オプトインフォームは、広告や宣伝を含むメールを送ってよいかどうかを、登録する本人が自分の操作で答える入力画面です。
作り方の中心は2つあります。送信者と送る内容を入力欄と同じ画面で読める形にすることと、本人のチェックを同意の記録として残すことです。
この2つに、入力しやすい項目設計と、Gmailに届くための送信側の設定が加わります。
根拠にしたのは、総務省・消費者庁・個人情報保護委員会・デジタル庁・Googleの公式資料と、e-Govの条文、WCAG 2.2の日本語訳(ウェブアクセシビリティ基盤委員会、WAIC)です。確認日は2026年10月29日で、鉤括弧の引用はその日に開いたページから写した文だけです。
公式に書かれていない部分は、「筆者の提案」「筆者の読み」「筆者の補足」と明記して、公式の記述と分けています。
オプトインフォームの用語と、この記事の根拠
先に押さえる用語
以降の節で使う略称を先に決めます。「特電法」は、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の略称です。ガイドラインは、総務省・消費者庁の特定電子メールの送信等に関するガイドラインを指します。
Googleの送信者向けの文書は、Gmail送信者ガイドライン、Gmail送信者FAQと呼びます。ほかのFAQは、個人情報保護委員会のFAQ、総務省の外部送信FAQ、reCAPTCHAのFAQのように、発行元をつけて書きます。
用語の意味は、次の表のとおりです。
| 用語 | 意味 | フォームとの関わり |
|---|---|---|
| オプトイン | 受信者が事前に同意してから送る方式 | チェックなど本人の操作で同意を取る |
| オプトアウト | 受信者がメールの受け取りを断ること | 解除の入口をメール内に置く |
| ダブルオプトイン | 登録後に確認メールを送り、本人の操作があって初めて同意を確定する方式(ガイドラインの説明) | 登録画面のあとに足せる追加の段階 |
| 特定電子メール | 営利を目的とする団体や営業を営む個人が、自己または他人の営業の広告や宣伝のために送る電子メール(特電法第2条第2号の趣旨) | 自社の商品案内を載せるメルマガが該当しうる |
| 個人情報 | 特定の個人を識別できる情報。メールアドレスも、個人を識別できる場合は単独で該当する | 利用目的を入力画面で示す必要が出る |
| 表示事項 | 特定電子メールに表示するよう、特電法と施行規則が定めた事項。5つあり、内訳は配信停止の節の表にある | 配信メールと確認メールに入れる |
根拠にした公式資料
開いた資料の版と更新日は、次のとおりです。
| 資料 | 発行元 | 確認した版・更新日 | 使う箇所 |
|---|---|---|---|
| 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 | e-Gov法令検索 | 2025年6月1日施行の版 | 同意、記録、解除、表示 |
| 同法施行規則 | e-Gov法令検索 | 2020年12月15日施行の版 | 記録の保存方法と期間 |
| 特定電子メールの送信等に関するガイドライン | 総務省・消費者庁 | 表紙に「平成23年8月」 | 同意の表示、確認画面、ダブルオプトイン |
| 個人情報の保護に関する法律 | e-Gov法令検索 | 2026年10月1日施行の版 | 利用目的の明示 |
| 個人情報保護委員会のFAQ(Q1-4、Q4-17) | 個人情報保護委員会 | ページ上で更新日を確認できず | メールアドレスの扱い、入力画面の利用目的 |
| 特定商取引に関する法律 | e-Gov法令検索 | 2026年8月12日施行の版 | 通信販売の電子メール広告の承諾と記録 |
| 不当景品類及び不当表示防止法 | e-Gov法令検索 | 2026年5月21日施行の版 | 景品類の定義 |
| 景品類等の指定の告示の運用基準 | 消費者庁 | 令和6年4月18日消費者庁長官決定 | 登録特典の考え方 |
| デジタル庁デザインシステムベータ版 インプットテキスト(使い方) | デジタル庁 | v2.18.2、2025年8月20日更新 | ラベル、エラー表示、自動変換 |
| WCAG 2.2 日本語訳 | ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC) | 2024年12月12日付のW3C勧告の翻訳 | 入力の達成基準、ターゲットサイズ |
| Gmail送信者ガイドライン、Gmail送信者FAQ(日本語版) | Google(Gmailヘルプ) | ページ上で更新日を確認できず | 送信者の要件 |
| reCAPTCHAのFAQ(日本語版・英語版) | Google for Developers | 日本語版は2026年2月9日、英語版は2026年4月2日が最終更新 | バッジの表示 |
| 総務省の外部送信FAQ | 総務省 | ページ上で更新日を確認できず | 外部送信規律の対象 |
ガイドラインの表紙は「平成23年8月」で、総務省の案内ページはガイドラインの策定時期を「平成20年11月」と書いています。
表紙の年月より後の改定があるかどうかは、今回開いた範囲では確認できませんでした。
reCAPTCHAのFAQは、日本語版と英語版で更新日も文言も違います。示す文言の違いは、スパム対策の節で書きます。
オプトインフォームの作り方:登録から配信までの全体像
登録から配信までは、5つの段階を順に通ります。
同意の記録は、配信を始める前に自動で残る仕組みにしておく(筆者の提案)。
5つの段階で決めること
段階ごとに決めることと、該当する節を表にしました。点検表(最後の節)も、この順に並べています。
| 段階 | 決めること | 該当する節 |
|---|---|---|
| 1 登録画面 | 送信者名、メールの種類と頻度、利用目的、チェック欄、入力項目 | 同意として認められる表示の条件/メールアドレスが個人情報になる場合/入力項目とラベルの作り方 |
| 2 確認画面 | 同意した状態と、届くメールの種類の表示 | 同意として認められる表示の条件 |
| 3 確認メール(任意) | ダブルオプトインを入れるか、代わりの方法にするか | ダブルオプトインは入れるべきか |
| 4 同意の記録 | 保存する項目と保存期間 | 同意の記録を残す |
| 5 配信と解除 | メール内の表示事項、解除の入口、Gmailの送信者要件 | 配信停止と、メールに表示する事項/Gmailに届くための送信側の条件 |
