Googleは、サイトのマルウェア感染を防ぐための心得を、短い公式ページにまとめています。題名は「Preventing malware infection」で、日本語版は「マルウェアへの感染を防止する」です。
この記事では、そのページを英語版の原文から読み、Googleが何を勧めているかを整理します。あわせて、英語版と日本語版の差、ページ内容がいつから変わっていないか、従業員数人〜数十人の会社が何から確かめればよいかも書きます。
合同会社謙虚は、3つのドメインを並行して運用し、何を変えると数字が動くかを測り続けています。サイトが乗っ取られると、その測定そのものが崩れるため、予防の公式ページは先に読んでおく価値があります。
結論:3行で言うと
- このページは、感染してしまった後の手当てではなく、感染を防ぐ日常の点検を並べたものです。Search Consoleの確認3つと、チェックリスト11項目(全員向け4、サーバーに触れる人向け7)でできています
- 点検は誰でもできるもの(パスワード、外部サービスの選定、サポート窓口、自分のパソコン)と、サーバーに触れる人向けのもの(更新、ログ、通信方式など)に分かれています
- Google自身が、このページは「決して完全ではない」と書いています。これだけ守れば安全、という保証のページではありません
このページの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題(英語) | Preventing malware infection |
| 日本語版の題名 | マルウェアへの感染を防止する |
| 英語版の最終更新日 | 2025-12-10(2026年11月5日に再確認。日付は同じでした) |
| 日本語版の最終更新日 | 2025-12-18 |
| Google検索セントラルの中の位置(章) | URLは「monitor-debug」の下の「security」です。英語版の左の目次では、「Malware and unwanted software」の次に並んでいます |
| 直近の主な更新 | 変更履歴に、このページを名指しした項目は見つかりませんでした。2025年12月10日の日付変更に対応する記載もありません |
Googleがこのページで言っていること
冒頭の一文は、英語で次のように書かれています。
「The price of freedom from malware is eternal vigilance.」(マルウェアに感染しない自由の代価は、絶え間ない警戒です)
続けて、この記事のヒントは決して網羅的ではないので、サイトの所有者はさらに調べてほしい、と断っています。
サイトの状態を監視する(Search Consoleの3つの機能)
ここでは、Search Consoleなどで異変に気づく方法が3つ挙げられています。
| 方法 | 原文が言っていること |
|---|---|
| site: 検索演算子 | Googleで「site:自社のドメイン」と検索し、Googleが見つけているページを定期的に見ます。知らないページや、自分が書いていない話題が出てきたら、ハッキングされている可能性があります |
| セキュリティの問題レポート(Security Issues report) | Googleが見つけたハッキングされたページと、直し方の案内が出ます |
| メッセージパネルの通知 | サイトでマルウェアを見つけたとき、Search Consoleのメッセージパネルに通知が出ます。メールへの転送設定をしておくと、すばやく気づけます |
私が開いて確かめたSearch Consoleヘルプによると、セキュリティの問題レポートは、サイトがハッキングされたとGoogleが判断した場合や、訪問者に害を与えうる動きがある場合に、その所見を示します。害の例として、フィッシング攻撃やマルウェアのインストールが挙がっています。
同じヘルプには、影響を受けたページが検索結果で警告つきになったり、ブラウザで警告画面が出たりする場合がある、とも書かれています。
メッセージについては、メール通知の設定画面を説明するヘルプで、メール設定が変えるのは「メールで届くかどうか」だけだと説明されています。パネルのほうには、設定にかかわらず、すべてのメッセージが残ります。
すべてのウェブサイトの所有者向け(4項目)
- 良いパスワードを選ぶ。Googleアカウントのガイドラインが参考になるとしています
- 外部のコンテンツ提供元を慎重に選ぶ。サイトに載せる外部のアプリや広告は、信頼できる正規の提供元のものにします。そうした提供元は、自社サイトにサポート情報と連絡先を載せている、という目安が示されています
