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会社案内を載せただけのホームページが問い合わせを生まない理由と直し方

2026 9/30
2026年8月27日2026年9月30日
中野輝規
card

紙の会社案内をそのままホームページに移しただけの状態で、何年もサイトを置いている会社は多いです。会社概要があって、代表の挨拶があって、事業内容が並んでいて、最後に問い合わせ先が書いてある。

ひととおりの情報はそろっているのに、問い合わせのメールも電話も、ほとんど鳴りません。アクセス解析を開くと、月に数百の訪問はあるのに、フォームまでたどり着く人は片手で数えられるほどです。

訪問の数だけを見れば動いているように見えるのに、成果につながる一歩の手前で、来た人が静かに帰っています。

この状態を、ここでは「パンフレット型サイト」と呼びます。紙のパンフレットとして完成されたものを、そっくりそのままウェブに載せた会社案内のことです。

見た目は整っていて、社内で回覧しても文句は出ません。それでも問い合わせが増えないのには、はっきりした理由があります。

読み手がサイトに来る目的と、パンフレットが果たそうとしている役割が、最初からずれているからです。

この記事は、会社案内を載せただけのホームページを、訪れた人が「この会社に相談してみよう」と判断できる材料に作り替えるための手順を扱います。

デザインを豪華にする話でも、文章を上手に書く話でもありません。読み終えたときに、自社サイトのどこを最初に直すべきかが1つ決まっている状態を目指します。

目次

会社案内をそのまま載せたホームページは、なぜ問い合わせが来ないのか

問い合わせが来ない原因を「アクセスが少ないから」で片づける会社が多いのですが、実際にはアクセスがあっても問い合わせに変わらない構造の方が、はるかに深刻です。

訪問者は来ているのに、来た人が判断できないまま帰っている。その入口になっているのが、紙の会社案内をそのまま移した会社概要ページです。

パンフレット型サイトとは何か

パンフレット型サイトは、紙の会社案内を作るときの発想のまま組まれています。表紙にあたるトップページがあり、会社の沿革があり、代表の顔写真と挨拶があり、事業の一覧があり、アクセスマップで締める。

手に取った人が最初から最後まで順番にめくる、という前提で並んでいます。紙であれば、これで問題ありません。

営業担当が名刺と一緒に手渡し、相手が目の前でめくってくれるからです。紙の会社案内は、渡す人が横にいて、相手の反応を見ながら「ここが弊社の強みでして」と口で補える前提で作られています。

並べる順番も、営業担当が説明したい順です。ところがウェブには、その場で補ってくれる人がいません。

読み手はたった一人で、書かれた文字だけを頼りに、この会社に相談すべきかを判断します。人がいる前提の並びを、人がいない場所にそのまま置いたのが、パンフレット型サイトの正体です。

ウェブでは、この前提が崩れます。訪問者は表紙から順番に読みません。

検索やSNSから、自分が知りたい1ページに直接降り立ちます。会社の沿革を読みたくて来る人はほとんどいません。

それでも会社概要ページの最上部に創業年と資本金が並んでいると、来た人は「自分が知りたいことはここには無さそうだ」と数秒で判断して離れます。

紙の会社案内とウェブの会社案内は読まれ方が違う

紙とウェブでは、読み手の姿勢がまるで違います。紙の会社案内を開く人は、すでにあなたの会社に関心を持っています。

商談の場で渡されているか、展示会で名刺交換をした相手です。関心がある状態で開くので、多少とっつきにくくても最後まで目を通します。

ウェブの会社案内を開く人は、まだあなたの会社を知りません。何かに困って検索し、たどり着いた候補の1つとして眺めています。

関心はこれから作る段階です。ここで会社の自慢や沿革が先に出てくると、読み手は「自分の問題に関係あるのか」を確かめられないまま去ります。

同じ「会社案内」という言葉でも、紙とウェブでは読まれ方が正反対だと考えたほうが実態に合っています。

「立派だが動かない」サイトに共通する形

問い合わせが来ないパンフレット型サイトには、よく似た形があります。トップに大きなキャッチコピーと風景写真、次に会社の理念、その次に事業一覧。

どのページにも「私たちは」で始まる主語が並び、読み手である「あなた」がほとんど出てきません。会社が自分を語ることに紙面の大半を使い、読み手が自分の状況を当てはめる余白がありません。

