毎月レポートは出している。それでも社長から「で、結局どうなの」と聞かれてしまう。
担当者からよく聞く悩みです。原因は数字の少なさよりも、数字が多すぎて、経営判断に使う情報が埋もれていることにあります。
この記事は、中小企業のWeb担当者が、経営層に出す月次レポートを1枚にまとめるための手順書です。
使うのは、無料のGoogleのツール3つです。GA4(Googleアナリティクス4)、Search Console、そしてレポートを作るData Studioです。
Data Studioは、2026年4月に名前が戻ったツールで、以前はLooker Studioと呼ばれていました。名前の経緯は、後の章で説明します。
公式ヘルプは2026年10月17日に開いて確かめました。画面の名前や手順は変わることがあるため、実際の操作の前に最新のヘルプを見てください。
先に結論 経営層に出す月次レポートの型
最初に、この記事の結論を表にまとめます。
| 決めること | 結論 | 理由 |
|---|---|---|
| 載せる指標 | 成果、集客、検索での見え方、主要ページの4種類 | 経営判断に使う数字だけが残る |
| 数字の出どころ | 成果と来訪後の行動はGA4、検索結果での見え方はSearch Console | 2つのツールは数えるものが違う |
| 比較のしかた | 前月と前年同月を並べ、3か月の流れで判断する | 季節と偶然の上下を見分けられる |
| 解説の書き方 | 事実、推測、確認方法、次の行動を分けて書く | 推測を事実として伝えずに済む |
| 作業の減らし方 | 数字は自動で更新し、解説だけ人が書く | 毎月の作業が1時間台に収まりやすい |
どれも特別な技術は要りません。型を一度作れば、翌月からは日付を切り替えて解説を書く作業が中心になります。
完璧なレポートを最初から目指さない
最初の月は、決めた型に数字を入れて、短い解説を付けるだけで十分です。
経営層との会話は、レポートを出し続けるうちに「数字の確認」から「次に何をするか」の相談へ変わっていきます。
この記事で扱わないこと
広告の運用レポートや、SNSの個別の分析は扱いません。
扱うのは、自社サイトへの来訪と、そこから生まれた問い合わせを経営層に伝えるための1枚です。
月次レポートの目的は経営が次の一手を決められること
レポートの形を決める前に、読む人が何を知りたいのかを確かめます。
経営層が知りたい3つのこと
経営層が月次レポートで確かめたいことは、おおむね次の3つです。
| 経営層の疑問 | レポートで答える内容 |
|---|---|
| Webから成果がどれだけ出たか | 問い合わせ、資料請求などの件数 |
| それは良いのか悪いのか、なぜか | 前月と前年同月との比較と、変化の原因 |
| 来月は何をするのか | 次の行動と、経営に頼みたいこと |
この3つに答えていれば、グラフが少なくてもレポートとして成立します。
アクセス解析の結果報告とは違う
アクセス解析の結果報告は、取れた数字を並べるものです。
経営層向けの月次レポートは、Web集客の状況を伝え、次の行動を提案するものです。
数字は材料にすぎず、読み終えた経営層が「来月はこれを進めよう」と判断できる状態がゴールです。
レポートを読む時間を想定する
経営層がレポートに使う時間は、長くても数分です。
1枚に収め、上から下へ「結論、成果、集客、中身、次の行動」の順に読めるようにします。
最上部の3行を読むだけで、要点が伝わる作りにしておきます。
載せる指標は4種類に絞る
数字は多いほど親切に見えますが、読む側の負担になります。
まずは次の4種類に絞ります。
| 区分 | 指標 | 主なデータ元 | 経営層にとっての意味 |
|---|---|---|---|
| 成果 | 問い合わせ数(キーイベント数) | GA4 | Webがどれだけ商談の入口になったか |
| 集客 | 流入チャネル別のセッション数 | GA4 | どの経路から人が来ているか |
| 検索での見え方 | 検索のクリック数と表示回数 | Search Console | Google検索でどれだけ見られ、選ばれたか |
| 中身 | 主要ページの閲覧数と、そこから生まれた問い合わせ数 | GA4とSearch Console | どのページが集客と成果に効いているか |
問い合わせ数はキーイベントで数える
GA4では、問い合わせの完了や資料請求など、事業にとって大切な行動を「キーイベント」として設定します。
