自社のホームページを読み返すと、並んでいるのは自社が言いたいことばかりで、お客様が知りたいことが見つからない。
顧客目線の文章とは、読み手が知りたい順に、読み手が普段使う言葉で、次に何をすればよいかまで書いた文章です。
この定義は弊社の整理です。主な根拠は、文化庁の「公用文作成の考え方」、Googleの「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」、消費者庁の景品表示法のページです。
引用は2026年10月27日に確かめた原文のとおりです。
直し方は5つの手順に分けました。お客様の言葉を集める、文を仕分ける、言い換える、順番を入れ替える、第三者に読んでもらう。
この順に進めると、1ページ分の文章を直し、第三者に読んでもらうところまで終えられます。
顧客目線の文章とは何か
一言で言うと、3つの条件を満たした文章
顧客目線という言葉は、気持ちの持ち方の話に聞こえます。文章の話に落とすと、確かめられる3つの条件に分けられます。
1つ目は順番です。読み手が知りたいことから先に書いてあるか。
2つ目は言葉です。読み手が普段使う言葉で書いてあるか。
3つ目は次の一歩です。読み終えた人が何をすればよいか分かるか。
この3つの分け方も弊社の整理です。順番と言葉については、文化庁の建議に近い趣旨の記述があります。
| 条件 | 自分に向ける問い | 崩れたときの状態 |
|---|---|---|
| 1 順番 | 最初の段落に、読み手が知りたい答えがあるか | 会社の歴史やこだわりから始まり、何屋か分かるまでに何画面も進む |
| 2 言葉 | お客様が自分で口にする言葉になっているか | 社内の呼び名や業界の略語が説明なしに出てくる |
| 3 次の一歩 | 読み終えた人が、次にすることを言えるか | 良い話を読んだのに、何をすればよいか分からない |
「お客様目線」「顧客目線」「顧客視点」は同じ意味か
検索では、「お客様目線とはどういう意味か」「顧客目線の言い換えは」と尋ねる人がいます。
辞書的に分ければ、「顧客」は取引の相手を指す改まった言い方で、「お客様」はそれを敬って呼ぶ言い方です。文章の直し方を考えるうえでは、この3つは同じ意味で使って困りません。
顧客目線で書くとは、お客様という言葉を何回使うかを競うことを指しません。文の中身が読み手の知りたいことに向いているかを指します。
文化庁の建議が書いている「読み手の視点」
文化審議会は、令和4年1月7日付の建議(審議会が国に示す意見の文書)として「公用文作成の考え方」をまとめ、文化庁のサイトで公開しています。公用文とは、国や自治体などが作る文書のことです。
この建議には、解説や広報の文書について次の一文があります。
「解説・広報等では、読み手の視点で構成を考える。」
解説にはこう続きます。「読み手の立場になって、求められる情報を見極め、整理した上で文書作成に入りたい。」自分が伝えたいことを先に置く書き方を退ける内容です。
国の文書の手引ですが、建議は活用先として「地方公共団体や民間の組織」を意識するとも書いています。企業のホームページの文章に当てはめて読むのは、この点からも無理のない使い方です。
ホームページに当てはめるのは弊社の読み方です。建議がホームページを名指ししているわけではありません。
自社目線の文章はどこに出るのか
自分の文章は、自分には読めてしまいます。そこで、自社目線の文章が出やすい場所を先に知っておくと、探しやすくなります。
文の主語が自社の名前になっている
「弊社は創業以来、品質にこだわってまいりました」のように、文の主語が自社になっている文です。これは作例です。
この文を読んで、お客様が得るものはありません。「あなたの探している〇〇は、この会社で頼めるか」という問いに、答えていないからです。
社内でしか通じない言葉が説明なしに出てくる
自社の商品名、工程の名前、業界の略語は、毎日使っているうちに、外でも通じる言葉に思えてきます。
通じているかどうかは、書いた本人には見つけにくいものです。次の章で、扱い方を説明します。
特徴が並ぶだけで、お客様の得が書かれていない
「最新の設備」「豊富な経験」と特徴だけが並ぶと、読み手は自分で「それで自分は何が良くなるのか」を考えることになります。
特徴の隣に、お客様の側で何が変わるのかを一言添えると、同じ事実が読み手の言葉になります。
読み終えたあとに、することが書かれていない
良い説明を読んだあとに、頼み方も、頼んだあとの流れも書かれていないページです。
文化庁の建議は、こうした場面で「する必要のないことも明示することによって、読み手の不安を軽減できる」と書いています。何をすればよいか、何をしなくてよいかの両方を書く、という意味です。
| 症状 | 読み手に起きること | 直す方向 |
|---|---|---|
| 主語が自社の名前 | 自分に関係あるのか分からず、読み流す | お客様の困りごとや状況を主語にした文に直す |
| 社内の言葉が説明なし | 意味が分からない語で止まり、読むのをやめる | 言い換えるか、説明を付ける |
| 特徴だけが並ぶ | 自分の得を自分で考える羽目になる | 特徴の隣に、お客様の側の変化を一言添える |
