新しく開いたのに、初診の患者がなかなか増えない。広告を出すと電話は少し増えるものの、予約の段階で「ほかも見てから決めます」と言われる。
地図の口コミには、身に覚えのない低い評価がつく。この記事は、そうした悩みを抱える病院や診療所の院長、事務長の方と、医療機関のホームページを任されている担当の方に向けて書いています。
集客の手法を並べるのは後に回します。最初に、病院を探している人が、受診を決める直前に何に迷っているのかを整理します。
次に、医療の広告に決まりがある中で、ホームページのどこから直せば、初めての人が安心して予約をしてくれるのかを順番に見ていきます。
読み終えたときに、自院のホームページで最初に直す場所が1つ決まっている。そこをこの記事のゴールにしています。
内科の診療所、整形外科や眼科のような専門の診療所、地域の中小の病院。形は違っても、受診をためらう人が引っかかっている場所はよく似ています。
この記事では、外来の新しい患者を迎える場面を中心に書き、入院や紹介の患者で違いが出るところは後半で補足します。
Q&Aサイトで見かけた、病院を選ぶ人の迷い
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿者は、近所で通える病院を探している方でした。地図のアプリで口コミを見ると、星の数が高い病院ほどかえって信用できない気がする。
良すぎるとサクラを疑ってしまい、悪すぎると怖くて行けない。どの口コミを信じればよいのか分からない、という内容です。
回答には、口コミは当てにならないという声がいくつも並んでいました。同じ人が良い評価を繰り返し書いているのを見かける、関係者ではないかと疑ってしまう、という書き込みもありました。
別の質問では、評価の高い歯科に行ったところ、説明が雑で隣の患者の会話が丸聞こえだったという体験が語られていました。そこでは、一部の患者にだけ口コミを頼んでいるらしい、とも書かれていました。
同じサイトの別の質問では、病院を選ぶときに近所の人の話と口コミのどちらを信じるかが話題になっていました。その回答の中に、この記事の出発点になる一文があります。
「SNSの口コミサイトは複数を確認。書き込み日時の新しいものを参考にしますが、最終的には病院のHPを見て決めることが多いです。」
口コミで迷い、近所の人に聞き、それでも決めきれない人は、最後に病院のホームページを開いています。つまり、ホームページは口コミを疑っている人が、自分の目で確かめる場所として使われています。
ここに何も答えが書かれていなければ、迷っている人は別の病院のページを開きます。
口コミを信じきれない人が、最後に開くページ
病院を探している人は、最初から病院のホームページにたどり着くわけではありません。多くの場合は、症状の名前と地域の名前で検索をして、地図に出てきた病院の星の数を眺めるところから始まります。
そこで候補を2つか3つに絞り、それぞれのホームページを開いて見比べます。
このとき、その人が探しているのは、腕の良さを誇る言葉ではありません。自分の症状で行ってよい病院なのか、初めて行った日に何をされるのか、どのくらい待つのか、予約は要るのか。
そうした、受診の当日を思い浮かべるための情報です。口コミの星の数は、この問いには答えてくれません。
答えられるのは、病院が自分で書いたページだけです。
ところが、病院のホームページの多くは、院長のあいさつと診療科の一覧、最新の機器の紹介から始まります。どれも病院が伝えたいことで、迷っている人が知りたいことと少しずれています。
このずれが、「ほかも見てから決めます」という返事の正体です。
病院が伝えたいことと、患者が知りたいこと
病院のホームページによく並んでいる内容と、受診を迷っている人が知りたいことを並べると、次のようになります。
| 病院がよく書いていること | 迷っている人が知りたいこと | ずれが生む結果 |
|---|---|---|
| 院長のあいさつと理念 | この症状で来てよいのか | 自分が対象か分からず、別の病院を探す |
| 診療科の一覧 | どの科を選べばよいのか | 科の名前だけでは判断できず、電話で聞くのをためらう |
| 最新の医療機器の紹介 | 初めての日に何をされるのか | 当日の流れが想像できず、予約を先延ばしにする |
| 充実した設備と広い院内 | どのくらい待つのか | 待ち時間を口コミで確かめ、低い評価を見て離れる |
| 丁寧な診療を心がけています | 相談だけでもしてよいのか | 大げさな受診だと感じ、様子を見てしまう |
どの行も、病院の側に悪気はありません。誇れることを伝えたいという気持ちは自然です。
ただ、迷っている人の問いに答える前に誇れることを並べると、その人は答えを探して口コミに戻ります。口コミに戻った人は、星の数と一番新しい低い評価を見て、決めきれないまま別の病院を探し始めます。
受診する人は、何を確かめてから来るのか
迷っている人の行動を、国の調査の数字で確かめておきます。感覚で語ると、病院ごとの思い込みに引きずられるからです。
厚生労働省が公表した令和5年の受療行動調査によると、外来の患者のうち予約をしてから来た人は79.4%でした。病院の種類別では、特定機能病院が94.0%で最も高く、大病院が90.5%、中病院が81.5%と続いています。
いまの外来では、予約をしてから来るのが当たり前になっています。予約をするには、その前に病院を選び終えている必要があります。
選ぶ材料を探す場所が、地図の口コミとホームページです。
国の調査に出ている、外来の患者の姿
同じ調査から、ホームページに何を書くべきかに関わる数字を拾うと、次のようになります。
| 調査の項目(令和5年・外来) | 数字 | ホームページで答えること |
|---|---|---|
| 予約をしてから来た人 | 79.4% | 予約の方法と、予約なしで来たときの扱い |
| 診察までの待ち時間が15分未満だった人 | 27.8% | 待ち時間の目安と、混む曜日や時間帯 |
