「会員限定のノウハウ記事を増やしたのに、AI検索には名前が出てこない」。「ホワイトペーパーに一番大事な調査結果を入れたのに、AIに聞くと他社の情報ばかり返ってくる」。
有料記事や会員限定ページ、資料ダウンロードを運営している会社から、こうした相談を受けます。
一方で、「有料で売っている情報を、AIにただで要約されたくない」という悩みもあります。見せたい気持ちと守りたい気持ちの両立が、このテーマの難しいところです。
この記事は、中小企業のWeb担当者と経営者に向けて、ログインや支払い、フォーム入力の裏にある情報が、AI検索からどう見えるのかを整理します。どこまで公開してどこから閉じるかの設計方法を、構造化データの例とチェックリストまで含めて説明します。
Googleなどの公式文書は、2026年10月17日に開いて確かめた内容です。公開範囲の設計は、筆者の提案です。
先に結論 届けたい部分と守りたい部分に分ける
結論を、公式に言えることと、筆者の判断に分けて並べます。
| 論点 | 公式に言えること | 筆者の判断 |
|---|---|---|
| ログインが必要なページ | Googleは、ログインが必要なページをクロールしないと説明している | 読めない情報は、AI検索の材料にもならない |
| 有料記事をGoogleに載せる | 全文を見られる状態にし、Flexible Samplingに従えば、クローキングとはみなさない | 構造化データで有料部分を示す |
| 資料請求フォームの裏 | 公式の説明は見当たらない | 紹介ページの文章だけが、AI検索から見える |
| ChatGPTやPerplexityの扱い | ペイウォールの扱いの説明は見当たらない | 渡した情報は読まれる可能性がある前提で設計する |
見えない情報は、回答の材料にならない
筆者の整理では、AI検索の多くは、検索エンジンやクローラーが集めたページを材料に回答を作ります。集める段階で読めない情報は、回答に使われようがありません。
有料記事には正しい出し方がある
Googleは、有料記事の全文を検索に見せる方法を案内しています。全文を読める状態にし、構造化データで有料部分を示し、無料で見せる範囲のガイダンスに沿う、という3つの条件です。
守りたい部分はサーバー側で止める
有料部分をAIに使わせたくないなら、クローラーにもブラウザにも渡さないのが確実です。ブラウザ上のJavaScriptで隠すだけの方式は、確実な制限にならないと、Googleの文書に書かれています。
各社のペイウォールの扱いは未公表
ChatGPT、Perplexity、Claudeの公式文書に、ペイウォールの裏の情報をどう扱うかの説明は見当たりませんでした。分からない以上、サーバーから渡した情報は読まれる可能性がある、という前提に立ちます。
裏にある情報は3種類ある
まず、自社サイトの閉じた情報が、どの種類に当たるかを確認します。種類によって、AI検索からの見え方と打てる手が変わります。
| 種類 | よくある例 | クローラーから見えるか | 主な対応 |
|---|---|---|---|
| 有料記事(ペイウォール) | 有料会員だけが全文を読めるコラム、業界ニュース | 実装しだい。Google向けに全文を見せる設計もできる | 構造化データと冒頭の公開 |
| 会員限定ページ(ログイン必須) | 顧客向けのマニュアル、会員サイトの事例集 | 原則として見えない | 公開できる部分を別ページに切り出す |
| 資料ダウンロード(フォームの裏) | ホワイトペーパー、調査レポート、料金表のPDF | フォーム送信後の資料は原則として見えない | 紹介ページに要約・目次・抜粋を書く |
有料記事は設計しだい
有料記事は、全文をGoogleに見せたうえで、読者には途中までを見せる設計ができます。この設計には条件があり、後の章で説明します。
会員限定ページは原則として見えない
ログインが必要なページは、クローラーが入れません。見込み客に知ってほしい情報が混ざっていないかを、棚卸しします。
資料の中身は紹介ページでしか伝わらない
フォームの裏の資料は、クローラーが読めません。AI検索に伝わるのは、紹介ページに書いた文章だけです。
設計の全体像 棚卸しから実装までの流れ
進める順番は、閉じた情報の棚卸し、届ける部分と守る部分の仕分け、公開ページの執筆、サーバー側の制御です。
ログインが必要なページはクローラーが読まない
なぜ読まれないのか
Googleの文書には、Googleが検索に載せるのは、公開されていて誰でもアクセスできるページだけだと書かれています。ログインを求めるページは、Googlebotがクロールしません。
AI関連のクローラーでも、似た説明があります。Anthropicは、学習用のデータ収集でパスワードで保護されたページにアクセスしないこと、自社のボットがCAPTCHAを回避しようとしないことを、公式に説明しています。