ある建設会社のサイトでは、トップから会社概要まで5画面ぶんスクロールしても、「あなたのこういう困りごとを解決します」という一文が一度も出てきませんでした。

出てくるのは、創業からの歩みと、施工実績の数と、社長の理念です。どれも会社にとっては誇りですが、屋根の雨漏りで困って検索してきた人には、自分の問題が解けるのかどうかが最後まで分かりませんでした。

ある製造業の経営者が、自社サイトを見ながらこう言いました。「うちのサイトは、会社案内のPDFをそのまま貼っただけなんです。

だから誰も問い合わせてこないんでしょうね」。原因を本人がすでに分かっている場合は珍しくありません。

分かっているのに直せないのは、どこから手をつければよいかが見えないからです。次の表で、パンフレット型と、営業する会社案内の違いを整理します。

分類 今起きていること 次にすること
主語 「私たちは」で始まり会社が自分を語っている 「こういう課題をお持ちの方へ」と読み手を主語にする
並び順 沿革と理念が上、事業と解決策が下 読み手の課題と解決策を上、会社情報を下に移す
写真 社屋と風景の写真で紙面を埋めている 働く人や現場の様子で仕事の中身を見せる
問い合わせ 最下部に電話番号が小さく置いてある 各ページの読み終わりに相談の入口を置く
言葉 業界の内輪の用語で事業を説明している 読み手が検索に使う言葉に置き換える

読み手はあなたの会社の何を知りたいのか

会社案内を直す前に、そもそも訪問者が何を確かめに来ているのかをはっきりさせます。ここがずれたまま文章を磨いても、磨いた文章が読み手の関心の外にあれば意味がありません。

訪問者は自分の問題を解けるかどうかだけを見ている

ウェブサイトに来る人の頭の中は、ほぼ1つの問いで占められています。「この会社は、自分の困りごとを解決してくれるのか」。

この問いに答えが見つかれば読み進め、見つからなければ去ります。会社が何年続いているか、社員が何人いるかは、この問いに答えたあとで初めて意味を持ちます。

順番が逆になっているサイトが、とても多いのです。たとえば、設備の入れ替えを検討している工場の担当者が会社概要ページを開いたとき、最初に目に入るのが「資本金3000万円」「従業員数45名」だったとします。

担当者が本当に知りたいのは、自社と同じ規模の工場で、同じような入れ替えを手がけた経験があるかどうかです。会社の数字がいくら並んでいても、その一点が分からなければ、担当者は問い合わせる理由を見つけられません。

ウェブサイトの主人公は訪問者であって、会社ではありません。担当者は自分の課題を解決したくてページを開きます。

会社案内が会社そのものを主人公にして書かれている限り、読み手は自分の物語を見つけられず、静かに離れていきます。会社は訪問者を目的地まで導く案内役に徹したほうが、問い合わせは増えていきます。

会社の歴史より先に、読者が確かめること

読み手が最初の数秒で探しているのは、会社の歴史ではありません。自分と同じ立場の人が、この会社に相談して困りごとを解決した形跡です。

似た規模、似た業種、似た悩みの事例が1つでもあれば、読み手は「自分の場合はどうだろう」と考え始めます。この「考え始める」瞬間を作れるかどうかが、問い合わせの分かれ目になります。

逆に言えば、自分に近い事例が1件も見当たらないサイトでは、読み手は「うちのような会社は相手にしていないのだろう」と受け取ります。

事例は、実績を誇るために載せるだけの材料ではありません。読み手が「自分もここに入れてもらえそうだ」と感じるために載せるものです。

この視点で並べ替えるだけで、同じ実績が別の働きをし始めます。

会社の沿革や資本金は、契約直前の与信の段階では確かに見られます。ただしそれは、読み手がすでに相談したいと思ったあとの話です。

まだ関心が生まれていない入口で沿革を最初に見せると、関心を作る前に読み手の集中を使い果たしてしまいます。次の表に、読み手が最初の10秒で探す情報を並べます。

分類 今起きていること 次にすること
解決できる困りごと 事業一覧はあるが自分の悩みと結びつかない 「こんな時に相談されます」と困りごとの言葉で見せる
自分に近い事例 実績が社名の羅列で中身が見えない 業種と課題と結果を1件ずつ短く書く
相談してよい相手か 会社の規模しか分からない 担当する人の顔と考え方を見せる
次の一歩 問い合わせ先が分かりにくい 読み終わりに相談の入口を置く
会社の信頼性 沿革と資本金が最上部にある 信頼の材料はページ下部に移す

