コンバージョンを上げると聞くと、ボタンの色を赤にする、文言に「今すぐ」と足す、そういう小手先の調整を思い浮かべる方が多いです。試すのは自由ですが、その順番で手を付けても数字はほとんど動きません。来た人が帰っていく理由は、ボタンの色よりもっと手前にあるからです。
この記事では、コンバージョンを「来た人が帰る理由を消す作業」として組み直します。帰る理由は突き詰めると3つに集約されます。何をする会社か伝わらない、次の一歩が分からない、不安が消えない。この3つを、離脱率の高いページから順に消していきます。読み終えたとき、自社サイトで最初に直す1ページが1枚だけ決まっている、その状態を目指します。
ここで扱うのは、広告費を増やす話でも、流行の手法を追う話でもありません。いま自社サイトに来ている人を、1人でも多く行動につなげる話です。来ている人を取りこぼさないほうが、新しい人を集めるより手早く、しかも費用もかかりません。まずは手元にあるサイトを、来た人の目線で読み直すところから始めます。
コンバージョンを上げるを小手先の話にしない
コンバージョンとは、サイトに来た人が「こちらが取ってほしかった行動」を取ってくれた数のことです。問い合わせ、資料請求、予約、購入。何を数えるかは事業によって違いますが、共通しているのは「来ただけでは1にならない」という点です。来た人が動いて初めて1が積み上がります。
だからコンバージョンを上げる作業は、来た人の行動を止めているものを外す作業になります。色や文言の微調整は、来た人がすでに「頼みたい」と思っているのに最後のひと押しで迷っている、その最後の場面でだけ効きます。ところが多くのサイトでは、そこまで気持ちが進む前に帰られています。最後のドアを磨く前に、入口で帰られている状態です。
コンバージョンが伸びない会社のサイトは、見た目が悪いというより「読んだ人が自分に関係あると思えない」ところでつまずいています。自社のサイトを他人の目で読んでもらうと、たいてい次のような感想が返ってきます。
「御社が結局のところ何をしてくれる会社なのか、最後まで分かりませんでした」
これは相手を責める言葉に見えて、実は自社サイトへの警告でもあります。作った本人には全部分かっているので、伝わっていないことに気づけません。コンバージョンを上げる第一歩は、この「作った人には見えない帰る理由」を、外から順番に洗い出すことです。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 色や文言だけ直してきた | 数字がほとんど動かない | 入口で帰られていないか離脱率を先に見る |
| 何をする会社か伝わらない | 読んだ人が自分ごとにできない | 最初の画面を悩みの言葉で書き直す |
| 次の一歩が分からない | 出口が多く行き先で迷う | 1ページの行き先を1つに絞る |
| 不安が消えていない | 頼む直前で手が止まる | 実績と手順を先に見せる |
コンバージョンには小さなものと大きなものがある
コンバージョンと一口に言っても、重さの違うものが混じっています。資料を1つ見てもらうような軽い行動から、見積もりを依頼してもらうような重い行動まで幅があります。軽い行動と重い行動を1つの数字にまとめてしまうと、どこで人が止まっているのかが見えなくなります。
おすすめは、軽い行動と重い行動を分けて数えることです。資料の閲覧は取れているのに問い合わせが取れていないなら、興味は持たれているのに最後の一歩が重い、と分かります。逆に軽い行動すら取られていないなら、そもそも興味を持たれていないので、直す場所は最初の画面になります。段階を分けて数えるだけで、どこが詰まっているかが一目で見えます。たとえば来た人の半分が資料まで進むのに、そこから問い合わせに進むのが数十人に1人なら、直すのは資料から問い合わせへの橋の部分だと絞り込めます。
まず いま何人が帰っているかを数える
直す前に、数える。この順番を飛ばすと、効いていない場所をいつまでも磨き続けることになります。コンバージョンを上げる作業は、感覚で当たりを付けるより、来た人がどこで何人帰っているかを見てから始めたほうが速いです。
見るのはコンバージョン率です。来た人のうち、行動してくれた人の割合を指します。たとえば100人来て、問い合わせが3件なら、率は3%です。この数字を出しておくと、直した後に効いたかどうかを同じ物差しで確かめられます。数える前に直すと、良くなったのか悪くなったのかが分からなくなります。
