予約の時間になっても、椅子は空いたままです。
電話は鳴らず、メッセージも届きません。次のお客さんをお断りした枠だけが、そのまま消えていきます。
この記事は、予約を受けて営業している店、サロン、医院の経営者に向けて書いています。
飲食店、美容室、ネイルサロン、歯科医院、整体院、エステなど、1人ぶんの時間や席を前もって押さえる商売を思い浮かべています。
無断キャンセルの対策は、検索すればいくらでも見つかります。
ところが、読んでもすぐに手が動かない、という声をよく聞きます。キャンセル料を決める、予約システムを入れる、客に嫌われないか心配になる、の順で止まってしまうからです。
この記事では、そこから一歩手前に戻ります。
予約を取る前に客が読む1ページと、予約を取ったあとに流す確認の連絡。この2つを揃えるだけで、無断キャンセルの多くは起きる前に減らせます。
手を打つ場所は、予約を取る前後の数日間です。キャンセルが起きた後では遅すぎます。
法律やキャンセル料の話は、経済産業省の有識者勉強会がまとめた対策レポートの原文で確かめられたことだけを書きます。確かめられなかったことは、断定せずに専門家へ確認する点として分けておきます。
読み終えたときに、自店の予約ページに足す1行が決まっていること。それがこの記事のゴールです。
Q&Aサイトで見かけた、サロン経営者の無断キャンセルの悩み
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿されたのは2025年の夏の手前で、1時間ごとの施術枠を売るサロンの経営者の方でした。
直前のキャンセルで、利益と他のお客さんの足が両方減っていた
投稿者は、直前のキャンセルで受ける損失が大きいと書いていました。
その枠が空くだけでなく、予約をお断りしたほかのお客さんが、あとから来なくなる。利益と常連の両方が削られている、という感覚です。
キャンセルポリシーはあるのに、回収できたことがなかった
店にはキャンセル料の決まりも、キャンセルポリシーの掲示もありました。
それでも、請求しようとすると「体調が悪かった」と言われたり、その人が二度と来なかったりして、回収できたことは一度もないそうです。
決まりを作っただけでは、止まらない。投稿者の悩みの根は、ここにありました。
予約サイトのカード登録は、客に嫌がられないか
投稿者は、予約サイトにカード情報を登録してもらう仕組みがあることも知っていました。
当日の無断キャンセルなら、登録したカードから引き落とせます。画期的だと感じる一方で、客の側に立つと迷いも出ます。
毎回カードの番号を入れる手間や、個人情報が漏れる心配を、客は嫌がるのではないか。投稿者は、客の立場と店の立場の両方の意見を聞きたいと結んでいました。
回答は「前もって決まりを見せる」と「選別する」に割れた
寄せられた回答を読むと、見方がいくつかに分かれていました。
客の側から見れば、カード登録は初回だけなら面倒ではない。「何日前まで無料」と決まっていれば、守るしかない。そう書いた人がいます。
一方で、常識のある客とそうでない客を切り分けるしかない、という回答もありました。初めての客は仕方ないとして、2回目以降は予約サイトからに限る、という工夫です。
さらに、キャンセル料を取るか、キャンセル料をやめて客の体験を良くするかの二択だ、と割り切った人もいます。
どの回答も、一理あります。ただ、読み比べて気づくことがあります。
どの回答も、客が予約をする「前」に何を見せているか、予約をした「後」にどう連絡を取るか、という入口と出口の話をしていません。
無断キャンセルが店に残すものを、数字で確かめる
投稿者の「損失が大きい」という実感を、公的な資料で測り直してみます。
使うのは、経済産業省の有識者勉強会が2018年11月に取りまとめた、飲食店の無断キャンセル対策レポートです。
飲食店向けの資料ですが、1人ぶんの枠を前もって押さえる商売には、そのまま当てはまる部分が多くあります。
予約全体の1%弱が、連絡なしに来ない
このレポートは、無断キャンセルが飲食店の予約全体の1%弱を占めると言われている、と書いています。
