自分の商品やサービスの値段を、そろそろ決めなければならない。
高すぎれば売れない気がして、安すぎれば食べていけない気がして、数字を書いては消す夜が続く。
この記事は、そういう状態にいる小さな会社や個人事業の店主に向けて書いています。
物を売る店、教室、整体院、工房、士業、制作の仕事など、お客さんと直接やり取りをする仕事を思い浮かべています。
価格の決め方は、本や記事でたくさん説明されています。
原価に利益を乗せる方法、競合に合わせる方法、お客さんにとっての価値から決める方法の3つが、定番として語られます。
どれも間違いではありません。
ただ、3つの方法を知っても、値段が決まらない店主は多いのです。
その理由は、計算の仕方が分からないことよりも、決めた値段を自分で信じきれないことにあります。
値段は、決めた理由を言葉にできたときに、初めて自信を持って出せるようになります。
この記事では、3つの決め方を割合の形で整理し、決めた値段を「なぜこの値段か」としてホームページに書く方法までをつなげます。
金額そのものは、業種によってまったく違うので、本文には書きません。
「原価の◯倍」「売上の◯割」のような形で、自分の数字を当てはめられるようにしています。
読み終えたときに、自分の値段の下限と上限が1つずつ決まり、料金のページに書く最初の一文が見えている。それがこの記事のゴールです。
Q&Aサイトで見かけた、教室の料金に迷う質問
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿されたのは2018年の秋で、個人でマンツーマンの教室を開いている方からの相談でした。
投稿者は、同じ料金を高いとも安いとも言われていた
質問者は、2時間のマンツーマンレッスンの料金に悩んでいました。
同じ料金なのに、人によって「安い」と言われたり、「高い」と言われたりして、評価がばらばらだというのです。
余裕のあるお客さんからは安いと言われ、割引のキャンペーンを見て来たお客さんからは高いと言われる。
質問者自身は、もう少し安くしてもよいと思っていました。
ただ、周りの個人店を見ると、業界の相場は自分より高めです。
値段を半額ほどに下げたら、来るお客さんが変わった
質問者は一度、料金を半額ほどに下げてみたそうです。
すると、約束の時間を守らない人、紹介した物販に嫌な顔をする人、練習をしないで上達する方法を聞いてくる人が増えました。
お客さんの質が悪くなったと感じて、料金を元に戻したと書かれていました。
一方で、余裕のあるお客さんは、レッスン代のほかに道具も一式そろえて帰ります。
使う金額は、レッスン代の倍以上になるそうです。
それでも質問者は、業界の相場に合わせるしかないのか、と迷っていました。
回答は、3つの値決めの手法に分けて説明していた
この質問には、値決めの3つの手法を説明した回答がありました。
回答者は、価値法、平均法、原価法という3種類を挙げています。
価値法は、お客さんが出してもよいと思える最大の額を値段にする方法です。
平均法は、同業他社の値段を参考にして、業界の標準並みにする方法です。
原価法は、かかった原価に最低限の利益を乗せる方法で、3つの中ではいちばん安くなります。
回答者は、レッスンの内容を変えた3段階のプランを作り、お客さんに選んでもらう方法も勧めていました。
そして、小さな事業者が低い値段で売ることは避けたほうがよい、という意見も添えていました。
この相談から見えた、値段の悩みの正体
質問を読んで、私は、値段そのものよりも、値段の理由が見えていないことが悩みの中心だと感じました。
質問者は、自分の値段の根拠を手元に持っていなかった
質問者は、安いと言われても高いと言われても、揺れていました。
揺れるのは、自分が決めた値段の理由を、自分でもはっきり言えないからです。
理由を言えない値段は、人に何か言われるたびにぐらつきます。
半額に下げたのも、揺れたことの現れでした。
値段は、来るお客さんを選ぶ
半額にしたあとにお客さんの質が変わったという話は、値段が客層を決めることをよく示しています。
値段は、お客さんに届く最初のメッセージです。
低い値段は「気軽に来てよい」と伝え、高い値段は「それだけの準備をして来てほしい」と伝えます。
どちらのお客さんが来てほしいのかを決めずに値段をつけると、来てほしくない人が集まることがあります。
相場に合わせても、迷いは消えない
業界の相場に合わせるのは、安心できる選び方です。
ただ、相場は、他の人が出した答えにすぎません。
相場に合わせて決めた値段は、お客さんに「なぜこの値段か」と聞かれたときに、「周りがそうだから」としか答えられません。
その答えでは、お客さんも納得しにくいのです。
値段を決める3つの方法
ここから、一般に紹介されている3つの決め方を整理します。
公的な機関の資料も、基本はこの3つの考え方で説明しています。
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21は、価格の決め方について「通常は原価・需要・競合状況の3つの要素を踏まえたうえで価格が決められています」と書いています。
同じページには「絶対的な設定方法はありません」とも書かれています。
3つの要素を踏まえて、最後は自分で決める、というのが公的な資料の立場です。
原価から決める方法は、下限を決める
原価から決める方法は、かかった費用に利益を乗せて値段にする方法です。
計算が単純で、誰でも始められます。
