本人国内延べ旅行者数は5億5,313万人(前年比2.4%増)」と書かれています。
そのうち宿泊旅行は2億9,997万人、日帰り旅行は2億5,316万人です。
計算すると、国内の旅のおよそ46%が日帰りということになります。
この数字は、立ち寄りの施設にとって大事な意味を持ちます。
泊まらずに帰る人は、限られた時間の中で行き先を2つか3つに絞ります。
その2つか3つに入るかどうかは、家を出る前に見たページで決まります。
海外からの旅行者は、過去最多を更新した
日本政府観光局が2026年1月に公表した資料によると、2025年の訪日外客数は4,268万3,600人でした。
資料の見出しには「年間で 4,200 万人を突破し過去最多」とあり、2024年の3,687万148人を580万人以上上回ったと書かれています。
ただし、この数字がそのまま地方の施設の来場につながるわけではありません。
海外からの旅行者は、まず大きな都市や名の知れた観光地に向かいます。
地方の施設に足を延ばしてもらうには、その人が旅の計画を立てる段階で、施設の名前と行き方が見つかる必要があります。
数字が伸びていることは追い風ですが、風を受け止める帆にあたるのは、やはりページの中身です。
| 数字 | 資料の名前 | 施設にとっての意味 |
|---|---|---|
| 国内延べ旅行者数 5億5,313万人 | 観光庁 旅行・観光消費動向調査 2025年年間値(確報) | 国内の旅は前年より2.4%増えている |
| うち日帰り旅行 2億5,316万人 | 同上 | 国内の旅のおよそ46%は泊まらずに帰る |
| うち宿泊旅行 2億9,997万人 | 同上 | 泊まる旅も前年より2.3%増えている |
| 訪日外客数 4,268万3,600人 | 日本政府観光局 2025年の推計値 | 海外からの旅行者は過去最多を更新した |
| 前年の訪日外客数 3,687万148人 | 同上 | 1年で580万人以上増えた |
観光の集客がうまくいかない構造
人の流れは増えているのに、自分の施設には平日の人が来ない。
この食い違いは、施設の努力が足りないから起きるのではありません。
観光の情報が流れる仕組みそのものに、地方の施設が損をしやすい構造があります。
情報が、旅行サイトや案内所の側にある
旅行者が行き先を探すとき、最初に開くのは施設の公式サイトとは限りません。
旅行の予約サイト、口コミのサイト、地図の検索、観光協会のページ、紙のガイドブック。
施設の情報は、こうした他人の場所に、他人の書き方で載っています。
掲載の文面は短く、写真は古く、営業時間は数年前のまま、ということも珍しくありません。
旅行者はそこで見た情報をもとに判断し、公式サイトまでたどり着かないまま候補から外すこともあります。
公式サイトが「パンフレットの写し」になっている
多くの施設の公式サイトは、紙のパンフレットをそのまま画面に移した作りになっています。
施設の歴史、館長のあいさつ、展示や体験の紹介、料金表、地図。
どれも書かれていて当然の情報ですが、旅の計画を立てる人の問いには答えていません。
その人が知りたいのは、何時に着けば何時に出られるのか、子ども連れで楽しめるのか、雨でも大丈夫なのか、といったことです。
パンフレットは施設に来た人が手に取るものなので、来る前の人の問いを想定して作られていません。
観光協会のページと施設のページが、同じことを言っている
地域の観光協会や自治体のページにも、施設の紹介が載っています。
そこに書かれている文面と、施設の公式サイトの文面が、ほとんど同じということがよくあります。
同じ文面が2か所にあっても、読む人にとっての情報は増えません。
観光協会のページは地域の中での位置づけを、施設のページは来る人の段取りを、と役割を分けたほうが、両方が生きます。
団体向けの情報が、どこにもない
冒頭の相談にもあったように、平日の谷を埋めるうえで団体の立ち寄りは大きな力になります。
ところが、団体向けの受け入れ条件をサイトに載せている施設は多くありません。
大型バスの駐車台数、一度に受け入れられる人数、食事や体験にかかる時間、雨の日の代わりの過ごし方、予約の締め切り。
こうした情報は、電話で聞かれたら答えるもの、と考えられがちです。
