「AI検索対策の成果を、どう示せばよいのか分からない」。担当者が最初につまずきやすい点です。
ChatGPTやGeminiの回答に自社の名前が出ても、リンクがクリックされるとは限りません。名前を知った人が、後日あらためて社名で検索したり、URLを直接入力して訪れたりすることもあるはずです。
この記事では、その効果を指名検索(社名やサービス名での検索)と直接流入の推移から、間接的に読み取る方法を説明します。Search Consoleの正規表現、Googleトレンド、問い合わせフォームの設問、月次の記録表までを、そのまま実行できる形にまとめました。
対象は、中小企業のWeb担当者、マーケター、経営者の方です。
Googleの公式文書は、2026年10月17日に開いて確かめました。記録表の設計や指標の使い分けは、筆者の提案です。
先に結論 指名検索は「名前を知った後の行動」を読む間接指標
AIの回答で名前を知った人の、その後の行動は、4つの手がかりに分けて読めます。1つの数字で断定せず、複数の手がかりが同じ方向を向いているかを見ます。
| 手がかり | 分かること | 主な限界 |
|---|---|---|
| Search Consoleの指名クエリ | 社名やサービス名で検索された回数 | 匿名化されたクエリが除かれ、実際より小さく出る |
| Googleトレンド | 名前の検索が占める割合の形 | 相対値であり、検索数が少ないと0になる |
| GA4のDirect | URL入力やブックマークなどで訪れた人 | 原因が混ざる |
| 問い合わせフォームの設問 | 本人が答えた、知ったきっかけ | 記憶と解釈に左右される |
因果は証明できない
指名検索が増えても、AIのおかげかどうかは、データだけでは分かりません。広告、展示会、紹介、季節でも増えるからです。
社内の報告では「AI検索での露出と同じ時期に増えている」という言い方にとどめます。この前提は、上司や経営者と最初に共有しておきます。
使う道具は4つ
Search Consoleで指名検索の数字をとり、Googleトレンド、GA4、フォームの設問で補います。最後に、月次の記録表へ並べて書き続けます。
特別なツールは要りません。無料で使えるものだけで始められます。
向いているサイトと向かないサイト
社名やサービス名で、すでに一定数の検索があるサイトに向いています。月に数件しか検索されない名前は、数字が動いても偶然との区別がつきません。
その場合は、フォームの設問と、AIの回答に名前が出ているかの記録を主な手がかりにします。
指名検索で見る理由
AIで名前を知った人は、後から検索するかもしれない
「中小企業向けの会計ソフトのおすすめは?」とAIに聞いた人がいるとします。回答の名前だけを読んで画面を閉じ、数日後に「〇〇会計 料金」と検索することは、十分に考えられます。
この行動は筆者の推測です。どのくらいの割合で起きるかを示す公的なデータは、確認できていません。
記録される場所が分かれる
名前を知った後の行動は、取り方によってアクセス解析の別の場所に入ります。AIの回答のリンクをクリックした場合は、AIからの流入になります。
社名で検索した場合は、自然検索の指名クエリです。URLを入力した場合は、Directになります。
AIからの流入の見方は、GA4でAIからの流入を確かめる手順で説明しています。
増えた理由を、手がかりで見分ける
指名検索が増えた月には、理由の候補を並べて、当てはまるものを消していきます。次の表は、筆者がよく使う見分け方です。
| 増えた理由の候補 | 見分ける手がかり |
|---|---|
| AI検索での露出 | 施策のない月に、非指名や業界の一般語が横ばいのまま、指名だけが増える |
| 広告 | 広告の開始日や強化した日と重なる |
| 展示会・セミナー | 開催日の前後だけ増える |
| メディア掲載 | 掲載日から数週間、増える |
| 季節 | 前年の同じ月にも増えている |
どの候補も消せないときは、断定せずに「理由は特定できない」と記録します。
測定の全体像 範囲を決めて、抜き出し、補い、記録する
