「自社サービスと他社の違いをよく聞かれるので、比較ページを作りたいが、他社のことをどこまで書いてよいのか分からない」という相談を、中小企業のWeb担当者の方からよくいただきます。
「料金プランの比較表を作ったものの、画像で貼っているだけ」という相談も、同じくらい多くあります。
比較ページは、お客様が選ぶ直前に読むページです。書き方を誤ると、読者の信頼を失います。
他社と比べる内容は、景品表示法の比較広告の考え方にも関わります。
この記事では、比較ページを作る手順を、次の順に説明します。
- 比較ページの型と、Googleの公式ガイドが求めていること
- 比較軸の決め方と、他社の情報の集め方
- 公平に書くルールと、景品表示法の比較広告ガイドライン
- 表のHTMLの作り方と、表の前後に置く文章
- 架空の悪い例と良い例、更新の回し方
内容は、2026年10月18日に、次の公式の文書を開いて確かめました。消費者庁の比較広告ガイドラインと「不当な価格表示」の考え方、Google検索セントラルの文書、Search Consoleのヘルプ、MDNの文書です。
法令の話は、一般的な情報の整理です。法的な助言ではありません。
個別のページが問題ないかどうかは、弁護士などの専門家にご相談ください。
悪い例と良い例に出てくる会社名、サービス名、数字は、説明のために作った架空のものです。
先に結論 比較ページは「迷う点」「確かめた事実」「公平な表」で決まる
確認できたことと、筆者の判断を分けて並べます。
| 論点 | 確認できたこと | 筆者の判断 |
|---|---|---|
| 他社と比べること | 消費者庁は、競争事業者の商品との比較そのものを禁止していない | 比較自体は避けなくてよい。やり方を整える |
| 適正な比較の要件 | 「客観的に実証されている」「正確かつ適正に引用する」「比較の方法が公正」の3つをすべて満たす必要がある | 書く前に、この3つで案を点検する |
| 他社の数値 | 比較対象の事業者が公表し、客観的に信頼できる数値は、実証されたものとして扱える | 他社の情報は公式の公開情報から取り、確認日を書く |
| 調査結果の引用 | 調査機関、調査時点、調査場所などを示すことが適当とされている | 自社調べの数字には、測り方と時期を添える |
| Googleの考え方 | 既存の内容をまとめ直しただけのものより、独自の視点を持つ内容を勧めている | 「向く人」「向かない人」を、自社の経験から書く |
| AI機能に出る前提 | ページがインデックスされ、スニペット付きで表示でき、Search Consoleの設定で生成AI機能に含める選択になっている必要がある | 設定が「含める」になっているかを、先に見る |
| 表の作り方 | caption は table の最初の子要素に置く。th には scope を明示するとよい | 表は画像にせず、HTMLで作る |
作業の流れ
全体の流れを、図で見てから進めます。
図の順に進めると、書いた後の見直しまで1本につながります。
比較ページが有利になるとは言えない
Googleの生成AI機能向けのガイドを読んだ範囲では、比較ページだから有利になる、という説明は見つかりませんでした。
比較ページを作る理由は、AIに拾われるためよりも先に、選ぶ人の迷いに答えるためです。
その結果として、読者にも検索の仕組みにも伝わりやすい形になる、というのが筆者の考えです。
隣り合う話題は別の記事で扱う
料金そのものを正しく伝える方法は、料金ページの記事にまとめています。
この記事は、複数の選択肢を並べて比べるページの作り方に絞ります。
比較ページは3つの型に分かれる
最初に、何を比べるページなのかを決めます。型によって、気をつける点が変わります。
| 型 | 例 | 読者の疑問 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 自社と他社の比較 | 自社の会計ソフトと他社の製品 | どれを選べばよいか | 他社情報の正確さと、景品表示法の比較広告の考え方 |
| プランの比較 | ライト、標準、上位の3プラン | どのプランで足りるか | 条件、上限、単位の書き漏らし |
| 方式の比較 | クラウド型と自社設置型、外注と内製 | どの方式が自社に合うか | 自社の方式に有利な書き方への偏り |
比べる相手は「競合」だけではない
読者が実際に迷っている相手を、表に入れます。