| 診察の時間が5分から10分未満だった人 | 40.9% | 短い診察で伝えきるための準備 |
| 病院の全体に満足していると答えた人 | 64.0% | 満足の理由になった説明の中身 |
| 最も不満が多かった項目「診察までの待ち時間」 | 25.5% | 待つ理由と、待つ間にできること |
注目したいのは最後の行です。調査の結果では、外来で「不満」と答えた人が最も多かった項目は「診察までの待ち時間」で、その割合は25.5%でした。
待ち時間は、口コミで低い評価がつく理由としても一番目立ちます。ただ、待ち時間そのものをすぐに短くするのは難しいはずです。
できるのは、待つことを先に知らせ、待つ理由を説明し、待つ間の過ごし方を示すことです。これはホームページで今日から書けます。
もう1つ、自覚症状がないまま受診した人が28.1%いたことも見逃せません。その理由で最も多かったのは「健康診断(人間ドックを含む)で指摘された」の45.2%でした。
健康診断の結果を手に持って、どこへ行けばよいのか分からずに検索している人が、外来の患者のかなりの部分を占めています。この人たちは、症状の名前では検索しません。
「健康診断 再検査 内科」のような言葉で探し、病院のページに自分のことが書いてあるかを確かめています。
誰が調べているかで、知りたいことは変わる
病院を探している人は1種類ではありません。誰が調べているかで、最初に知りたいことが変わります。
ホームページが特定の1人にだけ話しかけていると、ほかの人は自分のことではないと感じて離れます。
| 調べている人 | 最初に知りたいこと | ページの中で答える場所 |
|---|---|---|
| 初めて症状が出た本人 | この症状で来てよいのか、何科なのか | 症状から探せる入口のページ |
| 健康診断で再検査を勧められた人 | 結果の紙を持って行けばよいのか | 健康診断の結果をお持ちの方へ、というページ |
| 親や子どもの受診を調べている家族 | 付き添いはできるか、代わりに相談できるか | ご家族の方へ、というページ |
| ほかの病院から紹介された人 | 紹介状は要るのか、予約はどう取るのか | 紹介で受診される方へ、という案内 |
| 以前通っていて、また来たい人 | 診察券や予約の取り方が変わっていないか | 再診の方へ、という短い案内 |
5つの行を見比べると、どれも腕の良さや設備の新しさを問うていないことが分かります。聞かれているのは、自分がこの病院に行ってよいのか、行ったら何が起きるのか、という2点です。
この2点に答えるページがあるだけで、口コミに戻る人は減ります。
表の中で見落とされやすいのは、家族の行です。高齢の親の通院先を探しているのは、離れて暮らす子どもであることが少なくありません。
その人は、自分が受診するわけではないため、症状の細かい説明より、付き添えるか、送り迎えの車をどこに停めればよいか、本人が説明できないときに代わりに話せるかを気にしています。
家族に向けた短い案内が1つあるだけで、受診を決める人の迷いが1つ減ります。
ここまでで、受診を迷う人が何を確かめたいのかが見えてきました。次の章では、それでも病院のホームページがその問いに答えないのはなぜなのかを、医療の広告の決まりと、口コミの仕組みの両方から見ていきます。
なぜ病院のホームページは、患者の迷いに答えないのか
病院のホームページが迷っている人の問いに答えないのは、書く人の怠慢が原因とは限りません。医療の広告には、ほかの業種にはない決まりがあります。
その決まりを正しく知らないまま作ると、書いてよいことまで削ってしまい、当たり障りのない説明だけが残ります。
もう1つの原因は、ホームページを作る側の事情です。制作を頼まれた会社は、見た目の整ったページを期限までに納めることを求められます。
医療の決まりに詳しくない場合、問題になりそうな言葉を避けるのが一番安全な作り方になります。その結果、どの病院のページも同じような言葉で埋まり、見比べている人には違いが分からなくなります。
作る側に任せると、どの病院も同じページになる
制作を頼まれた会社にとって、医療のホームページは失敗の許されない仕事です。決まりに触れる表現を載せてしまえば、依頼した病院に迷惑がかかります。
そこで、ほかの病院のページで使われている言葉や構成を手本にして、問題の起きていない形をなぞるのが一番安全な進め方になります。
この進め方には、はっきりした弱点があります。手本にしたページも、同じように別の病院のページを手本にして作られていることが多いのです。
そうして、院長のあいさつから始まり、理念、診療科の一覧、設備の紹介と続く、よく似たページが地域の中にいくつも並びます。見比べている人から見ると、どの病院も同じことを言っているように見えます。
違いが分からないとき、人は口コミの星の数と、家からの近さで選びます。
ページの中身を決められるのは、患者と毎日話している病院の側だけです。どんな症状の相談が多いのか、受付でどんなことを聞かれるのか、初めての人がどこで戸惑っているのか。
こうした現場の事実は、制作を頼まれた会社には分かりません。作る作業は任せても、何を書くかの材料は病院が渡す。
この分担ができていないと、決まりを守っただけの、誰の問いにも答えないページができあがります。
医療の広告には、法律の決まりがある
医療法の第6条の5は、医療の広告について次のように定めています。
「何人も、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して、文書その他いかなる方法によるを問わず、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示(以下この節において単に「広告」という。)をする場合には、虚偽の広告をしてはならない。」
大事なのは、「文書その他いかなる方法によるを問わず」という部分です。紙のチラシや看板だけでなく、病院のホームページも、患者を誘う手段としての表示であれば広告として扱われます。