会社案内は「読み手の判断を助ける道具」に変わる

会社案内の目的を、会社を紹介することから、読み手の判断を助けることへ置き換えます。この置き換えができると、載せるべき情報の優先順位が自然に決まります。

読み手が判断するために必要なものを上に、そうでないものを下に。判断に関係のない自慢は、思い切って削ります。

会社案内は、会社が語る場から、読み手が確かめる場へと役割を変えます。

会社概要ページが問い合わせを止めている箇所

少なくない会社で、いちばん整っているように見える会社概要ページが、いちばん問い合わせを止めています。ここでは、止まりやすい箇所を1つずつ見ていきます。

最上部の沿革と資本金が関心を奪う

会社概要ページの最上部に、設立年、資本金、代表者名、従業員数が表で並んでいる形は定番です。この表自体は必要な情報です。

問題は置き場所です。まだ関心が生まれていない読み手にとって、他社の資本金は自分の困りごとと無関係です。

無関係な情報から始まると、読み手は「このページは自分向けではない」と判断します。同じ表でも、ページの下部に置けば、相談したくなったあとの与信材料として役立ちます。

順番を入れ替えるだけで、削る情報は1つもありません。最上部には「こんな困りごとをお持ちの方へ」という読み手宛ての一文を置き、資本金や設立年の表は、読み手が相談を決めてから確かめる場所として、ページの後半に静かに置いておく。

この配置なら、関心を作る場所と、信頼を確かめる場所が、それぞれの役割を果たせます。

事業内容が内輪の言葉で書かれている

事業内容の欄が、業界の内側でしか通じない言葉で埋まっている会社は多いです。「総合ソリューションの提供」「ワンストップサービス」といった言葉は、書いた本人には意味が通っても、困って検索してきた読み手には何をしてくれる会社なのか伝わりません。

読み手は自分が使う言葉で検索し、自分が使う言葉で書かれたページに反応します。事業内容は、読み手が実際に打ち込む検索語に近づけて書き直します。

たとえば「業務効率化ソリューション」と書かれた欄は、読み手にとっては何も指していません。同じ事業を「毎月の請求書作成に何時間もかかっている会社の、事務作業を減らす仕組み」と書き直すと、心当たりのある読み手が自分の困りごととして受け取れます。

社内で通じる言葉と、困っている人が検索に打ち込む言葉は、たいていまったく別物です。その差を埋める作業が、事業内容の書き直しの中心になります。

写真が社屋と風景で埋まっている

会社概要ページの写真が、社屋の外観や地域の風景ばかりになっている場合、写真の情報量がほとんどありません。読み手が見たいのは、その会社の人がどう働き、どんな現場で仕事をしているかです。

働く人の表情や、実際の作業の様子が写っていると、読み手は仕事の中身を想像できます。建物の写真は、仕事の中身を1つも伝えません。

問い合わせ先が最下部に小さく置いてある

問い合わせの電話番号やフォームへのリンクが、ページの最下部に小さく1か所だけ、という配置もよくあります。読み手は、相談したくなった瞬間にその場で一歩を踏み出せる場所を探します。

ページの下まで戻らないと入口が無いと、その瞬間が過ぎてしまいます。読み終わるところごとに、静かに入口を置いておくのが自然です。

次の表に、会社概要ページで問い合わせを止める箇所を整理します。

分類 今起きていること 次にすること
沿革と資本金 ページ最上部で関心を奪っている 信頼材料としてページ下部へ移す
事業内容の言葉 内輪の用語で何をするか伝わらない 読み手の検索語に近い言葉へ書き換える
写真 社屋と風景で仕事の中身が見えない 働く人と現場の写真に差し替える
問い合わせ導線 最下部に小さく1か所だけ 各セクションの読み終わりに入口を置く
見出し 「会社概要」など機能名で中身を示さない 読み手の関心を表す言葉を見出しにする