段階1の入力画面には、エラー表示、スマホでの押しやすさ、登録特典、スパム対策も関わります。これらは、段階1を作り込むための節として別に書きます。
特電法が求める事前の同意
広告や宣伝を含むメールは、事前の同意が要る
特電法の第3条第1項は、特定電子メールを送ってよい相手を限っています。
1号に挙がるのは、「あらかじめ、特定電子メールの送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨」を、送信者または送信委託者に通知した人です。
登録フォームで本人が示す同意は、この1号の「通知」にあたります。
ガイドラインは同意の中身を、「①受信者が広告・宣伝メールの送信が行われることを認識した上で、②それについて賛成の意思を表示した場合に、同意が得られたものと考えられる。」と書いています。
フォームの設計は、この2つの条件を満たすことに尽きます。送られることを認識できる表示と、賛成の意思を示す本人の操作です。
営業上のメルマガは特定電子メールとして設計する
特電法第2条第2号は、特定電子メールを「自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信をする電子メール」と定めています。
送信者は、営利を目的とする団体と、営業を営む場合の個人に限られます。
ガイドラインは、営業上のメールマガジンを、同意の取得の項で取り上げています。
「営業上のメールマガジンなど、広告や宣伝が掲載されている雑誌や新聞と同様に広告・宣伝が掲載されていることが想定される電子メールについては、同意の取得に当たり、その送信がされることを表示されていれば」、付随的に広告や宣伝が載ることまで示していなくても、必ずしも同意が取得されていないとはいえない、という趣旨です。
営利を目的とする団体や営業を営む個人が、自社の商品やサービスの案内を載せて送るメルマガは、上の定義に当たる前提で設計します(筆者の読み)。同意の表示は、次の節の4点で整えます。
同意なしで送れる相手は、例外として限られる
第3条第1項の2号から4号には、同意の通知がなくても送れる相手が挙がっています。フォームの設計に関わる点を表にしました。
| 条文 | 相手 | ガイドラインの説明 | フォームとの関係 |
|---|---|---|---|
| 第3条第1項第2号 | 自己の電子メールアドレスを通知した人 | 通知の方法は書面が原則。名刺のように書面で通知した場合を想定している | ウェブサイトのフォームだけで入ったアドレスは、書面で通知されたという原則から外れる |
| 第3条第1項第3号 | 取引関係にある人 | 社会通念上、明示の拒否がなければ広告・宣伝メールが送られることを許容している関係 | 購入が一度だけの人は、継続的な関係とは限らない |
| 第3条第1項第4号 | 自己のメールアドレスを公表している団体や営業を営む個人 | 受信拒否の表示と併せて公表している場合は、公表に当たらない | 事業者向けの送信の例外であり、消費者向けのフォームの代わりにはならない |
2号の「書面」については、施行規則第2条が通知の方法を「書面により通知する方法」と定めています。
ガイドラインは、ウェブサイトなど書面以外の手段で通知されたアドレスに送れる場合として、契約の申込者への通知メールに広告が付随する場合などを挙げています。
お問い合わせフォームで受け取ったアドレスにメルマガを送りたいときは、メルマガ用の同意を別のチェック欄で取っておくのが確実です(筆者の提案。ガイドラインの記述からの読みです)。
通信販売では特定商取引法も関わる
特定商取引法の第12条の3は、通信販売をする販売業者や役務提供事業者に向けた条文です。
第1項は「相手方となる者の承諾を得ないで電子メール広告」をしてはならないと定め、第3項は承諾を得たことの記録の作成と保存を求めています。
自社が通信販売に当たるかどうかで、この条文が適用されるかが決まります。個人情報保護法はメールアドレスが個人情報になる場合の節、景品表示法は登録特典を付けるときの注意の節で扱います。
同意として認められる表示の条件
同意の表示に求められる4つの点
ガイドラインは、広告・宣伝メールが送られることと送る人が誰かを、「通常の人間であれば認識できるような形」で示すよう求めています。具体的な方法は一律に限定されておらず、フォームの作り方に自由度があります。
記述を4つの点に整理し、フォームで確かめる項目を表にしました。4番目は推奨の位置づけで、1番目から3番目は認識できる表示の前提として書かれています。
| 点 | ガイドラインの記述 | フォームで確かめること(筆者の提案) |
|---|---|---|
| 1 送る人が分かる | 「関連サイト」「姉妹サイト」と書くだけでは、「広告・宣伝メールの送信者又は送信委託者を具体的に特定することができず、適切に同意が取得されているとはいえない」 | 運営者の正式名称を、チェック欄の近くに書く |
| 2 広告・宣伝メールが送られると分かる | 営業上のメールマガジンは、送信されることが表示されていれば足りる(前の節の引用の趣旨) | 新商品やセミナーの案内を含むメールマガジンを送りますのように、送る内容を一文で書く |
| 3 見える大きさ・色・場所に置く | 小さすぎる文字や目立たない色、長い規約の奥は、「受信者が認識できるように表示されているとはいえない」 | 本文と同じ大きさの文字で、入力欄と同じ画面に置く |
| 4 負担になる頻度・容量は先に伝える(推奨) | 頻度が多い場合や容量が大きい場合は、同意の取得に当たって内容を受信者に伝えることが推奨される(趣旨) | 頻度の目安を、同意文の中に入れる |
運営者の名称は、特電法の条文にある「送信者又は送信委託者」に当たる者を指します。ウェブサイトの運営会社とメール配信の責任者が違う場合は、メールに責任を持つ側の名称を書きます(筆者の読み)。
同意文の組み立て方
同意文は、誰が、何を、どのくらいの頻度で送るかの3要素を1文に入れると、短く収まります。
筆者の提案としての例文です。
株式会社〇〇(運営者の正式名称)から、新商品やセミナーの案内を含むメールマガジンを月2回程度お送りします。
チェック欄のラベルは、上記の内容に同意してメールマガジンを受け取るのように、送信への賛成を表す文にします。規約に同意するというラベルに同意文を埋め込む作りは、3番目の点(認識できる場所)に引っかかります。
チェック欄はデフォルトオフが推奨される