競合他社のほかに、「何もしない」「表計算ソフトで管理する」「人を1人増やす」が、本当の比較相手になっていることがあります。
問い合わせの記録を見ると、こうした相手との比較が意外に多く見つかります。
景品表示法の比較広告ガイドラインが指す範囲
消費者庁のガイドラインは、比較広告を、次のように定義しています。
自社の商品やサービスについて、競争関係にある特定の商品等を比較対象として示し、内容や取引条件を客観的に測定または評価して比べる広告です。暗示的に示す場合も含みます。
この定義に当たらない形の比較は、個々の事例ごとに、ガイドラインの趣旨を参考にして適否を判断する、とされています。
つまり、特定の他社を名指しする型は、ガイドラインの中心にあります。方式の比較やプランの比較でも、読者に誤解を与えない書き方は、同じように求められます。
Googleの公式ガイドが求めているのは独自の視点
Googleは、生成AI機能向けのガイドを公開しています。2026年10月18日に確認した版の最終更新は、2026年7月10日でした。
このガイドは、AEOやGEOと呼ばれる取り組みを、Google検索の側から見れば、検索体験に向けた最適化であり、引き続きSEOだと説明しています。
「ありふれた内容」より「独自の視点」
ガイドは、長い目で見て生成AI機能での表示に最も影響しそうなのは、人にとって独自で、説得力があり、役に立つ内容だとしています。
その特徴の1つが、独自の視点を持つことです。
ガイドは、自分の経験にもとづく体験レビューは独自の視点を示し、既存の内容の要約は、すでにある情報を言い直したものにとどまる、と対比しています。
誰でも書ける常識を並べた内容は、読者に新しい洞察をほとんど与えません。比較ページで言えば、他社のサイトの文言を寄せ集めた表が、これに当たります。
派生する検索語ごとにページを量産しない
ガイドは、人が検索しうる言い回しごとに、別々のコンテンツを作りたくなるかもしれないと述べています。
そのうえで、順位やAIの回答を操作する目的で、あらゆる言い回しに合わせたページを作ることは、スパムポリシーの「大量生成されたコンテンツの不正使用」に当たる、としています。
比較ページに置き換えると、「AとB」「AとC」「AとD」を、社名だけ入れ替えた同じ文章で量産する作り方が、これに近い形です。
比較・レビューの書き方ガイドが挙げている点
Googleには、レビューを書く人向けの別のガイドもあります。2026年10月18日に確認した版の最終更新は、2025年12月10日でした。
比較ページに当てはめやすい項目を、表にまとめます。
| ガイドが挙げていること | 比較ページでの当てはめ |
|---|---|
| 利用者の視点で評価する | 自社の売りたい点でなく、選ぶ人が迷う点を比較軸にする |
| 性能について、数値で測った結果を示す | 自社で測った数字には、測った条件を添える |
| 競合と何が違うのかを説明する | 違いを「向く人」「向かない人」の形で書く |
| 用途や状況ごとに、どれが向くかを説明する | 表の後に「こんな人にはA」の型でまとめる |
| 最良と薦めるなら、その理由を自分の経験で裏づける | 「おすすめ」には、決め手になった行を示す |
| 長さより、質と独自性に目を向ける | 行数を増やすより、確かめた事実を増やす |
なお、このガイドは、レビューを書く人に向けた文書です。比較ページに当てはめる読み方は、筆者の解釈です。
比較ページを作る前に、AI機能に出る前提を確かめる
比較表を丁寧に作っても、前提が満たされていなければ、GoogleのAI機能には出ません。先に、次の2点を確かめます。
ページの前提:インデックスとスニペット
Googleの生成AI機能向けのガイドによると、AI機能に表示されるには条件があります。ページがインデックスされ、スニペット付きで検索に表示できる状態で、検索の技術要件を満たしている必要があります。
加えて、ガイドは、サイトがSearch Consoleの「検索の生成AI機能」に含まれていることを、表示の条件としています。
サイトの前提:Search Consoleの生成AI設定
Search Consoleのヘルプによると、この設定は「設定」の中の「検索の生成 AI」から確認できます。ヘルプでの名前は「検索の生成 AI 設定」です。
対象は、AIによる概要、AI モード、Google Discoverの生成AI機能です。