以前は「コンバージョン」と呼ばれていました。Googleの公式ヘルプによると、GA4とGoogle広告で測り方が異なり、数字にずれが出ていたため、定義をそろえて呼び分けるようになりました。
公式ヘルプは、キーイベントを次のように定義しています。
「キーイベントとは、ビジネスの成果にとって特に重要なアクションを測定するイベントのことです。」
一方の「コンバージョン」は、広告キャンペーンの成果測定と入札の最適化に使う重要なアクションを指す言葉に整理されました。
キーイベントの設定で気をつけること
既存のイベントをキーイベントにするには、マーケティング担当者以上の権限が必要です。公式ヘルプにそう書かれています。
設定すると、その時点から先のレポートに反映されます。過去のデータは変わりません。
標準レポートに表示されるまでには、最大24時間かかると案内されています。
さらに、キーイベントに設定したイベントの名前を変更すると、そのイベントはキーイベントでなくなります。名前を変えずにパラメータだけ直した場合は、キーイベントのままです。
このため、設定した月と、設定を変えた月は、レポートの欄外に必ず書きます。設定の前後では数字を単純に比べられません。
流入チャネル別のセッションを並べる
「セッション」は、サイトを訪れてから離れるまでの一連の訪問のまとまりです。
これを「どこから来たか」を表すチャネル別に並べると、集客の経路が分かります。チャネルの意味は、次の章で説明します。
検索のクリック数と表示回数を載せる
Search Consoleの検索パフォーマンスの数字です。公式ヘルプの定義は次のとおりです。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| 表示回数 | サイトへのリンクがGoogleで閲覧された頻度 |
| クリック数 | Googleからサイトへのリンクがクリックされた頻度 |
| クリック率 | クリック数を表示回数で割った値 |
| 平均掲載順位 | サイトへのリンクの、Googleにおける掲載順位の相対ランキング |
経営層向けには、クリック数と表示回数を中心に載せます。クリック率と平均掲載順位は補足で足ります。
主要ページを5〜10本あらかじめ決める
トップページ、主力サービス、事例、問い合わせなど、事業にとって大切なページを先に決めておきます。
毎月同じページを追えば、ページ単位の変化に気づけます。
月ごとに載せるページが変わると、比較ができなくなります。
載せなくてよい指標
担当者が手元で見るのは自由ですが、経営層向けの1枚には入れない数字があります。
改善作業向けの数字は手元に置く
ページごとの滞在時間やスクロール率は、サイトを直す作業には役立ちます。
経営の判断には直結しにくいため、レポートからは外します。
全件の一覧表は載せない
全ページの一覧や、検索キーワードの全件リストも不要です。
主要ページと、変化のあった代表的なキーワードを数個に絞れば、話は通じます。
担当者が説明できない数字は載せない
自分で意味を説明できない指標を載せると、質問されたときに答えられず、レポート全体の信頼が下がります。
載せるかどうかの基準は、1つの問いで決まります。
「この数字が変わったら、経営として行動が変わるか」
変わらない数字は、載せません。
GA4のチャネルの見方を経営層向けに整理する
流入元の数字を載せるには、GA4が流入元をどう分けているかを知っておく必要があります。
GA4は、訪問の流入元を自動でチャネルに分類します。この分類のルールが「デフォルト チャネル グループ」です。
公式ヘルプによると、Googleが全ユーザー共通の基準として維持しているため、デフォルトの定義は編集できません。
中小企業のサイトで目にする主なチャネル
公式ヘルプの説明を要約すると、主なチャネルは次のとおりです。
| チャネル | 意味 |
|---|---|
| Organic Search | 検索結果の広告ではないリンクからの流入。GoogleのAI OverviewsとAI Modeからのクリックも含む |
| Paid Search | GoogleやBingなど、検索エンジン上の広告からの流入 |
| Direct | 保存したリンクを開いた流入や、URLを直接入力した流入 |
| Referral | ブログやニュースサイトなど、他のサイトにある広告ではないリンクからの流入 |
| Organic Social | SNSの広告ではないリンクからの流入 |