- ホスティング会社や公開プラットフォームのサポートを使う。多くの会社にサポート窓口やセキュリティのページがあります。そのページにRSSフィードがあれば、登録して最新情報を受け取るよう勧めています
- 手元のパソコンを安全に保つ。とくにサイトの作業に使うパソコンは、ソフトを最新にし、ウイルスなどに感染しておらず、最近更新したウイルス対策ソフトを入れておく、という内容です
サーバーに触れる所有者向け(7項目)
| 項目 | 原文の要点 |
|---|---|
| サーバーの設定を確認する | ウェブサーバーソフトの開発元が、安全な設定のヒントを公開しています。ディレクトリの権限、サーバー側の埋め込み機能、認証、暗号化などが含まれます |
| .htaccess のバックアップを取る | 設定の変更に失敗したときの復旧用です。作業が終わったらバックアップは消します |
| ソフトの更新とパッチを欠かさない | サイトを作る道具が増えるほど、悪用されるリスクも増えます。フォーラムやブログを入れて放置するのが、ありがちな落とし穴です。使っているソフトとプラグインを一覧にして、バージョンと更新を記録します。自分で更新していても、ホスティング側のOSの更新が遅れていれば、弱点は残ります |
| ログファイルを見る | 見慣れないURLパラメータ(=http: や =// など)や、リダイレクト用URLへのアクセスの急増は、オープンリダイレクトを悪用されているしるしかもしれません。ハッカーはログを書き換えようとするので、保存場所を変えるなどの対策も挙がっています |
| よくある脆弱性を点検する | 権限が開きっぱなしのディレクトリを作りません。XSS(クロスサイトスクリプティング)とSQLインジェクションの有無も確かめます |
| 安全なプロトコルを使う | データ転送には、暗号化されるSSHやSFTPを勧めています。telnetやFTPのような平文の方式は避けます |
| 最新のセキュリティ情報を追う | Googleのセキュリティブログと、米国政府機関の技術的な警告・ヒントが紹介されています |
ページの末尾には、Search Consoleの利用者向けに、解決できない問題が続くときの報告フォームへの案内があります。
英語版と日本語版の違い
確認した日付(2026年11月5日)の時点で、内容を変える差は見つかりませんでした。日本語版のほうが8日新しい日付です。
節の構成、3つの監視機能、チェックリストの全項目、リンク先の数は一致していました。
| 箇所 | 英語版 | 日本語版 | 読み取り |
|---|---|---|---|
| パスワード | Choose good passwords | 強力なパスワードを選択します | 英語は「良い」、日本語は「強力な」。方向は同じですが、日本語のほうが具体的な印象です |
| サイトの規模の話 | 銀行やスポーツチームなどのサイトで警告が出たことがある、という書き方 | それらのサイトでも注意が必要、という書き方 | 事実の報告か注意喚起かの違いです。趣旨は小規模サイトだけの問題ではない、という点で一致します |
| パソコン | local workstation(手元の作業用機) | パソコン/ローカルのワークステーション | 実質的な差はありません |
更新の経緯も調べました。Internet Archiveの保存版(2022年9月、2023年7月、2024年6月)の本文と、今の英語版を比べると、本文の文章とリンク先は同じでした。
2024年6月の版は「最終更新 2024-03-18」、今の版は「2025-12-10」でした。日付は進んでいますが、私が比べた範囲では本文は変わっていません。
日付だけが動いた理由は、原文から分かりません。
なお、変更履歴の2022年10月13日の項目には、スパムポリシーの整理で、マルウェアとハッキングの情報を旧「セキュリティ」の節から集約した、という記載があります。このページ自体の更新とは別の話です。
このページから、言えること・言えないこと
| 言えること | 言えないこと |
|---|---|
| Googleは、site: 検索、セキュリティの問題レポート、メッセージ通知の3つで異変に気づけると説明している | この3つを見ていれば、感染を防げる、あるいは必ず気づけるとは書かれていない |
| 更新の放置、弱いパスワード、平文での転送が、リスクとして挙げられている | ここに書かれた項目を全部やれば安全、という保証はない。ページ自身が網羅的でないと断っている |