けれど旅程を組む担当者は、候補の施設を何十も比べていて、1つずつ電話をかける余裕がありません。
ページで条件が確かめられる施設から先に、候補として残っていきます。
| 構造の問題 | 施設の側で起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 情報が他人の場所にある | 予約サイトや地図の情報が古いまま残っている | 掲載先を一覧にして、営業日と時間をそろえる |
| 公式サイトがパンフレットの写し | 来る前の人の問いに答えていない | 所要時間と雨の日の過ごし方を足す |
| 観光協会と同じ文面 | 2か所で同じことを言い、情報が増えない | 施設のページは段取りの情報に寄せる |
| 団体向けの情報がない | 担当者が条件を確かめられずに候補から外す | 受け入れ条件を1ページにまとめる |
| 平日の案内がない | 週末向けの書き方のまま平日の人に届いていない | 平日だけの体験や空き具合を書く |
旅程を組む人は、何を見て行き先を決めているのか
ここで、行き先を決める人の側に立って、何を見て決めているのかを整理しておきます。
決める人が2種類いることは先に触れましたが、もう少し細かく分けると3つの立場が見えてきます。
個人の旅行者が確かめること
家族や友人と出かける個人の旅行者は、まず「楽しそうか」を写真で確かめます。
次に確かめるのは、自分たちの旅程に収まるかどうかです。
何時から何時まで開いているか、どれくらいの時間がかかるか、次の行き先までどれくらい離れているか。
小さな子どもや高齢の親を連れている場合は、段差や休める場所、食事ができるかどうかも見ます。
写真で興味を持った人が、段取りの情報で安心して、ようやく旅程に名前が書き込まれます。
旅行会社やバス会社の担当が確かめること
旅行会社やバス会社の企画担当は、楽しそうかどうかより先に、段取りが組めるかを確かめます。
大型バスが何台入れるか、乗り降りの場所はどこか、一度に何人まで受け入れられるか。
食事や体験に何分かかり、前後の行き先との間で時間の帳尻が合うか。
雨の日の代わりの過ごし方があるか、予約や人数の変更はいつまでできるか。
担当者はこれらを確かめたうえで、企画の会議に持ち込める資料を作ります。
ページから条件を写し取れる施設ほど、資料に載せてもらいやすくなります。
学校や企業の担当が確かめること
修学旅行や遠足、社員旅行の幹事は、旅行会社の担当と似た条件に加えて、学びや安全の情報を確かめます。
体験の中身が学習の目的に合っているか、けがをしたときの対応はどうなっているか。
保護者や上司に説明するとき、ページの文面がそのまま使えるかどうかも見ています。
学校の行事は平日に組まれることが多いため、平日の谷を埋めたい施設にとっては大切な相手です。
| 決める人 | 最初に確かめること | ページに置いておく情報 |
|---|---|---|
| 個人の旅行者 | 楽しそうか、旅程に収まるか | 写真、営業時間、所要時間、次の行き先までの距離 |
| 子どもや高齢者を連れた家族 | 無理なく過ごせるか | 段差、休める場所、食事、手洗いの場所 |
| 旅行会社やバス会社の担当 | 段取りが組めるか | 大型バスの台数、受け入れ人数、所要時間、変更の期限 |
| 学校の担当 | 学びの目的と安全 | 体験の中身、対象の学年、けがのときの対応 |
| 企業の幹事 | 社内で説明できるか | 人数ごとの過ごし方、貸切の可否、雨の日の代わり |
よくある打ち手と、その先に起きること
平日に人が来ないとき、多くの施設が同じような打ち手を試します。
どれも一度はやってみる価値があるものですが、ページの中身を直さないまま続けると、手間ばかりが増えていきます。
ここでは、よく見かける打ち手と、その先で起きがちなことを順番に見ていきます。
写真映えする投稿を増やす
写真の投稿サイトで、見栄えのする写真を毎日のように投稿する。
若い世代に知ってもらうには、確かに効き目のある方法です。
ただ、投稿を見て興味を持った人が次に開くのは、施設の公式サイトや地図の情報です。
そこで営業時間や行き方がすぐに分からなければ、興味は「いつか行きたい場所」の棚にしまわれます。
しかも写真で集まるのは、週末に動ける若い世代が中心で、平日の谷はそのまま残ることが多いのです。