数えると言っても、難しい分析は要りません。来た人の数と、行動してくれた数、この2つを月ごとに並べるだけで十分です。表計算の画面に月と来訪と件数を書き足していくと、季節の波や、直した月の変化が目で見えるようになります。凝った道具をそろえる前に、まずはこの1枚の表を作るところから始めます。
来た人の数だけを追わず、動いた人の割合を見る(数はたとえ)
率だけを見て一喜一憂しない
率は分母が小さいと大きく揺れます。来訪が10人しかいない日に問い合わせが1件あれば率は10%ですが、これは運の範囲です。率を見るときは、必ず何人来た中の話かをセットで見ます。少なくとも数百の来訪がたまってから率を語るようにすると、まぐれに振り回されずに済みます。
ページごとに分けて数える
サイト全体の平均を見ても、どこが悪いかは分かりません。トップ、サービス紹介、料金、問い合わせ、それぞれのページで「入ってきた人が次に進んだか、そこで帰ったか」を分けて見ます。すると、平均では見えなかった「特定の1ページで大量に帰られている」という事実が浮かび上がります。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| まだ数えていない | 感覚で直す場所を決めている | コンバージョン率を先に出す |
| 全体の平均だけ見ている | 悪い1ページが隠れている | ページごとに分けて数える |
| 来訪が少ない日で判断 | まぐれに振り回される | 数百の来訪がたまってから見る |
| 直した後を測っていない | 効いたか分からない | 同じ物差しで前後を比べる |
離脱率の高いページから順に直す
直す場所は、離脱率の高いページから選びます。サイト離脱率とは、そのページを最後に見て帰ってしまった人の割合のことです。ここが高いページは、来た人が「ここで満足した」か「ここでがっかりした」かのどちらかです。問い合わせページで高いなら前者もありますが、サービス紹介や料金のページで高いなら、たいていは後者です。
サイト全体を一度に作り直そうとすると、時間もお金もかかり、しかもどこが効いたのか分からなくなります。帰る人がいちばん多い1ページから手を付ければ、少ない労力で大きく数字が動きます。全部を触らず、1枚ずつ順番に直すのがコンバージョンを上げる近道です。
1枚を直して数字が動いたら、その学びは次のページにも使えます。最初の画面を悩みの言葉に直すのが効いたなら、他のページの最初の画面も同じ考え方で直せます。1枚ずつ直す進め方は、遅く見えて、実は学びがたまるぶん後半ほど速くなります。焦って全部を一度に変えるより、1枚の成功を横に広げるほうが、結局は早くサイト全体が良くなります。
帰る人が多い1枚から、帰る理由を1つに絞って直す
どこで離脱率を確認するか
離脱率は、無料で使えるアクセス解析ツールで確認できます。多くの会社はすでに導入だけは済んでいます。ページごとの離脱を見る画面を開き、来訪が一定以上あるページの中で、離脱の割合が高いものを上から並べます。来訪がほとんど無いページは、数える対象から外しておきます。人が来ていて、しかも帰られているページが、いちばん直す価値のある場所です。
直す順番を決める基準
離脱率が同じくらいのページが並んだら、コンバージョンに近いページを優先します。問い合わせの1つ手前、料金の説明、サービスの詳細。この付近で帰られているのは、あと少しで動いてくれる人を取りこぼしている状態です。トップページの直しは影響範囲が広い分だけ慎重さも要るので、まずはコンバージョンの直前で漏れている穴をふさぐほうが結果は早く出ます。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 全部を作り直したい | 時間もお金もかかり効果が読めない | 離脱の多い1ページに絞る |
| 来訪の少ないページを直す | 直しても人が来ないので変わらない | 来訪があり帰られる所を選ぶ |
| トップから直そうとする | 影響が広く判断が難しい | コンバージョンの直前を先に直す |
| 複数を同時に変える | どれが効いたか分からない | 1枚ずつ変えて確かめる |
帰る理由その1 何をする会社か3秒で伝わらない
