既存のお客様に、紙やメールのニュースレターを出したい。そう考えた中小企業や店舗の経営者、ご担当者に向けて書きます。
先に答えを書きます。
ニュースレターの作り方は、ソフトの操作より前に「誰に、何の役に立つ話を届けるか」を決めると決まります。
売り込みの文章を主役にすると読まれなくなり、お客様の役に立つ話と、作り手の顔が見える話を主役にすると読まれます。
この記事では、紙とメールの両方について、中身の作り方、作る手順、続けるための仕組みを順に説明します。
メールで送る場合の法令も、総務省と日本データ通信協会の資料で確かめた範囲を書きます。
先に答え:ニュースレターは3つを決めると作れる
ニュースレターを作る前に、紙1枚かメモ帳に書き出すことが3つあります。
ソフトを開くのは、そのあとで構いません。
- 読む人は誰か(既存のお客様の中の、どんな人か)
- 読んだ人に何をしてほしいか(来店、返信、相談のどれか1つ)
- 年に何回、誰が作るか
この3つが空白のまま作り始めると、1号は出せても、3号目で止まりやすくなります。
読む人を1人の顔で思い浮かべる
「既存のお客様全員」に向けて書くと、誰にも刺さらない文章になります。
先月も来てくれた常連さんを1人思い浮かべて、その人に手紙を書く気持ちで作ります。
実在の人を思い浮かべると、使う言葉や話題の深さが自然に決まります。
してほしいことは1つに絞る
1号に入れる「お願い」は1つで足ります。
来店してほしいのか、返信がほしいのか、友人に紹介してほしいのかを、先に決めておきます。
お願いが3つも4つもあると、読んだ人は何もしないまま閉じてしまいます。
回数と担当を、最初に決めておく
ニュースレターで一番多い失敗は、内容の出来不出来より先に、止まってしまうことです。
月に1回が重いなら、年に4回でも成り立ちます。
回数は、無理なく守れる数から決めます。
3つを決めたあとの全体の流れ
| 順番 | やること | 決めるもの |
|---|---|---|
| 1 | 読む人を1人思い浮かべる | 言葉づかいと話題の深さ |
| 2 | してほしいことを1つ決める | 最後に置く一言 |
| 3 | 紙かメールかを選ぶ | 形式と配り方 |
| 4 | 中身の材料を集める | ネタ帳 |
| 5 | 1号分を作る | 原稿とレイアウト |
| 6 | 次の3号分の予定を立てる | 年間のカレンダー |
この表の順に進めると、迷う場面がかなり減ります。
Q&Aサイトで見かけた、顧客向けニュースレター作りの悩み
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
質問者は、自分を売り込むための名刺や、顧客に向けたニュースレターを、センスよく作りたいと考えている方でした。
パソコンのスキルに自信がなく、ワードの初心者向けの本を見ながら文書を作る程度はできるそうです。
質問の中身
質問者の困りごとは、作った文書が箇条書きの並びになってしまい、見た目が野暮ったくなることでした。
お手本になる本やサイト、ソフトがあれば教えてほしい、という相談です。
表現を整えたい気持ちが強く、中身の悩みよりも、見た目の悩みとして書かれていました。
寄せられた回答
回答には、まず手書きで下書きをして、配置を決めてからパソコンに移す方法が紹介されていました。
同じ種類の別の質問では、社内向けの会報を作る人に対して、別の回答者がこう答えていました。
高機能なソフトを使いこなすことと、仕上がりが良くなることは別の話で、使い慣れたワードで内容の濃いものを作る道を考えたほうがよい。
そんな趣旨の回答です。
この質問から読み取れること
質問者は見た目に悩んでいますが、箇条書きになってしまう原因は、中身が決まっていないことにある場合が多いです。
何を伝えるかが決まっていれば、1文ずつの短い段落でも、読みやすい紙面になります。
この記事では、見た目の前に中身を決める順番で説明します。
ニュースレターでよくあるつまずき
ニュースレターのつまずきは、作り方の知識不足よりも、始め方の順番から起きます。