この方法でいちばん大切な役割は、値段の下限を決めることです。
下限を割った値段で売り続ければ、売れば売るほど苦しくなります。
競合から決める方法は、位置を決める
競合から決める方法は、同じ種類の商品やサービスが、どのくらいの値段で売られているかを見て、自分の位置を決める方法です。
相場の中で高めに置くのか、真ん中に置くのか、低めに置くのかを選びます。
この方法は、お客さんが比べるときの目線を知るために役立ちます。
価値から決める方法は、上限を決める
価値から決める方法は、お客さんがその商品やサービスから得るものを基準にします。
時間が節約できる、悩みが解決する、気持ちよく過ごせるといった、お客さんの側の得を考えます。
この方法は、値段の上限の目安をくれます。
3つの方法の役割を表にまとめる
3つの方法は、どれか1つを選ぶものではありません。
下限、位置、上限という、別々の役割を持っています。
| 決め方 | 見るもの | 決まるもの | 弱いところ |
|---|---|---|---|
| 原価から決める | かかった費用と、残したい利益 | 下限 | お客さんの得が入らない |
| 競合から決める | 似た商品の値段の幅 | 相場の中の位置 | 値下げ競争に入りやすい |
| 価値から決める | お客さんが得るもの | 上限の目安 | 数字にしにくい |
この表のとおり、3つを重ねて使うと、1つの方法の弱いところを別の方法が補います。
原価から下限を決める
最初に決めるのは下限です。
下限が分からないまま売り始めると、忙しいのに手元にお金が残らない状態になりやすいからです。
原価に含めるものを洗い出す
原価というと、材料費や仕入れだけを思い浮かべる人が多くいます。
ところが、実際には、それ以外のものも商品に入っています。
商品を包む袋、送料、決済の手数料、お客さんの対応に使う時間も、その1つです。
教室や施術のような仕事では、材料がほとんどなくても、自分の時間という原価があります。
自分の時間を原価に入れ忘れると、働いた時間あたりの手取りが、思ったより少なくなります。
原価の◯倍という形で、下限をつくる
下限は、原価の何倍で売るかという形で表すと、考えやすくなります。
たとえば、仕入れた商品なら、仕入れの値段を1としたとき、売る値段が1の◯倍あれば、家賃や道具代や自分の取り分を出せる、という計算をします。
この◯倍の数字は、業種によって違います。
仕入れて売る店と、自分で作る工房と、時間を売る教室では、原価に占める材料の割合が違うからです。
自分の商売で、毎月の固定の出費を売上の何割に収めたいかを先に決めておくと、◯倍の数字が見えてきます。
原価の洗い出しを表で確かめる
次の表は、洗い出しの確認用です。
自分の仕事の欄に、思いつく費用を書いていくと、見落としが減ります。
| 費用の種類 | 例 | 見落としやすさ |
|---|---|---|
| 材料や仕入れ | 材料、仕入れた商品 | 低い |
| 売るための費用 | 袋、梱包、送料、決済の手数料 | 中くらい |
| 場所や道具の費用 | 家賃、光熱費、道具の買い替え | 中くらい |
| 自分の時間 | 準備、お客さんの対応、片付け | 高い |
| 売れ残りや返品 | 廃棄、値引き、返金 | 高い |
自分の時間と、売れ残りや返品は、とくに見落としやすい欄です。
ここを入れると、下限の位置が思ったより上がることがよくあります。
下限に届かない値段は、続けるほど苦しくなる
下限を割った値段で始めると、売れれば売れるほど、手元に残るものが少なくなります。
忙しさが増えても、疲れだけが積み上がります。
質問者が半額にしたあとで、お客さんの質が下がったと感じたのも、同じ構造が重なっていたのかもしれません。
値段が下がると、1人あたりに使える時間と気持ちが減り、サービスが雑になって、さらにお客さんが離れる流れが起きやすいのです。
競合の値段から、自分の位置を決める
下限が決まったら、次は競合の値段を見て、相場の中での位置を決めます。
競合の値段は、自分の値段をそのまま決めるために見るのではありません。お客さんが比べるときの目線を知るために見ます。
競合は、お客さんが実際に比べている相手を選ぶ
競合というと、同じ業種の店をすべて並べたくなります。
ところが、お客さんが実際に比べているのは、もっと身近な数軒です。
検索して最初に出てくる数件、友人に聞いて名前が挙がった店、通勤の途中で目に入る店。
そのあたりが、お客さんの頭の中にある比較の相手です。
自分で検索窓にお客さんの言葉を入れて、画面の上のほうに出てくる店を5件ほど書き出すと、比べられている相手が見えてきます。
見るのは値段の数字だけでなく、含まれているもの
競合の値段を見るときは、数字の横に何が含まれているかを一緒に書き出します。
同じ値段に見えても、相談の時間が含まれている店と、含まれていない店があります。
アフターフォローの有無、材料の質、予約の取りやすさ、キャンセルの条件も、値段に含まれる中身です。
数字だけを並べると、安い店と高い店に分かれます。
中身まで並べると、「この値段なら、ここまでついてくる」という全体の形が見えます。
競合の見方を表にして、書き出す
次の表の項目を、競合ごとに埋めていくと、比べる目線がそろいます。
| 見る項目 | 書き出すこと | 分かること |
|---|---|---|
| 値段の幅 | 最も低い値段と最も高い値段の割合 | 相場の中心が見える |
| 含まれるもの | 相談、材料、保証、アフターフォロー | 数字の裏にある中身が分かる |
