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営業資料の作り方 読み流される資料と商談を進める資料の分かれ目

2026 9/13
brackets

先日、Q&Aサイトで営業の担当者のこんな相談を見かけました。「時間をかけて立派な営業資料を作ったのに、商談で相手の反応が薄く、その場で読み流されて終わってしまう。何がいけないのか分からない」。読んでいて、この方は資料の見栄えや情報量には気を配っているのに、その資料が相手にとって誰のための何の話なのかを最初に示していないと気づきました。営業資料が刺さらないとき、原因は、相手の課題から入らずに自社の説明から始まっていることにあります。作り込みが足りないからではありません。

この記事は、営業資料の作り方に悩む中小企業の経営者や営業の担当者、ウェブ担当者に向けて書いています。読み終えたときに、次に作る資料で直す場所が1つ決まっている状態を目指します。デザインを凝る話はしません。商談を次に進める資料に組み直す話です。

総務省が公表した情報通信白書によれば、企業間の取引でも情報のやりとりの多くがデジタルへ移っています。つまり相手は、商談の前後に資料をサイトで確認し、社内で回覧して判断します。その場のプレゼンで話す言葉だけでなく、資料が一人歩きしても伝わる作りになっているかが、商談の行方を左右します。

目次

営業資料を作る前に決めること

資料を作り始める前に、決めておくことが1つあります。この資料を読んだ相手に、次に何をしてほしいのか。もう一度会う約束なのか、社内で検討してもらうことなのか、見積もりの依頼なのか。この次の行動を先に決めないまま情報を詰め込むと、読み終えた相手が何をすればいいのか分からず、その場で立ち消えになります。着地点を決めてから、そこへ向かう順番で組み立てます。

もう1つ考えておきたいのが、その資料を誰が読むのかです。目の前で説明する相手と、後で社内で回覧する決裁者は別の人であることがよくあります。説明を聞いていない決裁者が資料だけを見ても伝わるように作らないと、商談の熱がその場限りで終わります。読む人を思い浮かべることが、作りはじめの出発点になります。

資料の出来と商談の成否は別の話

デザインの美しさや情報の網羅は、資料の出来を表すもので、商談が進むかどうかとは別です。凝った資料でも、相手が自分の課題と結びつけられなければ読み流されます。素朴な資料でも、相手の悩みに正面から答えていれば、社内で回覧されて検討が進みます。見栄えの良さに安心していると、伝わらない資料を作り込み続けてしまいます。手を動かした時間の長さが、成果の大きさに直結するとは限りません。

営業資料の役割を数字で分けて見る

感覚で「刺さらない」と言い続けても直せません。資料を最後まで見てもらえたか、相手が自分の課題として受け取ったか、次の行動につながったか。この3つに分けて振り返ると、どこでつまずいているかが見えてきます。多くの営業は資料を渡して終わりにしてしまうため、どこで相手の関心が切れたのかを確かめていません。

どこで確かめるか いま起きていること 次にすること
最後まで見てもらえたか 途中で関心が切れている 冒頭に相手の課題を置く
自分の課題として受け取ったか 自社の説明として読まれている 相手の言葉で悩みを言い当てる
社内で回覧されたか 説明を聞いた人しか分からない 資料だけで伝わる作りにする
次の行動につながったか 読み終えて何をすべきか不明 最後に次の一歩を1つ示す

なぜ立派な営業資料ほど刺さらないのか

刺さらない構造的な理由は、資料が自社の紹介から始まることにあります。会社の沿革、事業の一覧、代表のあいさつ。作り手は誠実に自社を伝えているつもりですが、初めて見る相手にとっては、自分に関係のある話かどうかがまだ分かりません。相手が知りたいのは、この資料が自分のどの悩みに答えてくれるのかの一点で、その答えが最初に無いと、読む姿勢が作られないまま流し読みになります。

