SNSを始めたいが、どのサービスから手を付ければよいか分からない。始めてはみたものの、担当者が1人で、投稿が止まってしまった。
BtoBの中小企業から、よく聞く悩みです。
この記事は、少人数の会社が、SNS運用を無理なく始めて続けるための手順書です。
扱うのは、LinkedIn、X、Facebook、Instagram、YouTubeの5つです。サービスの選び方、立ち上げの手順、体制、数字の見方、広告であることの表示までを順に説明します。
公式の情報は、2026年10月17日に開いて確かめました。サービスの画面や機能は変わることがあるため、実際の操作の前に最新のヘルプを見てください。
先に結論 BtoBのSNSは「中心を1つ」から始める
最初に、この記事の結論を表にまとめます。
| 決めること | 結論 | 理由 |
|---|---|---|
| 始める数 | 中心のサービスを1つ決め、補助を多くても1つまでにする | 少人数では、5つ全部の投稿を続けられない |
| 最初に決めるもの | 目的と、見る数字 | 目的が決まらないと、投稿の良し悪しを判断できない |
| 選び方 | 買い手がいる場所と、自社が続けられる形式で決める | 利用者の多さだけで選ぶと、買い手に届かない |
| 計測 | 投稿のリンクにUTMを付け、GA4で見る | 投稿から問い合わせまでの道筋が見える |
| 法令 | 広告や宣伝は、広告と分かる表示にする | 消費者庁が、広告を隠す表示を規制している |
どの項目も、特別なツールは要りません。無料で始められる範囲で、土台を作れます。
全部のサービスを同時に始めない
5つのサービスを同時に始めると、投稿の準備だけで担当者の時間が尽きます。
最初は1つに絞り、型ができてから2つ目を足す順番が現実的です。
この記事で確かめた範囲
この記事では、公式ページで確かめられた事実と、書き手の見立てを分けて書きます。
LinkedInとYouTube、GA4、消費者庁、総務省のページは、2026年10月17日に内容を読んで確かめました。
X、Facebook、Instagramのヘルプは、確認の手段が限られていたため、操作の細かな条件は書いていません。この3つについては、総務省の利用率と、使い分けの考え方を中心に説明します。
SNS運用の目的を先に決める
投稿の内容を考える前に、何のために運用するのかを1文で決めます。
目的が曖昧なままだと、数字を見ても、良いのか悪いのか判断できません。
BtoBのSNSでよくある4つの目的
目的は、次の4つのどれかに寄せると決めやすくなります。
| 目的 | 目指す状態 | 主に見る数字 |
|---|---|---|
| 認知 | 社名や事業を知っている人を増やす | 表示された回数、届いた人数 |
| 信頼 | 取引前に調べられたときの印象を整える | 投稿の蓄積、プロフィールの完成度 |
| 見込み客との接点 | 問い合わせの前に何度か接する | 反応の数、サイトへの来訪数 |
| 採用 | 働く人の姿を知ってもらう | 採用ページへの来訪数 |
1つの運用で、4つ全部を狙わないことが大切です。
最初は、いちばん近い目的を1つ選びます。
目的が決まると投稿が決まる
目的が決まると、書く内容と、載せるリンク先も決まります。
たとえば、見込み客との接点が目的なら、投稿の最後に、役に立つ解説記事へのリンクを置きます。
採用が目的なら、リンク先は採用ページになります。
売上に直結させすぎない
BtoBの商談は、検討期間が長くなりがちです。SNSの投稿から、すぐに問い合わせが来ると期待すると、続けられなくなります。
最初の半年は、「反応が積み上がっているか」「サイトへの来訪が増えているか」を確かめる期間と考えます。
総務省の調査で見る各サービスの利用率
どのサービスを選ぶかの材料として、総務省の調査を使います。
総務省は2026年6月26日に、「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」を公表しました。平成24年から毎年実施している調査で、今回が14回目です。
全年代の利用率
報告書の概要から、主なサービスの利用率を表にまとめます。対象は全年代で、回答数は1,800です。
| サービス | 全年代の利用率 |
|---|---|
| LINE | 92.9% |
| YouTube | 81.5% |
| 54.8% | |