つまずきは号を重ねてから出る
1号目は気合いで作れます。
2号目は、1号の反響を見て作れます。
3号目あたりから、ネタ切れと忙しさで手が止まります。
よくあるつまずきと、その原因
| つまずき | 起きていること | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 箇条書きばかりになる | 伝えたい話が決まっていない | 1号に入れる話は3本まで |
| 売り込みだらけになる | 読む人の得が書かれていない | 役立つ話を紙面の過半にする |
| 3号目で止まる | 1人で全部を抱えている | 材料集めと確認の分担 |
| 反応が分からない | 返信先が書かれていない | 最後に返信の方法を1つ書く |
| 誰も読んでいない気がする | 数えるものを決めていない | 来店時の一言を記録する |
| メールが届かない | 送り方や表示に不備がある | 送信者の表示と受信拒否の方法 |
ここで挙げたつまずきは、後ろの章で1つずつ対処法を書きます。
見た目を整えても解決しない理由
デザインを整えると、確かに見栄えは良くなります。
ただ、読まれるかどうかは、最初の数行に「自分に関係のある話」が書かれているかで決まります。
見た目はその次の問題です。
紙とメールを両方扱う理由
ニュースレターという言葉は、紙の便りにもメールの便りにも使われます。
お客様の年齢や、普段の連絡手段によって、向く形式は変わります。
そのため、この記事では紙とメールを並べて説明し、後ろの章で選び方を表にします。
紙とメールのどちらで出すかを決める
ニュースレターの形式は、紙とメールの2つに大きく分かれます。
どちらが優れているという話はありません。お客様が普段どちらを見ているかで選びます。
メールが届く相手の多さ
総務省が2026年5月に公表した令和7年通信利用動向調査では、インターネットを利用する人のうち、電子メールの送受信に使う人の割合は78.2%でした。
同じ調査で、50歳以上のどの年齢階層でも、利用目的の1位は電子メールの送受信でした。
つまり、年配のお客様が多い店でも、メールが届く可能性は十分にあります。
紙が向く場面
紙のニュースレターは、会計のときに手渡したり、商品と一緒に封筒へ入れたりできます。
メールアドレスを聞いていないお客様にも届きます。
台所の壁や、事務所の机の上に置かれるので、読まれる時間が長くなる傾向があります。
紙を郵送やポスティングで既存のお客様に届ける場合の考え方は、DMの反応率を上げる前に既存客への郵送と反応後の申込みの流れを見直す記事も参考になります。
紙とメールを選ぶ質問
迷ったときは、次の質問に答えてみてください。
お客様の何割が、メールアドレスを教えてくれているか。
次にお会いするとき、手渡しできる機会があるか。
どちらも少ないなら、まず紙で始めて、手渡しのときにメールアドレスをうかがう流れが現実的です。
両方を使う場合の役割分担
紙とメールを両方出す場合は、中身を二重に作らないことが大切です。
紙を本編にして、メールには要約とリンクだけを載せる形にすると、手間が増えません。
| 項目 | 紙 | メール |
|---|---|---|
| 届く相手 | 来店や訪問のあるお客様 | メールアドレスを教えてくれたお客様 |
| 作る道具 | ワードなどの文書ソフト | メールソフトか配信の仕組み |
| 配る手間 | 印刷、折り、手渡しか郵送 | 送信ボタンを押す |
| 手書きの一言 | 添えやすい | 添えにくい |
| 反応の見え方 | 来店時の一言、返信はがき | 返信、リンクを開いた記録 |
| 法令の注意 | 特定電子メール法の対象外 | 同意の取得と表示義務がある |
| 続けやすさ | 印刷の手間が毎回かかる | 型を作れば短時間で出せる |
この表の「法令の注意」の行は、後ろの章で詳しく説明します。
読まれる中身は、役立つ話と作り手の顔
ニュースレターは、広告のチラシではありません。
お客様との関係を温めるための、定期的な便りです。