| メール内のリンクからの流入 | |
| AI Assistant | ChatGPT、Gemini、Copilotなどからの流入。GoogleのAI OverviewsとAI Modeは含まない |
| Unassigned | どのチャネルのルールにも当てはまらなかった流入 |
月次レポートでは、この中から自社に関係の深い4〜6つを選んで並べれば足ります。
AI Assistantチャネルは2026年5月13日に加わった
AI Assistantは、新しいチャネルです。アナリティクスのリリースノートに、2026年5月13日の更新として載っています。
この更新では、参照元がAIアシスタントと一致した訪問に、メディアの値として「ai-assistant」が自動で付くようになりました。
つまり、5月13日より前の期間は、同じ種類の訪問が別のチャネルに入っていた可能性があります。これは公式の説明からの推測です。
前年同月と比べるときは、チャネルの内訳が変わっていないかを確かめ、レポートの欄外に1行書きます。
AIからの流入を詳しく確かめる手順は、GA4でAIからの流入を確かめる手順にまとめています。
Organic Searchの数字を読むときの注意
公式ヘルプは、Organic Searchに「GoogleのAI OverviewsとAI Modeを含む」と書いています。
そのため、Organic Searchのセッションが増減したとき、従来の検索結果からの流入とAIの回答欄からの流入を、チャネルの区分だけでは切り分けられません。
切り分けたい場合は、Search Consoleの数字や、手動での確認と組み合わせて推測します。
Unassignedが多いときに確かめること
Unassignedは、どのチャネルのルールにも一致しなかった流入です。
公式ヘルプは、ユーザー定義の参照元やメディアから来た訪問や、セッションIDまたはユーザーIDの情報がなく、値が未設定になった訪問は、分類する事前定義のルールがないことがあると説明しています。
メルマガやチラシの二次元コードで、URLに独自のパラメータ(utm_mediumなど)を付けている場合は、値がチャネルのルールに合っているかを一度確認します。
たとえば、メールのリンクのメディアは「email」にします。
自社独自の分け方をしたいとき
「展示会の二次元コード経由」「業界ポータル経由」など、自社の区分で見たい場合は、カスタム チャネル グループを作ります。
デフォルトは編集できませんが、メインのチャネル グループは、プロパティごとに編集できます。公式ヘルプにそう書かれています。
ユーザー獲得とトラフィック獲得の違い
GA4には、似た名前のレポートが2つあります。
| レポート | 数えるもの | 月次レポートでの使い方 |
|---|---|---|
| ユーザー獲得 | 新規ユーザーが最初にどこから来たか | 新規の獲得経路を見たいときに補足で使う |
| トラフィック獲得 | 訪問ごとに、どこから来たか | 月次の流入チャネル別セッションに使う |
公式ヘルプは、ユーザー獲得レポートのスコープが新規ユーザー、トラフィック獲得レポートのスコープが新規セッションだと説明しています。
月次レポートでは、トラフィック獲得レポートの数字を使うと説明がしやすくなります。どちらを使ったかをレポートに明記して、毎月同じものを使い続けます。
Search ConsoleとGA4の数字が合わない理由
「検索のクリック数と、GA4のOrganic Searchのセッション数が合わない」という質問は、経営層からもよく出ます。
2つのツールは数えているものも数え方も違うため、一致しないのが普通です。
詳しい理由は、Search ConsoleとGoogleアナリティクスの併用で別に解説しています。
ここでは、月次レポートで説明に使う要点だけを表にします。
数字が食い違う主な理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 数えるものが違う | Search Consoleは検索結果上のクリック、GA4はサイト上のセッションを数える |
| ブラウザの設定 | GA4などのツールは、ブラウザでスクリプトの実行が有効な訪問しか追えない |
| 日付の区切り | Search Consoleの日別データは太平洋時間。GA4は、プロパティに設定したレポートのタイムゾーン |