選べる値は、含める、除外する、親プロパティから継承する、の3つです。ヘルプは、含めるを、すべてのプロパティの既定の設定と説明しています。
除外にすると、これらの機能の中でリンクが表示されず、そこからの表示回数もトラフィックも得られません。
この設定は、検索のほかの部分の順位づけや掲載の判断には使われず、AIの学習にも影響しないと、ヘルプに書かれています。
古い日本語の解説には、AI機能に表示されるための追加の要件は無い、という趣旨の記述が残っています。現行のガイドは、この設定を条件に挙げています。
過去に除外へ切り替えた覚えがある場合は、比較ページを公開する前に、設定を開いて確かめてください。
特別なファイルやマークアップは不要
同じガイドには、Google検索のために作らなくてよいものも書かれています。
- llms.txtのような、機械が読むための新しいファイル
- 生成AI検索のためだけの文章の書き換え
- ページを細かく刻むこと
- 特別なschema.orgのマークアップ
構造化データは必須ではないものの、検索全体の戦略の一部として使い続けるのはよい、と書かれています。
比較ページの目的は、選ぶ人に分かりやすく伝えることです。特別なファイルを足す前に、表と文章の中身を整えます。
ステップ1 比較軸を、読者が迷う点から決める
比較軸は、表の行にあたる「何を比べるか」です。社内の会議で決めると、自社の強みばかりが並びがちです。
次の記録から、読者が実際に迷っている点を集めます。
- 問い合わせや商談で「他社と比べて」と聞かれた内容
- 失注したときに、お客様が挙げた理由
- 導入後に「思っていたのと違った」と言われた点
- 契約前に知りたかった、とよく言われる質問
集めた疑問は、「料金」「機能」「導入の手間」「サポート」「契約条件」のような大きな分類にまとめます。その下に、具体的な軸を置きます。
比較軸を選ぶときの点検
- 読者が選ぶとき、実際に気にする点か
- 自社が不利な軸も含めているか
- 数字や事実で示せるか
- 他社についても、公開情報で確かめられる軸か
- 主な表が、多すぎる行数になっていないか
行数は、筆者の目安として10行前後に収め、細かい項目は別の表に分けます。決まりがあるわけではありません。
主観的な軸は、確かめられる事実に置き換える
「使いやすさ」「サポートの丁寧さ」は、読者が知りたい点です。ただ、そのままでは根拠を示せません。
次のように、確かめられる事実に置き換えます。
| 主観的な軸 | 置き換えた軸 |
|---|---|
| 使いやすい | 初期設定にかかった時間(自社で測った条件つき) |
| サポートが丁寧 | 問い合わせ窓口の受付時間と、連絡手段の種類 |
| 機能が豊富 | 承認フロー、シフト作成など、機能の有無 |
| 導入が簡単 | 契約から利用開始までの目安の日数と、必要な作業 |
自社に都合のよい軸だけにしない
自社の強みだけを並べた表は、読者が見れば分かります。後で説明するとおり、景品表示法の面でも、都合のよい一部の項目だけを取り上げる比較には注意が必要です。
自社が劣る軸は、隠さずに書きます。たとえば「この点はB社のほうが充実しており、重視する方にはB社が向いています」と書きます。
不利な点を正直に書くと、ページ全体の信頼が上がります。合わない方からの問い合わせも減ります。
ステップ2 他社の情報は、公式の公開情報から集めて記録する
他社の料金や機能は、記憶や営業資料には頼らず、他社が自分で公開している情報で確かめます。公式サイトの料金ページ、機能の一覧、ヘルプ、利用規約が、その中心です。
消費者庁のガイドラインは、公的機関が公表している数値や事実を、実証されたものとして扱えるとしています。
比較の対象となる事業者がパンフレットなどで公表し、客観的に信頼できると認められる数値や事実も、同じ扱いです。
比較ページに載せる他社情報の根拠は、この「相手が自分で公表したもの」を基本にすると、迷いません。
記録表を作る
調べた内容は、次の列を持つ記録表に残します。比較ページを更新するときの出発点になります。
| 列 | 書くこと |
|---|---|
| 比較軸 | 表の行の名前 |
| 対象 | 自社、A社、B社など |
| 内容 | 公式に書かれていたとおりの内容 |
| 出典のURL | 確認したページのアドレス |
| 確認日 | 確認した年月日 |
| 前提条件 | 税込か税抜か、最低契約期間、対象のプランなど |
| 確認した人 | 後から経緯を追える名前 |