| 売り方 | 単品、セット、定期、段階別のプラン | 比べられ方の形が分かる |
| 見せ方 | 値段をページに載せているか、問い合わせのみか | お客さんが調べやすいかが分かる |
| 理由の説明 | なぜその値段かを書いているか | 自分が空けられる場所が見つかる |
最後の「理由の説明」の欄は、とくに大切です。
値段の理由を書いている競合は、多くありません。
そこが空いていることが、この記事の後半で扱う話につながります。
競合に合わせすぎると、体力の勝負になる
競合の値段に合わせて、少しだけ安くする。
これは、いちばん手を出しやすい決め方ですが、小さな事業者にはあまり向いていません。
J-Net21の価格設定のページは、市場価格より低く設定する方式について、価格競争に巻き込まれた場合の中小企業は不利であるとして、「この価格設定方法はあまり中小企業向きとはいえません」と書いています。
仕入れの量も、人手も、広告にかけられる力も、大きな会社には及ばないからです。
安さで勝負すると、自分より体力のある相手に値下げで追い越される日が来ます。
位置を決めるときは、安さ以外の場所に立つ方が長く続きます。
競合調査で守ること
競合の値段を調べるときに、ひとつだけ守っておきたい線があります。
公正取引委員会が公開している、価格についての考え方です。
競合の値段を決めるのは、自分の判断
公正取引委員会は、物価高の局面でのカルテルへの注意喚起のページで「価格は重要な競争手段です」と述べています。
値上げをするかどうか、いつ、どのくらい行うかは、各事業者が自分で決める事柄だという立場です。
そして、事業者の間で価格や値上げの時期などを申し合わせる行為は、価格カルテルとして独占禁止法上の問題になると書かれています。
同業の仲間と値段を相談するのは避ける
小さな商売では、同じ地域の同業者と顔見知りになることがよくあります。
飲み会の席で「そろそろ値上げしようと思っている」と話し、相手が「うちもそうする」と答える。
悪気のない会話に見えますが、値段をそろえる約束や申し合わせは、公正取引委員会のページが問題だと明記している行為に近づきます。
同業の仲間とは、仕入れ先の情報や、お客さんへの接し方の工夫を話し、値段そのものは話題にしない。
その距離感を決めておくと、後で困りません。
調べるのは、お客さんにも見える情報にとどめる
競合の値段を調べる場面では、お客さんと同じ立場で見える情報を見るようにします。
競合のホームページに載っている料金、店頭に出ている価格表、お客さんとして問い合わせて教えてもらえる範囲の情報です。
その情報をもとにして、最後は自分のコストと考えで決める。
公正取引委員会は、2026年9月2日付けの事務総長定例会見の記録で、事業者に「自らのコストや事業戦略などを踏まえて、独立して、価格決定を行い」と求めています。
私が確認できたのは、このページに書かれている範囲までです。
具体的な行為が問題になるかどうか迷う場面では、公正取引委員会が事前相談の窓口を設けているので、そちらに聞くのが確かです。
守る線と、調べてよい範囲を表にする
| 場面 | してよいこと | 避けること |
|---|---|---|
| 競合の値段を知る | 公開されている料金表やページを見る | 値段を教え合う約束をする |
| 値上げを考える | 自社のコストと考えで決める | 同業と時期を合わせる |
| 同業者と会う | 仕事の工夫や仕入れの話をする | 値段をそろえる相談をする |
| 迷ったとき | 公正取引委員会の相談窓口に確認する | 自己流で判断して進める |
この表は、私が確認した公正取引委員会の公開ページの範囲を、場面ごとに整理したものです。
個別の判断は、窓口か専門家に確認してください。
価値から、値段の上限を考える
下限と位置が決まったら、最後に上限を考えます。
上限を決めるのは、お客さんが得るものです。
お客さんが得るものを、言葉で並べる
価値というと、あいまいに聞こえます。
そこで、お客さんがこの商品やサービスを使った後に、何が変わるのかを、言葉で並べてみます。
節約できる時間、減る手間、解決する悩み、手に入る安心、人に見せられる満足。
並べた中に、お客さんにとって「お金に換えてもよい」と感じられるものがあるかを考えます。
教室であれば、上達までにかかる時間が短くなることが価値の1つです。
工房であれば、長く使えることや、修理ができることが価値になります。
お客さんが得る価値の◯割を、値段の目安にする
価値を数字にするのは、難しい作業です。
厳密に測ろうとしなくても、おおまかな見当で十分です。
たとえば、お客さんがこの仕事で節約できる時間や手間を、ご自身の時間の価値に置き換えたとき、その◯割を値段にする、という考え方があります。
◯割の数字は、業種や、お客さんの状況で変わります。
目安をつくる目的は、正解を当てることではありません。
上限の見当をつけておくと、原価から出した下限より低い値段をつけてしまう失敗を防げます。
価値は、お客さんによって違う
質問に出てきた教室では、同じ料金に対して「安い」「高い」とばらばらの評価が出ていました。
この食い違いは、お客さんによって、価値の感じ方が違うために起きています。
道具も含めて、レッスンに多くのお金を使うお客さんにとって、その教室は価値の高い場所です。
割引のキャンペーンを見て来たお客さんにとっては、同じレッスンが、安いほうがよい商品に見えています。
