AI検索に引用されるための対策、という提案を受け取ることが増えています。文章を質問と答えの形に整える、統計を足す、出典を付ける。こうすると引用されやすくなる、という説明です。
この説明そのものは、間違っていません。実験で測られた数値もあります。ただ、やりすぎたページを機械で見分ける研究が出ました。そして、ウェブ上でどのくらいの割合がそうなっているかも測られています。
合同会社謙虚は、ウェブサイトから要素を引き算して、訪れた人が迷わず次の一歩へ進む形へ組み直す仕事をしています。3つのドメインを並行して運用し、何を変えると数字が動くかを測り続けています。
この記事では、その研究で何が測られたのかと、日本の中小企業にとって何が変わって、何が変わらないのかをお伝えします。
結論:やりすぎたページは、94%の精度で見分けられる段階に入りました
2026年8月に公開された論文で、AI検索向けに最適化されたページを検出する仕組みが提案されました。GEO-Flagという名前が付いています。
数字を先に並べます。
| 測られたもの | 数値 |
|---|---|
| 検出の精度(F1値) | 0.944 |
| ウェブ全体で、最適化されていたページの割合 | 8.90% |
| 2026年に更新されたページに限ると | 16.36% |
| 調べたページ数 | 10,095ページ |
2行目と3行目の差を見てください。2026年に手が入ったページでは、割合が倍近くになっています。この手法が広がっているということです。
そして、論文が使っている表現が重要です
この論文は、検出されたページについて「本来の権威や関連性に見合わない露出を得ている」と書いています。
これは、事実として起きていることの記述です。ただし、それが罰せられているとは書かれていません。この違いは重要なので、後の章でもう一度触れます。
何が測られたのか
研究の中身を、必要な範囲で整理します。
検出のために作られたもの
| 作られたもの | 規模 |
|---|---|
| 検証用のページ集 | 3,200ページ |
| 対象にした検索の言葉 | 400種類 |
| 対象にした分野 | 4分野 |
| 試した最適化の手法 | 8系統 |
同じ内容のページについて、最適化する前と後の両方を持っている点が、この研究の要になっています。片方だけを見て「これは最適化されている」と当てるのではなく、対になった形で学習させています。
その結果、検出の精度が0.862から0.944に上がりました。そして、いちばん苦手な種類のページでも0.725から0.883まで上がっています。特定の手法だけを見つけるのではなく、広く見分けられるようになったということです。
実際の検索結果に当てて測った
研究では、この検出の仕組みを実際の検索結果に当てています。対象は10,095ページ。そこで出た数字が、先ほどの8.90%と16.36%です。
この数字が意味するのは、いま検索結果に並んでいるページの中に、AI検索向けに手を入れられたものが一定の割合で混ざっているということです。特に、最近更新されたページほど多くなっています。
ここから何が言えて、何が言えないのか
この論文を扱うときに、いちばん間違えやすい部分です。先に、言えないことから書きます。
言えないこと:やると順位が下がる
この研究は、検出できることと、どのくらい広がっているかを示したものです。検索エンジンがそれを罰しているとは、書かれていません。
いま検索エンジン側がこの検出を使っているかどうかも、分かりません。研究者が作った仕組みであって、検索エンジンの内部の話ではありません。
ですから、「GEO対策をするとペナルティを受ける」と書いてある記事があれば、それはこの論文からは出てこない主張です。
言えること:見分けがつく状態になった
研究者が公開されている情報だけで94%の精度に到達できたということは、もっと多くの情報を持っている検索エンジン側なら、同じことがもっと正確にできるという意味になります。
そして、過去に同じ道をたどった手法がいくつもあります。
| かつて効いた手法 | その後 |
|---|---|
| キーワードの詰め込み | 効かなくなり、いまはマイナスに働く |
| 背景と同じ色の隠し文字 | 手動での対処の対象になった |
| リンクの購入 | 評価されないか、不利に働く |
| 地名だけを入れ替えたページの量産 | 評価されなくなった |