加えて、1日前と2日前のキャンセルまで含めると、発生率は6%強に達すると推計しています。
100件の予約を受ける店なら、そのうち6件前後が、前々日から当日のあいだに崩れる計算です。
席を空けて待つ時間が、損失を広げる
レポートは、無断キャンセルのときに起きる別の損失にも触れています。
予約した人が遅れて来るかもしれないと考えて、店は席を空けて待ちます。その待ち時間は、予約の時刻から平均で2〜3時間にのぼると説明しています。
その間に来た予約なしの客を断っていれば、損失はさらに大きくなります。
サロンなら、待つ間に入れられた別の施術です。医院なら、その枠で診られた別の患者さんです。
連絡があれば、損失は小さくなる
レポートは、同じキャンセルでも、連絡があるかないかで損害が大きく変わると整理しています。
連絡が来れば、食材を別に回せる。空いた席に別の客を案内できる。無断の場合は、その打つ手が使えません。
だから、減らすべきなのは「キャンセルそのもの」よりも、まず「連絡なしのキャンセル」です。
| 状況 | 店に起きること | 店が打てる手 |
|---|---|---|
| 前日までに連絡がある | 枠を再び案内できる | 順番待ちの客へ連絡する |
| 当日、直前に連絡がある | 準備の一部は無駄になる | 当日の問い合わせに回す |
| 連絡なしで来ない | 待機の時間も損失になる | ほぼ打てない |
| 連絡しても出ない | 予約が成立していたか曖昧になる | 記録を残して次回に備える |
この表のいちばん下の2行が、無断キャンセル対策の対象です。
次の章では、なぜ連絡なしのキャンセルが起きるのかを、客の側から見てみます。
連絡なしで来ない客は、どんな理由で来ないのか
無断キャンセルというと、悪意のある客を思い浮かべがちです。
けれども現場で多いのは、予約したこと自体を忘れていたり、日付を勘違いしていたりする客です。
忘れていた、勘違いしていた
予約の画面で日時を決めて、そのまま日常に戻る。数日後にはもう頭にない。こういう客は珍しくありません。
Q&Aサイトには、予約日を勘違いして連絡なしで行かなかったネイルサロンの利用者の相談もありました。
その方は謝罪の電話を入れ、次回来店のときにキャンセル料を払うつもりでした。悪意はなく、ただ日付を取り違えただけです。
こういう客に効くのは、罰則よりも、予約の前日にもう一度日時を知らせる連絡です。
取りあえず席を確保しておきたかった
もう1つの理由は、行けるかどうかわからないまま、念のために予約を入れておく客です。
予約が無料で、キャンセルの決まりも見えなければ、枠を押さえておくことに心理的な負担がありません。
飲食店でも、同じ時間帯に複数の店を予約しておいて、当日に1つだけ選ぶ、という使い方がレポートの事例にも載っています。
この場合、他の店への連絡は後回しにされ、そのまま無断キャンセルになります。
連絡しようとしたが、つながらなかった
3つ目の理由は、キャンセルしたかったのに、連絡する方法がなかった客です。
レポートは、「キャンセルの電話をしようと思ったが、開店前で電話が通じない」といった例を挙げて、連絡しやすい仕組みを整える必要を指摘しています。
電話しか受付がなければ、営業時間外の客はキャンセルを伝えられません。
本当に来る気がなかった
最後は、最初から来る気のなかった客です。
数としては少ないものの、損失は大きくなりがちです。ここへの備えは、次の章以降の事前決済や、ポリシーの確認で考えます。
| 理由 | 客の頭の中 | 効く手 |
|---|---|---|
| 忘れていた | 予約したことを覚えていない | 前日の確認の連絡 |
| 勘違いしていた | 日付や時間を取り違えた | 確認の連絡に日時を明記 |
| 席の確保だけ | 行けるかは当日に決める | 予約前に読む決まり |
| 連絡手段がない | 電話が通じず諦めた | 連絡に付ける取消の導線 |
| 来る気がない | 最初から行かない | 事前決済や預かり金 |