代表挨拶を「読まれる文章」に直す

代表挨拶は、会社案内でもっとも読み飛ばされる欄の1つです。同時に、直せばもっとも効く欄でもあります。

読み手は、相談する相手がどんな考え方の人かを知りたがっているからです。

読み飛ばされる代表挨拶に共通する書き出し

読み飛ばされる代表挨拶は、決まって「平素は格別のお引き立てを賜り」から始まります。この一文は、すでに取引のある相手への時候の挨拶です。

初めてサイトに来た読み手は、まだ引き立てても取引もしていません。関係の無い挨拶から始まると、読み手は最初の1行で「自分宛ての文章ではない」と判断します。

書き出しは、読み手が抱えている困りごとへの共感から始めます。

会社の決意より、読み手の課題への理解を書く

代表挨拶が「弊社は創業以来、品質第一で邁進してまいりました」という決意表明で埋まっていると、読み手には情報がほとんど残りません。

決意はどの会社も同じように書くので、読み手は違いを感じられません。読み手が知りたいのは、この経営者が自分の困りごとをどれだけ分かっているかです。

「こういう場面で困っている方が多いのを、現場で何度も見てきました」という理解の言葉が、決意より強く届きます。

読み手は、自分の困りごとを言い当ててくれる相手に、安心して相談します。代表挨拶は、経営者の人柄を伝える場であると同時に、「この人は自分の状況を分かっている」と読み手に感じてもらう場でもあります。

立派な決意より、読み手の日常に踏み込んだ具体的な一文の方が、相談の背中を押します。

顔写真と署名で「人が答える」ことを示す

代表挨拶に、実際の顔写真と手書きに近い署名があると、読み手は「生身の人が答えてくれる」という安心を得ます。ウェブの向こう側に人がいるかどうかは、読み手が問い合わせを決める大きな要素です。

顔を出せない事情がある場合でも、担当する人の考え方や仕事への姿勢を文章で見せることで、同じ効果に近づけられます。次の表に、代表挨拶の直し方を整理します。

分類 今起きていること 次にすること
書き出し 時候の挨拶から始まっている 読み手の困りごとへの共感から始める
中身 創業の決意と理念で埋まっている 読み手の課題への理解を具体的に書く
長さ 長文で最後まで読まれない 4段落ほどに削り要点を前に出す
顔 顔写真も署名も無い 顔写真と署名で人が答えることを示す

事業内容を「読み手の課題の言葉」に置き換える

事業内容の欄は、会社案内の中心です。ここが読み手に伝わらないと、他をどれだけ整えても問い合わせにつながりません。

サービス名を並べるだけでは伝わらない

事業内容が、自社で付けたサービス名の羅列になっている会社は多いです。読み手は、そのサービス名を知りません。

知らない名前を並べられても、自分の困りごとが解決するのかどうか判断できません。サービス名の前に、そのサービスがどんな困りごとを解決するのかを、読み手の言葉で1行添えます。

名前より先に、解決する困りごとを見せます。

「どんな時に相談されるか」から書く

事業内容を、読み手の状況から書き起こすと、格段に伝わりやすくなります。「納期が読めず現場が混乱している」「問い合わせは来るが受注に結びつかない」といった、読み手が実際に置かれている場面を先に描きます。

その場面に心当たりのある読み手は、「これはうちのことだ」と感じて読み進めます。事業の説明は、その心当たりが生まれたあとに続けます。

この順番は、営業の会話とよく似ています。腕のいい営業担当は、いきなり商品の説明を始めません。

まず「今こういうことでお困りではありませんか」と相手の状況を確かめ、相手がうなずいてから解決策を出します。会社案内も同じで、読み手が「まさにそれで困っている」とうなずく場面を先に描き、そのあとで自社の事業を差し出すと、説明が読み手ごとに自分の話として届きます。

専門用語には短い言い換えを添える

どうしても専門用語を使う必要がある場面では、その用語に短い言い換えを添えます。読み手は、意味の分からない言葉が続くと、理解をあきらめて去ります。

1つの用語に1つの言い換えを添えるだけで、読み進められる読み手の数が変わります。次の表に、事業内容の書き換え方を整理します。

分類 今起きていること 次にすること
見せ方 サービス名だけが並んでいる 解決する困りごとを名前の前に1行添える
書き出し 会社が提供する機能から説明している 読み手が置かれている場面から書き起こす
用語 専門用語がそのまま並んでいる 1つの用語に1つの言い換えを添える
分量 すべての事業を均等に長く書いている 問い合わせにつながる事業を厚く書く
締め 説明だけで終わっている 「まずは相談を」の一歩を置く