つまり、会員サイトの中身は、AI検索から見ると、存在しない情報と同じです。
会員にだけ価値がある情報と、見込み客にも知ってほしい情報
会員限定ページの運用では、「会員向けに作ったから、全部をログインの内側に置く」というやり方がよく見られます。中身をよく見ると、性質の違う情報が混ざっています。
| 区分 | 例 | 扱い |
|---|---|---|
| 会員にだけ価値がある情報 | 契約者専用の設定手順、個別の価格、社内向けの資料、顧客の事例の詳細 | ログインの内側に置く |
| 見込み客にも知ってほしい情報 | サービスで何ができるか、対応範囲、よくある質問、用語の説明、導入の流れ | 公開ページに切り出す |
閉じすぎると、候補に入らない
後者まで閉じてしまうと、見込み客がAIに「〇〇ができるサービスはある?」と聞いたとき、自社の情報が材料に入りません。
会員サイトの中身を棚卸しして、外に出しても困らない情報は公開ページに切り出します。これが第一歩です。
有料記事をGoogle検索に載せる条件
クローキング扱いにならない条件
「Googleのクローラーには全文を見せて、普通の訪問者には途中までしか見せない」。この設計は、一見すると、検索エンジンと利用者に違う内容を見せるクローキングに当たりそうです。
Googleのスパムポリシーは、この点を明確にしています。ペイウォールなどの制限を使っていても、クローキングとはみなさない条件が書かれています。
Googleが有料部分の全文を、アクセス権のある人と同じように見られること。そして、Flexible Samplingのガイダンスに従っていることです。
3つの条件
筆者の整理では、条件は次の3つです。
- Googleのクローラーが、有料部分の全文を読めること
- 構造化データで、どこが有料部分かを示していること
- 無料で見せる範囲について、Flexible Samplingのガイダンスに沿っていること
構造化データの目的は、公式の文書に書かれています。有料部分を構造化データで囲むと、Googleがペイウォールとクローキングを区別しやすくなります。
Flexible Samplingとは
Flexible Samplingは、検索から来た人に有料コンテンツの一部を無料で見せるための、Googleのガイダンスです。公式の文書は、2つの方式を勧めています。
| 方式 | 内容 |
|---|---|
| メーター制(metering) | 一定の本数までは記事を無料で読めるようにし、その後に購読やログインを求める |
| リード(lead-in) | 記事の冒頭部分を無料で見せ、全文は見せない |
中小企業にはリード方式が実装しやすい
文書には、日刊のニュース媒体を想定した具体的な目安もあります。中小企業の会員ブログやノウハウ記事なら、記事の冒頭と、全体の要点が分かる部分を無料で見せるリード方式が、実装しやすいと筆者は考えます。
JavaScriptで隠すだけの方式に注意
よくある実装に、サーバーからは全文を送り、ブラウザ上のJavaScriptで後半を隠す方式があります。Googleは、JavaScript関連の問題を説明する文書で、この方式はアクセスを制限する方法として確実ではないと書いています。
そのうえで、購読状態を確認してから、全文を渡すようにすることを求めています。2025年8月28日に、JavaScriptを使ったペイウォールについてのガイダンスが、文書の更新履歴に追加されました。
隠した部分が読める可能性
HTMLに全文が入っていれば、JavaScriptを実行しないツールや、HTMLのソースを直接読むツールには、隠したはずの部分が読めてしまう可能性があります。これは筆者の指摘です。
有料部分を守りたいなら、JavaScriptで隠す方式は選ばないほうが安全です。
Googleにだけ全文を見せる場合の注意
条件1を満たすために、Googlebotからのアクセスにだけ全文を返す実装をすることがあります。アクセス元が名乗る名前だけで判断すると、Googlebotになりすました第三者にも、全文を渡してしまいます。
本物のGooglebotかどうかは、Googleが案内する方法で確かめたうえで、全文を返してください。
Bingの案内
Bingも、2022年5月の公式ブログで、有料記事の全文をクローラーに見せる方法を案内しています。Bingbotが本物かどうかは、公開されているIPアドレスの一覧と照らして確かめる、とも書かれています。
構造化データの書き方
基本の書き方
Googleの文書によると、有料部分の構造化データは、次の3点で書きます。
