ページにAI向けの隠し文字や指示文を埋め込んでも、AIに薦められやすくなるとは、いま公開されている研究からは言えません。
海外の実験では、仕込んだ指示がAIの回答まで届いた割合は、7つのうち4つで約15%以下でした。
Googleのスパムポリシーは隠しテキストを違反に挙げており、生成AIの回答を操作する試みもスパムに含めています。
代わりになるのは、人に見える本文に、選ぶ基準と事実を書くことです。
結論:見える本文と見えない仕込みでは、3つの点が分かれます
先に全体を表で示します。
AIに伝えたい文章を、人にも見える場所に書くか、人には見えない所に入れるかで、届き方も規則との関係も変わります。
届くか・見破られるか・規則の3点で比べた表
| 書く場所 | 回答に届くか(海外の実験の範囲) | 見破られるか | Googleの規則 |
|---|---|---|---|
| 人に見える本文に書く | 読者とAIが同じ文章を読む。回答に使われるかどうかは質問との合い方しだいで、約束はできない | 隠していないので、見つかって困る文章が無い | 人に見えにくくする行為、という説明の外にある |
| 人に見えない所に仕込む | 検索・並べ替え・回答の3段に通した実験で、7つのうち4つは約15%以下、3つは40〜54%程度 | 学習させた見張り役が7つすべてを見分けた実験がある。新しい手口を見抜けなかった実験もある | 隠しテキストの不正使用として、スパムに挙げられている |
表の数字は、あとの節で紹介する海外の研究のものです。
右端の列は、Googleが公開している「ウェブ検索のスパムに関するポリシー」に書かれている範囲だけを書いています。
この記事は、やってはいけないLLMO対策を10個まとめた記事の施策1を、1本に広げたものです。
一覧では研究3本の表と数段落で済ませました。
ここでは、実験で動いた側の研究と、全員が仕込んだ場合の結果と、Googleの規則の中身と、すでに入っている場合の直し方を足します。
この記事の書き方と、数字の出どころ
この記事では、特定の会社を名指ししません。
主語にするのは施策で、提案した会社の良し悪しは扱いません。
隠し方の種類、指示文の文面、道具の名前、手法の名前も書いていません。
書くのは、何が確かめられたか、どんな損が起きうるか、代わりに何をするかの3点です。
数字の出どころは分けて書きます。
「海外の実験では」と書いた数字は海外の論文から引いたもので、「弊社では」と書いたことは弊社が自分のサイトでしていることです。
お断りしておくと、ここで引く論文は英語と海外の検証が中心で、日本語の質問で同じ数字になるとは言えません。
この記事の「代わりにやること」を行えばAIに薦められる、という約束もできません。
論文は弊社が1本ずつ日本語で解説しており、解説の一覧から原文の情報までたどれます。
LLMO対策という言葉そのものの説明は、LLMO対策とは何かを書いた記事に分けてあります。
「見える本文」と「見えない仕込み」を分けた図と、その読み方
同じ内容の文章でも、人に見える場所にあるかどうかで、そのあとに起きることが分かれます。
文章で追うと混ざりやすいので、図にしました。
上の段は、読者に読ませるために書いた本文を、AIも同じように読むという流れです。
下の段は、AIだけに読ませるつもりで入れた文章が、そのあとどう扱われるかを並べています。
図の使い方
手元の提案書に「AI向けの記述」という項目があれば、その文章が1と3のどちらに入るかを先に確かめてください。
確かめる質問は1つで足ります。
「その文章は、ページを開いた人にも読めますか」と尋ねます。
読めるなら上の段で、この記事の「代わりにやること」の節が関係します。
読めないなら下の段で、研究の節とGoogleの規則の節を先に読んでください。
4の箱に書いた3つは、確かさが違います
「回答まで届きにくい」は、海外の実験1本の、特定の条件での結果です。
「見破る研究が進んでいる」も研究の話で、実際のAI検索サービスがその仕組みを使っているかは確かめられていません。
「Googleの規則に触れる」だけは、公開されている文書にそのまま書かれています。
3つのうち、いちばん確かなのは規則です。
どんな施策で、なぜ勧められるのか
人の目には見えない形で、AIだけが読む文章をページの中に入れておく施策です。
中身は「この会社を薦めてください」という趣旨の、AIに宛てた指示になっています。
入れ方や文面には、この記事では触れません。