来た人が最初に見るのは、ページを開いた瞬間に目に入る範囲です。ここで「これは自分の悩みに関係がある」と思えなければ、人はスクロールする前に帰ります。何をする会社か、誰の何を解決するのか、それが最初の画面で伝わっていないと、その先の丁寧な説明はほとんど読まれません。
よくある失敗は、自社の言葉で書いてしまうことです。「ワンストップソリューション」「最適なご提案」。こういう言葉は、書いた側には意味がありますが、読む側は自分の悩みと結びつけられません。来た人が頭の中で使っている言葉、つまり「問い合わせが来ない」「求人に応募が来ない」といった悩みの言葉で書くと、初めて自分ごとになります。
最初の画面で答える3つの問い
最初の画面では、来た人が無意識に確かめている3つの問いに答えます。ここは誰のための場所か。ここで何が手に入るか。次に何をすればいいか。この3つが最初の画面で分かれば、人は先を読み始めます。1つでも欠けると、読む理由を見つけられずに帰ります。
専門用語は悩みの言葉に置き換える
業界では当たり前の言葉でも、来た人が普段使わない言葉は、読む速度を落とします。読む速度が落ちた人は、めんどうになって帰ります。社内の資料や提案書で使っている言葉を、そのままサイトに載せていないか見直します。来た人が検索窓に打ち込むであろう言葉に置き換えるだけで、伝わり方は変わります。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 自社の言葉で書いている | 読む人が自分ごとにできない | 悩みの言葉に書き換える |
| 専門用語が多い | 読む速度が落ちて帰られる | 普段使う言葉に置き換える |
| 会社の紹介から始まる | 誰のための場所か分からない | 読者の悩みを先に書く |
| 最初の画面が飾りだけ | 何が手に入るか伝わらない | 得られる結果を1行で示す |
最初の画面は写真より言葉から決める
見た目を良くしようとして、大きな写真や動く飾りから手を付ける会社が目立ちます。写真が伝えられるのは雰囲気までで、何をする会社かは言葉で書く必要があります。来た人が最初に確かめているのは雰囲気より中身なので、飾りより先に言葉を決めます。
具体的には、最初の画面に置く1行を先に書きます。誰の、どの悩みを、どうやって解決するのかを、来た人の言葉で1行にします。この1行が決まってから、それを邪魔しない写真を選びます。順番を逆にして写真から決めると、雰囲気は良いのに何屋か分からないページが出来上がります。たとえば「地域の中小企業の求人を、応募が来る形に整える会社です」と書けば、写真が無くても相手には伝わります。
帰る理由その2 次の一歩が分からない
何をする会社か伝わっても、次に何をすればいいかが分からなければ、人は動けません。ページの中に行き先がいくつもあると、来た人はどれを選べばいいか決められず、結局どれも選ばずに帰ります。選択肢を増やすほど親切に見えて、実際には動く人が減ります。
1ページに置く行き先は、原則1つに絞ります。問い合わせも資料請求も電話も並べたくなりますが、来た人の頭の中では「で、私は何をすればいいのか」という問いが宙に浮いたままになります。いちばん取ってほしい行動を1つ決め、それを目立たせ、他は小さくするか消します。
行き先を1つに絞ると聞くと、機会を減らすようで不安になるかもしれません。実際は逆で、迷いを減らすほど動く人は増えます。人は選択肢が多いと、決めること自体をやめてしまうからです。どうしても複数を残したいときは、いちばん取りたい行動を大きく1つ置き、それ以外は小さく添える形にします。主役を1つに決めておけば、来た人は迷わずにその1つへ進めます。
選ばせる数を1つに絞ると、来た人は行き先で迷わない
行き先のハードルを段階に分ける
いきなり「契約」や「見積もり依頼」を求めると、まだ迷っている人は動けません。かといって行き先を無くすと、動きたい人が動けません。そこで、最初の一歩を軽くします。資料を見る、相談だけしてみる、質問を送る。心理的なハードルの低い入口を1つ用意し、そこから段階的に進めるようにすると、動く人が増えます。
本文の途中にも行き先を置く
行き先はページの最後にだけ置きがちですが、最後まで読む人はごく一部です。読んでいる途中で「頼みたい」と思った人が、その場ですぐ動けるように、本文の区切りにも同じ行き先を置きます。押し売りに見えない範囲で、動きたくなった瞬間に手の届く場所へ置いておくのがコツです。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 行き先が多すぎる | 選べずにどれも押さない | いちばん取りたい行動を1つに絞る |