実績とお客様の声を判断材料に変える

実績とお客様の声は、読み手が自分を重ねるための材料です。ここが弱いと、読み手は「本当に自分の役に立つのか」を確かめられません。

社名の羅列は信頼を作らない

実績の欄が、取引先の社名やロゴの羅列になっているだけでは、読み手は何も判断できません。大きな社名が並んでいても、読み手は「自分の会社は小さいから相手にされないのでは」と感じることさえあります。

社名より大事なのは、その取引で何を解決したかです。1件でよいので、業種と、抱えていた課題と、どう変わったかを短く書きます。

「製造業のお客様で、問い合わせは来るのに受注に結びつかないと悩んでいた会社が、相談後に受注の流れを整理できた」といった一文で十分です。

社名を出せなくても、業種と課題と変化の3点があれば、読み手は自分を重ねられます。読み手が探しているのは有名な取引先の名前ではありません。

自分と同じ困りごとを解いた形跡です。

お客様の声は「困りごと」から始める

お客様の声を載せるとき、「丁寧に対応していただきました」という感想だけでは、読み手は自分を重ねられません。読み手が知りたいのは、その会社がどんな困りごとを抱えていて、相談してどう変わったかです。

「相談する前はこう困っていた」という一文から始まる声は、同じ困りごとを抱えた読み手の心に届きます。感想より、変化の前後を見せます。

お客様の声を載せるときは、必ず本人の許諾を取ります。実名や写真を使う場合は、その旨をはっきり確認してから掲載します。

許諾の無い引用は、信頼を作るはずの欄が、逆に信頼を損なう原因になります。次の表に、実績とお客様の声の直し方を整理します。

分類 今起きていること 次にすること
実績の見せ方 取引先の社名とロゴが並ぶだけ 業種と課題と結果を1件ずつ短く書く
お客様の声 「丁寧でした」の感想で終わる 相談前の困りごとから書き始める
読み手との距離 大企業の事例ばかりで自分と重ねにくい 読み手に近い規模の事例を1件は載せる
許諾 掲載の可否を確認していない 実名と写真は許諾を取ってから載せる

問い合わせへの一歩をどこに置くか

会社案内をどれだけ整えても、次の一歩の入口が見えなければ、読み手は行動できません。導線の設計は、問い合わせ数を直接左右します。

読み終わるところごとに入口を置く

読み手が相談したくなる瞬間は、1か所とは限りません。事業内容を読み終えたとき、お客様の声を読み終えたとき、それぞれで「相談してみようか」という気持ちが動きます。

その瞬間に、その場で踏み出せる入口があると、行動に変わります。読み終わるところごとに、静かに入口を置いておきます。

押しつけがましくならない範囲で、必要なところに必要なだけ置くのがちょうどよい塩梅です。

「お問い合わせ」より具体的な言葉にする

入口のボタンが「お問い合わせ」だけだと、読み手は何が起きるのか分からず、押すのをためらいます。押した先で何をされるのかが見えないと、人は行動を止めます。

売り込まれるのではないか、しつこく営業されるのではないか、という不安が先に立つからです。「まずは現状を見てもらう」「30分で相談する」のように、押した先で何が起きるかが分かる言葉にすると、ためらいが減ります。

読み手は、次に何が起きるかを知ってから動きます。

フォームの項目は少ないほど埋まる

問い合わせフォームの入力項目が多いほど、途中で離脱する人が増えます。名前、会社名、電話番号、住所、部署、役職、問い合わせ内容と並んでいると、読み手は入力の途中で疲れて閉じます。

まず必要なのは、連絡が取れることと、何に困っているかだけです。項目を減らすほど、フォームは埋まります。

次の表に、問い合わせ導線の直し方を整理します。

分類 今起きていること 次にすること
入口の数 最下部に1か所だけ 読み終わるところごとに入口を置く
ボタンの言葉 「お問い合わせ」で先が見えない 押した先で何が起きるかを言葉にする
フォーム項目 項目が多く途中で離脱される 連絡先と困りごとに絞って減らす
電話番号 画像で置かれ押しても発信しない スマホでそのまま発信できる形にする