| X | 44.7% |
| 27.0% | |
| TikTok | 36.7% |
YouTubeとLINEは、利用率が高いことが分かります。
買い手になりやすい年代の利用率
BtoBでは、意思決定に関わる人の年代に絞って見るほうが役に立ちます。同じ調査から、30代、40代、50代の利用率を抜き出します。
| サービス | 30代 | 40代 | 50代 |
|---|---|---|---|
| LINE | 97.9% | 96.6% | 95.6% |
| YouTube | 94.0% | 91.6% | 84.9% |
| 76.6% | 67.1% | 54.4% | |
| X | 67.7% | 57.0% | 40.2% |
| 37.4% | 38.9% | 33.1% | |
| TikTok | 44.7% | 42.6% | 32.2% |
Facebookは全年代では27.0%ですが、30代から50代では3割台です。30代から50代の差は6ポイントほどで、Instagramの22ポイントほどと比べると小さいことが分かります。
利用率は買い手の行動を表さない
この数字は、一般の人がそのサービスを使っているかどうかを示すものです。仕事の情報収集に使っているかどうかは、この調査から読み取れません。
BtoBでは、利用率の高さがそのまま成果に結びつくとは限りません。
利用率は、「買い手が、そこにいる可能性があるか」の下調べに使います。
自社の買い手に聞いて確かめる
いちばん確かな材料は、自社の既存の取引先です。
「業者を探すとき、どこで情報を見ますか」と、商談の場で1つ聞いてみるだけで、選ぶサービスの根拠になります。
5つのサービスの使い分け 向く目的と向かない目的
ここからは、5つのサービスの使い分けを説明します。
以下は、公式ページと総務省の数字で確かめた事実に、書き手の見立てを加えたものです。見立ての部分は、そのように書き分けます。
一覧表 サービスごとの向き不向き
| サービス | 向く目的 | 向かない目的 | 続けやすさの目安 |
|---|---|---|---|
| 信頼、見込み客との接点、採用 | 一般消費者への認知 | 文章中心で、週1回から続けやすい | |
| X | 認知、短い情報の発信 | 長い説明の蓄積 | 更新の頻度が求められやすい |
| 信頼、既存の取引先との接点 | 若い層への認知 | 週1回程度で続けやすい | |
| 認知、採用、会社の雰囲気の発信 | 専門的な長文の解説 | 画像や動画の準備に手間がかかる | |
| YouTube | 信頼、検討中の見込み客への説明 | 速報性のある発信 | 1本の制作に手間がかかるが、資産として残る |
続けやすさの目安は、書き手の見立てです。実際の負担は、自社の人数と素材の有無で変わります。
LinkedIn 仕事の文脈で見てもらえる場所
LinkedInは、仕事に関する人のつながりを中心にしたサービスです。会社のページを作って、無料で運営できます。
BtoBの会社が、取引前に相手に調べられたときの信頼の材料としては、候補になります。
総務省の調査には、LinkedInは含まれていません。利用率の数字は、この記事では示せません。
X 短い発信と反応の速さ
Xは、全年代の利用率が44.7%です。20代で73.4%、30代で67.7%と、若い年代ほど高くなっています。
短い文章で、業界の知識や自社の考え方を発信するのに向いています。
一方で、投稿が流れる速度が速いため、蓄積した情報を探してもらう用途には向きません。これは書き手の見立てです。
Facebook 取引先との接点
Facebookは、30代から50代の利用率が3割台で安定しています。
既存の取引先や、経営層の年代との接点を作る目的には、候補になります。
若い層への認知を狙う場合は、他のサービスのほうが合います。
Instagram 会社の雰囲気を見せる
Instagramは、全年代で54.8%、30代で76.6%です。
画像や動画で、働く様子や製品の現場を見せるのに向いています。
BtoBでは、採用の目的に合いやすいと考えます。これも書き手の見立てです。
YouTube 説明の資産を積む
YouTubeは、全年代で81.5%、30代で94.0%、40代で91.6%です。調査にあるサービスの中ではLINEに次いで高く、買い手の年代でも高い水準です。
操作方法や、導入の流れなど、文章だけでは伝わりにくい内容を残すのに向いています。
