会社のホームページやLP、お客様に送るメールの文章にPASONAの法則を当てはめてみたら、煽りっぽい文章になってしまった。そんな経験をした方に向けて書きます。
読み返すと自分でも売り込み臭く感じる。出してみたら、かえって反応が落ちた。中小企業の経営者や担当の方から、こうした声をよく聞きます。
先に答え:煽りっぽくなる原因は、型の2段目の読み違いにある
結論から書きます。
PASONAの法則は、経営コンサルタントの神田昌典さんが1999年に発表した、売れる文章の要素と並べる順番の型です。
煽りっぽくなるのは、2段目を「不安をふくらませる段」と読んでしまったときです。
この2段目は、提唱者自身が書き換えています。初期の型では「あぶりたて」でしたが、現行の型では「親近感」です。
この記事では、次の4点を順に説明します。
- 型の各段が、何を言う段なのか
- 旧型と現行型、さらにPASBECONAの違い
- 煽りすぎが法律上の問題にふれうる場面
- 中小企業が自社の文章で、煽らずに型を使う手順
型の説明は、神田氏がダイヤモンド・オンラインで公開した連載を、2026年10月24日に開いて確かめた範囲だけを書きます。
法律の説明は、消費者庁のページを同じ日に開いて確かめた範囲だけを書きます。
確かめられなかったことは、確かめられなかったと書きます。
この記事の読み手と範囲
読み手は、従業員が数名から数十名の会社で、ホームページやメールの文章を自分で書いている方を想定しています。
費用の話と、他社の事例は書きません。個別の案件が法律に違反するかどうかの判断も、この記事ではできません。
Q&Aサイトで見た「これで最後なんです」という一言への疑い
Q&Aサイトで、こんな質問を拝見しました。
アクセサリーを売る店員さんが「これで最後なんですよ」と言うのは、お客に買わせるための嘘なのか、という内容です。
回答のひとつは、その言葉をPASONAの法則に沿ったセールストークの一環だと説明していました。
質問の原文はここに載せず、要点だけを書き直して紹介しています。
「最後」という言葉を、買う側はどう受け取るか
この質問からうかがえるのは、買う側が「最後」「今だけ」といった言葉を、事実かどうかで見ている点です。
少なくともこの質問者さんは、言葉の勢いに押されるより先に、本当かどうかを疑いました。
売る側が「型どおりに書いただけ」のつもりでも、読む側は中身が事実かどうかを見ています。
世間の読み方と、提唱者の説明のずれ
回答者は、店員さんの一言を、限定して決断を促すセールストークだと読んでいました。
ところが、神田氏の連載を読むと、現行の型で最後から2番目の段(N)は、「適合」という位置づけです。
のちに詳しく書きますが、適合は「理想とする顧客にぴったりの顧客を選ぶ」という観点で置かれた段です。
PASONAの法則は、煽りの型と読み違えられやすい型です。このずれが、煽りっぽい文章を生む入り口になります。
型を当てはめるほど、反応が落ちる文章が生まれる
型に沿って書いたはずなのに、読み手の反応が冷たい。この現象には、いくつかの決まった症状があります。
煽りっぽい文章に出やすい4つの症状
次の表で、自分の文章に当てはまるものを探してください。
| 症状 | 読み手の受け取り方 | 文章に起きていること |
|---|---|---|
| 冒頭から不安の言葉が続く | 脅されている気がして閉じる | 2段目を「不安をふくらませる段」と読んでいる |
| 「今だけ」「残りわずか」が並ぶ | 本当かどうか疑う | 事実の裏づけがない限定を書いている |
| 解決策がいきなり商品名になる | 自分の悩みが飛ばされたと感じる | 問題と解決のあいだの理解が抜けている |
| 最後に行動の依頼が何度も出る | しつこいと感じて離れる | 行動の段を、押す段と読んでいる |
どれも、型の順番は守っているのに、各段で言う中身がずれている例です。
症状が出る理由は、中身を事実で支えていないこと
型は、何を言い、どの順で並べるかを決めます。何を事実として言うかまでは決めません。
事実の裏づけがない言葉を、型の順に並べると、読み手には勢いだけが伝わります。
勢いだけの文章は、読み手の警戒を呼びます。
反応が落ちるときに確かめる3か所
反応が落ちたとき、まず見るのは次の3か所です。
最初の2行に、読み手の状況に合わない言葉が入っていないか。限定や期限の言葉に、事実の裏づけがあるか。最後の行動が、読み手にとって小さな一歩になっているか。
この3か所は、のちの章で1つずつ書き直します。