信頼を作る所在地とアクセスと顔の見せ方

会社案内の後半にある所在地やアクセスの情報は、読み手が相談を決める最後の一押しになります。ここを軽く扱うと、せっかく生まれた関心が最後で消えます。

所在地は「実在する会社だ」という安心になる

所在地と地図がきちんと載っていると、読み手は「実在する会社だ」と安心します。ウェブの向こうに本当に事業所があり、人が働いていると分かることは、初めての相手に連絡するときの不安を和らげます。

逆に、所在地が都道府県までしか書かれていないと、読み手は少し身構えます。番地まで載せ、地図を添え、最寄り駅からの道順を1行添えるだけで、安心の度合いが変わります。

初めて連絡する会社に対して、読み手はどうしても「本当に大丈夫だろうか」という警戒を持ちます。所在地がはっきり示されていることは、その警戒を静かに解く働きをします。

事業所の写真が1枚あれば、さらに実在感が増します。豪華に見せる必要はなく、そこで人が働いていると分かる情報が、読み手の不安をやわらげます。

顔の見える会社は相談されやすい

働く人の顔が見える会社は、相談されやすくなります。代表だけでなく、実際に対応する担当者の顔や、現場で働く人の様子が見えると、読み手は「この人たちに相談するのか」と具体的に想像できます。

想像できる相手には、連絡のハードルが下がります。全員の顔を出す必要はありません。

窓口になる人が1人でも見えれば、印象は大きく変わります。

会社情報は与信の段階で効く

設立年、資本金、取引銀行といった会社情報は、読み手が「この会社に発注してよいか」を確かめる与信の段階で効きます。この情報は不要ではありません。

置き場所が問題なだけです。関心を作る入口として最上部に置くのは向いていません。

相談を決めたあとに確かめる場所として、ページの後半にきちんとまとめておきます。

スマホで読まれる前提で会社案内を組み直す

いまや会社案内を見る人の多くは、スマートフォンで見ています。紙のパンフレットを前提に組まれたレイアウトは、スマホでは読みにくく、そのまま離脱につながります。

横長の表と小さな文字がスマホで潰れる

紙のA4を前提に作った横長の表や、細かい文字は、スマホの縦画面では潰れて読めません。読み手は、指で拡大しないと読めないページを、たいてい途中で閉じます。

総務省の通信利用動向調査によると、個人がインターネットを利用する端末はスマートフォンが最も多く、パソコンを上回る状態が続いています。

会社案内も、スマホの縦画面で読める形を先に考えます。

1画面に1つの用件だけを置く

スマホの1画面は狭いので、1画面にあれこれ詰め込むと、どれも中途半端に伝わります。1つの画面には、1つの用件だけを置きます。

困りごとの提示、解決策、事例、相談の入口を、それぞれ独立した画面として組むと、指でスクロールしながら順に理解できます。紙の1ページに全部載せる発想から、画面ごとに1用件へ切り替えます。

電話番号はそのまま発信できる形にする

スマホで見ている読み手は、電話番号をその場で押して発信したいと考えます。電話番号が画像で置かれていると、押しても何も起きません。

番号を押せばそのまま電話がかかる形にしておくと、相談したくなった瞬間の行動を取りこぼしません。会社案内をスマートフォンで見ている読み手にとって、電話番号を長押しして選び直す一手間は、思ったより大きな壁になります。

相談しようと思い立った気持ちは、数秒で冷めます。その数秒のあいだに一手で発信できるかどうかが、実際の問い合わせ数を左右します。

次の表に、スマホ前提の組み直し方を整理します。

分類 今起きていること 次にすること
表とレイアウト 横長の表がスマホで潰れる 縦画面で読める形に組み替える
文字の大きさ 拡大しないと読めない スマホで読める大きさを標準にする
1画面の情報 1画面に用件を詰め込みすぎ 1画面に1つの用件だけを置く
電話番号 画像で押しても発信しない 押せば発信できる形にする

