口コミを自分たちで書いたり、第三者のふりをして投稿したりすれば、海外の実験の範囲では、AIのおすすめ順が動いた例があります。
ただし、その実験の数か月後には見抜く研究が出ており、広告であることを隠した投稿は、日本ではステルスマーケティング規制の対象になりえます。
代わりになるのは、実際のお客様の声を許可を得て載せることと、第三者が自分の判断で書く言及を増やすことの2つです。
結論:同じ「お客様の声」でも、書き手と関係の示し方で4つに分かれます
先に全体を表で示します。
見た目が同じ口コミでも、誰が内容を決め、自社との関係を読者に示しているかで、扱いが変わります。
書き手と関係の示し方ごとの、AIの扱い・読者の受け取り・規制
| 声の種類 | AIの扱い(海外の研究の範囲) | 読者の受け取り(弊社の見方) | 規制との関係 |
|---|---|---|---|
| お客様が自分で書いた声 | 第三者の媒体に載れば、AIが多く引用していた側に入る | 書いた人の感想として受け取られる | 個人の感想等の広告でないものは、規制の対象外 |
| 許可を得て自社サイトに載せた声 | 自社の媒体に数えられる。引用元に占める割合は14.3%だった側 | その会社が選んで載せた声として読まれる | 読者に広告だと分かるかどうかで変わる。消費者庁の資料で確かめる |
| 依頼して、関係を示した投稿 | 関係の表示をAIがどう扱うかは、確かめられていない | 依頼があったと分かったうえで読まれる | 広告であることが分かるものは、規制の対象外 |
| 関係を隠した投稿(作文の口コミを含む) | 実験では順番が動いた例がある。同時に、見抜く研究の対象になっている | 第三者の感想として受け取られる | 広告であることを隠した表示として、ステルスマーケティング規制の対象になりうる |
左から2列目の数字は、あとの節で紹介する海外の研究のものです。
右端の列は、消費者庁が公式ページで説明している範囲だけを書いています。
この記事は、やってはいけないLLMO対策を10個まとめた記事の施策5を、1本に広げたものです。
一覧では表1つと数段落で済ませたので、ここでは実験の条件、AIの回答に残る声の研究、消費者庁の説明、すでに投稿してしまった場合の直し方を足します。
この記事の書き方と、数字の出どころ
この記事では、特定の会社や媒体を名指ししません。
主語にするのは施策で、口コミの投稿を請け負う会社の良し悪しは扱いません。
「海外の実験では」「海外の研究では」と書いた数字は、海外の論文から引いたものです。
「弊社では」と書いたことは、弊社が自分でしていること、または弊社の読み取りです。
お断りしておくと、ここで引く論文は英語と海外の検証が中心で、日本語の質問や日本の口コミサイトで同じ数字になるとは言えません。
口コミ風の文章の作り方や、順番を動かす手順は、この記事には1つも書いていません。
書くのは、何が確かめられたか、どんな損が起きうるか、代わりに何をするかの3点です。
「代わりにやること」を行えばAIに薦められる、という約束もできません。
論文は弊社が1本ずつ日本語で解説しており、解説の一覧から原文の情報までたどれます。
LLMO対策という言葉そのものの説明は、LLMO対策とは何かを書いた記事に分けてあります。
「誰が書いたか・関係を示しているか」で4つに分けた図と、その読み方
口コミやお客様の声は、文面だけでは区別がつきません。
区別がつくのは、内容を決めたのが誰かと、自社との関係が読者に見えているかの2点です。
1と2は、内容を決めたのがお客様本人です。
3と4は、依頼や指示という形で自社が関わっています。
3と4を分けているのは、その関わりが読者に見えているかどうかの1点です。
図の使い方
手元に口コミや外部投稿の提案があれば、その投稿が4つの箱のどれに入るかを先に決めてください。
決めるときに見るのは、投稿の文面よりも、誰が書き、自社との関係をどこに示すかです。
提案の説明にその2点が出てこない場合は、箱を決められません。
決められないまま進めると、あとで4の箱だったと分かることがあります。
箱の境目で迷う場合
お礼の品を渡して書いてもらう声や、社員やその家族が書く声は、どの箱に入るか迷いやすいところです。
この記事では、個別の場面がどの箱に当たるかを判断しません。
迷う場面は、消費者庁が公開している資料で確かめるのが確実です。
資料の場所は、消費者庁の説明をまとめた節に書きました。
どんな施策で、なぜ勧められるのか
この施策は、自社サイトの外にある口コミの欄、掲示板、質問サイト、比較サイトに、利用者の声の形をした投稿を増やすものです。
実際には買っていない人や使っていない人の体験談であること、自社との関係を示さないことの2点が、ほかの施策との違いです。
勧められるときの説明