売り込みを紙面の主役にしない
セールの案内だけを毎号載せると、お客様は「また売り込みか」と感じて読まなくなります。
紙面の過半は、お客様の役に立つ話と、作り手の顔が見える話に使います。
売り込みは、最後に短く置くだけで足ります。
役立つ話の例
役立つ話とは、読んだ人が明日から使える情報です。
飲食店なら、家で同じ料理を作るときのコツがあります。
美容室なら、自宅でできる髪の手入れの手順が、整骨院なら、デスクワークの合間にできる体操が当たります。
自社の商品を使わなくても役に立つ話のほうが、信頼につながります。
作り手の顔が見える話
作り手の顔が見える話は、スタッフの紹介、仕入れ先を訪ねた話、失敗談などです。
完璧な話より、少し間の抜けた話のほうが、読み手の記憶に残ります。
写真は、顔や手元が写っているものを1枚入れるだけで、紙面の温度が変わります。
中身の配分の目安
1号の中身は、次のような配分を目安にします。
| 内容 | 紙面での割合 | 例 |
|---|---|---|
| 役立つ話 | 4割 | 家でできる手入れ、選び方のコツ |
| 作り手の顔が見える話 | 3割 | スタッフの紹介、仕事の裏話 |
| お客様の声や質問への回答 | 2割 | 店頭で聞かれたことへの答え |
| お知らせと売り込み | 1割 | 次の予定、新商品、休業日 |
この割合は、現場で試すための目安です。
自社のお客様の反応を見ながら、少しずつ動かしてください。
1号に入れる話は3本まで
1号に載せる話は、多くても3本にします。
話が多いと、全部が中途半端になり、どれも記憶に残りません。
余った話は、次の号に回せるので、ネタ帳に貯めておきます。
ネタの探し方と、ネタ帳の作り方
ニュースレターを続けるうえで、ネタ切れが一番の壁になります。
ネタは、探しに行くよりも、日々の仕事の中で拾うほうが続きます。
お客様の質問をそのまま題材にする
お客様から聞かれたことは、他のお客様も知りたいことです。
店頭や電話で聞かれたら、その場でメモを取ります。
メモは、そのまま見出しの候補になります。
季節と仕事の流れから拾う
1年の仕事の流れを書き出すと、時期ごとの話題が見えてきます。
繁忙期の前に準備のコツ、閑散期にはゆったり使える過ごし方といった具合です。
季節の話題は、毎年使い回せるので、一度作った型が長く役に立ちます。
数字と写真を1つずつ入れる
文章だけの紙面は、読み手が疲れます。
その号の話に合う数字を1つ、写真を1枚入れるだけで、紙面にリズムが出ます。
数字は、自社で数えたものを使えば、出典の心配がありません。
ネタ帳の作り方
| ネタの出どころ | 拾い方 | 記録する場所 |
|---|---|---|
| お客様の質問 | 聞かれた日にメモする | スマートフォンのメモ |
| スタッフの失敗談 | 朝礼で1人1つ話してもらう | 共有の紙1枚 |
| 季節の行事 | 年間カレンダーに書き出す | 壁のカレンダー |
| 仕入れや制作の裏側 | 作業中の写真を1枚撮る | スマートフォンの写真 |
| 見聞きした役立つ話 | 出典を添えて書き留める | ノート |
ネタ帳は、見返しやすい場所に置いておくことが条件です。
ネタが3つ溜まった時点で、次の号の骨組みが作れるようになります。
他人の文章を載せるときの注意
ネットや本から文章や画像を持ってくると、著作権の問題になる場合があります。
他の記事をそのまま載せることは避け、自分の言葉で書き直すか、リンクで紹介するだけにとどめます。
画像も、自分で撮った写真を使うのが一番安全です。
紙のニュースレターを、ワードで作る手順
紙のニュースレターは、ワードのような普段使っている文書ソフトで作れます。
高機能な編集ソフトを新しく覚える必要はありません。
手順の全体像
ワードで作る場合の順番は、次のとおりです。
| 順番 | 作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 紙に手書きで枠を描く | 見出しと写真の場所を決める |