| URLの扱い | Search ConsoleはGoogleが選んだ正規URLに数字を割り当てる |
| 追加の処理 | Search Consoleは重複やロボットのアクセスを除くなどの処理をする |
| 表に出ないデータ | プライバシー保護のため、まれなクエリは表から省かれる。表は最大1,000行まで |
| 反映の遅れ | Search Consoleのデータは通常2〜3日で利用可能になる |
どの理由も、公式ヘルプに書かれた内容です。設定ミスとは限りません。
表とグラフの合計が合わない場合
Search Consoleの検索パフォーマンスでは、クエリ別の表を足してもグラフの合計と一致しないことがあります。
公式ヘルプは、表が最大1,000行であること、そして匿名化されたまれなクエリは表から省かれるがグラフの合計には含まれることを理由に挙げています。
経営層向けのレポートでは、グラフ側の合計の数字を使い、クエリ別の表は代表的なものだけを補足で見せます。
月初すぐに前月を集計しない
Search Consoleのデータは、通常2〜3日で利用可能になります。月初すぐに集計すると、月末付近の数字がそろっていないことがあります。
集計日は、月初の数日後に決めておきます。
また、Search Consoleの検索パフォーマンスは、初期状態では過去3か月の期間で表示されます。月次の数字を見るときは、日付のフィルタで対象の月に変えます。
レポートでの役割分担を1行で書く
2つのツールは、役割を分けて使います。レポートの欄外に、次のように書いておくと質問が減ります。
| 見たいこと | 使う数字 |
|---|---|
| 検索結果での見え方と選ばれ方 | Search Consoleの表示回数とクリック数 |
| サイトに来たあとの行動と成果 | GA4のセッションとキーイベント |
| 両者の関係 | 定義が違うため一致しない。増減の方向が同じかを見る |
GA4とSearch Consoleをリンクしておく
GA4とSearch Consoleをリンクすると、GA4の画面でも検索クエリなどのレポートが見られます。
リンクを作るには、GA4プロパティの編集者の役割と、Search Consoleプロパティの確認済み所有者であることが必要です。公式ヘルプにそう書かれています。
同じ一連のウェブページのデータを集めているプロパティ同士で、リンクします。
リンクしたSearch Consoleのデータは、収集から48時間後に利用でき、最大16か月分が表示されると案内されています。
Data Studioでの作り方 GA4とSearch Consoleをつなぐ手順
Data Studioは、Googleの無料のレポート作成ツールです。GA4とSearch Consoleのデータを1つのレポートにまとめ、期間を変えるだけで数字が更新される形にできます。
Looker StudioはData Studioに名前が戻った
2026年10月17日に確かめたところ、Googleの公式ヘルプには次の案内がありました。
「2026 年 4 月に、Looker Studio のプロダクト名が元のデータポータルに戻りました。」
日本語の公式ヘルプでは「データポータル」、英語の公式ヘルプでは「Data Studio」と書かれています。この記事では、英語表記のData Studioで統一します。
ネット上の古い解説や、社内の資料にある「Looker Studio」は、このツールのことです。
| 変わったこと | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | Looker StudioからData Studioに変わった |
| URL | datastudio.google.comになった |
| 古いURL | lookerstudio.google.comは自動で新しいURLに転送される |
| 既存のレポート | 公式ヘルプによると、この変更に合わせて更新する必要はない |
会社がプロキシで外部サイトへのアクセスを制限している場合は、IT管理者が新しいドメインを許可リストに加える必要があると、公式ヘルプが案内しています。
作り始める前の準備
先に、次の3つを用意します。
| 準備するもの | 確かめること |
|---|---|
| Googleアカウント | GA4とSearch Consoleの両方にアクセスできる |
| GA4の権限 | 公式ヘルプによると、接続するプロパティの「閲覧と分析」以上の権限が必要 |
