【2026年9月19日の訂正】比較の相手の選び方(被リンク総数だけでなく、被参照ドメイン数とDRも併記)、調査の性質(企業の自社調査で査読なし)、根拠のない記述を訂正・削除しました。
AI検索での見え方を良くしたいとき、真っ先に思い浮かぶ施策は被リンクの獲得ではないだろうか。しかし約75,000ブランドを対象に行われた調査によれば、AIによる概要(AI Overviews)での可視性ともっとも強く相関していたのは被リンクよりも、Web全体でそのブランドがどれだけ言及されているかという数字だった。
この調査は、SEOツールを提供する企業が自社の測定ツールで行ったもので、査読を受けた研究ではない。2025年5月に公表され、ドメイン評価(DR)40超かつ指名キーワードの月間検索ボリューム800以上という条件でブランド候補を抽出し、約75,000ブランドを対象にしている。このうちAIによる概要で実際に言及が確認できたのは約74%で、残りの約26%は言及がゼロだった。この記事では、その発見と、数字を読む上での注意点を紹介する。
被リンクより、Web全体での言及数のほうが強く相関する
スピアマンの順位相関係数という統計手法を用いた分析の結果、AIによる概要での可視性ともっとも強く相関していたのは、Web全体でのブランド言及数で、係数は0.664だった。次いでアンカーテキスト(リンクに使われるテキスト)による言及が0.527、検索ボリュームが0.392、そして従来SEOで重視されてきた被リンクは、総数が0.218、被参照ドメイン数が0.295、ドメイン評価(DR)が0.326だった。言及数は、被リンク総数のおよそ3倍、リンク系の指標で最も高いDRの約2倍の相関の強さを示したことになる。
言及量による差も大きい。Web上での言及数が上位25%に入るブランドは、AIによる概要の中で平均169回言及されていたのに対し、次の四分位(上位50〜75%)のブランドは平均14回にとどまっていた。10倍を超える開きがある。単にリンクを集めることよりも、Web全体でのブランド言及数そのものが、AI検索での見え方に強く結びついているという傾向が示されている。
ここからは筆者の推測だが、生成AIが回答を組み立てる過程を考えると理解しやすい。AIは特定の1つのページだけを根拠にするというより、Web上に散らばる複数の情報を横断的に参照して、そのブランドや商品についての「共通認識」を組み立てていると考えられる。あるブランドについて複数の場所で繰り返し同じような評価や情報が語られていれば、AIにとってもそのブランドの実態を把握しやすく、回答に組み込みやすい対象になる。逆に、リンクの数字上は立派でも、Web上での話題量自体が少なければ、AIが参照できる材料そのものが不足している可能性がある。
「相関」であって「因果」ではない
調査を公表した側も明確に注意喚起している通り、ここで示されているのはあくまで統計的な相関関係であり、「言及を増やせば必ずAI検索での可視性が上がる」という因果関係を証明したものではない。もともと知名度が高く、AI検索でも見えやすいブランドだからこそ、Web上で自然に多く言及されている、という逆方向の関係も十分に考えられる。言及数を増やすことを目的化するのではなく、「結果として言及されるような認知や評価を築けているか」を測る1つの指標として捉えるのが実務的な使い方になる。
この調査の限界
分析対象は、一定以上のドメイン評価と検索ボリュームを持つサイトから抽出したブランド候補であり、選定基準はあくまで1つの目安にすぎない。また、示された相関はいずれも中程度から非常に弱い水準にとどまるとも補足されている。言及がまったく確認できなかった約26%のブランドがどんな性質を持つかによっても、結果の見え方は変わりうる。業種による偏りについての言及は確認できておらず、自社の業種でも同じ傾向が当てはまるかは、慎重に見極める必要がある。
中小企業が今日からできること
この調査から得られる実務的な示唆は、被リンク獲得だけに偏った施策の見直しだ。被リンクを増やすための施策(寄稿、相互リンクの依頼など)に労力を割く前に、そもそも自社の名前や商品名がWeb上でどれだけ話題にされているかを確認してみたい。SNSでの言及、レビューサイトでの掲載、業界メディアでの紹介記事など、リンクを伴わない言及も含めて、自社の名前がどれだけWeb上に登場しているかを一度棚卸ししてみる価値がある。
言及を増やす具体的な方法としては、プレスリリースの配信、業界メディアへの情報提供、顧客に自然にレビューを書いてもらう仕組み作りなどが挙げられる。いずれもリンクの獲得を直接の目的にした施策ではないが、結果として自社の名前がWeb上で語られる機会を増やすことにつながる。被リンク対策とは異なる角度からの認知構築が、AI検索時代には相対的に重要性を増していると考えられる。
まとめ:リンクより「話題にされているか」
この調査が示したのは、AI検索での見え方が、従来のSEOが重視してきた被リンクよりも、Web全体での言及の量とより強く結びついているという傾向だ。ただし相関と因果は別物であり、言及数を増やすこと自体を目的化するのは早計だ。自社がWeb上でどれだけ自然に話題にされているかを定期的に確認し、リンクの有無にかかわらず語られる機会を増やす取り組みを、被リンク施策と並行して進めていきたい。
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