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  3. ヒアリングシートとは 項目のテンプレートと聞き方 答えを自社サイトの文章に生かす流れ

ヒアリングシートとは 項目のテンプレートと聞き方 答えを自社サイトの文章に生かす流れ

2026 10/29
2026年10月29日
中野輝規
ヒアリングシートとは 項目のテンプレートと聞き方 答えを自社サイトの文章に生かす流れ

ヒアリングシートのテンプレートを探すと、項目がずらりと並んだ表はいくらでも見つかります。ところが、埋めた答えを何に使うのかまで書いてあるものは、ほとんどありません。

この記事は、中小企業の経営者、営業担当、制作担当に向けて書きました。ヒアリングシートの意味、使う場面、そのまま写せる質問文の表、聞き方のコツと失敗例を順に押さえます。

最後は、集めた答えを自社のホームページの文章に変える流れまで進みます。聞いて終わりにせず、お客様の言葉でページを書くところまでが、この記事の範囲です。

目次

先に答え:ヒアリングシートは、相手に聞くことを前もって並べた質問票で、答えは自社の文章の材料になる

ヒアリングシートとは、商談や依頼を受ける前に、相手から聞きたいことを一覧にしておく質問票のことです。打ち合わせの場で見ながら書き込み、聞き漏れを防ぎます。

使う人は、営業担当、ホームページの制作担当、コンサルタント、店舗の接客担当と幅広く、書式は紙でも表計算でもかまいません。

大事なのは項目の数よりも、聞いた答えをその後どこへ持っていくかです。

知りたいこと 答え 本文のどこで詳しく扱うか
ヒアリングシートとは何か 聞きたいことを前もって並べた質問票 この節
どんな場面で使うのか 商談、依頼を受ける前、既存のお客様への聞き取り 使う場面の節
何を聞けばいいのか 目的、困りごと、期限、決める人など 項目のテンプレートの節
聞いた答えをどうするのか お客様の言葉のまま自社サイトの文章にする 文章に生かす流れの節

ヒアリングシートを一文で言うと

聞く前に質問を決めておき、聞いた答えを同じ形で残すための紙です。

同じ形で残すので、担当者が替わっても、半年後に見返しても、同じ情報が同じ場所に書かれています。

議事録やアンケートとの違い

議事録は話した内容を後から記録するもので、質問は事前に決まっていません。アンケートは多数の人に同じ質問をして、数を集計するためのものです。

ヒアリングシートは、特定の1人から深く聞くために使います。1件ずつの答えをそのまま読むことに価値があります。

書式 目的 聞く相手 使い方
ヒアリングシート 1人の状況を深く聞く 特定の相手 会話しながら書き込む
議事録 話した内容を残す 会議の参加者 終わったあとにまとめる
アンケート 全体の傾向をつかむ 多数の人 集計して数を見る

「ヒアリングシート 英語」で調べた人へ

英語で表したくて検索する方も多いようです。英語のhearingは、耳に音が聞こえてくる意味が中心で、聞き取りの質問票の名前としてはあまり使われません。

英語圏では、顧客から事前に聞く質問票を、discovery questionnaireやclient intake formのように呼ぶことがあります。海外の取引先に送る場合は、そのどちらかを題名にすると通じやすくなります。

先日見かけたQ&Aサイトの悩み:「ヒアリングシートを使いたい。みなさんはどんな方法で使っていますか」

先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。

質問した方は、仕事の依頼を受ける場面でヒアリングシートを使いたいと考えていました。自分で作るのは初めてで、表計算ソフトで作ればいいのか、ほかの人はどうしているのかを知りたいと書いていました。

回答は短く、別の人に頼んで作ってもらう方法が挙がっていました。質問した方が本当に知りたかったであろう、何を聞けばいいのか、聞いた答えをどう使うのかには、触れられていませんでした。

悩みの中心は、書式の形よりも質問の文章にある

ヒアリングシートの形は、表計算でも文書でも、紙でも変わりません。作り方を調べると、ほとんどが形の話で終わります。

困るのは、質問の文章です。「ご予算は?」と聞いたら失礼にならないか、「困りごとは?」と聞いて、相手が何も思いつかなかったらどうするか。こうした迷いは、書式の選び方では解決しません。