表のセルに「×」と書く前に、本当に機能が無いのか、別料金や上位プランなら使えるのかを、公式の説明で確かめます。
機能が無いと断言できないときは、「公式の説明では確認できませんでした」と書きます。
画面や書類のコピーは、権利と正確さに注意する
他社の画面や資料をそのまま画像で載せると、著作権の面で問題になることがあります。ガイドラインも、景品表示法上は問題のない比較広告であっても、著作権法などによって禁止される場合があると注意しています。
出典は、文章で説明し、公式のページへの案内にとどめるほうが安全です。
ステップ3 公平に書くための決まりを、先に決めておく
比較ページを複数の人で作ると、書き方がぶれます。次の決まりを、先に共有しておきます。
表の近くに、日付と出典と前提を書く
次の3つを、表の題名か、表のすぐ下に書きます。
- 確認した日付(例:2026年10月1日時点)
- 確認した情報源(例:各社の公式サイトの料金ページ)
- 税込か税抜か、最低契約期間などの前提
料金や機能は、頻繁に変わります。日付の無い比較表は、いつの情報なのかが分かりません。
読者にとってもAIにとっても、古い情報と区別できなくなります。
自社調べの数字には、測り方を添える
「設定が30分で終わる」といった自社調べの数字を載せるときは、誰が、いつ、どんな条件で測ったのかを書きます。
Googleの「役立つコンテンツ」のガイド(最終更新は2026年10月5日)は、レビューについて、試した数と試し方を示すよう説明しています。
言葉の使い方の決まり
- 他社を名指しで批判する表現は使わない
- 「業界最安」「No.1」は、根拠になる調査の内容、時点、範囲を示せなければ使わない
- 「×」を使うときは、別料金で使える場合を注記する
- 自社が提供元であることを、ページの冒頭に書く
自社が提供元であることを書くのは、中立の第三者が作ったように見せないためです。
景品表示法の比較広告ガイドラインが示す、対象の範囲と3つの要件
比較ページは、他社と自社を並べるため、広告の表示として見られる場面があります。ここでは、消費者庁が公表している比較広告のガイドラインの内容を、実務に必要な範囲でまとめます。
このガイドラインは、昭和62年に当時の公正取引委員会事務局が公表し、平成28年に消費者庁が改正したものです。
この記事は、一般的な解説であり、法律相談ではありません。個別の判断は、弁護士や所管の窓口にご相談ください。
ガイドラインが対象にする比較
ガイドラインが扱う比較広告は、特定の競争事業者の商品を示して、その商品との比較を、客観的に測定または評価して行う広告です。社名や商品名を出さなくても、見た人が特定の相手だと分かる場合は含まれます。
この定義に当てはまらない形の比較でも、ガイドラインの考え方を参考に、個別に判断されます。「名前を出していないから関係ない」と考えるのは危険です。
適法とされるための3つの要件
ガイドラインは、比較広告が不当表示にならないための要件を3つ挙げています。3つ全てを満たす必要があります。
| 要件 | 内容 | 比較ページでの確認 |
|---|---|---|
| 客観的に実証されていること | 主張する範囲について、客観的な根拠がある | 自社の主張の根拠を、いつでも出せるか |
| 実証された数値や事実を正確かつ適正に引用すること | 条件を変えたり、都合のよい部分だけを取り出したりしない | 引用元の条件を、表にそのまま書いているか |
| 比較の方法が公正であること | 同じ条件のものを同じ基準で比べている | 比べる対象の範囲と条件がそろっているか |
客観的な実証について
実証が必要な範囲は、主張している範囲と同じです。「全ての機能で上回る」と書けば、全ての機能について根拠が必要になります。
公的機関が公表している数値や事実は、実証されたものとして扱えます。比較される側の事業者が、パンフレットなどで公表した数値や事実で、客観的に信頼できるものも同じです。
調査は、第三者の調査機関に頼むのが望ましいとされています。ただし、第三者の調査でなくても、調査の方法が適切であれば認められます。
正確かつ適正な引用について
調べた条件の範囲を超えて主張しないことが、基本です。項目を恣意的に選んで平均を取るような使い方も、問題になります。
調査の主体、時期、場所を示すことは、適当な引用の例として挙げられています。一方で、実際は自社調べや古い調査なのに、「近時における権威ある調査」と書くことは、問題になるおそれがあります。