先に押さえる:ここで言う「煽り」とは何か
この記事で言う「煽り」は、事実より強い言葉で、読み手の不安や焦りをふくらませる書き方のことです。
悩みを正確に言い当てること自体は、煽りではありません。
神田氏の連載にも、顧客の心の深いところにある悩みを理解して示すと、人は心を開く、という説明があります。
煽りと理解の線引きは、次の章以降で、型の各段に当てはめて見ていきます。
型の各段は、何を言う段なのか
まず、現行のPASONAの法則を確認します。
神田氏は連載の中で、この型を「何を言えばいいか」を6つの要素に集約し、「どんな順番で言えばいいか」を並べたものだと説明しています。
現行の6段を一覧にする
6段は、頭文字をつないだ名前です。一覧にすると次のとおりです。
| 段 | 頭文字の元の語 | 意味 | この段で言うこと |
|---|---|---|---|
| 1段目 | Problem | 問題 | 読み手が抱えている悩みを言葉にする |
| 2段目 | Affinity | 親近感 | その悩みを分かっている、と伝える |
| 3段目 | Solution | 解決策 | 悩みをどう解決できるかを示す |
| 4段目 | Offer | 提案 | 具体的に何を差し出すかを示す |
| 5段目 | Narrow | 絞り込み、のち適合 | 誰に向けた提案かをはっきりさせる |
| 6段目 | Action | 行動 | 読み手に取ってほしい次の一歩を示す |
右端の列は、連載の説明をもとに、私がまとめた言い方です。
6段は覚えやすい短さですが、各段で何を書くかは、会社ごとに考える必要があります。
1段目の問題は、読み手の状況の言い当て
1段目では、読み手が日ごろ口にしている悩みを、読み手の言葉で書きます。
「問い合わせが来ない」「見積もり依頼が減った」のように、読み手が自分で言いそうな言葉が合います。
ここで不安をふくらませる言葉を足すと、読み手は理解されるより先に、脅されたと感じます。
2段目の親近感は、分かっていると伝える段
2段目では、悩みを分かっている、という姿勢を示します。
神田氏は連載で、顧客との親近感を印象づける理由を、「この人は自分のことをわかってくれている」と思ってもらうことだと書いています。
この段は、読み手の側に立つ段です。不安を足して追いこむ段ではありません。
3段目と4段目は、解決策と提案
3段目の解決策では、悩みが解けるまでの道筋を書きます。
4段目の提案では、その道筋のなかで、会社が差し出すものを書きます。商品、サービス、相談の場などです。
提案が具体的であるほど、読み手は自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
5段目の絞り込みは、のちに適合と位置づけられた
5段目は、誰に向けた提案なのかをはっきりさせる段です。
神田氏は、従来「絞り込み」と説明してきたNarrowを、のちに「適合」と位置づけたと書いています。
理由は、「あなたが理想とする顧客にぴったりの顧客を選ぶという観点から「適合」とした」からだそうです。
つまりこの段は、合う人に合う提案を届ける段として説明されています。数を限って焦らせる段とは、書かれていません。
6段目の行動は、次の一歩を示す段
最後の段では、読み手にしてほしい行動を、はっきり書きます。
電話、問い合わせフォーム、資料の請求など、1つに絞るほうが迷われません。
行動の段で押しすぎると、せっかく親近感でつないだ信頼が崩れます。
旧型と現行型の違い:提唱者が2段目を書き換えた理由
PASONAの法則には、1999年の誕生当時の形と、現行の形があります。
誕生当時の型は、2段目が「あぶりたて」だった
神田氏の連載によると、誕生当時の型は、現行の型と3点が大きく違っていました。
1点目は、2つ目のAが、あぶりたてのAgitationだったことです。現行では、親近のAffinityになっています。
2点目は、3つ目の「解決策の提示」に、解決と提案がひとまとめになっていたことです。
3点目は、Nの扱いです。ここは原文の図が文字で確認できなかったため、細かい違いは書きません。
書き換えの理由は、悪用や勘違いへの懸念と、時代の変化
連載には、書き換えの背景が書かれています。
初期の型は大きな反響を呼びました。しかし、勘違いされたり悪用されたりする懸念があったため、神田氏のコンサルティングのクライアント以外には、広く知られなかったそうです。
神田氏は、あぶりたてについて、次のように書いています。