2018年6月に施行された改正で、ウェブサイトもこの決まりの対象になりました。
同じ条文の第2項は、広告の中身についても基準を置いています。原文では「他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告をしないこと」「誇大な広告をしないこと」と書かれています。
「地域で一番」「最高の技術」「必ず治る」のような言葉は、この基準に触れるおそれがあります。
決まりを恐れて、何も書かなくなる
この決まりを知ると、多くの病院は慎重になります。慎重になること自体は正しい姿勢です。
ただ、慎重になりすぎると、決まりが禁じていないことまで書かなくなります。
たとえば、初診の日の流れ、予約の取り方、待ち時間の目安、駐車場の場所、付き添いの方の過ごし方。これらは治療の効果をうたうものではありません。
受診する人が当日を思い浮かべるための案内です。それでも「何か問題になるかもしれない」と感じて、電話でお問い合わせください、の一文で済ませてしまう病院は少なくありません。
電話で聞けばよいと思うかもしれません。けれども、受診を迷っている人の多くは、電話をかける前の段階で止まっています。
「こんなことで電話をしてよいのか」「忙しいところに迷惑ではないか」と考えて、別の病院のページを開きます。電話で説明するつもりの内容は、電話をかけてこない人には届きません。
書いてはいけないことと、書いてよいこと
医療の広告の決まりで禁じられていることと、よくある誤解、実際に書けることを並べると、次のようになります。法令の解釈に迷うときは、所管の保健所や都道府県の窓口に確かめるのが確実です。
| 決まりで禁じられていること | よくある誤解 | 実際に書けること |
|---|---|---|
| 虚偽の広告 | 事実でも細かく書くと危ない | 診療時間、予約の方法、初診の流れなどの事実 |
| ほかの病院と比べて優れているという広告 | 自院の特徴を書くこと自体が比較になる | 対応している症状や検査の種類を、比べずに説明すること |
| 誇大な広告 | 分かりやすい言葉は誇大になる | 治療の一般的な流れと、かかる時間の目安 |
| 患者の主観や伝聞に基づく体験談の広告 | 患者の声に関わる話は一切書けない | よく受ける質問と、それへの病院としての答え |
| 誤認させるおそれがある治療の前後の写真 | 写真は一切載せられない | 院内の様子、受付や待合室、スタッフの顔写真 |
左の列の決まりは守る必要があります。そのうえで右の列を見ると、迷っている人の問いに答える内容のほとんどは、決まりに触れずに書けることが分かります。
書けないと思い込んで空けている場所に、受診をためらう人の答えを置くことができます。
口コミの点数が、病院の説明を押し流している
もう1つの構造は、地図の口コミです。病院を探す人の多くは、ホームページより先に地図の口コミを見ます。
そこで目に入るのは星の数と、一番新しい数件の書き込みです。
口コミには、病院の側では選べないという性質があります。待ち時間が長かった日に書かれた低い評価も、たまたま説明が短かった日の不満も、同じ重さで並びます。
医師の説明に納得して帰った人の多くは、わざわざ書き込みません。その結果、星の数は病院の実際の姿より、不満を持った人の声に寄りやすくなります。
星の数では、自分に合うかは分からない
Q&Aサイトの投稿者が口にしていた迷いは、ここから生まれています。星の数が高すぎるとサクラを疑い、低すぎると怖くなる。
つまり、星の数は、病院を探している人の判断を助けていません。
加えて、星の数は「この病院が自分の症状に合うか」には答えません。腰痛で探している人にとって、風邪の患者が書いた「対応が早かった」という評価は、ほとんど参考になりません。
自分と同じ症状の人の話を探して口コミを読み進めるうちに、判断は余計に難しくなります。
ここで、病院のホームページが「どんな症状の人に、何をするのか」を具体的に書いていれば、口コミを読んだ人はそこで答えを確かめられます。
口コミは入口として使われ、判断はホームページで下される。この順番を作れるかどうかが、病院の集客の分かれ目になります。
口コミへの返信で、信頼を失う
Q&Aサイトには、口コミへの返信を見て受診をやめたという投稿もありました。病院の側が、低い評価を書いた人に対して「受診歴がないので病院を間違えていませんか」と返信し、投稿者の名前まで挙げていたという内容です。
質問者は「この病院へは行かない」と書いていました。
低い評価に反論したい気持ちは分かります。ただ、口コミへの返信は、書いた本人より、これから受診を考えている人に読まれます。
返信の中で個人を特定するような書き方をすれば、医療機関に求められる守秘の姿勢そのものを疑われます。反論の中身が正しくても、読んだ人に残るのは「この病院は患者を責める」という印象です。
| 返信の書き方 | 読んだ人が受け取ること | 受診の判断への影響 |
|---|---|---|
| 受診歴の有無や名前に触れて反論する | 自分の情報もこう扱われるかもしれない | 受診の候補から外す |
| 定型の謝罪文を毎回同じように返す | 読まれていない、形だけの対応 | 判断の材料にならない |
| 待ち時間の理由と、改善していることを書く | 困りごとに向き合っている | 待つことを前提に予約を考える |
| 詳しくは窓口で伺います、と連絡先を示す | 相談すれば話を聞いてもらえる | 迷ったら電話してみようと思える |
口コミは病院の側では消せません。消せないものに反論で対抗するより、口コミを読んだ人が次に開くホームページで、待ち時間の理由や相談の窓口を先に説明しておくほうが、判断の助けになります。
口コミの低い評価への一番の返事は、ホームページに書いておく事前の説明です。