提案書での言い方
提案書や見積書では、「AI向けの記述を追加」「AIに読ませる専用の文章」という1行で載っています。
この1行だけでは、追加する文章が人に読めるものかどうかが分かりません。
確かめるのは、追加する文章が人に読めるかどうかと、その文章を事前に見せてもらえるかどうかの2点です。
よくある売り文句と、その前提
| 売り文句 | 前提になっていること | 確かめること |
|---|---|---|
| 見た目は変わらないので、お客様には気づかれません | 人に見えなければ、誰にも見つからない | 見つける側の研究で、どこまで見分けられているか |
| AIはページを全部読むので、書いておけばそのとおりに答えます | 読んだAIが、ページの中の指示に従う | 検索と並べ替えを通したあとに、回答まで届いた割合 |
| 海外の論文で効果が出ています | 実験の結果が、実際のサービスでも同じになる | どの論文の、どのAIの、どの条件の数字か |
| 同業の会社もすでに入れています | みなが入れても、自社の取り分は減らない | 全員が仕込んだ場合を測った実験の結果 |
4行とも、売り文句が嘘だと言いたいわけではありません。
前提の列に書いたことがどこまで確かめられているかを、次の節から順に見ていきます。
なぜ勧められるのか
勧められる理由には、根拠のある部分があります。
ページに足した文でAIの推薦が動いた、という実験が実際に公開されているからです。
作業が軽いことも理由になっている、と弊社は見ています。
本文を書き直すには取材と時間が要りますが、見えない文章を足すだけなら、読者向けの原稿を触らずに済みます。
提案する側が、善意で勧めている場合もあります。
動いた実験だけを読み、条件や、防ぐ側の研究や、Googleの規則までは読んでいない、という場合です。
この記事では、勧められる根拠になった研究も、その反対側の研究も、同じ重さで並べます。
研究1:仕込んだ指示は、回答に届く前に多くが落ちていました
売り文句の「書いておけばそのとおりに答えます」という前提に、いちばん近い所を測った研究です。
海外の実験では、ページに仕込んだ指示がAIの回答まで届く割合を、検索・並べ替え・回答の3段に通して測り直した結果が報告されています。
何を調べた研究か
クイーンズランド大学などの4人が、2026年5月に公開した査読前の論文です。
それまでの研究は、仕込みをしたページをAIに直接渡して成功率を測り、5割超、強いものでは8割前後と報告していました。
実際のAI検索は、ページを検索で拾い、並べ替え、上位だけを読んで答えを作ります。
この論文は、既存の7つの仕込みを、その3段に通して測り直しました。
使われたのは英語の商品検索のデータで、質問は検索の方式ごとに200問です。
仕込みをしたのは、もとの並べ替えで10位だった商品でした。
数えたのは、AIが答えた「おすすめ3件」に、その商品が入った割合です。
結果:7つのうち4つは約15%以下、3つは半分前後が残った
論文は、2つの測り方を並べています。
1つは先行研究と同じで、仕込みの前の検索結果をそのまま使い、対象のページだけを仕込み後のものに差し替える測り方です。
もう1つは、仕込み後のページで検索からやり直し、3段すべてを通す測り方です。
| 7つの仕込みの内訳 | 検索をやり直さない測り方 | 検索から3段に通した測り方 | 読み取れること |
|---|---|---|---|
| 3つ | 0.5〜2.5% | 0.5〜2.5% | どちらの測り方でも、ほぼ届かなかった |
| 1つ | 41.0%と46.0% | 12.0%と17.5%(平均で約15%) | 検索で拾われにくくなり、上位10件に残った割合は平均59.3%だった |
| 3つ | 44.5〜58.5% | 39.5〜59.0%(平均で40〜54%程度) | 半分前後が残った。うち1つは、3段に通したほうが高かった |
| 7つの平均 | 28.5%と31.5% | 21.4%と24.0% | 検索をやり直さない測り方は、効果を大きめに見積もっていた |
数字が2つ並んでいる欄は、検索の方式を2通り試した結果です。
検索の段階だけを見ても、仕込みをしたページが上位10件に残った割合は平均79.9%で、約2割がそこで外れています。
正直に書くと、3行目の3つは40〜54%程度残りました。
「仕込んでも届かない」と言い切れる結果にはなっていません。
見張り役は、学習させると7つすべてを見分けた