「一つ間違えば、恐怖感をあおり立てる、おどろおどろしい文章につながる危険性があり、書き手の良識が必要とされた」
その後、ネットの普及でLPを使った販売のかたちが定まりました。
そこで、「問題点をあぶりたてるより、「この人は自分のことをわかってくれている」と顧客との親近感を印象づけることが重要になってきた」と書かれています。
これを受けて、2つ目のAをAffinityに変え、提案を独立させた形が、現行のPASONAの法則です。
旧型と現行型を並べて比べる
違いを、表で並べます。
| 比べる点 | 誕生当時の型 | 現行の型 |
|---|---|---|
| 2段目 | あぶりたて(Agitation) | 親近感(Affinity) |
| 解決と提案 | 3段目にひとまとめ | 解決策と提案に分けた |
| 5段目の呼び名 | 原文の図を確認できず記載しない | 絞り込みの説明から、のち適合へ |
| 書き換えの理由 | 悪用や勘違いへの懸念 | ネットとLPの普及、顧客との親近感の重視 |
この表で大切なのは、2段目の変更です。提唱者自身が、煽る方向から寄り添う方向へ、型を直しています。
世間に残る「あおる型」という印象
最初の形は一部の人にしか知られず、一般に最初に登場したのは『禁断のセールスコピーライティング』という本でした。
連載によれば、この本では、型のごく一部しか紹介されていませんでした。
世間に残る「あおる型」という印象は、こうして部分だけが先に広まった経緯とも関係している可能性があります。この点は、私が確かめた範囲では、断定できません。
PASBECONA:ウェブ時代に深めた8段の型
神田氏は、PASONAの法則をウェブの時代に深めた形として、PASBECONAを紹介しています。
2021年12月に出た『コピーライティング技術大全』で、書籍としては初めて公開されたと、連載で説明されています。
8段の並び
連載で示されているPASBECONAの要素は、次のとおりです。
| 順番 | 要素の名前 | 意味 |
|---|---|---|
| 1 | Problem | 問題 |
| 2 | Affinity | 親近 |
| 3 | Solution | 解決 |
| 4 | Benefit | 利得 |
| 5 | Evidence | 証拠 |
| 6 | Contents | 内容 |
| 7 | Narrow | 適合 |
| 8 | Action | 行動 |
PASONAの法則との大きな違いは、利得、証拠、内容の3つが並んでいることです。
PASONAの法則にあった提案の段は、連載の一覧には見当たりません。名前に含まれる「O」が何を指すかは、確かめられた文章には書かれていませんでした。
証拠が入ったことの意味
PASBECONAでは、解決のあとに、利得と証拠の段が続きます。
煽りを避けたい書き手にとって、この並びは参考になります。言葉の勢いより先に、証拠を置く形だからです。
ただし、各段の詳しい書き方は連載の図で示されており、文字として確かめられたのは、段の名前と順番までです。
「穴埋めではない」というテンプレートの扱い
神田氏と衣田順一氏は、LPの骨格をつくる道具として、PASBECONAテンプレートも紹介しています。
連載には、「中身は考えて書くが、穴埋めではないからこそ、どんな商品・サービスにも使える」とあります。
型に流しこむだけでは文章は完成しません。この考え方は、煽りっぽさを避けるうえでも大切です。
型の各段の重みを示す数字は、イメージとして読む
連載の別の回に、著者らが自社の講座のLPを例にして、各部分が成約に与える影響を示した図があります。
その説明では、見出しと冒頭(問題と親近感の部分)が合わせて40パーセント、利得が15パーセントという相対的なイメージが示されています。
これは著者らが自分たちのLPで示した「相対的なイメージ」であり、検証された統計ではありません。そのため、自社の目標の数字として使わないでください。
よくある間違い:煽りを足す、型を埋めるだけ、数字で盛る
煽りっぽい文章には、書き手の善意から生まれる、決まった間違いがあります。
反応が欲しいという気持ちが強いほど、次のような手に流れやすくなります。
間違い1:不安の言葉を強くする
1段目と2段目に、強い不安の言葉を重ねる書き方です。
「このままでは取り返しがつきません」のような言葉が並ぶと、読み手は悩みを言い当てられた安心より、脅された感覚を持ちます。
神田氏が、あぶりたてを「書き手の良識が必要とされた」段と書いたのは、この危うさを知っていたからです。