ガイドラインは、チェック欄を初期状態でオンにする「デフォルトオン」と、オフにしておく「デフォルトオフ」を並べて説明しています。
ガイドラインは、デフォルトオンかデフォルトオフかだけでは同意の有無が決まらないとして、認識と賛成の意思表示が示されたかどうかを判断の軸に置いています。そのうえで「デフォルトオフによることが推奨される」と書かれています。
デフォルトオンで運用する場合の注意も、ガイドラインにあります。チェックを外さないと同意したことになる旨と、チェックの外し方を、利用者が容易に認識できるように表示することが推奨されています。
デフォルトオンでチェック欄が複数あるときは、一括ですべてのチェックを外す機能を持つことも推奨されています。
筆者の提案としては、新しく作るフォームはデフォルトオフにします。規約への同意とメルマガへの同意は欄を分け、メルマガ側を空欄の状態で出します。
最後の確認画面で同意の状態を見せる
ガイドラインは、利用者が記載を見落として誤って同意するのを防ぐため、「最後の確認画面などにおいて、利用者に対して、広告・宣伝メールの送信について同意した状態となっていることや送信される広告・宣伝メールのタイトル等を表示することが望ましい」と書いています。
「望ましい」とされている事項で、法律上の義務の書き方ではありません。確認画面を置く設計なら、同意の状態と届くメールの種類(ガイドラインの例は「タイトル等」)を1行ずつ足すと、この望ましい形になります。
確認画面を省く1ステップのフォームでは、送信ボタンの直前に同意の状態が見えるように並べておきます(筆者の提案)。
ダブルオプトインは入れるべきか
ガイドラインは、ダブルオプトインを一律には求めず、場面によって推奨する書き方をしています。Gmailに送る場合は、Gmail送信者ガイドラインが登録前のアドレス確認を手順に挙げているので、確認メールかその代わりの手順のどちらかを置いて設計します(筆者の読み)。
ガイドラインが推奨する場面
ダブルオプトインは、登録されたアドレスに広告を含まない確認メールを送り、本人が返信などの操作をして初めて同意を確定する方式です。
ガイドラインが推奨する場面は2つです。他人のアドレスを無断で使う「なりすまし」を防ぐ必要が高い場合と、「受信者等からの同意の有無に関する問合せに対して同意があることを立証する必要がある場合」です。
フォームに他人のアドレスを入れられるのは、入力時にアドレスの持ち主を確かめる仕組みがないからです。確認メールは、その持ち主を確かめる手段になります。
メルマガ購読では必ずしも適当でない場合がある
ガイドラインの同じ箇所には、ブレーキの文もあります。「メールマガジンの購読など受信者が簡便な利用を求めているサービスなどでは、受信者にとってもダブルオプトインを行うことが負担となる場合もあり、ダブルオプトインを実施することが必ずしも適当でない場合もあることに留意することが必要である」と書かれています。
ダブルオプトインの採否は、メルマガの簡便さとの兼ね合いで決める事項です。
ダブルオプトインの代わりになる方法
ガイドラインは、ダブルオプトインより簡便な方法も挙げています。登録されたアドレスに、本人でない場合は返信してほしいと伝える広告を含まないメールを送り、返信がない場合に限って広告・宣伝メールを送る方法です。
ダブルオプトインを実施しない場合について、ガイドラインは「そうした方法の実施も検討すべきである」と書いています。
確認メールを使わない運用に決めたら、なりすましの問合せが来たときの手順を先に決めておきます(筆者の提案)。
Gmail送信者ガイドラインは、登録前に各受信者のメールアドレスを確認する手順を挙げています。確認メールを使わない場合に、どの方法がこの手順を満たすかは、同ガイドラインに書かれておらず、今回は確認できていません。使わないと決めるなら、アドレスを確認する別の方法を決め、理由とあわせて残しておきます(筆者の提案)。
確認メール自体も特定電子メールに当たる
ダブルオプトインで送る確認メールにも、ガイドラインの定めがあります。「同意の取得・確認のために送信される電子メールは、最終的に広告・宣伝メールを送信するために送信されるものであることから、広告又は宣伝を行うための手段として送信される特定電子メールに該当する」と書かれています。
そのうえで、確認メールを送れる場合は、事前の同意を取得した場合のほか、アドレスの通知や公表といった例外に当たる場合に限られると説明されています。
この記述からは、フォームの段階で同意の表示を済ませてから確認メールを送る流れが読み取れます(筆者の読み)。確認メールにも、送信者の名称や解除の方法といった表示事項を入れておきます。
同意の記録を残す
記録を保存する義務がある
特電法の第3条第2項は、同意の通知を受けた者に、同意があったことを証する記録の保存を義務づけています。
記録の保存方法は施行規則の第4条が定めています。条文の言い方は「必要に応じ提示することができる方法」です。
ガイドラインは、この義務の趣旨を、法執行に必要な範囲であって、事業者にとって実施可能で過剰な負担にならない範囲に絞った定めだと説明しています。
保存する項目
施行規則の第4条第1項は、次の2つのうちいずれかの記録を保存する方法を定めています。ガイドラインの説明と合わせて、ウェブフォームに当てはめました。
| 方式 | 保存するもの | ウェブフォームでの当てはめ |
|---|---|---|
| 1 アドレスごとの記録 | 個別のアドレスごとに、通知を受けた時期と方法その他の状況を示す記録 | アドレス、同意した日時、登録フォームの入口(どのページか)を1行ずつ保存する |
| 2 アドレスの特定+定型部分の記録 | 送信先にできるアドレスが特定できる記録と、ウェブサイトを通じて同意を得た場合の通信文の定型的な部分 | アドレスの一覧と、同意を取った画面の文言・画面構成(版ごとの控え)を保存する |
ガイドラインは、ウェブサイト経由の場合の定型的な部分を、「同意の取得に際して示す当該ウェブサイトの画面構成」と書いています。
文言を後から書き換えたときに、旧版が残っていないと、過去に登録した人がどの文を見て同意したかを示せません。版ごとの控えを残すのは、筆者の提案です。
この記事では、アドレス、同意した日時、登録ページ、同意文の版を、同意の記録の4項目とします。2つの方式のどちらにも使える組み合わせです(筆者の提案)。
保存期間
施行規則の第4条第2項は、メールを送った場合の保存期間を「当該送信を最後にした日から起算して一月を経過する日までの間」と定めています。