どちらのお客さんに向けて値段を決めるのかを、先に決めておく必要があります。
価値の見つけ方を、表で確かめる
| 問い | 例 | 値段への影響 |
|---|---|---|
| お客さんは何に困っているか | 時間が足りない、やり方が分からない | 解決が大きいほど上限が上がる |
| 使った後に何が変わるか | 上達する、きれいになる、手間が減る | 変化が見えやすいほど上限が上がる |
| 他の手段だとどうなるか | 自分でやる、他の店に頼む | 代わりが少ないほど上限が上がる |
| どんなお客さんが来るか | 余裕のある人、値段を重視する人 | 客層で上限の高さが変わる |
表のとおり、上限は、お客さんの側にあります。
自分の商品の良いところを並べるだけでは、上限は見えてきません。
お客さんの困りごとの大きさと、代わりの少なさを見る。
そこから、値段の上に乗せられる限度が、ぼんやりと見えてきます。
3つを重ねて、値段の幅を決める
原価、競合、価値の3つを見終えたら、ここで1つにまとめます。
目的は、1つの値段を当てることではありません。
まず幅を決めて、その中から選びます。
下限と上限で、値段の幅をつくる
原価から出した下限を、幅の下の端に置きます。
価値から考えた上限を、幅の上の端に置きます。
この2つの間が、自分が選べる値段の幅です。
幅が十分に広ければ、中で選べます。
下限が上限に近すぎる場合は、値段をいじるよりも、原価を下げるか、価値を足すかのどちらかを考える必要があります。
競合の相場を、幅の中に置いてみる
次に、競合の値段の幅を、同じ物差しの上に置きます。
相場が幅の下の端の近くにあるなら、競合の多くは原価ぎりぎりで売っていることになります。
相場が幅の上の端の近くにあるなら、価値を出せていない競合が多く、自分が位置を上げる余地があります。
相場が幅の真ん中にあるなら、安い側にも高い側にも動けます。
この物差しを書くと、競合に合わせるべきか、離れるべきかが、目で見て決まります。
割合で書くと、自分の数字を当てはめやすい
金額をそのまま書くと、業種が違う人には使えません。
そこで、割合で書き換えます。
原価を1とします。
下限が原価の◯倍、競合の相場が原価の◯倍から◯倍の間、上限の目安が原価の◯倍。
こう書き出すと、自分の商売でも、同じ形で数字を当てはめられます。
この記事では、◯に入る数字を示しません。
業種によって、材料の割合も、自分の時間の割合も違うので、他人の数字を借りると、かえって判断を誤るからです。
3つの重ね方を、表にまとめる
| 順番 | 使う材料 | 出てくるもの | 書き出す形 |
|---|---|---|---|
| 1 | 原価と残したい利益 | 下限 | 原価の◯倍以上 |
| 2 | 上限の見当 | 値段の天井 | お客さんの得の◯割以内 |
| 3 | 競合の値段の幅 | 相場の位置 | 幅の下寄り、真ん中、上寄り |
| 4 | 来てほしいお客さん | 位置の選び方 | 幅の中のどのあたりか |
最後の欄の「来てほしいお客さん」が、位置を決める決め手になります。
次の章で、その理由を見ていきます。
決められないときは、仮の値段で始めて見直す
どうしても決めきれない場合は、仮の値段で始めます。
幅の中から1つ選び、3か月は変えずに続けます。
3か月たったら、問い合わせの数、成約の割合、お客さんの様子を見て、見直します。
最初から正しい値段を当てようとすると、手が止まります。
動きながら調整するほうが、短い時間で近づけます。
値段は、来てほしいお客さんを選ぶ
質問の教室が体験したように、値段は客層を変えます。
位置の選び方には、このことを織り込む必要があります。
低い値段が呼ぶお客さんと、高い値段が呼ぶお客さん
値段を下げると、値段を重視するお客さんが増えます。
値段を重視するお客さんは、他の店でもっと安いところを見つけたら、すぐにそちらへ移ります。
反対に、値段を上げると、値段よりも内容や安心を重視するお客さんが増えます。
内容を重視するお客さんは、自分に合っていると感じたら、長く続けてくれます。
どちらのお客さんが良い悪いという話ではありません。
自分の仕事が、どちらのお客さんと相性が良いかという話です。
質問の教室で起きたことを、値段の面から読み直す
質問者は、半額にしたところ、約束を守らない人や、練習をしない人が増えたと書いていました。
これは、お客さん個人の問題だけとは言えません。
値段が下がったことで、「手軽に試せるもの」という印象が広がり、気軽な気持ちで来る人が増えた面があります。
気軽な気持ちで来る人は、約束や練習にかける気持ちも軽くなりやすいのです。
一方で、元の値段のときに来ていたお客さんは、準備をして来る人が多く、使うお金も大きくなっていました。
質問者の教室は、すでに、高い値段のお客さんと相性が良い場所だったと読めます。
来てほしいお客さんを、先に書き出す
位置を決める前に、来てほしいお客さんを書き出します。
年齢や性別よりも、どんな困りごとを持って、どんな気持ちで来る人かを書きます。
たとえば、「時間をかけて上達したい人」「少し高くても、安心して任せたい人」「自分で選んで決めたい人」のような書き方です。
書き出した姿に合う値段が、幅のどのあたりかを考えます。
来てほしい人が、少し高くても安心を買いたい人なら、幅の上寄りが合います。
とにかく気軽に始めたい人が中心なら、幅の下寄りに置いて、その分、数をこなせる仕組みを整える必要があります。