動画の制作には手間がかかりますが、1本ずつ積み上げていく形にできます。
最初の1つを選ぶ手順
5つのサービスの特徴を踏まえて、自社が最初に選ぶ1つを決めます。
選び方は、次の3つの問いで進めます。
3つの問いで絞る
| 順番 | 問い | 答えの使い方 |
|---|---|---|
| 1 | 買い手は、どの年代と立場の人か | 年代別の利用率と照らして、候補を2つ以内に絞る |
| 2 | 自社が続けられる形式は、文章、画像、動画のどれか | 続けられない形式のサービスを外す |
| 3 | 既存の取引先は、どこで情報を見ているか | 商談の場で聞き、最後の1つを決める |
3つ目の問いは、最も重みがあります。
統計よりも、自社の取引先の実際の行動のほうが、成果に近いためです。
形式で選ぶと続けやすい
文章を書くのが得意な担当者なら、LinkedInやFacebookが続けやすくなります。
画像の素材が自然に集まる会社なら、Instagramです。
説明が得意な社員がいる会社なら、YouTubeです。
得意な形式に合わせて選ぶことが、続ける近道です。
迷ったときの決め方
どうしても決められないときは、まず1つのサービスを3か月続けると決めます。
3か月後に、反応の数とサイトへの来訪数を見て、続けるかどうかを判断します。
間違った選択でも、3か月分の投稿は資産として残ります。
補助のサービスを足す条件
2つ目のサービスを足すのは、中心のサービスの型が安定してからにします。
目安として、投稿の準備が1回あたり決まった時間で終わるようになったら、足してかまいません。
足すときは、中心のサービスの投稿を転用できる形式を選ぶと、手間が増えません。
| 中心のサービス | 転用しやすい補助 | 転用の例 |
|---|---|---|
| 同じ文章を、少し手直しして投稿する | ||
| YouTube | X | 動画の要点を短い文章にして投稿する |
| 同じ画像を、解説を足して投稿する |
転用すると、考える手間が減ります。ただし、全く同じ内容を機械的に流すだけでは、読む人に伝わりにくくなります。
自社のSNSを持たないという選択
SNSは、必ず運用しなければならないものではありません。
人手が足りない会社は、運用しない判断にも意味があります。
運用を見送ってよい場合
次のような場合は、SNSの運用を後回しにして構いません。
| 状況 | 先にやること |
|---|---|
| 自社サイトに、問い合わせへの導線が整っていない | サイトの導線を直す |
| 紹介だけで取引先が十分に増えている | 紹介の仕組みを整える |
| 担当者が他の業務で手一杯 | 業務の見直し |
| 発信できる内容が見つからない | 先に社内で、話せる強みを整理する |
SNSは、サイトの導線が整っていないと、せっかく来た人を逃してしまいます。
運用しなくても名前は載る
自社でアカウントを運用しなくても、他社の投稿や、取引先の紹介で名前が出ることはあります。
自社の名前でアカウントだけを先に作り、運用は後にする方法もあります。同じ名前を、後から使えるとは限らないためです。
見送るときの決まりを作る
見送ると決めたら、「いつ見直すか」を決めておきます。
たとえば、「半年後の○月に、体制を確認する」と、手帳や社内のカレンダーに入れておきます。
決めないまま忘れてしまうと、見送りがそのまま放置に変わります。
LinkedInのページを作る手順と、役割の分け方
中心のサービスにLinkedInを選んだ場合の手順を、公式ヘルプに沿って説明します。
LinkedInのヘルプは、2026年10月17日に開いて確かめました。ヘルプの更新日は、ページによって1年ほど前のものもあります。
作る前に必要なもの
会社のページを作るには、先に個人のアカウントが必要です。公式ヘルプによると、ページの作成は無料です。
| 準備するもの | 確かめること |
|---|---|
| 個人のアカウント | 会社のページを作る人が、自分のアカウントを持っている |
| 会社を代表する権限 | 作成時に、会社の代わりに行動する権利があることを確認する欄にチェックを入れる |
| 端末 | パソコンか、iOSのアプリ。公式ヘルプによると、Androidの端末では作成できない |
作成する人は、そのページの最上位の管理者になります。
ページの種類