AI検索と生成エンジンに会社案内を拾わせる書き方

近年は、検索結果だけでなく、生成AIが会社の情報をまとめて答える場面が増えています。会社案内の書き方によって、AIに正しく拾われるかどうかが変わります。

結論を先に、理由をあとに書く

AIは、質問に対する答えを探すように文章を読みます。結論が文章の最後にあると、拾われにくくなります。

「当社は、こういう困りごとを解決する会社です」という結論を、段落の最初に置きます。理由や補足はそのあとに続けます。

読み手にとっても、結論が先にある文章は分かりやすいので、両方に効きます。人は、長い前置きを我慢して読んではくれません。

段落の最初の一文で「この段落は自分に関係がある」と分かれば読み進め、関係が無いと分かればその段落ごと飛ばします。結論を先に置くことは、読み飛ばしを前提にした読み手への配慮でもあります。

生成AIも、要点が前にある文章を、質問への答えとして取り出しやすくなります。

数字と固有名詞で具体的に書く

「実績が豊富です」という書き方は、読み手にもAIにも中身が伝わりません。曖昧な量の表現を、具体的な数字と固有名詞に置き換えます。

対応できる業種、これまでに扱った件数、対応の範囲を、具体的に書きます。Googleは検索とAIの案内で「機械向けの特別なファイルは必要ない」という趣旨を公表しています。

特別な仕掛けよりも、中身を具体的に書くことが効きます。

よくある質問を会社案内の中に持つ

会社案内の中に、よくある質問と答えを持っておくと、AIはその形を答えとして拾いやすくなります。読み手が問い合わせ前に確かめたいことを、質問と答えの形で先に書いておきます。

「対応エリアはどこまでか」「初回の相談は何をするのか」といった問いに、短く正確に答えておくと、AIも読み手も、必要な情報にすぐたどり着けます。

問い合わせ前に読み手が抱く不安は、たいてい決まっています。営業日、対応の範囲、相談してから何が始まるのか。

この決まった不安に先回りして答えを置いておくと、読み手は安心して次の一歩に進めますし、AIが会社の情報を要約する場面でも、その答えがそのまま引かれやすくなります。

会社案内を直す順番

直すべき箇所が見えてきたら、次はどこから手をつけるかです。全部を一度に直そうとすると、たいてい途中で止まります。

効果の大きいところから、1つずつ直します。

まず入口の一歩を整える

最初に手をつけるのは、問い合わせへの入口です。すでに関心を持っている読み手が、行動できずに帰っている状態は、いちばんもったいない取りこぼしです。

読み終わるところごとに入口を置き、押した先で何が起きるかを言葉にする。この2つは、1日でも直せて、効果がすぐ見えます。

次に事業内容を読み手の言葉にする

入口を整えたら、事業内容を読み手の言葉に書き換えます。ここは効果が大きい代わりに、時間もかかります。

読み手が使う検索語を調べ、困りごとの言葉から書き起こし、専門用語に言い換えを添える。この作業は数日かかりますが、問い合わせの質と量の両方に効きます。

最後に会社情報の置き場所を入れ替える

入口と事業内容が整ったら、沿革や資本金といった会社情報を、ページの後半へ移します。情報を消す必要はありません。

順番を入れ替えるだけです。関心を作る入口を上に、与信の材料を下に。

この入れ替えで、同じ情報のままでも読まれ方が変わります。次の表に、直す順番を整理します。

分類 今起きていること 次にすること
1番目 関心があるのに入口が無く帰っている 読み終わりに相談の入口を置く
2番目 事業内容が内輪の言葉で伝わらない 読み手の検索語と困りごとの言葉に直す
3番目 沿革と資本金が最上部で関心を奪う 会社情報をページ後半へ移す
4番目 実績が社名の羅列で自分と重ねにくい 業種と課題と結果を1件ずつ書く
5番目 スマホで読みにくく途中で閉じられる 縦画面で読める形に組み替える

よくある質問

会社案内をそのまま載せるのは全部だめなのでしょうか

全部を捨てる必要はありません。会社案内に載っている情報の多くは、そのまま使えます。

変えるのは、載せる順番と、書き出しの言葉と、置き場所です。沿革も資本金も、与信の段階では役に立ちます。

関心を作る入口を上に、確かめる材料を下に。同じ情報を、読み手の判断を助ける順番に並べ替えるのが、直しの中心です。

デザインをきれいにすれば問い合わせは増えますか

デザインを整えても、中身の順番と言葉が読み手に合っていなければ、問い合わせは増えません。きれいなパンフレット型サイトは、きれいなまま問い合わせが来ない状態になります。