理由が違えば、効く手も違います。1つの対策で全部を止めようとすると、客に負担が偏ります。
キャンセルポリシーを掲げても止まらなかった理由
冒頭の相談者は、ポリシーを掲げていました。それでも止まらなかったのはなぜでしょうか。
考えられる理由を、順に並べます。
決まりが、予約のあとに見える場所にあった
多くの店で、キャンセルの決まりは、予約を確定したあとの確認メールや、店舗情報の下のほうに小さく書いてあります。
客はそこまで読みません。予約の最後のボタンを押す瞬間には、決まりを読んだ記憶が残っていないのです。
経済産業省のレポートは、この点をはっきり書いています。
「適切なキャンセルポリシーを設定すること、予約時にその内容について飲食店側が消費者側に対して明示すること」が必要であると考えられる、と。
ここで大切なのは「予約時に」という言葉です。予約の後に見えても遅く、予約の時に見えている必要があります。
決まりが長く、読む気にならなかった
もう1つは、決まりの文章が条文のように長いことです。
「当店では次の各号に該当する場合……」のような書き方は、客の頭に入りません。
必要なのは、読むのに20秒もかからない短さです。何日前から、どうなるのか。それだけを先頭に置きます。
決まりの先に、連絡の手段がなかった
決まりは、守れる手段が一緒にあって初めて働きます。
「前日までにご連絡ください」と書いてあっても、連絡先が電話しかなく、営業時間外は出られないなら、客は連絡できません。
決まりを書くことと、連絡できる道を用意することは、セットで考えます。
請求の手順が、店の中で決まっていなかった
相談者のサロンでは、請求しようとすると「体調不良だった」と言われました。
こうなると、店は強く出られません。体調不良をどう扱うか、あらかじめ決めておかないと、毎回スタッフの判断になります。
決まりの中に例外を書いておくか、例外は店主が判断すると書いておくと、現場の迷いが減ります。
予約の前に読む1ページを、1つ作る
ここから、この記事の中心になる提案です。
予約ページへ進む手前に、客が必ず目に入る、短いページを1つ置きます。
名前は「ご予約の前にお読みください」でよい
ページの名前は、凝る必要がありません。
「ご予約の前にお読みください」と書いて、予約ボタンの直前にリンクを置きます。
キャンセルの決まりだけでなく、遅刻の扱い、連絡方法、予約確認の流れまで1か所にまとめます。
予約ボタンの真上に、要点を2行だけ出す
1ページに詳しく書いても、リンクを押さない客はいます。
そこで、予約ボタンのすぐ上に、要点を2行だけ出します。「ご予約の前日に確認のご連絡をします」「キャンセルは前日の何時までに、こちらからお願いします」のような文です。
詳しい内容はリンク先に置き、予約ボタンの真上では最低限だけを見せます。
1ページに置く内容は、表にすると決めやすい
| 項目 | 書くこと | 書き方の目安 |
|---|---|---|
| キャンセルの期限 | いつまでなら無料か | 日付と時刻を明記 |
| 無断の場合 | 連絡なしで来ない場合の扱い | 事前に示した条件を書く |
| 遅刻の扱い | 何分遅れたら枠を詰めるか | 分単位で書く |
| 連絡の方法 | 変更や取消をどこから出すか | 夜間でも使える手段を添える |
| 確認の連絡 | いつ、何で連絡するか | 前日と当日朝など |
金額の書き方は、後の法律の章で、一次資料で確かめた範囲に絞って整理します。
1ページの書き方は、客に何をしてほしいかから逆に決める
決まりの文章は、店を守るためだけに書くものではありません。
客が迷わず動けるように書くものです。そう考えると、書き方の順番が自然に決まります。
先頭に置くのは、期限と連絡の方法
最初の2行に、「いつまでなら無料で変更できるか」と「どこから連絡するか」を書きます。
ここまで読めば、客は最低限の行動ができます。理由や背景の説明は、その下に回します。
理由を、1文だけ添える
決まりの理由を一言添えると、客の受け取り方が変わります。
たとえば、「1人のお客様のために、施術の時間を丸ごとあけてお待ちしています」と書きます。
