「検索ボリューム 調べ方」でこのページにたどり着いた方は、おそらくキーワードプランナーやラッコキーワードの使い方を知りたいはずだ。使い方自体は難しくない。だが、その数字が出た後の話をしないと、せっかく調べても書く記事を間違える。
実際、「検索ボリュームが多い言葉で1位を取ったのに、問い合わせが増えない」という相談は珍しくない。調べ方を間違えたというより、その数字が何を意味しているかを誤解していることの方が、原因としてはよほど多い。
この記事では、まず検索ボリュームという指標の限界を確認する。そのうえで、実際の調べ方と、中小企業がこの数字とどう付き合えばよいかを整理する。ツールの操作画面のスクリーンショットは載せない。それよりも、画面に出てきた数字をどう読むかの方が、記事の成否を分けるからだ。
検索ボリュームという数字が、そもそも何を測っていないか
本題に入る前に、この記事の立場を明確にしておく。検索ボリュームというツールの数字自体に罪はない。問題は、その数字を使う側が「検索ボリュームが大きい=良いキーワード」という一段飛ばしの結論に飛びついてしまうことにある。この記事は、その一段飛ばしを埋めるために用意した。
検索ボリュームとは、あるキーワードが月間でどれだけ検索されたかを示す推計値である。ここで重要なのは「推計値」という点だ。Googleキーワードプランナーであれ、有料のSEO分析ツールであれ、表示されている数字は実測の生データそのものではない。各社が独自の方法で弾き出した近似値にすぎない。
さらに厄介なのは、検索ボリュームは「そのキーワードが何回検索されたか」しか教えてくれず、「検索した人が実際にサイトに来るか」「来た人が問い合わせに至るか」は一切教えてくれないという点である。この3つを混同したまま数字だけを追いかけると、表示回数は稼げても成果につながらない記事が量産される。
検索ボリュームを重視すること自体は、間違った習慣ではない。検索エンジンが今よりシンプルだった時代、検索結果は基本的に青いリンクが並ぶだけで、上位を取れば取った分だけクリックが素直に増えていった。検索ボリュームの大きい言葉で1位を取ることは、そのままアクセス数の最大化に直結していた。この記事が指摘したいのは、その前提がここ数年で大きく変わっているという事実である。
検索結果の中で用が済む検索が増えている
まず押さえておきたいのが、検索結果のページそのものが答えを返すようになったという変化である。かつての検索結果は、外部サイトへのリンクの一覧だった。今の検索結果には、要約、よくある質問、地図、画像、動画、そして生成AIによる回答が並ぶ。
これらの機能は、検索した人にとっては便利である。天気を知りたい、営業時間を知りたい、言葉の意味を知りたい。こうした用件は、どのサイトにも移動せずに済むようになった。裏を返せば、検索ボリュームがそのままサイトへの訪問者数にはならないということでもある。
この変化に対して「AI向けの特別な対策」を探したくなるが、Googleは検索セントラルの資料で、AIによる概要やAIモードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もないと明記している。機械が読み取るための新しいファイルやマークアップを作る必要もない、とも書かれている。示されているのは、信頼性の高い有用なユーザー第一のコンテンツを作るという、従来からの基本を重視することである。小手先の対応を探すより、検索結果の性質が変わった前提でキーワードを選び直すほうが、実務としては確実である。
検索ボリュームが同じでも、中身は同じではない
検索ボリュームという数字は、一つの合計値である。その合計値の中に、まったく異なる検索意図を持つ人が混ざっていることを見落とすと、同じ数字でも実際の価値が大きく変わってしまう。
例えば「ホームページ 相談」という言葉の検索ボリュームが月間100件だったとする。この100件の中には、今すぐ発注先を探している人もいれば、大学のレポートのために調べ物をしている学生も混ざっているかもしれない。同じ検索ボリューム100件でも、「ホームページ 相談 中小企業 無料」のように条件が絞り込まれた言葉であれば、検索する人の属性はぐっと絞られ、その分だけ問い合わせにつながる確率は上がる。検索ボリュームという数字だけを見て「100件と50件、どちらが良いキーワードか」を比較することは、検索している人の中身を無視した比較になりやすい。