| Search Consoleの権限 | 公式ヘルプによると、対象のサイトに少なくとも閲覧の権限が必要 |
Search Consoleのサイトが選択肢に出ない場合は、Data StudioとSearch Consoleに同じGoogleアカウントでログインしているかを確認します。
手順1 GA4のデータソースを作る
公式ヘルプの手順は、次の流れです。
- Data Studioにログインし、ホーム画面で作成のボタンから「データソース」を選びます。
- コネクタの一覧から、Googleアナリティクスのコネクタを選びます。
- アクセスの承認を求められたら、承認します。
- アカウントとプロパティを選び、接続のボタンを押します。
ホームから作ったデータソースは、複数のレポートで使い回せます。月ごとにレポートを作り直す場合も、このデータソースは同じものを使います。
手順2 Search Consoleのデータソースを作る
こちらも、ホーム画面の作成から「データソース」を選びます。
Search Consoleのコネクタを選び、対象のサイトを選びます。次に、集計方法を決めます。
| 集計方法 | 向いている数字 |
|---|---|
| サイトのインプレッション(Site Impression) | サイト全体の表示回数とクリック数 |
| URLのインプレッション(URL Impression) | ページ別の表示回数とクリック数 |
公式ヘルプによると、1つのデータソースで使えるのは、どちらか一方だけです。両方を並べたい場合は、データソースを2つ作ってレポートに追加します。
最後に、検索タイプも選びます。通常のWeb検索の数字を見たいときは、webを選びます。
手順3 レポートに2つのデータソースを追加する
新しいレポートに、2つのデータソースを追加します。
グラフや表ごとに、使うデータソースを選びます。GA4の数字はGA4のデータソースから、検索の数字はSearch Consoleのデータソースから出します。
認証情報は誰の権限で見せるかを決める
データソースには、データを見せる際の認証情報の設定があります。
| 設定 | 動き |
|---|---|
| オーナーの認証情報 | 他の人は、GA4の権限がなくてもレポートを見られる |
| 閲覧者の認証情報 | 見る人が自分でデータへのアクセス権を持っている必要がある |
| サービスアカウントの認証情報 | 専用のアカウントの権限でデータを出す |
社長にGA4の権限を付けずに見せたい場合は、オーナーの認証情報が使えます。
共有する相手は、社内の信頼できる人に絞ります。オーナーの認証情報を選んでも、他の人にデータセットへの直接のアクセス権は付かないと、公式ヘルプは説明しています。
GA4に接続したときの制限
公式ヘルプには、GA4のコネクタについて次の注意が書かれています。
| 制限 | 内容 |
|---|---|
| 利用量の上限 | GA4のレポートは、Googleアナリティクスの Data API の割り当ての対象。超えるとエラーが出ることがある |
| セグメントと比較 | GA4の画面で作ったセグメントや比較は、コネクタでは使えない |
| 週番号の日付項目 | 複雑なフィルタと組み合わせた積み上げ棒グラフで、セッション数が実際より大きく出ることがある |
グラフを詰め込みすぎると、上限を超えやすくなります。1枚に絞ることは、この点でも役に立ちます。
必要な絞り込みは、Data Studio側のフィルタで設定します。
1枚のレポートの構成例
A4横の1枚、Data Studioなら1ページにまとめた構成例です。
上から「結論、成果、集客、中身、次の行動」の順に読めるようにします。
ブロックごとの置き方
| 位置 | ブロック | 内容 |
|---|---|---|
| 最上部 | 今月のまとめ(3行) | 担当者が手で書く。結論、主な理由、来月やることを各1行 |
| 上段 | 成果のスコアカード | 問い合わせ数と資料請求数。前月と前年同月との比較つき |
| 中段の左 | 流入チャネル別セッション | 主要チャネルの表。前月と前年同月との比較つき |
| 中段の右 | 検索の見え方 | Search Consoleのクリック数と表示回数の月別グラフ(13か月分) |
| 下段の左 | 主要ページ | 決めた5〜10ページの閲覧数と、入口になった問い合わせ数 |