経営者や営業担当の場合も、悩みの形は同じ

商談の場でも、同じことが起きます。名刺交換のあと、何を聞けばいいのか迷っているうちに時間が過ぎ、結局は自社の商品説明で終わってしまう。

制作の依頼を受ける側でも、聞き漏らしたまま作り始めて、完成間際に「そこは違う」と言われた経験は、多くの人にあるはずです。

ヒアリングシートを使う3つの場面

ヒアリングシートは、使う場面によって、聞く項目も、書式の重さも変わります。ここでは3つの場面に分けます。

場面 聞く相手 聞く目的 シートの重さ
商談 見込みのお客様 困りごとと、決める条件を知る 軽い。1枚で足りる
ホームページ制作の依頼前 依頼する側、または依頼を受けた側 目的と素材を集める 重い。数枚になる
既存のお客様への聞き取り 買ってくれたお客様 選んだ理由と、使った感想を知る 軽い。5問ほど

商談の場面

初めて会う相手に使うので、項目は絞ります。長い質問票を渡されると、相手は尋問を受けている気持ちになります。

聞きたいのは、いま何に困っているのか、いつまでに解決したいのか、誰が決めるのか、の3点が中心です。

ホームページ制作の依頼前の場面

依頼する側にとっても、受ける側にとっても、いちばん項目が増える場面です。サイトの目的、見せたい相手、載せる素材、期限、運用する人などを聞きます。

依頼する側が自社で記入しておくと、制作会社との打ち合わせが短くなり、見積もりの食い違いも減ります。

既存のお客様への聞き取りの場面

もっとも見落とされやすいのが、この場面です。買ってくれたお客様は、自社を選んだ理由をいちばん知っています。

その理由は、お客様自身の言葉で語られるので、自社のホームページにそのまま使える文章になります。この点は、後半の節でくわしく扱います。

多くのシートが役に立たない理由:項目が、聞く側の都合で並んでいる

世の中に出回っているテンプレートの多くは、作る会社が欲しい情報の順に並んでいます。予算、納期、決裁者といった項目が上にあり、相手が話したいことは下か、そもそも欄がありません。

これは書き手の悪意から起きるわけでなく、仕組みから起きます。シートは「社内の見積もりを出すための入力票」として設計されることが多く、相手の頭の中を知るための道具として作られていません。

見積もりに必要な項目だけが埋まる

予算、納期、台数、ページ数。こうした数字は、聞けば答えてもらえるので、シートはきれいに埋まります。

けれども、相手がなぜその依頼を出そうと思ったのか、その背景が書かれた欄はありません。背景を知らないまま見積もりを出すと、条件は合っていても、決めてもらえない提案になります。

「困りごと」の欄が、いちばん埋まらない

どのテンプレートにも「課題」や「お困りごと」の欄はあります。ところが、ここは空白か、「集客を増やしたい」のような一言で終わりやすい欄です。

相手は自分の困りごとを、言葉にしたことがないからです。聞かれて初めて、頭の中でぼんやりしていたものを探します。短い欄に書けと言われても、書けません。

答えが「次の作業」につながっていない

もう一つの欠陥は、聞いた答えの行き先が決まっていないことです。

シートを埋めて、フォルダにしまって、それきり。次に開くのは、トラブルが起きて「あのとき何と言っていたか」を探すときだけ、という会社は少なくありません。

よくある状態 起きていること 本当は必要なこと
項目が見積もり用に並ぶ 数字は埋まる 依頼の背景を聞く欄
困りごとの欄が短い 一言で終わる 話してもらう余白
答えを保管するだけ 後で使われない 使う先を先に決める
相手が書き込む形式のみ 負担が大きく途中で止まる 会話しながら聞き手が書く形式