ツールが表示する数字自体も、正確ではない
検索ボリュームという指標には、もう一つの弱点がある。ツールが表示する数字自体が、実際の検索回数と一致しないという点だ。これは推測ではなく、Google自身が公式ヘルプで説明していることである。
Google広告のヘルプでは、キーワードプランナーが示す月間平均検索ボリュームについて「検索ボリュームのデータは概数です」と明記されている。さらに、この数値は「キーワードとその類似パターンが検索された平均回数」であるとも説明されている。つまり、表記ゆれや類義語がまとめて一つの数字として表示されているということだ。
この「まとめて表示される」という仕様は、中小企業がキーワードを選ぶ際に地味だが厄介な影響を及ぼす。例えば「ホームページ 制作」と「HP 制作」のような表記ゆれは、どちらで調べても似たような検索ボリュームが表示されることがある。これは、どちらの表記で記事タイトルをつけても検索ボリューム上は大差ないことを意味する一方で、実際に検索する人がどちらの表記を好むかという肌感覚までは教えてくれない。地域や業界によって使われる言葉は異なるため、検索ボリュームの数字だけでなく、自社の顧客が実際に使う言葉遣いも合わせて確認した方がよい。
ツールによって表示される数字が異なるのも、これが原因である。各ツールはそれぞれ異なるデータソースと算出方法を使っており、同じキーワードでも表示される数字にはばらつきが出る。あるツールでは「月間1,000〜1万」というレンジで表示された言葉が、別のツールでは一つの数字で表示される、といったことが日常的に起きる。「どのツールの数字が絶対に正しいか」を追い求めるより、「これは推計値であり、多少のブレを含む」という前提で使う方が実務的である。
この誤差の幅を軽視できないのが、検索ボリュームが小さい言葉ほど顕著になるという点だ。月間検索数が数万件あるビッグキーワードであれば、多少の推計誤差があっても大勢に影響はない。しかし、月間数件から数十件のロングテールキーワードでは、ツールによって「0」と表示されたり「5」と表示されたりする違いが、そのまま「書く/書かない」の判断を左右してしまう。後述するように、この規模の言葉こそが実際の成果に直結しやすいため、ツールの表示だけで機械的に切り捨てるのは危険である。
複数のツールを併用している場合は、一つのツールの数字だけで判断せず、2〜3種類のツールを横断して確認することをおすすめする。すべてのツールで「0」に近い数字が出ているなら、その言葉の需要は本当に薄い可能性が高い。一方、ツールによって数字が大きく割れる場合は、その言葉自体の推計が難しい、境界線上の需要であることを示している。境界線上の言葉ほど、サジェストの広がりや自社への問い合わせ実績といった、ツール以外の情報と組み合わせて判断する価値がある。
検索ボリュームと成果は、必ずしも比例しない
ここが最も重要な論点である。「検索ボリュームが多いキーワードほど、成果につながる」という前提は、実務ではしばしば逆になる。
理由は単純で、検索している人が置かれている段階が違うからだ。検索ボリュームの大きな一般的な言葉は、まだ何も決まっていない段階の人に使われる。条件が絞り込まれた言葉は、すでにかなりの部分が決まっている人に使われる。同じ1件の流入でも、後者のほうが問い合わせに近い。
| キーワードの分類 | 検索する人の段階 | 競合の状況 | 中小企業が狙う価値 |
|---|---|---|---|
| ビッグキーワード(一般的な単語1語) | 情報収集の入口。何も決まっていない | 大手や比較サイトが上位を占める | 上位表示の難易度が高く、成約も遠い |
| ミドルキーワード(2語の組み合わせ) | 比較検討の途中。条件を絞り始めている | 専門メディアが中心 | 内容の深さで差がつけられる |