総務大臣と内閣総理大臣による措置命令を受けた場合は、期間が変わります。命令を受けた日から1年が経過するまでの間に最後の送信をしたときは、最後に送信した日から1年間の保存が必要とされています(ガイドラインの説明)。
保存期間は、その人への配信をやめた日から数えます。登録者が配信を続けている間は、記録を消せません。
法令の最低ラインと、説明のための記録
ガイドラインは、法令上の義務とは別に、受信者とトラブルが起きたときの説明を挙げています。「説明のために最低限必要な記録を保持しておくことが推奨される」と書かれています。
登録した覚えがないという問合せが来たときに答えられる記録は、アドレス、同意した日時、登録ページ、同意文の版の4項目です。同意文の版には、確認画面の文言と画面構成の控えを含めます(筆者の提案)。
これらを配信システムの管理画面だけに置くと、サービスを乗り換えたときに失われます。自社で持つ控えを1つ用意しておきます。
メールアドレスが個人情報になる場合
メールアドレスだけで個人情報に当たる場合
個人情報保護委員会のFAQ(Q1-4)は、メールアドレスだけでも個人情報に当たるかを説明しています。
回答は、ユーザー名とドメイン名から特定の個人を識別できる場合、そのメールアドレスは「それ自体が単独で、個人情報に該当します」と書いています。
これ以外の場合は個別の事例ごとの判断で、他の情報と容易に照合して個人を識別できるときは、その情報とあわせて全体として個人情報に当たることがあるとされています。
メルマガの登録者リストは、アドレスに氏名や会社名を足して持つことが多く、個人情報として扱う前提で設計しておくのが安全です(筆者の提案)。
入力画面で利用目的を示す
個人情報保護法の第17条第1項は、個人情報を取り扱うに当たって、利用の目的をできる限り特定するよう求めています。
第21条第2項は、本人から直接書面に記載された個人情報を取得する場合に、「あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない」と定めています。この「書面」には電磁的記録が含まれると、同項のかっこ書きで規定されています。
個人情報保護委員会のFAQ(Q4-17)は、ホームページ上の入力画面もこの対象に含めて説明しています。
メルマガ配信の目的は、入力欄の近くに書く
Q4-17は、取得の状況から利用目的が明らかな場合は明示が不要になる例外(法第21条第4項第4号)にも触れています。
例として、申込みで取得したアドレスを申込内容の確認や履行の結果通知に使う場合が挙げられ、続けて「新たなサービスの案内、提携先への提供等に利用することは自明の利用目的に該当しない場合があるので注意を要します」と書かれています。
メルマガの登録フォームで取るアドレスは、申込内容の確認には使わず、メルマガの配信に使います。引用の例でいえば「新たなサービスの案内」の側に近いため、自明の利用目的とは扱われない場合があると読めます(筆者の読み)。メルマガの配信、案内の内容、問合せへの返信などの使い道を、入力欄の近くに文で書いておきます(筆者の提案)。
利用目的の文は、特電法の同意文と同じ画面に並べると、利用者が1回の視線で読み取れます。2つは根拠となる法律が違うので、文を分けて書きます。
入力項目とラベルの作り方
入力項目はメールアドレスを軸に決める
特電法が同意の通知に求めるのは、送信してよいというメッセージと、送り先のメールアドレスです。氏名や会社名は、メルマガの配信に法律上必須の項目として書かれていません。
個人情報保護法は、取り扱う目的をできる限り特定するよう求めています(第17条第1項)。項目を足すときは、その項目を何に使うかを説明できるものだけに絞ります(筆者の提案)。
項目の決め方を表にしました。
| 項目 | 置き方(筆者の提案) | 理由 |
|---|---|---|
| メールアドレス | 必須 | 配信先そのもの |
| 同意のチェック欄 | メルマガ専用の欄を分けて、デフォルトオフにする | 認識と賛成の意思表示を、利用者の操作で残すため |
| お名前 | 配信の宛名に使う場合だけ置く。置くなら任意にする | 使い道がなければ、取得の理由を説明できない |
| 興味のある分野など | 配信内容を出し分ける場合だけ置く。任意にする | 出し分けに使う目的を、利用目的の文に書くため |
各項目には、項目名に必須か任意かを添えます。デジタル庁のデザインシステムは、要否ラベルとして「※必須」「※任意」を付与できると書いています。
ラベルとサポートテキストの置き方
デジタル庁デザインシステムのインプットテキスト(使い方)は、サポートテキストについて「入力形式の条件や例を簡潔かつ具体的に記述します。」と書いています。
続けて、「サポートテキストを企図して、プレースホルダーテキストを使用してはなりません。」とも書かれています。入力欄の中に薄く表示する文字は、入力を始めると消えるためです(筆者の補足)。
メールアドレスの欄なら、半角で入力する旨と、example@example.com のような形式の例を、欄の外に文字で置きます。
同じ資料は、「必要十分なサポートテキストをあらかじめ提示しなければなりません。」とも書いています。
入力欄の幅と、入力できる文字の種類
入力欄の横幅について、同じ資料は「入力フィールドの横幅は、入力内容に相応しい長さにしてください。」と書いています。メールアドレスは長めになりやすいので、極端に短い欄は避けます。
文字種については、「原則として、入力できる文字種を限定しないようにします。」という方針です。
全角で入力されたメールアドレスを、システム側で半角に直す作りが、これに合います。変換するタイミングは、次の節で扱います。
サポートテキストで半角での入力を案内することと、全角で入力されても受け付けて半角へ直すことは、両立します。案内は利用者への助けで、変換はシステム側の受け皿です(筆者の提案)。
この節の内容を、フォームの部品ごとにまとめました。
| 部品 | デジタル庁デザインシステムの記述 | メルマガフォームでの当てはめ(筆者の提案) |
|---|---|---|
| 項目ラベル | 項目ラベルとサポートテキストを垂直に積み、入力フィールドとエラーテキストも垂直に積む(趣旨) | 項目名、サポートテキスト、入力欄、エラー文を上から縦に並べる |
| 要否ラベル | 「※必須」「※任意」を付与できる | メールアドレスに「※必須」を付ける |