投稿を担当する人が疲れて更新が止まると、止まった日付がそのまま「最近は活気がない」という印象として残ります。
割引のクーポンを配る
平日だけの割引券を作って、旅行サイトや観光案内所で配る。
一時的に人は増えますが、割引がなくなると元に戻ることがよくあります。
割引で来た人は、割引そのものを理由に来ているからです。
さらに、割引の価格を一度見た人は、通常の価格を高く感じるようになります。
割引を続けるほど、施設の価値が割引の幅で測られるようになり、やめどきを見失います。
イベントを打ち続ける
季節ごとの祭りや体験会、限定の催しを企画して、来場のきっかけを作る。
イベントの日は人が集まり、地元の新聞に載ることもあります。
ところが、イベントの準備には人手がかかり、通常の日の受け入れが手薄になりがちです。
イベントのない平日に来る理由は、相変わらずページに書かれていません。
イベントのたびに告知を作り直すことになり、担当者の負担だけが積み上がっていきます。
旅行サイトへの掲載に頼り切る
旅行の予約サイトや体験の予約サイトに掲載して、そこから来る人に頼る。
掲載しておくこと自体は、旅行者の目に触れる機会を増やすので意味があります。
ただし、掲載の文面や写真の枠は、サイトの側で決められています。
施設ならではの段取りの情報や、平日に来る理由を書き込む余地は、あまりありません。
手数料の負担もあり、予約サイトからの来場が増えるほど、1人あたりの手元に残る分は減っていきます。
公式サイトで判断できる人が増えれば、直接の問い合わせや予約に切り替わる人も出てきます。
外国語のページを機械で作る
海外からの旅行者が増えているので、公式サイトを機械の翻訳で外国語にする。
何もないよりは、読める言葉で書かれているほうが親切です。
ただ、元の日本語のページが段取りの情報を欠いていれば、翻訳しても欠けたままです。
翻訳の言い回しが不自然だと、かえって施設の信頼を損ねることもあります。
まず日本語のページで、所要時間や行き方や支払いの方法を書き、それから訳すほうが確実です。
観光案内所や道の駅にチラシを置く
近くの観光案内所や道の駅、宿のフロントにチラシを置いてもらう。
旅先で行き先を探している人の目に触れるので、昔からある堅実な方法です。
ただ、チラシを手に取った人の多くは、その場でスマートフォンを取り出して施設の名前を検索します。
検索して出てきたページに、今日の営業時間や、ここから何分かかるかが書かれていなければ、チラシはそのまま鞄の底に入ります。
チラシに載せた内容と、検索して出てくるページの内容が食い違っていることもあります。
紙の料金や営業時間が古いまま配られ続け、現地で「書いてあったのと違う」と言われるのは、施設の側も来た人も気まずいものです。
チラシを刷り直すときは、検索した先のページも同じ日に見直す、という決まりを作っておくと食い違いが防げます。
| よくある打ち手 | その先で起きがちなこと | 先にしておくこと |
|---|---|---|
| 写真映えする投稿を増やす | 興味を持った人が公式サイトで段取りを確かめられず離れる | 投稿から飛んだ先のページに営業時間と行き方を置く |
| 割引のクーポンを配る | 割引がなくなると来場が元に戻る | 平日に来る理由を、値引き以外で1つ書く |
| イベントを打ち続ける | 担当者が疲れ、通常の日の受け入れが手薄になる | イベントのない日に来る理由をページに書く |
| 旅行サイトに頼り切る | 施設ならではの情報が書けず、手数料も重くなる | 公式サイトで判断できる情報をそろえる |
| 外国語のページを機械で作る | 元のページの欠けた情報がそのまま訳される | 日本語のページで段取りの情報を先に書く |
| 看板を増やす | 通りがかりの人は増えるが、旅程に入る人は増えない | 看板の先で読まれるページを整える |
平日と閑散期の谷を、なぜ埋められないのか
ここまでの打ち手は、どれも「知らせる量を増やす」方向の手です。
量を増やしても谷が埋まらないのは、谷の日に来る人の顔ぶれと、ページの書き方が合っていないからです。
谷の日に来る人は、週末の人とは別の人
先にも触れたように、平日に動ける人は、週末に動く人とは違う暮らしをしています。
団体の旅行を組む担当者、修学旅行や遠足を準備する先生、平日休みの職業の人、仕事を退いた世代の夫婦。