| ロングテールキーワード(3語以上・条件つき) | 依頼先を選ぶ直前。条件が固まっている | 手つかずの言葉が多い | 上位表示と成約の両方が現実的 |
具体的な例で考えてみる。「ホームページ 制作」のような検索ボリュームが大きい言葉は、まだ発注先を決めていない、あるいは相場観すら持っていない段階の人が大半を占める。一方で「ホームページ 制作 個人事業主 30万円以内」のような言葉で検索する人は、予算感まで固まっており、あとは条件に合う発注先を探すだけの段階にいる。前者の検索ボリュームは後者より桁違いに大きいが、問い合わせにつながる確率は後者の方がはるかに高い。検索ボリュームという指標だけを見ていると、この違いは一切見えてこない。
生成AIに直接質問する場面でも、同じ構図が当てはまる。AIに投げかけられる質問は、検索窓に打ち込む単語の羅列よりも長く、具体的であることが多い。ツール上では検索ボリュームがほぼ0と表示される超ロングテールの問いかけであっても、課題が明確な分だけ、答えが刺さったときの行動は早い。
「検索ボリューム0〜10」を怖がらなくていい理由
検索ボリュームが小さい言葉を見ると「誰も検索していないなら書く意味がない」と感じるかもしれない。しかし、検索の世界の大部分は、もともとこうした小さな言葉の集積でできている。
Googleは公式ブログで、毎日処理している検索のうち15%は、これまでに一度も検索されたことのない新しいものだと繰り返し説明してきた。1日あたりの検索が膨大であることを踏まえると、この15%という割合は途方もない数の「初めて検索された言葉」が日々生まれていることを意味する。当然ながら、こうした言葉はどのツールのデータベースにも載っていない。表示は0になる。
検索ボリューム0という表示は、「誰も検索していない」ことの証明にはならない。「ツールがまだ捕捉できていない」という状態と区別がつかないだけである。特に、専門的な業界用語、制度改正の直後に使われ始めた言葉、新しいサービス名などは、この状態になりやすい。
もう一つ押さえておきたいのが、記事が答えるのは一つの言葉だけではないという点だ。検索エンジンが評価しているのは特定の単語の並びではなく、そのページが扱っているトピックのまとまりである。一つの具体的な悩みに深く答える記事は、狙った言葉以外の、似た言い回しの検索にも同時に答えることになる。表面上のキーワード1本分の需要より、実際の裾野は広い。
AI検索の普及で、検索ボリュームという指標そのものが揺らいでいる
検索ボリュームという概念そのものが、これから数年でさらに測りにくくなっていく可能性もある。従来の検索ボリュームは「Google検索窓に何回打ち込まれたか」を前提に設計された指標である。しかし、対話型のAIに直接質問するやり方が広がるほど、検索窓に打ち込まれる「検索」そのものの総量は変化していく。
ツールが検索ボリューム0と表示する言葉であっても、AIに同じ内容が質問されている可能性は十分にある。検索ボリュームというツールの表示は、あくまで「検索窓という一つの経路」の断面図であり、情報収集行動全体を映す鏡ではないという前提を、今後はより強く意識する必要がある。
だからといって、検索ボリュームを調べる意味が無くなるわけではない。検索エンジンは今も最大の情報収集経路であり、その規模感を把握すること自体には価値がある。重要なのは、「検索ボリュームに表示された数字がすべて」という認識を持たないことである。
なぜ「検索ボリューム至上主義」はいまだに根強いのか
ここまで検索ボリュームという指標の限界を並べてきたが、それでもなお「検索ボリュームの多い言葉を狙うべきだ」という考え方が根強く残っているのには理由がある。
一つは、検索ボリュームが「唯一、事前に数値化できる指標」だからだ。コンバージョン率や成約率は記事を公開して数ヶ月経たないと分からないが、検索ボリュームは書く前から数字として確認できる。人は不確実なものより、目の前にある確実な数字にすがりたくなる。検索ボリュームが「本当に見るべき指標」だから重視されてきたわけではない。「書く前に唯一見える指標」だから重視されてきた、という側面は無視できない。