| 2 | 用紙の大きさと向きを決める | A4の縦が使いやすい |
| 3 | タイトル部分を作る | 店名、号数、発行日 |
| 4 | 本文を段組みにする | 2段が読みやすい |
| 5 | 写真と見出しを入れる | 1ページに写真は2枚まで |
| 6 | 試し刷りをして読む | 文字の大きさを確かめる |
| 7 | 本刷りと仕分け | 手渡し用と郵送用に分ける |
最初に手書きで枠を描くのは、先ほどのQ&Aサイトの回答でも勧められていた方法です。
パソコンに向かう前に配置を決めておくと、迷う時間がなくなります。
用紙は、まずA4の1枚で始める
はじめての号は、A4の片面1枚で足ります。
話が3本あれば、表面に2本、裏面に1本とお知らせを載せられます。
ページ数を増やすのは、続けられるようになってからで遅くありません。
タイトル部分と本文を分けて段組みにする
タイトルは横いっぱいに1段で、本文は2段にしたい場合は、途中で段の数を変える操作が必要になります。
Microsoftのサポート情報には、次のように書かれています。
「たとえば、セクションを使用して、レポートの導入部を1段組みとして書式設定し、レポート本文を2段組みとして書式設定できます。」
つまり、タイトルのすぐ下にセクション区切りを入れて、その下の本文だけを2段にすればよいということです。
同じ説明の中で、セクション区切りには種類があり、同じページで新しいセクションを始める区切りは、段組みの文書で特に便利だと案内されています。
新しいページを始めずに、段の数だけを変えられるからです。
段組みの設定ボタンの位置は、ワードの版によって表示が異なります。
見つからないときは、ワードのヘルプで「段組み」を検索してください。
写真と文字の大きさを決める
本文の文字は、読む人の年齢に合わせて決めます。
年配のお客様が多いなら、少し大きめにして、行の間隔も空けます。
見出しは本文より大きくして、太字にします。
写真は、1枚の紙面に2枚までにとどめます。
多すぎると、話の流れが途切れます。
試し刷りで確認すること
画面で見ると整って見えても、印刷すると文字が小さかったり、写真が暗かったりします。
必ず1部試し刷りをして、家族か同僚に声に出して読んでもらいます。
つかえる箇所があれば、そこが読みにくい文です。
渡し方と配り方
| 渡し方 | 向く場面 | 添えるもの |
|---|---|---|
| 会計のときに手渡す | 来店の多いお客様 | 一言の声かけ |
| 商品と一緒に封筒へ入れる | 通販や配達のあるお客様 | 手書きのメモ |
| 郵送する | 来店の少ないお客様 | 宛名と差出人の明記 |
| 店頭に置く | 立ち寄る方全般 | 持ち帰りの案内 |
郵送のときは、宛名の書き方と差出人の記載を整えます。
料金や規格は、郵便局の窓口か日本郵便の案内で、その時点の内容を確かめてください。
メールのニュースレターを作る手順
メールのニュースレターは、型を一度作れば、あとは短い時間で出せます。
その代わり、件名と冒頭の数行で読まれるかどうかが決まります。
件名は、中身が分かる1行にする
件名には、その号の話の中で一番役に立つ話題を入れます。
「ニュースレター第5号」だけでは、開く理由がありません。
「冬のお手入れで気をつけたい3つのこと」のように、読んだ得が見える件名にします。
冒頭の3行で、誰からの便りかを伝える
冒頭には、店名と名前、季節の一言、今号の内容を書きます。
お客様は、受信箱で見慣れない文面が来ると、すぐ閉じてしまいます。
顔が見える一言から入ると、読み進めてもらえます。
本文は短く、1つの話に絞る
メールは、紙よりも画面で読まれるため、1本の話を短くまとめます。
長い話は、ホームページの該当ページにまとめておき、メールには要約とリンクだけを載せます。
メールを開いた人に、次にしてほしいことは1つだけ書きます。
署名欄に必ず入れるもの
署名欄には、送信者の名前、店や会社の名称、住所、電話番号を入れます。
これは見栄えのためだけではありません。