この人たちは、週末の家族連れとは違う理由で行き先を選びます。
団体の担当者は段取りを、先生は学びと安全を、平日休みの人は空いている時間を、退職した世代の夫婦はゆっくり過ごせるかを見ています。
週末の家族連れに向けた「楽しい」「映える」という言葉だけでは、この人たちの問いに答えられません。
谷の深さを、数字で確かめていない
谷を埋めようとする前に、谷がどれくらい深いのかを数字で確かめている施設は、意外と少ないものです。
「平日は少ない」という感覚はあっても、週末の何分の1なのか、どの月がいちばん落ち込むのかは、記録を並べてみないと分かりません。
数字で谷の形が分かると、打ち手の順番が決まります。
たとえば、平日の中でも火曜と水曜だけが極端に落ち込むなら、その2日に合わせた団体向けの案内を作ればよい、という具合です。
季節の谷なら、その月に来る人が何を求めているかを、去年の来場者の記録や問い合わせの中身から拾えます。
谷の形を知らないまま全部の日を埋めようとすると、手を打つ場所が絞れず、どの日にも中途半端な告知が残ります。
谷の日の良さを、ページに書いていない
平日や閑散期には、週末にはない良さがあります。
混雑がなく、体験の時間を長めに取れたり、職人や案内の人とゆっくり話せたりする。
季節の端には、その時期にしか見られない景色や、その時期にしか採れない作物があります。
ところが、こうした良さは、施設の人にとって当たり前すぎて、ページに書かれていないことがほとんどです。
平日に来る人は「平日だからこそ」の情報を探しています。
それが書かれていれば、週末を避けて平日を選ぶ理由になります。
谷を埋める相手を、1つに絞っていない
平日の谷を埋めたいと思うと、つい全部の相手に向けて少しずつ書きたくなります。
団体にも、学校にも、平日休みの人にも、退職した世代にも、と欲張ると、どの人にも届かない文面になります。
最初の1つは、すでに少しでも来ている相手から選ぶのが確実です。
冒頭の相談でいえば、平日にバスの昼食の立ち寄りがある日は売上の目処が立つ、と書かれていました。
それなら、まず団体の担当者に向けたページを1つ作るのが近道です。
団体のページが形になって平日の予約が入り始めたら、次の相手として学校の先生や平日休みの人に向けたページへ広げていけば十分です。
| 谷の日に来る人 | その人が探している情報 | ページに書くこと |
|---|---|---|
| 団体旅行の担当者 | 段取りが組めるか | 大型バスの台数、受け入れ人数、所要時間 |
| 学校の先生 | 学びの目的と安全 | 体験の中身、対象の学年、引率の流れ |
| 平日休みの職業の人 | 空いていて、ゆっくりできるか | 平日の混み具合、平日だけの体験 |
| 退職した世代の夫婦 | 無理なく過ごせるか | 歩く距離、休める場所、食事の時間 |
| 近くに住む人 | 気軽に寄れるか | 短い時間で楽しめる過ごし方、季節の便り |
「売れるサイトはみな謙虚」を観光施設に当てはめる
ここまでの話をまとめると、平日に人が来ない施設のサイトには共通点があります。
施設のことは書いてあるのに、旅の計画を立てる人の問いに答えていない、という点です。
私たちは、この状態を直す考え方を「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいます。
主役は施設の側にいない
謙虚なサイトでは、主役は施設でも経営者でもありません。
主役は、限られた休みの日に家族と出かけたい人や、団体の旅程を無事に組み上げたい担当者です。
施設は、その人の旅がうまくいくように手を貸す案内役として登場します。
施設の歴史や受賞歴を最初に長く並べるサイトは、主役の座を施設の側に置いています。
読む人が知りたいのは、施設がどれだけ立派かより、自分たちの旅の中でここがどんな時間になるかです。
施設は、旅の案内役として登場する
案内役としての施設は、旅をする人が迷いそうな場所を先回りして照らします。
着いたらまずどこへ行けばいいのか、何時に入れば昼食に間に合うのか、雨が降ったら何をすればいいのか。
旅の途中で起きる小さな迷いに、先に答えておく。
それだけで、読む人は「ここなら任せられる」と感じます。