もう一つは、記事制作を外部の代行会社に依頼する際、成果物の分かりやすい評価基準として検索ボリュームが使われやすいという事情もある。「検索ボリューム1,000のキーワードで10位以内」という約束は契約書に書きやすいが、「問い合わせにつながるキーワードで10位以内」という約束は書きにくい。結果として、発注側も受注側も、測りやすい指標に寄っていく力学が働く。この力学自体は理解できるが、それによって成果につながらない記事が量産されてきた面は否めない。
実際に検索ボリュームを調べる手順
ここまでの前提を踏まえたうえで、実務的な調べ方を確認する。代表的な方法は次の4つである。
1. Googleキーワードプランナーで調べる
Google広告のアカウントがあれば無料で使える公式ツール。「新しいキーワードを見つける」機能に狙っている言葉を入れると、月間平均検索ボリュームが表示される。前述のとおり、この数値は概数であり、類似パターンをまとめた平均回数である。広告を出稿していないアカウントでは、さらに大まかなレンジ表示になる点も理解しておく。
2. ラッコキーワードなど国内ツールで調べる
狙っているキーワードに対する関連語・サジェストキーワードを一括で取得できる。検索ボリュームと合わせて、周辺にどんな言葉があるかを一覧できるため、メインキーワードだけでなく複合キーワードの広がりを確認する用途に向いている。無料の範囲でも1日の検索回数に制限がある程度で、基本的な機能は十分に使える。
この種の国内ツールを使う際に注意したいのが、検索ボリュームの表示が「0」であっても、関連語の一覧自体は表示されるという点である。検索ボリュームの数字だけを見て候補から外す前に、関連語の一覧に目を通し、実際にどんな言い回しで検索されているのかを確認する習慣をつけると、数字だけでは見えない需要の存在に気づきやすくなる。
3. Google検索のサジェストで需要の有無だけを確かめる
ツールを契約する前段階として、Google検索窓に言葉を入力したときに出てくるサジェスト(予測変換)の候補数を見る方法もある。候補が複数出てくる言葉は実際に検索されている証拠であり、候補がほとんど出ない言葉は検索需要そのものが薄い可能性が高い。厳密な数値は分からないが、「書く価値があるかどうか」の一次判定には十分使える。
4. Google Search Consoleで、すでに表示されている言葉を確認する
サイトをすでに運営している場合は、Google Search Consoleの「検索パフォーマンス」から、実際に自社サイトが表示されている検索語句を確認できる。これは検索ボリュームの推計値とは違い、正真正銘の実測データである。表示回数はあるのにクリックが少ない語句は、タイトルや見出しの見直しだけで改善できる可能性が高く、検索ボリュームツールを新たに使うよりも先に確認する価値がある。
2つのツールで数字が食い違ったときの考え方
同じ言葉を複数のツールで調べたとき、表示される検索ボリュームが一致しないことがある。これはどちらかが「間違っている」のではなく、集計方法とデータソースが違うために起きる自然な現象である。判断に迷ったら、両者の数字の大小関係(AとBならAの方が多い、という順位)だけを参考にし、絶対的な数値そのものは鵜呑みにしない、という使い方が実務的である。
動画プラットフォーム内の検索は、別枠で考える
キーワードツールが表示する検索ボリュームは、基本的にGoogle検索を対象にしている。動画プラットフォームやSNSの検索窓に入力される語句は、この数字には含まれない。動画中心の情報収集をする層を狙う場合は、その動画プラットフォーム側の分析機能や、検索窓のサジェストを別途確認する必要がある。「検索ボリュームを調べたのに、動画では全く違う言葉が使われていた」という食い違いは、この違いを知らないまま複数のプラットフォームを一緒くたに扱うことで起きる。
検索ボリュームの大きい言葉と小さい言葉を、実際に比較してみる
抽象的な話が続いたので、具体的な言葉の組み合わせで比較してみる。仮に、地方で工務店を営む事業者が集客用の記事を書くとする。