| サポートテキスト | 入力形式の条件や例を簡潔かつ具体的に書く | 半角で入力する旨と、形式の例を書く |
| プレースホルダー | サポートテキストの代わりに使ってはならない | 入力欄の中の薄い文字は、補助的な例示にとどめる |
| 入力欄の横幅 | 入力内容に相応しい長さにする | メールアドレスが途中で切れない幅にする |
| 入力できる文字種 | 原則として限定しない | 全角で入力されても受け付け、半角へ直す |
入力項目をどこまで絞るかは、問い合わせフォームの作り方の記事も参考になります。
エラー表示と入力補助
エラー文は場所と直し方まで書く
デジタル庁デザインシステムは、エラーテキストについて「入力内容にエラーがある場合に、具体的なエラー内容および訂正方法を記述します。」と書いています。
悪い例として、何が誤りなのかが示されていない文と、何が正しい入力なのかが示されていない文が挙げられています。
メールアドレス欄の例を、筆者の提案として並べます。
| 書き方 | 文面の例(筆者の提案) |
|---|---|
| 直し方が分かりにくい | 入力内容に誤りがあります |
| 場所と直し方まで書く | *メールアドレスに @ が含まれていません。example@example.com の形式で入力してください |
デジタル庁デザインシステムは、エラーテキストの冒頭に「*(全角アスタリスク)」を付けて、地の文章と区別するよう書いています。
エラーを出すタイミング
エラーを出す時点については、「エラーを表示するタイミングは、送信ボタン押下時または押下後が望ましい。」と書かれています。
入力の途中で出すことについては、「入力直後やインプットテキストのフォーカスアウト時にエラー表示をすることは、表示位置がずれたり、一連の入力を通じて正しい値を入力しようとする場合に煩わしかったりするので、避けたほうが望ましい。」としています。
入力の途中でエラーを出す作りもありますが、公式の指針が望ましいとするのは、送信ボタンを押した時点か、その後です。
自動変換についても、同じ考え方です。「自動変換するタイミングは、送信ボタン押下時または確認画面表示時が望ましい。」と書かれ、確認画面では「自動変換した結果の文字列を表示し、ユーザーが承認または修正できるようにします。」としています。
ウェブアクセシビリティの該当項目
WCAG 2.2は、ウェブコンテンツのアクセシビリティの国際的な達成基準です。日本語訳をウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)が公開しています。フォームに関わる基準を表にしました。
| 達成基準 | レベル | 日本語訳の文 | フォームでの対応(筆者の提案) |
|---|---|---|---|
| 3.3.1 エラーの特定 | A | 「入力エラーが自動的に検出された場合、エラーのある項目が特定され、そのエラーがテキストで利用者に説明される。」 | どの欄が誤りかを、色だけに頼らず文字で書く |
| 3.3.2 ラベル又は指示 | A | 「コンテンツが利用者の入力を要求する場合、ラベル又は指示が提供されている。」 | 項目名と入力形式の説明を、欄の外に置く |
| 3.3.3 エラーの修正提案 | AA | 「入力エラーが自動的に検出され、かつ修正の提案が分かっている場合、その提案が利用者に提供される。」 | @ の抜けなど、直し方が分かる誤りは直し方を書く |
| 1.3.5 入力目的の特定 | AA | 入力目的の一覧に「email – 電子メールアドレス」が挙がっている | メールアドレス欄に、入力目的が機械的に分かる属性を付ける |
3.3.3の文には続きがあり、「ただし、コンテンツのセキュリティ又は目的を損なう場合は除く。」と書かれています。
1.3.5の入力目的は、ブラウザの自動入力などが欄の意味を判断するための仕組みです。メールアドレス欄に使える属性の付け方は、HTMLの仕様に従います(筆者の補足)。
スマホで押せるボタンと文言
押せる大きさの基準
小さな画面で押し間違いを減らす基準が、WCAG 2.2に2つあります。
2.5.8(AA)は、「ポインタ入力のターゲットのサイズは、少なくとも24×24 CSSピクセルである。」と書いています。ただし、間隔が十分にあれば小さなターゲットでも認められる例外があります。
2.5.5(AAA)は、より高い水準として44×44 CSSピクセルを挙げています。
| 達成基準 | レベル | ターゲットのサイズ | 登録フォームで確かめる部品 |
|---|---|---|---|
| 2.5.8 ターゲットのサイズ(最低限) | AA | 少なくとも24×24 CSSピクセル | 送信ボタン、チェック欄、リンク |
| 2.5.5 ターゲットのサイズ(高度) | AAA | 少なくとも44×44 CSSピクセル | 送信ボタン、チェック欄 |
CSSピクセルは、ウェブ上の表示の単位です。画面の物理的なドットの数とは一致しない場合があります。
チェック欄の押しやすさ
同意のチェック欄は、小さな四角だけを押す作りにすると、スマホで外れやすくなります。
ラベル文字そのものを押してもチェックが入るようにしておくと、押せる面積が広がります(筆者の提案)。
利用規約へのリンクをチェック欄の文の中に置く場合は、リンクの文字とチェック欄が近づきすぎない間隔にします。
ボタンの文言と置き場所
送信ボタンの文言は、押した結果が分かる動詞にします。送信よりもメルマガに登録するのほうが、何が起きるかを読み取れます(筆者の提案)。
ボタンは、同意文とチェック欄の直後に置きます。同意の表示と送信が同じ視線の範囲に入るようにするためです。
確認画面を置く場合は、ボタンの文言を確認画面へとこの内容で登録するに分けます。確認画面へというボタンなら、押した時点ではまだ登録が完了していないことを、利用者に見せられます。
登録特典を付けるときの注意
景品表示法が定める景品類
景品表示法の第2条第3項は、景品類を次のように定義しています。「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益」であって、内閣総理大臣が指定するものです。
景品類の要件は、取引に付随して提供することと、内閣総理大臣が指定するものであることの2つです。この記事が扱うのは、条文の「付随して」の側です。指定の内容は、今回は確かめていません。
メルマガの登録特典が景品類に当たるかを考える入口は、取引に付随して提供されるかどうかです(筆者の読み)。