同じ論文は、仕込みを見つける見張り役のAIも試しています。
既製の見張り3種は、いちばん多く残った仕込みを見逃しました。
104問分のデータで追加学習した小さな見張りは、7つすべてで、見逃しの少なさと警告の正確さをまとめた指標が90%以上でした。
これは、仕込みのある文書と無い文書が半々の条件での数字です。
仕込みが10件に1件という実際に近い比率では、同じ指標は平均81.2%に下がり、警告のうち約29.2%は無害な文書でした。
この研究の限界
実験は研究者が組んだ流れで行われ、実際のAI検索サービスでは試されていません。
並べ替えも回答も1つのAIモデルが担当し、データは英語の商品だけです。
見張りの学習と評価には同じ7つが使われており、学習していない新しい仕込みは試されていません。
10位でなく6位の商品に仕込んだ場合は、3段に通しても差が小さく、平均で31.4%から34.1%に上がった検索方式もありました。
査読前の版なので、数字は今後の改訂で変わる可能性があります。
研究2:実験で動いた例と、その条件
ここは、この施策にとって都合の良い側の研究です。
ページに足した文でAIの順位や推薦が動いた、という実験は実際にあります。
隠さずに書いておきます。
動いた実験は4本あります
| 研究 | 対象のAIと条件 | 結果 | 防御を測ったか |
|---|---|---|---|
| 商品の紹介順を測った研究(EMNLP 2024) | 4つのAI。英語の商品ページ50分野で、紹介順が最下位の商品のページに文を足した | 8点満点の順位点が、平均で3.38〜6.02点上がった | 測っていない |
| 並べ替えの工程を測った研究(EMNLP 2025) | 8つのAIモデル。英語の評価用データで、関連度の低い文書に文を足した | 性能の高いモデルでは、成功率が99%を超える条件が多くあった | 測っていない。防ぎ方は提案の段階 |
| 観光の推薦を測った研究(査読前) | Claudeの2つのモデル。観光の質問4問で、保存したページのうち1枚を書き換えた | 124回のうち62回で、狙った事業者が1位になった | 測っていない |
| 架空のブランドで測った研究(EMNLP 2026 Findings採択と記載) | 12種類のAI。15分野225商品で、検索の上位3件を架空のブランドを推す内容にした | 架空のブランドを薦めた割合は13.3〜73.8%、平均42.7% | 4つの対策を試し、どれも十分には効かなかった |
4本のうち3本は、防御を入れたらどこまで下がるかを測っていません。
残りの1本は対策を4つ試しましたが、偽の推薦を消すと本物の推薦も平均で6割以上消える、といった結果でした。
数字に付いている条件
1本目の商品の研究は、2024年前半のAIで行われました。
Perplexityのモデルに持ち込んだ場合の上昇は平均2.89点で、検索画面そのもので確かめたのは1分野だけの事例です。
2本目の「99%」は、文を足した文書が並べ替え役のAIに必ず渡る前提の数字です。
検索で拾われるかどうかは、実験の対象に入っていません。
同じ論文が実在のウェブページで試した付録では、10件中の最下位のページが上がった幅は、平均0.75〜4.70位でした。
3本目の観光の研究は、8通りの組み合わせごとに、1位になった割合が26%から100%までばらつきました。
論文自身が、全体の50.0%は「この8通りの要約」だと書いています。
4本目は中国語が中心の実験で、AIには研究者が保存した上位10件を渡しています。
書き換えたページが1枚だけの場合は、検索1位の位置に置いて2〜27%、2位から10位に置くと1〜4%でした。
この数字は、6つの公開モデルとデジタル製品の3分野に限った結果です。
4本に共通していること
4本とも、研究者が用意した環境でAIにページを渡しています。
実際のAI検索サービスを通して同じ割合になるかは、どの論文も確かめていません。
日本語で試した研究も、この4本にはありませんでした。
「実験で動いた」ことと「実際のサービスで動く」ことは、分けて受け取ってください。
研究1は、この2つの間にある検索と並べ替えを入れると、7つの平均で数字が下がることを示した論文でした。
提案の席で「論文で効果が出ています」と言われたら、どの論文の、どの条件の数字かを尋ねると話が進みます。
研究3:防ぐ側の研究と、見抜けなかった例
仕込みを外す側、見つける側の研究も続けて出ています。