測定は、指名の範囲を決めることから始めます。次に、Search Consoleで指名クエリを抜き出し、Googleトレンドなどで補い、毎月同じ表に記録します。
「指名」の範囲を先に決める
何を指名検索とみなすかを、先に決めて文書に残します。範囲が月ごとに変わると、数字を比べられなくなるからです。
範囲を文書に残す
次の表は、筆者が提案する区分の例です。自社の状況に合わせて、含めるかどうかを決めてください。
| 区分 | 含めるもの | 扱いの目安 |
|---|---|---|
| 社名 | 正式名称、「株式会社」の前後の位置違い、英語表記、旧社名 | 含める |
| サービス名・商品名 | 正式名称、カタカナと英字、略称、よくある誤字 | 含める |
| ドメイン | 「example.jp」のように、ドメインで検索されるもの | 含める |
| 代表者名 | 代表者の個人名 | 別に分けるか、含めない |
| 既存顧客の利用目的 | 「ログイン」「マイページ」「障害」など | 別に分ける |
表記ゆれの台帳を作る
式を書く前に、実際にどんな形で検索されているかを洗い出します。クエリの一覧を「クエリを含む」の条件で社名の一部に絞り、出てきた表記をすべて書き出します。
架空のサービス「サンプルクラウド」を例にすると、次のような台帳になります。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 正式表記 | サンプルクラウド |
| 空白・記号の違い | サンプル クラウド、サンプル クラウド(全角空白)、サンプル・クラウド |
| 英語表記 | SampleCloud、sample cloud、sample-cloud |
| ドメイン | samplecloud.jp |
| ひらがな | さんぷるくらうど |
| 略称 | サンクラ |
| 誤字 | サンプルクラウト |
| 社名 | 株式会社サンプル、サンプル株式会社、サンプル(株) |
台帳は更新日つきで持つ
台帳は、見つけた表記を足すたびに日付を書きます。式を直した月の前後は、単純に比べられないからです。
新しいサービス名や旧名称が出たときも、同じ台帳に足します。
迷いやすい検索の扱い
範囲を決めるとき、判断に迷う検索がいくつかあります。次の表は、筆者が提案する扱いの例です。
| 検索の例 | 扱いの案 | 理由 |
|---|---|---|
| サンプルクラウド 比較 | 含める | 名前を知った人が、他社と比べている場面と考えられる |
| 競合の名前だけの検索 | 含めない | 自社の名前を知った人の動きとは言えない |
| 地域名 サンプルクラウド | 含める | 名前を知ったうえで、条件を足して調べている |
| サンプルクラウド 採用 | 別に分ける | 顧客の動きとは性質が違う |
含めるかどうかは、「名前を知った人が、その名前を使って調べているか」で判断します。迷ったときは、台帳に理由を一言書いておきます。
非指名の検索も同じ期間で記録する
指名の数字だけを見ても、増えた理由は分かりません。社名を含まない検索(非指名)の数字も、同じ期間で記録します。
指名だけが増えて、非指名が横ばいなら、名前が知られた可能性が高まります。両方が同じように増えているなら、サイト全体の露出が増えただけかもしれません。
Search Consoleで指名クエリを抜き出す
指名クエリを抜き出す方法は2つあります。Googleが用意したブランドクエリ フィルタと、自分で書く正規表現です。
方法1 ブランドクエリ フィルタが使えるか確認する
検索パフォーマンスのレポートには、クエリを指名と非指名に分けるフィルタがあります。Googleは2025年11月20日にこの機能を発表し、段階的に提供しました。
その後、2026年3月11日に、条件を満たすすべてのサイトで使えるようになったと案内しています。仕様は、公式のブログとヘルプで次のように説明されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 判定の仕組み | Googleの内部のシステムで判定する。正規表現ではない |
| 誤判定 | ありうると明記されている |
| 使えないプロパティ | URLの一部(例:https://example.com/blog/)やサブドメインだけを登録したプロパティ |
