事務所の机に、宛名ラベルを貼り終えたはがきの束が置いてあります。
先月も、その前の月も、同じように送りました。
それなのに、電話は鳴らず、来店のきっかけにもなっていない気がする。そう感じている経営者の方は、少なくないはずです。
この記事は、自分の店や会社が持っている名簿に、郵送のDMやはがきを出している中小企業の経営者に向けて書いています。
美容室、整体院、工務店、学習塾、飲食店、小売店など、いちど買ってくれた人や来てくれた人の名簿がある事業を思い浮かべています。
DMの反応率は、検索すると「業界平均は何%」という数字がいくつも見つかります。
ところが、その数字が自分の名簿に当てはまるのかを、確かめられるページは多くありません。
この記事では、反応率という言葉が何を数えているのか、日本郵便のページで確かめられた数字をどう読むのか、そして反応した人が最初に読むページと申込みの流れで結果がどう変わるのかを、順に書きます。
反応率は、受け取った人が動けるところまで道がつながっているかで決まります。 文面や紙を直す前に、道の途中に穴がないかを見るほうが早く片づきます。
数字は、その場で原文を開いて確かめられたものだけを書きます。確かめられなかった平均値は、書きません。
読み終えたときに、反応を数える場所が1つ決まっている。それがこの記事のゴールです。
Q&Aサイトで見かけた、DMやチラシの反応率の相場を知りたいという相談
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
ずいぶん前に投稿された質問ですが、いまも同じ疑問を持つ経営者の方が多い内容です。
業界別の反応率を、自分で調べる方法を探していた
投稿者は、チラシやDMの反応率を業界ごとに知りたいと書いていました。
マーケティング会社に頼まなくても、統計のようなものを見られるサイトや本はないか、という質問です。
自分でDMを出すことになり、出す前に、どのくらいの手応えを見込めばよいのか知りたかったのだと思います。
回答の1つは「3%から5%くらいと聞く」というものだった
寄せられた回答の1つは、企業秘密なので調べるのは難しく、一般的には3%から5%くらいと聞く、という内容でした。
もう1つの回答は、チラシやDMの中身で結果は全く変わる、というものです。
商品の紹介だけなら反応は悪く、割引の券を付ければ上がり、割引の幅を大きくするほどさらに上がる、と書かれていました。
出す時期や出す地域が違えば、同じ紙でも結果が違うので、他社の数字を教えてもらっても当てにならない、とも指摘されていました。
質問者が本当に知りたかったのは、相場より先の判断だったはず
相場の数字が知りたいという質問の裏には、「この結果は良いのか、悪いのか」を判断したい気持ちがあります。
ところが、回答の2つは、数字だけを見ても判断できないという点で一致していました。
この相談から、DMの反応率について、2つのことが見えてきます。
1つは、聞いた数字を自分の結果と比べても、何も決まらないこと。
もう1つは、結果を左右するのが、紙の中身の前に、誰に・いつ・どこへ反応してもらうかという設計にあることです。
この相談から見えた、反応率で起きやすいすれ違い
他社の平均値を探すと、自分の名簿が置き去りになる
「3%から5%」という数字は、誰がどんな名簿に、どんな内容で送ったときの値なのか、わかりません。
はじめて買ってくれた人が多い名簿と、5年前に1度来たきりの名簿では、同じ紙を送っても結果が違います。
平均値を探しはじめると、自分の名簿の状態を見る時間が、後回しになります。
反応の数え方が決まっていないと、良し悪しが判断できない
反応率は、反応した数を送った数で割って出します。
この割り算の、どちらの数字も、店によって数え方が違います。
電話だけを数える店があり、来店した人まで数える店があります。
数え方が決まっていないまま、他社の数字と比べると、比べる意味がなくなります。
すれ違いは、次の表の4か所で起きやすい
DMの反応率でつまずく場面は、次のように分けて考えられます。
| つまずく場所 | 経営者が考えていること | 実際に起きていること |
