KGIとKPIを調べると、略語の元になった英語と、売上を例にした図が並びます。言葉の意味は分かっても、自社のホームページで何の数字を追えばよいのかは、どの解説にも書かれていません。
この記事は、中小企業の経営者と、サイトの目標づくりを任されたWeb担当者に向けて書きました。KGIとKPIの意味、違い、KSFやKDIとの関係、決める順番、数字を置きすぎたときの失敗、業種ごとの例、そのまま使える記入表を押さえます。
使った資料は、書いた日に開いて確かめたものだけです。総務省の令和7年通信利用動向調査の報道資料(2026年5月29日公表)を、2026年11月2日に開いて確認しました。
KGIとKPIという言葉の出どころや、最初に使い始めた人については、辞書や学術の一次情報で確かめられなかったため、書いていません。略語の意味は、解説記事で広く共通している内容を、自分の言葉で書き直しています。
先に答え:KGIは1つ、KPIは3つまで。サイトの数字は、問い合わせの手前から逆算して決める
KGIは、最終のゴールを数字で表したものです。KPIは、そのゴールに向かう途中の進み具合を測る数字です。
中小企業のホームページなら、KGIは「月に受ける問い合わせの件数」や「月の予約の件数」のように、売上や受注につながる結果を1つ置きます。KPIは、その結果の手前にある動きを、多くても3つまで置きます。
置く順番は、KGI、KSF、KPI、KDIの順です。KSFはゴールに届くための条件、KDIは日々の行動を測る数字で、後の章で説明します。
多くの解説では、この順番を「ゴールから分解する」と説明します。この記事では、もう1歩具体的に、お客様がサイトの中で通る道の手前から数えます。
問い合わせが月に5件のサイトなら、問い合わせフォームに来た人、フォームを開いた人、料金や事例のページを読んだ人、と1段ずつ手前に戻ります。戻った先に、手を打てる数字が見つかります。
次の表が、この記事で進める全体の流れです。
| 段 | やること | 出てくるもの |
|---|---|---|
| 1 | KGIを1つに決める | 月の問い合わせ件数などの結果の数字 |
| 2 | ゴールに届く条件を文章で書く | KSF(成功の条件) |
| 3 | 条件を測る数字を3つまで選ぶ | KPI |
| 4 | 数字を動かす日々の行動を決める | KDI |
| 5 | 週に1回、数字を見る日を決める | 見直しの予定表 |
流れの出口は、見直しの予定表です。数字を決めるだけで終わらせず、いつ誰が見るかまで決めて、初めて目標として働きます。
1文で言うと
KGIは「ここまで行きたい」という到着点、KPIは「いまどこまで来たか」を知らせる目印です。
目印は、到着点の手前にしか置けません。到着点が決まる前に目印を置くと、どこにも向かわない道に標識を立てることになります。
この記事で使う言葉
読み進めやすいように、記事の中で使う言葉を先に決めておきます。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| KGI | 最終のゴールを表す数字 | 月の問い合わせ件数 |
| KSF | ゴールに届くための条件 | 料金が先に分かること |
| KPI | ゴールに向かう途中の進み具合を測る数字 | 料金ページを読んだ人の割合 |
| KDI | 数字を動かす日々の行動の量や回数 | 事例を毎週1本追加する |
| OKR | 目標と、その達成を測る数個の結果を組にする方法 | 目標1つにつき結果3つまで |
KDIとOKRは耳慣れない言葉かもしれません。この記事では、KDIを日々の行動の数字として、OKRをほかの目標の立て方として、それぞれ1つの節だけで扱います。
先に決めておく3つのこと
数字を決める前に、次の3つを決めておくと、後の作業が止まりにくくなります。
| 決めること | 決める内容 | 決めないとどうなるか |
|---|---|---|
| 見る期間 | 月ごと、週ごとのどちらで見るか | 数字がぶれて、増減の理由が分からなくなる |
| 見る人 | 誰が毎回数字を開くか | 誰も開かず、数字が放置される |
| 直す権限 | 数字が悪いとき、誰が何を直せるか | 気づいても直せず、会議で終わる |