聞き方のコツ:シートは「読む」より「聞いた順に置く」ために使う

同じシートを使っても、聞き出せる量は人によって大きく違います。差が出るのは、項目の良し悪しよりも聞き方です。

ここでは、現場でそのまま使えるコツを、順番に書きます。

聞く前に、相手のことを調べておく

初対面の相手に、ホームページに書いてあることを質問するのは、時間の無駄になります。事前に相手の会社のページを開き、事業内容と扱う商品を押さえておきます。

調べたうえで「御社のページを拝見しました。この商品が主力と理解していますが、合っていますか」と聞くと、相手は話を始めやすくなります。

質問は、事実から意見へ、順に進める

最初は、答えやすい事実から入ります。いつから始めたのか、従業員は何人か、主な取引先はどんな業種か。

事実で場が温まってから、「どう感じているか」「なぜそうしたか」の質問に移ります。順番を逆にすると、相手は構えます。

順番 聞くこと 質問文の例
1 事実 いつ頃から、このお仕事を始められましたか
2 行動 いま、お客様はどのようにして御社を知りますか
3 気持ち その状況を、どのように感じておられますか
4 望み 半年後に、どうなっていたら良いと思いますか

「はい」「いいえ」で終わる質問を減らす

「ホームページに満足していますか」と聞くと、「まあまあです」で終わります。「ホームページを見て、お客様から言われたことはありますか」と聞くと、具体的な出来事が出てきます。

出来事の形で聞くと、相手は思い出しながら話します。思い出した話には、本人の言葉がそのまま入ります。

沈黙を、すぐに埋めない

質問したあとで相手が黙ったら、3秒ほど待ちます。考えている時間です。

沈黙に耐えられず、聞き手が選択肢を並べてしまうと、相手はその中から選ぶだけになり、自分の言葉が出てきません。

答えは、言い換えずに、そのまま書き取る

相手が「ちゃんとしたところに頼みたい」と言ったら、「信頼できる会社」と直さずに、そのまま書きます。

聞き手の言い換えが一度入ると、元の言葉は戻せません。後半で見るとおり、この言葉こそが、自社の文章の材料になります。

最後に「ほかに言い残したことは」と聞く

シートの項目をすべて聞き終えたあとで、「ほかに、気になっていることはありますか」と一言足します。

シートに載っていない話が、ここで出ることが多くあります。本当の困りごとは、最後の1問で語られることがあります。

聞く場面で使う道具は、紙1枚で足りる

このシートは、凝った形にしなくても働きます。A4の紙1枚に、質問と書き込みの余白があれば十分です。

画面で入力する形にする場合も、聞き手が会話しながら打ち込める軽さを保つほうが、使い続けられます。

相手に書かせるか、聞き手が書くか

相手に事前に書いてもらう形は、手間を省けますが、途中で止まる人が多く出ます。聞き手が会話の中で書く形は、時間がかかりますが、言葉の質が上がります。

商談や既存のお客様への聞き取りは、聞き手が書く形が向いています。制作の依頼前は、事前記入と対面の確認を組み合わせる形が現実的です。

オンラインや電話で聞くときの工夫

画面越しや電話では、表情が見えない分、相手の迷いに気づきにくくなります。質問のあとで返事が途切れたら、「いまの聞き方で伝わっていますか」と確かめます。

聞く時間は、30分から60分の枠に収めます。それ以上になると、後半の答えが短くなります。

方法 向いている場面 気をつけること
対面 初めての商談、制作の最初の打ち合わせ 書き込みに気を取られて、目を見ない時間が長くならないようにする
オンライン 遠方の相手、既存のお客様への聞き取り 画面共有でシートを見せると、答えの確認が速い
電話 短い確認、追加の質問 大事な答えは、通話のあとにメールで文面にして確認する