値段と客層の関係を表で整理する
| 値段の位置 | 集まりやすいお客さん | 起きやすいこと | 備えること |
|---|---|---|---|
| 幅の下寄り | 値段を重視する人 | 他の店との比較が増える | 数をこなす仕組みを整える |
| 幅の真ん中 | 相場を目安にする人 | 比べられやすい | 中身の違いを説明する |
| 幅の上寄り | 内容や安心を重視する人 | 問い合わせの数が減る | 理由を丁寧に説明する |
幅の上寄りに置くと、問い合わせの数は減ります。
その分、1件ごとの相談が深くなり、成約の割合が上がることが期待できます。
ただ、数が減ったときに不安になって、元の位置に戻してしまう店主が多くいます。
その不安は、値段の理由を言葉にしておくことで、かなり和らぎます。
値段を下げる前に、先に足せるものを探す
値段が高いと言われたときは、すぐに下げる前に、足せるものがないかを探します。
説明を足す、事例を足す、よくある質問を足す。
値段が高く見えるのは、中身が見えていないときです。
中身を見せることで、同じ値段でも、納得して選ばれるようになります。
売れるサイトはみな謙虚
私たちは、「売れるサイトはみな謙虚」という考え方で、小さな会社や店のホームページを見ています。
謙虚とは、お客さんが知りたいことを、飾らずに、先に、同じ場所で見せることです。
値段の話は、その考え方がいちばん試される場面です。
お客さんが最初に知りたいのは、値段の理由
ホームページを訪れた人は、サービスの内容を読んだあとに、必ず値段を探します。
そこで値段が見つからない、または、値段だけが書かれていて理由がないと、お客さんは自分の頭の中で理由を作ります。
作られる理由は、たいてい、疑いに寄ったものです。
「高いのではないか」「隠しているのではないか」「何か追加で取られるのではないか」。
疑いが膨らむと、問い合わせのボタンまでたどり着かなくなります。
値段を載せない理由は、たいてい店主側の事情
値段をページに載せていない店には、理由があります。
比べられたくない、値段だけで判断されたくない、相談してから決めてほしい。
どれも店主の気持ちとしては自然です。
ところが、お客さんの側から見ると、値段が書かれていないページは、「調べにくいお店」に見えます。
調べにくいと感じた人は、値段が分かる別の店へ移っていきます。
値段を出したくないときは、目安の幅と、その幅になる理由を、せめて一行書いておくと、状況が変わります。
値段の決め方を、そのまま順番に見せる
この記事で扱った原価、競合、価値の3つは、店主が値段を決めるための道具です。
同時に、その順番は、お客さんに値段を説明するための順番にもなります。
次の図は、決めるときの順番と、ページに書くときの順番がつながっていることを示しています。
図のとおり、3つの見方を重ねて決めたあと、最後に「理由の説明」をページに書きます。
決めるだけで終わらせず、書くところまでが、値段を決める仕事です。
理由を書くと、値段が店主の味方になる
理由を書いた値段は、お客さんが比べるときの物差しを、店主の側から用意することになります。
物差しがないお客さんは、他の店の値段だけを物差しにします。
物差しを先に渡せば、お客さんは、その物差しで値段を見ます。
そのとき初めて、「自分に合うか合わないか」で判断してもらえます。
その考え方は、既存の記事でも別の角度から扱っています。
手間を見せて価格で比較されにくいサイトにする手順は、価値を高める方法の記事にまとめています。
決めた値段を「なぜこの値段か」としてページに書く
値段が決まったら、ホームページの料金のところに、理由を一緒に書きます。
数字だけが並んだ料金表と、理由が添えられた料金表では、お客さんが受け取る印象がまるで違います。
理由は、3段に分けて書くと短くまとまる
理由を書くといっても、長い文章は要りません。
3つの段に分けて、1段につき2文ほどで足ります。
1段目は、値段の中身です。何にどれだけかかっているかを、割合で書きます。
2段目は、お客さんが得るものです。この値段で、何が変わるのかを書きます。
3段目は、選び方の目安です。どんな人にこの値段が合って、どんな人には別の選択肢のほうが合うのかを書きます。
値段の中身は、割合で見せると伝わる
値段の中身を見せるといっても、原価をすべて公開する必要はありません。
「この値段のうち、材料に◯割、制作の時間に◯割、アフターフォローに◯割を使っています」のような書き方で十分です。
割合で書くと、お客さんは、自分の払ったお金がどこに使われるかを想像できます。
細かい内訳を書かなくても、「ここに使っている」という方向が見えるだけで、納得は大きく変わります。
合わない人にも、はっきり伝える
3段目の「合わない人」を書くのは、勇気がいります。
ただ、ここを書くと、値段に納得しない人からの問い合わせが減り、納得した人が来る割合が高まります。
「準備に時間をかけるため、急ぎの注文にはお応えしにくい」
「個人の工房なので、大量の注文には向かない」
このように、できないことを先に書く店は、他の部分の言葉も信用してもらいやすくなります。
理由を書く場所は、値段の隣
理由は、値段のすぐ隣に置きます。
別のページや、ページの下のほうに置くと、読まれません。
値段を見た瞬間に、お客さんの頭に浮かぶのは「なぜ」という疑問です。
その疑問が浮かぶ場所に、答えを置いておきます。
書き方の見本を、割合の形で示す
| 段 | 書くこと | 文の形 |