比較方法の公正さについて
ガイドラインは、公正でない比較の例を挙げています。次の節で詳しく見ます。
問題になりうる比較の例を、ページの書き方に置き換える
ガイドラインや消費者庁の解説には、問題になりうる比較の具体例があります。比較ページを作る側の言葉に置き換えると、次のようになります。
ガイドラインが挙げる、公正でない比較の例
| ガイドラインの例 | 比較ページでの言い換え |
|---|---|
| 全体の機能にほとんど影響しない項目を取り上げ、商品全体が優れているかのように示す | 小さな機能の差を「画期的」と強調し、全体が上だと見せる |
| 同等ではないものを、同等であるかのように比べる | 他社の標準プランと、自社の上位プランを並べる |
| すでに販売をやめた商品と、現行の商品を比べる | 他社の古い料金表と、自社の最新の料金を並べる |
| 優位性の裏にある欠点を示さない | 安さの裏にある、サポートの範囲の狭さを書かない |
最後の例について、ガイドラインは、高圧線の下にある安い土地を、その事実を示さずに「安い」とだけ広告する場合を例に挙げています。安さと、切り離せない欠点があるときは、その欠点も示す必要があります。
消費者庁の解説にある例
消費者庁の比較広告のページには、次のような例が紹介されています。
- 比較する価格から、不利になる割引を除いて比べる
- 周辺の店を調べずに、「この辺で一番安い店」と書く
- 他の教室と異なる方法で数字を出して、「No.1」と書く
どれも、比較ページの表で起こりやすい間違いです。割引や特典を除いて価格を並べる、調べていない範囲まで「一番」と言い切る、といった書き方は避けます。
価格の比較には、別のガイドもある
消費者庁は、価格の表示について「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」も公表しています。この中の、他の事業者の価格を比較対照価格に用いる場合の説明では、次の点が示されています。
- 比較に使う他社の価格は、最近の価格を正確に調べる
- 特定の他社と比較するときは、その事業者名を明示する
比較ページで価格を並べるときは、確認日と出典を表に書く、という習慣がそのまま対応になります。
事実でも、書き方次第で問題になる
ガイドラインは、誹謗や中傷にあたる表示にも注意を求めています。事実と異なる内容を書くことは、問題になるおそれがあります。
また、事実であっても、相手を不当におとしめたり攻撃したりして、著しく劣っているという印象を与える書き方も、問題になるおそれがあります。比較ページでは、事実を落ち着いた言葉で書くことを守ります。
自社のページに当てはめるチェックの表
ここまでの内容を、公開前のチェックに使える形にまとめます。この表は、筆者が実務向けに作った点検表であり、ガイドラインそのものではありません。
| 点検項目 | 確認する内容 | 直し方 |
|---|---|---|
| 主張の範囲 | 「全て」「どこよりも」と書いた範囲に、根拠があるか | 根拠のある範囲に、言い方を絞る |
| 根拠の出し方 | 調べた人、時期、条件を書いたか | 表の下に、測り方の説明を足す |
| 他社情報の出典 | 他社が公開している情報か | 出典のURLと確認日を残す |
| 比べる対象 | 同じ種類、同じ水準のプランか | 条件がそろわないときは、その旨を書く |
| 古い情報 | 販売をやめた商品や、古い料金を使っていないか | 確認日を更新する |
| 不利な点 | 自社の優位性の裏にある欠点を書いたか | 欠点も同じ表に並べる |
| 表現 | 他社を攻撃する言い方になっていないか | 事実だけを淡々と書く |
| 画像や文章の転載 | 他社の資料をそのまま載せていないか | 文章で説明し、出典の案内にとどめる |
迷ったときの窓口
判断に迷うときは、弁護士などの専門家にご相談ください。比較ページは、公開後に修正できますが、不正確な表示が一度広まると、取り消しにくくなります。
公開する前に、この点検表を使って、複数の目で確認する習慣をつけておくと安心です。
比較表の作り方|人にも機械にも読みやすいHTMLの表にする
比較の中心は表なので、文字のHTMLの表として作ります。画像の表だと、文字として読み取れず、スマートフォンでも見づらくなります。
次の点を守ると、読みやすくなります。
- 表の題名を、caption要素で付ける
- 列の見出しと行の見出しを、th要素で示す