どの方法でも、聞き終えたその日のうちに、シートを清書して残します。時間が空くと、相手の言葉は記憶から消えます。

よくある失敗例:項目を増やし、書式を整えても、答えは良くならない

シートの出来に不満があると、多くの会社は項目を足すか、書式を整えます。ところが、聞き出せる内容はそれでは変わりません。

ここでは、現場でよく起きる5つの失敗を、起きる順に見ていきます。

失敗例1:項目を増やして、相手を疲れさせる

聞き漏れが怖くなり、項目が60にも80にもふくらむシートがあります。相手は10問目あたりで疲れ、後半は「特になし」が並びます。

項目を増やすほど、1問あたりの答えの質は下がります。初回に聞くのは、20問以内に絞り、残りは2回目以降に回します。

失敗例2:最初に予算を聞いて、場が冷える

予算は大事な情報ですが、初対面でいきなり聞かれると、相手は「高く言われるのではないか」と身構えます。

先に困りごとと、解決したい期限を聞きます。そのあとで「進めるうえで、決まっている上限はありますか」と聞くと、答えが出やすくなります。

失敗例3:フォームのURLを送って、返事を待つ

打ち合わせ前に入力用のフォームを送り、埋まってから会う方法は、手間が少ない反面、未入力のまま止まる人が出ます。

送るなら、必須項目は3つまでに絞ります。残りは、会ってから口頭で聞いて埋めます。

失敗例4:聞き手が自社の説明を始める

聞く場なのに、気がつくと商品の説明をしている。相手の話が出る前に、自社の強みを話し始めてしまう失敗です。

シートに「話す時間の割合」を書き込む欄を作る必要はありませんが、聞き手が話す時間は全体の3割以内と決めておくと、守りやすくなります。

失敗例5:答えを聞いたあと、誰も見ない

もっとも多い失敗です。聞き終えたシートが共有フォルダの奥に入り、提案書や見積もりは、記憶で作られます。

答えの行き先を、聞く前に決めておきます。商談なら提案書の冒頭、制作なら構成案、既存のお客様なら自社サイトの文章、と決めておくと、聞く内容も自然に変わります。

失敗 起きること 直し方
項目の増やしすぎ 後半が「特になし」になる 初回は20問以内に絞る
最初に予算を聞く 相手が構える 困りごと、期限、予算の順にする
フォームの丸投げ 未入力のまま止まる 必須は3つまで、残りは会って聞く
聞き手が話しすぎる 相手の言葉が出ない 聞き手の発言は3割以内
答えを使わない 同じ質問を繰り返す 行き先を聞く前に決める

5つの失敗に共通すること

どの失敗も、シートを「埋めること」が目的になっています。埋まった枠の数は、相手の理解度とは関係がありません。

目的を「相手の言葉を持ち帰ること」に置き直すと、項目の数も、聞く順番も、聞き手の話す量も、自然に決まってきます。

失敗したシートの見分け方

過去に使ったシートを、1枚取り出して読み返します。次の3つに当てはまるなら、直す価値があります。

見るところ 失敗のしるし 直す方向
空白の欄 後半に空白が集まっている 項目を減らす
答えの文体 聞き手の言葉に直されている 相手の言葉のまま書く
シートの行き先 その後の資料に反映されていない 使う先を決めてから聞く

客の言葉は、いまもネット上に書かれている:総務省の調査で確かめた数字

聞き取りで得られる客の言葉が、なぜ自社の文章の材料になるのか。その根拠として、人がネット上で自分の言葉を使う場面の多さを確かめました。

総務省は2026年5月29日に、令和7年通信利用動向調査の結果を公表しました。調査の結果には、次の一文があります。

「インターネットの利用目的・用途をみると、「SNS(無料通話機能を含む)の利用」の割合が82.3%と最も高い。」

調べ物や買い物の前後に、人は自分の言葉でネットに書き込み、読んでいます。客の言葉は、特別な場でしか聞けないものではありません。

この数字から言えること

インターネットの利用目的でいちばん高いのが、人とのやり取りに使うサービスだということです。人は、検索窓や投稿欄に、自分の悩みを自分の言葉で書いています。

自社のホームページが「当社は高品質を追求し」と書いても、客が使う言葉とは一致しません。客の言葉で書いたページは、客が検索する言葉と重なりやすくなります。

数字の読み方で注意すること

この調査は、世帯を対象にした全国調査で、SNSの利用が多いことを示しています。自社の客がSNSで何を書いているかは、この数字からは分かりません。

だからこそ、自社の客本人に聞く作業が必要になります。調査の数字は、聞き取りが無駄にならない背景の確認にとどめます。

聞き取りを自社の文章に変える流れ聞く5問のシート印をつける拾う同じ言葉割り当てる置く見出しと冒頭載せる許可本人に確認

聞き取りを文章に変える3つの手順

図の流れに沿って、次の節以降で進めます。聞く、言葉を拾う、ページに置く、の順です。

手順 やること できあがるもの
聞く 項目のテンプレートで聞き、答えを書き取る 客の言葉が残ったシート
拾う 繰り返し出る言葉に印をつける 客の言葉の一覧
置く ページの見出しと冒頭に使う 客の言葉で書かれたページ