ここでは3本を、うまくいった数字と、うまくいかなかった数字の両方で紹介します。
防ぐ側の研究3本
| 研究 | 調べたこと | 防げた数字 | 防げなかった数字 |
|---|---|---|---|
| 攻撃用の文書を外す防御の研究(EMNLP 2025) | 検索で集めた10件から、周りと合わない文書をAIに渡す前に外せるか | 攻撃の成功率が55.7%から3.0%に下がった組み合わせがある | 別の質問集では、一部の攻撃が2割台残った |
| 商品説明の順位操作を見抜く研究(査読前) | 商品説明600件に紛れた操作を見抜けるか | 既知の3種を、全件・95.2%・83.0%の割合で検出。正当な説明の誤検出は0件 | 著者らが考えた新しい操作6種のうち5種は、検出率が7%に届かなかった |
| 誤情報の検出を比べた研究(EMNLP 2026採択と記載) | 誤った主張を載せた文書を、既製の安全フィルターと専用の検出器が止められるか | 専用の検出器は、攻撃の成功率を相対47.6%下げた | 既製のフィルター2種の減り幅は、相対で3%台と5%台だった |
1本目と3本目の両方に55.7%という数字が出てきますが、別々の実験の、別々の数え方の値です。
たまたま同じになっただけなので、つなげて読まないでください。
うまくいった側の数字の条件
1本目の「55.7%から3.0%」は、1つのAIモデルと1つの英語の質問集で、攻撃用の文書が1件だけ混ざった条件の数字です。
ほかの4つのAIモデルでも、成功率が下がる向きは同じでした。
2本目の「誤検出0件」は、英語の商品説明600件で、著者らが調整した基準を当てた結果です。
3本目の専用の検出器は、攻撃の成功率を3つのAIの平均で55.7%から29.2%に下げました。
正しい情報に答えたときの正答率の変化は、平均で+0.2ポイントにとどまっています。
見抜けなかった例
防ぐ側の研究は、どれも「完全に防げた」とは書いていません。
2本目の研究では、手口が知られている3種は大半が見つかりました。
著者ら自身が新しく考えた6種を試すと、見抜けたのは1種だけです。
論文はこれを、基準の調整だけでは塞げない盲点だと書いています。
同じ研究では、基準を最初に決めた段階で、正当な商品説明の約85%が操作と判定されていました。
ごく普通の売り文句に、基準が反応したためです。
著者らは基準を2度見直して、誤検出を0件にしています。
1本目の研究でも、防御を入れると、攻撃が無いときの正答率が64.3%から50.0%に下がった質問集がありました。
3本目の専用の検出器は、作り方の違う攻撃に当てると、減り幅が相対32.0%まで縮んでいます。
3本から読み取れること
3本とも、英語の研究用データで行われた実験です。
実際のAI検索サービスがどの防御を使っているかは、どの論文からも分かりません。
読み取れるのは、見つける仕組みが実際に作られ、数字で比べられる段階まで来ていることです。
新しい手口が見抜けなかった、という結果を、仕込む側の安心材料として読むこともできます。
弊社はそうは読みません。
見抜けなかった手口が論文に載った時点で、次に塞ぐ対象として、守る側の研究者に共有されているからです。
ページに入れた文章は、入れた日の検出の水準で一度だけ審査されるものとは限らない、と弊社は見ています。
消さないかぎりページに残るので、あとから検出が進んだ場合にも、同じ文章が読まれる位置にあります。
全員がやるとどうなるか
売り文句の4つ目、「同業の会社もすでに入れています」に関わる研究です。
海外の実験では、1社だけが仕込めば得をしても、全員が仕込むと全体の推薦が減ったと報告されています。
何を調べた研究か
スイスの大学の研究者3人が2024年6月に公開し、機械学習の国際会議ICLR 2025に採択された論文です。
実際に使われているAI検索サービスに、4つの競合する商品から1つを選ばせました。
仕込みをしたページの数は、0件から4件まで1件ずつ増やしています。
結果:1社だけなら得、全員なら全員が損
| 仕込んだ会社の数 | 起きたこと | 読者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 0社 | AIは4つの中から、ふつうに1つを薦めた | 比べる基準になる状態 |
| 1社だけ | 仕込んだ1社の推薦率が伸びた | 「先にやった者が得をする」と説明される場面 |
| 2社、3社と増える | まだ仕込んでいない会社にとって、仕込むほうが有利な状況が続いた | 同業が始めると、自社も引き込まれる |