案内役の言葉は、自慢の言葉より控えめに聞こえますが、旅程に名前を書き込んでもらう力はずっと強いものです。
1つの施設で、全部を言おうとしない
観光施設のサイトは、伝えたいことが多すぎて、どのページも情報で埋まりがちです。
展示も体験も食事も土産も、季節の催しも、地域の歴史も、と並べるうちに、読む人は何から見ればいいのか分からなくなります。
謙虚なサイトは、1つのページで1つの問いに答えます。
個人の旅行者向けのページ、団体の担当者向けのページ、学校向けのページ、と読む人ごとにページを分けるのが基本です。
周りの施設や観光地にも、地域の魅力を分けて担ってもらうつもりで、自分の施設が答える問いを絞ります。
約束より、段取りを見せる
「必ず感動する」「一生の思い出になる」といった約束の言葉は、観光のページにあふれています。
約束の言葉は、どの施設も使えるぶん、読む人の心にはほとんど残りません。
代わりに書くのは、来た人が何をして、何分くらい過ごし、何を持ち帰るのかという段取りです。
段取りが具体的に見えると、読む人は自分たちがそこにいる姿を思い浮かべられます。
思い浮かべられた旅は、実際の旅程に書き込まれやすくなります。
旅程に入れてもらうために、サイトに置く情報
では、旅の計画を立てる人の問いに答えるには、具体的に何を書けばいいのか。
ここでは、どの施設にも共通して効く情報を4つに絞って見ていきます。
所要時間と、滞在の目安
旅程を組む人が最初に知りたいのは、ここで何分くらい過ごすことになるかです。
「見学はおよそ40分、体験を含めると90分」のように、過ごし方ごとの目安を書きます。
目安があると、前後の行き先との時間の配分が決められます。
逆に所要時間が書かれていないと、旅程を組む人は余裕を見て長めに見積もるか、候補から外すかのどちらかになります。
短い時間でも楽しめる過ごし方を1つ用意して書いておくと、移動の途中に寄りたい人の候補にも入ります。
着くまでの道と、駐車場
車で来る人には、最寄りの出口からの道順と、駐車場の台数と入口の位置を書きます。
大型バスが入れるかどうか、入れるなら何台までかも、はっきり書いておきます。
公共の交通で来る人には、最寄りの駅やバス停からの行き方と、1日の本数の目安を書きます。
地方では、駅からの路線バスが1日に数本しかないことも珍しくありません。
本数が少ないことを正直に書いておけば、旅行者は乗り継ぎを考えて計画を立てられます。
雨の日にできること
屋外の体験が中心の施設ほど、雨の日の情報が来場を左右します。
雨でも楽しめる屋内の展示や、雨の日だけの過ごし方があれば、それを1つのまとまりとして書きます。
雨で体験が取りやめになる場合は、いつ、どうやって知らせるのかを書いておきます。
旅程を組む担当者は、雨の日の代わりの案がない行き先を選びにくいものです。
雨の日の過ごし方が書いてあるだけで、天気の読めない時期の候補に残りやすくなります。
団体の受け入れ条件
団体を受け入れている施設なら、受け入れ条件を1つのページにまとめます。
受け入れられる人数の上限、食事や体験にかかる時間、予約の締め切り、人数の変更の期限、雨の日の代わりの過ごし方。
料金の決まりは、団体の担当者と直接やり取りする前提で、問い合わせの窓口を書いておけば十分です。
条件が1ページにまとまっていれば、担当者はそのページを印刷して社内の会議に回せます。
電話で聞かれるたびに答えていた内容を、ページが代わりに答えてくれるようになります。
| サイトに置く情報 | 書き方の例 | 誰の問いに答えるか |
|---|---|---|
| 所要時間 | 見学はおよそ40分、体験を含めると90分 | 個人の旅行者、団体の担当者 |
| 着くまでの道 | 最寄りの出口から10分、駅からは路線バスで20分 | 車で来る人、公共の交通で来る人 |
| 駐車場 | 普通車の台数、大型バスの台数、入口の位置 | 個人の旅行者、バス会社の担当 |
| 雨の日の過ごし方 | 屋内の展示と、雨の日だけの体験 | 個人の旅行者、団体の担当者 |
| 団体の受け入れ条件 | 人数の上限、所要時間、予約と変更の期限 | 旅行会社、学校、企業の幹事 |
| 平日の様子 | 平日の午前は比較的空いていて、案内の人と話せる | 平日休みの人、退職した世代 |
ここまでの話を、旅程を組む人が施設を選ぶまでの流れとして図にまとめました。