運用基準の「取引に附随」の読み方
消費者庁の運用基準(令和6年4月18日消費者庁長官決定)は、「取引に附随して」の意味を説明しています。登録特典に関わる記述を表にしました。
| 運用基準の記述 | 登録特典に当てはめるときの見方(筆者の読み) |
|---|---|
| 取引を条件として他の経済上の利益を提供する場合は、取引に附随する提供に当たる | 商品の購入を条件にした特典は、この記述に当たる |
| 取引を条件としない場合であっても、「取引の相手方を主たる対象として行われるときは」、取引に附随する提供に当たる | 購入者だけに案内する特典は、この記述に近づく |
| 商品又は役務を購入することにより、経済上の利益の提供を受けることが可能又は容易になる場合は、取引に附随する提供に当たる | 購入しないと中身が分からない資料は、この記述に近づく |
| 「取引の勧誘に際して、相手方に、金品、招待券等を供与するような場合」は、取引に附随する提供に当たる | ギフト券などの金品は、この記述の例に挙がっている |
表の4行を、登録特典に当てはめて読みます(筆者の読み)。1行目と3行目は、購入を条件にせず、購入すると受け取りやすくなる作りにもしていなければ、当たらない読み方ができます。
2行目は、特典の案内が購入者や取引中の人を主たる対象にしているかで変わります。購入前の訪問者にも同じ条件で出す作りかどうかを、案内の文面とあわせて確かめます。
4行目は、金品や招待券を渡す場合の例です。金品や招待券を登録特典にする場合は、設計の前に消費者庁へ確認します。ここでの当てはめは筆者の読みで、個別の判断は所管官庁の解釈によります。
特典と配信の同意を別の欄にする
資料を受け取る操作と、メルマガを受け取る同意は、別のチェック欄にします(筆者の提案)。同意の対象が資料の送付なのかメルマガの配信なのかを、利用者が見分けられるようにするためです。
ガイドラインは、同意が認識と賛成の意思表示で成り立つと説明しています。資料の送付先を入力するだけで同意が取れたことにする作りは、この2つの条件に引っかかります(筆者の読み)。
資料の種類や形式の選び方は、リードマグネットの作り方の記事で整理しています。
スパム対策と外部送信の確認
reCAPTCHAのバッジを隠すときの表示
登録フォームにはボット対策を入れることが多く、reCAPTCHAは代表的な仕組みです。reCAPTCHAを入れると、フォーム上にバッジが表示されます。
バッジを隠したい場合の扱いは、Google for DevelopersのreCAPTCHAのFAQに書かれています。日本語版は「ユーザーフローに reCAPTCHA のブランドを明示しているのであれば、バッジを非表示にできます。」と書き、続けて「次のテキストを含めてください。」と案内しています。
日本語版は最終更新日が2026年2月9日で、示している英文が英語版とは違います。日本語版の英文は、本文には写しません。
英語版は最終更新日が2026年4月2日で、示している英文は「This site is protected by reCAPTCHA.」の1文です。
この記事は、どちらの文も必須とは断定しません。バッジを隠す設計にするときは、その日のreCAPTCHAのFAQを開いて、示されている文を確認します。
外部送信規律の対象かどうか
外部送信規律は、電気通信事業法の第27条の12が定める、ウェブサイトからの利用者情報の外部送信に関する決まりです。総務省のページに、改正電気通信事業法の施行日は2023年6月16日と書かれています。
総務省の外部送信FAQ(問1-12)は、小売業者の自社ウェブサイトについて回答しています。「電気通信事業」を営んでいない場合は規律対象にならず、小売業者がウェブサイトで商品を販売するのは「本来業務である小売業の遂行の手段として電気通信を用いているに過ぎず」、外部送信規律も適用されないとされています。
外部送信FAQ(問2-12)は、同じウェブサイトの中でも、ニュース配信のページは対象で、会社案内のページは対象外という整理を示しています。会社案内は「自己の情報発信のために運営している」ためです。
自社の商品やサービスを案内するためのサイトに登録フォームを置く場合は、問1-12と問2-12の整理に近い位置づけと読めます(筆者の読み)。ニュース配信のように、情報提供そのものがサービスになっているサイトは、対象になる場合があります。
判断に迷うときは、総務省の外部送信FAQで自社の事業に近い問を探して確かめます。
配信停止と、メールに表示する事項
解除の通知を受けたら送らない
特電法の第3条第3項は、同意を得た相手でも、送信しないでほしいという通知を受けたときは、「その通知に示された意思に反して、特定電子メールの送信をしてはならない」と定めています。
通知の方法は、施行規則の第5条が「電子メールの送信その他の任意の方法」と定めています。ガイドラインも、具体的な方法は特に限定されていないと説明しています。
フォームの設計に引き寄せると、解除の入口を1つに決めず、メールの返信、解除ページ、問合せ窓口のどれから来た通知でも同じ名簿から外せる仕組みにします(筆者の提案)。
簡便なオプトアウトが推奨される
ガイドラインは、オプトアウトの方法が複雑だと、受信者は解除をせずに迷惑メール扱いにし続けると説明しています。そのうえで、送信者に「簡便なオプトアウトの方法を提供することが推奨される」としています。
例として挙がっているのは、メール本文に載せる解除用のURLを受信者ごとに変え、そのURLを開いた画面で簡便に解除できるようにする工夫です。
複数のメールを配信している場合は、一括ですべての項目の解除ができる設定を用意する工夫も、例に挙がっています。
解除ページでの本人確認にログインを求めたり、入力項目を増やしたりすると、簡便さが失われます。解除ページは、確認のボタン1つで完了する作りが理想です(筆者の提案)。
メールに表示する5つの事項
特電法の第4条は、特定電子メールに一定の事項を正しく表示するよう求めています。条文と施行規則の第9条を合わせると、事項は5つになります。
| 番号 | 表示する事項 | 根拠 | ガイドラインの表示場所 |
|---|---|---|---|
| 1 | 送信者の氏名または名称 | 特電法第4条第1号 | 受信者が容易に認識できる任意の場所 |
| 2 | 解除の通知を受けるためのメールアドレスまたはURL | 特電法第4条第2号 | 受信者が容易に認識できる任意の場所 |