押しつけには聞こえず、事情の説明として届きます。長い説明は要らず、1文で足ります。
例外の扱いを、先に決めておく
体調不良、家族の急な用事、交通機関の乱れ。
こうした事情を、どこまで考慮するのか。店主が決めておくと、現場のスタッフが毎回悩まずに済みます。
「やむを得ない事情の場合は、まずご連絡ください」と一文あるだけで、客も連絡しやすくなります。
文例と、避けたい書き方を並べる
| 場面 | 避けたい書き方 | 書き換えの例 |
|---|---|---|
| 期限 | 直前のキャンセルはご遠慮ください | 前日の18時までなら、無料で変更できます |
| 無断 | 無断キャンセルは厳禁です | 連絡なしでお越しにならない場合は、事前に示した条件で対応します |
| 理由 | 他のお客様に迷惑です | その時間は、お客様のために空けてお待ちしています |
| 連絡 | お電話でご連絡ください | 夜間はこちらのフォームから、いつでも取り消せます |
禁止の言葉を並べると、読んだ客は身構えます。
してほしい行動を、具体的に書くほうが、客は守りやすくなります。
予約を取ったあとの確認の流れを、4つの場面に分ける
予約の前に1ページを置いたら、次は予約のあとの連絡です。
経済産業省のレポートは、無断キャンセルを防ぐ最初の一歩として、予約の再確認を挙げています。
「予約時に連絡先を確実に把握することが大切だろう」という一文も添えています。
予約が確定した直後に、決まりをもう一度送る
予約の確定画面と、確定直後の連絡で、日時と決まりの要点を送ります。
客の記憶に残るのは、予約した直後の連絡です。ここに、先ほどの2行の要点をもう一度入れます。
レポートは、電話予約の場合でも必要最低限のキャンセルポリシーの説明をするべきだとしています。
数日前に、日時だけを知らせる
予約日の2〜3日前には、日時と場所だけの短い連絡を送ります。
レポートの事例では、来店3日前、前日、当日朝などの適当な時期に連絡を入れる例が挙げられています。
忘れていた客は、ここで思い出します。日程が合わなくなった客も、早めに連絡する余裕が残ります。
前日に、来られるかどうかを尋ねる
前日の連絡では、日時の確認に加えて、「ご都合が悪くなった場合はこちらから」と取消の導線を付けます。
連絡が来た時点で枠を再び案内できるので、店の損失は大きく減ります。
返事を求める形にすると、無断で来ない客は、返事がないまま浮かび上がります。店はその時点で動けます。
当日の朝に、最後の1通を送る
当日の朝には、時刻だけを書いた短い連絡を送ります。
ここまでやると、1人の客に4回の連絡が必要になり、業務が増えると感じるかもしれません。
そこで役に立つのが、予約システムの自動送信です。レポートも、システムによるショートメッセージの再確認は、業務の負担も少なく効果的だとしています。
| 場面 | 送るタイミング | 内容 |
|---|---|---|
| 確定直後 | 予約した直後 | 日時と、決まりの要点 |
| 数日前 | 予約日の2〜3日前 | 日時と場所だけ |
| 前日 | 予約日の前日 | 来られるかの確認と、取消の導線 |
| 当日朝 | 予約日の朝 | 時刻だけの短い連絡 |
4回すべてを必ず送る必要はありません。人手が足りないなら、確定直後と前日の2回から始めます。
取消の導線を、確認の連絡の中に入れる
連絡を送るだけでは、片道です。
客が、取り消したいと思ったときに、すぐ押せるボタンがあるかどうかで、結果が変わります。
ボタン1つで取り消せると、無断が連絡に変わる
レポートは、「リコンファームのSMSにキャンセルボタンを付与する方法もある」と書いています。
取消のボタンを連絡に付ければ、「連絡しようとしたが、つながらなかった」という客の無断キャンセルが、連絡のあるキャンセルに変わります。
客にとっても、電話をかける気まずさがありません。
取消が増えても、損失は減る
取消ボタンを付けると、キャンセルの数そのものは増えるかもしれません。
けれども、店にとって困るのは、連絡がないことです。前日までに知らされた取消は、別の客に枠を案内できます。