後ろの章で説明する法令で、広告宣伝メールに表示が求められる事項と重なります。
宛先の入れ方に気をつける
複数のお客様に同じメールを送るとき、宛先の欄に全員のアドレスを並べると、受け取った人同士にアドレスが見えてしまいます。
Microsoftのサポート情報によると、ブラインドカーボンコピー欄に入れた宛先は、ほかの受信者には表示されません。
同じ説明で、その欄の表示をオンにすると、オフにするまでメッセージを作成するたびに表示される、とも案内されています。
数が多くなってきたら、メールソフトの手作業から、配信の仕組みに切り替える時期です。
その切り替えの考え方は、ステップメールで商談が生まれない本当の理由と登録直後に効く設計にも書いています。
メールの型を作っておく
| 部分 | 書くこと | 毎号変わるか |
|---|---|---|
| 件名 | その号の一番の話題 | 変わる |
| 冒頭 | 名前、季節の一言 | 一部変わる |
| 本文 | 役立つ話、顔が見える話 | 変わる |
| お願い | 返信か来店のどちらか1つ | 変わる |
| 署名 | 名前、名称、住所、連絡先 | 変わらない |
| 受信拒否の案内 | 配信を止める方法 | 変わらない |
変わらない部分は、一度作って保存しておくと、毎号の手間が減ります。
届かないときに確かめること
送ったのに届かない、迷惑メールのフォルダに入ってしまう、という悩みは少なくありません。
その場合は、送信側の設定を点検します。
詳しい確認の手順は、メルマガ・営業メールが「届かない」を防ぐ実務ガイドにまとめています。
メールで送るなら、特定電子メール法を先に確かめる
紙のニュースレターには関係しませんが、メールで送る場合は法律の話を避けて通れません。
関係するのは、特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)です。
ここでは、総務省と消費者庁のガイドライン、総務省の迷惑メール対策のページ、一般財団法人日本データ通信協会の迷惑メール相談センターの説明を、今日開いて確認した範囲で書きます。
ニュースレターは広告宣伝メールに当たるのか
総務省と消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」では、特定電子メールを、営利を目的とする団体や営業を営む個人が、自己または他人の営業について広告または宣伝を行うための手段として送る電子メールと説明しています。
ガイドラインは、営業上のサービスや商品の情報を宣伝するメールは明らかに当たるとしたうえで、宣伝するウェブサイトへの誘導が送信目的に含まれるメールも、特定電子メールに該当するとしています。
一方で、当たらない例として、次のものを挙げています。
「単なる時候の挨拶であって、広告や宣伝の内容を含まず広告又は宣伝のウェブサイトへの誘導もしない電子メール」
お客様への便りでも、新商品の案内や、お店のページへの誘導が入れば、特定電子メールとして扱う前提で準備しておくのが安全です。
また、政治団体、宗教団体、特定非営利活動法人、労働組合などの非営利団体が送るメールは、特定電子メールに当たらないとされています。
原則は、事前の同意が必要
日本データ通信協会の迷惑メール相談センターは、2008年(平成20年)の法改正から、次のように説明しています。
「原則として広告宣伝メールを送るには、受信者の事前承諾が必要です。」
この仕組みがオプトインです。
つまり、名簿に載っているお客様であっても、メールで便りを送ることに同意してもらっていなければ、原則として送れません。
同意と認められる集め方
ガイドラインでは、同意を、受信者が広告・宣伝メールの送信が行われることを認識したうえで、賛成の意思を表示した場合に得られたものと考えています。
そのため、申込みフォームで次の点を守ります。
| 点検する点 | 良い例 | 避けたい例 |
|---|---|---|
| 送り主の名称 | 店名や会社名を明記する | 「関連サイトから送ります」とだけ書く |
