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中小企業のためのステマ規制実務ガイド:SNS運用・口コミ依頼・インフルエンサー・社員の発信で気をつけること【2026年10月版】

2026 10/17
2026年10月17日
中野輝規
中小企業のためのステマ規制実務ガイド:SNS運用・口コミ依頼・インフルエンサー・社員の発信で気をつけること【2026年10月版】

「インフルエンサーに商品を送ったけれど、投稿に『PR』と書いてもらうべきなのか分からない」。

「お客様に口コミをお願いしたい。でも、割引を付けてよいのか不安」。

「社員が、自分のSNSで自社の商品を紹介している。止めさせるべきか」。

中小企業の担当者から、ステマ(ステルスマーケティング)についての相談を受けることが増えました。

この記事では、SNS、口コミ、インフルエンサー、社員の発信の4つの場面に分けて、判断の手順を整理します。

消費者庁の公式資料と、YouTube、Instagramのヘルプは、2026年10月17日に開いて確かめました。

措置命令の事例は、消費者庁が公表した資料に書かれている範囲だけを使っています。

法律に関わる部分は一般的な整理であり、法的助言ではありません。

個別の判断に迷うときは、消費者庁の窓口や専門家に相談してください。

目次

先に結論 ステマ規制は「広告と分かること」を守る決まり

最初に、場面ごとの結論を表にまとめます。

消費者庁の「ステルスマーケティングに関するQ&A」が示している考え方を、場面で分けて並べたものです。

場面 事業者の表示にあたるか 先に決めること
報酬を払って、SNSへの投稿を頼む あたる可能性が高い 依頼だと分かる表記
商品を無償で送り、投稿を頼む 個別の事情で判断される やり取りの記録と、提供を受けた旨の表記
口コミの投稿を条件に割引する(内容は指示しない) 通常はあたらない 内容に口を出さない
星5など、内容を条件にする あたる 条件にしないか、明瞭に表示する
社員が個人のSNSで投稿する 立場や目的で判断される 社内ルール
ステマかどうかを見分ける5つの問い投稿誰の投稿か次に関与頼んだか次に内容指示の有無次に表示分かる表記次に記録記録を残す

この記事の要点は、次の3つです。

  • 規制を受けるのは、頼む側の会社(広告主)です。投稿者ではありません。
  • 明示的に指示していなくても、関係性しだいで「頼んだ表示」と判断されます。
  • 対策の中心は、広告と分かる表記と、依頼の記録です。

ステマ規制の基本

いつから、何が対象になったのか

2023年(令和5年)10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法の違反になりました。

消費者庁は、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことをステルスマーケティングと説明しています。

景品表示法で規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです。

広告には、企業がインフルエンサーなど第三者に依頼や指示をして出させる表示も含まれます。

SNS以外も対象に入る

対象は、インターネット上の表示(SNSの投稿、レビューの投稿など)に限られません。

テレビ、新聞、ラジオ、雑誌などの表示も対象です。

一方で、個人の感想など広告でないものと、テレビのコマーシャルのように広告と分かるものは、対象になりません。

規制を受けるのは広告主

景品表示法の対象になるのは、事業者だけです。

規制を受けるのは、商品やサービスを供給する事業者(広告主)です。

企業から宣伝を依頼されたインフルエンサーなどの第三者は、規制の対象になりません。

ただし、インフルエンサーなどが広告主と共同して商品を供給している例外的な場合は、その人も対象になります。

根拠になっている4つの資料

ステマ規制の根拠は、次の4つの資料にあります。

資料 内容
景品表示法 第5条第3号 措置命令の資料で、ステマ告示にあたる行為の根拠として書かれている条文
告示(令和5年内閣府告示第19号) 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」
運用基準(令和5年3月28日消費者庁長官決定) 事業者の表示にあたる場合や、明瞭に示す方法の考え方
ステルスマーケティングに関するQ&A 21の質問に、消費者庁が答えた資料

全体の説明は、消費者庁の次のページにまとまっています。

令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。

個別の質問への回答は、次のQ&Aで読めます。

ステルスマーケティングに関するQ&A(消費者庁)