| 最初から契約を求める | 迷っている人が動けない | 軽い一歩の入口を用意する |
| 行き先が最後だけ | 途中で動きたい人を逃す | 本文の区切りにも置く |
| 行き先が目立たない | 気づかれずに帰られる | 色と大きさで1つを目立たせる |
帰る理由その3 不安が消えていない
何をする会社か伝わり、次の一歩も分かった。それでも人は最後にためらいます。「この会社に頼んで大丈夫か」という不安が消えていないからです。この不安をサイトの側から先回りして消しておくと、最後のひと押しが要らなくなります。
不安を消す材料は、実績、お客様の声、進め方の説明の3つです。ただ並べればいいわけではありません。実名や具体的な状況が添えられているほど、読む人は自分に重ねられます。頼む直前で手が止まる理由を言葉にすると、たいてい次の形になります。
「頼んだあとに何が起きるのかが見えなくて、最後まで踏み切れませんでした」
この言葉が示しているのは、実績の数より「頼んだあとの流れ」が見えることの方が、不安を消すという事実です。申し込んでから最初に何が起き、次に何をして、いつ結果が見えるのか。その順番を先に見せておくと、来た人は安心して一歩を踏み出せます。
不安を消す材料は、置く場所も大事です。実績や声を別のページに閉じ込めておくと、そこまで見に行く人は限られます。来た人が迷う場所、つまり行き先の手前に、短くていいので実績や声を添えます。決める直前に安心の材料が目に入る形にしておくと、最後のためらいが小さくなります。
お客様の声は具体的な状況とセットで
「とても満足しています」だけの声は、誰にでも書けるので信じてもらえません。どんな悩みがあって、頼んで何が変わったのか、その前後がある声だけが効きます。掲載するときは、必ず本人に許可を取ります。許可の取れていない声を勝手に載せると、信頼を得るどころか一気に失います。
進め方を先に見せて不安を消す
頼んだあとの流れが見えないことは、それ自体が強い不安です。初回に何を話し、どのくらいの期間で何が進み、途中で気に入らなければどうなるのか。この見通しを先に示しておくと、来た人は「頼んでから後悔しないか」という不安を手放せます。途中で何度でも直せることを最初に伝えておくだけでも、迷いは小さくなります。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 実績が抽象的 | 自分に重ねられない | 具体的な状況を添える |
| 声が満足の一言だけ | 誰にでも書けて信じられない | 頼む前と後の変化を書く |
| 進め方が書いていない | 頼んだ後が見えず踏み切れない | 初回から結果までの順番を示す |
| やり直しの可否が不明 | 失敗を恐れて動けない | 直せる範囲を先に伝える |
料金や条件を隠さないほうが不安は消える
条件を書かずに「まずはお問い合わせを」とだけ置くと、来た人は「聞いたら断りにくくなるのでは」と身構えます。細かいところまで載せなくても、どういう考え方で決まるのか、何が含まれるのかの目安があるだけで、身構えは和らぎます。
隠されていると感じたものは、そのまま不安に変わります。分かる範囲を先に開いておくほうが、問い合わせの手前で足を止める人は減ります。全部を書けない事情があるなら、面談でお伝えしますと正直に書くだけでも、黙って空欄にしておくより安心してもらえます。来た人は、分からないことそのものより、分からないまま進まされることを嫌います。
コンバージョン率を上げる方法を工程で並べる
コンバージョン率を上げる方法を単発の技として集めても、続きません。効くのは、決まった工程を回し続けることです。計測する、仮説を立てる、1箇所だけ直す、確かめる。この4つを順番に、そして繰り返し回すことが、コンバージョン率を上げる方法の本体です。
大事なのは、一度に1箇所しか変えないことです。同時に3箇所変えて数字が良くなっても、どれが効いたのか分かりません。効いた理由が分からないと、次にどこを直せばいいかも分かりません。地味ですが、1つ変えて2週間ほど様子を見る、この積み重ねが最後にいちばん大きな差になります。