| 3 | 解除の通知ができる旨 | 施行規則第9条第1号 | 解除の通知先の前後 |
| 4 | 送信者の住所 | 施行規則第9条第2号 | リンク先を含む任意の場所 |
| 5 | 苦情や問合せを受け付ける電話番号、メールアドレス、またはURL | 施行規則第9条第3号 | リンク先を含む任意の場所 |
ガイドラインは、これらを電子メール本文の最初または最後に記載することを推奨しています。リンク先に載せる場合も、リンク先に表示があることを受信者が容易に認識できるようにするよう、推奨しています。表の右端の列は、表示してよい場所の範囲です。本文の最初または最後は、その範囲の中で推奨されている位置です。
また、リンクを辿る手間についても、はっきり書いています。「何度もクリックしないと必要な表示にたどりつかないようなときには、表示として不適当なものである」とされています。
確認メールを使う設計にするなら、確認メールにも同じ5つの事項を載せます(確認メールが特定電子メールに当たるため)。
Gmailに届くための送信側の条件
Gmailの要件が関わる場面
Gmail送信者ガイドラインとGmail送信者FAQは、個人のGmailアカウントにメールを送る送信者に向けた要件を示しています。Gmail送信者FAQは、送信者の要件とGoogleによる措置が「個人の Gmail アカウントにメールを送信する場合にのみ適用されます」と書いています。
Google Workspaceアカウント宛てのメールには、Gmail送信者ガイドラインは適用されません。
Gmail送信者ガイドラインの購読の要件も、登録フォームの設計に直結しています。「あなたの組織からメールを受け取るように望んでいるユーザーのみにメールを送信する必要があります」と書かれています。
配信を承諾している受信者にだけ送るための手順として、Gmail送信者ガイドラインは「受信者の登録を行う前に、各受信者のメールアドレスを確認します」とも書いています。ダブルオプトインの確認メールは、この手順に合う方法です(筆者の読み)。確認メールを使わない場合の扱いは、ダブルオプトインの節に書きました。
要件の表
Gmail送信者ガイドラインの要件は、すべての送信者に向けた部分と、1日に5,000件を超えて送る送信者に向けた部分に分かれています。フォームの運営者が確認する項目を抜き出しました。
| 項目 | すべての送信者 | 1日に5,000件を超える送信者 |
|---|---|---|
| メール認証 | 送信元ドメインにSPFまたはDKIMを設定する | SPFおよびDKIMを設定し、DMARCも設定する。DMARC適用ポリシーはnoneでよい |
| 迷惑メール率 | 報告される迷惑メール率を基準内に維持する(数字は次の節) | 同左 |
| 登録解除 | 受信者がいつでも簡単に配信登録を解除できる方法を提供する | マーケティング目的のメールや配信登録されたメールは、ワンクリックで登録解除できるようにする |
5,000件を超える送信者向けの要件は、Gmail送信者ガイドラインに「2024年2月1日以降」と書かれています。
ワンクリックでの登録解除には、送信メールに2つのヘッダーを含めます。Gmail送信者ガイドラインに例が示されている形は、List-Unsubscribe-PostとList-Unsubscribeです。配信に使うサービスや自社のサーバーで、この設定ができるかを確かめます。
迷惑メール率の水準
迷惑メール率は、GoogleのPostmaster Toolsで確認できます。Gmail送信者ガイドラインは、迷惑メール率とドメインの評価がそこで見られると書いています。
迷惑メール率の水準は、Gmail送信者ガイドラインの2か所に書かれています。要件の一覧には「迷惑メール率を0.3%未満に維持します」とあります。
監視のセクションには、「迷惑メール率を0.10%未満に維持し、迷惑メール率が決して0.30%以上にならないようにします」と書かれています。
Gmail送信者FAQの迷惑メール率の節も、0.1%未満に抑え、決して0.3%以上にならないようにするよう書いています。
Gmail送信者ガイドラインは、メールを望むユーザーにだけ送ることで、受信者が迷惑メールとして報告する可能性が低くなると説明しています。同意の表示を整えることは、この点につながります。
Gmail送信者ガイドラインとFAQで食い違う数字と表記
Gmail送信者ガイドラインとGmail送信者FAQで、数字や条件の書き方が揃っていない箇所がありました。今回開いた日本語版の本文で比べています。
| 論点 | 書かれ方 | 出典 |
|---|---|---|
| 迷惑メール率の上限 | 「0.3% 未満」/「決して 0.30% 以上にならない」/Gmail送信者FAQの表では「0.3% を超えている」 | Gmail送信者ガイドラインの要件一覧、監視のセクション、Gmail送信者FAQの表 |
| 1日に5,000件を超える送信者の基準(Gmail送信者FAQでは一括送信者の定義) | 「5,000 件を超える」/見出しは「5,000 件以上」/Gmail送信者FAQの定義は「5,000 件近く、あるいはそれ以上」 | Gmail送信者ガイドライン、Gmail送信者FAQ |
| メール認証 | すべての送信者はSPFまたはDKIM/一括送信者はSPFおよびDKIM/Gmail送信者FAQの表は「SPF と DKIM の両方で認証されていない」/Gmail送信者FAQのエラーコード4.7.27は「SPF でメールを認証する必要があります」 | Gmail送信者ガイドライン、Gmail送信者FAQ |
0.1%は0.10%と、0.3%は0.30%と同じ値で、書き方が違うだけです。ただし、境界が「未満」「以上」「を超える」で揃っていない点は、そのまま残っています。
実務では、一番厳しい書き方に合わせて運用します(筆者の提案)。迷惑メール率は0.10%未満を目標にし、SPFとDKIMの両方を設定します。
ワンクリック解除の反映は48時間以内が勧められている
ワンクリックでの登録解除は、1日に5,000件を超える送信者向けの要件です。Gmail送信者FAQは、ワンクリックで登録解除した受信者をいつまでにリストから外すかについて、「登録解除のリクエストには48時間以内に対応することをおすすめします」と書いています。
同じGmail送信者FAQの要件の表には、「登録解除リクエストが48時間以内に反映されない」場合の措置として、「配信サポートまたは緩和策の利用停止」が挙がっています。