自社の発信が「事業者の表示」になる場面

判断の軸は「表示内容の決定に関与したか」

消費者庁のQ&Aでは、事業者の表示にあたるのは、事業者が表示内容の決定に関与している場合としています。

客観的な状況から、投稿者の自主的な意思による表示内容とは認められない場合、と言い換えられると説明されています。

事業者が「この内容で書いてください」と明示していなくても、関与していると判断される場合があります。

第三者との関係性が、判断の材料になるためです。

判断に使われる材料

Q&Aに挙がっている材料を、表にまとめます。

材料 見られること
やり取りの内容 メール、口頭、送付状などで何を伝えたか
対価の内容 何を、どれだけ渡したか
対価を渡した理由 宣伝する目的があるか
関係の続き方 過去の取引と、今後の取引の見込み

1つの材料だけで決まることはなく、総合的に考慮して判断される、とされています。

インフルエンサーに頼むとき

報酬を払って投稿を頼む

Q&Aには、報酬を受け取って感想を投稿するインフルエンサーの質問があります。

投稿の内容を指定されていなくても、個別に投稿の依頼を受けて報酬をもらう場合は、事業者の表示にあたる可能性が高い、というのが消費者庁の回答です。

表記の例としては「Z社から依頼を受けて投稿しています」と記載することが、適当だとされています。

商品を無償で送って投稿を頼む

無償で商品を送る場合は、渡し方で判断が分かれます。

場面 消費者庁の整理
街頭で不特定多数に試供品を配り、投稿を声がけする 通常は、事業者の表示にあたらない
特定のインフルエンサーを選び、無償で提供して投稿を依頼する やり取りや目的などによっては、あたると判断される
もともと愛用して投稿していた人に、無償で提供する 当初から投稿するつもりなら「PR」の記載は必要ないが、事情しだいで判断される。提供を受けた旨を書くことは有益

街頭の場合は、投稿内容を指示せず、投稿してもらえるかも問わずに配っているだけなので、それ以上の関係性はないと考えられるためです。

特定のインフルエンサーを選ぶ場合は、選んだ時点で何らかの関係性が認められる場合があります。

依頼する前の4つの問い

依頼を出す前に、次の4つを確かめておきます。

Q&Aの判断材料を、依頼の場面に置き換えたものです。

問い 見方
報酬や景品を渡すか 渡す場合は、宣伝する目的があると見られやすい
投稿の内容を指定するか 指定すると、事業者が内容を決めたことになりやすい
過去や今後の取引があるか 続いている関係は、自主的な意思とは見られにくい
投稿を自社サイトに載せるか 載せる場合は、依頼した投稿だと分かる形にする

4つのうち1つでも当てはまるときは、依頼であることが分かる表記を付ける前提で進めます。

以前に依頼した相手が、自分の意思で投稿するとき

過去にある商品の宣伝を依頼したインフルエンサーが、別の商品を自分で買って、気に入って投稿する場合があります。

この場合は、自主的な意思に基づく投稿なので、事業者の表示にあたらず、「PR」の記載は必要ない、とQ&Aは答えています。

事業者の依頼に応じたものでない自主的な投稿も、同じ扱いです。

依頼のやり取りは記録に残す

判断の材料にメールや送付状の内容が挙がっているので、依頼のやり取りは記録に残しておくと安心です。

残しておきたいのは、次の3点です。

  • 何を目的に、どんな条件で依頼したか
  • 内容について、何を伝えたか(指示したのか、お任せだったのか)
  • 何を、いつ、渡したか

お客様に口コミを頼むとき

割引と引き換えの口コミ

予約サイトの口コミ投稿を条件に、サービスを割引価格で提供する場合を、Q&Aは取り上げています。

口コミの内容を指示していなければ、割引程度の対価であることも踏まえて、表示内容の決定に関与しているとはいえない、という回答です。

ECサイトで、レビュー投稿を条件に次回のクーポン券を渡す場合も、同様の考え方です。

星の数や感想の内容を条件にしたとき

内容に条件を付けると、結論が変わります。

条件の付け方 消費者庁の整理
口コミの投稿だけを条件に割引する 通常は、事業者の表示にあたらない
星5を付けることを条件にする 事業者の表示にあたる
サービスを推奨するコメントを書くことを条件にする 星5を条件にした場合と同様
感想の投稿を応募条件にした抽選キャンペーン(投稿内容は抽選に影響しない) 通常は、事業者の表示にあたらない
「毎日食べたい美味しさ!」など、具体的な感想の投稿を応募条件にする 事業者の表示にあたる