|---|---|---|
| 1段目 | 値段の中身 | この値段の◯割は、◯◯に使っています |
| 2段目 | お客さんが得るもの | ◯◯が変わります。そのため、この値段としています |
| 3段目 | 合う人と合わない人 | ◯◯な方に向いています。◯◯の方には、別の方法をお勧めします |
文章の細かな言い回しは、自分の仕事に合わせて変えてください。
形だけでも、この3段に沿って書くと、理由がぐっと伝わります。
競合の名前は、出さなくてよい
理由の中で、競合と比べて自分が優れていることを書きたくなる場面があります。
ただ、特定の店の名前を出して比べると、角が立ち、読む人にも不誠実に映ります。
競合を調べて分かったことは、「この種類の仕事の一般的な値段の幅は、これくらいです」という形で、名前を出さずに使います。
最終的な値段は、競合調査の結果を見てから決めて構いません。
調査で分かった相場を、理由の中で、控えめに触れる材料にします。
価格で比べられにくくする
理由を書くことには、もうひとつ効果があります。
お客さんが他の店と値段だけを見比べる状況を、少しずつ減らせるのです。
比べられるのは、同じ物差しに乗っているとき
お客さんが値段を比べるのは、2つの商品が同じものに見えるときです。
名前も中身も同じに見えたら、あとは値段しか違いが残りません。
反対に、中身の違いが分かりやすければ、値段の比較は後ろに下がります。
比べにくくするとは、値段を隠すことではありません。
中身の違いを見せることです。
内容の違う3つのプランで、お客さんに選んでもらう
先ほどの質問の回答者は、内容の違う3段階のプランを作ることを勧めていました。
内容、時間、アフターフォローの量、特典、返金の保証などを、プランごとに変えます。
そうすると、お客さんは「どのプランにするか」を自分で考え、自分の納得で選びます。
値段が高いか安いかを、店主が説明しなくても、お客さんが自分で位置を選べます。
ここまでの3つの決め方と合わせると、次のように使えます。
下の段は、原価から出した下限に近い値段で、必要なものに絞った内容にします。
真ん中の段は、競合の相場に近い位置に置いて、標準の内容にします。
上の段は、価値から考えた上限に近い値段にして、手厚い内容にします。
プランの名前は、中身が分かる言葉にする
プランの名前は、上中下や松竹梅のような順位を表す言葉より、中身を表す言葉のほうが伝わります。
「まず試す」「しっかり進める」「任せきる」のように、お客さんの状況に合わせた名前にします。
名前を見ただけで、自分がどれに当てはまるかが分かる形です。
順位の言葉は、真ん中を選ばせるのに役立ちますが、下を選ぶ人に「自分は低い扱いだ」と感じさせることがあります。
追加の提案も、順番で受け取り方が変わる
プランを分けると、上の段への切り替えの提案も出てきます。
押し売りに見えない提案の順番は、別の記事のアップセルの提案の順番で書いています。
この記事では、値段を決める側の考え方に絞ります。
比べられにくくする工夫を、表で整理する
| 工夫 | やること | お客さんに起きること |
|---|---|---|
| 含まれるものを書く | 相談、保証、サポートの範囲を明記 | 同じ値段でも中身の違いが見える |
| プランを分ける | 内容を変えた3段階にする | 安い高いより、合う合わないで選ぶ |
| 合う人を書く | 向いている人と向かない人を示す | 自分に合う店だと感じる |
| 事例を載せる | 使った人の変化を短く載せる | 値段の先にある結果が想像できる |
| 理由を添える | 値段の隣に3段の理由を置く | 疑いが減り、比べる動きが弱まる |
比べられにくくなると、値下げの圧力が弱まり、決めた値段を守りやすくなります。
割引や「通常価格」を載せるとき
理由を書く流れで、割引や「通常価格」の表示を出したくなる場面があります。
ここには、守るべき決まりがあります。
二重価格表示は、景品表示法の対象になる
消費者庁は、二重価格表示について、比較に使う価格の内容が実際と異なっていたり、あいまいだったりする場合は、不当表示に当たるおそれがあるとしています。
二重価格表示とは、「通常価格」「定価」「他店の価格」などの比較用の価格を、実際の販売価格と並べて表示することです。
「今だけ◯割引」のような書き方も、元の価格が実際と合っているかどうかが問われます。
過去の価格を比べるときは、実際に売っていた価格にする
消費者庁のページは、過去の販売価格を比較の対象にする場合について、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」であれば、不当表示のおそれはないとしています。
それ以外の価格を使うなら、いつごろ、どのくらいの期間売っていた価格なのかを、正確に示す必要があると書かれています。
実際には売っていなかった価格を、元の値段のように見せるのは避けます。
どのくらいの期間や割合が「相当期間」に当たるのかは、消費者庁のページには数字が書かれておらず、価格表示ガイドラインを見るよう案内されています。
具体的な数字が必要なときは、消費者庁の価格表示ガイドラインの原文で確かめてください。
他店の価格や希望価格を引くときも注意が必要
消費者庁のページには、他の比較対象についても注意が書かれています。
メーカーなどが設定して公表しているとはいえない価格を「希望小売価格」と称して比べると、不当表示のおそれがあります。