特に3つ目の直す権限が抜けやすいです。数字を見る人と、サイトを直す人が別にいるときは、依頼の経路まで決めておきます。
1日で終える進め方
この記事の手順は、1日で一通り終えられます。午前に現状の数字を集め、昼からKGIとKPIを決め、夕方に見直しの予定を入れます。
最初から完璧な数字を探す必要はありません。まず仮に置いて、1か月使ってから直すほうが、現場に合った数字になります。
先日見かけたQ&Aサイトの悩み:「PDCAとKGI・KPIが同じことに思えて、違いが分からない」
先日、Q&Aサイトでこのような悩みを拝見しました。仕事でPDCAとKGI・KPIを習ったが、どちらも目標に向かって進める話に見えて、同じことのように感じる。明確な違いを知りたい、という内容です。
質問者は、2つの言葉を別々に覚えたものの、使い分けの場面が思い浮かばずに困っているようでした。
寄せられた回答の内容
回答は複数ありました。そのうちの1つは、飲食店の売上を10パーセント増やすという例で説明していました。
売上を10パーセント増やすことがKGIで、客数を増やす、リピーターを増やす、新規のお客様を増やすと枝分かれさせたものがKPIだという説明です。そのKPIのうち、どれを動かすかを試しながら探す進め方がPDCAだと整理していました。
別の回答は、PDCAを「計画、実行、評価、改善を繰り返す管理の回し方」と説明し、KGIとKPIは「目標の達成具合を測る数字」だと分けていました。
どちらの回答も、筋の通った説明です。KGIとKPIは測る数字、PDCAは回す手順、と分けて覚えると混ざりません。
質問に書かれていなかったこと
回答を読んでも、まだ残る疑問があります。自分の仕事では、それぞれ具体的に何の数字を置けばよいのか、という点です。
質問には業種も、扱う商品も書かれていませんでした。短い質問に、一般論の回答が返るのは自然なことです。
ただ、一般論の説明だけでは、会議室に戻ったときに数字が決まりません。売上10パーセントという例は、飲食店の話として読めても、士業の事務所や工務店の話としては読みにくいからです。
中小企業のホームページでも、同じ所で手が止まる
ホームページの目標づくりでも、同じ所で手が止まります。KGIは売上や受注と分かっていても、サイトの数字としては、問い合わせの件数なのか、訪問者の数なのか、迷うのです。
迷ったまま、アクセス数を目標に置く会社が多くあります。アクセス数は測りやすい数字ですが、問い合わせとの距離が遠く、増えても受注が増えないことがあります。
この記事の後半では、この迷いを断ち切る基準を示します。基準は「お客様が次の一歩に進んだことを示す数字だけを置く」の1本です。
PDCAとKGI・KPIの使い分け
質問に戻って、使い分けを表にまとめます。
| 言葉 | 役割 | 答える問い |
|---|---|---|
| KGI | 到着点を決める | どこまで行くのか |
| KPI | 途中の位置を知らせる | いまどこにいるのか |
| PDCA | 動き方を決める | 次に何を試すのか |
3つは役割が違うので、同時に使います。KGIで行き先を決め、KPIで現在地を見て、PDCAで次の一手を試す、という流れです。
KGIとKPIとは:意味と違いを、サイトの例で押さえる
ここからは、言葉の意味を押さえます。例はすべて、中小企業のホームページに引き直して説明します。
KGIの意味
KGIは、最終のゴールを、数字と期限で表したものです。解説記事では、略語の元の英語を「Key Goal Indicator」と書き、日本語に「重要目標達成指標」と訳すものが目立ちます。
サイトで言えば、「来年3月までに、月の問い合わせを8件にする」のように、数字と期限を持つ目標がKGIです。
「問い合わせを増やしたい」だけでは、KGIになりません。いくつを、いつまでに、が抜けているからです。
KPIの意味
KPIは、KGIに向かう途中の進み具合を測る数字です。略語の元は「Key Performance Indicator」と書かれ、「重要業績評価指標」と訳されます。
サイトで言えば、問い合わせフォームを開いた人の数や、料金ページを最後まで読んだ人の割合が、KPIの候補です。
KPIは、KGIの手前にある出来事を数字にします。問い合わせという結果は、手前の出来事がそろって初めて起きるからです。
KGIとKPIの違いを、表で見る