| 4社すべて | 全員が控えた状態より、全体の推薦率が下がった | 全員が費用を使い、全員の取り分が減る |
論文によると、全体の推薦率が下がったのは、AIが特定の商品を選びにくくなるためです。
AI検索サービスの1つは、複数の仕込みを同時に読むと、推薦そのものを断る場合が多くなりました。
1社だけが仕込んだ場面の数字も、正直に書いておきます。
同じ論文の別の実験では、架空のカメラが薦められた割合が、仕込みなしの34.0%から59.4%に上がりました。
この研究の限界
対象は2024年前半のサービスで、質問もページも英語です。
競合は最大4者までで、多数の会社が入り乱れる市場で同じことが起きるかは確かめられていません。
測られたのは推薦された割合だけで、売上や問い合わせへの影響は対象の外です。
「同業もやっています」と言われたとき
この研究の筋書きに沿えば、同業が入れていることは、自社も入れる理由にも、入れない理由にもなります。
自社だけの損得で見ると、入れたほうが有利に見えます。
全員が入れたあとの姿まで見ると、費用を使った全員が、何もしなかった場合より悪い所に着きます。
弊社は後者を重く見ています。
同業の数が少ない地域や業種ほど、4社の実験に近い状況になりやすい、というのが弊社の見方です。
Googleの規則:隠しテキストと、生成AIの回答を操作する試み
研究の話は、条件しだいで数字が変わります。
規則のほうは、公開された文書に書かれているので、誰でも同じものを確かめられます。
確かめた文書と日付
Googleが公開している「ウェブ検索のスパムに関するポリシー」を、2026年10月1日に開いて確かめました。
ページに表示されていた最終更新日は、2026年9月2日(協定世界時)です。
ここから下は、そのページに書かれている内容だけを紹介します。
弊社の解釈で範囲を広げることはしていません。
ポリシーに書かれていること
ポリシーは冒頭で、スパムには「Google 検索の生成 AI 応答を操作する試み」も含まれると書いています。
検索結果の順位だけでなく、生成AIの回答を動かそうとする行為も、同じ文書の対象に入っているということです。
ポリシーによると、違反したサイトは、検索結果での順位が下がるか、まったく表示されなくなることがあります。
検出は自動のシステムと、必要に応じて人による審査で行われ、手動による対策が取られることがある、とも書かれています。
「隠しテキストと隠しリンクの不正使用」は、検索エンジンを操作することだけを目的にコンテンツをページに置き、人には見えにくくする行為だと説明されています。
「キーワードの乱用」も、スパムの1つとして挙げられています。
違反に当たるものと、当たらないもの
| ポリシーでの扱い | 書かれている内容 | 自社サイトで確かめること |
|---|---|---|
| スパムに挙げられている | 検索エンジンを操作することだけを目的にコンテンツを置き、人には見えにくくする行為 | 読者に見せるつもりの無い文章が、ページに入っていないか |
| スパムに含まれる | Google 検索の生成AIの回答を操作する試み | AIだけに宛てた指示の文章が、ページに入っていないか |
| スパムに挙げられている | キーワードの乱用 | ポリシーの該当する項目を読み、自社のページと照らす |
| 違反に当たらない | アコーディオンやタブで切り替えて表示する内容 | 開けば読者が読める内容になっているか |
| 違反に当たらない | スクリーンリーダー向けのテキスト | 画面を読み上げて使う人のための文章になっているか |
分かれ目は、見えにくいかどうかだけではありません。
ポリシーは、使い勝手のために表示を切り替えることは違反に当たらないと書いています。
ポリシーには隠し方の例も並んでいますが、この記事には書き写しません。
この節で書いていないこと
ここで確かめたのは、Googleのウェブ検索のポリシーです。
ほかのAIサービスの利用規約や、法律との関係は、この記事では確かめていません。
自社のページが違反に当たるかどうかを、弊社が判定することもできません。
判断に迷う箇所があれば、ポリシーの原文を開いて、該当する項目を読んでください。
起きうる損
損は、根拠の確かさで分けて書きます。
研究や規則に書かれていることと、弊社がそう見ているだけのことを、同じ表に混ぜないためです。
損の種類と、根拠の確かさ
| 起きうる損 | 根拠 | 確かさ |