間違い2:事実ではない限定と期限を作る
「本日限り」「先着5名様」のような限定を、実際の事情と無関係に書く方法です。
実際に在庫が少ない、受け付けられる件数に上限がある、というなら事実です。そうでない限定は、読み手をだます表示になりえます。
この点は、のちの章の景品表示法の説明で詳しく見ます。
間違い3:型の順に、言葉を埋めるだけにする
6段に空欄を作り、言葉を入れていく書き方です。
見た目は型どおりでも、各段の中身が読み手の状況と合っていないと、文章はちぐはぐになります。
神田氏の連載にも、PASBECONAテンプレートは「穴埋め」ではない、と書かれていました。
間違い4:効果や数字を盛る
解決策の段で、「必ず売上が2倍になる」のような言い切りを置く書き方です。
効果の言い切りには、裏づけが必要です。消費者庁のページには、効果や性能の表示に、裏づけとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求める仕組みが書かれています。
4つの間違いを一覧にする
| 間違いの癖 | 読み手に起きること | 法律面で気をつける点 |
|---|---|---|
| 不安の言葉を強くする | 脅された気がして離れる | 事実と異なる内容を含めると、景品表示法や特定商取引法の対象になりうる |
| 事実でない限定や期限 | 嘘かもしれないと疑う | 取引条件が実際より有利に見えると、有利誤認の対象になりうる |
| 型の空欄を埋めるだけ | 自分の話と思えず離れる | 直接の法律の問題はないが、反応は落ちやすい |
| 効果や数字を盛る | 信用を失う | 効果の裏づけ資料が求められることがある |
煽りすぎが法律にふれうる場面:消費者庁のページで確かめた範囲
ここからは、法律の話です。
私は弁護士ではありません。ここに書くのは、消費者庁のページを2026年10月24日に開いて、確かめられた範囲だけです。
個別の文章が違反かどうかは、ここでは判断できません。
景品表示法は、優良誤認と有利誤認を禁じている
消費者庁の「表示規制の概要」のページによると、景品表示法は、消費者に誤認される不当な表示を禁止しています。
商品やサービスの品質や規格についての表示は、優良誤認表示(5条1号)です。実際よりも著しく優良であると示す表示が対象で、例として「カシミヤ混用率が80%程度のセーターに「カシミヤ100%」と表示した場合」が挙げられています。
価格などの取引条件についての表示は、有利誤認表示(5条2号)です。実際よりも著しく有利であると誤認される表示が対象です。
「限定」の書き方は、有利誤認の例に近い
同じページには、有利誤認の例として、次のものがあります。
「当選者の100人だけが割安料金で契約できる旨表示していたが、実際には、応募者全員を当選とし、全員に同じ料金で契約させていた場合」
つまり、実際にはない「限られた人だけ」を示すと、問題になりえます。
PASONAの法則の5段目や6段目で、人数や期限の言葉を書くときは、事実を確かめてからにします。
悪気がなくても、規制の対象になる
消費者庁の「有利誤認とは」のページには、次の説明があります。
「故意に偽って表示する場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても、有利誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになります」
この一文は、書き手にとって重いものです。うっかり古い期限を残した、というだけでも対象になりうるからです。
事業者が不当表示を行っていると認められたときは、消費者庁が措置命令などの措置を行うと、同じページに書かれています。
打消し表示:強調したあとの小さな文字は見られていない
目立つ強調表示に、条件を小さな文字で添える書き方があります。
消費者庁が2017年7月に公表した「打消し表示に関する実態調査報告書(概要)」には、次の考え方が書かれています。
「強調表示は、対象商品・サービスの全てについて、無条件、無制約に当てはまるものと一般消費者に受け止められる」
そのため、例外があるときは、その旨を分かりやすく適切に示さなければ、不当表示として問題となるおそれがあるとされています。
同じ調査の表示例では、強調表示が最大48ポイント、打消し表示が10ポイント程度の表示例で、強調表示に気づいた回答者の84.3%から94.2%が、打消し表示を見落としていました。