|---|---|---|
| 平均値を探す | 相場より低いと不安になる | 相場の中身が分からず、比べようがない |
| 分母を決める | 送った数をそのまま使う | 宛先不明で戻った分も含めて割っている |
| 分子を決める | 電話が鳴った数だけを見る | 来店や予約の反応が、DMの結果に入っていない |
| 反応の受け皿 | 紙さえ良ければ動くと考える | 反応した人が最初に開くページに、続きの案内がない |
どれも、紙を作り直す前に、店の側で確かめておけることばかりです。
DMの反応率という言葉の中身を決める
分母は、実際に届いた通数で数える
反応率の分母は、お客さんに届いたと見なせる通数にします。印刷した枚数は使いません。
宛先不明で戻ってきた分は、届いていないので、分母から引きます。
戻ってきた通数が多いと分かった時点で、名簿の古さという別の問題が見つかります。
分母を揃えておくと、次に同じ名簿へ送ったときに、同じ条件で比べられます。
分子は、反応の種類ごとに分けて記録する
分子は、「反応した」という1つの数字にまとめると、あとで使えません。
電話、来店、予約の申込み、ホームページの閲覧のように、種類ごとに分けて残します。
種類を分けておくと、どの入口が強く、どの入口が弱いかが、数字で見えてきます。
数え方は、送る前に紙1枚に書いておく
数え方は、送る前に決めて紙に書きます。送り終わってからでは遅いのです。
決めておく項目は、次の表のとおりです。
| 決めること | 書き方の例 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 分母 | 届いた通数。戻った分は引く | 次回の結果と比べられない |
| 数える期間 | 発送の翌日から30日間 | 遅れて来た反応が数に入らない |
| 反応の種類 | 電話、来店、予約、ホームページ | 何が効いたのか分からない |
| 誰の反応か | 名簿の誰が動いたかを記録する | 名簿の使い分けができない |
この4項目が決まっていれば、DMの反応率は、はじめて自分の店のものさしとして使えます。
次の章では、日本郵便のページで確かめられた数字から、何が言えて、何が言えないのかを整理します。
日本郵便のページで確かめられた数字と、確かめられなかった数字
DMの反応率の目安を探すと、出どころの分からない平均値が多く見つかります。
この記事では、日本郵便のDM案内ページを実際に開いて、書かれている文言をそのまま確認しました。
日本郵便のページによると、載っている値は、一般社団法人日本メーリングサービス協会の「DMメディア実態調査2025」の調査結果に基づくものです。
ページに載っていた4つの数字
日本郵便のページには、次の4つの数字が載っていました。
| ページの数字 | ページの言い方 | 数えている対象 |
|---|---|---|
| 56% | 自分あてのDMを受け取った人のうち開封・閲読した人 | DMを受け取った人 |
| 約15% | DM閲覧後に何らかの行動をした割合 | DMを見た人 |
| 69.7% | 二次元コード付きのDMを受け取った人のうち、実際にホームページへアクセスした経験がある人 | 二次元コード付きDMの受取人 |
| 約7割 | 購入・利用経験のあるお店や団体からのDMを受け取りたい、または受け取ってもよいと思っている人 | ページに明記なし |
4つの数字は、分母がそれぞれ違います。
同じ表に並んでいても、足したり掛けたりして使える数字ではありません。
56%は「開いて読んだ人」の割合で、反応率とは別のものだ
ページには、「自分あてのDMを受け取った人のうち56%の人が開封・閲読しています」と書かれています。
これは、届いた紙のうち、中身まで目を通された割合です。
お店に電話をした、来店した、申し込んだ、という反応の割合は、ここには入っていません。
つまり、56%という数字は、反応率の上限を考えるときの参考にはなっても、自分の店の反応率の目安にはなりません。
約15%と69.7%も、分母が「見た人」「二次元コード付きの人」になっている