団体の窓口に向けた1ページを作る
平日の谷を埋めるうえで、団体の立ち寄りは大きな力になります。
冒頭の相談のように、団体の立ち寄りがある日は売上の目処が立つという施設は少なくありません。
ここでは、団体の担当者に向けたページの作り方を、もう少し詳しく見ていきます。
担当者が社内で回せる形にする
旅行会社やバス会社の担当者は、候補の施設を見つけると、その情報を社内の会議や上司に説明します。
説明のときに使えるのは、ページに書かれた条件と写真です。
だから団体向けのページは、印刷して1枚か2枚に収まるくらいの分量にまとめるのが向いています。
受け入れの条件、1日の流れの例、駐車場と乗り降りの場所の図、問い合わせの窓口。
この4つがそろっていれば、担当者はそのページをそのまま企画の資料に貼れます。
1日の流れの例を書く
団体の旅程は、分単位で組まれています。
「到着後、駐車場から入口まで徒歩3分、入口で人数を確認、見学40分、昼食40分、土産の時間20分」のように、流れの例を書いておきます。
流れの例があると、担当者は自分の旅程に当てはめて、前後の行き先との時間の帳尻を合わせられます。
人数によって流れが変わる場合は、少人数の場合と大人数の場合の2つの例を書いておくと親切です。
問い合わせから下見までの流れを書く
団体の担当者が最初に問い合わせてから、実際に団体が来るまでの流れも書いておきます。
問い合わせの方法、返事までの日数、下見の受け入れ、予約の確定、当日の連絡先。
この流れが見えていると、担当者は社内の予定に合わせて、いつまでに何をすればいいかを決められます。
下見を歓迎していることを書いておくと、初めて組む担当者でも声をかけやすくなります。
受けられない条件も、先に書いておく
団体向けのページには、受けられる条件と同じくらい、受けられない条件も書いておきます。
たとえば、土日と祝日の昼食は団体を受けていない、一度に受けられるのは大型バス2台まで、といった決まりです。
断る話を先に書くのは気が引けるかもしれません。
けれど、担当者にとっては、問い合わせてから断られるより、最初から分かっているほうがずっと助かります。
受けられない条件がはっきりしている施設は、受けられる条件も信用されやすくなります。
週末は個人のお客で手一杯という施設なら、団体は平日に受けると書くこと自体が、平日の谷を埋める案内になります。
| 団体向けのページに置くこと | 書く中身 | 担当者がそれで決められること |
|---|---|---|
| 受け入れの条件 | 人数の上限、受け入れられる曜日と時間帯 | 自分の団体が受け入れてもらえるか |
| 1日の流れの例 | 到着から出発までの分単位の流れ | 前後の行き先との時間の配分 |
| 駐車場と乗り降りの場所 | 大型バスの台数、乗り降りの場所の図 | バスの手配と運転手への指示 |
| 雨の日の代わり | 屋内でできること、取りやめの連絡方法 | 天気が読めない時期の企画 |
| 問い合わせから下見まで | 返事までの日数、下見の受け入れ | 社内の予定の組み方 |
平日と閑散期に来る人へ、別の入口を用意する
団体向けのページができたら、次は個人で平日や閑散期に来る人への入口を考えます。
週末の家族連れに向けたトップページとは別に、平日の人が「自分のための案内だ」と感じられるページを用意します。
平日だからこそできることを書く
平日に来る人が知りたいのは、平日に行くと何がいいのかです。
混雑がなく体験の時間を長めに取れる、職人や案内の人と話す時間がある、予約なしでも入れる。
施設の人にとって当たり前の平日の様子が、平日に動ける人にとっては行き先を決める理由になります。
平日の午前の様子を写した写真を1枚添えておくと、空いている雰囲気がそのまま伝わります。
季節の端に来る人に向けて書く
閑散期は、施設にとっては来場の少ない時期ですが、旅をする人にとっては「その時期にしかないもの」に出会える時期でもあります。
花の盛りが終わったあとの若葉、収穫の始まる前の畑の手入れ、雪が降る前の静かな景色。
季節の端にしか見られないものを、その時期の写真と一緒に書いておきます。
去年の同じ時期に来た人の声があれば、許可を得たうえで短く添えると、読む人の背中を押してくれます。