|---|---|---|
| 届かない作業に費用と時間を使う | 3段に通した実験で、7つのうち4つは約15%以下だった | 海外の実験1本。実際のサービスでは試されていない |
| 通常の検索での表示を失う | ポリシーに、順位が下がるか表示されなくなることがあると書かれている | 公開された文書に書かれている |
| 同業が続き、全員の取り分が減る | 4社が全員仕込むと、全体の推薦率が下がった | 海外の実験1本。競合は最大4者 |
| 読者や取引先の信頼を失う | 測った研究は、弊社が読んだ範囲には見当たらない | 弊社の見方 |
| 直す手間があとから発生する | 入れた箇所を探して消し、記録を残す作業が要る | 弊社の見方 |
検索での表示
いまの問い合わせが通常の検索から来ている会社は、AIに薦められることを狙った作業で、動いている入口のほうを失う可能性があります。
得ようとしているものと、失いうるものの大きさが釣り合っているかを、先に比べてください。
実際にどれくらいの割合で順位が下がるかは、ポリシーにも研究にも数字がありません。
書かれているのは、下がることがある、表示されなくなることがある、という範囲までです。
読者と取引先の信頼
ここからは弊社の見方です。
見つかったときに残るのは、「読者に見せない文章を入れていた会社」という事実です。
入れたのが外注先であっても、ページの持ち主は自社なので、説明を求められるのは自社になります。
ページに入っている文章は、公開されているかぎり、同業の会社や取引先も確かめることができます。
信頼がどれだけ下がるかを測った数字は、持っていません。
弊社が自分のサイトで使わない理由は、数字よりも手前にあります。
お客様に見せられない文章を、お客様のためのページに置く理由が見つからないからです。
代わりにやること:伝えたい内容を、人に見える本文に書く
AIに伝えたかった内容そのものは、捨てなくて構いません。
置き場所を、読者にも見える本文に移します。
伝えたかったことを、見える本文に置き換える
| AIに伝えたかったこと | 見える本文での書き方 | 書く場所 |
|---|---|---|
| この会社を薦めてほしい | どんな条件の人に向いているかを、選ぶ基準として書く | サービス紹介のページの冒頭 |
| 他社より優れていると伝えたい | 比べられる数字と、その数字の測り方を書く | 実績や事例のページ |
| 幅広く対応できると伝えたい | 対応できる範囲と、対応できない条件を並べて書く | 料金や対応範囲のページ |
| 特定の質問で名前を出してほしい | その質問を見出しにし、冒頭の2〜3文で答える | 質問ごとの記事 |
4行とも、読者が読んでも役に立つ文章になります。
見える場所に書いた事実は、AIにも読者にも同じものが届き、あとで隠したり消したりする必要がありません。
やり方の記事でいうと、工程5と工程6です
LLMO対策のやり方を全部書いた記事では、作業を9つの工程に分けています。
この節の内容は、工程5の「書く」と、工程6の「自社の事実をそろえる」にあたります。
工程5は、冒頭で答え、比べられる数字と、自社ができないことを書く工程です。
工程6は、料金、対応範囲、所在地を、全部のページで一致させる工程です。
対応できない条件を書くのは、損に見えます。
弊社の見方では、ここがいちばん「選ぶ基準」として読まれやすい箇所です。
向いていない相手を先に書いてあるページは、向いている相手にとって判断の材料になるからです。
弊社がしていること
弊社は、隠し文字もAI向けの指示文も使っていません。
自社のページに、人に見えない文章を足すことはしていません。
AIに読んでほしい内容は、すべて読者に見える本文に書いています。
その結果として弊社がAIに必ず薦められている、という話ではありません。
薦められるかどうかは質問ごとに違い、測って書き直す作業を続けている途中です。
最適化そのものが悪いわけではありません
GEOのリスクを論じた海外の論文も、最適化の全部を問題にしてはいません。
ICML 2026の立場論文部門に採択された論文は、事実を分かりやすくし、正当な出典を足し、根拠を見つけやすくする最適化を「善意の側」と位置づけています。
この論文は提案を述べたもので、リスクの大きさを実験で測ったものとは性格が違います。
見える場所に書けば何でもよい、という話でもありません。