ページには、「DM閲覧後に何らかの行動をした割合は約15%」とも書かれています。
分母は、DMを見た人です。送った全員に対する割合ではありません。
しかも、「何らかの行動」の中身は、ページからは読み取れませんでした。
もう1つの69.7%は、二次元コードが付いたDMを受け取った人のうち、ホームページにアクセスした経験があると答えた人の割合です。
こちらも、送った通数に対する割合ではありません。ホームページに行ったことがあると答えた人の割合です。
ページからは確かめられなかったこと
日本郵便のページには、調査に答えた人数や、調査の方法は載っていませんでした。
また、業種ごとの平均的な反応率や、既存客の名簿に送った場合の反応率の数字も、載っていませんでした。
だからこの記事では、「DMの反応率の業界平均は何%」とは書きません。
確かめられない数字を書くと、読んだ方が、自分の店の結果を不当に低く、あるいは高く見積もってしまうからです。
既存客の名簿に送るDMで、反応が変わる条件
同じページには、顧客を「優良顧客」「一般顧客」「休眠顧客」の3タイプに分けて、タイプごとにDMを使い分ける考え方が載っていました。
反応率の中身を考えるときに、そのまま使える分け方です。
優良顧客・一般顧客・休眠顧客で、欲しいものが違う
ページの説明を、表にまとめます。
| 名簿のタイプ | お客さんの特徴 | 効くとされるDM |
|---|---|---|
| 優良顧客 | 利用の頻度も金額も高い | 特別感、限定感を出したDM |
| 一般顧客 | 利用の頻度や金額は平均的 | 定期的な来店を促すDM |
| 休眠顧客 | ここ半年の来店がない | 以前とは違う切り口のDM |
この表の分け方は、日本郵便のページに載っていたものです。
どのタイプが何%反応するかまでは、ページには書かれていません。
同じ紙を全員に送ると、反応の良し悪しが混ざって見える
名簿の全員に同じ紙を送ると、優良顧客の反応と、休眠顧客の反応が1つの数字に混ざります。
優良顧客が動いたのか、休眠顧客がたまたま来たのかは、混ざった数字からは読み取れません。
反応の記録に、名簿のタイプを1列足しておくと、次の回から紙を使い分ける材料になります。
休眠顧客には、売り込みより先に「忘れていない」を伝える
ページには、休眠顧客の欲求として、「お店から忘れられていないのがうれしい」という趣旨のことが載っています。
半年来ていない人に、いきなり新商品の案内を送っても、読まれにくいのは自然です。
半年ぶりの相手には、前回の来店のことに触れた一言を、先に置きます。
その一言があるだけで、紙の印象が、一斉送信の案内から、自分宛ての連絡に変わります。
送る名簿が古いと、反応率の分母が崩れる
住所が変わっている人、店を使わなくなった人が名簿に残っていると、分母が実態より大きくなります。
その結果、反応率は低く見えます。
DMの文面を直す前に、直近1年で来店や購入のあった人だけを抜き出して、同じ紙を送ってみる。そうすると、紙の問題なのか、名簿の問題なのかが、切り分けられます。
名簿の状態を点検する表
送る前に、次の表で名簿の状態を確かめてください。
| 点検すること | 確かめ方 | 見つかったときの扱い |
|---|---|---|
| 戻ってきた通数 | 前回の発送で戻った数を数える | 名簿から外すか、住所を確かめる |
| 最後の来店日 | 名簿に来店日の列があるか見る | 半年以上空いた人を別に分ける |
| 重複した宛名 | 同じ住所に複数の宛名がないか見る | 1通にまとめる |
| 連絡を断られた人 | 配信停止の希望を受けていないか見る | 名簿から外して記録に残す |
名簿の整理は地味な作業ですが、反応率の数字を信頼できるものにする、いちばん確実な方法です。
反応した人が最初に開くページで、反応率は変わる
DMを受け取った人が動くとき、行き先は大きく3つあります。電話、来店、そしてスマートフォンで開くホームページです。
日本郵便のページにあった69.7%は、このうちホームページの入口がどれだけ使われるかを示す数字でした。
二次元コードを付けたDMを受け取った人の、約7割が実際にホームページへ行ったことがあると答えています。