解決の考え方:「売れるサイトはみな謙虚」の順番で、先に相手の言葉を集める

ここまでの失敗を避ける軸は、私が「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいる考え方です。

謙虚とは、会社が言いたいことを一度引いて、相手が話したいことを先に聞く順番を守ることです。控えめに振る舞うという意味はありません。

ヒアリングシートにこの順番を当てはめると、自社が知りたい項目より先に、相手が話したい項目を置くことになります。

並べ方を変える3つの決まり

決まりは3つです。1つ目は、質問を相手の状況から始めること。2つ目は、数字や条件の質問は後ろに回すこと。3つ目は、答えを相手の言葉のまま残すことです。

この3つを守るだけで、同じ項目数でも、聞き出せる内容は変わります。

聞く前に、答えの行き先を決める

シートを作る前に、「この答えを、どこで使うのか」を1行で書きます。提案書の冒頭か、構成案か、自社サイトのどのページか。

行き先が決まると、不要な質問が自然に消えます。使う先のない質問は、相手を疲れさせるだけです。

そのまま写せる項目のテンプレート:基本の項目と、用途別の質問文

ここからは、実際に使える質問文を表で示します。そのまま写して使い、自社の言い回しに少しずつ直してください。

質問文は、丁寧な口調で、相手が答えやすい形にしてあります。

どの場面でも使える基本の項目

商談でも制作でも、最初に聞く項目です。事実から入り、最後に望みを聞く順番になっています。

項目 質問文 聞く理由
事業の概要 現在のお仕事について、簡単に教えていただけますか 前提をそろえる
始めた時期 このお仕事は、いつ頃から始められましたか 事業の歴史を知る
主なお客様 普段、どのようなお客様が多いですか 客層をつかむ
知られ方 お客様は、どのようにして御社を知りますか 入口を知る
いまの悩み 最近、いちばん気になっていることは何ですか 困りごとを聞く
望む状態 半年後に、どうなっていたら良いと思いますか 目的を知る
決め方 今回の件は、どなたと相談して決めますか 決める人を知る

商談で使う質問文

商談は時間が短いので、5問から7問に絞ります。相手の状況、困りごと、期限、決め方の順に聞きます。

聞くこと 質問文 答えの使い道
きっかけ 今回、ご相談くださった理由を教えてください 提案書の冒頭
いまの方法 いまは、どのように対応されていますか 比べる相手を知る
困っている点 その方法で、困っていることはありますか 提案の中心
過去の経験 以前に、似たものを検討したことはありますか 断られた理由を知る
期限 いつ頃までに形にしたいと考えておられますか 日程の確認
条件 進めるうえで、決まっている条件はありますか 範囲の確認
決め方 最終的には、どなたが判断されますか 次の面談相手

ホームページ制作の依頼前に使う質問文

制作では、サイトの目的と素材を聞きます。依頼する側が自社で記入しておくと、打ち合わせが短くなります。

項目 質問文 空欄のままだと起きること
目的 ホームページで、どんなことを実現したいですか 方向が定まらない
見せたい相手 いちばん見てほしい方は、どんな方ですか 文章が誰にも届かない
見た人の行動 見た方に、最終的に何をしてほしいですか 申し込みの導線がない
強み 同業の中で、選ばれる理由は何だと思いますか 他社と似たページになる
載せる素材 載せられる写真、事例、お客様の声はありますか 素材集めで日程が遅れる
参考にしたい形 好みに近いホームページはありますか 見た目の食い違い
更新する人 公開後は、どなたが更新しますか 公開後に放置される
期限 公開したい時期は決まっていますか 工程が組めない

既存のお客様への聞き取りに使う質問文

買ってくれたお客様に聞く、いちばん価値の高いシートです。5問で足りますが、答えの質はどれも高くなります。

順番 質問文 引き出したいこと
1 申し込む前に、どんなことで困っていましたか 買う前の悩み
2 申し込む前に、ほかの会社も比べましたか 比べた相手
3 最終的に、うちを選んだ決め手は何でしたか 選ばれた理由
4 申し込む前に、不安だったことはありますか 迷いの理由
5 使ってみて、どう変わりましたか 買った後の変化