| 次にすることがない | 読んだあとに動けない | 頼み方と、頼んだあとの流れを書く |
専門用語とカタカナ語を、どう扱うか
建議は、専門用語と外来語(カタカナで書かれる外国由来の言葉)について、具体的な扱い方を示しています。ホームページへの当てはめは、特に断らない限り弊社の提案です。
専門用語には3つの考え方がある
建議は、広く一般に知られていない専門用語について、次の3つの考え方に当てはめて対応を工夫するとよいとしています。「言い換える」「説明を付けて使う」「普及を図る」の3つです。
3つ目の「普及を図る」は、国や自治体が広めたい新しい用語を想定した考え方です。自社の商品名や社内の言葉に当てはめると、押しつけになりやすいので、この記事では前の2つを使います。
言い換える:専門家同士の言葉は日常語に
建議の解説には、こう書かれています。「専門家同士で使っている用語で、その用語でなくても意味が表せるものは、一般的な言葉に言い換えることが求められる。」
医療の分野で使われる「頻回」という用語を例に、「頻繁に」「何回も」などの日常語で十分に意味が表せる、とも説明しています。
建議の別の箇所には、府省庁内でよく使う言葉の言い換え例があります。「喫緊の課題」「可及的速やかに」は、広く一般の人々に向けた解説・広報等では、「すぐに対応すべき重要な課題」「できる限り早く」などと言い換える、と書かれています。
説明を付けて使う:言い換えると意味が変わる言葉
日常語に言い換えられない用語は、そのまま使って、分かりやすい説明を添えます。建議の解説は、被災の証明書に使う用語に「支援を受けるために被災の程度を証明する書類」という説明を括弧で付けた例を挙げています。
ホームページなら、自社の仕事に欠かせない用語が当てはまります。初めて出てくる場所で一度だけ括弧で説明し、2回目以降は説明を繰り返さない書き方が読みやすくなります。
「聞いたことがある」と「意味が分かる」は別
建議の解説には、言葉自体は知られていても、意味が知られていない語の例があります。
「グループホーム」は、国立国語研究所の調査によれば、言葉の認知率は70%を超えているのに、正しい意味を知っている人は50%に満たない、と書かれています。
自社の業界でも、お客様が「聞いたことはある」程度の言葉があるはずです。その言葉は、通じているように見えるだけで、意味は伝わっていない可能性があります。
業界用語には定義を添える:W3Cの基準
国際的なウェブの基準を作っている団体W3Cも、同じ方向の考え方を示しています。ウェブコンテンツのアクセシビリティ指針(2.2版)の達成基準3.1.3「一般的ではない用語」の解説書(日本語訳はウェブアクセシビリティ基盤委員会)には、「業界用語又は一般的でない用語の定義を提供する。」とあります。
この基準は、3段階ある適合レベルのうち最上位のものです。守らなければならない水準として読むより、目指す先の例として読むのが実際的です。
カタカナ語は4つの扱いがある
外来語については、建議は4つの考え方を挙げています。「そのまま使う」「言い換える」「説明を付けて使う」「使い方を工夫する」です。
日本語に十分定着した「ストレス」「ボランティア」「リサイクル」は、そのまま使う方が良いとされています。一方で、「アジェンダ」は「議題」、「サプライヤー」は「仕入先、供給業者」と言い換える例が示されています。
| 言葉の種類 | 作例 | 文化庁の考え方 | 書き方の例 |
|---|---|---|---|
| 日常語で言える専門家の言葉 | 「リードタイム」 | 言い換える | 「注文から届くまでの日数」 |
| 日常語に置き換えると意味が変わる語 | 「ランディングページ」 | 説明を付けて使う | 「ランディングページ(広告などから最初に開かれるページ)」 |
| 聞いたことはあるが、意味が知られていない語 | 自社の業界用語 | 意味をはっきり説明する | 初出で一文の説明を添える |
| 自社だけの呼び名 | 「独自の〇〇メソッド」 | 言い換える(建議の分類にはない当てはめで、弊社の提案) | 何をする方法なのかを、動詞で書く |
| 定着したカタカナ語 | 「ストレス」 | そのまま使う | そのまま書く |
自社の言い方から、お客様の言い方へ:書き換えの5つの手順
ここからが実際の書き換えです。1ページを選んで、この5つの手順を順に進めます。
金色の枠の3番が、いちばん手が動く作業です。1と2で材料と直す所を決めてから言い換えると、迷いが減ります。
| 手順 | やること | 使うもの | できあがるもの |
|---|---|---|---|
| 1 お客様の言葉を集める | 問い合わせや質問の文面を、言い回しのまま写す | メール、電話のメモ、アンケートの自由記述 | お客様が実際に使う言葉の一覧 |
| 2 文を仕分ける | 手順1の一覧と照らして、ページの文を1文ずつ、誰の言葉かで3つに分ける | 手順1の一覧、印刷したページ、色のついたペン | 直す文のリスト |
| 3 言い換える | 言い換える、説明を付ける(文化庁の考え方)、削る(弊社の提案)のどれかを選ぶ | 1の一覧、文化庁の2つの考え方 | お客様の言葉に直した文 |