この数字が本当に自分の店にも当てはまるかは、分かりません。
ただ、紙を受け取った人がスマートフォンを取り出す場面は、珍しくない動きだと言えます。
紙の次に開かれるのは、たいていホームページになる
紙を読んで気になった人は、電話をかける前に、まず調べます。
営業時間、場所、料金の目安、口コミ。こうした情報を、スマートフォンで確かめます。
そのときに開くのが、DMに載っていたホームページです。
紙のできが良くても、ホームページで確かめたいことが見つからなければ、そこで止まります。
最初に開くページが店のトップだと、紙の話題が消える
DMには、「今月はこのメニューを割引」「春の新作のご案内」といった話題が書いてあります。
ところが、二次元コードの行き先が店のトップページだと、受け取った人は、その話題を探さなければなりません。
探しても見つからなければ、紙で感じた期待が、そこで冷めます。
行き先は、DM1通につき1ページ用意する
紙の話題に合わせて、行き先のページを1つ用意します。
そのページには、紙と同じ見出し、同じ写真、同じ言葉を置きます。
紙を読んだ人が、同じ内容に出会えたと感じる形です。
反応の入口別に、迷う場所を表にする
反応の入口ごとに、受け取った人が迷う場所を整理します。
| 反応の入口 | 受け取った人の動き | 迷いやすい場所 |
|---|---|---|
| 電話 | 番号を見てかける | 営業時間外で、つながらない |
| 来店 | 紙を持って店に行く | 紙の話題を、店で伝えて通じるか分からない |
| ホームページ | 二次元コードを読み取る | 紙の話題が、行き先のページにない |
| 予約 | ページの申込み欄に入力する | 入力項目が多く、途中でやめる |
どの入口も、迷う場所は、受け取った人の側にあります。
店の側が準備できるのは、迷いそうな場所を先に見つけて、手当てしておくことです。
申込みの流れの、どこで人が止まるのか
反応した人の全員が、そのまま申込みまで進むわけではありません。
進む途中で止まる場所を、順番に見ていきます。
図で見ると、反応から申込みまでが1本の流れになっている
DMの反応率を上げたいとき、紙の文面だけを直しがちです。
けれど、紙を受け取ってから申込みまでの流れは、次のように1本につながっています。
図のとおり、4つの箱のどこが欠けても、反応は申込みまで届きません。
特に、紙を読んだ人が最初に開くページは、ここで流れが止まるか進むかの分かれ目になります。
止まる場所1 二次元コードの読み取りに時間がかかる
紙の隅に小さな二次元コードを置くと、読み取れない人が出ます。
大きさは、指で押さえても隠れない程度にし、周りに余白を残します。
コードの隣には、「スマートフォンで読み取るとご予約ページが開きます」のように、読み取った先で何が起きるかを書きます。
止まる場所2 行き先のページに、電話番号と申込み欄が見つからない
行き先のページで、電話をかけたい人が番号を探し回ると、そこで止まります。
電話番号は、ページの上のほうに、タップすればそのままかけられる形で置きます。
申込み欄は、ページを最後までスクロールしなくても見える位置に置きます。
止まる場所3 入力項目が多くて、申込みの途中でやめる
申込みの入力欄が多いと、途中でやめる人が増えます。
最初に聞くのは、名前と連絡先と希望の日だけに絞ります。
そのほかの詳しい話は、申込みのあとに電話やメールで聞けば間に合います。
止まる場所4 申込みのあとの連絡が遅い
申込みを終えた人は、店からの返事を待っています。
返事が数日来ないと、申し込んだことを不安に感じて、他の店に電話してしまうこともあります。
受け付けましたという短い自動返信と、担当者から連絡する日を書いたメールを、申込みの直後に送る形にしておきます。
例 整体院が休眠の名簿に出す、はがきとページの揃え方
半年以上来ていない人に、整体院が「肩のこりの無料の相談の案内」を送る場面を考えます。
はがきの見出しが「肩のこりのご相談を、先着で承ります」なら、行き先のページの見出しも同じ言葉にします。
はがきにある院長の顔写真は、ページの上にも同じものを置きます。