勧める側の説明は、だいたい次のような筋をたどります。
「AIは自社サイトよりも外部の声を根拠にするので、外部に好意的な声を用意しておくのが近道です」。
この説明の前半には、根拠にできる研究があります。
問題になるのは後半で、「外部の声」を自分たちで用意する、という部分です。
前半の根拠:AIは第三者の媒体を多く引用していた
海外の研究を2本紹介します。
| 研究 | 調べたもの | 分かったこと | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| 検索とAI検索の引用元を比べた研究(2025年9月公開) | AIが引用したサイトを、第三者の媒体、自社の媒体、ソーシャルの3つに分けて数えた | AI検索の引用元に占める第三者の媒体は、6つの組み合わせすべてで約69〜92% | 査読前。引用元を数えた観察で、因果は範囲外 |
| 128ブランドの引用元を分類した調査(2026年6月公開) | 12の市場、13の言語で、AIがブランドについて答えるときに引用したページ | 第三者のサイトが85.7%、自社サイトが14.3% | 査読前。日本語と日本市場は対象外 |
どちらの研究でも、AIの引用元は自社サイトの外に寄っていました。
「外部の声が大事」という説明は、ここまでは研究と合っています。
1本目はAI検索が第三者の媒体を選びやすいかを調べた論文の解説、2本目は128ブランドの引用元を分類した調査の解説で、原文の表まで確かめられます。
後半の飛躍:第三者を装えば同じ扱いになる、とは確かめられていない
2本の研究が数えたのは、AIがどこを引用していたかです。
第三者に取り上げられたことが原因でAIに選ばれた、という因果は、どちらの研究でも確かめられていません。
まして、自分たちで書いた投稿を第三者の声に見せた場合にどうなるかは、2本とも調べていません。
「第三者の媒体が多く引用されていた」という観察から、「第三者を装えば引用される」という結論までには、確かめられていない段が2つ挟まっています。
それでもこの施策が勧められるのは、本物の第三者の言及は相手の都合で進み、数を約束しにくいからだと弊社は見ています。
自分たちで書く投稿なら、件数と時期を約束できます。
約束しやすいことと、効くこととは別の話です。
では、装った投稿が実際にAIの答えを動かすのかを、次の節から研究で見ていきます。
研究1:口コミ風の文章で、AIのおすすめ順は動くのか
「効くのか」という問いに、いちばん近い実験から見ていきます。
2026年2月に公開された海外の論文で、購入体験を装った口コミ風の文章を商品の説明に足し、AIが返すおすすめの順番が変わるかを試しています。
査読を受ける前の論文(プレプリント)なので、結果は今後変わる可能性があります。
実験の条件
数字を読む前に、何をどう測ったのかを表にまとめます。
| 項目 | この実験の設定 | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 相手にしたAI | 4つの商用AI(GPT-4o、Gemini 2.5 Pro、Claude 4、Grok 3) | 公式の接続口から初期設定のまま使っている |
| AIへの渡し方 | 質問と候補の商品10件の情報をまとめて渡し、渡した情報だけで並べさせる | 検索で拾われる段階や、サービスの画面は含まない |
| 文章を足した対象 | 毎回、10件の一覧の最後にある商品1件だけ | ほかの9件は元のまま。効き目が最も大きく見える出発点 |
| 商品のデータ | 15の商品分野に各200商品。すべて英語 | 日本語の商品や質問では試されていない |
| 測ったもの | その商品が1位、上位3位以内、上位5位以内に入った割合 | 購入や問い合わせが増えたかどうかは測っていない |
研究者が候補の一覧を自分でAIに渡している、という点を先に押さえてください。
実際のAI検索では、AIが自分で情報を拾ってくる段階が前にあり、この実験はその段階を通っていません。
何も足さないと0%、足すと1位に来た割合は77.0〜88.5%
何も足さない場合、最後の商品が上位5位以内に入った割合は、4つのAIと15分野のすべてで0%でした。
口コミ風の文章を足すと、その商品が1位に来た割合は77.0〜88.5%になりました。
| 順位を付けたAI | 何も足さない場合(上位5位以内) | 口コミ風の文章を足した場合(1位の割合) | 同(上位5位以内の割合) |
|---|---|---|---|
| GPT-4o | 0% | 79.0〜85.0% | 89.5〜96.0% |
| Gemini 2.5 Pro | 0% | 82.0〜85.5% | 93.0〜97.5% |
| Claude 4 | 0% | 82.0〜88.5% | 93.5〜100.0% |