| 必要な条件 | 一定の表示回数があるサイトであること |
| 自社での調整 | 判定の中身を、自社で変えることはできない |
フィルタが使えないとき
表示回数の条件を満たさないと、フィルタが出ないことがあります。中小企業のサイトでは、起こりうる状況です。
フィルタが出ない場合も、次の章の正規表現で指名クエリを抜き出せます。
どちらを主な数字にするか
使える場合は、両方を記録するのが安全です。ブランドクエリ フィルタは手間がかかりません。
正規表現は手間がかかる代わりに、何を指名とみなしたかを自分で説明できます。
どちらを主な数字にするかを決めて、途中で切り替えないでください。切り替えると、月どうしを比べられなくなります。
正規表現で指名クエリを自作する
正規表現とは、「この文字か、あの文字」のような文字のパターンを、記号で表す書き方です。Search Consoleでは、クエリのフィルタに式を入れて使います。
設定の手順
画面の表示名は変わることがあるので、見当たらないときは、クエリのフィルタで正規表現を指定できる項目を探してください。
- 対象のプロパティで、検索パフォーマンスのレポートを開く
- クエリのフィルタを追加し、正規表現を指定できる条件を選ぶ
- 条件に一致するクエリだけを残す設定にして、式を入力する
- 期間を「過去3か月」などにして、クリック数と表示回数を記録する
Search Consoleの正規表現の特徴
Search Consoleの正規表現は、RE2という構文です。公式ヘルプでは、次の特徴が説明されています。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 一致の既定 | 部分一致。クエリのどこかに一致すれば対象になる |
| 先頭・末尾の指定 | 記号の「^」と「$」を使う |
| 大文字・小文字 | 区別しないのが既定。区別したいときは式の先頭に「(?-i)」を付ける |
| 使えない書き方 | 先読みや後方参照など。除外したいときは、条件を別に追加する |
サービス名の表記ゆれをまとめて拾う
次の式は、前の章の台帳にあるサービス名の表記を、1本にまとめたものです。
(サンプル[ ・・-]?クラウ[ドト]|さんぷる[ ]?くらうど|sample[ ._-]?cloud|サンクラ($|[ ]))
「|」は「または」の意味で、候補のどれかに一致すれば対象になります。「[ ・・-]?」は、半角空白・全角空白・中黒・ハイフンのどれか1文字が、あってもなくてもよいという意味です。
「クラウ[ドト]」は誤字の「クラウト」を拾い、「sample[ ._-]?cloud」は「samplecloud.jp」にも一致します。
略称は「直後」まで指定する
「サンクラ($|[ ])」は、「サンクラ」の直後が文末か空白の場合だけ一致させる書き方です。「サンクラフト」のような別の語を拾わずに済みます。
ただし「サンクラの評判」のように、助詞が続く形は拾えません。実際のクエリを見て、調整してください。
社名を拾う
(株式会社[ ]?サンプル|サンプル[ ]?(株式会社|\(株\)|(株)))
半角のかっこは、式の中で特別な意味を持ちます。文字として探すときは、前に「\」を付けて「(」「)」と書きます。
全角のかっこは、そのまま書けます。
社名が一般的な言葉のときは、「サンプル」だけを式に入れないでください。「サンプル 画像」のような、無関係な検索まで数えてしまいます。
一般的な言葉を含む名前の場合
名前の一部が一般語のときは、組み合わせた形だけを拾います。架空の「つばさ会計」を例にします。
(つばさ[ ]?会計|つばさ[ ]?かいけい|tsubasa[ ]?kaikei)
この式は、「つばさ会計」「つばさ 会計 料金」「Tsubasa Kaikei」に一致します。「つばさ」だけの検索や、「翼 会計 予測」には一致しません。
動作の確認のしかた
上の式は、筆者の手元で、正規表現の標準的な実装を使って確かめた例です。大文字・小文字を区別しない設定で、一致するはずの表記と、一致しないはずの表記を、それぞれ試しました。