| 送る旨の表示 | 「ニュースレターをメールで送ります」と見やすく書く | 長い規約の奥に小さく書く |
| 賛成の意思 | 自分でチェックを入れてもらう | 最初からチェックが入っている |
| 頻度や量 | 「月に1回」など目安を伝える | 何も伝えない |
ガイドラインは、チェックボックスについて、最初にチェックが入っている状態より、入っていない状態のほうが受信者の意思が明確になるとして、可能なら後者を勧めています。
確認のメールを送って返信をもらう二段階の方法(ダブルオプトイン)も推奨されていますが、メールマガジンの購読のように簡便さが求められる場面では、必ずしも適当でない場合があるとも書かれています。
例外として送れる相手
同意をもらっていなくても送れる相手が、法律で決められています。
| 例外 | 内容 | 注意する点 |
|---|---|---|
| 書面でアドレスを通知した人 | 名刺などでメールアドレスを知らせてくれた人 | 通知先の相手が特定できていること |
| 取引関係にある人 | 継続的に購入や契約がある人 | 一度の購入だけでは足りない場合がある |
| ホームページ等でアドレスを公表している団体や個人事業主 | 公表されたアドレス宛て | 送信拒否の表示があれば例外にならない |
取引関係について、ガイドラインは、社会通念上、明示の拒否がなければ広告・宣伝メールが送られることを許容していると認められる関係としています。
商品の購入は、一度だけでは必ずしも継続的な関係とはいえませんが、以後の購入が予定されている場合には、取引関係にあたることもあるとされています。
既存のお客様向けのニュースレターは、この取引関係の考え方に当たる場合があります。
ただし、判断が分かれる場面もあるため、迷う相手には同意をいただく形にしておくほうが確実です。
メールに必ず表示する事項
同意を得て送る場合でも、法第4条で表示義務があります。
日本データ通信協会のページに整理されている事項は、次のとおりです。
| 表示する事項 | 表示する場所 |
|---|---|
| 送信者の氏名または名称 | メール本文 |
| 受信拒否の通知を受けるメールアドレスまたはURL | メール本文 |
| 受信拒否の通知ができる旨 | 通知先の直前または直後 |
| 送信者の住所 | 任意の場所 |
| 苦情や問い合わせを受ける電話番号、メールアドレスまたはURL | 任意の場所 |
前の章で署名欄に住所や連絡先を入れると書いた理由は、この表にあります。
あわせて、送信元のアドレスを偽ることも禁止されています。
同意の記録と、断られたときの扱い
同意を得て送る場合には、同意を得たことを示す記録を残す義務があります。
ガイドラインによると、保存期間は、その人に特定電子メールを送らないことになった日から1か月を経過する日までです。
受信拒否の連絡が来たら、その人には以後の広告宣伝メールを送ってはいけません。
配信停止の希望は、すぐに名簿へ反映できる形にしておきます。
配信の仕組みを使っても、責任は送り手にある
ガイドラインには、メール配信サービスの事業者は、送信者や送信委託者には該当しないと書かれています。
メールを送る操作の主体や、送信を指示した側が、責任を負う立場になります。
配信の仕組みに任せても、同意の取得と表示は自分で整える必要があります。
守らなかったときのこと
総務大臣と消費者庁長官は、ルールが守られていない場合、送信方法の改善に必要な措置をとるよう命じることができます。
送信者情報を偽った場合や、命令に従わなかった場合には、拘禁刑または罰金の対象になります。
法人の場合は、行為者に加えて法人にも罰金が科されます。
特定商取引法との違い
ネットショップなどで商品を売っているなら、特定商取引法も関わります。
日本データ通信協会の整理では、特定電子メール法は主に送信者に対する規制で、特定商取引法は広告主に対する規制です。
どちらに当たるかの判断は難しいため、通信販売を行う場合は、消費者庁の案内もあわせて確かめてください。