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| isAccessibleForFree | 記事全体と、有料部分の要素の両方で、falseにする |
| hasPart | WebPageElement型の要素を入れる |
| cssSelector | 有料部分を囲むHTML要素のクラス名を指定する。「.class」の形だけを使う |
対応する型は、ArticleやNewsArticle、WebPageなど、CreativeWorkとその下位の型です。形式は、JSON-LDとマイクロデータのどちらでも構いません。
HTML側の準備
まず、HTMLで有料部分をクラスで囲みます。ここでは「paywall」というクラス名にします。
<article>
<h2>見積もり作業を半分にする社内テンプレートの作り方</h2>
<div class="article-lead">
<p>この記事では、見積書の作成時間を減らすテンプレート設計を、3つの手順で解説します。</p>
<p>目次:1. 項目の洗い出し 2. 単価表の分離 3. 承認フローの固定</p>
</div>
<div class="paywall">
<p>(ここから会員限定の本文)</p>
</div>
</article>
JSON-LDの例
次に、同じページにJSON-LDを入れます。「script」タグの間に入れて設置します。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "見積もり作業を半分にする社内テンプレートの作り方",
"datePublished": "2026-10-01",
"dateModified": "2026-10-15",
"author": {
"@type": "Organization",
"name": "株式会社サンプル"
},
"isAccessibleForFree": false,
"hasPart": {
"@type": "WebPageElement",
"isAccessibleForFree": false,
"cssSelector": ".paywall"
}
}
有料部分が複数ある場合
本文の途中に、無料部分と有料部分が交互に出てくるときは、有料部分ごとにクラス名を付けて、hasPartを配列にします。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "製造業の受発注を電子化する手順と社内説明のコツ",
"isAccessibleForFree": false,
"hasPart": [
{
"@type": "WebPageElement",
"isAccessibleForFree": false,
"cssSelector": ".members-section1"
},
{
"@type": "WebPageElement",
"isAccessibleForFree": false,
"cssSelector": ".members-section2"
}
]
}
よくある間違い
| 間違い | 理由 |
|---|---|
| cssSelectorにID指定や複雑なセレクタを書く | Googleは「.class」の形だけを使うよう案内している |
| 有料部分の中に、さらに有料部分を入れ子にする | Googleはセクションを入れ子にしないよう案内している |
| クラス名を構造化データに書いたのに、HTML側で付け忘れる | 公開後に、HTMLのソースで実際のクラス名を確認する |
| JSONの文法エラー | カンマの付け忘れや全角の引用符で、構造化データ全体が読まれなくなる |
公開前に検証する
上の2つのJSON-LDの例は、Pythonの標準機能で文法エラーがないことを、筆者が確認しました。
自社で書いたものは、Googleのリッチリザルトテストで確認してから公開してください。公式の手順にも、リッチリザルトテストで検証し、重大なエラーを直すことが書かれています。
構造化データだけで守れるわけではない
構造化データは、有料部分であることを示すためのものです。それだけで、AI機能への利用が止まるわけではないと、筆者は考えています。
isAccessibleForFreeを付けた部分を、GoogleがAIによる概要でどう扱うかの説明は、2026年10月17日時点では見当たりませんでした。
Article構造化データの全体は、Article構造化データの解説で説明しています。
資料請求フォームの裏に大事な情報を置くとどうなるか
AI検索からは紹介ページの文章しか見えない
ホワイトペーパーや調査レポートを、フォーム入力と引き換えにダウンロードしてもらう運用は、見込み客の連絡先を集める方法として広く使われています。ただし、AI検索の観点では注意が必要です。