| 下段の右 | 変化の原因と次の行動 | 後述のテンプレートで記入 |
| 欄外 | 注記 | 計測設定の変更や、ツールごとに数字が違う旨 |
スコアカードは件数の差で見せられる
スコアカードは、数字を大きく1つ表示する部品です。
比較の期間を設定すると、増減を表示できます。公式ヘルプによると、スタイルの設定で、比較の表示を割合から数値の差に切り替えられます。
問い合わせが月に数件なら、「プラス50パーセント」より「プラス2件」のほうが、実態を正しく伝えられます。
13か月分のグラフを置く理由
検索の月別グラフを13か月分にすると、前年の同じ月が必ず入ります。
季節による上下を、経営層が自分の目で確かめられます。
解説の書き方 数字の変化を事実と推測に分ける
レポートの価値は、グラフよりも解説欄で決まります。
経営層が読みたいのは、「だから何をするのか」の部分です。数字の説明は、そのための材料にすぎません。
解説は4つの欄に分けて書く
解説は、次の4つの欄に分けると書きやすくなります。
| 欄 | 書くこと | 書き方のコツ |
|---|---|---|
| 事実 | 数字がどう動いたか | 画面で確認できた数字だけを書く |
| 推測 | 動いた理由の見立て | 「可能性がある」と明記し、断定しない |
| 確認方法 | 推測が正しいかを確かめる手段 | 来月までにできる作業として書く |
| 次の行動 | 来月やること、経営に頼みたいこと | 担当者と期限を入れる |
事実と推測を同じ文に混ぜないことが、いちばん大切です。
事実は、画面を見れば誰でも同じ答えになります。推測は、書いた人の見立てです。
書式の例
数字の部分は、実際の月の値に置き換えて使ってください。
| 欄 | 書式の例 |
|---|---|
| 事実 | 問い合わせは前月の○件から○件になった。検索のクリック数は○パーセント増えた |
| 推測 | ○月に公開したページが検索で見られ始めた可能性がある |
| 確認方法 | 該当ページの検索での表示回数と、問い合わせの入口ページを来月確認する |
| 次の行動 | 同じ種類のページを来月に○本追加する。担当は○○、期限は○日 |
この4行が埋まっていれば、レポートとして最低限の役目は果たせます。
推測を事実として書かない
「ブログを増やしたから問い合わせが増えた」と書くのは、推測を事実として書いている例です。
2つの動きが同時に起きても、原因とは限りません。季節の影響や、取引先の動きが重なっていることもあります。
見立てを書くときは、「〜の可能性がある」と書き、確かめる方法を添えます。
良くない数字も同じ型で書く
数字が悪かった月も、同じ4つの欄で書きます。
悪い数字を小さく見せる必要はありません。隠さずに書くことが、レポート全体の信頼につながります。
原因が分からないときは、「現時点では不明。次の○を確認する」と書けば足ります。
数字の見方 前月・前年同月・3か月の流れ
1つの月の数字だけでは、良いのか悪いのか判断できません。
比べる相手を決めておきます。
3つの比較を使い分ける
| 比較 | 分かること | 注意点 |
|---|---|---|
| 前月との比較 | 直近の勢い | 季節や日数の違いで上下しやすい |
| 前年同月との比較 | 季節の影響を除いた変化 | 前年に計測の設定や分類が違っていないか確認する |
| 3か月の流れ | 一時的な上下か、続く傾向か | 月が少ないと偶然の影響を受ける |
前月比だけで一喜一憂しないことが大切です。
前年同月と並べると、季節による上下を見分けやすくなります。
件数が少ないときの読み方
問い合わせが月に数件の会社では、1件の増減で割合が大きく動きます。
その場合は、割合よりも件数の差で伝えます。さらに、3か月分をまとめて見ると、偶然の影響が薄まります。
「今月は2件減ったが、3か月の合計では横ばい」のような書き方なら、過剰な反応を避けられます。
前年に設定が違っていた場合
前年同月との比較は便利ですが、前年と今年で計測の条件が違っていると、単純に比べられません。
たとえば、キーイベントの設定を変えた月や、チャネルの分類が変わった月が間にあると、数字の意味が変わります。
その場合は、欄外に「○年○月に設定を変更したため、前年との比較は参考値」と書きます。
毎月の作業手順を決めて、時間を減らす
レポートが続かない原因の多くは、毎月の作業が重いことです。
作業を決まった手順にして、数字の取得は自動に任せます。
月次の作業手順