近くに住む人の「いつもの日」に向けて書く
平日の谷を埋めるのは、遠くからの旅行者だけではありません。
車で1時間ほどの範囲に住む人は、平日の休みや、子どもの学校の振替休日に、近場で出かける先を探しています。
この人たちに向けては、短い時間で楽しめる過ごし方や、季節ごとに変わる見どころを書きます。
年に何度も来てもらえる相手なので、季節の便りを届ける仕組みも合わせて考えておくと、平日の来場が安定していきます。
| 平日や閑散期に来る人 | その人に向けて書くこと | 添えるとよいもの |
|---|---|---|
| 平日休みの職業の人 | 平日の混み具合と、平日だけの過ごし方 | 平日の午前の様子の写真 |
| 退職した世代の夫婦 | 歩く距離、休める場所、ゆっくり過ごせる時間 | 館内や園内の休憩所の位置 |
| 季節の端に来る旅行者 | その時期にしか見られないもの | その時期に撮った写真 |
| 近くに住む家族 | 短い時間で楽しめる過ごし方 | 季節ごとの見どころの一覧 |
| 振替休日の親子 | 子どもが体験できること、予約の要不要 | 体験の流れと所要時間 |
地図検索と旅行サイトの情報を、公式とそろえる
旅行者が施設の情報を見るのは、公式サイトだけではありません。
地図の検索や旅行の予約サイト、観光協会のページなど、施設の情報が載っている場所はいくつもあります。
営業日と時間の食い違いを消す
まず、施設の情報が載っている場所を一覧にします。
地図の検索、旅行の予約サイト、体験の予約サイト、観光協会のページ、紙のパンフレット。
それぞれに書かれた営業日と時間、休みの日、料金の決まりを、公式サイトと並べて確かめます。
1か所でも食い違いがあると、旅行者はどれを信じていいか分からなくなります。
冬の間だけ営業時間が短くなる施設は、季節の切り替えのたびに全部の掲載先を直す日を決めておくと、食い違いが残りません。
口コミへの返信は、次に来る人への案内として書く
地図の検索や旅行サイトには、来た人の口コミが残ります。
口コミへの返信は、書いた本人へのお礼であると同時に、これから行き先を決める人が読む案内でもあります。
「駐車場が分かりにくかった」という声には、入口の目印と、公式サイトに地図を載せたことを書いて返します。
不満の声に言い訳を重ねるより、次に来る人が困らないように何を変えたかを書くほうが、読む人の安心につながります。
観光協会や自治体の担当者ができること
ここからは、地域の観光協会や自治体で観光を担当している方に向けた話です。
地域全体の集客を考える立場からも、施設のページと同じ考え方が使えます。
施設の紹介を並べるだけのページを変える
観光協会や自治体のサイトでは、地域の施設の紹介が一覧で並んでいることがよくあります。
一覧は便利ですが、施設の公式サイトと同じ文面が並んでいるだけでは、旅の計画を立てる人の問いには答えられません。
地域のページが答えるべきなのは、この地域でどう過ごせばいいのか、という問いです。
施設を1つずつ紹介する前に、半日の過ごし方、1日の過ごし方といった形で、施設をつないだ道筋を示します。
回遊の道筋を、1本だけ示す
道筋をいくつも並べると、読む人はかえって選べなくなります。
最初は、日帰りの人が半日で回れる道筋を1本だけ示すのが向いています。
移動の時間、各施設での所要時間、昼食の場所、駐車場。
各施設のページに所要時間と駐車場の情報がそろっていれば、地域の担当者は道筋を組みやすくなります。
施設と地域が役割を分けて情報を持つと、旅行会社の担当者にとっても、地域ごと旅程に組み込みやすくなります。
団体の受け入れを、地域でまとめて案内する
団体の受け入れ条件は、施設ごとにばらばらに書かれていると、旅行会社の担当者が比べるのに手間がかかります。
地域で書き方の型をそろえ、大型バスの台数や受け入れ人数を同じ項目で並べると、担当者は地域全体を1つの候補として見られます。
平日に団体を受けたい施設が地域にどれだけあるかが見えれば、平日の団体旅行の企画も持ち込みやすくなります。
| 地域の担当者の打ち手 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 施設の一覧を載せている | 施設の公式サイトと同じ文面が並ぶ | 半日の過ごし方の道筋を1本示す |