| Grok 3 | 0% | 77.0〜85.5% | 88.0〜96.5% |
幅があるのは、15の商品分野で値が違うためで、表には最小と最大を載せています。
あるAIに合わせて作った文章を、作り直さずに残りの3つのAIへ持ち込んだ場合も試されていて、1位の割合は58.0〜68.0%でした。
ここまでが、この施策を勧める側が引きたくなる数字です。
人の目にも、見張りにも、見分けにくかった
この論文は、足した文章が人にどう見えるかも調べています。
20人に読んでもらったところ、「操作されている」と判定された割合は、足した文章で18.4%、手を加えていない元の説明で12.0%でした。
差は6.4ポイントで、読んだだけではほとんど区別がついていません。
論文は見張りの方法も3つ試していますが、家庭・キッチンの分野で試した結果では、どの見張りのもとでも、その文章を足した商品が1位に来た割合は56.0〜78.0%残りました。
論文自身が、3つとも一定の効果はあるものの不十分だと結論づけています。
文章の作り方と見張りの中身は、悪用の手引きにならないよう、この記事には書きません。
この実験から言えること、言えないこと
「8割前後」という数字は、条件を外すと意味が変わります。
| 言えること(この実験の設定で確かめられた) | 言えないこと(確かめられていない) |
|---|---|
| 候補の一覧を直接渡す形なら、4つの商用AIで最後の商品が1位に来る割合が大きく上がった | 実際のAI検索サービスの画面で、同じように順番が動くこと |
| 足した文章は、人が読んでも元の説明と見分けにくかった | 事実と異なる文章が、実際のサービスで見逃され続けること |
| 別のAIへ持ち込んでも、効き目の多くが残った | 日本語の商品ページや質問で効くこと |
| 試した3つの見張りでは止めきれなかった | 順番の変化が、購入や問い合わせにつながること |
手を加えたのは10件のうち1件だけで、残りの9件は何もしていない、という条件も忘れないでください。
競合も同じことをしている場面の数字は、この論文からは読み取れません。
弊社が論文を読んだ記録は、口コミ風の文章でおすすめ順が動くかを試した論文の解説にあります。
実験で動いたことと、実際のサービスで動くことは別の話として読むのが、この研究の正しい受け取り方だと弊社は考えています。
研究2:AIの回答に残る声と、残らない声
研究1は、研究者が候補を自分でAIに渡した実験でした。
実際に動いているAI検索が、利用者の声をどう扱っているかを外から調べた研究もあります。
2026年9月に公開された海外の論文で、米国の大規模な掲示板が提供するAI検索に1万問を3回ずつ聞き、3万件の回答を調べたものです。
こちらも査読前の論文で、英語の相談系コミュニティ20か所だけを対象にしています。
回答に選ばれたのは、すでに評価が高かった声
この論文によると、選ばれる声には偏りがありました。
論文は、回答に引用されたコメントと、同じ話題の中で引用されなかったコメントを比べました。
| 比べた点 | 回答に選ばれたコメント | 選ばれなかった側、または全体 |
|---|---|---|
| 同じ話題の中での評価の順位(1が最高) | 中央値0.91 | 中央値0.45 |
| 投稿への直接の返信だった割合 | 92% | 全体では53% |
| 書かれた時点(投稿からの時間) | 中央値1.2時間 | 中央値5.9時間 |
| 評価点が0以下だった割合 | 0.53% | 全体では5.1% |
| 体験談の語り口 | 選ばれにくい(オッズ0.789倍) | 形式ばった文は選ばれやすい(1.488倍) |
評価の順位は、ほかの利用者の投票で決まる点数が、同じ話題の中で何番目かを表したものです。
選ばれていたのは、ほかの利用者からすでに支持され、早い時点で書かれた声でした。
遅い時点で書かれ、まだ評価の付いていない声は、選ばれた側には少なかったと読めます。
体験談の「私」は、回答文で98%減っていた
もう1つの発見は、選ばれた声が回答文になるときに起きる変化です。
元のコメントでは、「私」にあたる一人称の語が全体の3.3%を占めていました。
AIがまとめた回答文では、その割合が0.06%に下がっています。
減り幅は98%で、1,000問を取り出して比べた結果です。
論文は、1人の体験に基づく「証言」が、一般的な「助言」に書き換わる現象として扱っています。
体験談の体裁をどれだけ作り込んでも、AIの回答に入る時点で「誰かが体験した話」という形は薄まる、と読めます。
この研究を作文の口コミに当てはめると
ここからは論文の主張と分けた、弊社の読み取りです。
作文の口コミは、あとから足す声で、ほかの利用者の支持をまだ受けていません。
この研究で回答に選ばれていた声とは、条件が逆の位置にあります。