競争事業者の価格を「市価」として示す場合に、相当数の事業者の実際の価格を正確に調べていないと、同じくおそれがあります。
ページには、メーカーの希望価格が存在しないのに「メーカー希望価格の半額」と表示した例も挙がっています。
理由を書く値段なら、割引に頼る場面が減る
理由を添えて決めた値段は、割引で目を引く必要が少なくなります。
値段の根拠が説明されていれば、お客さんは、中身を見て判断してくれるからです。
割引を使うなら、実際に売っていた価格を元にして、期間や条件を正直に書く。
それが守るべき線になります。
表示で確かめることを表にまとめる
| 表示の種類 | 確かめること | 避けること |
|---|---|---|
| 過去の自社の価格 | 最近、相当期間売っていた価格か | 売っていない価格を元の値段にする |
| これからの価格 | 実際にその価格で売る予定があるか | ごく短い期間だけの価格を示す |
| 希望価格 | 公表されている価格か | 存在しない希望価格を引く |
| 他店の価格 | 相当数の店の実際の価格を調べたか | 調べずに「市価」と書く |
この表は、消費者庁の「二重価格表示」のページに書かれている範囲を整理したものです。
実際の表示を作るときは、同じページと価格表示ガイドラインの原文をあわせて確認してください。
値段を変えるときも、理由を先に伝える
値段は、一度決めたら終わりではありません。
材料が上がる、手間が増える、サービスの中身が良くなる。
そのたびに、見直す場面が来ます。
値上げができた店と、できなかった店がある
経済産業省北海道経済産業局が掲載している中小企業庁の調査結果によると、2026年3月時点の調査で、コストの上昇分を価格に転嫁できた割合は54.2%でした。
この調査は、中小企業庁が毎年3月と9月の価格交渉促進月間に合わせて、受注側の中小企業30万社を対象に行っているものです。
価格交渉が行われた割合は90.7%でした。
つまり、ほとんどの企業が価格の話し合いをしたのに、コスト上昇分の全額を価格に載せられたとは限らない、ということです。
この調査は、下請けなど企業間の取引についてのものです。
お客さんが一般の人の店に、そのまま当てはまる数字ではありません。
ただ、値上げの場面で「話し合いはしたのに、全部は載せられなかった」という企業が少なくない、という実態は参考になります。
理由の説明があると、納得してもらえた
同じ調査には、見逃せない数字があります。
価格交渉が行われたものの、コスト上昇分の全額の価格転嫁には至らなかった企業のうち、発注企業から価格転嫁について「納得できる説明があった」と回答した企業は約6割でした。
値段の話し合いでは、金額だけでなく、説明があったかどうかが、受け取る側の気持ちを左右します。
この数字は、企業間の取引についての回答です。
それでも、値上げの理由を説明されたら納得しやすいという人の感覚は、お客さんが個人の店でも変わりません。
値上げのお知らせを、ページに書く
値上げをするときは、実施の日よりも前に、ページでお知らせを出します。
お知らせには、次の4つを書きます。
変更の時期、変更の内容、理由、これまでの値段で受けられる期間です。
理由は、「材料の仕入れが◯割上がった」「手間のかかる工程を◯割増やした」のように、割合で示します。
理由がはっきりしていれば、お客さんは、事情を受け止めてくれます。
値上げのお知らせの型を表にする
| 項目 | 書くこと | 注意すること |
|---|---|---|
| 変更の時期 | いつから変わるか | 十分に早めに知らせる |
| 変更の内容 | 何がどのくらい変わるか | 割合で示し、隠さない |
| 理由 | なぜ変えるか | 感謝と事情を短く書く |
| 猶予 | 古い値段で受けられる期間 | 常連の方への配慮として書く |
| 今後 | 中身がどう良くなるか | できることだけを書く |
値上げのお知らせは、短くて構いません。
大切なのは、お客さんが先に知ることと、理由が書かれていることです。
やりすぎて逆効果になることと、決めたあとの見直し
理由を書くことには、やりすぎて逆効果になる場面もあります。
ここでは、よくある失敗と、決めたあとの見直し方をまとめます。
理由を長く書きすぎて、値段が埋もれる
理由を書くのが大事だと分かると、つい長く書いてしまいます。
ところが、理由が長すぎると、値段そのものが見つからなくなります。
値段は最初に目に入る場所に置き、理由は2文から3文で隣に添えます。
詳しく知りたい人のために、続きを別に置くのは構いません。
原価を細かく公開しすぎる
原価の内訳を、1つ1つ公開する必要はありません。
細かく出しすぎると、「ここは削れるのでは」と値引きの交渉材料になります。
割合で、おおまかな方向を示すくらいが、ちょうどよい距離です。
他店の悪口になってしまう
理由を書いているうちに、他の店を引き合いに出して、自分の良さを強調してしまうことがあります。
他の店を下げる書き方は、読む人に良い印象を残しません。
自分の仕事の中身だけを、淡々と書きます。
安さを理由にする
「頑張って安くしました」という理由は、最も弱い理由です。
安さは、他の店が下げれば、すぐに意味がなくなるからです。
また、安いことを前面に出すと、来るお客さんが安さを重視する人に偏ります。
決めたあとの3か月に見ること
値段を決めたら、3か月、見るものを決めておきます。
見るのは、問い合わせの数、成約の割合、お客さんの言葉の3つです。