数字の上でキャンセルが増えても、売上の落ち込みは小さくなります。
電話しか受け付けない店は、まず時間外の窓口を作る
予約システムを入れていない店は、まず営業時間外でも取消を送れる場所を作ります。
簡単な方法は、予約確認の連絡に、取消用のメッセージの宛先を1つ書いておくことです。
「営業時間外でも、こちらに一言いただければ取り消せます」と添えるだけで十分です。
キャンセル料と法律は、一次資料で確かめられた範囲だけ書く
ここからは、お金と法律の話です。
最初にお断りしておくと、自店のキャンセル料を具体的にいくらにするか、請求して大丈夫かどうかの最終判断は、この記事では出せません。
経済産業省のレポートの原文で確かめられた範囲を整理し、確かめられなかった部分は「専門家に確認」としてはっきり分けます。
レポートは飲食店向けで、サロンや医院は対象外
まず前提です。確認したレポートは、飲食店の無断キャンセルを扱っています。
美容室、ネイルサロン、歯科医院などは、レポートの対象としては書かれていません。
考え方の筋道は参考になりますが、そのまま自店に当てはまるとは限りません。
予約も契約になりうる、とレポートは整理している
レポートは、飲食の提供契約は、内容が確定していれば、予約の方法に関わらず成立すると考えられる、と書いています。
口頭だけの電話予約であっても、契約が成立することがある、とも書いています。
そのうえで、一方的なキャンセルで店に損害が出れば、民法の債務不履行などにあたり、損害賠償を請求できると考えられる、という整理です。
請求するには、3つが揃っている必要がある
レポートは、キャンセル料を請求するために必要なことを3つ挙げています。
適切なキャンセル料を算定すること、キャンセルポリシーを設定すること、予約時にその内容を客に明示することです。
| 必要なこと | 内容 | 店がやること |
|---|---|---|
| 算定 | 損害の考え方を説明できる | 自店の収益構造から考える |
| 設定 | キャンセルポリシーを決める | 期限ごとに整理する |
| 明示 | 予約のときに客へ見せる | 予約前の1ページに置く |
3つ目の「明示」が、前の章で作った1ページの役割です。
金額は、高すぎると無効になる部分が出る
消費者契約法の第9条は、損害賠償の額を予定する条項が、同じ種類の契約で事業者に生じる平均的な損害の額を超える場合、その超える部分を無効とすると定めています。
レポートは、根拠のない法外な額のキャンセル料には法律上の問題がある、と述べています。
客から請求を高いと言われたときのために、レポートは、各地の消費生活相談の窓口に相談する道があることも客向けに書いています。
目安の割合に、法的な強制力はない
報道では、席だけの予約で客単価の5〜7割という数字が紹介されることがあります。
レポートの原文では、これを「損害賠償額の一つの目安」という位置づけで書いており、法的に決まった割合ではありません。
自店の食材や人件費、転用できる部分を除いて、店ごとに算定する前提です。サロンや医院の場合は、この計算の中身が違います。
専門家に確認する点を、先に書き出しておく
法律に関わる点は、弁護士や、地域の消費生活相談の窓口などの専門家に確認します。
確認する内容を紙に書き出しておくと、相談が早く進みます。
| 確認したい点 | 専門家に聞くこと |
|---|---|
| 自店の業種での算定 | 平均的な損害の考え方 |
| 例外の扱い | 体調不良などの扱い |
| 未成年や団体 | 予約の名義が違う場合 |
| 請求の手順 | 連絡の方法と記録の残し方 |
事前決済や預かり金は、必要な予約だけに限る
冒頭の相談者が気にしていたのが、カード登録による事前の保証でした。
レポートも、事前決済や預かり金の導入を、抑止力の一つとして挙げています。
レポートが想定しているのは、被害が大きくなりそうな予約
レポートは、予約の人数や金額から見て、無断キャンセルが起きたときに一定規模以上の被害が出そうな場合に、事前決済や預かり金を考えられるとしています。