作成時に選べる種類は、公式ヘルプによると、次のとおりです。
| 種類 | 使いどころ |
|---|---|
| 会社 | 通常の会社のページ |
| ショーケースページ | 会社のページの下に作る、製品やサービスごとのページ |
| 教育機関 | 学校などのページ |
通常は「会社」を選びます。ショーケースページは、後から必要になったときに足せます。
作成の流れ
パソコンでの作成は、次の流れです。
- LinkedInのホームの右上にある、事業者向けのアイコン(英語の画面ではFor Business)を押します。
- 一覧を下へ進み、会社ページを作成する項目(英語の画面ではCreate a Company Page)を選びます。
- ページの種類を選びます。
- ページの名前、会社の情報、プロフィールの情報を入力します。
- 会社を代表する権利を確認するチェックを入れます。
- 作成のボタンを押し、その後の案内に沿ってページを整えます。
メニューの名前は、画面の更新で変わることがあります。
管理者の役割を分ける
公式ヘルプには、ページの管理者の役割が3つ書かれています。
| 役割 | できること |
|---|---|
| 最上位の管理者(英語表記はSuper admin) | すべての権限。管理者の追加や削除、ページの情報の編集、ページの無効化まで |
| 投稿の管理者(英語表記はContent admin) | 投稿やイベントの作成と管理、投稿の宣伝 |
| 分析担当(英語表記はAnalyst) | ページの分析画面を見る。分析のタブだけ使える |
少人数の会社では、最上位の管理者を2人にしておくと安心です。1人しかいないと、その人が退職したときに管理できなくなるためです。
分析担当の役割は、数字だけ見たい経営層に付けられます。
予約投稿を使って作業をまとめる
最上位の管理者と投稿の管理者は、投稿を予約できます。公式ヘルプによると、現在から1時間後以降、最長で3か月先まで指定できます。
予約したあとでも、すぐに投稿する、内容を直す、日時を変える、削除することができます。
| 予約できないもの |
|---|
| イベント |
| 複数枚の写真 |
| 他の人の投稿の再共有 |
| アンケート |
| 求人 |
| サービスの投稿 |
週に1回、まとめて予約する形にすると、毎日の作業が要りません。
投稿の準備に使う時間を決める
予約投稿を使うと、投稿の作業を決まった曜日にまとめられます。
詳しい時間の配分は、後の章の表で説明します。
YouTubeのチャンネルを作る手順と、共同で管理する方法
中心のサービスにYouTubeを選んだ場合の手順です。
YouTubeのヘルプも、2026年10月17日に開いて確かめました。
チャンネルがないと動画を出せない
公式ヘルプによると、Googleアカウントがあれば、動画の再生、評価、チャンネル登録はできます。
動画のアップロード、コメントの投稿、再生リストの作成には、YouTubeチャンネルが必要です。
チャンネルを作らない限り、YouTubeでアカウントの存在が公開されることはないと、公式ヘルプは説明しています。
会社のチャンネルはブランドアカウントで作る
個人のチャンネルとは別に、会社用のチャンネルを作る方法があります。ヘルプでは、ブランドアカウントにリンクされたチャンネルと説明されています。
| 方法 | 管理できる人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 個人のチャンネル | 作った本人だけ | ブランドアカウントにリンクされていないと、所有者を変更できない |
| ブランドアカウントのチャンネル | 複数のメンバーが、各自のGoogleアカウントで管理できる | 所有者と管理者の役割を決める必要がある |
ブランドアカウントにリンクされたチャンネルは、別のユーザー名やパスワードを設定する必要がないと、公式ヘルプは説明しています。
パスワードを共有しない
担当者が複数いるのに、1つのアカウントのパスワードを共有する運用は避けます。
公式ヘルプは、チャンネルの権限の機能に移ると、パスワードの共有などのセキュリティ上の危険を防げると説明しています。
退職や担当替えのときも、権限を外す形で対応できます。
また、公式ヘルプは、ブランドアカウントの役割より、チャンネルの権限を使うことを案内しています。
権限は信頼できる人に絞る