| サーバーに触れる人向けの項目は、WordPressのような部品の多いサイトにも当てはまる考え方である | 特定のCMSやプラグイン、ホスティング会社の名前を挙げて推奨している箇所はない |
| 感染の疑いがあれば、Search Consoleで警告が見られる | 感染の有無とGoogleでの順位の関係は、このページでは扱われていない |
中小企業の視点で、どう受け取るか
ここからはGoogleの説明とは別の、私の読み取りです。
1. まず、自社のドメインで site: 検索をする
Googleの検索窓に「site:自社のドメイン」と入れます。表示されたページに、自分が書いていないもの、見覚えのない商品名や海外の言葉が混じっていないかを見ます。
月に1回、同じ日に見る習慣にすると、変化に気づきやすくなります。ページ数のおおまかな目安として、自社サイトのサイトマップに載っているURL数を控えておくと、比べやすくなります。
2. Search Consoleのメール転送を確かめる
Search Consoleの画面上部のベルのマークがメッセージパネルです。そこにセキュリティ関連の通知が来ていないかを開いて見ます。
次に、通知メールの宛先が、いま実際に見ている人のアドレスになっているかを確認します。担当者が退職した後の宛先が放置されていると、通知が誰にも届きません。
3. WordPressなら、更新の棚卸しをする
公式ページの「使っているソフトとプラグインを一覧にする」は、WordPressでは管理画面の「プラグイン」「テーマ」の一覧と対応します。使っていないプラグインとテーマが残っていないか、更新の通知が溜まっていないかを見ます。
実務の手順は、WordPressの保守とセキュリティの記事にまとめています。この記事は公式ページの解説、あちらは実務の手順という役割です。
4. 外部サービスと管理者のパスワードを一覧にする
サイトに入れている外部の計測タグ、チャット、広告、予約フォームなどを、一覧にします。提供元の公式サイトに、サポート情報と連絡先があるかを確かめます。
あわせて、管理画面にログインできる人を数えます。退職した人や、取引の終わった制作会社のアカウントが残っていれば、削除します。
5. 毎月の点検に組み込む
1から4は、毎月の点検に組み込むと続けやすくなります。月次の見方は、Search Consoleの月次チェックの記事で扱っています。
弊社のサイトで確かめたこと
2026年11月5日に、kenkyo.ai に対して、次の確認を行いました。外から見られる範囲のものです。
- サイトマップのURL数を数える:投稿用のサイトマップ2つで合計1,307件、固定ページ18件でした。site: 検索の結果と比べるときの、手元の目安にできます
また、私は Search Console の画面を見ていないため、セキュリティの問題レポートの状態については、何も言えません。
よくある質問
マルウェアへの感染を防ぐために、Googleが勧めるSearch Consoleの機能は何ですか?
公式ページは、site: 検索演算子、セキュリティの問題レポート、メッセージパネルの通知の3つを挙げています。メッセージをメールに転送する設定を勧めています。
site: 検索で知らないページが出てきたら、どうすればよいですか?
原文は、知らないページや書いた覚えのない話題があれば、ハッキングされている可能性がある、と説明しています。具体的な復旧手順は、このページには書かれていません。
まず、ホスティング会社のサポートと、サイトを管理している人に連絡し、Search Consoleのセキュリティの問題レポートも確認するのが、現実的な第一歩です。この手順は私の読み取りです。
マルウェア感染の予防でSFTPやSSHを使うのはなぜですか?
原文は、telnetやFTPのような平文のプロトコルより、暗号化されるSSHとSFTPのほうがずっと安全だから、という理由を挙げています。ホスティング会社のファイル転送の方式を、一度確かめてみてください。
まとめ:今日できる1つのこと
今日、Googleで「site:自社のドメイン」と検索し、知らないページが無いかを2分で見てください。
そのうえで、Search Consoleのメッセージの通知先が、いま見ている人のメールアドレスになっているかを確認します。
この記事は、Google検索セントラル解説の一覧の一本です。ほかのページの解説も、順次公開しています。
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