もう1つの理由は、情報を網羅しようとするほど焦点がぼけることです。あらゆる機能、あらゆる実績、あらゆる強みを並べると、どれが相手にとって大切なのかが埋もれます。相手は、自分の課題に関わる部分だけを知りたいのに、関係のない情報の海から探し出さなければなりません。網羅は、丁寧さに見えて、実は相手に負担を渡しています。相手は、自分に関わる情報を探す手間をかけさせられ、その途中で読むのをやめてしまいます。

実際にあった例を挙げます。ある部品メーカーは、資料の前半20ページを会社の設備と品質管理の説明に使っていました。誠実に技術力を伝えようとした結果ですが、商談相手は途中で資料をめくる手を止めていました。同じ会社が、資料の1ページ目を「調達先の品質のばらつきに困っていませんか」という相手の課題に置き換えたところ、相手が身を乗り出して読むようになりました。設備の説明は変えていません。順番を変えただけで、同じ情報が相手の関心事に変わったのです。

自社の強みを並べても相手は動かない

強みをたくさん挙げれば信頼されると考えがちですが、相手が動くのは、その強みが自分の課題を解決すると分かったときです。「高品質」「豊富な実績」「充実のサポート」と並べても、自分の悩みとの結びつきが見えなければ、ただの自己主張として流されます。強みは、相手の課題に対する答えとして示してはじめて意味を持ちます。同じ強みでも、相手の悩みと結びつけて語れば、そこで初めて相手の心が動きます。

デザインを凝る前に順番を見直す

資料が刺さらないと、色や図の見栄えを直そうとしがちです。けれども、読まれない原因の多くは、伝える順番にあります。見た目の問題ではありません。相手の課題を先に置き、その解決を示し、根拠を添えて、次の一歩で終える。この順番が整っていれば、素朴な見た目でも伝わります。順番を直さずにデザインだけ磨いても、美しい読み流されない資料ができるだけです。

多くの担当者がやってしまう間違った営業資料

刺さらないと、人はまず情報を足そうとします。実績を増やす、機能の説明を詳しくする、ページ数を増やす。どれも間違いではありませんが、相手の課題を先頭に置かないまま情報を足すと、読む負担だけが増えて相手の関心はさらに遠のき、「うちの商品は資料では伝わらない」という誤った結論に行き着きます。

やりがちな手 起きる末路 本当に見るべき場所
会社紹介から始める 自分ごとに感じられず流される 冒頭に相手の課題を置く
情報を網羅する 大切な部分が埋もれる 相手の課題に関わる部分に絞る
強みを並べる 自己主張として読まれる 課題への答えとして示す
ページ数を増やす 読む負担が増え途中で切れる 1つの結論に向けて削る
デザインだけ凝る 美しいが伝わらない資料になる 伝える順番を先に直す

用途を分けると、資料の管理は少し増えますが、1つずつが軽くなります。新規向けは短く課題に絞り、提案向けはその相手の事情に合わせて深くする。共通して使える部分は、事例のページなどに切り出して、必要なときに差し込めるようにしておきます。こうしておくと、毎回ゼロから作らずに、相手に合わせて組み替えられます。1つの重い資料を使い回すより、軽い部品を組み合わせるほうが、結局は速く、相手にも合います。

1つの資料に用途を詰め込みすぎる

1つの資料で、新規の相手への説明も、既存客への提案も、社内での共有もこなそうとすると、どの相手にも中途半端になります。用途によって、相手が知りたいことも、前提として共有できていることも違います。用途ごとに資料を分けると、それぞれが過不足のない内容になります。1つに詰め込むより、分けたほうが1つずつが伝わります。

売れるサイトはみな謙虚という考え方で営業資料を組み直す

ここで、合同会社謙虚が中小企業のサイト改善で使っている「売れるサイトはみな謙虚」という考え方を、営業資料に当てはめてみます。謙虚とは、相手が次の一歩に進むために要らないものを引き算する姿勢のことです。資料では、相手の課題から始め、伝えることを1つに絞り、読み終えた相手の次の行動も1つに絞ります。