共通しているのは、見分けがつくようになった時点で、効かなくなったことです。順番として、まず検出できるようになり、次に扱いが変わりました。
では、何が「やりすぎ」なのか
ここが実務で知りたい部分だと思います。
元になった研究の施策を並べます
2024年に発表された別の論文で、AI検索の回答に引用されやすくなる書き方が施策ごとに測られています。
| 書き方 | 引用されやすさの変化 |
|---|---|
| 専門家の発言などを直接引用する | +41.0% |
| 数字を入れる | +30.6% |
| 文章を読みやすく整える | +28.0% |
| 出典を明記する | +27.5% |
| キーワードを詰め込む | −8.3% |
この表の上4行を見て、思うことがあるはずです。どれも、普通に良い記事を書くときにやることです。
専門家の言葉を引く。数字を入れる。読みやすくする。出典を書く。これのどこが問題なのか、という話になります。
分かれ目は、中身があるかどうかです
同じ「出典を明記する」でも、2つの状態があります。
| 中身がある側 | 形だけの側 | |
|---|---|---|
| 引用 | 実際に確かめた発言を引く | それらしい言い方を作る |
| 数字 | 自分で測った、または出所のある数字 | もっともらしい数字を置く |
| 出典 | 実在する資料の名称 | 実在しない資料の名称 |
| 読みやすさ | 読む人のために整える | 機械に読ませるために整える |
右の列が、検出される側です。そして、右の列は読んだ人が1つ確かめた時点で崩れます。機械に見つかる前に、人に見つかります。
ここで、正直に書いておくことがあります
先ほどの2024年の論文について、実験に使われたプログラムを読むと、引用や出典を生成させる際に実在しない情報源を作ってよいという指示が含まれていました。
つまり、あの数値は「本物の出典を付けた場合」ではなく「出典らしきものが付いている場合」の効果です。右の列の効果を測った数字だった、ということになります。
自社では同じことをしていません。数値の傾向は参考にしつつ、書くのは確かめた事実だけにしています。
日本の中小企業にとって、何が変わるか
ここまでの話を、実務に落とします。
変わらないこと
やることは、変わりません。検索されている言葉で、その言葉を打った人の疑問に答えるページを作る。これが第1の門で、ここは従来のSEOそのものです。
検索エンジン側の公式ドキュメントによれば、AIによる回答に引用されたリンクの多くは自然検索の上位から来ています。検索で上位に入っていないページは、AIの回答の候補にも上がりにくいということです。
この構造は、今回の研究では何も変わっていません。
変わること:外注先の選び方
変わるのは、ここです。「AI検索向けに文章を整えます」という提案を受けたとき、確かめる項目が増えました。
次の3つを聞いてください。
- 引用する発言や数字は、どこから持ってくるのか
- 出典として書く資料は、実在するものか。どう確かめているか
- 整えるのは、読む人のためか、機械のためか
1つ目と2つ目に、明確な答えが返ってこない場合は注意が必要です。実在しない出典が入ったページは、読んだ人が1つ確かめた時点で信用を失います。
中小企業にとって、失った信用を取り戻すコストは、順位1つの価値をはるかに超えます。
変わること:更新の記録を残しておく
もう1つあります。2026年に更新されたページで割合が倍近くになっている、という数字です。
これは、最近手が入ったページほど疑われやすくなる、という状況を示しています。手を入れること自体は問題ありませんが、何をどう変えたのかを記録しておいてください。
直す前の状態を保存し、何を足して何を消したかを残す。この記録は、後から説明が必要になったときに使えます。そして、記録が無いと自社でも説明できません。
いま、自社のページを確かめる方法
難しい道具は要りません。1ページあたり5分です。
| 確かめること | やり方 | 危ない状態 |
|---|---|---|
| 数字の出所 | 本文の数字を1つ選び、出所を辿る | 誰が測ったか書いていない |
| 出典の実在 | 挙げてある資料名で検索する | その資料が見つからない |
| 引用の実在 | 引用文をそのまま検索する | 元の発言が見つからない |
| 質問と答えの形 | 見出しを読み上げてみる | 人が言わない不自然な言い回し |
| 同じ語の頻度 | 本文で狙う言葉を数える | 1,000字に10回を超えている |