公式ヘルプによると、チャンネルの所有者には、信頼できるユーザーにだけアクセスを許可する責任があります。
付ける人を増やしすぎないことが、安全な運営につながります。
| 付ける役割 | 付ける相手の例 |
|---|---|
| 所有者 | 経営層か、会社として責任を持つ人 |
| 運用を任せる役割 | 運用の担当者 |
| 数字を見る役割 | 数字だけ見たい人 |
役割の名前と、できることの範囲は、権限の設定画面で最新の内容を確認してください。
少人数で続ける体制 週の時間割を決める
SNS運用が止まる最大の原因は、時間が足りなくなることです。
担当者の負担を、最初から小さく設計します。
1週間の時間割の例
投稿を週に1回とする場合の、作業の分け方の例です。時間は目安で、自社の状況に合わせて変えてください。
| 曜日 | 作業 | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 週のはじめ | 今週のテーマを1つ決める | 10分程度 |
| 週の前半 | 文章や素材を作る | 30〜60分程度 |
| 週の半ば | 見直して予約する | 15分程度 |
| 週の終わり | 反応を見て、メモを残す | 10分程度 |
合計で、1時間から1時間半ほどです。この時間を確保できない場合は、投稿の頻度を月に2回に下げます。
役割は3つに分ける
人数が少なくても、役割を3つに分けておくと、判断が速くなります。
| 役割 | 内容 | 兼任の例 |
|---|---|---|
| 投稿者 | 文章や素材を作り、投稿する | 営業か広報の担当者 |
| 確認者 | 公開前に、内容の誤りや表示を確認する | 管理職か経営層 |
| 数字の担当 | 毎月の数字を集める | Web担当者 |
1人が兼ねる場合でも、「確認者」の時間だけは別に取ります。公開前に、一度読み直す習慣が事故を防ぎます。
投稿のネタ帳を作る
何を書くか悩む時間が、いちばん長く、疲れます。
ネタ帳に、思いついた話題を書き溜めておくと、週のはじめに悩まずに済みます。
| ネタの出どころ | 例 |
|---|---|
| お客様からの質問 | 商談で聞かれたこと |
| 社内での気づき | 作業の中で見つけた工夫 |
| 業界の動き | 公的機関の発表への見解 |
| 自社の記事 | すでにあるサイトの解説記事 |
自社サイトの記事を要約して、SNSの投稿にする形が最も手間が少なくなります。
投稿から問い合わせまでを計測する UTMの付け方
SNSの運用が成果につながっているかは、自社サイトへの来訪で確かめます。
そのために、投稿に載せるリンクへ、UTMという目印を付けます。
UTMとは
UTMは、リンクの末尾に付ける、流入元を示すパラメータです。Googleの公式ヘルプによると、どのキャンペーンがトラフィックを呼び込んでいるかが分かるようになります。
付ける項目は、次のとおりです。
| 項目 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| utm_source | どこから来たか | linkedin、fb、insta |
| utm_medium | どの種類の媒体か | social |
| utm_campaign | どの企画か | 年月と企画名 |
| utm_content | どのクリエイティブか(任意) | 画像A、画像B |
公式ヘルプによると、URLにパラメータを付けるときは、utm_source、utm_medium、utm_campaignの3つを必ず使う必要があります。
表記ルールを先に決める
Googleの公式ヘルプは、表記をそろえることを勧めています。
| 項目 | 公式ヘルプの考え方 |
|---|---|
| 参照元 | サービスごとに、一意の値を1つだけ使う。たとえばFacebookは「fb」、Instagramは「insta」 |
| メディア | 個別のチャネルごとに、一意の値を1つだけ使う |
| キャンペーン | 名前を1つに決め、1つの活動が複数の行に分かれないようにする |
| キーワード | すべて小文字にして、スペルを統一する |
表記がばらつくと、同じ投稿の数字が複数の行に分かれてしまいます。
一度決めたルールは、共有の表に書いて、担当者が替わっても守れるようにします。
GA4でのチャネルの見え方