| 4 順番を入れ替える | 知りたい順に段落を並べ直す | 見出しだけを抜き出した目次 | 結論から始まるページ |
| 5 第三者に読んでもらう | 業界外の人に声に出して読んでもらう | 家族、知人、他部署の人 | つかえた所の印 |
1 お客様の言葉を集める
最初に、自社に届いた問い合わせの文面、電話のメモ、アンケートの自由記述を並べます。直さず、言い回しのまま写してください。
お客様が「見積もり」と書くのか、「料金を知りたい」と書くのか。「納期」なのか、「いつ届くか」なのか。
この違いが、あとで言い換えるときの材料になります。
Googleの「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」にも、似た趣旨の記述があります。ユーザーが検索しそうなキーワードを考えてみるよう勧めたうえで、「そのトピックについてよく知っているユーザーは、よく知らないユーザーとは異なるキーワードを検索クエリで使用するかもしれません。」と書いています。
例として挙がっているのは、「シャルキュトリ」と検索する人と「チーズボード」と検索する人です。同じものを指していても、言葉は人によって違います。
このガイドの日本語版の最終更新日は2025年12月18日、英語版は2025年12月10日です。
2 文を仕分ける
ページを印刷して、手順1で集めた一覧と照らしながら、1文ずつ3色に分けます。分け方は次の3つです。
- お客様の言葉で言える文(そのまま残す)
- 社内の言葉で書かれた文(手順3で直す)
- お客様に関係の薄い文(削るか、別のページに移す)
2番目と3番目に入る文が多くても、問題はありません。直す所が見つかったのですから、成果です。
3 言い換える
仕分けた文を、先ほどの建議の2つの考え方で1つずつ処理します。日常語で言える言葉は言い換え、言い換えられない言葉は説明を付けます。
お客様に関係の薄い文は、削るか別のページに移します。これは建議の考え方とは別の、弊社の提案です。
建議の解説も、「必要性の低い情報は分量を調整する段階で削る」と書いています。文を削ることは、手抜きに当たりません。
4 順番を入れ替える
文化庁の建議には、文書の構成について「結論は早めに示し、続けて理由や詳細を説明する。」とあります。解説は「できれば最初の段落で示しておく」と続け、「最後まで読まないと何を言おうとしているか分からないような書き方は避ける」とも書いています。
ホームページのページに当てはめると、最初の段落には「何のページか」「誰の何を解決するか」を置きます。会社の歴史や理念は、その後ろです。
ページを開いた人の頭にある問いを、弊社は次の4つに整理しています。「これは何のページか」「自分に関係があるか」「次に何をすればよいか」「その後どうなるか」。
この順に答えが並んでいるかを確かめます。
5 第三者に読んでもらう
Googleの「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」は、自己評価について、こう書いています。「これらの質問について自問するだけでなく、ご自身のサイトと無関係な信頼できる第三者に率直に評価してもらうことも検討してください。」
このページの日本語版は2026年10月7日、英語版は2026年10月5日が最終更新日です。英語版の題は、弊社の訳では「役に立ち、信頼でき、人を第一に考えたコンテンツ」にあたる言葉で、日本語版の題とは言い回しが少し違います。
文章の直しにも同じことが言えます。自分で読み返しても、つかえる所は見つかりにくいものです。
業界外の人に声に出して読んでもらい、読み間違えた所、聞き返した所に印をつけてください。読んでもらうときは、解説を加えないでください。
この5つの手順は、同じ順番で、この記事の最後の「今日できる点検」の表にも並べています。
作例で見る書き換えのビフォーとアフター
この章のビフォーとアフターは、作例と、文化庁の建議に載っている書き換え例の2種類です。作例は、書き換えの考え方を見せるために作った短い文で、実在の会社やお客様の事例は1つも含みません。
数字や効果は載せていません。この書き換えで問い合わせが何倍になる、といった保証はできないためです。
トップの最初の一文
作例のビフォーは、「弊社は地域の皆様に愛されて創業から長年、確かな技術をご提供しております。」です。
アフターは、「雨漏りの原因を調べて、直す方法を見積もりまでご説明します。」にします。何屋で、お客様の何を解決するかが、一文で分かります。
サービスの説明
ビフォーは、「当社のワンストップソリューションにより、課題を可視化し最適化を図ります。」です。
アフターは、「困りごとを聞き取って、必要な作業を1つの窓口でまとめて進めます。」とします。専門用語を日常語に置き換え、述部に動詞を使いました。
お客様の不安に答える一文
ビフォーは、「お見積りは無料でございます。」です。
アフターは、「見積もりだけの依頼でも大丈夫です。その場で契約をお願いすることはありません。」とします。文化庁が書く「する必要のないことも明示する」の応用です。
プロフィール