下の図は、相手が資料を読んで判断するまでを1本の流れとして描いたものです。多くの担当者は左端の自社説明を厚くしますが、相手の関心が切れるのは、自分の課題と結びつかない冒頭です。ここを相手の課題から始めると、同じ内容でも最後まで読まれます。

相手の課題 ここから始める 共感 解決策 課題への答え 納得 根拠 数字と事例 決断 次の一歩 1つに絞る

相手の課題を言い当てるには、日ごろの商談で相手が口にする言葉を集めておくと役立ちます。相手は、自分が使っている言葉で悩みを書かれると、この会社は分かっていると感じます。業界の専門用語や、自社の中だけで通じる言い回しは、相手には響きません。相手が実際に口にした言葉を、そのまま資料の冒頭に使います。

資料の先頭に相手の課題を置く

資料の1ページ目には、相手が抱えている課題を置きます。自社の名前を大きく掲げるのは、その後で構いません。「問い合わせは来るのに商談化しない、という悩みはありませんか」のように、相手が自分のことだと感じる一文から始めると、その先を自分の話として読んでもらえます。相手の課題を言い当てられると、相手はこの資料が自分のために作られていると感じ、読む姿勢が変わります。

伝えることを1つに絞る

1つの資料で、あれもこれも伝えようとすると、結局何も残りません。この資料で相手に持ち帰ってほしいことを1つに決めて、すべてのページをその1つに向けて並べます。伝えたいことが複数あるなら、資料を分けます。1つの資料は、1つの課題への1つの答えに絞ると、読み終えた相手の頭に、はっきりとした結論が残ります。

営業資料の構成の順番

刺さる資料には、共通した順番があります。相手の課題から入り、その解決策を示し、信じてもらう根拠を添え、最後に次の一歩を示す。この順番は、相手が納得して行動に移るまでの心の動きに沿っています。順番を入れ替えて自社説明から始めると、相手の心の準備ができる前に情報を浴びせることになります。

資料の順番 そのページの役割 よくある失敗
相手の課題 自分ごとだと感じてもらう 会社紹介から始めてしまう
解決策 課題への答えを示す 機能の一覧を並べてしまう
根拠 信じてよい理由を添える 誇張した数字を載せてしまう
次の一歩 読後の行動を1つ示す 連絡先だけで終わってしまう

1ページ1つに絞ると決めると、削る判断が必要になります。せっかく調べたことも、この資料の結論に関わらないなら、思い切って外します。外した情報は、別の資料や、口頭での補足に回せば消えてなくなるわけではありません。1ページに複数を残すより、1つに絞って大きく見せるほうが、相手の記憶に残ります。

1ページに1つのことだけ書く

1ページに複数のメッセージを詰め込むと、相手はどこを見ればいいのか分からなくなります。1ページで伝えるのは1つだけにして、そのページの見出しを読めば要点が分かるようにします。見出しだけをたどれば全体の筋が通る作りにすると、忙しい決裁者が斜め読みしても、話の流れが伝わります。

見出しを要点にする効きめは、忙しい相手ほど大きくなります。決裁者は、渡された資料を隅々まで読む時間がありません。見出しだけを拾い読みして、大枠をつかもうとします。このとき、見出しが要点になっていれば、拾い読みだけで話の筋が伝わります。見出しがラベルだと、中身を開かない限り何も伝わらず、忙しい相手には素通りされます。見出しは、最も読まれる場所だと考えて言葉を選びます。

見出しは要点そのものにする

ページの見出しを「サービス概要」「導入事例」といったラベルにすると、中身を読まないと何の話か分かりません。見出しを「問い合わせから商談化までの期間が半分になった理由」のように、そのページの結論そのものにすると、見出しを追うだけで話が伝わります。ラベルで済ませず、言いたいことを見出しにします。

数字と事例で信頼を作る

相手に信じてもらうには、主張だけでなく根拠が要ります。根拠になるのは、具体的な数字と、実際の事例です。ただし、裏の取れない数字を載せると、後で疑われて信頼を失います。自社で実際に測った数字や、許可を得た事例だけを使います。誇張して大きく見せるより、確かめられる小さな事実のほうが、相手の判断を助けます。