では支持も作ればよいのか、という発想が浮かびますが、論文はそこまで示していません。
論文が示したのは「一緒に動いていた」という関連で、評価を増やせば回答に載るという因果は、読み取らないよう論文自身が求めています。
調べたのは掲示板の中のAI検索1つで、企業のサイトに載せた声や、日本語の口コミサイトがどう扱われるかは確かめられていません。
数字の詳しい内訳は、AIの回答に残る声を3万回の回答で調べた論文の解説に書いています。
研究3:見抜く側の研究と、規制する側への提案
研究1の数字だけを見ると、効く施策に見えます。
ただ、効くと分かった操作は、そのあと見抜く研究の対象になります。
ここでは守る側の研究2本と、規則を作る側に向けた提案の論文1本を並べます。
| 研究 | 立場 | 分かったこと | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| 口コミ風の操作を見抜く研究(2026年5月公開) | 守る側 | 商品説明600件で、口コミ風の操作を83.0%検出。正当な説明の誤検出は0件 | 査読前。英語だけ。実際のAI検索サービスでは試していない |
| 操作目的の文書をAIに渡す前に外す研究(2025年の国際会議で発表) | 守る側 | ある条件で、操作の成功率が55.7%から3.0%に下がった | 口コミに限らない一般の文書が対象。英語の研究用データでの実験 |
| GEOのリスクを論じた立場論文(2026年5月公開) | 規則を作る側への提案 | 開示されない商業的な影響を、3つのリスクの1つに挙げた | 提案の論文で、提案の効果を試したものとは性格が違う |
同じ研究グループが、約3か月半後に見抜く方法を出した
1本目は、研究1の操作を相手にした守る側の研究です。
著者4人のうち3人は研究1の著者でもあり、同じグループが攻める側と守る側の両方を書いています。
研究1の公開は2026年2月3日、こちらは同年5月21日でした。
この論文によると、6つの商品分野の説明600件に操作を加えたところ、体験談の体裁をとった操作の83.0%が見抜かれました。
手を加えていない正当な説明を誤って弾いた件数は、0件です。
研究1で「人が読んでも見分けにくい」とされた文章が、数か月後には8割以上見つかる側に回ったことになります。
この研究にも弱点があり、著者自身が考えた新しい操作6種類のうち5種類は、ほぼ見抜けませんでした。
商品説明以外の一般の文章では、同じ種類の操作の検出がほぼ0%だったとも報告されています。
見抜く側が完成したとは言えず、攻める側と守る側が交互に進んでいる段階です。
詳しくは商品説明に紛れた順位操作を見抜く研究の解説に書きました。
AIに渡す前に外す研究もある
2本目は、口コミに限らず、検索で集めた文書の中から操作目的の文書を外す研究です。
2025年に、言語処理の国際会議の本会議で発表されています。
海外の実験では、GPT-3.5-Turboと英語の質問集の組み合わせで、操作が成功した割合が55.7%から3.0%に下がりました。
ここでいう成功は、操作した側が狙った誤った答えが、AIの回答に含まれた割合を指します。
別の質問集では、操作がないときの正答率が64.3%から50.0%に下がっており、守りを強めると正当な文書も巻き添えになる場合があると分かります。
どちらの研究も研究用のデータでの結果で、いま動いているAIサービスに同じ守りが入っているかどうかは、弊社には確かめられません。
規則を作る側への提案:開示されない商業的な影響
3本目は実験の論文と性格が違い、主張を論じて関係者に行動を求める立場論文です。
機械学習の国際会議の2026年の立場論文部門に採択されたと、論文の公開ページに記載されています。
この論文は、GEOが生む見過ごされたリスクを3つに分け、その1つに「開示されない商業的な影響」を挙げました。
最適化した文章が、口コミ、掲示板、参考資料の形でAIの根拠に紛れ込み、中立な助言と宣伝の境目が崩れる、というのが論文の主張です。
提案の相手は、主にAIサービスの運営者、規制する側、研究者です。
運営者には、有料の影響と自然な根拠を分け、隠れた最適化をしたサイトは順位を下げるか外すよう求めています。
政策をつくる側には、広告の開示の規則をAIの回答にも広げるよう提案しています。
あくまで提案で、実現するかどうかも、実現して被害が減るかどうかも、この論文では確かめられていません。
論文が取り上げているのは米国、欧州、英国の制度で、日本の制度と日本語は扱っていない点にも注意が要ります。
弊社の読み取りを足すと、提案が実現した場合、関係を隠した外部の投稿は順位を下げられる側に回る可能性があります。
原文の整理はGEOのリスクを論じた立場論文の解説にあります。
消費者庁の説明:ステルスマーケティングの規制