Search Consoleの画面でも、自社のクエリの一覧で拾いすぎと拾い漏れがないか、必ず点検してください。
1本にまとめる
サービス名と社名は、「|」でつなげて1本にできます。式が長くなるときは、サービス名と社名で分けて、2回に分けて記録しても構いません。
(サンプル[ ・・-]?クラウ[ドト]|さんぷる[ ]?くらうど|sample[ ._-]?cloud|サンクラ($|[ ])|株式会社[ ]?サンプル|サンプル[ ]?(株式会社|\(株\)|(株)))
既存顧客の検索を分けて、拾いすぎを点検する
「サンプルクラウド ログイン」のような検索は、新しく名前を知った人のものではありません。LLMOの間接指標として見たいのは、新しく知った人の動きなので、分けて記録します。
既存顧客の検索を除く
指名の式で「一致する」の条件をかけたうえで、クエリのフィルタをもう1つ追加します。「一致しない」で、次の式を入れてください。
(ログイン|login|マイページ|パスワード|障害)
検討中の人の検索を別に見る
反対に、「料金」「評判」「比較」などを含む指名検索は、検討中の人の検索である可能性が高いです。別の式で抜き出して、推移を見るのも有効です。
名前を知ったあと、比較に進んだ人の動きを、そこから読み取れます。
拾いすぎの点検
自社と関係のないクエリが混ざっていないかを見ます。たとえば、前の「サービス名」の式は、「サンプル クラウド ストレージ 無料」にも一致します。
こうした検索が多いときは、「一致しない」のフィルタで「ストレージ」などの語を除きます。
拾い漏れの点検
「一致しない」に切り替えて、社名の一部(「サンプル」「sample」など)を含むクエリが残っていないかを見ます。残っていれば、台帳と式に追加します。
式を見直したら、変更した日を記録表に書きます。
数字が小さく出る理由 匿名化クエリ
何が起きるのか
Search Consoleでは、プライバシー保護のため、検索した人がごく少ないクエリ(匿名化されたクエリ)は、表に表示されません。Googleの公式ブログとヘルプによると、匿名化されたクエリはグラフの合計には含まれますが、クエリで絞り込むと除外されます。
このため、正規表現で抜き出した指名検索の数字は、実際より小さく出ます。「一致する」と「一致しない」の合計が、フィルタなしの合計と一致しないこともあります。
どう扱うか
AIの回答で知った人の検索は、「サンプルクラウド 中小企業 向いている」のように、長く具体的になりやすいと考えられます。
そうした検索ほど、匿名化されやすい可能性があります。これは筆者の推測です。
指名検索の数字は、下限の概算として扱ってください。絶対数よりも、毎月同じ式で測った推移を見ます。
Googleトレンドで推移の形を確かめる
Googleトレンドは、名前の検索の増減を、無料で手早く確かめられる道具です。ただし、値の性質を知らずに使うと、読み違えます。
値は相対値で、検索回数ではない
公式ヘルプによると、表示される値は、地域と期間ごとに、その言葉の検索が全検索の中で占める割合を出し、0から100に換算したものです。
| 性質 | 内容 |
|---|---|
| 値の意味 | 選んだ地域と期間の中で、割合がいちばん高い時点を100とする相対値 |
| 元のデータ | すべての検索は使わず、標本から算出する |
| ノイズ | プライバシー保護のため、小さな統計的なノイズを加えている |
| 検索数が少ない語 | 「0」と表示される |
つまり「100」は、検索回数が100回という意味ではありません。期間や比べる語を変えると、同じ月の値も変わります。
月次の表に書き写さない
値を月次の記録表に書き写して、長い期間でつなげることは避けます。毎回同じ条件で開いて、線の形を見る使い方にします。
記録表には、「横ばい」「自社のみ上昇」のように、形を一言で書きます。
見方の手順
- 社名やサービス名を入力し、地域を「日本」、期間を「過去12か月」や「過去5年間」にする
- 表記ゆれは「+」でまとめる。例は「サンプルクラウド + samplecloud + サンクラ」
- 比べる線として、業界の一般語や、競合の名前を加える
- 自社の線が、業界の一般語と同じ動きか、自社だけ上がっているかを見る