違いを4つの観点で並べます。
| 観点 | KGI | KPI |
|---|---|---|
| 位置 | 最終の結果 | 結果の手前の動き |
| 数 | 1つ | 3つまで |
| 見る頻度 | 月に1回 | 週に1回 |
| 例 | 月の問い合わせ件数 | 料金ページを読んだ人の割合 |
数の違いに注目してください。KGIは1つに絞り、KPIは3つまでに絞ります。数が増えるほど、どれを直せばよいのかが分からなくなるからです。
売上や利益は、KGIに置いてよいのか
売上や利益も、KGIになります。ただし、ホームページの担当者が直接動かせる範囲を超えることがあります。
売上は、価格や営業、商品の出来にも左右されます。サイトの担当者が責任を持てる範囲は、問い合わせや予約の件数までのことが多いです。
担当者の手が届く結果をKGIに置くと、数字と行動が結びつきます。経営全体のKGIが売上のときも、サイトのKGIは問い合わせの件数に落とすのが現実的です。
KGIを決めるときの3つの条件
KGIを決めるときは、次の3つを満たしているか確かめます。
| 条件 | 確かめる問い | 外れた例 |
|---|---|---|
| 数字で言える | いくつと言えるか | 「もっと増やす」 |
| 期限がある | いつまでか | 「いずれ」 |
| 自社の手で動かせる | 自分たちの行動で変わるか | 「世の中の景気が良くなれば」 |
3つ目が特に大切です。自社の行動で動かせない数字は、KGIに置いても、何をすればよいのかが決まりません。
KGIの期限は、どのくらい先に置くのか
期限は、3か月から1年の間に置くことが多いです。短すぎると、数字がぶれるだけで終わります。長すぎると、途中で見直す機会がなくなります。
月の問い合わせが5件前後の小さなサイトなら、1件の増減で率が大きく動きます。その場合は、3か月分をまとめて見て、期限を半年先に置くと落ち着きます。
期限を決めたら、途中の確認日も一緒に決めます。半年の目標なら、3か月目に1度、現在地を確かめる日を入れます。
KPIの期限は、KGIより短く置く
KPIは、KGIより細かい間隔で見ます。KGIを月に1回見るなら、KPIは週に1回です。
見る間隔が短いほど、悪化に早く気づけます。気づいてから直すまでの時間が短くなり、KGIに届く確率も上がります。
ただし、見る間隔を短くするほど、偶然のぶれも増えます。1週間の数字が下がっても、すぐに慌てて直さず、2週続けて下がってから動くと決めておくと、振り回されません。
よくある誤解
KGIとKPIについては、いくつか誤解が広まっています。
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| KPIは多いほど管理が行き届く | 多いと、どれを直すか決まらず止まる |
| KGIは売上でなければならない | サイトの担当者が動かせる結果で決めてよい |
| 数字が上がれば成功 | 結果につながる数字だけが成功の目印になる |
| 一度決めたら変えない | 1か月使って、合わなければ直す |
| 目標は高いほどよい | 届かない目標は、現場が数字を見なくなる |
5つ目の「高いほどよい」は、現場でよく起きます。届かないと分かっている数字を毎週見せられると、人は数字から目をそらすようになります。
この記事に出てくる5つの会社
説明をそろえるため、記事の中では次の5つの会社を例にします。実在の会社は使わず、説明のために作った小さな会社です。
| 会社 | 業種 | サイトの役目 |
|---|---|---|
| A社 | リフォームを請ける工務店 | 見積もりの問い合わせを受ける |
| B社 | 学習塾 | 体験授業の申し込みを受ける |
| C社 | 基板修理を請ける工場 | 修理の相談を受ける |
| D社 | 雑貨を売る小売店 | 来店と通信販売の注文を受ける |
| E社 | 税理士事務所 | 初回相談の予約を受ける |
5社とも、サイトの最終の目的は「相談や注文の入口を増やすこと」です。この共通点を使って、KGIを同じ型で決めていきます。
忙しい人のための読み方
時間がない人は、「決める順番」の章と、「記入表」の章だけを先に読んでください。そこだけで、今日の作業が終わります。
背景を知りたい人は、先頭から順に読むと、なぜその順番になるのかが分かります。