もう1つ付け加えると、口コミに書かれている不満は、ホームページに足すべき説明の一覧としても使えます。待ち時間が長い、説明が短い、駐車場が分かりにくい。
低い評価の理由を並べてみると、その多くは、事前に知っていれば不満にならなかったことです。口コミを読むときは、反論の材料を探すより、ページに書き足す材料を探すつもりで読むと、同じ不満が繰り返されにくくなります。
患者が増えないときに選びがちな手
初診の患者が増えないとき、病院が最初に考える手はだいたい決まっています。広告を増やす、口コミを増やす、設備と経歴を前に出す。
どれも一度は試したくなる手で、実際に短い期間なら数字が動くこともあります。ただ、迷っている人の問いに答えないまま続けると、半年ほどで別の困りごとに変わります。
広告の出稿を増やす
検索の広告や地図の広告を増やすと、病院の名前を目にする人は確実に増えます。問題は、その人たちがクリックした先で何を見るかです。
広告から来た人も、口コミから来た人と同じ問いを持っています。この症状で来てよいのか、初めての日に何をされるのか。
ページにその答えがなければ、広告は迷っている人を病院のページまで運び、そこで帰してしまいます。
広告の費用は、来た人の数に応じてかかります。答えのないページに人を運ぶほど、費用だけが増え、予約の数は思ったほど増えません。
広告を止めると元の数に戻るため、やめる判断もしにくくなります。広告を増やす前に、広告から来た人が読むページを直しておく必要があります。
口コミの投稿をお願いして回る
星の数を上げようとして、受診した患者に口コミの投稿をお願いする病院もあります。満足した人に書いてもらうこと自体は自然な流れです。
ただ、Q&Aサイトの投稿にあったように、探している人は「一部の患者にだけ頼んでいるのではないか」という目で口コミを読んでいます。
同じ時期に似た文面の高い評価が並ぶと、かえって疑いを強めます。
加えて、口コミの数を増やしても、探している人の問いには答えられません。高い評価が100件並んでいても、自分の症状で行ってよいのか、初めての日に何をされるのかは分からないままです。
星の数を上げる努力と、問いに答える努力は、別の作業だと考えたほうがよいでしょう。
設備と経歴を並べ立てる
新しい検査の機器、院長の学会での経歴、専門医の資格。こうした情報は、医療の広告として書ける事項に含まれるものが多く、病院にとっても誇れる内容です。
ただ、ページの最初にこれらを並べると、迷っている人は自分と関係のある話だと受け取りにくくなります。
機器の名前を見ても、それが自分の症状とどう関係するのかは、医療に詳しくない人には分かりません。経歴の長い一覧も同じです。
設備や経歴は、「この症状なら、この検査で、こう確かめます」という説明の中で出てきたときに初めて意味を持ちます。単独で並べると、病院の自己紹介で終わってしまいます。
たとえば「最新の内視鏡を導入しています」という一文は、医療に詳しい人には意味があっても、胃の不調で迷っている人には届きにくい言葉です。
「胃の痛みが続く方には、鎮静剤を使って、うとうとした状態で受けられる胃カメラの検査も選べます」と書けば、同じ機器の話が、検査を怖がっている人への答えに変わります。
機器の名前を主語にするか、迷っている人の不安を主語にするかの違いです。
予約の仕組みだけを新しくする
ネットで予約ができる仕組みを入れれば患者が増える、と考える病院もあります。国の調査で外来の患者の8割近くが予約をしてから来ていることを考えると、予約の仕組みを整えること自体は正しい判断です。
電話がつながりにくい時間帯でも予約が取れるのは、忙しい人にとって大きな助けになります。
ただ、予約の仕組みは、病院を選び終えた人が使う道具です。まだ迷っている人は、予約の画面に進む前に、この病院で本当によいのかを確かめています。
予約のボタンを目立たせても、その手前の問いに答えるページがなければ、ボタンは押されません。予約の仕組みを新しくするときは、ボタンのすぐ上に、初診の日の流れと来てよい症状の案内を置いておく。
この順番で並べると、仕組みにかけた手間が予約の数に表れやすくなります。
| よく選ばれる手 | その場で起きること | 半年後に起きること | 先にやっておくこと |
|---|---|---|---|
| 広告の出稿を増やす | ページを見る人が増える | 費用が増え、予約の数は伸び悩む | 広告から来た人が読むページに、受診の当日の説明を入れる |
| 口コミの投稿をお願いする | 星の数が少し上がる | 似た文面が並び、かえって疑われる | 口コミを読んだ人が確かめられる説明をホームページに置く |
| 設備と経歴をページの最初に並べる | 病院らしいページになる | 違いが伝わらず、ほかの病院と見分けがつかない | 症状ごとの説明の中で、使う検査として紹介する |
| 診療科の数を増やして見せる | 何でも診てもらえそうに見える | どの症状に強いのか分からなくなる | 特に相談の多い症状を、入口のページで示す |
| 待ち時間の短さを強く打ち出す | 予約が一時的に増える | 混んだ日に不満の口コミがつく | 混む時間帯と、待つ理由を正直に書く |
表の右の列は、どれも費用をかけずに始められることです。広告や口コミの対策が無駄だというわけではありません。
その前に、来た人が読むページの中身をそろえておかないと、どの手も効き目が長続きしないということです。
患者の感想を載せたくなったときに起きること
ほかの業種のホームページでは、お客様の声を載せるのが当たり前になっています。病院でも、満足してくれた患者の感想を載せたいと考えるのは自然なことです。
ところが、ここには医療ならではの決まりがあります。
体験談は、ホームページに載せられない
医療法施行規則の第1条の9は、広告の内容と方法の基準として、次のように定めています。
「患者その他の者(次号及び次条において「患者等」という。)の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告をしてはならないこと。」