ページの最初の画面に、予約の電話番号と、日にちを選ぶ申込み欄が並んでいれば、読んだ人は迷わずに進めます。
この例で直しているのは、紙とページを結ぶ言葉の揃え方です。文面そのものは変えていません。
紙とページが同じ顔をしていると、受け取った人は、同じ店の続きの話を読んでいると感じます。
止まる場所を、表にして点検する
流れの各段階で、確かめることを表にします。
| 段階 | 確かめること | 直す方法 |
|---|---|---|
| 紙を受け取る | 宛名とお客さんの名簿が合っているか | 名簿の整理 |
| 二次元コードを読む | 小さすぎず、読み取れるか | 大きさと余白を直す |
| ページを開く | 紙と同じ話題がすぐ見えるか | DM専用の行き先を作る |
| 申込みをする | 入力は名前と連絡先と希望日だけか | 項目を減らす |
| 返事を受け取る | 申込みの直後に返事が届くか | 自動返信を用意する |
この表の5行を上から順に確かめるだけで、反応率の数字に表れない取りこぼしが見つかります。
反応を数える仕組みを、送る前に作る
反応率を知りたいと思っても、反応が誰からのものか分からなければ、数えようがありません。
紙に「どこから来たか」の目印を仕込んでおくと、あとから数えられます。
電話には、DM専用の受付名を決めておく
電話で受ける反応は、聞き方で数えられます。
「何をご覧になってお電話をくださいましたか」と、最初に1回だけ聞きます。
紙に「お電話の際は、はがきを見たとお伝えください」と書いておくと、答えてもらいやすくなります。
聞いた結果は、通話のあとすぐに、記録表の1行にします。
来店には、紙を持ってきた人だけが使える特典を付ける
来店は、紙を持ってきた人を特定できないと、数えられません。
はがきの切り取り部分や、会計のときに見せる合言葉を用意します。
特典の大きさは、店の利益を損なわない範囲で決めます。
大切なのは、特典の金額より、紙を見て来た人を区別できることです。
ホームページには、DM専用の行き先を作る
ホームページは、DMのためだけの行き先を作ると、アクセスを分けて数えられます。
専用のページがあれば、その閲覧数が、紙を見た人の数の目安になります。
アクセス解析の画面で、そのページだけを見れば足ります。
反応の入口別に、数え方と注意点を決める
入口ごとの数え方を、表に整理します。
| 反応の入口 | 数え方 | 数え漏れが出やすい場面 |
|---|---|---|
| 電話 | 最初の1回の質問で記録する | 忙しくて聞きそびれる |
| 来店 | 紙の切り取り部分や合言葉を回収する | 合言葉を言い忘れる |
| ホームページ | DM専用ページの閲覧数を見る | 紙を見ずにたまたま開いた人も入る |
| 予約 | 申込み欄の「知ったきっかけ」を選ばせる | 選択肢が多いと答えてもらえない |
数え漏れはゼロにできません。ただ、毎回同じ方法で数えれば、前回との比較には使えます。
数字の読み方を、自分の店に合わせる
比べる相手は、他社の平均値より、自分の前回にする
他社の平均値には、名簿の状態も、紙の中身も、送った時期も含まれています。
条件が分からない数字と比べるより、前回と今回を比べるほうが、確実に変化が読み取れます。
前回と今回で、変えたことを1つだけにしておくと、結果の変化が何によるものか分かります。
1回の結果で、紙を作り直さない
1回の結果が低くても、すぐに紙を全面的に作り直す必要はありません。
名簿の状態、送った時期、受け皿の整い具合のうち、どれが原因かを、まず切り分けます。
原因が分かれば、直す場所が1つに絞れて、次の発送が楽になります。
結果が分かれたときは、表で原因を切り分ける
結果の傾向ごとに、疑う場所を表にします。
| 起きていること | まず疑うこと | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 戻りが多く、反応も少ない | 名簿が古い | 戻った通数と最後の来店日を見る |
| ホームページの閲覧はあるが、申込みがない | 行き先のページ | 専用ページに電話番号と申込み欄があるか見る |