ビフォーは、「長年の経験と実績に裏打ちされた高い専門性を有しております。」です。
アフターは、「これまで担当した工事の種類と、得意な建物を一覧にしています。」とします。自己評価の言葉を、確かめられる事実の一覧に変えました。
文化庁の建議に載っている書き換えの実例
作例だけでは物足りないと感じる人のために、文化庁の建議に載っている書き換えの実例も挙げます。ホームページの文章でなく国の文書の例ですが、直し方は同じです。
1つ目は、一文に論点が2つ入った文の分け方です。「在留外国人数は、約200万人を超えており、中長期的に在留する外国人が増えている。」を、「在留外国人数は、約200万人を超えている。このうち、中長期的に在留する人が増えている。」と2つに分けています。
2つ目は、名詞で終わる文を、動詞で終わる文に直す例です。「災害による住宅の全壊など、生活基盤への甚大な損害が生じた被災世帯への支援金支給」を、「災害で住宅が全壊するなど、暮らしの基盤を大きく損なう被害を受けた世帯の方へ、支援金が支払われます。」と書き換えています。
建議はこの例に添えて、「傾向として、和語より漢語、動詞的表現より名詞的表現で、対象が客観化されて距離感が大きくなりやすい。」と説明しています。
| 場所 | ビフォー(作例) | アフター(作例) | 直した点 |
|---|---|---|---|
| トップの一文 | 弊社は地域の皆様に愛されて創業から長年、確かな技術をご提供しております。 | 雨漏りの原因を調べて、直す方法を見積もりまでご説明します。 | 主語を自社からお客様の困りごとに変え、何屋かを先に書いた |
| サービス説明 | 当社のワンストップソリューションにより、課題を可視化し最適化を図ります。 | 困りごとを聞き取って、必要な作業を1つの窓口でまとめて進めます。 | 横文字と漢語を動詞に開いた |
| 不安への答え | お見積りは無料でございます。 | 見積もりだけの依頼でも大丈夫です。その場で契約をお願いすることはありません。 | しなくてよいことを明示した |
| プロフィール | 長年の経験と実績に裏打ちされた高い専門性を有しております。 | これまで担当した工事の種類と、得意な建物を一覧にしています。 | 自己評価の言葉を、確かめられる事実の一覧に変えた |
一文の組み立て方:文化庁が示す文の書き方
言葉を直したら、次は文の形です。文化庁の建議の「文の書き方」には、ホームページにもそのまま使える項目があります。
一文を短くし、論点を1つにする
建議は「一文を短くする。」「一文の論点は、一つにする。」の2つを並べています。解説には目安もあり、「適当な長さは一概に決められないが、50~60字ほどになってきたら読みにくくなっていないか意識するとよい。」と書かれています。
これは上限の決まりではありません。50字を超えたら必ず切る、という読み方はできず、「読みにくくなっていないか意識する」ための目安です。
語順は「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」
建議は、日本語では「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」という順で書かれることが多く、この語順を守っておけばおおむね読み取りやすい文になる、と説明しています。
主語も大事です。建議は、主語が省略されると誤解が生じることもあり、省略されているかどうかにかかわらず、主語と述語の関係が明らかに分かるようにする、としています。
3つ以上並べるときは箇条書きにする
建議は、一文の中に並べる情報が三つ以上になるときは、箇条書を使うとしています。「A、B、C、D」と読点でつなぐより、縦に並べた方が目で拾えます。
ホームページなら、対応エリア、営業時間、支払い方法のような「並べる情報」が当てはまります。
| 文化庁の項目 | ホームページに当てはめると | 作例 |
|---|---|---|
| 一文を短くする | 50~60字を超えたら、読みにくくないかを見直す | 長い一文を、句点で2つに分ける |
| 論点は1つ | 1つの文に、できることと値段と注意を詰めない | できることの文と、注意の文を分ける |
| 基本の語順 | いつ、どこで、誰が、何を、どうしたの順に書く | 「お申し込み後、3営業日以内に、担当者が連絡します。」 |
| 3つ以上は箇条書き | 対応エリアや支払い方法は縦に並べる | 項目ごとに1行ずつ書く |
| 結論は早めに | 手順4のとおり、最初の段落に何のページかと答えを置く | 「雨漏りの修理を、見積もりから工事まで一社で行います。」 |
タイトルと見出しは、具体的に、内容の中心を書く
本文を直しても、タイトルと見出しがそのままでは、読み手は本文にたどり着けません。ここでも、文化庁とGoogleの資料に具体的な記述があります。
標題は「…について」で済ませない
文化庁の建議は、標題について、主題と文書の性格を示すように書いています。解説は、特に解説・広報等では「…について」とせず、より具体的な表現を用いるとよい、としています。