病院のホームページに「おかげで痛みがなくなりました」「先生の治療で良くなりました」という患者の感想を載せると、この体験談の広告にあたるおそれがあります。治療の効果の感じ方は人によって違い、ある人の体験が、ほかの人にも同じように当てはまるとは限らないためです。
ここで大事なのは、禁じられているのが「治療等の内容又は効果に関する体験談」だという点です。受付の対応や院内の清潔さのように、治療の効果とは関係のない感想の扱いについては、所管の窓口に確かめてから判断するのが安全です。
迷うものは載せず、代わりに病院としての説明を厚くするほうが、決まりの面でも、探している人の役に立つという面でも確実です。
治療の前後の写真にも決まりがある
同じ条文の第2号は、「治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告をしてはならないこと」と定めています。
皮膚科や歯科、美容に関わる診療で、治療の前と後を並べた写真を載せたくなる場面は多いはずです。その写真だけを見た人が、自分も同じ結果になると受け取るおそれがあるため、慎重な扱いが求められています。
写真を使いたいときは、院内の様子や、受付から診察室までの道順、スタッフの顔といった、受診の当日を思い浮かべるための写真に置き換えると、決まりに触れずに安心を伝えられます。初めて来る人にとって、待合室の椅子の並びや診察室の入口の写真は、治療の結果の写真よりも来院のハードルを下げてくれます。
自由診療の説明に要る4つの条件
医療の広告では、原則として法律で決められた事項しか広告できません。ただし、患者が自分から求めて見に来るウェブサイトなどについては、一定の条件を満たせば、それ以外の事項も載せられる仕組みがあります。
医療法施行規則の第1条の9の2は、その条件を次のように定めています。
| 条件(医療法施行規則 第1条の9の2) | 原文の要点 | ホームページでやること |
|---|---|---|
| 1. 患者が自ら求めて入手する情報であること | 「患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること」 | 検索して訪れた人が読むページとして作る |
| 2. 問い合わせ先を明示すること | 「患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載すること」 | 電話番号と受付時間を、説明のすぐ近くに置く |
| 3. 自由診療の内容と費用を示すこと(自由診療の場合) | 「通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること」 | 治療の流れと、費用の考え方を1つのページにまとめる |
| 4. 自由診療の主なリスクや副作用を示すこと(自由診療の場合) | 「主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること」 | 起こりうることを、良い面と同じ大きさの文字で書く |
この4つの条件は、決まりを守るための条件であると同時に、迷っている人の問いへの答えにもなっています。問い合わせ先がすぐ分かる、治療の流れと費用の考え方が分かる、起こりうることが隠されていない。
どれも、受診を決める前に人が確かめたいことです。決まりに沿って書くほど、探している人にとって読みやすいページになります。
決まりは病院を縛るものに見えますが、見方を変えると、迷っている人に何を書けばよいかの一覧でもあります。次の章では、この一覧を手がかりに、ホームページの中身をどう組み直すかを具体的に見ていきます。
売れるサイトはみな謙虚という考え方
ここまでの話を1つにまとめると、病院のホームページが迷っている人の問いに答えないのは、ページの主役が病院になっているからです。
院長のあいさつ、理念、設備、経歴。どれも病院の話で、読んでいる人の話が出てくるのはずっと後になります。
私たちは、この順番を入れ替えることを「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいます。主役の座を、病院から受診を迷っている人へ譲るということです。
病院は、不安を抱えて検索している人の道案内をする立場に回ります。医療の現場では、患者の話を先に聞いてから説明するのが当たり前のはずです。
ホームページでも同じ順番を守る、というだけの話です。
主役を、迷っている患者に置く
主役を患者に置くというのは、ページの最初に来る言葉を変えることから始まります。「当院は地域の皆さまの健康を支えます」という書き出しは、病院が主語です。
「健康診断で再検査を勧められて、どこに行けばよいか迷っている方へ」という書き出しは、読んでいる人が主語です。
読んでいる人が主語の書き出しは、自分のことが書いてあると感じた人をページの先へ進ませます。自分のことではないと感じた人も、ほかの入口を探しにいきます。
どちらの場合も、迷っている人がページの中で迷子になる時間が短くなります。受診を迷っている人は、体の不安を抱えたまま検索しています。
読むのに時間がかかるページほど、途中で閉じられてしまいます。
病院は道案内に回る
主役を患者に置いたあと、病院は道案内として登場します。「この症状なら、まずこの検査をします」「初めての日は、受付から会計までおよそこのくらいかかります」「迷ったら、この番号にお電話ください」。
道案内の言葉は、どれも短く、具体的で、次に何をすればよいかが分かります。
院長の経歴や設備の説明は、この道案内の中で「だからこの検査ができます」という根拠として出てきます。単独で並べていたときより、ずっと意味が伝わりやすくなります。
誇れることを捨てる必要はありません。置く場所を変えるだけです。
院長のあいさつは、何を書けばよいか