工程を回すうえで大事なのは、うまくいかなかった直しを責めないことです。外れた仮説も、そこが理由ではなかったという学びになります。10回試して2回か3回当たれば、その積み重ねで数字は上を向きます。当たりを増やすより、外れを早く見切って次に進むほうが、全体では速く進みます。試した記録を残しておくと、同じ外れを二度試さずに済みます。
仮説は帰る理由の3つから立てる
直す前に、なぜ帰られているのかの仮説を立てます。手がかりは、この記事で挙げた3つの理由です。何をする会社か伝わっていないのか、次の一歩が分からないのか、不安が消えていないのか。離脱の多いページを開いて、この3つのどれに当てはまるかを見当を付けます。当てはまりそうなものを1つ選び、そこだけ直します。
変えた後は同じ物差しで比べる
直したら、直す前と同じコンバージョン率で前後を比べます。曜日や季節で数字は動くので、直前の数日とだけ比べると判断を誤ります。できれば直す前の数週間と、直した後の数週間を並べて見ます。良くなっていれば残し、変わらないか悪くなっていれば元に戻して別の仮説を試します。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 単発の技を集めている | 効果が続かない | 計測から確認までの工程を回す |
| 一度に複数を変える | どれが効いたか分からない | 1箇所だけ変える |
| 仮説なしで直す | 手当たり次第になる | 帰る理由の3つから仮説を立てる |
| 直後の数日で判断 | 曜日の波に惑わされる | 数週間どうしで比べる |
フォームで最後の取りこぼしを止める
ここまで来て動く気になった人を、最後に取りこぼす場所が問い合わせフォームです。せっかく「頼もう」と思ったのに、入力の途中で嫌になって帰る人は少なくありません。フォームは、コンバージョンの最後のドアです。ここが重いと、その手前の努力が全部むだになります。
フォームで人が帰る理由ははっきりしています。入力する項目が多い、何を書けばいいか分からない、エラーが出たのに直し方が分からない。この3つを1つずつ軽くするだけで、最後まで進む人は増えます。まず、無くても困らない項目を消すところから始めます。
フォームは、パソコンとスマートフォンの両方で試してみます。パソコンでは問題なくても、スマートフォンだと押しにくい、文字が小さくて読めない、そういう詰まりが起きがちです。来ている人の多数がスマートフォンから見ている場合、そちらでの使いにくさは、そのまま取りこぼしになります。自分の指で最後まで送信してみて、途中で嫌になる場所が無いかを確かめます。
入力項目は本当に要るものだけにする
あとで役立つかもしれないという理由で項目を増やすと、そのぶん帰られます。最初の連絡に本当に必要なのは、たいてい名前と連絡先と用件くらいです。細かいことは、やり取りが始まってから聞けば済みます。項目を1つ減らすたびに、最後まで進む人は増えます。
エラーの見せ方を優しくする
入力を間違えたときに、どこが悪いのか分からない、全部消えてやり直し、これでは人は帰ります。どの欄が問題かをその場で、消えないように示すだけで、離脱はぐっと減ります。フォームは動く気になった人だけが触る場所なので、ここでの取りこぼしはとくにもったいないです。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 入力項目が多い | 途中で嫌になって帰る | 要る項目だけに減らす |
| 何を書くか分からない | 手が止まって離れる | 記入例を添える |
| エラーで全部消える | やり直す気が失せる | 入力を保持して場所を示す |
| 送信後に何も出ない | 届いたか不安になる | 受付の合図を出す |
集客できないと感じたときに見る順番
問い合わせが増えないとき、多くの会社は「集客できない」と考えて、広告や記事で人を増やそうとします。ところが、人を増やしても受け皿が漏れていれば、増やした分だけ帰られるだけです。集客できないと感じたら、まず「人が来ていないのか、来ても帰っているのか」を分けて見ます。
来ている人数と、コンバージョン率の両方を見れば、どちらが問題かはすぐ分かります。人はそこそこ来ているのに率が低いなら、直すのは受け皿です。人がほとんど来ていないなら、そこで初めて流入を増やす話になります。順番を逆にすると、穴の空いたバケツに水を足し続けることになります。
受け皿を直してから流入を増やす