星の数や感想の文言まで決めると、事業者が表示内容を決めたことになります。

事実と違う口コミの訂正をお願いするとき

事実と違う内容や、他社の名誉を傷つける内容の口コミについて、書き直しを依頼すること自体は、事業者の表示にはあたりません。

たとえば、実際には存在しない性能が書かれている場合です。

ただし、お客様が書いた感想や評価に対して、自社に都合のよい内容へ書き直すよう頼めば、直した後の投稿は事業者の表示にあたると考えられます。

社員の発信

社員の投稿が事業者の表示になるとき

社員が自分のSNSで、自社の商品を使った感想を投稿しても、それだけで直ちに事業者の表示と判断されることはありません。

ただし、社員の立場、権限、担当業務、表示の目的などの実態によっては、事業者が表示内容の決定に関与していると認められる場合があります。

役職と担当で見え方が変わる

消費者庁のQ&Aは、商品の販売を促進することが必要とされる地位や立場にある人の例を挙げています。

立場の例 消費者庁の整理
販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員 販売を促進するための表示を行えば、事業者の表示にあたると考えられる
上記の立場の人が、他の人に指示して投稿させる 同様に考えられる
社員が、自分のアカウントで感想を投稿する それだけで直ちに、事業者の表示とは判断されない。立場や目的などの実態しだい

事業者の表示にあたる例として、商品の画像や文章を投稿して認知を高めようとする表示が挙がっています。

自社製品と競合する他社の製品を中傷し、自社製品の品質の優良さに言及する表示も、例に挙がっています。

所属を書くだけで足りるか

「私は〇〇社の社員です」と書けば、事業者の表示だと分かる、と考えたくなります。

Q&Aは、所属が明示されているだけでは、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭になっているとは、必ずしもいえないと答えています。

事業者の表示にあたる場合は、「広告」など、分かりやすい記載が必要です。

社員に投稿を頼むとき

会社として「自社の商品をSNSで紹介してください」と社員に頼む場合は、会社が投稿に関わる形になります。

販売に関わる立場の人が他の人に指示して投稿させる場合を、Q&Aは事業者の表示の例に挙げています。

頼む前に、社内ルールで表記の付け方を決めておくと、投稿する社員が迷いません。

「広告」と分かる書き方

使える言葉

運用基準は、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」の用語を挙げています。

これ以外の言葉も禁止されておらず、表示内容全体から明瞭であればよい、とQ&Aは説明しています。

たとえば「A社から商品の提供を受けて投稿している」という文章も、適切な対応として示されています。

置く場所で結果が変わる

表記は、あれば足りるというものではありません。

場面 消費者庁の整理
投稿の本文でなく、返信(ツリー)に「広告」と書く 気付かれないおそれがあり、明瞭とはいえない場合が多い
動画の冒頭だけに「広告」と表示する 途中から見る人が見逃すおそれがある。画面上に常に表示するなど、動画全体で明瞭にすることが望ましい
アフィリエイトサイトの冒頭に「プロモーションを含みます」と書く 文字の大きさや色も含め、明瞭であることが必要

アフィリエイトサイトの一部に、専門家の客観的な意見に見える記述がある場合は、その付近にも説明が必要です。

実際には報酬を払ってコメントを頼んだのであれば、「A社から先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています」といった記載が例に挙がっています。

表記の書き方の例

Q&Aの例を参考に、場面ごとの書き方の例をまとめます。

状況 書き方の例
報酬を払って依頼した 「A社から依頼を受けて投稿しています」
商品を無償で提供した 「A社から商品の提供を受けて投稿しています」
自社の宣伝である 「広告」「PR」「プロモーション」