院長のあいさつのページは、多くの病院で理念と経歴の紹介になっています。道案内の考え方で書き直すなら、「初めて来る方に、院長が伝えておきたいこと」を書くページにします。
たとえば、症状がはっきりしなくても相談に来てよいこと、診察の時間が短く感じたら遠慮なく聞き返してほしいこと、ほかの病院の方が合う場合は正直に伝えること。
こうした言葉は、腕の良さを誇るより、はるかに院長の人柄を伝えます。受診を迷っている人は、どんな先生なのかを気にしています。
その答えは、経歴の長さより、患者にどう向き合うつもりなのかという言葉の中にあります。経歴は、あいさつの下に短く添えておけば十分です。
受診の前に答えておく5つのこと
では、道案内として何を書けばよいのか。受診を迷っている人がホームページで確かめたいことは、次の5つにまとまります。
どれも医療の広告の決まりに触れずに書ける内容です。
1. どんな症状なら、この病院に来てよいか
最初に答えるのは、「自分はこの病院に行ってよいのか」という問いです。診療科の名前だけでは、医療に詳しくない人には判断ができません。
腰が痛いのは整形外科なのか内科なのか、子どもの湿疹は小児科なのか皮膚科なのか。迷っている人は、科の名前より先に、自分の症状の言葉で探しています。
そこで、よく相談を受ける症状を、患者が使う言葉のまま並べた入口を作ります。「咳が2週間以上続いている」「健康診断で血圧が高いと言われた」「階段を下りるときに膝が痛む」。
医療の用語に置き換える前の、話し言葉の症状です。それぞれに、この病院で何を確かめるのか、ほかの病院を勧める場合はどんなときかを短く添えます。
2. 初めて来た日に、何が起きるか
2つ目は、初診の日の流れです。受付で何を出すのか、問診票はどこで書くのか、診察の前に検査があるのか、会計まで全部でどのくらいかかるのか。
初めて来る人にとっては、どれも分からないことばかりです。分からないことが多いほど、受診は先延ばしにされます。
図のように、初診の日の流れを受付から会計まで順番に書いておくと、読んだ人は当日の自分を思い浮かべられます。特に、診察の前に済ませる準備を書いておくのが効きます。国の調査では、外来の診察の時間は5分から10分未満が40.9%で最も多く、次いで5分未満が28.1%でした。短い診察の中で困りごとを伝えきるには、事前に症状の経過をメモしてきてもらうのが一番です。そのお願いをホームページに書いておくと、診察も短い時間で深くなります。
3. 待ち時間と予約の仕組み
3つ目は待ち時間です。前の章で見たとおり、外来で不満の声が一番多いのは診察までの待ち時間でした。
待ち時間は、隠しても口コミで知られます。それなら、先に正直に書いておくほうが、来た人の受け止め方は穏やかになります。
書くのは、混みやすい曜日と時間帯、予約をした場合と予約なしの場合の違い、待ち時間が長くなる理由です。「月曜日の午前と、連休明けは混み合います」「予約の方を優先するため、予約なしの方は1時間ほどお待ちいただくことがあります」。
こうした一文があるだけで、待つことを知ったうえで来た人は、待たされたとは感じにくくなります。
4. 家族が付き添うとき、代わりに相談するとき
4つ目は家族のための案内です。親の受診を子どもが調べている、子どもの受診を親が調べている、という場面は珍しくありません。
家族が知りたいのは、付き添いはできるのか、診察室に一緒に入れるのか、本人が来られないときに代わりに相談できるのか、といったことです。
家族向けの案内は、1つの短いページで構いません。長い説明より、家族が受診の前日に読み返して、持ち物や道順を確かめられることを優先します。
電話で家族から聞かれることが多い質問を、そのままの言葉で並べておくと、読む人が自分の迷いを見つけやすくなります。付き添いの人数、車いすの貸し出し、駐車場から入口までの道順、本人の代わりに相談するときに持ってきてほしいもの。
こうした情報は、受診を決める人と、実際に受診する人が違うときに、背中を押す材料になります。
5. ほかの病院を紹介するのは、どんなときか
5つ目は、この病院で対応できないときのことです。自分の症状がこの病院の対応範囲を超えていたらどうなるのか、と心配している人は、受診そのものをためらいます。
そこで、より詳しい検査や入院が必要なときは、連携している病院に紹介状を書く、という流れを書いておきます。
ほかの病院を紹介すると書くと、患者を手放すように感じるかもしれません。実際は逆で、「まずはここで相談すればよい」という安心につながります。
医療法の第6条の5第3項でも、紹介することができる他の病院や診療所の名称、連携の状況は、広告できる事項として挙げられています。
健康診断の結果を持っている人には、専用の入口を
5つのことに加えて、多くの内科の診療所で効果が大きいのが、健康診断の結果を持っている人のための入口です。前の章で見たとおり、自覚症状がないまま受診した人のうち45.2%が、健康診断での指摘をきっかけにしていました。
この人たちは、症状の名前では検索しません。「再検査」「要精密検査」「血圧が高いと言われた」といった、結果の紙に書かれた言葉で探しています。
ページには、結果の紙を持ってきてほしいこと、どの項目の指摘ならこの病院で確かめられるのか、予約が要るのか、当日にどんな検査をするのかを書いておきます。
結果の紙を見て不安になっている人にとって、「その紙を持って、この曜日の午前に来てください」という一文は、どんな説明よりも行動につながります。
| 答えておくこと | 迷っている人の問い | ページに書く例 |
|---|---|---|
| 1. 来てよい症状 | この症状で行ってよいのか | 咳が2週間以上続く方、健康診断で再検査を勧められた方へ |
| 2. 初診の日の流れ | 行ったら何をされるのか | 受付、問診票、検査、診察、会計の順番と、全体の時間の目安 |
| 3. 待ち時間と予約 | どのくらい待つのか | 混む曜日と時間帯、予約なしの場合の待ち時間の目安 |