| 順番 | 作業 | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 1 | Data Studioの期間を前月に切り替える | 数分 |
| 2 | 数字をひととおり眺めて、動きの大きい箇所に印を付ける | 15分程度 |
| 3 | 動いた理由を、GA4やSearch Consoleで確かめる | 20〜30分程度 |
| 4 | 解説の4欄を書く | 15〜20分程度 |
| 5 | 欄外の注記を更新し、誤字や数字の転記漏れを見直す | 10分程度 |
目安の時間は、型が決まったあとの一例です。サイトの規模や担当者の慣れによって変わります。
最初の数か月は、この倍かかってもかまいません。
集計日を固定する
毎月、同じ日に集計すると、データの反映の遅れによるずれを避けられます。
Search Consoleのデータが整うまでに数日かかるため、月の初めの数日は避けて、集計日を決めます。
提出前の見直し項目
提出する前に、次の項目を確認します。
| 見直す項目 | 確認すること |
|---|---|
| 期間 | 全てのグラフが、同じ月を指している |
| 比較 | 前月と前年同月の期間が正しい |
| 注記 | 計測の変更があった月は、欄外に書いてある |
| 解説 | 事実と推測が、同じ文に混ざっていない |
| 次の行動 | 担当者と期限が書いてある |
会議で聞かれやすい質問への答え方
レポートを出すと、経営層から質問が返ってきます。
よくある質問と、答え方の型を用意しておくと落ち着いて対応できます。
「結局、Webから何件の問い合わせが来たのか」
答えの根拠は、GA4のキーイベントです。
ただし、電話や紹介など、Webの外で起きた問い合わせは、この数字に入りません。
「Webから確認できた件数はこの数字です。電話での問い合わせは別に集計しています」と範囲を示せば、誤解を避けられます。
「検索の数字とGA4の数字が違うのはなぜか」
先に説明した理由を、短く伝えます。
「2つのツールは数えるものが違うため、一致しないのが正常です。見るのは、増減の方向が同じかどうかです」と答えます。
「競合と比べてどうか」
GA4やSearch Consoleに映るのは、自社サイトの数字だけです。
競合の数字は、これらのツールでは見られません。分からないことは分からないと答え、確かめる方法があれば提案します。
「AIの回答に出ているのか」
AIの回答欄に自社が載っているかは、GA4のAI Assistantチャネルや、実際の質問で確かめる方法があります。
ただし、流入として数字に出るのは、リンクがクリックされた場合だけです。載っていても、クリックされなければ流入には出ません。
レポートが続かなくなる原因と対策
月次レポートは、始めるよりも続けるほうが難しい作業です。
続かなくなる典型的な原因を、先に知っておきます。
よくある失敗
| 失敗 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 指標を足し続ける | レポートが膨らみ、作成に時間がかかる | 1つ足したら1つ外す決まりにする |
| 毎月型を変える | 比較ができなくなる | 型は半年に1回だけ見直す |
| 解説を書かない | 数字の置き場になり、読まれなくなる | 4欄のうち、最低でも「次の行動」は書く |
| 担当者だけが分かる言葉を使う | 経営層に伝わらない | 専門用語には一言の説明を添える |
| 数字を作り直す | 前月のレポートと数字が合わなくなる | 過去の数字を直したら、理由を欄外に書く |
特に、指標を足し続けることには注意が必要です。
「念のため載せておこう」が積み重なると、1枚に収まらなくなります。
半年に1回、型を見直す
型は固定しますが、永遠に同じである必要はありません。
半年に1回、経営層に「この数字は役に立っていますか」と聞きます。使われていない数字は外し、新しく必要になった数字を足します。
引き継ぎのために手順を残す
担当者が替わっても続けられるよう、手順書を1枚残します。
書く内容は、データソースの場所、集計日、解説の4欄、注記のルールです。
この記事の表をそのまま手順書の土台に使えます。
売れるサイトはみな謙虚 レポートは足さずに引く
ここまで、レポートに載せる数字を絞る話を繰り返してきました。この考え方に、名前を付けて紹介します。