数字を示すときは、その数字がどこから来たのかも一言そえます。「自社で3年分の商談を数えたところ」のように出どころを添えると、相手はその数字を信じてよいかを判断できます。出どころのない数字は、どれだけ立派でも、相手の頭の中で割り引かれます。大きな数字を1つ載せるより、確かめられる小さな数字を出どころとともに示すほうが、判断の材料になります。

事例を載せるときも同じで、成功だけを並べると、かえって嘘くさく見えます。導入までに苦労した点や、成果が出るまでにかかった時間も添えると、実際の話として受け取ってもらえます。相手は、都合の良い話だけの資料を見慣れていて、警戒しています。良い面と、乗り越えた課題の両方を書くことが、その警戒を解きます。

誇張しないことがかえって信頼になる

誰にでも成果が出るかのような大きな主張は、相手に警戒されます。むしろ、うまくいかない条件も正直に書くと、この会社は事実を語っていると感じてもらえます。「この方法は、担当者が続けて手を動かせる会社でこそ効きます」のように、向き不向きを添えると、誠実さが伝わります。良いことだけを並べた資料より、限界も示した資料のほうが、長い目で信頼を積みます。

資料の種類による作り分け

営業資料とひとことで言っても、用途によって作り方が変わります。初めての相手に渡す資料と、検討が進んだ相手に出す提案資料では、必要な情報も深さも違います。用途を混ぜず、それぞれに合わせて作り分けると、どの場面でも過不足のない資料になります。

資料の種類 渡す場面 力を入れる部分
会社紹介の資料 初めての相手に渡す 相手の課題への関わりを短く示す
サービスの資料 関心を持った相手に渡す 課題の解決の仕方を具体的に示す
提案の資料 検討が進んだ相手に出す その相手固有の課題に合わせる
事例の資料 判断を後押しするとき 似た立場の相手の変化を見せる

この分け方を怠ると、よくある食い違いが起きます。商談では話し手が補うことを前提に要点だけを大きく置いた資料を、そのまま相手に渡してしまうと、社内で回覧された決裁者には言葉が足りず、意図が伝わりません。逆に、渡す前提で説明を細かく書き込んだ資料を商談で映すと、文字が多すぎて話に集中してもらえません。同じ内容でも、その場で映すものと、渡して読ませるものは、別に用意すると、どちらの場面でも役目を果たします。

その場で説明する資料と置いておく資料を分ける

商談でその場で説明する資料は、話し手が補うので、要点だけを大きく置けます。一方、相手に渡して後で読んでもらう資料は、説明が付かないので、それだけで意味が通るように言葉を補います。同じ内容でも、この2つは作りが違います。渡した資料が説明抜きでは分からない作りだと、社内で回覧されたときに伝わりません。

使い方 作りの違い 気をつけること
その場で説明する 要点を大きく少なく置く 話し手が補える前提にする
渡して読んでもらう 説明抜きで通る言葉を補う 回覧されても伝わる作りにする
サイトに置いておく 検索や共有で届く相手を想定する いつ見られても古びない中身にする

営業資料とウェブサイトをつなぐ

営業資料は、商談の場だけのものではありません。資料をサイトに置いて、興味を持った相手がその場で受け取れるようにすると、資料が新しい商談の入口になります。逆に、サイトを見て問い合わせてきた相手には、サイトと同じ考え方で作った資料を渡すと、話が一貫します。資料とサイトがばらばらの主張をしていると、相手はどちらを信じればいいのか迷います。

資料請求の受け皿では、請求した相手がその後どうなるかも設計します。資料を送って終わりにすると、せっかく関心を示した相手との縁が切れます。資料を届けるメールに、次に相談できる窓口を1つそえておくと、読んで関心が高まった相手が、その場で次に進めます。請求は入口であって、そこから商談までをどうつなぐかまでを考えておきます。