受け皿が整っていない状態で広告を出すと、来た人の多くが帰るので、かけた分が回収できません。先にコンバージョン率を上げておけば、同じ人数から取れる件数が増え、そのあとで流入を足したときに効きが大きくなります。集客できないという悩みの半分は、実は受け皿の問題です。
流入の質も合わせて見る
来ている人が、そもそも自社の相手ではないこともあります。数だけ多くて率が低いときは、来ている人の探していたものと、サイトの中身がずれている疑いがあります。どんな言葉で検索して来ているかを見て、ずれているなら、そのずれを埋める言葉に直します。人数を増やす前に、来ている人と中身を合わせます。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| とにかく人を増やしたい | 受け皿が漏れて回収できない | 先にコンバージョン率を上げる |
| 来ているのに率が低い | 受け皿に問題がある | 離脱の多いページを直す |
| 人がほとんど来ない | 受け皿を直しても変わらない | 流入を増やす施策に移る |
| 数は多いが相手が違う | 来る人と中身がずれている | 検索の言葉に中身を合わせる |
広告を止めた瞬間に問い合わせが消える状態を避ける
広告で人を集めているあいだだけ問い合わせがあり、止めるとぱたりと消える。これは受け皿が育っていない典型です。広告は蛇口、受け皿はバケツにあたります。バケツに穴が空いていると、蛇口を開けているあいだだけ水がたまり、閉じたとたんに抜けていきます。
検索から自然に来た人でも動いてくれる状態を作っておくと、広告を止めても問い合わせは残ります。そのためにも、流入を増やす前に受け皿を直す順番が効いてきます。広告費をかけ続けないと問い合わせが回らないなら、施策を足す前にまず受け皿を疑います。受け皿が整っていれば、同じ広告費からでも取れる件数が増えていきます。
数字の読み方を間違えない
コンバージョンを上げる作業では、数字の読み方でつまずくことがよくあります。率だけを見て分母を忘れる、直後の数日だけで判断する、平均で全体をならしてしまう。この3つは、良くなったものを悪いと勘違いさせ、効いている施策をやめさせてしまいます。
とくに気をつけたいのは、少ない件数での率です。数件の増減で率は大きく動くので、まだ判断できない段階で結論を出してしまいがちです。件数が少ないうちは、率よりも実際の件数の動きを、時間をかけて見ます。焦って結論を出さないことが、遠回りに見えて結局は近道です。
平均に隠れる悪いページを見つける
サイト全体の率が悪くなくても、その裏で特定のページだけひどく漏れていることがあります。平均は、良いページと悪いページをならしてしまうので、悪い場所を隠します。ページごとに分けて見る習慣があると、この隠れた穴に気づけます。全体が横ばいでも、中では動いていることが多いです。
数字は、次にどこを見ればいいかを教えてくれる道具です。悪い数字が出たら、直す場所が1つ見つかったという合図だと受け止めます。この受け止め方にするだけで、数字を見るのがつらい作業から、次の一手を選ぶ作業に変わります。責める材料として使うのをやめ、進む方向を照らす明かりとして使うと決めておくと、続けやすくなります。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 率だけ見る | 分母を忘れて誤判断する | 件数と率をセットで見る |
| 直後の数日で判断 | 波に惑わされる | 数週間の推移で見る |
| 全体の平均で見る | 悪いページが隠れる | ページ別に分けて見る |
| 少ない件数で結論 | まぐれを実力と誤認する | 件数がたまるまで待つ |
他社の平均を目標にしない
コンバージョン率の平均値を調べて、それを目標に置く会社がありますが、あまり意味がありません。率は業種、商材の重さ、来ている人の質で大きく変わるので、他社の平均は自社の目標になりません。相手にする数字は、過去の自社です。
先月の自社の率を基準に置き、今月それを上回れたかで判断します。この比べ方なら、業種のばらつきに惑わされず、自分の改善だけを正しく測れます。よそと比べて落ち込む時間があるなら、先月の自分を1つ上回る工夫に使ったほうが、数字は動きます。1年前の自社と比べれば、積み上げた改善がまとめて見えて、続ける力にもなります。
業種と状況で最初に直す1ページは変わる
最初に直す1ページは、業種と状況で変わります。相談から始まる仕事なのか、その場で申し込む仕事なのか、繰り返し使ってもらう仕事なのかで、どこで帰られやすいかが違うからです。自社がどれに近いかを見て、当たりを付ける場所を決めます。