建議の例は、「新国立体育館について」を「新国立体育館建設工事の進捗状況に関する報告」に直すものです。ホームページなら、「サービスについて」を「雨漏り修理の流れと、見積もりの出し方」のように直す考え方です。
見出しを追えば、全体の内容がつかめるようにする
建議は見出しについて、「見出しを追えば全体の内容がつかめるようにする。」と書いています。
解説は、見出しでは「回りくどい言い方や飾りの多い言葉遣いは避け、内容の中心となるところを端的に言い表すもの」とするとしています。キャッチコピー風の見出しより、中身が分かる見出しが向きます。
検索結果に出るタイトルの考え方
Googleの検索の入門書は、よいタイトルについて、こう書いています。「良いタイトルとは、そのページに固有で、明確かつ簡潔であり、内容を正確に説明しているタイトルです。」
また、Googleの「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」には、タイトルについての2つの質問があります。「メインの見出しやページタイトルは、内容を要約して説明する有用なものですか。」と、「メインの見出しやページタイトルは、コンテンツを誇張している、または読者に強いショックや不快感を与えるものではありませんか。」です。
タイトルは、本文の約束です。読み手が期待したことが本文に無ければ、期待は裏切りに変わります。
| 見直す場所 | ありがちな形 | 資料の考え方(文化庁・Google) | 直し方の例(作例) |
|---|---|---|---|
| ページの題 | 「サービスについて」 | 主題と文書の性格を示す | 「雨漏り修理の流れと、見積もりの出し方」 |
| 見出し | 「私たちの想い」 | 内容の中心を端的に言い表す | 「修理を断ることもある理由」 |
| 検索結果の題 | 会社名だけ | そのページに固有で、内容を正確に説明する | ページの中身を表す題に、会社名を添える |
| 誇張した題 | 「驚きの結果」 | 誇張や強いショックを避ける | 中身をそのまま要約する |
「あなた」に語りかける書き方:向く場面と、押しつけがましくなる場面
この記事では「あなた」と語りかける書き方を取り上げます。「あなた」は便利な呼びかけですが、使う場面によっては押しつけがましくなります。
文化庁の建議の原文に、「あなた」という語は出てきません。Googleの2つのページには、読み手への呼びかけとして「あなた」が使われていますが、文章に入れるべきかどうかの指示はありません。
そのため、この章の使い分けは、建議の引用を除いて、弊社の見方として書きます。
「あなた」が向く場面
手順や案内を、読み手の操作として伝える場面です。「お申し込みのあと、あなたの手元に確認のメールが届きます」のように、読み手が主語になる文は、動作が具体的になります。
入力フォームの案内のように、読み手が自分の画面を見ながら進める場面も、同じ理由で向いています。
「あなた」と書かずに呼びかける方法
質問と回答の場面では、質問文を「〜はできますか」のようにお客様の口調で書き、答えを「できます」で始めます。「あなた」が無くても、会話のように読めます。
「初めて依頼する場合は」のように、状況で読み手を呼ぶ形もあります。主語を省いても通じる文なら、省いて構いません。
押しつけがましくなる場面
1つ目は、悩みの決めつけです。「あなたは今、売上に悩んでいますね」と言い切ると、悩んでいない人は離れます。
2つ目は、連呼です。一画面に何回も出てくると、読み手は話しかけられている感覚よりも、急かされている感覚を持ちます。
3つ目は、属性の決めつけです。文化庁の建議は、「年配の方でも簡単に申請できます。」という言い方には「高齢者は申請が苦手である」という考え方が隠れており、受け取る人によっては気を悪くするおそれがある、と注意しています。
改まった場面では控える
苦情へのお詫びや、取引の条件を書くページでは、「あなた」の親しさが軽く響くことがあります。
この場面では、「お客様」と呼び、事実と対応を落ち着いて書きます。
呼び方の選択肢
建議の中に、呼びかけに通じる一節があります。「利用者の方々」と「利用される皆さん」を比べ、後者は動詞の「利用する」を尊敬語にしているため、「敬意を一人一人に差し向けようとする面がある」と説明しています。
この一節で違いを生んでいるのは、呼び方よりも動詞の敬語です。
| 呼び方 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| あなた | 手順の案内、フォームの入力案内 | 悩みの決めつけや、連呼を避ける |
| お客様 | 会社が主語になる説明、お詫び | 距離が出やすい。使いすぎると事務的 |
| 皆さま | お知らせ、全体への案内 | 集団への呼びかけ。一人に向けた響きにしたいときは、動詞を敬語にする(上の建議の例) |
| 状況で呼ぶ(初めての方は、など) | 入口の案内、条件による分岐 | 属性で決めつけない |
| 呼ばない(主語を省く) | 質問と回答、日本語として自然な短い文 | 誰のことか曖昧にならないようにする |
同じ場面の中では、呼び方をそろえます。「お客様」「皆さま」「あなた」が混ざると、同じ相手を指しているのか読み手が迷います。