| 4. 家族の付き添い | 家族が一緒に行けるか | 付き添いの人数、代わりに相談するときの持ち物 |
| 5. ほかの病院の紹介 | 手に負えないと言われたらどうなるか | 連携している病院と、紹介状を書く場面 |
病院の形で変わること
5つのことは、どの医療機関でも共通して答えておく内容です。そのうえで、病院の形によって重点が変わります。
診療所と中小の病院と、専門の病院
地域の診療所、ベッドを持つ中小の病院、特定の分野に絞った専門の病院では、探している人の状況が違います。同じ5つのことでも、どれを一番上に置くかが変わります。
| 医療機関の形 | 探している人の状況 | 一番上に置くこと |
|---|---|---|
| 地域の内科などの診療所 | 急な体調不良や、健康診断の結果を持っている | 来てよい症状と、予約なしの受付の扱い |
| 整形外科や眼科などの専門の診療所 | 特定の部位の不調が続いている | 症状ごとの検査の流れと、通院の回数の目安 |
| ベッドを持つ中小の病院 | 本人より家族が調べていることが多い | 家族の付き添いと、入院の相談の窓口 |
| 紹介を中心に受ける病院 | ほかの病院から紹介されて調べている | 紹介状の扱いと、初診の予約の取り方 |
書き出しを変えると、何が変わるか
最後に、ホームページの最初の画面に置く言葉を、直す前と直した後で比べておきます。どちらも同じ病院の、同じ事実を伝えています。
違うのは、誰が主語になっているかです。
| 場面 | 直す前の書き出し | 直した後の書き出し |
|---|---|---|
| トップページの最初の画面 | 地域の皆さまに信頼される医療を | 健康診断の結果を手に、どこへ行けばよいか迷っている方へ |
| 診療案内のページ | 当院の診療科のご紹介 | こんな症状でお困りの方は、まずご相談ください |
| 初診の案内のページ | 初診の方へ(保険証をお持ちください) | 初めての日は、受付から会計までおよそ1時間です |
| 院長のあいさつ | 院長の経歴と理念 | 院長が、初めて来る方にお伝えしたいこと |
直した後の書き出しは、どれも読んでいる人の迷いから始まっています。ページの最初の数行で「自分のことが書いてある」と感じてもらえるかどうかで、その先を読んでもらえるかが決まります。
窓口と電話でも、同じことを言う
ホームページを直しても、受付や電話で言うことが違っていれば、読んだ人の安心は崩れます。「ホームページには予約なしでも診てもらえると書いてあったのに、電話では予約がないと難しいと言われた」。
こうした食い違いは、口コミの低い評価の理由としてよく書かれます。
ホームページと受付の説明をそろえる
ホームページに書いたことは、病院の約束として読まれます。受付の担当が変わっても、同じことを言える状態にしておく必要があります。
一番簡単なのは、ホームページの初診の案内のページを印刷して、受付の手元に置いておくことです。電話で聞かれたら、その紙を見ながら答える。
それだけで、ページと電話の説明はそろいます。
反対に、受付でよく聞かれることは、ホームページに足していく材料になります。「駐車場は何台ありますか」「子どもを連れて行ってもよいですか」「支払いにカードは使えますか」。
受付の担当に、1週間でよく聞かれた質問をメモしてもらうだけで、ホームページに書くべきことの一覧ができあがります。電話で何度も同じことを聞かれているなら、それはページに答えが書いていないという合図です。
受付の側にとっても、これは負担を減らす話です。電話で同じ説明を何度も繰り返す時間が減り、その分を来院した患者への対応に回せます。
ページと窓口の説明をそろえる作業は、集客のためであると同時に、受付の仕事を楽にするための作業でもあります。
紹介してくれる医療機関にも同じ情報を渡す
中小の病院や専門の診療所では、ほかの医療機関からの紹介も大切な入口です。紹介する側の医師は、患者に「この病院に行ってください」と言うとき、その病院がどんな検査をして、予約はどう取るのかを知っている必要があります。
知らなければ、よく知っている別の病院を紹介します。
紹介をしてくれる医療機関向けに、受けられる検査や、紹介状を受け取ってからの流れ、予約の窓口をまとめたページを作っておくと、紹介する側の説明の手間が減ります。
紹介された患者も、同じページを見て当日を思い浮かべられます。患者向けのページと、紹介する医療機関向けのページで、書いてある流れが同じであることが大事です。
| 入口 | 食い違いが起きやすいこと | そろえ方 |
|---|---|---|
| ホームページ | 予約なしの受付の扱い | 受付と同じ言葉で、条件を1文で書く |
| 電話の受付 | 待ち時間の目安 | ページを印刷して手元に置き、同じ数字で答える |
| 窓口での説明 | 初診の日の持ち物 | 問診票と一緒に、ページと同じ一覧を渡す |
| 紹介する医療機関 | 紹介状を受け取ってからの流れ | 医療機関向けのページを作り、患者向けと同じ順番で書く |
| 地図の口コミへの返信 | 待ち時間の理由 | ホームページの説明と同じ内容を短く返す |
ホームページを直したあとに見る数字
ページを直したら、効き目があったかどうかを数字で確かめます。見る数字は多くなくて構いません。
大事なのは、直す前の数字を控えておくことです。
予約の数と、電話で聞かれる質問
一番分かりやすいのは、新しい患者の予約の数です。直す前の1か月と、直した後の1か月を比べます。
季節によって患者の数は変わるため、できれば前の年の同じ月とも比べておくと、直した効果と季節の波を見分けやすくなります。
もう1つは、電話で聞かれる質問の中身です。ページに答えを書いたことは、電話で聞かれにくくなるはずです。
受付の担当に付けてもらっているメモを見て、同じ質問が減っているかを確かめます。減っていなければ、書いた場所が見つけにくいか、書き方が伝わっていないということなので、置き場所や言葉を見直します。