ショートメッセージも対象
総務省の迷惑メール対策のページには、携帯電話番号宛てのショートメッセージも、特定電子メール法の規制対象になると書かれています。
メールだけでなく、番号宛てに送る便りも同じ考え方で整えます。
売れるサイトはみな謙虚という考え方を、ニュースレターに当てはめる
弊社が掲げる「売れるサイトはみな謙虚」という考え方は、ニュースレターにもそのまま当てはまります。
売れるものは、自分を大きく見せるより先に、相手の役に立つことを引き受けています。
足すより引く
ニュースレターを作ると、伝えたいことが次々と浮かびます。
そこで全部を載せると、読む人は何が大事なのか分からなくなります。
1号に載せる話は3本まで、お願いは1つまでと決めて、引き算をします。
迷わせない道を1本だけ用意する
紙面の最後に「詳しくはこちら」と書くなら、行き先は1つにします。
ホームページ全体の入口は使わず、その号の話題を詳しく書いたページを1つ用意して、そこへ案内します。
メールなら、リンクは1本に絞ります。
紙なら、二次元コードを1つ載せて、読み取った先にそのページが出る形にします。
売り込みより、お客様の役に立つ話
お客様は、売り込みの文面には警戒しますが、役に立つ話には心を開きます。
役に立つ話を続けた店は、必要になったときに、真っ先に思い出してもらえます。
これは、お店のホームページの作り方にも共通しています。
| 場面 | 売り込みが前に出た形 | 謙虚に作った形 |
|---|---|---|
| 紙の便りの冒頭 | セールの案内から始まる | お客様の悩みへの答えから始まる |
| メールの件名 | 割引の告知 | 役立つ話の題 |
| 紙面の最後 | 申込みを何度も促す | お願いは1つで、返信の方法を添える |
| ホームページの案内 | メニューが並ぶ | 話題に合う1ページへ案内する |
ニュースレターを続けるための仕組み
ニュースレターは、1号を出すことより、続けることのほうが難しい取り組みです。
続けるための仕組みを、最初の号の前に作っておきます。
3号分のストックを持つ
1号を出し終えてから次の材料を探すと、間に合わなくなります。
ネタ帳から3号分の話題を先に選んでおくと、気持ちに余裕が生まれます。
季節の話題は、半年先まで予定を書いておけます。
担当と締め切りを分ける
1人で全部を抱えると、その人が忙しい月に止まります。
材料を集める人、文章を書く人、確認する人を分けます。
小さな店なら、書く人は1人でも構いません。
その場合も、確認はもう1人にお願いして、締め切りを共有します。
年間のカレンダーを作る
| 時期 | 号の話題の例 | 準備すること |
|---|---|---|
| 春 | 新生活の悩みへの答え | 2か月前にネタを集める |
| 夏 | 暑さへの備え、夏休みの過ごし方 | 写真を春のうちに撮る |
| 秋 | 季節の変わり目の手入れ | 年末の予定を並べる |
| 冬 | 1年の振り返りと来年の予定 | 感謝の一言を添える |
回数は年4回から始めて、慣れたら増やします。
増やす前に、次の号を出せる余力があるかを確かめます。
最初の1号を出すまでの1週間
最初の1号は、1週間で出す前提で段取りを組むと、ずるずる先延ばしになりません。
| 日 | やること | 所要の目安 |
|---|---|---|
| 1日目 | 読む人とお願いを決め、話題を3本選ぶ | 30分 |
| 2日目 | 手書きで枠を描き、文章の下書きを書く | 1時間 |
| 3日目 | ワードかメールに打ち込む | 1時間 |
| 4日目 | 写真を選び、紙面に入れる | 30分 |
| 5日目 | 試し刷りか、自分宛ての試し送信をする | 30分 |
| 6日目 | 家族か同僚に声に出して読んでもらい、直す | 30分 |
| 7日目 | 本刷りか送信 | 30分 |
完成度を上げる時間より、出す日を先に決めることが続けるコツです。
反応の見方を決める
反応は、数えるものを決めておかないと、見えないままになります。