| 電話はあるが、来店が少ない | 来店への案内 | 紙に地図と営業日を載せたか見る |
| 休眠の名簿だけ反応が弱い | 紙の話題 | 前回の来店に触れた一言があるか見る |
発送から30日の間に、反応が届く順番を記録する
反応は、発送した翌日に一斉に届くわけではありません。
電話や来店は、紙が届いてすぐの数日に集まりやすく、ホームページの閲覧は、少し遅れて散らばることがあります。
こうした届き方は、店によって違うので、決めつけずに自分の記録で確かめます。
発送日を1行目に置き、1週目、2週目、3週目、4週目と、週ごとに反応の種類を書き込める表を用意します。
この表を3回分ためると、「この店では、反応が何週目まで続くのか」が見えてきます。
それが分かると、反応の締め切りを何日に置けば公平に比べられるのかも決められます。
数える期間が毎回ばらばらだと、早く切り上げた回のほうが、反応率が低く見えてしまいます。
売れるサイトはみな謙虚
私たちは、「売れるサイトはみな謙虚」という考え方で、小さな店や会社のホームページを見ています。
謙虚とは、お客さんが知りたいことを、飾らずに、先に、同じ場所で見せることです。
DMでいえば、紙を受け取って二次元コードを読んだ人に、紙と同じ話題と、電話番号と、申込み欄を、最初の画面で見せるということです。
紙と同じ話題が、最初の画面にあるか
紙を読んだ人が、ページを開いた瞬間に知りたいのは、紙に書いてあった話の続きです。
ページの最初に会社の紹介文が長く出てくると、読む人は、本題にたどり着く前に疲れます。
紙の見出しをそのまま最初の画面に置く。これだけで、読む人は迷わなくなります。
迷わず電話や申込みに進めるか
最初の画面に、電話をかけるボタンと、申込み欄の入口がある。
それだけで、紙で動いた気持ちが、そのまま行動につながります。
反応率の数字が上がらないとき、紙より先に疑うのは、ここです。
面談につなげたい経営者へ
私たちが、店舗や会社の経営者の方と話す初回の面談でも、よく出る相談があります。
それは、DMを出しているのに、反応のあとの流れがどうなっているのか、自分でも把握できていないという話です。
紙を作り直す前に、いま届いた反応が、どこで止まっているのかを一緒に見ていきます。
次の発送までの2週間で進める順番
次のDMを出すまでに、紙を作る時間とは別に、受け皿を整える時間を取ります。
ここでは、2週間の進め方を書きます。
1週目 名簿と数え方を決める
最初の3日で、名簿を点検します。
戻ってきた通数、最後の来店日、重複した宛名を確かめて、送る相手を絞り込みます。
残りの日で、分母の決め方、数える期間、反応の種類を決めて、紙1枚に書きます。
2週目 行き先のページと申込みの流れを整える
2週目は、紙の話題に合わせた専用ページを作ります。
最初の画面に、紙と同じ見出し、電話番号、申込み欄を置きます。
申込みの入力項目は、名前と連絡先と希望日に減らし、申込みの直後に自動返信が届くようにします。
発送後 記録表に反応を書き込み、30日で締める
発送したら、毎週、記録表に反応を書き込みます。
30日たったところで締めて、反応の数を、届いた通数で割ります。
その数字を、次回の発送の前に見返せる場所に置きます。
2週間の進め方を、表にまとめる
| 時期 | やること | できあがるもの |
|---|---|---|
| 1週目の前半 | 名簿の点検 | 送る相手の一覧 |
| 1週目の後半 | 数え方を決める | 分母と分子を書いた紙1枚 |
| 2週目の前半 | 行き先のページを作る | DM専用ページ |
| 2週目の後半 | 申込みの流れを整える | 短い入力欄と自動返信 |
| 発送後 | 週ごとに記録する | 反応の記録表 |
よくある質問
Q1 DMの反応率は、何%なら良いと言えますか
確かめられた業界平均が見つからなかったので、何%なら良いとは書けません。
日本郵便のページの数字は、受け取った人や見た人を分母にしたものでした。送った通数に対する反応率とは分母が違います。
自分の店では、前回の結果と今回の結果を同じ数え方で比べて、上がったかどうかで判断します。