2行目と3行目が、いちばん重要です。外注して作ったページで、出典が実在しないものが混ざっていることがあります。
自社では、公開前に機械で検査する形にしています。過去に捏造と確定した数値の一覧を持っていて、それが本文に入っていないかを毎回確かめます。
自社でやっている検査を、そのまま書きます
公開前に機械で確かめている項目です。他社が公開していないものなので、そのまま出します。
実際に止めている項目
| 確かめること | 止める条件 | なぜ入れたか |
|---|---|---|
| 過去に捏造と確定した数値 | 本文に含まれている | 一度混入し、公開後に見つかった |
| 日本語以外の文字体系 | 1文字でも混ざっている | 自分の原稿に別言語が混入した |
| 意図しない英単語 | 固有名詞以外が混ざっている | 同上。5回起きている |
| 金額の記載 | 数字と円が並んでいる | 方針として書かないと決めている |
| 外部への送客 | 自社以外へのリンクがある | 方針として出さないと決めている |
| タグの整合 | 開きと閉じの数が合わない | 閉じ忘れで表示が崩れた |
2行目と3行目は、自分が書いた原稿で実際に起きたものです。日本語の文章を書いているつもりで、別の文字体系の文字が1文字だけ混ざる。読み返しても気づけません。
検査そのものが壊れることがあります
ここは、作る側に向けた注意です。
捏造の数値を弾く検査を作ったとき、正しい統計を引用した記事が誤って止められました。捏造の一覧に入っていた数字が、正しい数字の末尾と一致していたためです。
数字の前後を見ずに一致を取ると、こうなります。前後に数字が来ていないことを条件に足して、複数のパターンで確かめ直しました。
もう1つあります。日本語以外の文字を弾く検査を、「弾く文字を並べる」形で作っていました。この形だと、想定していなかった文字体系が素通りします。実際に1つ抜けました。
直したのは考え方のほうです。弾く文字を並べるのをやめて、許す文字を決める形にしました。並べる方式は、必ず漏れます。
1つの結果が半数を超えたら、検査を疑ってください
これがいちばん大きな学びです。
公開予定の記事407本について、狙っている言葉に需要があるかを機械で判定したことがあります。結果は、363本(89%)が「需要なし」でした。
中身を見ると、「プロが教えるSEOライティングのやり方」が需要なしになっていました。実際に検索されているのは「SEOライティング やり方」で、需要は十分にあります。判定は正しく、言葉の取り出し方が壊れていました。
直したところ、需要ありが58%になりました。1つの答えが半数を超えたら、まず自分の作った検査を疑ってください。
更新の記録を、どう残すか
「2026年に更新されたページで割合が倍近くになる」という数字を受けて、実務でやることです。
3つだけ残せば足ります
| 残すもの | 形式 | なぜ要るか |
|---|---|---|
| 直す前の本文 | ファイルとして保存 | 戻せる。何を変えたか比べられる |
| 直した理由 | 1行でよい | 後から説明できる |
| 直す前4週間の数字 | 表示回数と順位 | 効いたかどうかを判断できる |
3行目を残していない会社が多くあります。直した後の数字だけを見ても、良くなったのか悪くなったのか分かりません。
まとめて直さないでください
時間が惜しいので、複数のページをまとめて直したくなります。ところが3か所を同時に変えると、数字が動いたときにどれが効いたのか分からなくなります。
1週間に1か所。この速さでも、3か月で12か所直せます。しかも、どれが効いたかが全部分かります。
50本を超える一括更新には、間隔を空けてください
これは自社で経験した失敗です。107本のページを0.7秒間隔で更新したところ、接続元ごと遮断されました。書き込み自体は完了していましたが、復旧を確かめようとしてさらに叩き、遮断が延びました。
いまは3秒以上あけています。遮断されたら、叩かずに待ってください。
やらなくていいことは、変わりません
今回の研究が出ても、優先度が上がらないものがあります。
AI向けの案内ファイルの設置
サイトの内容をAI向けに要約したファイルを置く施策です。検索エンジン側は、公式ドキュメントで、検索自体がこれを使っていないと明言しています。
ある調査では、137,210のドメインを調べた結果、設置されたファイルの97%に一度もリクエストが来ていませんでした。