公式ヘルプによると、「+」は「または」の意味で働きます。誤字や表記の違いは、自動ではまとめられません。
読み方の目安
業界の一般語と一緒に上がっているなら、季節や業界全体の需要の影響が考えられます。
自社の線だけが上がっているなら、自社に固有の理由があると考えられます。AIでの露出は、その候補の1つです。
中小企業の名前は「0」になりやすい
検索数が少ない言葉は「0」と表示されます。検索数が少ないほど、ノイズの影響も目立ちます。
期間を長くする、表記ゆれを「+」でまとめるといった方法を試してください。それでも読み取れないときは、Search Consoleの数字を主に見るのが現実的です。
GA4のDirectを補助的に見る
Directに入る訪問
GA4のデフォルト チャネル グループでは、参照元が「(direct)」で、メディアが「(not set)」または「(none)」の訪問が、Directに分類されます。
URLの直接入力やブックマークからの訪問が、その代表です。公式ヘルプには、UTMパラメータのないリンク、短縮URL、文書内のリンクなども、原因として挙げられています。
| Directに入りうる訪問 | 指名検索の指標として見たとき |
|---|---|
| URLの直接入力 | 名前を知って訪れた人の可能性がある |
| ブックマーク | 既存の利用者の訪問が混ざりやすい |
| UTMのないリンク(文書内のリンクなど) | 名前を知った経路とは限らない |
| 短縮URLからの訪問 | 経路が分からない |
原因が混ざるので絞り込む
Directは原因が混ざりやすいため、次のように絞り込んで、補助的に使います。
- 新規ユーザーに絞る。既存顧客のブックマークからの訪問を減らせます
- ランディングページを、トップページや会社概要、サービス紹介のページに絞る。名前を知って訪れた人が、最初に開きそうなページです
- 社内のアクセスを除外する
記録する数字を1つに決める
記録するのは、「新規ユーザーで、トップページから入ったDirectの訪問数」のように、1つの条件にします。条件を月ごとに変えないでください。
この数字は、指名検索の数字と同じ方向に動くかを見る、補助の手がかりです。
問い合わせフォームに「AI」の選択肢を加える
数字に本人の声を足す
数字だけでは、AIの影響かどうかは分かりません。いちばん直接的な手がかりは、お客様本人に聞くことです。
問い合わせフォームや資料請求フォームの「当社を何で知りましたか」に、AIの選択肢を用意します。
選択肢の例
| 選択肢 | 例 |
|---|---|
| 検索エンジン | Google、Yahoo!など |
| AIサービス | ChatGPT、Gemini、Copilot、Perplexityなど |
| 紹介・対面 | 知人・取引先からの紹介、展示会・セミナー |
| 媒体 | 新聞・雑誌・Webメディアの記事、広告 |
| SNS | SNSでの投稿や広告 |
| その他 | 自由記述 |
設問づくりのコツ
- 複数選択にする。AIで知って、後から検索した人は、AIと検索の両方に当てはまります
- AIの選択肢には、サービス名を例示する。Googleの検索結果に出るAIによる概要を、AIと考える人も、検索と考える人もいます
- AIを選んだ人に、任意で追加の質問をする。「AIに何と質問しましたか(覚えていれば)」と聞くと、どんな質問で自社が挙がったかが分かります
- 選択肢を加えた日を記録する。比べるのは、追加後の月どうしにします
回答の読み方
AIの選択肢を選んだ人の件数は、少なくても意味があります。月に数件でも、質問の内容が分かれば、AIの回答で何と一緒に名前が挙がっているかの手がかりになります。
件数が少ないので、割合は出さずに、実際の回答の中身を読んでください。
他の要因を切り分ける
季節は前年同月比で見る
決算期や繁忙期に、指名検索が毎年増える業種があります。前月比だけで見ると、季節による増加をAIの効果と取り違えます。
可能であれば、前年同月比を併記します。Search Consoleの検索パフォーマンスのデータは16か月分しか見られないため、毎月の数字を自分の表に書き写しておきます。