「売れるサイトはみな謙虚」という考え方です。大きく見せる言葉や機能を足していくより、訪れた人が迷う要素を引いていくほうが、次の一歩を踏み出してもらえるという見方です。
月次レポートにも、そのまま当てはまります。
レポートから引くもの
| 引くもの | 引いたあとの状態 |
|---|---|
| 使われていない指標 | 見てほしい数字が目立つ |
| 全ページの一覧表 | 主要ページの動きだけが残る |
| 専門用語だけの説明 | 経営層が自分の言葉で読める |
| 3行を超える結論 | 最上部の3行で要点が伝わる |
引いたあとに残すもの
引いても、判断に必要な情報は残します。
成果の件数、前月と前年同月の比較、動いた理由の見立て、次の行動、そして計測の変更を知らせる注記です。
この5つがそろっていれば、1枚でも判断の材料になります。
よくある質問
Q1. Looker StudioとData Studioは別のツールですか
同じツールです。
Googleの公式ヘルプによると、2026年4月に、製品名が元のデータポータルに戻りました。英語の画面ではData Studioと表示されます。
古い解説にあるLooker Studioの手順は、画面の名前が違うだけで、考え方は引き継げる場合が多いです。実際の操作の前に、最新のヘルプを確認してください。
Q2. 無料で作れますか
公式ヘルプは、Data Studioを無料のツールと説明しています。
別にData Studio Proという版もあります。この記事は、無料で使える範囲を前提にしています。
Q3. GA4の権限がない社長に見せられますか
データソースの認証情報を「オーナーの認証情報」にすると、他のユーザーはデータセットへの権限がなくても、レポートを閲覧できます。
ただし、共有の範囲は自分で決めることになります。社内の限られた人にだけ共有し、共有の設定をときどき見直してください。
Q4. 月の初めに前月のレポートを出してよいですか
Search Consoleのデータは、通常2〜3日で利用可能になります。月末の数字がそろう前に集計すると、数字が後から変わることがあります。
集計日を月初の数日後に決め、その日以降に提出する形をおすすめします。
Q5. 数字が毎月ばらつきます。どう伝えればよいですか
1か月の上下だけで判断せず、3か月の流れと前年同月を並べて見せます。
件数が少ない場合は、割合よりも件数の差で伝えるほうが、実態に近くなります。
今日できる点検
今日の作業時間が10分あれば、次の点検表で現状を確かめられます。
| 区分 | 確認する項目 | 状態 |
|---|---|---|
| 目的 | 読む人が決めたいことを、1文で書ける | □ |
| 指標 | 載せる指標を4種類以内に絞った | □ |
| 成果 | 問い合わせ完了をキーイベントにしている | □ |
| 成果 | キーイベントを設定した月を、メモに残した | □ |
| 集客 | 使うチャネルの見方を、トラフィック獲得に決めた | □ |
| 検索 | Search Consoleの数字との違いを、欄外に1行書いた | □ |
| 型 | Data Studioで、期間を切り替えるだけで更新される | □ |
| 解説 | 事実、推測、確認方法、次の行動の4欄を用意した | □ |
| 運用 | 集計日と提出日を決めた | □ |
| 権限 | 見せる相手と認証情報の種類を決めた | □ |
全部にチェックが入らなくても、問題ではありません。チェックの入らない行が、次にやることです。
まとめ
経営層向けの月次レポートは、数字の多さよりも、判断に使える形に絞ることが大切です。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 目的 | 経営が次の一手を決められること |
| 指標 | 成果、集客、検索での見え方、主要ページの4種類に絞る |
| データ元 | 成果と来訪後の行動はGA4、検索結果での見え方はSearch Console |
| 比較 | 前月、前年同月、3か月の流れを使い分ける |
| 解説 | 事実、推測、確認方法、次の行動の4欄に分けて書く |
| 作り方 | Data Studioに2つのデータソースをつなぎ、期間を切り替えて更新する |
| 注記 | 計測や分類の変更があった月は、欄外に書く |
| 運用 | 集計日を固定し、型は半年に1回だけ見直す |
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