中身を変えずにAI向けの形だけを整えたページについては、整えたページを見分ける研究を紹介した記事に分けて書きました。
すでに入っている場合の直し方
自分で入れた場合も、外注先が入れた場合も、することは同じです。
消す前に記録を取り、消し、消したことを残します。
状況ごとの直し方
| いまの状況 | すること | 残す記録 |
|---|---|---|
| 自社で入れた覚えがある | 該当する箇所をページから消す | 消す前の状態、消した日、ページ、消した文章 |
| 外注先が入れたかもしれない | 読者に見えない文章を入れていないかを、書面で尋ねる | 尋ねた日と、相手の回答 |
| 入っているかどうか分からない | 納品された原稿と、作業報告の項目を見直す | 「AI向け」と書かれた項目の一覧 |
| サイトを引き継いだばかり | 前の担当者や制作会社に、過去の作業内容を尋ねる | 引き継ぎ時点のページの状態 |
| 消したあと | 通常の検索での表示を、月に1回同じ条件で見る | 日付を付けた表示回数と順位 |
自社サイトの点検
点検は、納品物と作業報告から始めるのが確実です。
作業報告に「AI向けの記述」「AIに読ませる文章」という項目があれば、その中身を見せてもらいます。
見せてもらった文章が、公開しているページを開いて読めるかどうかを、1ページずつ確かめます。
報告に項目があるのに、ページを開いても読めない文章があれば、そこが消す対象です。
自分でページの中を調べる方法は、この記事には書きません。
書くと、隠し方の説明と同じ内容になるためです。
外注先に聞く質問
尋ねるときは、責める言い方にする必要はありません。
「公開しているページに、読者には見えない文章を入れた箇所はありますか」と、事実だけを聞きます。
続けて「ある場合は、ページと文章の一覧をください」と頼みます。
3つ目に「今後は、人に見えない文章を足さない方針にできますか」と確かめます。
口頭でなく、あとで読み返せる形で回答をもらってください。
消したあとに分かっていること
消したあとにGoogleやAIでの扱いがどう変わるかは、弊社が読んだ範囲の研究では測られていません。
「消せば元に戻る」とも「消しても戻らない」とも、この記事からは言えません。
言えるのは、消さないかぎり、その文章が読まれる位置に残り続けることだけです。
提案を受けたときに聞く質問
提案書に「AI向けの記述」という項目があったら、契約の前に次の5つを尋ねてください。
答えの良し悪しより、答えが文書で返ってくるかどうかを見ます。
5つの質問と、答えの受け取り方
| 聞く質問 | 確かめたいこと | 答えの受け取り方 |
|---|---|---|
| 追加する文章は、ページを開いた人にも読めますか | 図の上の段か、下の段か | 読めないなら、この記事の研究と規則の節を一緒に読んでもらう |
| 追加する文章を、公開の前に全部見せてもらえますか | 中身を自社で確かめられるか | 見せられない文章は、自社のページに載せない |
| 効果の根拠は、どの論文の、どの条件の数字ですか | 実験と実際のサービスを分けて説明できるか | 対象のAI、言語、防御を測ったかどうかを聞き返す |
| Googleのスパムポリシーの、どの項目を確かめましたか | 規則を読んだうえでの提案か | 確かめていないなら、原文を一緒に開く |
| あとで消す場合、どこに何を入れたかの一覧は残りますか | 直せる状態で納品されるか | 一覧が出ないなら、その項目は外してもらう |
質問するときの姿勢
提案した相手が、悪意でこの項目を入れているとは限りません。
動いた実験の話だけを知っていて、条件や規則までは読んでいない、という場合があります。
質問は、相手を試すためでなく、同じ資料を見て話すためのものです。
この項目を外しても提案の残りが成り立つかどうかも、あわせて尋ねてください。
提案全体の確かめ方は、LLMO対策の怪しい提案を見分ける記事にまとめました。
よくある質問
Q. アコーディオンやタブで隠れている文章は、違反になりますか
Googleのスパムポリシーには、アコーディオンやタブで切り替えて表示する内容は違反に当たらないと書かれています。
スクリーンリーダー向けのテキストも同じ扱いです。
ポリシーが隠しテキストの不正使用として説明しているのは、検索エンジンを操作することだけを目的にコンテンツを置き、人には見えにくくする行為です。
開けば読者が読める「よくある質問」の折りたたみは、使い勝手のための表示の切り替えにあたります。