どんな言葉で探されているかを確かめる
検索でホームページに来た人が、どんな言葉を入れていたかも確かめておきます。Google Search Consoleという無料の道具を使うと、自院のページが表示された検索の言葉と、その回数が分かります。
症状の言葉や「健康診断 再検査」のような言葉で表示されるようになっていれば、迷っている人の入口として働き始めている合図です。
反対に、病院の名前でしか表示されていない場合は、すでに病院を知っている人にしか届いていません。症状の言葉で探している、まだ病院を知らない人に届くように、入口のページの言葉を話し言葉に寄せていきます。
| 見る数字 | 確かめ方 | 数字が動かないときに見直すこと |
|---|---|---|
| 新しい患者の予約の数 | 直す前後の1か月と、前の年の同じ月を比べる | 広告や地図から来た人が最初に読むページ |
| 電話で聞かれる質問 | 受付のメモで、同じ質問が減ったかを見る | 答えを書いた場所の見つけやすさ |
| 検索で表示された言葉 | Google Search Consoleで言葉と回数を見る | 入口のページの書き出しの言葉 |
| 初診の患者が迷った場所 | 受付で、どこで戸惑ったかを聞く | 初診の日の流れの説明の順番 |
よくある質問
Q. 医療の広告の決まりが心配で、何を書いてよいか分かりません
受診の当日を思い浮かべるための事実は、決まりに触れずに書けるものがほとんどです。初診の流れ、予約の方法、待ち時間の目安、駐車場や付き添いの案内がその例です。
治療の効果をうたう表現、ほかの病院と比べる表現、患者の体験談は避けます。判断に迷う表現は、所管の保健所や都道府県の窓口に確かめてから載せると安心です。
Q. 患者の声を載せられないなら、何で信頼を伝えればよいですか
よく受ける質問と、それへの病院としての答えを載せるのが一番の代わりになります。「こんな症状でも来てよいですか」「検査は痛くないですか」といった、受付でよく聞かれる質問を集めて、医師やスタッフの言葉で答えます。
院内の写真やスタッフの顔写真も、初めて来る人の不安を和らげます。
Q. 待ち時間が長いことを正直に書くと、患者が減りませんか
書かなくても、待ち時間は口コミで知られます。先に書いておくと、知ったうえで来た人は待つことを前提にしているため、不満を持ちにくくなります。
混む曜日と時間帯を書いておけば、空いている時間を選んで来る人も増え、結果として混雑がならされることもあります。
Q. 口コミの低い評価には、どう返信すればよいですか
書いた本人の受診歴や個人に関わることには触れずに返信します。待ち時間が長かったという評価なら、長くなった理由と、いま改善していることを短く書きます。
詳しい事情を伺いたい場合は、窓口や電話の連絡先を示します。返信は、これから受診を考えている人に読まれていると考えて書くのが基本です。
Q. ホームページを直す前に、広告は止めたほうがよいですか
止める必要はありません。広告から来た人が最初に読むページを、先に直してください。
初診の案内と、よく相談を受ける症状の入口のページが整っていれば、同じ広告の費用でも予約につながる割合は変わってきます。ページを直す前と後で、予約の数を比べておくと、次の判断がしやすくなります。
今日できる点検
最後に、今日のうちに自院のホームページで確かめられる点検の表を置いておきます。すべてを一度に直す必要はありません。
答えが「いいえ」になった行のうち、一番上の行から手をつけてください。
| 点検すること | 確かめる場所 | 「いいえ」だったときにすること |
|---|---|---|
| 最初の画面に、迷っている人が主語の言葉があるか | トップページ | 健康診断の結果を持っている人など、1つの層に向けた書き出しにする |
| 症状の言葉で探せる入口があるか | 診療案内のページ | よく相談を受ける症状を、話し言葉のまま5つ並べる |
| 初診の日の流れが順番に書いてあるか | 初診の案内のページ | 受付から会計までの順番と、全体の時間の目安を書く |
| 待ち時間と混む時間帯が書いてあるか | 初診の案内か、よくある質問 | 混む曜日と、予約なしの場合の目安を1文で書く |
| 家族の付き添いの案内があるか | ご家族の方へ、のページ | 付き添いの人数と、代わりに相談するときの持ち物を書く |
| 体験談や治療の前後の写真が載っていないか | ページ全体 | 外して、よくある質問と院内の写真に置き換える |
| 電話の受付が、ページと同じことを言えるか | 受付の手元 | 初診の案内のページを印刷して置く |
まとめ
病院を探している人は、地図の口コミを見て迷い、近所の人に聞き、それでも決めきれないときに病院のホームページを開きます。そこで確かめたいのは、腕の良さや設備の新しさより、自分がこの病院に行ってよいのか、行ったら何が起きるのか、という2つのことです。
医療の広告には、虚偽や誇大な広告、ほかの病院との比較、患者の体験談を禁じる決まりがあります。ただ、受診の当日を思い浮かべるための事実は、その決まりに触れずに書けるものがほとんどです。
書けないと思い込んで空けている場所に、迷っている人への答えを置くことが、病院の集客の出発点になります。
直す順番も大切です。広告や口コミの対策より先に、迷っている人が最後に開くページの中身をそろえる。
そのうえで、受付や電話の説明をページと同じ言葉にそろえ、紹介してくれる医療機関にも同じ流れを渡す。入口がどこであっても、同じ答えにたどり着ける状態を作ることが、口コミの星の数に左右されにくい病院への近道です。
まずは、初診の案内のページを開いてみてください。受付から会計までの流れと、待ち時間の目安が書いてあるかを確かめる。
書いていなければ、そこが最初に直す場所です。
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