資料請求の受け皿ページを整える

サイトに資料請求の入口を置くなら、その先の受け皿ページも整えます。請求のフォームに入力項目が多いと、途中で面倒になって離れます。名前と連絡先くらいに絞り、請求するとすぐ資料が届くようにします。資料を受け取った後に何をすればいいのかも、一言そえておくと、次の商談につながります。

資料をサイトに置くときは、置き場所も大切です。問い合わせページの近くや、サービスの説明ページの末尾など、関心が高まった相手の目に触れる位置に置きます。トップページの隅に埋もれていると、必要としている人に届きません。資料は、相手が知りたいと感じた場所に、ちょうど手が届くように置きます。

サイトと資料で語り口をそろえる

サイトでは相手の課題に寄り添う言葉で書いているのに、資料が急にかたい会社案内になっていると、その落差で相手の気持ちが冷めます。サイトを見て期待した相手が、資料でも同じ姿勢に出会えるように、語り口をそろえておきます。サイトと資料は、相手から見れば同じ会社の顔です。

渡すタイミングを見極めるには、相手が発する言葉に耳を傾けます。「そもそも何が問題なのか整理したい」という段階なら課題を整理する短い資料を、「他社とも比べている」という段階なら違いが分かる資料を渡します。相手の言葉から今の段階を読み取り、その段階に必要な一枚を選んで渡す。この見極めができると、少ない資料で商談が前に進みます。

渡すタイミングも成果を左右する

同じ資料でも、いつ渡すかで効き方が変わります。相手がまだ課題を自覚していない段階で分厚い提案資料を渡すと、重すぎて読まれません。逆に、検討が進んで比較の段階に入っているのに、会社紹介だけを渡しても物足りません。相手が今どの段階にいるかを見て、その段階に合う資料を渡します。段階に合っていれば、薄い資料でも十分に役目を果たします。

営業資料の効果をどう測るか

次の資料を良くするには、商談の後に振り返ります。見るのは、資料のどこで相手の質問が止まったか、どのページで相手が身を乗り出したか、渡した後に社内で回覧されたか。この3つを商談ごとに記録すると、どのページを直せば全体が良くなるかが見えてきます。渡して終わりにすると、直す手がかりが残りません。

見る点 低いときに疑う場所 次の打ち手
最後まで読まれたか 冒頭が自社説明になっている 相手の課題を先頭に置く
社内で回覧されたか 説明抜きでは伝わらない 渡す資料の言葉を補う
次の行動に進んだか 読後の一歩が示されていない 最後に次の一歩を1つ置く

型を作るときは、うまくいった資料の順番や言い回しを、そのまま次の下敷きにします。相手の課題から始まる冒頭、要点を見出しにしたページ、次の一歩で終える最後。この骨組みを固定して、中身だけを相手に合わせて入れ替えると、作る時間が短くなり、質も安定します。毎回ゼロから考えると、うまくいった要素も一緒に消えてしまいます。良い型は、会社の財産として残していきます。

反応の良かった資料を型にする

いくつか商談を重ねると、相手の反応が良かった資料と、そうでない資料が分かれてきます。良かった資料は、多くの場合、相手の課題から始まって話の筋が通っています。何が良かったのかを言葉にして、次の資料の型にします。当たった型を磨くほうが、毎回ゼロから作り直すより早く良くなります。

紙とデータのどちらで渡すかを決める

資料を紙で渡すか、データで送るかも、相手に合わせて選びます。その場で一緒に見ながら話すなら紙が向き、社内で回覧してもらうならデータが向きます。データで送るなら、開くのに特別なソフトが要らない形式にして、相手がすぐ見られるようにします。渡し方でつまずくと、せっかくの中身が届きません。中身を作り込むのと同じくらい、届け方にも気を配ります。

業種別に見る営業資料のつまずき

業種によってつまずく場所は少しずつ違います。自社がどれに近いかを見て、直す順番を決めます。

業種の例 よくあるつまずき 先に直す場所
製造業 仕様や機能の説明に終始する 相手の課題への関わりを先に示す
士業やコンサル 実績の羅列で相手が引く 相手の悩みを冒頭に置く
ITやサービス業 機能一覧で違いが埋もれる 解決する課題に絞って見せる
卸や商社 取扱品目を網羅してしまう 相手に関わる品目だけに絞る