施策カレンダーを付ける
社内で行った施策と、外部の出来事を、日付つきで1つの表に記録します。次の表は、記入の例です。
| 日付 | 出来事 | 指名検索への影響の見込み |
|---|---|---|
| 例:3月10日〜12日 | 展示会に出展 | 開催中と直後に増える可能性 |
| 例:4月1日〜 | 指名キーワードの検索広告を開始 | 自然検索の指名クリックが広告側に移る可能性 |
| 例:5月20日 | 業界誌に掲載 | 掲載後の数週間に増える可能性 |
| 例:6月 | 主要な比較記事を公開・更新 | AIの回答で挙がる頻度が変わる可能性 |
指名キーワードの広告に注意する
社名で検索広告を出すと、検索した人の一部は広告をクリックします。そのため、自然検索の指名クリックは、減って見えることがあります。
クリック数だけが減って、表示回数は変わらないときは、広告の影響を疑います。これは筆者の考え方です。
非指名や業界全体と並べる
指名検索だけが増えて、非指名の検索や、業界の一般語の検索量がほとんど変わらない場合は、自社に固有の理由で名前が知られている可能性が高まります。
すべてが同じように増えているなら、業界全体や季節の影響を疑います。
AIの回答の記録と並べる
AIの回答に自社が挙がっているかを、定期的に記録している場合は、その記録も同じ表に並べます。
「挙がる頻度が増えた時期の少しあとから、指名検索も増えた」という並びが見えても、因果の証明にはなりません。それでも、社内に説明する材料にはなります。
月次の記録表
毎月同じ日に、同じ条件で、次の表を埋めます。スプレッドシートに1行ずつ足していく形が、続けやすいです。
| 列 | 入れる内容 | 取得元 |
|---|---|---|
| 月 | 例:2026年10月 | なし |
| 指名検索の表示回数・クリック数 | 正規表現(指名)で絞った合計 | Search Console |
| 指名のクリック数(既存顧客の検索を除く) | 「ログイン」などを除いた合計 | Search Console |
| 指名のクリック数(検討中) | 「料金」「評判」などを含む指名 | Search Console |
| 非指名のクリック数 | 指名の式に「一致しない」をかけた合計 | Search Console |
| ブランドクエリ フィルタの指名クリック数 | 使える場合のみ | Search Console |
| Directの新規ユーザー(トップページ) | 決めた条件の数字 | GA4 |
| 「AI」と回答した問い合わせ件数 | 何で知りましたかの集計 | フォーム |
| AIの回答で挙がった割合 | 定点観測の結果(あれば) | 自社の記録 |
| Googleトレンドの形 | 「横ばい」「自社のみ上昇」など一言 | Googleトレンド |
| 施策・出来事、式の変更 | 広告、展示会、掲載、式の変更内容 | 施策カレンダー |
| 前年同月比 | 主要な数字について | 過去の記録 |
| 所見 | 読み取れたことと、断定できない点 | なし |
所見の欄には、分かったことと分からないことを分けて書きます。
書き方の例は「前年同月比で増加。同期間に広告と展示会はなし。AIで挙がる頻度の増加と時期が重なるが、因果は不明」です。
限界と注意点
社内に報告するときは、次の限界も添えます。
- 因果は証明できません。この方法で分かるのは、時期が重なっていることまでです
- 数字は概算です。正規表現で抜き出した指名検索は、匿名化されたクエリを含みません。ブランドクエリ フィルタも、誤判定がありうると公式に説明されています
- Google以外の検索は含まれません。Bingなどの検索エンジンや、AIサービスの中での検索は入りません
- 規模が小さいと、揺れが大きく見えます。月に数十件程度の指名検索では、偶然の増減が目立つので、3か月平均で見るなどの工夫をします
- アンケートは記憶に頼ります。回答は、本人の記憶や解釈で変わります
よくある質問
Q. 指名検索が増えていません。LLMOは効果がないということですか?