紙なら、「ニュースレターを見ました」と言ってくれたお客様の数を、レジ横のメモに残します。
メールなら、返信の数と、リンクを開かれた数を見ます。
数字が少なくても、1号ごとに1つ前の号と比べて、動きを見るだけで十分です。
反応が薄いときに見直す順番
| 見直す点 | 確かめること | 直し方 |
|---|---|---|
| 件名や題 | 得が見えるか | 役立つ話を先頭に出す |
| 冒頭の数行 | 誰からの便りか分かるか | 名前と季節の一言を入れる |
| 話の数 | 3本を超えていないか | 1本減らす |
| お願い | 1つだけか | 余分なお願いを削る |
| 送る頻度 | 負担になっていないか | 間隔を空ける |
| 送る相手 | 同意を得た人だけか | 名簿を見直す |
一度に全部を直さず、1号ごとに1か所だけ変えると、効いた変更が分かります。
配信を止めたい人への配慮
メールの購読を止めたい人が、簡単に止められるようにしておきます。
これは、法令の面でも大切です。
紙でも、「不要な方はお知らせください」と一言添えておくと、無駄な印刷が減ります。
よくある質問
Q. ニュースレターは、何を書けばよいですか。
役に立つ話、作り手の顔が見える話、お客様の質問への答えを中心に書きます。
売り込みは、最後に短く置くだけにします。
1号に載せる話は、3本までに絞ります。
Q. 紙とメールのどちらから始めればよいですか。
お客様の連絡先で選びます。
メールアドレスを聞いている人が多ければ、メールが手軽です。
聞いていない人が多ければ、手渡しできる紙から始めて、渡すときにアドレスをうかがうと両方に広げられます。
Q. メールで送るのに、同意はいつも必要ですか。
広告宣伝メールに当たる場合は、原則として事前の同意が必要です。
取引関係のある相手などは例外がありますが、条件が決まっています。
迷う場合は、同意をいただく形にしておくと確実です。
Q. ワードで作ると、見た目が素人っぽくなりませんか。
見た目が整うかどうかは、ソフトよりも、情報の少なさと余白で決まります。
話を3本に絞り、文字の大きさをそろえ、写真を2枚までにすれば、ワードでも十分に整います。
Q. どのくらいの間隔で出せばよいですか。
守れる間隔で決めます。
月に1回が重ければ、年に4回でも成り立ちます。
出さない月が続くより、間隔が長くても止まらないほうが、お客様との関係は保てます。
まとめ
ニュースレターの作り方は、読む人を1人思い浮かべ、してほしいことを1つに絞るところから始まります。
中身は、売り込みより、お客様の役に立つ話と、作り手の顔が見える話を中心にします。
紙の場合は、ワードで手書きの枠をもとに作り、タイトルと本文の段の数を変えるときはセクション区切りを使います。
メールの場合は、特定電子メール法に沿って、同意の取得、本文への表示、同意の記録、受信拒否の反映を整えます。
続けるには、3号分のストックと、担当と締め切りの分担、年間のカレンダーが役に立ちます。
どれも、足すより引くほうが働きます。
最初の1号は、完璧でなくて構いません。
今日できる点検
次の表の項目を、今日のうちに埋めてください。
| 点検する項目 | 今日やること | 済んだか |
|---|---|---|
| 読む人 | 思い浮かべる常連さんを1人決める | 決めた |
| お願い | してほしいことを1つ決める | 決めた |
| 形式 | 紙、メール、両方のどれかを選ぶ | 選んだ |
| 回数と担当 | 年の回数と担当者を決める | 決めた |
| ネタ帳 | お客様の質問を3つ書き出す | 書いた |
| 1号目の話題 | 3本の話題を決める | 決めた |
| メールの同意 | 申込みフォームの送り主名と送る旨の表示を見直す | 見直した |
| 表示事項 | 署名欄に名称、住所、連絡先、配信停止の案内を入れる | 入れた |
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