ここまでは海外の研究の話でした。
日本には、研究の進み方とは別に、すでに動いている規制があります。
この節は、消費者庁のステルスマーケティングに関するページに書かれている内容だけをまとめます。
弊社が開いて確かめたのは2026年10月1日で、解釈は足していません。
何が規制されるのか
消費者庁の説明によると、令和5年(2023年)10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法違反となります。
ステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことです。
規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものとされています。
理由の説明も載っています。
消費者は、企業の広告であれば、ある程度の誇張が含まれていると考えたうえで商品を選んでいます。
広告であることが分からないと、第三者の感想だと誤って受け取ってしまう、という説明です。
対象になるもの、ならないもの
| 分け方 | 消費者庁の説明 | この記事の施策との関係 |
|---|---|---|
| 広告に含まれるもの | 企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも、広告に含まれる | 外部の人に頼んで書いてもらう投稿が関わる |
| 対象になる表示の場所 | インターネット上の表示(SNS投稿、レビュー投稿など)に加え、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌等の表示も対象 | 口コミの欄への投稿は、レビュー投稿に関わる |
| 対象外のもの | 個人の感想等の広告でないもの。テレビCM等の、広告であることが分かるもの | お客様が自分の判断で書いた声、関係を示した投稿が関わる |
| 規制の対象となる人 | 商品・サービスを供給する事業者(広告主) | 投稿を頼む会社が関わる |
| 規制の対象とならない人 | 依頼を受けたインフルエンサー等の第三者 | 投稿を頼まれた人や会社が関わる |
右端の列は、消費者庁の説明と施策のどこが関わるかを、弊社が並べたものです。
該当するかどうかの判断を示したものとは違います。
規制の対象となるのは、広告主の側
表の下の2行は、提案を受ける立場の方に関係があります。
規制の対象となるのは広告主で、依頼を受けた第三者は対象とならない、と説明されています。
提案の場で「投稿はこちらで全部やります」と言われても、商品やサービスを供給しているのが自社であることは変わりません。
外部に頼んだ投稿にこの説明がどう当てはまるかは、次に挙げる資料で確かめてください。
対象になりうるのは、社名が公表される行政処分(措置命令)です。
くわしい資料の場所
同じページから、「運用基準」「ガイドブック」「Q&A」が公開されています。
弊社はこの3つの中身までは読んでいないので、内容には触れません。
自社の投稿が当たるかどうかを確かめるときは、この3つの資料に当たってください。
自社で書いた口コミは、どこに当たるのか
ここが、読者の方がいちばん知りたいところだと思います。
先にお断りすると、この記事は、個別の投稿が規制に当たるかどうかを判断しません。
弊社は法律の専門家でなく、判断を示す立場にないためです。
書けるのは、消費者庁の説明に照らして、どの点を確かめればよいかまでです。
確かめる点は2つ
消費者庁の説明は、「広告であるか」と「一般消費者が広告であることを分かるか」の2つでできています。
| 確かめる点 | 自社に聞く質問 | 分からないときにすること |
|---|---|---|
| 広告であるか | その投稿は、自社が書いたか、自社が誰かに依頼・指示して書かせたものか | 誰が文面を決めたかを、担当者と依頼先に確かめる |
| 広告だと分かるか | 読んだ人は、その投稿に自社が関わっていると分かるか | 投稿を事情を知らない人に見せ、誰が書いたと思うかを聞く |
| 判断に迷う場面 | お礼を渡した場合、社員が書いた場合などはどうか | 消費者庁の「運用基準」「ガイドブック」「Q&A」で確かめる |
作文の口コミは、買っていない人の体験談を、自社が関わって用意するものです。
1つ目の質問には「自社が関わっている」と答えることになり、2つ目の質問には「読んだ人には分からない」と答えることになります。
その答えが消費者庁の説明のどこに当たるかは、ご自身の目で資料を読んで確かめてください。
「内容は本当のことだから大丈夫」という説明について
提案の場で、「書く内容は事実に沿っているので問題ありません」と説明されることがあります。