先に直すのは、読み手が何を確かめに来ているかに合わせた中身の設計です。見た目を整えるのは、中身が読み手に合ってからにすると、同じ手間でも効果が変わります。

実際、デザインの刷新に費用をかけたのに問い合わせが増えなかった、という相談は珍しくありません。たいてい変わったのは色や写真の質だけで、情報の順番も、事業を説明する言葉も、前のままだったからです。

順番と言葉を読み手に合わせたうえで見た目を整えれば、デザインの力も初めて生きてきます。

小さな会社でも会社案内は必要ですか

小さな会社ほど、会社案内の作り方で結果が変わります。総務省の通信利用動向調査によると、企業のホームページ開設率は9割前後で推移しており、ホームページを持っていること自体は、もはや差になりません。

差になるのは、来た人が判断できる形になっているかどうかです。規模が小さくても、読み手の困りごとに答える会社案内は作れます。

むしろ、担当者の顔が見えやすい分、小さな会社の方が信頼を作りやすい面があります。大きな会社では、問い合わせをしても誰が対応するのか見えにくいものです。

小さな会社は、代表や担当者の人柄をそのまま見せられます。読み手にとって「この人に相談するのか」が具体的に想像できることは、規模の大きさより強い安心につながります。

人の見える小ささは、それ自体がそのまま強みになります。相談相手の顔が見えることは、初めての読み手が連絡する不安を、確かに小さくしてくれます。

写真にお金をかける余裕がありません

高価な撮影は必要ありません。読み手が見たいのは、豪華な写真ではありません。

働く人と現場の様子です。スマートフォンで撮った、実際に作業している場面の写真でも、社屋の外観写真より多くを伝えます。

大事なのは写真の質より、写っている中身です。仕事の中身が伝わる写真を、無理のない範囲で用意すれば十分です。

問い合わせフォームと電話のどちらを目立たせるべきですか

読み手によって、使いたい入口は違います。その場で話したい人は電話を、じっくり書きたい人はフォームを選びます。

どちらかに寄せず、両方を分かりやすく置いておきます。スマホで見ている読み手のために、電話番号は押せば発信できる形にし、フォームは項目を絞って埋めやすくする。

読み手が好きな入口を選べる状態が、取りこぼしを減らします。

まとめ

会社案内を載せただけのホームページから問い合わせが来ないのは、アクセスが少ないからでも、デザインが古いからでもありません。

紙の会社案内が果たそうとしている役割と、ウェブに来る読み手の目的が、最初からずれているからです。紙は関心のある相手に手渡すもの、ウェブはまだ関心の無い相手が自分で確かめに来る場所です。

同じ会社案内でも、読まれ方は正反対です。

直しの中心は、会社が自分を語る場から、読み手が自分の判断を確かめる場へと、役割を移すことです。読み手の困りごとの言葉から書き起こし、解決策と事例を上に置き、沿革や資本金は与信の材料として後半へ移す。

読み終わるところごとに、次の一歩の入口を静かに置く。豪華な作り替えは要りません。

順番と言葉と置き場所を入れ替えるだけで、同じ情報のまま問い合わせが動き始めます。

全部を一度に直す必要はありません。まず入口の一歩を整え、次に事業内容を読み手の言葉に直し、最後に会社情報の置き場所を入れ替える。

効果の大きい順に1つずつ進めれば、途中で止まらずに形になります。最後に、今日その場で始められる点検を表にまとめます。

分類 今起きていること 次にすること
入口 問い合わせの入口が最下部に1か所だけ 事業内容と事例の読み終わりに入口を足す
書き出し 会社概要が沿革と資本金から始まる 読み手の困りごとを最初の見出しにする
事業内容 サービス名だけが並んでいる 解決する困りごとを名前の前に1行足す
写真 社屋と風景の写真しか無い 働く人か現場の写真を1枚差し替える
スマホ 横長の表と画像の電話番号がある 縦で読める形にし電話番号を押せる形にする

この表のうち、今日直せそうなものを1つ選び、そこから始めてください。会社案内は、作り直す対象ではありません。

読み手の側から並べ替えるものです。1か所を読み手の判断を助ける形に変えるだけで、これまで帰っていた人の何割かが、次の一歩に進み始めます。

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合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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