問い合わせの数が減っても、成約の割合が上がっていれば、位置は合っている可能性があります。
お客さんが「安い」と言うのか、「高い」と言うのか、言葉をそのまま書き留めておきます。
3か月たったら、書き留めた言葉を見ながら、幅の中での位置を1段だけ動かすかを決めます。
見直しの目安を表にする
| 見ること | こうなっていたら | 次にやること |
|---|---|---|
| 問い合わせの数 | 減ったが成約が増えた | 位置を保つ |
| 問い合わせの数 | 減って成約も増えない | 理由の書き方を見直す |
| お客さんの言葉 | 高いと言われる | 中身を見せる説明を足す |
| お客さんの言葉 | 安いと言われる | 位置を上げる余地を探す |
| 来る人の様子 | 来てほしい人と違う | 値段の位置と理由を見直す |
見直しは、一度に大きく動かさず、1段ずつ行います。
よくある質問
Q1 原価が分からない商売は、どう決めればよいですか
材料がほとんどなく、自分の時間を売る仕事では、原価の計算が難しく感じられます。
その場合は、自分の時間を原価として数えます。
1か月に働ける時間の中で、実際にお客さんに提供できる時間の割合を出し、必要な手取りから逆算して下限を作ります。
準備や片付けの時間も、働いた時間に入れてください。
Q2 競合が少なくて、相場が分からないときは
相場が分からないときは、近い仕事の値段の幅を参考にします。
お客さんが、その仕事の代わりに選びそうな手段を考えます。
自分でやる、別の種類の店に頼む、あきらめる。
それぞれにかかる費用と手間を並べると、上限の見当がつきます。
Q3 ホームページに値段を載せたくないときは
値段の幅だけでも載せると、お客さんの不安が減ります。
「◯◯から◯◯までです。内容によって変わります」と書き、変わる条件を一行添えます。
幅が分かっていれば、お客さんは予算の見当をつけてから問い合わせられます。
Q4 値上げして、お客さんが減るのが怖いです
怖さは自然なものです。
値上げの前に、理由と時期をお知らせし、これまでの値段で受けられる期間を設けます。
お客さんが減るかどうかは、事前に分かりません。
3か月の見直しの期間を決めておくと、数字を見て次を判断できます。
Q5 同業の友人と値段を相談してもよいですか
値段や値上げの時期を、同業者同士で申し合わせるのは避けてください。
公正取引委員会は、事業者間で価格や値上げの時期などを申し合わせる行為は、価格カルテルとして独占禁止法上の問題になると述べています。
仕入れ先の情報や、お客さんへの接し方の工夫は、話題にして構いません。
迷ったときは、公正取引委員会の事前相談の窓口に聞くのが確かです。
まとめ
値段は、原価で下限を決め、競合で位置を見て、価値で上限を考え、決めた理由をページに書くところまでが仕事です。
この記事で書いたことを、順番に整理します。
- 3つの決め方は、下限、位置、上限という別々の役割を持っている
- 原価の◯倍、価値の◯割のような割合で書くと、自分の数字を当てはめやすい
- 値段は来るお客さんを選ぶので、来てほしい人を先に書き出して位置を決める
- 決めた値段の隣に、中身、お客さんの得、合う人の3段で理由を書く
- 競合の値段は、公開されている情報を見て、決めるのは自分の判断で行う
- 割引や「通常価格」を載せるときは、実際に売っていた価格かどうかを確かめる
冒頭の質問で、教室の経営者が迷っていたのは、料金の数字そのものではありませんでした。
数字の理由を、自分でも言葉にできていなかったことです。
理由が決まれば、安い、高いと言われても、揺れずに答えられます。
値段を決める日は、理由を書く日でもあります。
今日できる点検
次の表の上から順に、できるところまで進めてください。
| 点検すること | やること | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 原価の洗い出し | 材料、梱包、手数料、自分の時間を書き出す | 20分 |
| 下限の確認 | 売る値段が原価の何倍かを計算する | 10分 |
| 競合の確認 | 検索で出る5件の料金とセットの中身を書き出す | 30分 |
| 上限の見当 | お客さんが得るものを並べ、◯割の目安を置く | 15分 |
| 来てほしい人 | どんな困りごとの人かを2行で書く | 10分 |
| 理由の下書き | 3段の理由を、値段の隣に置く文として書く | 20分 |
| 表示の確認 | 割引や通常価格の表示が、実際と合っているか見る | 10分 |
全部を今日終える必要はありません。
下限の計算だけでも、先にやっておくと、値段の迷いは半分ほど軽くなります。
書いた1行が、料金のページの最初の一文になります。
出典は、独立行政法人中小企業基盤整備機構J-Net21の価格設定の解説、公正取引委員会のカルテルに関する注意喚起のページ、消費者庁の二重価格表示のページ、経済産業省北海道経済産業局が掲載した中小企業庁の価格交渉促進月間フォローアップ調査(2026年3月)の結果です。
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
生成AIに引用されるページを、お話しいただくだけでお作りします。お時間をいただくのは初回15分のヒアリングだけです。まず1ページ、無料でお作りします。
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