この記事で引いた消費者庁の説明は、広告であることを隠しているかどうかについてのものです。
内容が事実に沿っていれば扱いが変わるのかどうかは、弊社は確かめていません。
この点も、資料で確かめる項目に入れておくと安心です。
起きうる損
ここまでの研究と消費者庁の説明を、損の側から並べ直します。
起きると決まったものと、起きうるものが混ざらないよう、確かさの列を付けました。
| 起きうる損 | 根拠 | 確かさ |
|---|---|---|
| 社名が公表される行政処分(措置命令)の対象になりうる | 消費者庁の説明。規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主) | 該当するかどうかは、消費者庁の資料で確かめる |
| 投稿が見抜かれ、順番を下げられる | 海外の実験で、口コミ風の操作の83.0%が検出された | 研究用のデータでの結果。実際のサービスに入っているかは不明 |
| 規則が変わり、関係を隠した投稿が不利になる | 立場論文が、隠れた最適化をしたサイトの順位を下げるよう提案 | 提案の段階。実現するかは分からない |
| AIの回答に入っても、体験談の形が残らない | 海外の研究で、回答文の一人称が98%減っていた | 掲示板のAI検索1つでの結果 |
| 消せない投稿が残る | 外部の媒体に載せた投稿は、自社の操作では消せない場合がある | 弊社の見方。媒体によって違う |
効き目が残る期間は、誰も確かめていない
研究1の「77.0〜88.5%」は、ある時点で1回測った数字です。
同じ文章が半年後も効くかどうかは、研究1では調べられていません。
一方で、見抜く側の研究は約3か月半後に出ています。
この施策は、効き目がどれだけ続くか分からないまま、消しにくい投稿だけが外に残る形になります。
読者の側で起きること
ここは研究の数字がなく、弊社の見方です。
作文の投稿は、AIだけでなく、口コミの欄を直接読む人の目にも入ります。
読んだ人が来店や問い合わせをしたあとで、書かれていたことと実際の違いに気づく場面が生まれます。
そのとき失うのは、その投稿1件の信用よりも、本物のお客様が書いてくれた声の信用のほうです。
代わりにやること1:実際のお客様の声を、許可を得て載せる
代わりの1つ目は、図の2の箱に当たる方法です。
実際に利用したお客様に声をいただき、許可を得て自社サイトに載せます。
弊社は口コミを作文していません。
お客様の声を載せるときは、そのつど掲載の許可を確かめています。
聞き方
声をお願いするときは、書いてほしい内容をこちらで決めないようにします。
文面を渡して「このとおりに書いてください」と頼むと、内容を決めたのは自社になります。
聞くのは、利用する前に困っていたこと、決めた理由、利用したあとに変わったことの3点で足ります。
書くのが負担な方には、電話や対面で聞いた内容をこちらで文章にし、本人に読んで直してもらう方法があります。
この場合も、最後に内容を決めるのはお客様です。
載せ方
許可は、載せる場所と範囲を示していただきます。
| 確かめること | 聞き方の例 | 記録に残すもの |
|---|---|---|
| 載せてよいか | 「いただいた感想を、弊社のサイトに載せてもよろしいですか」 | 許可をいただいた日と、やり取りの控え |
| 名前の出し方 | 実名、イニシャル、業種と地域だけ、のどれがよいか | 選ばれた表記 |
| 載せる場所 | 自社サイトのどのページに載せるか、ほかの資料にも使うか | 許可の範囲 |
| 文面の確認 | 載せる前の文面を見ていただき、直したい所がないか | 確認が済んだ日 |
| 取り下げ | あとで外したくなったら、いつでも連絡してほしいと伝える | 連絡先 |
声には、利用した時期、お客様の立場、利用したサービスを書き添えます。
読んだ人が「誰の、いつの話か」を確かめられる形にしておくためです。
研究2では、AIの回答文で一人称が98%減っていました。
弊社の読み取りでは、ご本人の言葉に加えて、どんな相談が多く、どう対応したかを自社の言葉で整理した文を添えておくと、要点が伝わりやすくなります。
ただし研究2が調べたのは掲示板のAI検索で、企業のサイトに載せた声の扱いは確かめられていません。
関係の示し方
お礼の品や割引をお渡しして書いていただく場合は、そのことを声のそばに書きます。
自社サイトの外に書いていただく場合も、依頼したことが読んだ人に分かるようにします。
どう書けば「分かる」と言えるかは、消費者庁の資料で確かめてください。
数は増えにくい方法です。
その代わり、あとで消して回る必要のある投稿は1件も生まれません。
代わりにやること2:第三者が自分の判断で書く言及を増やす
代わりの2つ目は、図の1の箱を増やす方法です。
自社以外の人や媒体が、自分の判断で自社のことを書いている状態を作ります。