別に、スマートフォンでの購入経験者551人のうち39.2%が、打消し表示を見落として誤認し、購入や申し込みをしたことがあると答えています(2018年5月公表のスマートフォン調査)。
インターネットの広告表示で例示されていること
消費者庁の「インターネット上の広告表示」のページには、問題となる例が載っています。
たとえば、60分以上利用した場合に限り30分無料になるのに、条件を示さず「30分無料」とだけ表示する場合です。
この例は、PASONAの法則の提案の段にそのまま当てはまります。無料や割引を書くときは、条件を同じ場所に書きます。
特定商取引法は、通信販売の誇大広告を禁じている
消費者庁の特定商取引法ガイドによると、通信販売では、誇大広告等が禁止されています(法第12条)。
「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」が、禁止の対象です。
広告の媒体は問われず、ウェブサイトや電子メールでの表示も含まれると、同じガイドに書かれています。
電子メールの広告には、別の決まりもある
同じガイドには、電子メール広告についての決まりもあります。
消費者があらかじめ承諾しない限り、事業者が電子メール広告を送信することを、原則禁止しています(法第12条の3、12条の4)。
また、電子メールやバナーに書かれたURLのリンク先は、本文と一体で広告とみなされます。
メールの本文で穏やかに書いても、リンク先のページで煽っていれば、全体が広告として見られます。
法律の話の整理
| 法律 | 禁じられていること | PASONAの文章で気をつける点 |
|---|---|---|
| 景品表示法(優良誤認) | 品質を実際より著しく優良に見せる表示 | 解決策の段の言い切り |
| 景品表示法(有利誤認) | 取引条件を実際より著しく有利に見せる表示 | 限定、期限、割引の書き方 |
| 景品表示法(打消し表示) | 強調と矛盾する条件の見落とされる表示 | 無料や割引の条件の置き場所 |
| 特定商取引法(誇大広告) | 著しく事実に相違する表示など | 通信販売の広告全般、メールとリンク先 |
特定商取引法は、通信販売を行う事業者が対象です。自社の取引が対象になるかどうかは、条文と消費者庁のガイドで確かめるか、専門家に相談してください。
法人向けの営業メールの扱いは、この記事では確かめていないので書きません。
解決策:「売れるサイトはみな謙虚」の考え方で、煽りを引き算する
煽りっぽさを消す近道は、読み手が尋ねていない話と、事実の裏づけがない言葉を、文章から引き算することです。
「売れるサイトはみな謙虚」とは、ウェブサイトから要素を引き算し、訪れた人が迷わず次の一歩に進める形へ組み直す、弊社の考え方です。
型は残したまま、各段の中身を、事実で支えます。
引き算の基準は3つの問い
文章を見直すときは、1文ごとに次の問いを当てます。
この文は、読み手が知りたいことか。この文は、事実と言えるか。この文を消したら、読み手が困るか。
3つの問いのどれにも「いいえ」なら、その文は消して構いません。
型は残して、各段の言い方を変える
PASONAの法則を使わない、という選択もあります。
ただ、型には、読み手の悩みから行動までを順に並べる、という利点があります。
利点は残したまま、2段目を親近感として読み、各段を事実で書く。この使い方が、中小企業には合います。
各段を煽らずに書く:書き換えの手順
6段それぞれについて、煽りっぽい書き方と、事実で書く書き方を並べます。
1段目の問題:読み手の言葉で、状況を書く
煽りっぽい書き方は、「今のままでは、お客様を失い続けます」のような言い切りです。
事実で書くなら、「ホームページを作ったのに、問い合わせが月に数件しかない」のように、読み手が自分で言いそうな言葉にします。
数字を入れる場合は、自社のお客様から実際に聞いた言葉を使います。
2段目の親近感:理解を示し、追いこまない
煽りっぽい書き方は、悩みの深刻さを何度も繰り返すことです。
神田氏の連載には、「普段本人が抑えつけてしまっているような「痛み」に理解を示してくれると、人は心を開き、その人の言うことに耳を傾けるようになる」とあります。
理解を示す一文は、1つあれば足ります。悩みを繰り返すより、「そう感じるのは自然です」と受け止める一文のほうが、読み手は先を読みます。
3段目と4段目:解決策と提案を、根拠つきで書く
煽りっぽい書き方は、「必ず」「絶対に」といった言い切りです。
事実で書くなら、実際にしたことと、その結果を書きます。たとえば、「過去の相談の中で、こういう順番で直して、問い合わせが増えた例があります」のように、範囲を示します。