SNSごとの表示機能

YouTubeの「有料プロモーション」の申告

YouTubeのヘルプは、有料のプロダクトプレースメント、おすすめ情報、スポンサーシップを動画に含める場合の手順を説明しています。

動画の詳細で、「有料プロモーション」のチェックボックスをオンにして申告します。

申告すると、動画の冒頭10秒間に、視聴者へ開示メッセージが自動で表示されます。

ヘルプには、国内の法的義務を理解して遵守する責任は、クリエイターとブランドパートナーにある、とも書かれています。

確かめたのは、YouTubeヘルプの「有料プロダクト プレースメント、スポンサーシップ、おすすめ情報を追加する」のページです。

Instagramの「タイアップ投稿ラベル」

Instagramのヘルプによると、ブランドコンテンツポリシーは、オーガニックなブランドコンテンツを作るときの決まりを定めています。

その決まりは、タイアップ投稿ラベルで提携相手のブランドをタグ付けすることです。

ブランドを初めてタグ付けすると、そのブランドにリクエストが送られ、承認されるとラベルにブランド名が表示されます。

承認を得ていない間は、ブランド名のないラベルが付きます。

ブランドパートナーが、Instagramのプロアカウントを持っている必要もあります。

確かめたのは、Instagramヘルプの「タイアップ投稿ラベルを使用してInstagramでオーガニックブランドコンテンツをタグ付けする方法」のページです。

機能と景品表示法の明瞭さは別に確かめる

YouTubeの申告もInstagramのラベルも、各サービスの機能と決まりです。

景品表示法の面では、消費者庁が、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭か、という見方で判断します。

動画の冒頭だけの表記では見逃すおそれがある、というQ&Aの考え方は、機能による自動表示と併せて確かめておきたい点です。

そのほかのSNS

X、TikTok、LINEなどは、この記事では機能の中身を確かめていません。

使うSNSごとに、運営会社が公開しているヘルプの最新版を、依頼の前に読んでください。

自社サイトの「お客様の声」

アンケートの回答を抜粋して載せるとき

運用基準は、第三者の表示を恣意的に抜粋せず、内容を変えずにそのまま引用する場合は、その部分は事業者の表示にあたらない、としています。

Q&Aの例では、アンケートの回答から無作為に選んで載せるなら、事業者の表示にあたらないと考えられます。

好意的な評価だけを選んで引用する場合や、「良い点」と「悪い点」が書かれた回答から「良い点」だけを引用する場合は、事業者の表示にあたります。

インフルエンサーの投稿を「お客様の声」に載せない

自社が依頼したインフルエンサーの投稿が事業者の表示にあたる場合、それを「お客様の声」として載せることは適当でない、とQ&Aは答えています。

お客様の声は、通常、顧客の自主的な意思に基づく感想と理解されるためです。

載せるなら、自社が依頼した投稿であることが、サイトを見た人に明瞭に分かる形にします。

口コミの載せ方は、次の記事でも整理しています。

口コミ・レビューとAI検索|お客様の声の載せ方・返信・依頼の正しいやり方

措置命令になった5件

消費者庁が公表した5件の一覧

ステマ告示にあたるとして出された措置命令のうち、消費者庁の報道資料で確かめた5件を、時系列で並べます。

このほかの事例は、消費者庁の報道発表一覧で確かめてください。

命令日と内容は、消費者庁の報道資料に書かれているとおりです。

命令日 命令を受けた事業者 問題とされた場所 概要
2024年6月6日 医療法人社団祐真会 Googleマップの口コミ欄 来院者に、高い星評価の投稿を条件に接種費用の割引を伝えた
2024年8月8日 RIZAP株式会社 自社サイト 対価の提供を条件にInstagramへの投稿を依頼し、依頼した投稿だと明らかにせず抜粋した
2024年11月13日 大正製薬株式会社 自社サイト 無償提供と対価の提供を条件に投稿を依頼し、依頼した投稿だと明らかにせず抜粋した
2025年3月17日 医療法人社団スマイルスクエア Googleマップの口コミ欄 星5の投稿を条件に、ギフトカードの提供か治療費の割引を伝えた
2025年3月25日 ロート製薬株式会社 自社サイト モニター募集サイトで無償提供し、指示した方針に沿う投稿を依頼して、画像を抜粋した

