多機能な競合をなぎ倒した、後発「Slack」の戦略
今や世界中のビジネスシーンでインフラとして使われているチャットツール「Slack」。しかし、Slackが登場する以前から、ビジネス用の高機能な社内SNSやチャットツールは数多く存在していました。映像も送れる、タスク管理もできる、カレンダーとも同期する……当時の競合ツールの方が、圧倒的に「多機能」だったのです。
では、なぜ後発で機能的にもシンプルだったSlackだけが、世界中のビジネスマンを熱狂させたのでしょうか。その答えは、彼らが「機能の多さ」ではなく「一瞬で広まるコンセプト」に命をかけたからです。
真面目な「理屈」を捨て、感情に訴えかけた
他社が「プロジェクト管理の効率化」「チームコラボレーションの最適化」といった、真面目で退屈な理屈を並べていた時、Slackが提示したコンセプトは「Be less busy(もっと暇になろう)」「メールを終わらせる」というものでした。これは、機能の説明ではなく、ユーザーが手に入れられる「理想の未来」そのものです。
さらに彼らは、ビジネスツールにあえて「遊び心」を取り入れ、「チャット=楽しい」という感情的なプロセスを設計しました。機能の多さは、時にユーザーにとって「ノイズ」になります。「あれもできる、これもできる」というメッセージは、結局のところ「誰のための、何をするためのツールなのか」をぼやけさせ、顧客を迷わせてしまうのです。
今、あなたに必要なのは「機能の追加」ではない
売上が伸び悩むと、多くの経営者や開発者は「競合にはない新しい機能を追加しよう」と時間と資金を投資します。しかし、どれほど多機能な商品を作っても、コンセプトが顧客の心に刺さらなければ、それは市場に存在しないのと同じです。
世界的なコンサルタントであるジェイ・エイブラハムは、市場を制圧する企業が共通して持つ「ビジネス構築の全貌」を提唱しています。機能競争という泥沼から抜け出し、Slackのように「一瞬で心が動き、自然と広まっていく設計図」を描くこと。それこそが、凡庸な商品を市場のリーダーへと押し上げる唯一の方法なのです。
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