検索ボリュームだけを見ると、「注文住宅」や「リフォーム」のような言葉の方が圧倒的に大きい。しかし、これらの言葉で検索する人の多くは、まだ地域も予算も決めていない、情報収集の初期段階にいる。全国規模のハウスメーカーや、資金力のある不動産ポータルサイトがすでに上位を占めている領域でもあり、地方の工務店1社がこの言葉で戦って上位表示を狙うこと自体、現実的な選択とは言いにくい。
一方、「(地域名) 工務店 断熱性能」や「中古住宅 リフォーム 耐震 (地域名)」のような言葉は、検索ボリュームこそ小さいものの、検索する人はすでに地域とおおよその要望を固めている段階にいる。競合となる大手ハウスメーカーもこの解像度では記事を書いていないことが多く、検索ボリュームは小さくても、上位表示できる可能性と、成約につながる可能性の両方が高い。検索ボリュームという一つの数字だけを比較すれば「注文住宅」の圧勝だが、事業として狙うべき言葉はむしろ後者である、という判断は、検索ボリュームを調べる前に業種と商圏を踏まえて決めておく必要がある。
複合キーワードを組み合わせる際の注意点
検索ボリュームを調べていくと、単語を組み合わせて新しい複合キーワードを作りたくなる場面が出てくる。ここで注意したいのは、複合キーワードの検索ボリュームは、元の単語の検索ボリュームを足し算・掛け算した数字にはならないという点だ。
例えば「ホームページ」の検索ボリュームと「集客」の検索ボリュームがそれぞれ大きくても、「ホームページ 集客」という組み合わせの検索ボリュームは、両者よりはるかに小さい数字になる。これは当然のことのようだが、複合キーワードを頭の中だけで組み立てて「これは需要があるはずだ」と思い込み、実際にツールで調べずに執筆を始めてしまうケースは意外と多い。どれだけ理屈のうえで需要がありそうに思えても、複合キーワードは必ず個別に検索ボリュームを確認してから判断する。
記事を外部に発注する際の注意点
記事制作を外部の代行会社に依頼している、あるいはこれから依頼を検討している場合は、もう一点注意しておきたいことがある。契約時に「検索ボリューム〇〇以上のキーワードで上位表示を目指す」という条件だけを成果指標にすると、この記事で紹介してきた落とし穴にそのまま陥る危険がある。
検索ボリュームの大きい言葉を約束させることは、発注側にとって分かりやすい安心材料になる。しかし、その言葉が実際に自社の問い合わせや売上につながる言葉かどうかは、検索ボリュームの数字だけでは判断できない。発注する際は、検索ボリュームに加えて「その言葉で検索する人が、どの段階の悩みを持っているか」「その悩みに自社が答えられる根拠は何か」を一緒に確認する。検索ボリュームという数字は、キーワード選定の出発点としては有効だが、契約上の唯一のゴールに設定してしまうと、量産される記事の質が数字合わせに寄っていくリスクがある。
検索ボリュームに関するよくある疑問
検索ボリュームを完全に無料で調べる方法はありますか
ある。Googleキーワードプランナーは、Google広告のアカウントを作成するだけで無料で使える(広告を出稿していなくても利用は可能だが、数値がレンジ表示になる)。ラッコキーワードにも無料の範囲があり、1日の検索回数に制限はあるものの、検索ボリュームと関連語を一緒に確認できる。まずはこの2つを組み合わせるだけで、有料ツールを契約しなくても実務上必要な判断はほぼ行える。
動画の検索ボリュームは、どうやって調べますか
Google検索とは別の仕組みで調べる必要がある。もっとも手軽なのは、その動画プラットフォームの検索窓に言葉を打ち込んだ際に出てくるサジェストを確認する方法である。Google検索のサジェストと同様、候補が複数出てくる言葉は実際に検索されている証拠になる。無料のサジェスト確認だけでも、Google検索と動画側とで求められている言葉が異なることに気づけるはずだ。
検索ボリュームが0件と表示されたら、その言葉は書く価値がありませんか
そうとは限らない。ツールが検索ボリュームを「0」と表示する場合、本当に検索されていないケースと、ツールのデータが検知できていないだけのケースが混在している。特に専門的な業界用語や、最近登場したばかりの言葉は、ツールのデータ更新が追いついておらず「0」と出やすい。実際にその業界で日常的に使われている言葉であれば、0という表示だけを理由に諦める必要はない。