| 道筋をいくつも並べている | 読む人が選べずに離れる | 日帰りの半日の道筋から始める |
| 団体の情報が施設ごとにばらばら | 旅行会社の担当者が比べにくい | 受け入れ条件の書き方の型をそろえる |
| 写真が古い | 季節や施設の様子が今と違う | 季節ごとに写真を入れ替える日を決める |
| 掲載先の情報が食い違う | 施設と地域で営業日が違って見える | 季節の切り替えのたびに一斉に確かめる |
よくある質問
Q. 小さな施設でも、団体を受け入れたほうがいいですか?
無理に受け入れる必要はありません。
席や駐車場、人手に限りがあるなら、受けられる人数の上限を正直に書いたうえで、少人数の団体に絞るのも1つの方法です。
大切なのは、受けられる条件と受けられない条件を、ページに先に書いておくことです。
Q. 料金はサイトに書いたほうがいいですか?
個人の入場料や体験料は、公式サイトに書いておくのが基本です。
旅行者は、料金が分からない行き先を旅程に入れにくいからです。
団体の料金は条件によって変わることが多いため、問い合わせの窓口と、返事までの日数を書いておけば十分です。
Q. 写真の投稿サイトの発信は、やめたほうがいいですか?
やめる必要はありません。
投稿から興味を持った人が飛ぶ先のページに、営業時間と行き方と所要時間が書かれていれば、投稿の効き目はずっと上がります。
投稿の頻度を上げる前に、飛んだ先のページを整えてください。
Q. 海外からの旅行者向けに、まず何をすればいいですか?
まず日本語のページに、所要時間、行き方、支払いの方法、予約の要不要を書きます。
そのうえで外国語のページを作れば、必要な情報が欠けずに伝わります。
地図の検索に載っている営業時間や休みの日が正しいかも、合わせて確かめておきます。
Q. 観光協会のページと施設のページで、書く内容をどう分ければいいですか?
施設のページは、来る人の段取りに必要な情報を受け持ちます。
観光協会のページは、地域の中での過ごし方や、施設同士をつなぐ道筋を受け持ちます。
同じ文面を2か所に置くより、役割を分けたほうが、旅の計画を立てる人にとって情報が増えます。
まとめ
観光の集客は、知らせる量を増やすだけでは、平日や閑散期の谷が埋まりません。
旅行者も旅行会社の担当者も、家や職場で、施設のページを見て行き先を決めているからです。
観光庁の調べでは、2025年の国内の旅のおよそ46%が日帰りでした。
限られた時間の中で行き先を絞る人に選ばれるには、所要時間、行き方、雨の日の過ごし方、団体の受け入れ条件といった段取りの情報をページに置くことが近道です。
施設を主役にするのをやめ、旅をする人を主役にして、施設はその旅の案内役として登場する。
その考え方を、私たちは「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいます。
今日できる点検
最後に、今日のうちに自分の施設のサイトで確かめられることを表にまとめました。
全部を一度に直す必要はありません。
いちばん気になった1か所から始めてください。
| 点検する場所 | 確かめること | 直すときの方向 |
|---|---|---|
| トップページの最初の画面 | 来る人の旅の話から始まっているか | 施設の紹介の前に、どんな時間を過ごせるかを1行書く |
| 所要時間 | 過ごし方ごとの目安が書いてあるか | 見学だけの場合と体験を含む場合を分けて書く |
| 行き方と駐車場 | 大型バスの可否と台数が書いてあるか | 台数と入口の位置を図と一緒に書く |
| 雨の日の過ごし方 | 雨の日にできることが書いてあるか | 屋内の過ごし方と取りやめの連絡方法を書く |
| 団体向けのページ | 受け入れ条件が1ページにまとまっているか | 人数、流れの例、変更の期限を1ページに集める |
| 平日の案内 | 平日に来る理由が書いてあるか | 平日の様子と平日だけの過ごし方を書く |
| 地図検索の情報 | 営業日と時間が公式サイトと同じか | 違っていれば今日のうちにそろえる |
点検してみて、どこから手をつければいいか迷ったときは、所要時間の1行から始めてください。
所要時間は、個人の旅行者にも団体の担当者にも、旅程を組むときに最初に必要になる情報だからです。
次の週末が来る前に、施設のページを初めて見る人の目で上から読んでみてください。
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