そうとは限りません。検索せずに忘れる人もいますし、回答のリンクから直接訪れる人もいます。
件数が少ないと、変化は誤差に埋もれます。
AIの回答で挙がっているかの記録や、問い合わせ時の回答と合わせて判断してください。
Q. ブランドクエリ フィルタと自作の正規表現は、どちらを使うべきですか?
使えるなら、両方を記録するのがおすすめです。ブランドクエリ フィルタは手間がかかりませんが、判定を自社で調整できません。
自作の正規表現は、手間がかかる代わりに、何を指名とみなしたかを説明できます。主な数字を1つ決めて、途中で切り替えないことが大切です。
Q. 社名がとても一般的な言葉です。指名検索は測れますか?
名前だけでは測れません。「株式会社」や業種名、サービス名と組み合わせた形だけを式に入れて、拾いすぎを目で点検してください。
それでも区別しにくいときは、「何で知りましたか」の回答を、主な手がかりにするほうが確実です。
Q. Googleトレンドの値を、記録表に毎月書き写してよいですか?
おすすめしません。値は相対値で、期間や比べる語を変えると変わります。
毎回同じ条件で開いて、線の形を一言で書いてください。
Q. 次に何を読めばよいですか?
AIの回答に自社が挙がっているかの計測は、GEO対策の効果測定はなぜ難しいのかが参考になります。
実行の順番を知りたいときは、AI検索対策の実行順序と優先順位を読んでください。
まとめ
- 何を指名とみなすかを決め、表記ゆれの台帳を作ります
- ブランドクエリ フィルタを確認し、あわせて正規表現で指名クエリを抜き出します。既存顧客の検索は分けます
- 拾いすぎと拾い漏れを点検し、数字は下限の概算と理解します
- Googleトレンドは相対値として、業界の一般語と形を比べます
- GA4のDirectは、新規ユーザーとランディングページで絞って、補助的に見ます
- 問い合わせフォームにAIの選択肢を加え、施策カレンダーと前年同月比で他の要因を切り分けます
因果は証明できません。それでも、複数の手がかりが同じ方向を示していれば、AI検索での露出が名前の認知につながっている可能性を、説明できます。
今日できる点検
まずは、来月の記録表の1行目を埋める準備をします。Search Consoleで、社名の一部を含むクエリの一覧を開き、出てきた表記を台帳に書き出してください。
台帳ができれば、式を書く材料はそろいます。
参照した公式文書
- Google検索セントラルのブログ、Search Consoleのブランドクエリ フィルタの発表の記事(developers.google.com/search/blog/2025/11/search-console-branded-filter)
- Search Consoleヘルプ、ブランドクエリ フィルタ(support.google.com/webmasters/answer/17011259)、指名・非指名の絞り込み(answer/17010961)、正規表現フィルタ(answer/17011165)、匿名化されたクエリ(answer/17010575)
- Google検索セントラルのブログ、検索パフォーマンスのデータを深く見る記事(developers.google.com/search/blog/2022/10/performance-data-deep-dive)、新しいSearch Consoleの紹介の記事(2018年1月)
- Googleトレンドのヘルプ(support.google.com/trends/answer/4365533、answer/4359582)
- Googleアナリティクスのヘルプ、デフォルト チャネル グループ(support.google.com/analytics/answer/9756891)、(direct) / (none) の原因(answer/15258820)
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
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