RIZAP株式会社の命令は、ステマ告示とは別に、優良誤認にあたる行為も含んでいます。

星の条件が問題になった2件

2件はいずれも、Googleマップのクチコミ欄で、来院した人に星の投稿を条件にした事例です。

消費者庁の資料では、条件に応じて投稿された口コミが、事業者の表示にあたると認められています。

Q&Aが、星5を付けることを条件にした場合は事業者の表示にあたると答えていた内容と、一致しています。

自社サイトに抜粋した3件

残る3件は、依頼して書いてもらったSNSの投稿を、「SNSで話題」といった形で自社サイトに抜粋して載せた事例です。

抜粋した画面で、事業者が依頼した投稿であることが明らかにされていない点が、問題とされました。

SNSに投稿してもらうところまでは問題にならなくても、自社サイトに載せるときに、表示の扱いが問われています。

命令を受けた事業者に求められた内容

5件に共通して、命令の内容には次の項目が含まれています。

  • 表示が景品表示法に違反するものであることを、消費者に周知徹底すること
  • 再発防止策を講じ、役員や従業員など関係者に周知徹底すること
  • 今後、同様の表示を行わないこと

このうち祐真会の命令には、該当の表示を速やかに取りやめることも含まれています。

公表資料

各事業者の報道資料は、消費者庁の次のページで読めます。

医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について

RIZAP株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について

大正製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について

医療法人社団スマイルスクエアに対する景品表示法に基づく措置命令について

ロート製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について

違反したときに起きること

措置命令と指導

ステマ告示に違反する行為が認められた場合、消費者庁は事業者に措置命令を行います。

誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為をしないことなどを命じる行政処分です。

違反のおそれのある行為がみられた場合は、違反の事実が認められなくても、行政指導の「指導」が行われます。

課徴金の扱い

ステマ告示違反だけでは、課徴金納付命令の対象にはなりません。

ただし、違反行為の内容に優良誤認表示や有利誤認表示が含まれる場合は、その部分が課徴金納付命令の対象になることがあります。

過去の投稿が残っているとき

告示は2023年(令和5年)10月1日に施行されました。

それより前の時期に行われた投稿でも、施行後に表示され続けていて、事業者の表示であることが明瞭でなければ、行政処分の対象になる可能性がある、と消費者庁はQ&Aで答えています。

過去に依頼した投稿を、一度点検する理由になります。

代理店や制作会社に任せるとき

SNSの運用や口コミの依頼を、代理店や制作会社に任せる会社もあります。

任せる場合も、報酬や景品の条件、投稿内容の指示の有無、表記のルールを、契約書や発注書に書いておきます。

依頼のやり取りの記録は、任せた先からも受け取れるようにしておきます。

社内ルールのひな形

決めておく項目

小さな会社でも、次の項目を文書にしておくと、担当者が替わっても判断が揃います。

項目 書いておくこと
依頼してよい相手 誰が、どの手順で選ぶか
依頼時の条件 報酬や無償提供の有無、投稿内容を指示するか
表記のルール 使う言葉と、置く場所
記録 依頼のやり取りを、どこに何年残すか
口コミの依頼 内容や星の数を条件にしない
社員の発信 販売に関わる立場の人が、自社商品を投稿するときの扱い
自社サイトへの転載 抜粋の選び方と、表示の仕方

依頼書に入れる一文

インフルエンサーや協力者に依頼するときは、依頼書やメールに次の内容を入れます。

  • 投稿は、当社から依頼したものであること
  • 投稿の本文の見える位置に、依頼を受けたことが分かる表記を付けること(例:「A社から依頼を受けて投稿しています」)
  • 動画の場合は、冒頭だけでなく、動画全体で分かるようにすること
  • 内容について、当社が指示する範囲と、お任せする範囲

月に一度の点検

公開済みの投稿と、自社サイトの転載部分を、月に一度見直します。

見るのは、次の項目です。

  • 依頼した投稿に、表記が付いているか
  • 自社サイトに載せた第三者の投稿に、依頼したものか自主的なものかが分かる説明があるか
  • 割引や景品の条件に、星の数や感想の内容が入っていないか
  • 社員の投稿に、販売の促進を目的としたものがないか