- 単位や前提を、セルの中に書く
- 「○」「×」だけのセルにせず、一言の説明を添える
- スマートフォンでは横にスクロールできるようにする
構造の書き方
Web技術の解説サイトであるMDNによると、caption要素は表の最初の子要素に置き、表に名前を与えます。th要素のscope属性は、単純な表では不要な場合もありますが、支援技術によっては行や列の関係を誤って推測するため、指定が役に立つことがあると説明されています。
構造の例を、次に示します。
<table>
<caption>勤怠管理ツールの比較(2026年10月1日時点、各社の公式サイトで確認)</caption>
<thead>
<tr><th scope="col">比較軸</th><th scope="col">自社</th><th scope="col">A社</th></tr>
</thead>
<tbody>
<tr><th scope="row">打刻の方法</th><th>ICカード、スマートフォン</th><td>スマートフォン</td></tr>
<tr><th scope="row">無料の試用期間</th><td>あり(14日間)</td><td>公式の説明では確認できませんでした</td></tr>
</tbody>
</table>
例の中の数値や会社名は架空です。見出しのセルと、内容のセルを区別して書くと、読み上げソフトを使う方や、表を機械的に読み取る仕組みに、意味が伝わりやすくなります。
記号だけのセルを避ける
「○」と「×」だけの表は、一見分かりやすく見えます。しかし、「○」の中身は、標準機能なのか、追加の費用が必要なのかで、読者の判断が変わります。
セルには、「あり(標準)」「あり(上位プランのみ)」「公式の説明では確認できませんでした」のように、短い説明を書きます。
列の数を増やしすぎない
列が多いと、スマートフォンで読みにくくなります。比べる相手は、自社を含めて3社から4社までにするのが、筆者の目安です。
多くの会社を比べたいときは、用途別に表を分けます。
表の前後には、結論と使い分けの文章を置く
表だけを置くと、読者は結論を自分で探すことになります。表の前に結論を、表の後に使い分けの案内を置きます。
表の前に置く文章
表の直前に、その表で何が分かるのかを一文で書きます。
例:「次の表は、打刻の方法と試用期間を、2026年10月1日時点の公式情報で整理したものです。」
この一文があると、読者は表の目的を理解してから読み始められます。表の中身を要約した文章は、読み上げソフトを使う方や、文章として内容を取り込む仕組みにも役立ちます。
表の後に置く文章
表の後には、「こんな方には〇〇が向いています」という形で、使い分けを書きます。
- 打刻の方法を重視する方には、A社が向いています
- 導入までの手間を減らしたい方には、自社が向いています
- 他の条件で迷う方には、問い合わせ窓口で相談できます
自社が劣る点にも、他社が向いている場面として触れます。選ぶ基準をはっきり示すことが、読者の役に立ちます。
Googleのレビューのガイドと重ねて考える
Googleのレビューの書き方のガイド(最終更新は2025年12月10日)は、競合との違い、特定の用途に最も合う選択肢、利点と欠点、判断の決め手を示すことを勧めています。
比較ページの「表の後の使い分け」は、このガイドが求める内容と、ほぼ重なります。
架空の悪い例と、良い例を並べて確認する
ここでは、架空の勤怠管理ツールを例に、書き方の違いを確認します。実在の会社や商品とは関係がありません。
| 点検の観点 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 主張 | 「どこよりも使いやすい」 | 「初期設定にかかった時間は、当社の測定で平均で約20分でした」 |
| 他社の扱い | 「A社は機能が少なく、おすすめできない」 | 「A社の公式の説明では、承認フローは上位プランで利用できます」 |
| 表の記号 | ○と×だけ | 「あり(標準)」「あり(上位プランのみ)」 |
| 日付 | 記載なし | 「2026年10月1日時点の公式情報」 |
| 不利な点 | 書かない | 「連携できる外部サービスは、A社のほうが多いです」 |
| 提供元 | 書かない | 「この表は、勤怠管理ツールを提供する当社が作成しました」 |
悪い例の何が問題か
- 「どこよりも」は、全ての相手について根拠を出す必要がある