すべての予約に求めるとは書いていません。
大人数の予約や、特別な準備が要る予約など、店の側の負担が大きいものに絞る考え方です。
客の手間と不安は、説明で和らげる
投稿者が心配したように、カード情報の入力は客にとって手間です。
回答の中にも、初回だけなら負担ではないという声と、毎回は嫌だという声がありました。
だから、使うなら理由を短く添えます。「この時間をお客様のために空けておくための保証です」と書き、受け取った情報の扱いも書きます。
預かり金は、来店したら料金から引く
預かり金を取る場合は、来店したときに料金から差し引く、と書いておくと客の納得が得られます。
追加の支払いに見えない形にしておくのがこつです。
返金の条件も、予約前の1ページに載せておきます。
全員に求めない、という選び方もある
回答の中には、初めての客と2回目以降の客で扱いを変える案もありました。
初来店は予約サイトの仕組みを使い、2回目以降は通常の予約にするなどです。
全員に同じ負担をかけず、リスクの高い予約にだけ手を打つ。小さな店には、この形が現実的です。
業種別に、まず着手する場所を決める
業種によって、無断キャンセルの痛みどころは違います。
自店に近い行を選んで、そこから始めます。
美容室とネイルサロンは、前日の確認から
1人で施術することが多いこれらの店では、1枠の損失がそのまま売上に響きます。
まず前日の確認の連絡を整えます。次に、予約前の1ページに、変更の期限を書きます。
歯科医院や整体院は、取消の導線から
継続して通う患者さんが多い医院は、客との関係を壊したくない事情があります。
厳しい決まりよりも先に、取消しやすい導線と、前日の確認で忘れを減らすことから始めます。
キャンセルの料金を決めるときは、地域の相談窓口や専門家への確認を、先に入れてください。
飲食店は、コースと席のみを分けて考える
レポートは、コース予約と席のみの予約を分けて、損害の考え方を整理しています。
コース予約は、他の客で埋め合わせるのが著しく難しいと考えられる、という前提です。
自店の予約がどちらに近いかを分けると、事前決済が必要な予約も見えてきます。
| 業種 | 痛みどころ | 最初の一手 |
|---|---|---|
| 美容室・ネイル | 1枠がそのまま売上 | 前日の確認 |
| 歯科・整体 | 患者との関係 | 取消の導線 |
| 飲食店 | 人数が多い予約 | 大口だけ事前の保証 |
| エステ・個室 | 長い枠 | 確定直後の連絡 |
無断キャンセルが起きてしまった日の動き方
どれだけ備えても、ゼロにはなりません。起きた日の動き方も、先に決めておきます。
まず連絡を1回だけ入れる
予約の時刻から少し過ぎた時点で、客に連絡を入れます。
レポートの事例にも、予約者の携帯電話に連絡を入れたところ「もうすぐ着く」と返され、席を空けて待ち続けたのに閉店まで来なかった、という例があります。
待つ時間の上限を、予約前の1ページに書いておくと、連絡の後にいつ枠を詰めるかを迷わずに済みます。
記録を残す
連絡した時刻、相手の返事、予約を受けた方法を、簡単に書き残します。
後で話が食い違ったときに、店の側が説明できる材料になります。
電話予約は記録が残りにくいので、受けた直後に確認の連絡を送ると、やり取りが文面に残ります。
次の予約の前に、一言を添える
連絡なしで来なかった客が、再び予約を入れてきたときは、予約の確定前に決まりを伝えます。
責める言い方は要りません。「前回、お時間をあけてお待ちしていました。今回は前日にご連絡しますね」と伝えます。
そこで気づいた客は、次からは連絡をくれるようになります。
予約前の1ページを、ホームページの中に置く
ここまでの話は、ホームページの中の1ページに集まります。
「売れるサイトはみな謙虚」という考え方は、要素を足すより引き算で、訪れた人が迷わず次の一歩に進める形に整えることです。
予約ページの手前に、余計なものを置かない
予約ボタンの手前に、広告やお知らせを何本も並べると、決まりのページは埋もれます。