手順は、LLMO対策のやり方を工程に分けた記事の工程7「第三者に載る」に書きました。
何をするか
対象になるのは、業界団体の会員名簿、取引先の導入事例、地域の媒体の取材記事、登壇や寄稿の記録などです。
すでに載っているものを一覧にし、社名や所在地が古い掲載は、相手に連絡して直してもらいます。
そのうえで、載っていておかしくないのに載っていない場所へ、掲載や取材を依頼します。
依頼はしますが、載せるかどうかと、何を書くかを決めるのは相手です。
ここが、文面を自分たちで決める作文の口コミとの違いになります。
数えられるものと、約束できないもの
| 項目 | 自社で決められるか | 毎月すること |
|---|---|---|
| 既存の掲載の件数 | 数えられる | 一覧を開き、古い情報がないか確かめる |
| 修正や掲載を依頼した件数 | 決められる | 依頼した日と相手を1行ずつ残す |
| 返事が来た件数 | 決められない | 返事の有無と内容を記録する |
| 掲載された件数と時期 | 決められない | 掲載されたページの場所を残す |
この方法は相手の都合で進むので、件数も時期も約束できません。
弊社は、比較記事への掲載依頼や、有料の掲載枠は使っていません。
上の表は、そのどちらも使わずに進められる作業です。
比較の記事を自社で書きたい場合
外部の言及を待つあいだに、自社サイトで比較の記事を書く方法もあります。
その場合の注意は、自作の「おすすめ◯選」で自社を1位にする施策を確かめた記事に分けて書きました。
自社サイトに置く記事は、運営元が自社だと読者に分かる形になっていることが前提です。
すでに投稿してしまった場合の直し方
過去に自社で書いた投稿がある、または依頼先が何を投稿したか分からない、という場合の進め方です。
この節は研究や消費者庁の説明から引いたものでなく、弊社が考える手順です。
消せば規制との関係がなくなる、といった判断はここでは示しません。
| いまの状態 | 先にすること | そのあとにすること |
|---|---|---|
| 自社の担当者が、口コミの欄に書いた | 書いた場所と件数を一覧にする | 自分で取り下げられるものは取り下げ、取り下げた日を残す |
| 依頼先が、外部の媒体に投稿した | 投稿した場所、件数、文面を、依頼先から文書で受け取る | 取り下げを依頼し、済んだものと残ったものを分けて記録する |
| 何が投稿されたか分からない | 契約書と報告書を読み、外部への投稿が作業に入っているか確かめる | 入っていれば、上の行と同じ手順に進む |
| 取り下げられない投稿が残った | 媒体の運営者に、事情を伝えて削除を相談する | 相談した日と返事を残す |
| お礼を渡して書いてもらった声が、関係を示さずに載っている | 自社サイトの分は、関係を書き足す | 外部の分は、書いた本人に相談する |
一覧を先に作る理由
取り下げから始めると、何件あったのかが分からなくなります。
場所、件数、投稿した日、文面を先に控えておくと、あとで相談するときに説明ができます。
依頼先に一覧を求めても出てこない場合は、その事実も記録に残してください。
相談先
自社の投稿が規制に当たるかどうかは、弊社には判断できません。
消費者庁の「運用基準」「ガイドブック」「Q&A」を読んでも決められない場合は、法律の専門家に相談する方法があります。
相談のときに持っていくものが、上で作った一覧です。
提案を受けたときに聞く質問
口コミや外部での言及づくりを提案されたら、契約の前に次の質問を文章で送ってください。
口頭でなく文章にするのは、答えを記録に残すためです。
| 聞く質問 | 確かめたいこと | 答えが出てこないとき |
|---|---|---|
| 「投稿の文面は、誰が書きますか」 | 内容を決めるのが、利用したお客様か、それ以外か | 図の箱を決められないので、契約を保留する |
| 「その投稿に、弊社との関係をどう示しますか」 | 読んだ人に、依頼があったと分かるか | 示し方を文書で出してもらう |
| 「投稿した場所と件数の一覧を、毎月いただけますか」 | あとで自社が確かめ、取り下げられる状態か | 一覧が出ない作業は、頼まない |
| 「消費者庁のステルスマーケティングの資料の、どこを確かめましたか」 | 規制を踏まえた手順になっているか | 自社で資料を読んでから決める |
| 「契約をやめたあと、投稿はどうなりますか」 | 投稿を取り下げられるか、残り続けるか | 取り下げの方法を契約書に書いてもらう |
答えを聞いたあとの見方
5つの質問は、相手を試すためのものではありません。
図の4つの箱のどれに入る作業なのかを、契約の前に決めるためのものです。
1つ目と2つ目に答えが出れば、箱は決まります。