説明から手順の案内へ移るように、場面が変わるところで切り替えるのは構いません。
敬意と親しさの距離を、どう取るか
丁寧に書いたつもりが、よそよそしい文章になることがあります。文化庁の建議は、この点にも踏み込んでいます。
丁寧すぎる敬語は、読み手を遠ざける
建議は、丁寧度の高い言葉を多用すればよいわけではない、と述べています。続く一節はこうです。
「かえってよそよそしい響きで読み手を遠ざけてしまう面もある。」
解説は、広報等では「敬体(です・ます体)を基本としながら、簡潔な表現で敬意を表す」とよい、としています。さらに、相手を立てようとして過度の敬語を使うと、伝えるべき内容が分かりにくくなることがある、とも注意しています。
丁寧さの出し方については、「丁寧さを出したいときにも、文末は「です・ます」を基調とし、「ございます」は用いない。」という記述もあります。ホームページの文章でも、「お見積りは無料でございます」より「見積もりは無料です」の方が、距離が近くなります。
漢語を和語に、名詞を動詞に
先ほど引いた災害の例の通り、建議は、親しさを増す工夫として、和語的な言い換えを添えること、動詞的に表すことを挙げています。
述部の言葉について、建議の解説は、分かりやすく親しみやすい文書にするには、述部に訓読みの動詞を使うとよい、としています。例は、「作業が進捗する」を「作業がはかどる」「作業が順調に進む」と書き換えるものです。
ただし、解説は注意も添えています。訓読みの動詞は意味の範囲が広いため、厳密に意味を特定しなければならないときには向かないことがあります。
建議の解説は、語の意味を正確に表したいときには漢語が有効な場合がある、とも書いています。契約の条件のように、一語の違いが損得に関わる文では、漢語を選ぶ場面があります。
紋切り型の挨拶は、長くしない
建議の解説は、「挨拶などの決まりきった言い回しが長くなると、文書の本質がぼやけることがある」と書いています。
代表挨拶や会社案内の冒頭に、「平素より格別のご高配を賜り」のような定型の挨拶が長く続くと、本題に入るまでに読み手の注意が切れます。一方で解説は、紋切り型が読み手を安心させる場合もあるとしています。
必要な場面では、短く添える程度に使います。
| 見直す点 | 硬い書き方(作例) | 近づけた書き方(作例) | 文化庁の考え方 |
|---|---|---|---|
| 文末 | お申し込みいただけます。 | お申し込みください。 | です・ます体を基調に、簡潔に敬意を表す |
| 述部 | 作業が進捗します。 | 作業がはかどります。 | 述部に訓読みの動詞を使うと親しみやすい |
| 名詞の連続 | お見積りの提示 | 見積もりをお出しします | 動詞的に表すと親しさが増す |
| 冒頭の挨拶 | 平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 | ご覧いただき、ありがとうございます。 | 決まりきった言い回しが長いと本質がぼやける |
誇大な言い方を避ける:景品表示法の優良誤認
顧客目線で書こうとすると、お客様に響く強い言い方を探したくなります。強い言い方には、法律上の線があります。
この章は、消費者庁の「優良誤認とは」のページと、「表示規制の概要」のページを2026年10月27日に読んで書いています。個別の文章が違反に当たるかどうかは弊社には判断できません。
迷う表現は、消費者庁に確かめてください。
優良誤認表示とは
消費者庁は、景品表示法が禁じる優良誤認表示を、事業者が、自己の供給する商品・サービスの品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し「実際のものよりも著しく優良であると示すもの」などの表示、と説明しています。
言い換えると、実際より優れていると見せる表示です。価格や取引条件について、実際より有利だと見せる表示には、別に「有利誤認」という区分があります。
うっかり書いた場合も対象になる
消費者庁のページには、こう書かれています。「故意に偽って表示する場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても、優良誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになります」
うっかり盛った一文も、対象になりえます。
「唯一」「日本で当社だけ」と書くとき
消費者庁の「表示規制の概要」のページには、例が挙げられています。「この技術を用いた商品は日本で当社のものだけ」と表示していたが、実際は競争業者も同じ技術を用いた商品を販売していた、という例です。
顧客目線で言い切りたくなる場面ほど、「唯一」「最初」「日本一」のような言葉は、確かめてから書く必要があります。
表示の裏付けとなる根拠
消費者庁のページは、優良誤認表示に該当するかを判断する必要があるとき、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を、事業者に求めることができると説明しています。