GA4では、流入が「チャネル」というグループに分けられます。公式ヘルプによると、オーガニックソーシャルは、広告ではないソーシャルサイトのリンクから来た流入のチャネルです。
分類の条件は、次のいずれかです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 参照元 | ソーシャルサイトの一覧に一致する |
| メディア | 「social」「social-network」「social-media」「sm」「social network」「social media」のいずれか |
メディアを「social」にしておけば、広告ではないSNS経由の流入として、まとまって見られます。
公式ヘルプによると、デフォルトのチャネルの定義は大文字と小文字を区別せず、編集もできません。定義は、市場の変化に伴って変わる可能性があるとも書かれています。
広告と自然な投稿を分ける
SNSの広告は、「有料ソーシャル」という別のチャネルに入ります。
広告を出す場合は、広告のリンクと自然な投稿のリンクで、UTMの値を分けます。
分けないと、広告の成果と、自然な投稿の成果が混ざって読めなくなります。
リンクを付ける場所を決める
投稿の本文にリンクを入れるのか、プロフィールのリンクに置くのかは、サービスによって使いやすさが違います。
どこに置くかを決めたら、その場所のリンクにも、UTMを付けておきます。
プロフィール欄のリンクは、他の投稿と見分けられるよう、utm_contentにプロフィール欄と分かる値を入れます。
毎月見る数字を3つに絞る
SNSの管理画面には、多くの数字が並びます。全部を見ようとすると、続きません。
毎月見る数字を、3つに絞ります。
3つの数字
| 数字 | 見る場所 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 届いた量 | 各サービスの管理画面 | 投稿が見られた規模 |
| 反応の量 | 各サービスの管理画面 | 内容が読み手に響いたか |
| サイトへの来訪数 | GA4 | 投稿が、サイトへの行動につながったか |
3つ目の数字は、サービスの管理画面には出ません。GA4で、UTMを付けたリンクから集めます。
LinkedInの分析画面で見られるもの
LinkedInのページ管理者は、分析のメニューから、次の項目を見られます。公式ヘルプによると、コンテンツ、訪問者、フォロワー、検索での表示、リード、ニュースレター、競合、採用ブランドの8つです。
コンテンツの分析では、次の数字が使えます。
| 数字 | 公式ヘルプの説明 |
|---|---|
| 表示回数 | 投稿が表示された回数。推定値で、正確とは限らない |
| リーチしたメンバー | 投稿を見た、異なるメンバーとページの数。推定値で、繰り返しの表示は含まない |
| クリック | ログインしたメンバーによる、コンテンツ、会社名、ロゴのクリックの数 |
| 反応、コメント、再共有 | メンバーによる反応、コメント、共有の数 |
| エンゲージメント率 | 表示に対する、クリック、反応、コメント、共有の割合 |
公式ヘルプによると、数字が反映されるまでに48時間かかることがあります。反応とコメントは、リアルタイムで反映されます。
月次の集計は、投稿から2日以上たってから行います。
YouTubeのアナリティクスで見られるもの
YouTubeでは、YouTube Studioのアナリティクスで、チャンネルと個々の動画の成果を分析できます。
公式ヘルプによると、2026年7月から、YouTube Studioの新しい画面が段階的に導入されています。そのため、画面の見た目が、ここで説明する内容と違うことがあります。
地域やトラフィックソースなど、一部のデータは制限される場合があります。
数字の見方は変化に注目する
SNSの数字は、1か月の上下で一喜一憂しません。
3か月の流れで、増えているか、横ばいか、減っているかを確かめます。
件数が少ない間は、割合よりも件数の差で見るほうが、実態に近くなります。
広告であることの表示 ステルスマーケティング規制
SNSでは、広告であることを隠した投稿が、法令の問題になります。
消費者庁のページによると、令和5年10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法違反となっています。
何が規制されるのか