業種別に足す質問文

基本の項目に、業種ごとの質問を1つか2つ足します。足しすぎないことが、使い続けるコツです。

業種 足す質問文 狙い
工務店・リフォーム 工事のあとで、どんな暮らしを想像していますか 完成後のイメージ
士業 相談する前に、いちばん不安だったことは何ですか 相談の壁
飲食店 普段、どんな場面で店を使いたいですか 利用の場面
美容・サロン 通うときに、気になることはありますか 来店前の不安
学習塾 お子さんは、普段どんな様子ですか 家庭の状況
製造業・法人向け 発注するとき、いちばん困るのはどんなことですか 取引の条件

聞かないほうがよい質問と、言い換え

質問の中には、答えを引き出せないどころか、相手の気持ちを閉じさせるものがあります。言い換えの例を並べます。

避けたい質問 起きること 言い換えた質問文
なぜ、いままで放っておいたのですか 責められたと感じる これまでに試されたことを教えてください
ご予算はいくらですか 値踏みされたと感じる 進めるうえで、決まっている上限はありますか
競合はどこですか 答えにくく黙る ほかに話を聞いた会社はありますか
本当にやる気はありますか 信頼を失う いつ頃から動き出したいですか
何でもいいので、要望を言ってください 何も出てこない いま困っている場面を1つ教えてください

質問文を自社の言い回しに直す手順

写した質問文は、そのまま読み上げると、話し言葉との違いが出ます。実際に声に出して読み、言いにくい箇所を直します。

直すときは、相手が日常で使う言葉を選びます。業界の専門語は、相手が先に使ったときにだけ使います。

項目の順番を、並べ替えて試す

最初に作ったシートの順番が、最良とは限りません。3人に使ってみて、相手が詰まった質問を探します。

詰まった質問は、順番を後ろに回すか、言い換えます。2回直せば、たいていは使いやすい形になります。

集めた答えを、自社サイトの文章に変える流れ

聞いたあとの作業が、この記事の中心です。シートを埋めただけでは、売上にも問い合わせにもつながりません。答えを、ホームページの文章に変えます。

お客様の言葉を使って書いたページは、同じ悩みを持つ人が検索する言葉と重なります。

手順1:繰り返し出る言葉に印をつける

5人から10人分のシートを並べ、同じ意味の言葉に印をつけます。「安心できた」「話しやすかった」のように、複数の人が違う場面で使った言葉が、いちばん強い材料です。

1人しか言わなかった言葉は、別の箇所で使います。印のついた数が多い順に、使う場所を決めます。

手順2:言葉を、ページの場所に割り当てる

拾った言葉を、ページのどこに置くかで分けます。見出し、冒頭、事例、よくある質問の4か所が基本です。

拾った言葉の種類 置く場所 例
買う前の悩み ページの見出しと冒頭 「何から聞けばいいか分からず…」
比べた相手との違い 選ばれる理由のページ 「ほかの会社は説明が難しかった」
決め手 トップページの最初の一文 「質問に先に答えてくれたので」
不安だったこと よくある質問 「頼んだあと連絡が減らないか」
買った後の変化 事例のページ 「社内で説明しやすくなった」

手順3:お客様の言葉を、そのままの形で置く

お客様の声として載せる場合は、必ず本人の許可を取ります。許可が取れた言葉は、削りすぎずに置きます。

許可が取れない場合は、言葉の意味を変えずに、自社の文章に溶かして使います。「丁寧な対応」と書く代わりに、お客様が実際に言った「質問への返事が当日中だった」を使います。

手順4:強みの文章に、聞き取りの裏付けを足す

自社の強みを言葉にするとき、聞き取りの答えが裏付けになります。強みの考え方は、USPとは 意味と強みとの違い 作り方と自社サイトに置く場所で別に整理しています。

選ばれた理由をお客様の言葉で語れると、ほかの会社が簡単に真似できない文章になります。

書きがちな文 聞き取りを使った文
丁寧な対応を心がけています 「質問への返事が当日中だった」と、複数のお客様に言っていただいています
豊富な実績があります 同じ悩みで来られたお客様が、これまで何社もおられます
安心のサポート 「頼んだあとも連絡が来て安心した」という声を、よくいただきます