筆者の整理では、フォームを送信しないと手に入らない資料は、ログインが必要なページと同じく、クローラーから読めません。AI検索から見える自社の情報は、ダウンロードの紹介ページに書かれた文章だけになります。
紹介ページが一文だけの場合
紹介ページに「業界の最新動向をまとめました。今すぐダウンロード」としか書いていなければ、AIにとっての情報量はほとんどありません。
フォームの裏だけに置くと困る情報
特に影響が大きいのは、次のような情報を、フォームの裏にだけ置いている場合です。
| 情報 | 起こりうること |
|---|---|
| 独自に集めた調査データ | 引用されやすい一次情報なのに、外から見えない |
| 料金表 | AIが古い情報や、他社サイトの推測で料金を答えてしまう |
| 製品の仕様や対応範囲 | 比較の質問で、候補に入らない |
PDFを直接置いてもフォームの意味がない
反対に、フォームはあるのに、PDFのURLを直接開けば誰でも見られる状態のサイトもあります。この場合、PDFがクローラーに読まれて、検索結果に出ることがあります。
フォームで連絡先を集めるつもりが、素通りされてしまいます。
PDFのURLを、ログアウトした状態のブラウザで開いて、確かめてください。
一部を公開して概要を伝える設計
閉じた情報をAI検索に届けるための現実的な答えは、全部を公開するか、全部を閉じるかの二択ではありません。概要は公開し、詳細は閉じる設計です。
公開ページに書くとよい要素
| 要素 | 書き方のポイント | AI検索にとっての意味 |
|---|---|---|
| 要約 | 結論を2文から4文で書く。「何が分かるか」でなく「何が分かったか」を書く | 質問への答えとして使われやすい |
| 目次 | 章の見出しをそのまま載せる | 扱っている範囲が伝わる |
| 一部抜粋 | 代表的なデータを1点か2点。手順なら最初の1つ | 具体的な根拠として使われやすい |
| 対象読者 | 業種、規模、立場 | 誰向けの情報かが伝わる |
| 発行情報 | 発行者、発行日、調査期間、ページ数 | 信頼性と鮮度の手がかりになる |
この表の「意味」の列は、筆者の考えです。公式に確認された効果ではありません。
調査レポートの例
調査レポートなら、紹介ページに主要な結果を1点か2点、調査方法とあわせて書きます。たとえば「回答した企業のうち、△割が〇〇と答えた」という形です。
詳しい内訳、クロス集計、考察は、フォームの裏に置きます。
紹介ページの構成の例
ダウンロード資料の紹介ページは、次の順に並べると、AIにも人にも内容が伝わりやすくなります。順番は、筆者の提案です。
| 順番 | ブロック | 書く内容 |
|---|---|---|
| 1 | 資料の名前と発行情報 | 発行者、発行日、調査期間、ページ数 |
| 2 | 要約 | 何が分かったかを、結論から書く |
| 3 | 対象読者 | 業種、規模、立場 |
| 4 | 目次 | 章の見出しをそのまま載せる |
| 5 | 代表的なデータ | 結果を1点か2点、調査方法とあわせて載せる |
| 6 | 入手方法 | フォームへのリンクと、入力する項目 |
要約と代表的なデータをフォームの前に置くことで、フォームを開く前に、資料の価値が伝わります。
公開した内容と、請求の中身を食い違わせない
紹介ページに書いた要約や数字は、実際の資料の内容と一致させます。食い違うと、請求した人の信頼を失います。
資料を更新したときは、紹介ページの要約と発行日も、同じ日に直します。
期待できること
こうすると、AI検索で「〇〇の実態は?」と聞かれたとき、自社の調査が材料に入る可能性が生まれます。詳しく知りたい人は、資料を請求します。
要約を出すと資料請求は減るのか
「要約を出すと、資料請求が減るのではないか」という心配はもっともです。一方で、中身の質が伝わらなければ、そもそもフォームまでたどり着いてもらえません。
何を公開すれば請求が増えるかは、サイトによって違います。公開範囲を変えた前後で請求数を比べ、自社に合う線を探すのが確実です。
有料記事の場合
有料記事でも、考え方は同じです。冒頭の公開部分に、記事の結論と目次を入れておきます。
続きに進む価値(具体的な手順、テンプレート、事例の詳細)は、有料部分に残します。冒頭が前置きだけで終わっていると、検索やAIから見たときに、何の記事かが分かりません。
有料部分をAIに読ませたくない場合の考え方
ここまでは、届ける話でした。
有料部分はAIに使わせたくない、という判断もあります。その場合の考え方は、大きく2つに分かれます。
考え方1 クローラーに渡さない
最も確実なのは、有料部分をクローラーにもブラウザにも渡さないことです。Googleも、ブラウザに有料部分を渡したくないなら、有料部分をブラウザに送らない実装を選ぶよう案内しています。