消費者庁は、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことを、ステルスマーケティングと説明しています。
規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです。
| 規制の対象 | 内容 |
|---|---|
| 広告主 | 商品やサービスを供給する事業者が、規制の対象になる |
| 第三者 | 企業から依頼を受けたインフルエンサーなどの第三者は、規制の対象にならない |
| 媒体 | SNSの投稿、レビュー投稿、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌なども対象 |
企業がインフルエンサーなどに依頼や指示をして出す投稿も、広告に含まれると、消費者庁は説明しています。
明瞭な表示の例
消費者庁のよくある質問によると、運用基準は、事業者の表示であることが明瞭となっている例として、次の書き方を挙げています。
| 表示の例 |
|---|
| 「広告」と書く |
| 「宣伝」と書く |
| 「プロモーション」と書く |
| 「PR」と書く |
| 「A社から商品の提供を受けて投稿している」と文章で書く |
これら以外の方法でも、表示内容全体から見て、事業者の表示であることが明瞭であれば認められると、消費者庁は説明しています。
広告の表示は投稿の本文に書く
SNSの投稿で、本文には書かず、ツリー(リプライ)にだけ「広告」などと書いた場合、一般消費者が気付かないおそれがあります。
消費者庁は、そのような場合は、事業者の表示であることが明瞭とはいえない場合が多いと考えられると説明しています。
広告の表示は、読み手が最初に目にする本文に入れます。
社員の個人アカウントの投稿
社員が自分のアカウントで、自社の商品の感想を投稿しただけで、直ちに違反になるわけではないと、消費者庁は説明しています。
ただし、社員の立場や権限、担当業務などの実態によっては、事業者が表示内容の決定に関与していると認められ、事業者の表示に当たる場合があります。
たとえば、販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員などが、商品の販売を促進するための表示を行う場合は、事業者の表示に当たると考えられると、消費者庁は説明しています。
社員に投稿をお願いする場合は、広告と分かる表示を付ける決まりを、先に伝えておきます。
この記事は法律相談ではない
個別の投稿が規制に当たるかどうかは、事案ごとに、表示内容全体から判断されます。
迷う投稿は、消費者庁のページで最新の説明を確かめるか、専門家に相談してください。
続かなくなる原因と対策
SNS運用は、始めるよりも、続けるほうが難しい作業です。
よくある失敗を、先に知っておきます。
よくある失敗
| 失敗 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 目的が決まっていない | 何を投稿するか毎回悩む | 目的を1文で書き、見える場所に貼る |
| 複数のサービスを同時に始める | 担当者の時間が尽きる | 中心を1つに絞る |
| 担当者1人に任せきり | 退職や休みで止まる | 最上位の管理者を2人にし、手順書を残す |
| 数字を見ない | 改善できず、やる気が落ちる | 毎月見る数字を3つに絞る |
| 公開前に確認しない | 誤りや、表示漏れが出る | 確認者を決める |
特に、担当者が1人の運用は、止まりやすくなります。
手順書を1枚残す
引き継ぎのために、手順書を1枚だけ残します。
書く内容は、アカウントの管理者、投稿の曜日、UTMのルール、確認者、毎月見る数字です。
この記事の表を、そのまま手順書の土台に使えます。
3か月ごとに見直す
3か月に1回、運用を続けるかどうかを判断します。
見る材料は、反応の量、サイトへの来訪数、担当者の負担の3つです。
負担が重すぎる場合は、頻度を下げます。続ける価値が見えない場合は、中心のサービスを替える判断もできます。
売れるサイトはみな謙虚 SNSは足さずに引く
ここまで、サービスを絞り、数字を絞る話を繰り返してきました。この考え方に、名前を付けて紹介します。
「売れるサイトはみな謙虚」という考え方です。大きく見せる言葉や機能を足していくより、訪れた人が迷う要素を引いていくほうが、次の一歩を踏み出してもらえるという見方です。