効果が人によって違うなら、そのことも書いて構いません。
5段目の適合:合う人と合わない人を、正直に書く
煽りっぽい書き方は、「今だけ」「先着順」で決断を急がせることです。
神田氏は、この段を、理想とする顧客にぴったりの顧客を選ぶ観点で位置づけています。
「こういう方には合います。こういう方には別の選択肢をおすすめします」と書くほうが、この説明に近い使い方です。
6段目の行動:小さな一歩を、1つだけ示す
煽りっぽい書き方は、同じ依頼を何度も繰り返すことです。
事実で書くなら、行動は1つに絞り、その中身を具体的に書きます。「無料で相談する」より、「30分、電話でお話しします」のほうが、読み手は何が起きるかを想像できます。
リンクの文字も、行き先が分かる言葉にします。消費者庁のインターネット広告のページにも、リンク先に何があるかが分かる具体的な表現を使う、と書かれています。
各段の書き換えを一覧にする
| 段 | 煽りっぽい書き方 | 事実で書く書き方 |
|---|---|---|
| 問題 | 「このままでは失い続けます」 | 読み手が口にする悩みをそのまま書く |
| 親近感 | 悩みの深刻さを繰り返す | 理解を示す一文を1つ置く |
| 解決策と提案 | 「必ず」「絶対に」と言い切る | 実際にしたことと、結果の範囲を書く |
| 適合 | 「今だけ」「先着順」 | 合う人と、別の選択肢が合う人を書く |
| 行動 | 同じ依頼を何度も出す | 1つに絞り、中身を具体的に書く |
媒体別に見る:ホームページ、LP、メールの使い分け
同じPASONAの法則でも、媒体によって、気をつける場所が変わります。
ホームページは、6段を1ページに詰めない
ホームページは、いろいろな状況の読み手が来る場所です。
1ページに6段をすべて入れると、長くて重い文章になります。トップページでは1段目と2段目、サービスのページでは3段目から5段目、問い合わせのページでは6段目、のように役割を分けます。
見出しの作り方は、弊社の別の記事「キャッチコピーの作り方 売れるサイトの見出しを5つの手順で作る」にまとめています。
LPは、証拠の段を厚くする
LPは、1ページで読み手を行動まで連れていく文章です。
PASBECONAのように、利得と証拠の段を置くと、言葉の勢いに頼らずに済みます。実際のお客様の声や、取引の実績を並べます。
お客様の声を載せるときは、必ず本人に許可を取ります。
メールは、承諾と、リンク先の一体性に気をつける
メールで売り込む場合は、前の章で見た電子メール広告の決まりに注意します。
承諾を得ていない相手に送らない。本文が穏やかでも、リンク先のページで煽らない。この2つを守ります。
文章の流れの考え方は、「【2026年最新】セールスファネルとは?「集まるのに売れない」を終わらせる仕組みの作り方」とあわせて考えると整理しやすくなります。
媒体ごとの要点を一覧にする
| 媒体 | 向いている段 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| ホームページ | 役割ごとに段を分ける | 1ページに6段を詰めない |
| LP | 利得と証拠の段を厚くする | 条件を強調表示の近くに書く |
| メール | 1段目から行動まで短く | 承諾の有無、リンク先の内容 |
書き直しの例:架空の工務店のページ
ここまでの手順を、架空の例で見ます。
地域の小さな工務店が、リフォームの相談ページを、PASONAの法則で書いたとします。
書き直す前の文章
「今のままでは、お住まいの傷みはどんどん進みます。放っておくと、取り返しのつかない出費になります。今月中のお申し込みなら、先着3組様に特別な点検をお付けします。この機会をお見逃しなく」
不安を重ねる言葉、取り返しのつかないという言い切り、事実か分からない先着、の3つが並んでいます。
書き直した後の文章
「築20年を過ぎて、外壁のひび割れや、雨のあとの湿気が気になり始めた。そんな声を、これまでの相談でよく伺います。気になる箇所を見に伺い、直すべき場所と、急がなくてよい場所を分けてご説明します。見積もりは、見たあとにお出しします。まずは、お電話で、状況をお聞かせください」
読み手の状況を書き、理解を示し、提案を具体的にし、行動を1つに絞っています。
書き直しで変わった点を表にする
| 点 | 書き直す前 | 書き直した後 |
|---|---|---|
| 1段目 | 傷みが進むという言い切り | 読み手が気になる症状を書く |