サーバー側でログインの状態を確認し、会員にだけ本文を返す形です。この場合、Google検索でも、有料部分の内容では見つけてもらえなくなります。
渡さない場合の公開部分
検索から来てほしい記事は、公開部分(冒頭、要約、目次)だけで内容が伝わるように書いておきます。
robots.txtで止める場合の注意
AIのクローラーごとに、サイト全体や特定のディレクトリへのアクセスを止めたいときは、robots.txtで指定する方法があります。robots.txtの書き方は、robots.txtでAIクローラーを制御する方法で説明しています。
OpenAIの文書には、OAI-SearchBotを止めたサイトも、ChatGPTの検索の回答には表示されませんが、ナビゲーション用のリンクとしては表示されうると書かれています。
考え方2 Googleには渡すが、表示や利用を制限する
Google検索には載せたいが、有料部分の文章が検索結果やAIによる概要にそのまま出るのは避けたい、という場合です。
GoogleのAI機能の文書には、検索に表示される情報を制限するには、nosnippet、data-nosnippet、max-snippet、noindexを使うと書かれています。有料部分を囲む要素にdata-nosnippetを付ければ、その部分をスニペットに使わないよう指定できます。
Gemini向けの制御
Geminiの学習などへの利用を制御したいときは、robots.txtでGoogle-Extendedを指定する方法があります。Googleの文書によると、Google-ExtendedはGoogle検索への掲載に影響せず、検索の順位を決める信号にも使われません。
各AIサービスはペイウォールをどう扱うか
2026年10月17日時点で、各社の公式文書から確認できた範囲は、次のとおりです。
| サービス | ペイウォールやログインについての公式説明 |
|---|---|
| Google(AI OverviewsとAI Mode) | 表示の条件は、通常の検索と同じ。プレビューの制御が適用される。有料部分をAI機能でどう扱うかの説明は見当たらない |
| OpenAI(ChatGPT) | クローラーごとのrobots.txtの制御は説明がある。ペイウォールの裏の情報の扱いは見当たらない |
| Perplexity | クローラーの役割とrobots.txtの扱いは説明がある。ペイウォールの裏の情報の扱いは見当たらない |
| Anthropic(Claude) | 自社のボットがCAPTCHAを回避しないこと、学習用のデータ収集でパスワード保護のページに入らないことは説明がある。ペイウォールの扱いは見当たらない |
見当たらないことの意味
「見当たらない」は、読まないという意味でも、読むという意味でもありません。公式の説明がない以上、自社で判断するときは、サーバーから渡した情報は読まれる可能性がある、という前提に立つのが安全です。
公開範囲を決める手順
実際に作業するときは、次の順番で進めると、迷いにくくなります。
- 閉じている情報の一覧を作る。有料記事、会員ページ、ダウンロード資料を、URLと資料名ごとに書き出す
- 情報ごとに、AI検索に届けたいか、守りたいかを決める。両方に当てはまるものは、概要と詳細に分ける
- 公開する部分を書く。要約、目次、一部抜粋、対象読者、発行情報を公開ページに載せる
- 実装方法を選ぶ。守りたい部分をサーバー側で制御するのか、Googleにだけ全文を見せるのかを決める
- 有料記事には構造化データを入れる。Google検索に全文を見せるなら、入れておく
- 表示や利用の制限を設定する。必要に応じて、data-nosnippetやrobots.txtを設定する
- 公開後に確認する。ログアウトした状態の表示、HTMLのソース、Search ConsoleのURL検査で、意図どおりかを確かめる
チェックリスト
公開範囲
- 会員限定ページの中に、見込み客にも知ってほしい情報(できること、対応範囲、よくある質問)が埋もれていない
- 資料ダウンロードの紹介ページに、要約、目次、代表的なデータが書かれている
- 料金や仕様など、AIに正しく答えてほしい情報が、フォームの裏だけにない
- 有料記事の無料部分に、結論と目次が入っている
有料記事の実装
- 有料部分をGoogleに見せる場合、Googleが全文を読める状態になっている
- 構造化データのisAccessibleForFreeがfalseになっている
- cssSelectorが「.class」の形で、HTML側のクラス名と一致している
- 有料部分を入れ子にしていない
- JSON-LDの文法エラーがない(検証ツールで確認済み)