共通しているのは、コンバージョンの直前で漏れている場所から直す、という原則です。相談型なら相談の申し込み手前、申し込み型ならフォーム、繰り返し型なら初回の体験の直後。自社の来た人が「あと少しで動く」場所を探し、そこを最初の1枚にします。
自社がどの型か迷ったら、来た人が動く直前にどんな行動をしているかを思い出します。電話をかけてくるのか、フォームを送るのか、まず資料を見てから連絡してくるのか。その直前の行動の1つ手前が、たいてい取りこぼしの起きる場所です。そこを最初の1枚に選べば、少ない手間で動く人が増えます。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 相談から始まる仕事 | 相談の手前で帰られる | 相談のハードルを下げる |
| その場で申し込む仕事 | フォームで取りこぼす | 入力の項目を減らす |
| 繰り返し使う仕事 | 初回で離れる | 初回体験の直後を整える |
| 問い合わせが電話中心 | 番号が見つけにくい | 連絡先を目立つ場所に置く |
よくある質問
コンバージョンを上げるのに、まず何から手を付ければいいですか。
数えることからです。ページごとにコンバージョン率と離脱率を出し、来訪があって帰られているページを見つけます。そのいちばん漏れている1ページを、この記事の3つの理由のどれに当たるかで見立てて直します。色や文言の調整は、その後に回します。
ボタンの色を変えるのは効果がありますか。
すでに気持ちが「頼もう」まで進んでいる人に対しては、最後のひと押しとして少し効きます。ただ、多くのサイトはそこまで進む前に帰られているので、色より先に「何をする会社か」と「次の一歩」を直したほうが、動く数は大きく変わります。
集客できないのですが、広告を増やすべきですか。
先に、人が来ていないのか、来ても帰っているのかを分けて見てください。人はそこそこ来ているのに率が低いなら、直すのは受け皿です。受け皿が漏れたまま広告を増やすと、かけた分の多くが帰られて回収できません。
コンバージョン率はどのくらいを目指せばいいですか。
業種や商材で大きく違うので、他社の平均を目標にする意味はあまりありません。比べる相手は過去の自社です。先月の自社の率を基準にして、そこから上がったかどうかで判断すると、まぎれの少ない改善ができます。
直してもすぐに数字が動きません。焦ったほうがいいですか。
焦らなくて大丈夫です。数字は曜日や季節で揺れるので、直後の数日では判断できません。1箇所直したら2週間ほど様子を見て、直す前の同じくらいの期間と比べます。1つずつ確かめる積み重ねが、最後にいちばん大きな差を生みます。
まとめ 最初に直す1ページを決める
コンバージョンを上げる作業は、ボタンの色を変える小手先の話ではありません。来た人が帰る理由を、離脱率の高いページから順に消していく作業です。帰る理由は、何をする会社か伝わらない、次の一歩が分からない、不安が消えていない、この3つに集約されます。
まず数えて、いちばん漏れている1ページを見つけ、3つの理由のどれかで見立てて、そこだけを直す。直したら同じ物差しで確かめる。この工程を1枚ずつ回すのが、コンバージョン率を上げる方法の本体です。集客できないと感じたときも、人を増やす前に受け皿の漏れを止めるのが先です。
読み終えたいま、自社サイトで最初に直す1ページはもう決まっているはずです。来訪があって、いちばん帰られているページです。その1枚を、下の点検表に沿って今日のうちに1つだけ直してみてください。
| 読者の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| どこを直すか未定 | 手が止まっている | 離脱の多い1ページを選ぶ |
| 最初の画面が伝わらない | 3秒で帰られている | 悩みの言葉で1行書き直す |
| 行き先が多い | 選べず帰られる | 行き先を1つに絞る |
| 不安が残る | 頼む直前で止まる | 進め方を先に見せる |
| フォームが重い | 最後で取りこぼす | 項目を1つ減らす |
| 直した後を見ていない | 効いたか分からない | 2週間後に率を比べる |
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