検索ボリュームと検索順位、どちらを先に確認すべきですか
これから新しく記事を書く場合は、検索ボリュームを先に確認する。一方、すでに公開済みの記事がある場合は、検索ボリュームより先にGoogle Search Consoleで「その記事が実際にどの言葉で、何回表示されているか」を確認する方が優先度が高い。新規記事では「まだ存在しない需要を探す」ために検索ボリュームを使い、既存記事では「すでに得られている表示回数を、クリックや成約にどう転換するか」を考える方が、限られた時間の使い方として効率がよい。
競合サイトの検索ボリュームも調べるべきですか
自社が狙う言葉の検索ボリュームだけでなく、競合サイトがどんな言葉で流入を得ているかを調べることも有効である。有料のSEO分析ツールには、特定のURLやドメインを入力すると、そのサイトがどのキーワードで検索結果に表示されているかを一覧できる機能がある。自社が思いつかなかった言葉で競合サイトが流入を得ている場合、その言葉自体を新たな候補として検討する価値がある。
検索ボリュームの推移も見た方がよいですか
見た方がよい。検索ボリュームは月ごとの平均値として表示されることが多いが、実際には季節によって大きく変動する言葉も多い。繁忙期のある業種向けのキーワードであれば、年間平均の検索ボリュームだけでなく、Googleトレンドで月ごとの推移を確認し、需要が高まる時期の数ヶ月前から記事を用意しておくといった調整ができる。検索ボリュームという数字を一時点のスナップショットとしてだけでなく、時間の流れの中でどう動くかという視点で見ることで、公開のタイミングまで戦略に組み込める。
検索ボリュームと「サジェストの候補数」は、別の情報である
検索ボリュームを調べる際、もう一つ混同されやすいものに「検索サジェストの候補数」がある。この2つは似ているようで、教えてくれることが違う。
検索ボリュームは「その言葉そのものが月に何回検索されたか」という数字である。一方、サジェストの候補数は「その言葉の後ろに、どれだけの派生語が実際に打ち込まれているか」を示す。例えば「ホームページ 制作」という言葉自体の検索ボリュームは大きくても、そこから先の派生語が乏しければ、その言葉のまわりに具体的な悩みの広がりは薄いことになる。逆に、メインの言葉の検索ボリュームがそれほど大きくなくても、派生語が豊富に存在する言葉は、そのテーマについて具体的に悩んでいる人が多いことを示している。
中小企業がキーワードを選ぶ際には、検索ボリュームという「量」だけでなく、サジェストの広がりという「悩みの具体性」も合わせて見ることで、判断の精度が上がる。検索ボリュームが0〜2件程度でも、周辺のサジェストがまったく存在しない言葉と、少数ながら具体的な派生語が並んでいる言葉とでは、書く価値がまったく異なる。
検索ボリュームを見誤ると、何が起きるか
検索ボリュームだけを基準にキーワードを選んだ場合、具体的にどんなことが起きるのかを整理しておく。
最も典型的なのは、検索ボリュームの大きい一般的な言葉で上位表示を達成したにもかかわらず、問い合わせや売上にまったく結びつかないというケースである。ビッグキーワードで検索する人の大半は情報収集段階にあり、成約にはまだ遠い。上位表示という成果は出ているのに、事業の数字には反映されないという状態が続くと、「SEOは効果が無い」という誤った結論に至りやすい。実際には、SEOという手法そのものが効果を発揮していないのではなく、選んだキーワードの検索意図が、事業の成果にそもそも結びつきにくいものだった、というだけのケースが少なくない。
もう一つのパターンは、検索ボリュームが小さいという理由だけで、有望な言葉を候補から外してしまうことである。悩みが具体的であればあるほど、検索ボリュームは小さくなる傾向にある。検索ボリュームの下限を機械的に区切ってしまうと、成約に直結しやすい言葉から先に切り捨てることになりかねない。検索ボリュームという指標は、あくまで「大まかな規模感」を把握するための一つの材料であり、それ単独で採否を決める基準にはならない。