- 全文をJavaScriptで隠すだけの実装になっていない
- Googlebotにだけ全文を返す場合、本物かどうかを確かめている
守る側の設定
- 守りたい部分は、ログインの確認後にだけ、サーバーから返している
- PDFのURLを直接開いても、意図しない人に見られない
- 必要に応じてdata-nosnippetやrobots.txtを設定し、検索用のボットまで止めていないか確認した
- 公開後に、ログアウトした状態のブラウザとHTMLのソースで表示を確認した
よくある質問
Q. 会員限定ページをGoogle検索にだけ見せることはできますか?
技術的には、本物のGooglebotからのアクセスにだけ、内容を返すことはできます。ただし、利用者にはログイン画面しか見えないのに、Googleには全文を見せる状態は注意が必要です。
有料記事向けの条件(構造化データで有料部分を示す、Flexible Samplingに沿って一部を無料で見せる)を満たさないと、クローキングとみなされるおそれがあります。検索に載せたい情報は、公開ページに切り出すほうが安全です。
Q. 構造化データを入れれば、AI検索で引用されやすくなりますか?
有料部分の構造化データは、Googleが有料コンテンツとクローキングを区別するためのものです。入れたからといって、引用されやすくなるという公式の説明はありません。
引用につながるのは、公開部分に、質問への答えになる文章があるかどうかだと、筆者は考えます。
Q. ホワイトペーパーは全部公開したほうがよいですか?
全部公開する必要はありません。要約、目次、代表的なデータを紹介ページに書けば、AI検索に内容が伝わる可能性が生まれます。
詳細はフォームの裏に残し、公開範囲を変えた前後で請求数を比べながら調整してください。
Q. 有料部分をdata-nosnippetで囲むと、Google検索に載らなくなりますか?
data-nosnippetは、指定した部分をスニペットやAI機能の表示に使わないための属性です。ページ自体の掲載を止めるものではありません。
ただし、表示に使える文章が減るので、公開部分だけで記事の内容が伝わるように書いておくことが大切です。
Q. ChatGPTやPerplexityは、有料記事の中身を読んでいますか?
2026年10月17日時点で、両社の公式文書に、ペイウォールの裏の情報の扱いについての説明は見当たりませんでした。
分からない以上、サーバーから渡した情報は読まれる可能性があると考えます。守りたい部分は、ログインの確認後にだけ返す実装にするのが確実です。
まとめ
- ログインが必要なページや、フォームの裏の資料は、AI検索から見えません
- 有料記事をGoogleに載せるなら、全文を読める状態にし、構造化データで有料部分を示し、Flexible Samplingに沿います
- 届けたい部分は、要約、目次、一部抜粋として公開ページに書きます
- 守りたい部分は、サーバー側で確実に制御します
- 各AIサービスのペイウォールの扱いは、公式にはまだ示されていません
仕様は変わりやすいので、半年に一度は、公式文書と自社の設定を見直してください。
今日できる点検
まずは、自社の閉じた情報を、URLと資料名で一覧にしてください。そのうえで、ログアウトした状態のブラウザで、紹介ページを開きます。
紹介ページを読んで、何の資料で、何が分かるのかが伝わるかを確かめます。伝わらないなら、要約と目次を足すところから始めます。
参照した公式文書
- Google検索セントラル、有料コンテンツの構造化データのページ(developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data/paywalled-content)
- Google検索セントラル、スパムに関するポリシーのページ(developers.google.com/search/docs/essentials/spam-policies)、Flexible Samplingのページ(developers.google.com/search/docs/appearance/flexible-sampling)
- Google検索セントラル、JavaScript関連の問題の修正のページ(developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/javascript/fix-search-javascript)、ドキュメントの更新履歴(developers.google.com/search/updates。2025年8月28日の項)
- Google検索セントラル、技術要件のページ(developers.google.com/search/docs/essentials/technical)、AI機能と自社サイトのページ(developers.google.com/search/docs/appearance/ai-features)
- Googleのクローラー一覧のページ、Google-Extendedの項(developers.google.com/crawling/docs/crawlers-fetchers/google-common-crawlers)
- Bing Webmaster Blog、有料記事のSEOの記事(2022年5月2日公開)
- OpenAIの開発者向け文書、クローラー(bots)のページ(developers.openai.com/api/docs/bots)
- Perplexityの開発者文書、クローラーのページ(docs.perplexity.ai/docs/resources/perplexity-crawlers)
- Anthropicのプライバシーセンター、ウェブのクロールとサイト所有者のブロック方法の記事(privacy.claude.com/en/articles/8896518)、学習での個人データの扱いの記事(privacy.claude.com/en/articles/7996885)
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