よくある質問

ここまでの内容を、実際の資料作りで迷いやすい点にそって整理します。自社の状況に近い問いから読んでください。

営業資料は何ページくらいが適切ですか

ページ数の目安より、1つの結論に向けて無駄がないかが大切です。相手の課題に関わらないページを削ると、自然と適切な長さに収まります。ページを増やすほど丁寧に見えますが、読む負担が増えて途中で関心が切れます。伝えたいことが多いなら、用途ごとに資料を分けます。

デザインは外注したほうがよいですか

見栄えを外注する前に、伝える順番が整っているかを確かめます。順番が整っていない資料をきれいにしても、美しい読み流されない資料ができるだけです。まず相手の課題から始まる構成に直し、それが商談で機能することを確かめてから、仕上げのデザインを頼みます。

会社紹介はどこに入れればよいですか

会社紹介は、資料の後半に回します。相手は、自分の課題への答えを先に知りたいので、会社の説明は、その答えを信じてよい理由として後から示すと効きます。冒頭に会社紹介を置くと、まだ関心が育っていない段階で自社の話を始めることになり、読む姿勢が作られません。

事例は載せたほうがよいですか

似た立場の相手の事例は、判断を後押しします。ただし、載せるのは許可を得た事例だけにします。相手は、自分と近い状況の会社がどう変わったかを知りたいので、規模や業種が近い事例を選ぶと響きます。数字を添えるときは、裏の取れるものだけにします。

資料が読まれているか分からないときは

渡した後に読まれたかを確かめるには、次の連絡のときに、資料のどこに関心を持ったかを尋ねます。反応が薄いなら、冒頭が相手の課題から始まっているかを見直します。サイトに置いた資料なら、どこまで読まれたかを見られる形にしておくと、離脱した場所が分かります。

資料は一度作って終わりにするものではありません。商談を重ねるたびに育てていくものです。相手の反応を見て、つまずいたページを直し、響いた言い回しを残す。この積み重ねで、資料はだんだん商談を進める道具になっていきます。最初から完璧を目指すより、使いながら直すほうが、現場に合った資料に近づきます。

まとめ

営業資料が刺さらないとき、多くの人は情報を足したりデザインを凝ったりします。けれども相手の関心が切れているのは、自分の課題と結びつかない冒頭です。相手の課題から始め、その解決策を示し、確かめられる根拠を添えて、最後に次の一歩を1つ示す。1ページに1つのことだけを書き、見出しはラベルで済ませず要点そのものにする。誇張せず、向き不向きも正直に書く。そして、資料とサイトで語り口をそろえ、相手から見て同じ会社の顔にする。作り込む前に、相手の課題から始める順番に組み直す。これが、商談を次に進める営業資料への一番の近道です。

ここまでの手順は、一度に全部やろうとしなくて構いません。読み流されるなら冒頭の課題から、社内で伝わらないなら渡す資料の言葉から、次につながらないなら最後の一歩から。いま一番つまずいている場所を1つ選んで、そこだけを直します。1つ直して商談での反応を確かめ、また次の場所へ進みます。全部を同時に変えると、何が効いたのかが分からなくなります。資料は、直した数だけ商談を進める力を持つようになっていきます。

今日できる点検

読み終えたら、いま使っている営業資料を開いて、下の表で1つずつ確かめてみてください。当てはまるものがあれば、そこが最初に直す場所です。

点検する場所 いま起きていること 今日できること
資料の1ページ目 会社紹介から始まっている 相手の課題を先頭に置く
各ページの見出し サービス概要などのラベルになっている 要点そのものを見出しにする
1ページの情報量 複数のことが詰め込まれている 1ページ1つのことに絞る
根拠の数字 裏の取れない数字がある 確かめられる数字に差し替える
最後のページ 連絡先だけで終わっている 次の一歩を1つ示す

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この記事を書いた人

中野輝規のアバター 中野輝規

合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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