検索ボリュームを月次で追いかけすぎない
検索ボリュームを一度調べて記事を公開したあと、毎月のように同じキーワードの検索ボリュームを再チェックし、数字の増減に一喜一憂している事業者を見かけることがある。だが、検索ボリュームという指標は月ごとの細かな増減を追いかける用途には向いていない。ツール側の推計方法の更新や、季節要因によるブレの範囲内で数字が上下することは日常的にあり、その変動が自社の記事の評価とは無関係であることも多い。
検索ボリュームを追いかけるより優先すべきは、Google Search Consoleで自社の記事が実際にどれだけ表示され、クリックされているかという実測データの推移である。検索ボリュームは記事を書く前の「仮説」であり、Search Consoleのデータは記事を公開した後の「答え合わせ」にあたる。仮説を何度も見直すより、答え合わせのデータをもとに、タイトルや見出しを改善していく方が、限られた時間の使い道として理にかなっている。
検索ボリュームを、キーワード選定の「最初の一歩」に使う手順
では、検索ボリュームという数字を実務でどう使えばよいのか。ここまでの内容を踏まえた、現実的な手順を示す。
手順1:まず自社の商品・サービスが解決する悩みを書き出す
検索ボリュームを調べる前に、自社の商品・サービスが実際にどんな悩みを解決しているかを、お客様の言葉に近い形で書き出す。「〇〇 やり方」「〇〇 費用」「〇〇 比較」のように、悩みの段階ごとに複数のパターンを想定する。この時点ではまだツールを開かない。
手順2:書き出した言葉の検索ボリュームを一括で確認する
書き出した言葉を、ラッコキーワードやGoogleキーワードプランナーに入れて、検索ボリュームと関連語をまとめて確認する。この段階での目的は「一番検索ボリュームが多い言葉を探す」ことではなく、「言葉の広がりと、おおよその規模感を把握する」ことである。
手順3:検索ボリュームだけで足切りしない
検索ボリュームが0〜2件程度の言葉であっても、実際にその言葉で検索する人が抱えている悩みが具体的で、自社の商品・サービスで確実に答えられるなら、候補から外さない。逆に検索ボリュームが大きくても、自社の強みと関係が薄い言葉は候補から外す。判断基準は検索ボリュームの大小ではなく、「自社が答えられる悩みか」である。
手順4:優先順位は「答えられる確信度」で決める
複数の候補が残ったら、検索ボリュームの大きい順ではなく、「自社が他社より深く、具体的に答えられる自信がある順」に優先順位をつける。同じ悩みに答える記事でも、実体験や実績に基づいた具体的な内容の方が、検索ボリュームの数字より成果を左右する。
手順5:公開後にSearch Consoleで答え合わせをする
記事を公開したら、そこで終わりにしない。数週間から数ヶ月経った段階で、Google Search Consoleを開き、想定していたキーワード以外にどんな言葉で表示されているかを確認する。狙っていなかった言葉で予想外に表示されている場合、その言葉の需要が検索ボリュームツールでは見えていなかったということでもある。次に書く記事の候補は、こうした公開後のデータの中に眠っていることが多い。
BtoBとBtoCで、検索ボリュームの意味は変わる
検索ボリュームという数字の重みは、狙う客層がBtoB(企業向け)かBtoC(個人向け)かによっても変わってくる。BtoCの商品・サービスは検索する母数が大きいため、検索ボリュームがある程度の規模を伴って表示されやすい。一方、BtoBの商品・サービス、特にニッチな業種や専門的な業務を扱う場合、検索する人の絶対数がもともと少ないため、良いキーワードであっても検索ボリュームは小さく出る傾向がある。
BtoBの経営者や担当者が検索ボリュームの小ささだけを見て「この業界にはSEOで狙える言葉がない」と判断してしまうケースは少なくない。しかし実際には、検索ボリュームが小さいことと、その言葉に価値がないことはイコールではない。BtoBの検索は、検索する人の職種・役職・業務内容までかなり絞り込まれていることが多く、検索ボリュームは小さくても、一件あたりの成約金額や取引の継続期間を考えれば、十分に費用対効果の合う投資になる。検索ボリュームという数字を業種で単純比較せず、自社の商圏・客単価・成約率とセットで評価する視点が欠かせない。