資料が提出されない場合や、提出された資料が合理的な根拠を示すと認められない場合は、その表示は不当表示とみなされる、とも書かれています。根拠の資料を出せない強い言い方は、調べられる場面で不利になります。
文章での避け方
弊社の提案として、強い言い方を書く前に、次の3つを確かめます。
- 根拠となる資料が手元にあるか
- 比べている相手と範囲は明確か
- いつの時点の話か
この3つが言えない言い方は、範囲や条件を添えて弱めるか、事実の書き方に変えます。
| 言い方(作例) | 確かめること | 直し方の例(作例) |
|---|---|---|
| 「この地域で唯一の対応」 | 他社が同じ対応をしていないと言い切れる根拠があるか | 「当社の対応内容は次のとおりです」と事実を並べる |
| 「どこよりも早い」 | 比べた相手と、測り方を説明できるか | 「ご連絡のあと、当日中に伺えます」と自社の実際を書く |
| 「必ず満足いただけます」 | 全員に当てはまると言える裏付けがあるか | 「満足いただけなかった場合の対応は次のとおりです」と書く |
| 「最新の技術で解決」 | 何が最新で、何が解決するのか説明できるか | 使う技術の名前と、できることを具体的に書く |
直せたかを、どう確かめるか
文章を直した後は、直せたかが気になります。ここでは、アクセス数に頼らず、文章そのものを確かめる方法を挙げます。
第三者の印の数を、直す前と比べる
手順5で業界外の人に読んでもらったときの印を、直す前の文章と直した後の文章で比べます。
印が減っていれば、つかえる所が減った目安になります。
問い合わせの文面と照らし合わせる
手順1で集めたお客様の言葉と、直した文を並べます。お客様が使う言葉が、ページに出てきているかを見ます。
出てこない言葉があれば、お客様の探している言葉がページに無い状態です。入れ方を考えます。
電話で聞き返される内容を控えておく
お客様から電話やメールでページの言葉の意味を聞き返されたら、その言葉をメモしておきます。
聞き返された言葉は、ページで通じていない言葉の候補です。直したあとに、同じ聞き返しが減るかを見ます。
Googleが示す自己評価の質問を使う
Googleの同じページには、ユーザー第一のコンテンツかどうかを確かめる質問が載っています。そのうち、読み手の側に立った質問が2つあります。
「コンテンツを読み終わったユーザーは、あるトピックについて、目的を果たすのに十分な情報を得たと感じることができますか。」と、「コンテンツを読んだユーザーは、有益な時間を過ごせたと感じられますか。」です。
この質問に、業界外の人が「はい」と答えられるかが、確かめの基準になります。
| 確かめ方 | 見るもの | うまくいっている状態の目安(弊社の提案) |
|---|---|---|
| 第三者の印の比較 | つかえた所、聞き返した所の印 | 印がつかない、または印の数が直す前より減っている |
| 問い合わせ文面との照合 | お客様の言葉がページにあるか | よく使われる言葉が見出しか冒頭に出ている |
| 電話で聞き返される内容 | ページのどの言葉が通じていないか | 同じ聞き返しが減る |
| Googleの質問への回答 | 目的を果たす情報が足りていたか | 業界外の人が「はい」と答える |
検索を理由に、繰り返し・水増し・日付の書き換えをしない
検索で見つけてもらうために、文章を書き足したくなることがあります。Googleの原文は、この点にも答えています。
同じ言葉を繰り返さない
Googleの検索の入門書(「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」)は、こう書いています。「同じ言葉を何度も繰り返すことは(多少変化を持たせても)ユーザーをうんざりさせてしまうほか、キーワードの乱用は Google のスパムに関するポリシーに違反することにもなります。」
顧客目線で書くことは、検索で見つけてもらうことと矛盾しません。入門書は、「そのとおりの語句を明示的に使用する必要はありません」とも書いています。
お客様の言葉で自然に書くことが、検索にも向く書き方だと弊社は考えています。これは出典のある話でなく、弊社の見立てです。
特定の文字数に合わせない
Googleの「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」には、検索エンジンを第一に考えたコンテンツを避けるための質問として、こう書かれています。「Google が優先する文字数があるとどこかで聞いたか読んだかしたために、特定の文字数になるように記事を書いていますか(そのような設定は存在しません)。」
検索の入門書も、「魔法の文字数も、最小や最大の文字数も存在しません」と書いています。ページは、読み手の疑問に答え切った長さで止めます。
日付を変えて新しく見せない
同じページには、こうした質問もあります。「コンテンツを実質的に変更していないにもかかわらず、ページを新鮮に見せるためにページの日付を変更していますか。」
文章を直したら、直した事実に基づいて日付を更新します。中身を変えずに日付だけを変えるのは避けます。
よくある質問
Q1. 「お客様目線」と「顧客目線」は違いますか?