売れるサイトはみな謙虚 広告は広告と名乗って信頼を守る

「売れるサイトはみな謙虚」は、大きく見せる言葉を足すより、訪れた人が迷う要素を引いたほうが、次の一歩につながるという考え方です。

ステマ規制への対応は、この考え方と同じ向きにあります。

第三者の声に見せかけない

好意的な声を集めて、自然な口コミのように見せるほど、後から「頼んだ投稿だった」と分かったときに、信頼が下がりやすくなります。

最初から「A社から依頼を受けて投稿しています」と書いてある投稿のほうが、読む人は落ち着いて内容を比べられます。

載せない選択も、信頼につながる

依頼して書いてもらった投稿は、お客様の声の欄に載せない。

星の数や感想の文言を、割引の条件にしない。

こうして引き算をすると、お客様が自分の判断で書いた声だけが、サイトに残ります。

第三者を装った投稿の研究と規制は、次の記事で扱っています。

作文の口コミや第三者を装った投稿はAIに効くのか|研究と消費者庁の資料で確かめました

よくある質問

Q1. 無償で商品を送るだけなら、「PR」は不要ですか

無償で送るだけでは、直ちに事業者の表示と決まるわけではありません。

特定のインフルエンサーを選んで無償で提供し、投稿を依頼した場合は、やり取りや目的などの事情によって、事業者の表示にあたると判断されることがあります。

迷う場合は、提供を受けた旨を書いてもらうほうが、判断を間違えにくくなります。

Q2. 「個人の感想です」と書いてあれば大丈夫ですか

書いてあるだけでは、足りないと考えるのが安全です。

RIZAP株式会社の措置命令の表示例には、「個人の感想です」という記載が含まれていました。

問題とされたのは、依頼した投稿であることが明らかにされていない点です。

Q3. 社員に、自社商品の投稿をお願いしてもよいですか

社員の個人の投稿が、それだけで違反になるわけではありません。

ただし、会社が投稿を指示した場合は、会社が内容の決定に関与した形になりやすいと考えられます。

その場合は「広告」など分かる表記を付け、社内ルールとして決めておくと安全です。

Q4. 口コミのお礼にクーポンを渡してもよいですか

口コミの投稿を条件にして、内容を指示しない形であれば、消費者庁のQ&Aは、通常は事業者の表示にあたらないと答えています。

星の数や感想の文言を条件に入れると、事業者の表示にあたります。

お礼の渡し方は、条件に内容を入れないことが基本です。

Q5. 数年前に依頼した投稿が、まだ残っています

2023年10月1日より前の投稿でも、施行後に表示され続けていて、事業者の表示であることが明瞭でなければ、行政処分の対象になる可能性があります。

投稿の一覧を作り、依頼したものに表記を足してもらう手順を、まず進めてください。

投稿者に表記の追加を頼むときは、依頼の理由を丁寧に伝えます。

Q6. インフルエンサーの投稿を、自社サイトに載せてもよいですか

自社が依頼した投稿を載せること自体は禁じられていません。

Q&Aは、依頼したインフルエンサーの投稿であることが、サイトを見た人に明瞭に分かる形で表示するよう求めています。

「お客様の声」の欄に並べるのは適当でない、と答えています。

Q7. アフィリエイトサイトの冒頭に注記を書けば足りますか

冒頭に「プロモーションを含みます」と書くだけで、直ちに足りるとは限りません。

文字の大きさや色を含めて、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭か、が見られます。

専門家の意見に見える部分があれば、その付近にも説明が必要です。

まとめ

ステマ規制は、広告を広告として見せることを、広告主に求める決まりです。

規制を受けるのは、依頼した会社であり、投稿したインフルエンサーや社員ではありません。

事業者の表示にあたるかは、依頼の有無だけでなく、事業者が表示内容の決定に関与したかで判断されます。

報酬や無償提供の渡し方、星の数などの条件、社員の立場によって、結論が変わります。

措置命令になった5件のうち3件は、依頼した投稿を自社サイトに抜粋した事例でした。

今日できる点検

次の4つは、今日から始められます。

  • 自社サイトで、第三者のSNS投稿を載せている箇所を一覧にする
  • その投稿が、依頼したものか、自主的なものかを、記録で確かめる
  • 割引や景品の条件に、星の数や感想の内容が入っていないか確かめる
  • 依頼書とメールの雛形に、「依頼を受けて投稿しています」の表記を入れる

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合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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