検索ボリュームを見た後、実際に何を書くか
検索ボリュームを調べ、書く価値のある言葉を絞り込んだとしても、そこで満足してはいけない。同じキーワードで検索する人がいても、書く内容によって成果はまったく変わる。ここでは、検索ボリュームを調べた後にやるべき作業を整理する。
検索している人の「その先」を想像する
検索ボリュームは「何人が検索したか」しか教えてくれないが、記事を書くうえで本当に重要なのは「その人が検索した後、何を知りたいのか」「知った後にどう行動したいのか」である。「検索ボリューム 調べ方」で検索する人の多くは、単に調べ方を知りたいだけでなく、その先で「調べた結果をどう使えばいいか分からない」という不安を抱えていることが多い。この記事がツールの操作手順よりも、数字の読み方に重点を置いているのはそのためである。検索ボリュームという入口の言葉から、検索した人の「その先の疑問」まで見通して構成を組み立てることで、同じキーワードを狙う他の記事との差がつく。
検索結果の上位を実際に確認する
検索ボリュームを確認したら、そのキーワードで実際に検索し、上位に表示されている記事を開いて中身を確認する。上位の記事がすでに網羅している内容を薄くなぞるだけでは、後発の記事が上位表示される可能性は低い。上位の記事に共通して欠けている視点や、古くなっているデータ、扱われていない具体的なケースを見つけることが、検索ボリューム以上に記事の成否を左右する。
中小企業が検索ボリュームとどう向き合うべきか
検索ボリュームという指標を無視する必要はない。だが、それを唯一の判断基準にすることは避けるべきだ。特にリソースの限られた中小企業や個人事業主にとっては、次の4点を優先する方が現実的である。
- 検索ボリュームの大小より、「今すぐ客が抱えている具体的な悩み」に答えられているかを優先する
- ツールが示す数字は推計値であり、多少のブレを前提に「桁」でとらえる(100件と1万件の違いを見るのであって、100件と120件の違いを気にしない)
- ビッグキーワードで1位を取ることより、ロングテールの悩みに一つひとつ深く答えることの方が、限られた予算での費用対効果は高い
- 検索ボリュームが0件でも、業界の実感として明らかに需要のある言葉は、サジェストの広がりや自社への問い合わせ内容などの周辺情報も合わせて確認したうえで判断する
この4点は、検索ボリュームというツールの数字を軽視しろという意味ではない。数字を「唯一の答え」として扱うのをやめ、複数ある判断材料のうちの一つとして正しい重みで扱う、という意味である。ツールの数字が正しいかどうかを疑う視点さえ持っていれば、ツール自体は今まで通り使い続けてよい。
検索ボリュームを調べる目的は、大きな数字を追いかけることではない。まだ誰も十分に答えていない具体的な悩みを見つけ、そこに一番深く答えるためである。その視点さえ持てば、検索ボリューム0〜10という表示は「捨てる理由」ではなく「狙う理由」に変わる。
検索ボリュームの調べ方そのものは、この記事で紹介したツールを使えば誰でも今日から実践できる。難しいのは調べ方ではなく、出てきた数字をどう解釈し、どう優先順位をつけるかである。検索結果の中で用が済む検索が増え、生成AIが直接回答を返すようになった今、「大きな数字を取りにいく」戦略は、限られた予算しか持たない中小企業にとって、もっともリスクの高い賭けになりつつある。
検索ボリュームという指標そのものを否定する必要はない。ただ、その数字を見て「多いから書く」「少ないから書かない」と機械的に判断するのではなく、「この数字の裏にいる人は、何に困っていて、どんな行動を取ろうとしているのか」を一段深く考える。その一段の差が、同じ検索ボリュームの言葉を狙っていても、成果が出る記事と出ない記事を分けている。
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