| 2段目 | 取り返しがつかないという脅し | 相談で聞く声を示す |
| 提案 | 特別な点検を付けるという特典 | 見て分けて説明するという内容 |
| 限定 | 事実か分からない先着 | 書かない |
| 行動 | お見逃しなく | 電話で状況を聞かせてほしい |
この例の文章は、説明のために作った架空のものです。実際の効果を示すものではありません。
よくある質問
PASONAの法則について、中小企業の方から聞かれることの多い質問に答えます。
Q. PASONAの法則は、今でも使えますか。
使えます。神田昌典さんは、1999年の誕生から時代に合わせて型を調整し、直近の形を連載で示しています。
使うときは、各段の中身を事実で支えてください。型を使うかどうかより、事実を書いているかどうかが、読み手の反応を分けます。
Q. 旧型の「あぶりたて」は、使ってはいけませんか。
使ってはいけないとは、私が確かめた連載には書かれていません。
ただ、神田氏自身が、あぶりたては書き手の良識が必要な段だと書き、現行型では親近感に変えています。
中小企業が自社のホームページやメールで使うなら、現行型の親近感から始めるほうが、煽りっぽくなりにくくなります。
Q. PASONAとPASBECONAは、どちらを使えばよいですか。
どちらを使うべきかを示した文章は、私が確かめた範囲では見つかりませんでした。
連載では、PASBECONAはLPの骨格をつくる道具として説明されています。LPを書くならPASBECONA、短いメールや紹介文ならPASONAと、長さで使い分ける方法が考えられます。
これは私の整理であり、提唱者の指示ではありません。
Q. 「今日まで」「残り3席」のような限定は、書いてはいけませんか。
事実であれば、書いて構いません。
消費者庁のページで問題の例として挙げられているのは、実際にはない限定を示した場合です。
書くときは、何が、いつまで、何席なのかを、実際の事情と照らして確かめてから書きます。期限を過ぎたら、その日のうちに消します。
Q. 自社の文章が法律に合っているかは、どこで確かめればよいですか。
まず、消費者庁の景品表示法のページと、特定商取引法ガイドを読んでください。
消費者庁の景品表示法のページには、情報提供や相談の受付窓口の案内があります。私はこの窓口のページまでは開いていないため、受付の方法は、消費者庁のページで確かめてください。
個別の文章が違反にあたるかどうかは、専門家に相談するのが確実です。
まとめ
PASONAの法則は、神田昌典さんが1999年に発表した、売れる文章の要素と順番の型です。
現行型は、問題、親近感、解決策、提案、絞り込み(のち適合)、行動の6段です。
誕生当時の型は、2段目が「あぶりたて」でした。神田氏は、恐怖をあおる文章になる危険性があり書き手の良識が必要だったと書き、ネットとLPの普及に合わせて、親近感に変えています。
PASBECONAは、ウェブ時代に深めた8段の型で、利得と証拠の段が加わっています。
煽りすぎは、景品表示法の優良誤認や有利誤認、打消し表示、特定商取引法の誇大広告にふれることがあります。
消費者庁のページには、誤って表示してしまった場合も規制の対象になると書かれています。
中小企業が煽らずに型を使うには、各段の中身を、事実と条件で書くことです。「売れるサイトはみな謙虚」の考え方で、読み手が尋ねていない話と、裏づけのない言葉は引き算します。
今日できる点検
| 点検すること | 確かめ方 | 結果の使い方 |
|---|---|---|
| 2段目が不安を重ねていないか | 自社の文章の冒頭3行を声に出して読む | 脅す言葉を、理解を示す1文に直す |
| 限定や期限に事実の裏づけがあるか | 数、日付、席数を実際の事情と照らす | 裏づけのないものは消す |
| 無料や割引の条件が近くに書かれているか | 強調した言葉の隣を見る | 条件を同じ場所に移す |
| 効果の言い切りに根拠があるか | 「必ず」「絶対」を検索する | 実際の結果と範囲の書き方に直す |
| 行動の依頼が1つに絞られているか | 同じ依頼の回数を数える | 1回に減らし、中身を具体的にする |
| メールの宛先に承諾があるか | 送信リストの取得経緯を確認する | 承諾のない宛先を外す |
| リンク先の内容が穏やかか | メールのリンク先を開いて読む | 本文とリンク先で言い方をそろえる |
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