聞き取りは、年に1度で終わらせない

お客様の言葉は、時代や商品とともに変わります。新しいお客様が増えるたびに、5問のシートを渡し、答えをためていきます。

ためた答えは、ページの更新時に見直します。1年前のお客様の言葉が、いまの客層に合うとは限らないからです。

聞き取りから文章になるまでの時間の目安

初めて取り組む場合の、作業の流れと所要時間を示します。1人ずつ進めても、1週間ほどで最初のページ案ができます。

作業 目安の時間 備考
5問のシートを作る 30分 前の節の質問文を写す
お客様に聞く 1人あたり20分 オンラインや電話でも可
答えを清書する 1人あたり10分 聞いた当日のうちに行う
言葉に印をつける 5人分で1時間 同じ意味の言葉を探す
ページに置く 1ページで1時間 見出しと冒頭を先に書く

最初の1ページが仕上がったら、そのページを見た人の反応を、問い合わせの文面や電話の第一声で確かめます。反応が変わったら、他のページにも広げます。

業種や場面で変わる、聞き取りの優先順位

すべての場面を同じ重さで進める必要はありません。自社の状況で、先に取りかかる場面を決めます。

自社の状況 先に取りかかる場面 理由
問い合わせはあるが、決まらない 既存のお客様への聞き取り 選ばれた理由を知るため
商談が長引く 商談用のシート 聞き漏れを減らすため
ホームページを作り直す 制作の依頼前のシート 方向のずれを防ぐため
新しい商品を出す 見込みのお客様への聞き取り 悩みの言葉を知るため

よくある質問

Q. ヒアリングシートとは、何ですか。

商談や依頼の前に、相手から聞きたいことを一覧にしておく質問票です。打ち合わせの場で、聞きながら書き込みます。

議事録やアンケートとは、聞く相手が特定の1人である点が違います。

Q. ヒアリングシートの項目は、何問くらいが適切ですか。

初回は20問以内が目安です。商談では5問から7問、既存のお客様への聞き取りは5問で足ります。

項目が増えるほど、後半の答えが短くなります。

Q. ヒアリングシートは、相手に書いてもらうほうがいいですか。

聞き手が会話しながら書く形のほうが、相手の言葉が残ります。相手に事前記入を頼む場合は、必須項目を3つまでに絞ります。

残りは、会ってから口頭で聞きます。

Q. ヒアリングシートの「英語」は、何と言いますか。

英語のhearingは聞こえることを指すので、そのままでは通じにくくなります。海外の取引先には、discovery questionnaireかclient intake formの名前で送ると伝わりやすくなります。

Q. 聞いた答えは、ホームページにそのまま載せていいですか。

お客様の言葉をそのまま載せるには、本人の許可が要ります。許可が取れない場合は、意味を変えずに、自社の文章に溶かして使います。

まとめ

ヒアリングシートは、聞きたいことを前もって並べた質問票で、商談、ホームページ制作の依頼前、既存のお客様への聞き取りの3つの場面で使います。

失敗の多くは、答えの行き先が決まっていないことから起きます。項目の数や書式は、二の次です。聞く前に、答えをどこで使うかを1行で書いておきます。

総務省が2026年5月29日に公表した令和7年通信利用動向調査では、インターネットの利用目的で「SNS(無料通話機能を含む)の利用」が82.3%と最も高くなっていました。客の言葉は、いまも身近なところに書かれています。

「売れるサイトはみな謙虚」の考え方で、自社が聞きたいことを一度引き、相手が話したいことから先に聞いてください。集めた答えを、お客様の言葉のまま、ページの見出しと冒頭に置けば、同じ悩みを持つ人に届く文章になります。

今日できる点検

点検すること 確かめ方 結果の使い方
手元のシートの項目数 項目を数える 20を超えるなら、後半を削る
最初に聞く項目 上から5つを読む 予算や期限なら、事実の質問に替える
答えの行き先 シートの上に1行で書く 書けない質問は削る
過去の答えの文体 直近のシートを1枚読む 聞き手の言葉に直されていたら、相手の言葉に戻す
買ってくれたお客様の数 直近の1年で数える 5人以上なら、5問のシートを送る
聞き取りの日程 今月の予定表に入れる 1件でも先に入れる
ホームページの冒頭 トップページの最初の一文を読む 社内の言葉なら、お客様の言葉に直す
お客様の声の許可 載せている声の許可を確かめる 無ければ、本人に連絡する

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この記事を書いた人

中野輝規のアバター 中野輝規

合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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