Q. 実験で動いた例があるなら、試したほうが得ではありませんか
動いた実験は、研究者が用意した環境でAIにページを直接渡したものが中心です。
検索と並べ替えを通した実験では、回答まで届いた割合は、7つのうち4つで約15%以下でした。
残った3つも、学習させた見張り役には見分けられています。
そのうえで、Googleのポリシーに触れた場合に失いうるのは、いま動いている通常の検索での表示です。
得と損のどちらが大きいかは、読者の会社の状況で判断してください。
Q. 同業の会社が仕込んでいたら、自社は不利になりますか
実験の中では、ある商品が上に入れば、ほかの商品が下がる構図が確かめられています。
実際のAI検索サービスで同じことが起きているかは、弊社が読んだ論文では確かめられていません。
弊社なら、仕込み返すことはしません。
自社の主な質問をAIに月1回聞き、紹介された順番を日付つきで記録して、変化に気づけるようにします。
Q. 日本語のAIでも、同じ結果になりますか
分かりません。
この記事で紹介した研究は、英語のデータが中心で、1本は中国語が中心でした。
日本語で確かめた研究は、弊社が読んだ範囲には見当たりませんでした。
Googleのスパムポリシーは日本語のページでも公開されており、こちらは言語に関係なく読めます。
Q. 人に見える場所に、AIに宛てた指示文を書くのはどうですか
見える場所に書けば、隠しテキストの説明からは外れます。
一方で、ポリシーは冒頭で「Google 検索の生成 AI 応答を操作する試み」もスパムに含めています。
見える指示文がそれに当たるかどうかの線引きは、ポリシーに書かれている範囲では、弊社には判定できません。
弊社は書いていません。
読者に宛てて書いた文章だけで、AIに伝えたい内容は足りると考えているからです。
まとめ
ページにAI向けの隠し文字や指示文を埋め込む施策について、研究とGoogleの規則で確かめられたことを並べます。
- 検索・並べ替え・回答の3段に通した海外の実験では、仕込みが回答まで届いた割合は、7つのうち4つで約15%以下、3つで40〜54%程度でした
- 実験で順位や推薦が動いた研究は4本あり、うち3本は防御を入れた場合を測っていません
- 防ぐ側の研究は、既知の手口の大半を見つけた一方で、新しい操作6種のうち5種は見抜けませんでした
- 4社が全員仕込んだ実験では、全員が控えた場合より全体の推薦率が下がりました
- Googleのスパムポリシーは、隠しテキストの不正使用を挙げ、生成AIの回答を操作する試みもスパムに含めています
どの研究も英語と海外の検証が中心で、実際のAI検索サービスで同じ数字になるとは言えません。
5つの中で、条件に左右されないのはGoogleの規則だけです。
伝えたい内容は、人に見える本文に、選ぶ基準と事実と対応できない条件として書いてください。
それでAIに薦められると約束はできませんが、読者に読まれて困る文章が1つも無いページになります。
今日できる点検
手元の資料だけで、今日のうちに確かめられることを5つ並べます。
1つでも「該当する」があれば、その行の右端から始めてください。
点検の表
| 点検すること | 見る場所 | 該当したら |
|---|---|---|
| 提案書や見積書に「AI向けの記述」に近い項目がある | 受け取った提案書、見積書 | その文章が人に読めるかを、提案した相手に尋ねる |
| 過去の作業報告に、中身を見ていない「AI向け」の項目がある | 納品物の一覧、作業報告 | 入れた文章とページの一覧を出してもらう |
| 公開の前に原稿を見ていないページがある | 制作を任せたページの一覧 | 読者に見えない文章を入れていないかを、書面で尋ねる |
| サービス紹介のページに、対応できない条件が書かれていない | 自社のサービス紹介のページ | 向いていない相手を1行足す |
| Googleのスパムポリシーを読んだことがない | ポリシーの原文 | 隠しテキストの項目と、冒頭の段落を読む |
上の3行は守りの点検で、下の2行は代わりにやることの入口です。
全部に該当しなかった場合は、サービス紹介のページを開き、冒頭の2〜3文が「どんな人に向いているか」に答えているかを読み返してください。
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
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