特電法の第3条第3項の条文と、今回確認したガイドラインのオプトアウトの節には、通知を受けてから外すまでの期間の数字が書かれていません。48時間は、Gmail送信者FAQが勧める目安で、特電法には書かれていない数字です。
解除の通知を、名簿から手作業で外すのに数日かかる運用は避けます。5,000件を超えない送信者も、解除ページから名簿へ自動で反映する設計にしておきます(筆者の提案)。
送信者の要件の全体は、メルマガ・営業メールが届かないのを防ぐ実務ガイドの記事でも整理しています。
よくある質問
チェック欄は最初からオンにしてもよいですか
ガイドラインは、同意の有無がデフォルトオンかデフォルトオフかだけでは決まらないとしています。そのうえで、デフォルトオフの方が受信者の意思がより明確に表示されるため、可能な場合はデフォルトオフが推奨されています。
デフォルトオンにするなら、チェックを外さないと同意したことになる旨と、チェックの外し方を、利用者が容易に認識できるように表示します。詳しくは、同意として認められる表示の条件の節に書きました。新しく作るフォームは、デフォルトオフにするのが無難です(筆者の提案)。
ダブルオプトインは必須ですか
ガイドラインは、ダブルオプトインを実施することを推奨する場面を挙げています。他方で、メルマガの購読のように受信者が簡便な利用を求めるサービスでは、必ずしも適当でない場合もあると書いています。
実施しない場合は、返信がなければ送るという簡便な方法も検討するよう書かれています。Gmailに送る場合は、Gmail送信者ガイドラインが登録前のアドレス確認を挙げているので、確認メールかその代わりの手順を決めておきます(筆者の読み)。
同意の記録は何を、いつまで残しますか
施行規則の第4条は、アドレスごとの通知を受けた時期と方法その他の状況を示す記録か、アドレスが特定できる記録に同意を取った画面の定型的な部分を加えた記録を、保存する方法として定めています。
保存期間は、メールを送った場合は最後の送信から起算して一月を経過する日までです。措置命令を受けた場合は、最後の送信から1年に延びる場合があります。
登録特典の資料を渡すと、景品表示法に触れますか
景品類は、事業者が自己の供給する商品や役務の取引に付随して提供する経済上の利益のうち、内閣総理大臣が指定するものと定義されています。
登録特典が当たるかどうかは、登録特典の節の表にある4つの記述を、1行ずつ当てはめて見ます。購入を条件にしない資料でも、2行目の案内の対象によって結論が変わります(筆者の読み)。金品や招待券を渡す場合は、設計の前に消費者庁へ確認します。
配信数が少なくても、Gmailの要件は関係しますか
個人のGmailアカウントに送る場合は、Gmail送信者ガイドラインの要件が関わります。1日に5,000件を超える送信者には、DMARCの設定やワンクリックでの登録解除といった追加の要件があります。
名簿の宛先が個人のGmailなのか会社のメールアドレスなのかで、関わる要件が変わります(筆者の補足)。Google Workspaceアカウント宛ての扱いは、Gmailに届くための送信側の条件の節に書きました。
まとめ
オプトインフォームの作り方は、登録画面で送る人・内容・目的を見える形で示し、本人のチェックを同意の記録に残し、配信側で表示事項と解除の入口を整える順に進みます。
登録画面では、送る人の名称、メールの内容、利用目的を、入力欄と同じ画面に、見える大きさで書きます。チェック欄はメルマガ専用にして、デフォルトオフを基本にします。入力項目、エラー表示、ボタン、登録特典、スパム対策も、この段階で決めます。
確認画面では、同意した状態と届くメールの種類を見せます。確認メールを使うかどうかは、簡便さと、Gmailに送る場合の登録前のアドレス確認との兼ね合いで決めます。
同意の記録は、アドレス、同意した日時、登録ページ、同意文の版の4項目を持ち、最後の送信から一月を経過する日まで保存します。
配信と解除では、メールに5つの表示事項を入れ、解除の入口を簡便にします。Gmail向けには、認証の設定と迷惑メール率を確かめ、1日に5,000件を超える場合はワンクリック解除と48時間以内の反映も確かめます。
今日できる点検
公開中のフォームを開き、確認メール、配信システムの管理画面、自分宛てのテストメール、Postmaster Toolsも順に開いて、次の7行の表を上から確認します。段階の番号は、登録から配信までの全体像の図と同じです。
| 段階 | 点検する項目 | 合格の目安 | 見る場所 |
|---|---|---|---|
| 1 登録画面 | 送る人の名称、メールの内容、利用目的が、入力欄と同じ画面にあるか | 同意文を読めば、誰がどんなメールを送るかが分かる | 公開中のフォームを、スマホとパソコンで開く |
| 1 登録画面 | チェック欄がメルマガ専用で、初期状態がオフか | チェックが利用者自身の操作で入る | フォームの初期表示 |
| 2 確認画面 | 同意した状態と、届くメールの種類が見えるか | 確認画面か送信ボタンの直前に表示がある | テスト登録の途中の画面 |
| 3 確認メール(任意) | 使うかどうかを決めたか。使うなら広告を含まず、表示事項が入っているか。使わないなら、登録前のアドレス確認の代わりの手順があるか | 使うなら確認メールの本文に5つの表示事項がある。使わないなら、代わりの手順と理由を書き残してある | 確認メールの本文 |
| 4 同意の記録 | アドレス、日時、登録ページ、同意文の版が残っているか | 最後の送信から一月を経過する日まで保存される | 配信システムの管理画面と自社の控え |
| 5 配信と解除 | 5つの表示事項がメールに入っているか。解除ページが簡便か | 5つがすべて入り、解除ページが確認のボタン1つで完了する | 自分宛てのテストメールと、解除ページ |
| 5 配信と解除 | 送信元ドメインの認証と、迷惑メール率を確認したか。1日に5,000件を超えるなら、ワンクリック解除と解除の反映も | SPFとDKIMが設定済みで、迷惑メール率が0.10%未満に収まる。5,000件を超えるなら、テストの解除が48時間以内に名簿へ反映される(Gmail送信者FAQの推奨) | 配信に使うサービスの設定と、Postmaster Tools |
7行のうち未達の行があれば、段階の番号に対応する節に戻って直します。
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