- 他社を「おすすめできない」と書くと、攻撃的な印象を与える
- 日付が無い表は、情報の古さが分からない
- 不利な点を書かないと、読者が選ぶ材料を欠く
良い例が信頼される理由
良い例は、主張の範囲を測定の条件に絞っています。他社には、公式の説明という出典を添えています。
自社が不利な点も書いてあるため、他の点の説明も信じてもらえます。
比較ページを更新する手順と頻度
比較ページは、公開して終わりにはなりません。他社の料金や機能は、変わります。
更新の仕組みを先に決める
次の3つを、先に決めておきます。これは法律の決まりとは別の、この記事の筆者が勧める運用の案です。
- 見直す頻度(例:3か月に1回、決まった日に)
- 見直す人(担当者と、確認する人の2名)
- 変更を記録する場所(確認日、変更点、出典のURL)
見直しの流れ
- 記録表の出典のURLを開き、内容が変わっていないか確認する
- 変わっていれば、記録表と、ページの表を直す
- 表の確認日を、新しい日付にする
- 変更の内容を、更新履歴に残す
確認日だけを新しくして、中身を確認していない、という状態は避けます。日付は、確認した事実を表すものです。
確認できなくなった情報の扱い
他社の公式ページが無くなり、確認できない情報は、表から外すか、「確認できませんでした」と書きます。古い情報を残したままにするのは避けます。
公開前チェックリスト
公開の前に、次の項目を一つずつ確認します。
- 提供元が自社であることを、冒頭に書いたか
- 比較軸に、自社が不利な軸を含めたか
- 他社の情報は、公式の公開情報から取ったか
- 表に、確認日と出典と前提を書いたか
- 「最安」「No.1」などの言葉に、根拠と範囲を示したか
- 自社調べの数字に、測り方を添えたか
- 同じ水準のプラン同士を比べているか
- 他社を攻撃する言い方になっていないか
- 他社の画像や資料を、そのまま転載していないか
- 表はHTMLの表で、caption要素と見出しのセルがあるか
- 表の前後に、結論と使い分けの文章があるか
- ページが、検索結果に出せる状態か(インデックスの対象か)
- 見直しの担当者と頻度を決めたか
よくある質問
Q. 比較ページを作れば、AI検索に引用されやすくなりますか。
引用されやすくなる、とは言えません。Googleの公式ガイドは、比較ページを優遇するとは書いていません。
そのため、この記事では、読者の役に立つかどうかを基準に作り方をまとめています。
Q. 他社の名前を出さず、「他社」とぼかせば安全ですか。
安全とは言えません。ガイドラインは、社名を示さなくても、見た人が特定の相手だと分かる場合を含めています。
名前を出すかどうかにかかわらず、根拠と公正さを守ることが前提です。
Q. 他社の料金は、いつ確認した情報を載せればよいですか。
公開の直前に確認した情報を載せます。消費者庁の価格表示の考え方でも、比較に使う他社の価格は、最近のものを正確に調べるよう求めています。
確認した日付は、表に必ず書きます。
Q. 自社が劣る点も、本当に書く必要がありますか。
書いたほうがよいと考えます。ガイドラインは、優位性の裏にある欠点を示さない比較を、公正でない例として挙げています。
読者の側から見ても、不利な点が書かれたページは、信頼しやすくなります。
Q. llms.txtや構造化データを入れる必要はありますか。
Googleのガイドは、AI機能に表示されるために、llms.txtや特別な構造化データは必要ないと説明しています。必要なのは、ページが検索の対象になっていることと、Search Consoleの生成AIの設定で「含める」になっていることです。
詳しくは、本記事の前半で説明しました。
まとめ|比較ページは、公平さと日付で信頼を作る
比較ページは、読者が選ぶ手助けをするページです。AIに引用されるための近道ではありません。
作るときは、次の流れを守ります。
- 読者が迷う点から、比較軸を決める
- 他社の情報を、公式の公開情報から集めて記録する
- 公平に書く決まりを、先に共有する
- 景品表示法の比較広告ガイドラインの3要件を、表の作りで守る
- 表をHTMLで作り、前後に結論と使い分けを書く
- 日付を入れ、決まった頻度で見直す
最初から完璧を目指す必要はありません。まず、迷う点が多い上位3つの軸で、小さな表を作ることから始めてください。
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