お客様本人が書き、関係も示すという答えなら、この記事の「代わりにやること」と同じ方向の提案です。
提案全体の見分け方は、LLMO対策の怪しい提案を見分ける記事にまとめています。
よくある質問
口コミを自分たちで書けば、AIに薦められますか
海外の実験では、口コミ風の文章を足した商品が1位に来た割合が、0%から77.0〜88.5%に上がった例があります。
ただし、研究者が候補10件をAIに直接渡した実験で、実際のAI検索サービスや日本語では確かめられていません。
約3か月半後には、同じ種類の操作を83.0%検出したという研究が出ています。
社員や家族が書いた口コミは、規制の対象になりますか
この記事では判断しません。
消費者庁の説明では、規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです。
個別の場面は、消費者庁が公開している「運用基準」「ガイドブック」「Q&A」で確かめてください。
お礼を渡して書いてもらった口コミは、載せてよいですか
消費者庁の説明では、広告には、企業が第三者に依頼・指示するものも含まれます。
広告であることが分かるものは対象外とされているので、関係を読者に分かる形で示すことが出発点になります。
どう示せば足りるかは、消費者庁の資料で確かめてください。
投稿を請け負った会社が全部やった場合、責任はどちらにありますか
消費者庁の説明では、規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。
依頼を受けた第三者は、規制の対象となりません。
自社がどちらに当たるかは、契約の内容と消費者庁の資料で確かめてください。
本物のお客様の声を載せれば、AIに引用されますか
約束はできません。
海外の調査では、AIがブランドについて答えるときの引用元のうち、自社サイトは14.3%でした。
自社サイトに載せた声は、AIに引用されるためというより、読んだ人が判断する材料として置くものだと弊社は考えています。
AIの回答に関わるのは、第三者が自分の判断で書いた言及のほうです。
まとめ
作文の口コミや第三者を装った投稿は、海外の実験の範囲では、AIのおすすめ順を動かした例があります。
最後の商品が1位に来た割合は、口コミ風の文章を足すと0%から77.0〜88.5%になりました。
その数字は、研究者が候補をAIに直接渡した実験のもので、実際のサービスで同じことが起きるとは確かめられていません。
同じ研究グループは約3か月半後に、口コミ風の操作を83.0%検出する方法を公開しました。
日本では、広告であることを隠した表示は、2023年10月1日からステルスマーケティングとして景品表示法違反となります。
規制の対象となるのは商品・サービスを供給する事業者(広告主)で、依頼を受けた第三者は対象となりません。
代わりにできるのは、実際のお客様の声を許可を得て載せることと、第三者が自分の判断で書く言及を増やすことです。
迷ったときは、誰が内容を決め、自社との関係が読者に見えているかの2点に戻ってください。
今日できる点検
どれも、自社サイトと手元の書類を開けば確かめられる項目です。
| 点検すること | 見る場所 | 当てはまったときにすること |
|---|---|---|
| 自社サイトのお客様の声に、掲載の許可の記録があるか | お客様の声のページと、やり取りの控え | 記録がない声は、本人に確かめ直す |
| お礼を渡して書いてもらった声に、その関係が書いてあるか | お客様の声のページ | 書いていなければ、消費者庁の資料を読んで書き足す |
| 社内の誰かが、口コミの欄に書いたことがあるか | 担当者への聞き取り | 場所と件数を一覧にする |
| 依頼先の作業に、外部への投稿が入っているか | 契約書と毎月の報告書 | 投稿した場所と文面の一覧を求める |
| 自社が載っている外部の媒体を、一覧にしているか | 社名で検索した結果 | 一覧を作り、古い情報の修正を依頼する |
5つのうち、いちばん早く終わるのは1つ目です。
お客様の声のページを開き、1件ずつ、許可をいただいた日を言えるかどうかを確かめてください。
言えない声が見つかったら、その1件に連絡するところから始められます。
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
生成AIに引用されるページを、お話しいただくだけでお作りします。お時間をいただくのは初回15分のヒアリングだけです。まず1ページ、無料でお作りします。
OKが出るまで、何度でも直します。事実が違う、言い回しが硬い、この話は入れないでほしい。どれも遠慮なくおっしゃってください。何度お直ししても、追加の料金はいただきません。
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