SNS運用にも、そのまま当てはまります。
SNS運用から引くもの
| 引くもの | 引いたあとの状態 |
|---|---|
| 同時に始めるサービス | 中心の1つに、時間と工夫が集まる |
| 毎日の投稿 | 続けられる頻度で、内容に手をかけられる |
| 見ない数字 | 毎月見る3つの数字が目立つ |
| 大げさな言い回し | 読んだ人が、そのまま受け取れる |
大きく見せる言葉を引くことは、広告の表示とも関わります。誇張を足さず、広告は広告と書く姿勢が、信頼を守ります。
引いても残すもの
引いても、運用に必要なものは残します。
目的を書いた1文、管理者を2人置く決まり、UTMの表記ルール、公開前の確認、そして3か月ごとの見直しです。
この5つがそろっていれば、小さな運用でも、続けながら改善できます。
よくある質問
Q1. 5つのサービスを全部始めたほうがよいですか
全部始める必要はありません。
少人数の会社では、中心を1つ決め、補助を多くても1つまでにするのが現実的です。2つ目は、1つ目の型が安定してから足します。
Q2. LinkedInは日本の中小企業でも使えますか
使えます。ただし、この記事で引用した総務省の調査には、LinkedInの利用率が含まれていません。
そのため、利用率の面から選ぶことはできません。既存の取引先に、仕事の情報をどこで見ているかを聞いて、判断してください。
Q3. 社員の個人アカウントで、自社の発信をお願いしてもよいですか
お願いすること自体が、直ちに問題になるわけではありません。
消費者庁は、社員が自分のアカウントで感想を投稿しただけで、直ちに違反になるわけではないと説明しています。一方で、立場や担当によっては、事業者の表示に当たる場合があります。
お願いするときは、広告と分かる表示を付ける決まりを、先に伝えておきます。
Q4. UTMを付けないと、何が困りますか
GA4は、ソーシャルサイトの一覧に参照元が一致する流入を、オーガニックソーシャルに分類します。
ただし、どの投稿から来たのか、どの企画が効いたのかは、UTMがないと区別できません。
Q5. 投稿の頻度は、どのくらいが適切ですか
公式のページに、決まった頻度は書かれていません。
この記事では、週に1回、準備に1時間から1時間半ほどという形を例にしました。負担が重い場合は、月に2回に下げて続けることを優先してください。
今日できる点検
今日の作業時間が10分あれば、次の点検表で現状を確かめられます。
| 区分 | 確認する項目 | 状態 |
|---|---|---|
| 目的 | 運用の目的を、1文で書ける | □ |
| 選択 | 中心のサービスを、1つに決めた | □ |
| 根拠 | 取引先に、情報の見る場所を聞いた | □ |
| 体制 | 最上位の管理者(または所有者)を、2人にした | □ |
| 体制 | 公開前の確認者を決めた | □ |
| 計測 | 投稿のリンクに、UTMを付けるルールを決めた | □ |
| 計測 | 毎月見る数字を、3つに絞った | □ |
| 法令 | 広告の投稿には、本文に広告と分かる表示を入れる決まりがある | □ |
| 運用 | 週の時間割を決めた | □ |
| 見直し | 3か月後に見直す日を、カレンダーに入れた | □ |
全部にチェックが入らなくても、問題ではありません。チェックの入らない行が、次にやることです。
まとめ
BtoBのSNS運用は、サービスの数を増やすことよりも、続けられる形に絞ることが大切です。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 始める数 | 中心を1つ決め、補助は多くても1つまで |
| 目的 | 認知、信頼、見込み客との接点、採用のうち、近いものを1つ |
| 選び方 | 買い手の年代、続けられる形式、取引先の実際の行動で決める |
| 体制 | 管理者を2人にし、投稿者、確認者、数字の担当を分ける |
| 計測 | 投稿にUTMを付け、GA4で来訪数を見る |
| 数字 | 届いた量、反応の量、サイトへの来訪数の3つ |
| 法令 | 広告は、広告と分かる表示を本文に入れる |
| 見直し | 3か月ごとに、反応と負担を見て判断する |
最初の1回は、今日できる点検の表を埋めるところから始められます。
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