AI専用の構造化データ
これを入れたから回答に出るという性質のものではありません。検索エンジン側も、順位を決める要素ではないと説明しています。
文章を細切れにする作業
機械が読みやすいように、1文を短く、段落を細かく、という指導があります。今回の研究を踏まえると、この作業はむしろ慎重になったほうがいい部分です。
機械のために整えた形は、検出の対象になり得ます。整えるなら、読む人のために整えてください。結果として同じ形になることもありますが、判断の基準が違います。
すでに上位にあるページには、手を入れないでください
もう1つ、別の研究で報告されている点です。
先ほどの2024年の論文には続きがあり、施策の効果が検索順位によって符号反転することが報告されています。すでに1位のページに同じ施策を足すと、下がる方向に働きました。
3位以内に入っているページは、触らないでください。触るなら、検索結果に出ているタイトルと説明文の調整だけにとどめてください。
そして今回の研究を合わせると、理由がもう1つ増えます。上位のページに手を入れると、最近更新されたページの側に入ります。割合が倍近くになっている、あの区分です。
まだ分かっていないこと
正直に書いておきます。この研究から分かっていないことのほうが、多くあります。
- 検索エンジンがこの検出を使っているかどうか
- 検出されたページが、実際に不利に扱われているかどうか
- 4分野以外でも同じ割合なのかどうか
- 日本語のページでも同じ精度で検出できるのかどうか
特に4つ目は、日本の会社にとって直接関わる部分ですが、この研究では扱われていません。英語で測られた数字を、そのまま日本語に当てはめないでください。
分かっているのは、見分けがつく段階に入ったことと、2026年に更新されたページの16.36%がそう判定されたこと。この2つだけです。
まとめ
2026年8月に、AI検索向けに最適化されたページを検出する研究が公開されました。検出の精度は0.944、ウェブ全体での割合は8.90%、2026年に更新されたページに限ると16.36%です。
この研究は、検出できることと広がりを示したものです。検索エンジンが罰しているとは書かれていません。ここを混同した説明が出回りやすいので、注意してください。
ただし、過去に同じ道をたどった手法がいくつもあります。キーワードの詰め込み、隠し文字、リンクの購入。どれも、見分けがつくようになった時点で効かなくなりました。
分かれ目は、中身があるかどうかです。実際に確かめた発言を引くか、それらしい言い方を作るか。自分で測った数字か、もっともらしい数字か。実在する資料か、実在しない資料か。
後者は、機械に見つかる前に、人に見つかります。
いま確かめるなら、2つだけ
自社のページから1本選んで、次の2つを確かめてみてください。5分で終わります。
本文に出てくる数字を1つ選んで、出所を辿れるか。そして、挙げてある資料名で検索して、その資料が実在するか。
ここで止まるページがあるなら、順位の話をする前に直す場所が見つかったということです。
AI検索まわりの全体像は、LLMO対策に新しい道具は要りませんで、公式ドキュメントの原文と学術研究の実測値まで扱っています。
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
生成AIに引用されるページを、お話しいただくだけでお作りします。お時間をいただくのは初回15分のヒアリングだけです。まず1ページ、無料でお作りします。
OKが出るまで、何度でも直します。事実が違う、言い回しが硬い、この話は入れないでほしい。どれも遠慮なくおっしゃってください。何度お直ししても、追加の料金はいただきません。
これまでに127社にご利用いただきました。毎月ご依頼いただいている方の6割以上が、月10ページを選ばれています。料金はページに掲載しています。
ページを増やしても問い合わせが来ないなら、原因はページの外にあります。その場合は、下の入口からご相談ください。
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
ウェブサイトから要素を引き算し、訪れた人が迷わず次の一歩に進む形へ組み直す。初回60分のオンラインで御社のサイトを一緒に読み、どこから直すべきかをお伝えします。手順をまとめた無料の診断と解説動画もご用意しています。
初回は無料・60分・オンライン完結・その場で契約のお願いはいたしません