引き算をして、予約に進む人が必ず通る道に、決まりの要点を置きます。
決まりは、ホームページの同じ場所から読めるようにする
予約サイトの中の説明、SNSのプロフィール、店内の掲示。決まりの置き場所が散らばると、書き換えるたびに食い違いが生まれます。
詳しい内容はホームページの1ページに置き、他の場所からはそこへ案内します。
そうすれば、決まりを変えたときにも、直す場所は1か所で済みます。
店の言葉で、短く書く
条文のような言葉は、客の目を滑ります。
自店の言葉で、してほしい行動を先に書きます。この姿勢は、売れるサイトの文章の書き方と同じです。
よくある質問
Q1. 無断キャンセルにキャンセル料を請求できますか
経済産業省のレポートは、飲食店について、損害が発生すれば請求しうるという整理をしています。
ただし、算定、ポリシーの設定、予約時の明示が揃っている必要があります。サロンや医院に同じ考え方が当てはまるかは、専門家に確認してください。
Q2. 予約前のページを作るだけで本当に減りますか
数字で約束できるものではありません。
ただ、忘れていた客や、決まりを知らなかった客は、予約の前後に見える情報が増えるほど、連絡をくれる方向に動きます。
Q3. 前日の連絡は、全員に送るべきですか
人手が限られるなら、1人の施術が長い予約や、初めての客から始めます。
予約システムの自動送信が使えるなら、全員に送って構いません。
Q4. カード登録を求めると、客が離れませんか
投稿者の悩みにもあったとおり、手間や不安は確かにあります。
全員に求めず、大人数や特別な準備が要る予約だけに絞る考え方が、レポートにも書かれています。
Q5. 体調不良の連絡は、どこまで受け入れますか
店ごとに決めてください。
決めた内容を予約前の1ページに一文で書いておくと、現場が毎回悩まなくなります。法律の判断が絡む場合は、専門家に確認します。
まとめ
無断キャンセルの対策は、予約の前後の数日間に打つのが近道です。起きた後に手を打っても間に合いません。
冒頭の相談者のように、決まりを掲げても止まらないときは、決まりが見える場所と、連絡の道を見直します。
この記事で扱った流れを、短く並べます。
予約の前に読む1ページを置き、予約ボタンの真上に要点を2行出す。確定直後、数日前、前日、当日朝の連絡で思い出してもらう。連絡には取消の導線を付ける。
キャンセル料は、レポートの原文で確かめられた範囲を守り、確かめられない点は専門家に確認する。
今日できる点検
次の表の上から順に、今日の営業が終わるまでに、できるところまで進めてください。
| 点検すること | やること | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 予約ページの確認 | 予約ボタンの手前に、決まりの要点が2行見えるか確かめる | 10分 |
| 決まりの文章 | 期限と連絡の方法を、先頭の2行に書き直す | 20分 |
| 連絡の手段 | 営業時間外でも取消を送れる窓口を1つ決める | 15分 |
| 確認の連絡 | 前日の連絡文を1本書く | 20分 |
| 例外の扱い | 体調不良などの扱いを、一文にする | 10分 |
| 専門家への確認 | 聞きたい点を紙に書き出し、相談する日を決める | 15分 |
| 記録の残し方 | 電話予約の直後に送る確認の文面を作る | 15分 |
全部を今日終える必要はありません。先頭の2行だけでも、書き直すと予約ページの印象が変わります。
出典は、経済産業省の有識者勉強会が2018年11月に取りまとめた飲食店の無断キャンセル対策レポートです。
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
ウェブサイトから要素を引き算し、訪れた人が迷わず次の一歩に進む形へ組み直す。初回60分のオンラインで御社のサイトを一緒に読み、どこから直すべきかをお伝えします。手順をまとめた無料の診断と解説動画もご用意しています。
初回は無料・60分・オンライン完結・その場で契約のお願いはいたしません