Q2 送る通数が少なくても、反応率は意味を持ちますか
送る通数が少ないと、1人の反応で数字が大きく動きます。
そのため、1回の数字だけで良し悪しを判断せず、数回分をならして見ます。
通数が少ない店は、反応率の数字より、「誰が動いたか」の記録のほうが役に立ちます。
Q3 二次元コードは付けたほうがよいですか
日本郵便のページでは、二次元コード付きのDMを受け取った人の69.7%が、実際にホームページへアクセスしたことがあると回答していました。
ただ、この数字で、自分の店でも同じ割合が動くとは言えません。
付けるなら、行き先に紙と同じ話題のページを用意し、読み取ったあとに何が見られるかを、コードの隣に書きます。
Q4 電話番号だけの紙でも、反応は見込めますか
電話番号だけでも反応は起きます。
ただ、電話をかけることに気後れする人は、ホームページで確かめてから動きます。
電話の入口を残したまま、ホームページの入口も用意しておくと、動ける人が増えます。
Q5 はがきと封書は、どちらが反応率が高いですか
日本郵便のページには、日本郵便が発行するはがきは、私製はがきより好印象という結果が載っていました。
はがきと封書のどちらの反応率が高いかを示す数字は、ページにはありませんでした。
自分の名簿の一部に両方を送り、同じ数え方で比べるのが、いちばん確かな答えの出し方です。
まとめ
DMの反応率は、他社の平均値と比べても、自分の店の判断材料になりません。
名簿の状態、数え方、反応したあとの受け皿が、結果を左右します。
この記事で書いたことを、順番に整理します。
- 分母は届いた通数、分子は反応の種類ごとに分けて、送る前に紙1枚で決める
- 日本郵便のページの56%、約15%、69.7%は、分母が違うため、反応率の目安にはならない
- 業界平均は確かめられなかったので、前回との比較で良し悪しを判断する
- 名簿は優良顧客・一般顧客・休眠顧客に分け、反応を分けて記録する
- 紙の話題と同じ最初の画面、電話番号、短い申込み欄を、行き先のページに置く
冒頭の相談で、質問者が知りたがっていたのは、相場の数字でした。
ところが、回答の2つが示したのは、数字より先に、誰に・いつ・どこへ反応してもらうかを決めるという順番でした。
反応を数える場所が1つ決まれば、次の発送は、前回より確かな根拠で出せます。
今日できる点検
次の表の上から順に、今日の営業が終わるまでに、できるところまで進めてください。
| 点検すること | やること | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 前回の発送 | 発送した通数と戻った通数を数える | 15分 |
| 反応の数え方 | 分母、期間、反応の種類を紙1枚に書く | 20分 |
| 反応の入口 | 電話、来店、ホームページ、予約の数え方を決める | 20分 |
| 名簿のタイプ | 最後の来店日で、優良、一般、休眠に分ける | 30分 |
| 行き先のページ | 紙と同じ話題が最初の画面にあるか見る | 15分 |
| 申込みの欄 | 入力項目を名前と連絡先と希望日に減らせるか見る | 10分 |
| 申込み後の返事 | 自動返信が届く設定になっているか確かめる | 10分 |
全部を今日終える必要はありません。数え方を書いた紙1枚だけでも、先に作っておくと、次の発送が楽になります。
その紙に書けない項目が見つかれば、それが、次に決めるべきことです。
出典は、日本郵便「DM(ダイレクトメール)を使った販売促進」のページに記載された、一般社団法人日本メーリングサービス協会「DMメディア実態調査2025」の調査結果です。
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
ウェブサイトから要素を引き算し、訪れた人が迷わず次の一歩に進む形へ組み直す。初回60分のオンラインで御社のサイトを一緒に読み、どこから直すべきかをお伝えします。手順をまとめた無料の診断と解説動画もご用意しています。
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