文章の直し方を考えるうえでは、同じ意味として扱って構いません。「顧客」は改まった言い方で、「お客様」はそれを敬った言い方です。
詳しくは、「顧客目線の文章とは何か」の章に書きました。
Q2. 言い換えの例はありますか?
文化庁の建議に、役所の言葉の言い換え例が載っています。「喫緊の課題」は「すぐに対応すべき重要な課題」に、「可及的速やかに」は「できる限り早く」に言い換えます。
外来語にも例があり、「アジェンダ」は「議題」に言い換えます。他の例は「専門用語とカタカナ語を、どう扱うか」の章に、ホームページの作例は「作例で見る書き換えのビフォーとアフター」の章にあります。
Q3. 実在する会社の事例は載っていますか?
この記事には、実在の会社の事例は載せていません。載せたのは作例と、文化庁の建議に載っている国の文書の書き換え例です。
事例を見て真似る前に、手順1で自社のお客様の言葉を集めると、自社にとっての答えが見つかります。
Q4. 「あなた」は必ず使った方がいいですか?
使わなくても、顧客目線の文章は書けます。手順の案内では使うと分かりやすくなり、質問と回答はお客様の口調で書けば会話になります。
悩みの決めつけや連呼は避けた方が無難です。文化庁の建議とGoogleの2つのページの原文には、「あなた」の使い方を決めた記述がありません。
Q5. 問い合わせボタンの置き方は、この記事に書いてありますか?
書いていません。この記事は、文章の話に絞っています。
ボタンの置き方は、トップページのボタンの考え方を扱った記事に分けて書いています。
まとめ
顧客目線の文章は、読み手が知りたい順に、読み手が普段使う言葉で、次に何をすればよいかまで書いた文章です。気持ちの持ち方に任せず、順番、言葉、次の一歩の3つで確かめられます。
直す手順は5つです。お客様の言葉を集める、文を仕分ける、言い換える、順番を入れ替える、第三者に読んでもらう。
言い換えには、文化庁の建議が示す「言い換える」「説明を付けて使う」の考え方が使えます。強い言い方は、消費者庁の優良誤認の説明を読んで、根拠を確かめてから書きます。
「あなた」と語りかける書き方は、手順の案内に向き、質問と回答はお客様の口調で書けば足ります。悩みの決めつけや連呼は避けます。
関連する記事として、ホームページを見て「何を伝えたいかわからない」と言われる理由を扱った記事、専門用語が多いサイトを扱った記事、お客様の悩みを言葉にする方法を扱った記事もあわせてどうぞ。
今日できる点検
次の表は、1ページ分を直すときの順に並べています。上から順にチェックしてください。
| 順番 | 今日やること | 終わったと言える状態 |
|---|---|---|
| 1 お客様の言葉を集める | 直近の問い合わせの文面を、言い回しのまま写す | お客様が使う言葉の一覧がある |
| 2 文を仕分ける | 直したいページを印刷し、1文ずつ3つに分ける | 社内の言葉の文に印がついている |
| 3 言い換える | 印のついた文を、言い換える、説明を付ける、削るのどれかで直す | 説明なしの専門用語が残っていない |
| 4 順番を入れ替える | 最初の段落に、何のページかと答えを置く | 見出しだけを読んで、全体が分かる |
| 5 第三者に読んでもらう | 業界外の人に声に出して読んでもらう | つかえた所に印をつけ、直し終えた |
表の5つを、1ページ分だけ済ませてみてください。強い言い方があれば、最後に消費者庁のページで確かめます。
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