記事の中で使う数字について
記事の中の数字は、2種類に分かれます。1つは、官公庁が公表した統計の数字で、出典の名前と公表日を添えています。もう1つは、説明のために作った会社の数字で、「例」と書いています。
作った数字は、実在のサイトの実績ではありません。自社に当てはめるときは、必ず自社の数字に置き換えてください。
数字を決める前に、現状を書き出しておく
KGIもKPIも、現状の数字が分からないと決められません。次の4つを、メモ程度でよいので、先に書き出しておきます。
| 書き出すもの | 例 | どこで分かるか |
|---|---|---|
| 直近3か月の問い合わせ件数 | 月に4件、5件、3件 | 受信箱、予約の記録 |
| 問い合わせの経路 | 電話が6件、フォームが6件 | 電話の記録、フォームの記録 |
| サイトの訪問者の数 | 月に800人 | アクセスの記録 |
| 問い合わせを受けた月に何をしたか | 事例を2件追加 | 更新の記録 |
現状が分かれば、「3件を6件にする」といった、根拠のある目標が立てられます。記録がないときは、今日から付け始めることが最初のKPIになります。
迷ったときの判断の軸
KGIにするかKPIにするかで迷う数字が出たら、「その数字が上がったとき、お客様は買う(頼む)ところまで進んだと言えるか」を問います。言えるならKGI、言えないならKPIです。
たとえば、問い合わせの件数が増えれば、お客様は頼む手前まで進んだと言えるので、KGIに置けます。料金ページの閲覧が増えただけでは、まだ頼んでいないのでKPIです。
KSF、KDI、OKR、PDCAとの関係:KGIとKPIの間と前後を埋める言葉
KGIとKPIだけを決めても、2つの間に大きな空白が残ります。KGIが月に8件の問い合わせで、KPIが料金ページの閲覧率だとしても、なぜその閲覧率なのかが説明できないのです。その空白を埋めるのが、KSFです。
KSFは、ゴールに届くための条件を、文章で書いたもの
KSFは、ゴールに届くために欠かせない条件のことです。略語の元は「Key Success Factor」と書かれ、「重要成功要因」と訳されます。
KSFは、文章で書きます。たとえば、「料金の決まり方が、問い合わせの前に分かること」「自分と同じ悩みの事例が、すぐ見つかること」といった文です。
KGIを決めたら、次にKSFを2つか3つ書きます。この文が、KPIを選ぶときの根拠になります。
KPIは、KSFが満たされたかを測る数字
KSFが文章なら、KPIはその文章が本当に満たされているかを測る数字です。
「料金の決まり方が、問い合わせの前に分かること」というKSFなら、料金ページを最後まで読んだ人の割合が、KPIの候補になります。
KSFを間に挟むと、KPIを選ぶ理由が説明できます。理由を説明できる数字は、会議で疑われにくく、続けやすいです。
KDIは、数字を動かす日々の行動を測る
KDIは、KPIを動かすための、日々の行動の量や回数のことです。略語の元は「Key Do Indicator」と書く解説もあれば、別の書き方をする解説もあり、表記が定まっていません。
そのため、この記事ではKDIという略語にこだわらず、「日々の行動の数字」と呼びます。
たとえば、料金ページの閲覧率を上げたいなら、「事例を毎週1本追加する」「料金の説明文を月に1回見直す」が日々の行動です。行動は、数えられる形で書きます。
OKRは、KGIやKPIとは別の目標の立て方
OKRは、目標と、その達成を測る数個の結果を、組にして立てる方法です。解説記事では「目標と主要な結果」と訳されます。
KGIとKPIは「ゴールと、途中の進み具合」という上下の関係です。OKRは「目標と、その結果の数個」という組の関係で、目標のほうに熱量のある言葉を置きます。
どちらかが正しいという話ではありません。中小企業のサイトの数字なら、まずKGIとKPIで十分です。OKRは、チームの人数が増えて、目標の共有が難しくなってから検討すれば間に合います。
PDCAは、数字を回すための手順
PDCAは、計画、実行、評価、改善を繰り返す手順のことです。KGIとKPIは、その中の「評価」の物差しになります。
KPIを見て、悪いところを見つけ、直して、また見る。この繰り返しがPDCAです。物差しだけがあっても回らず、手順だけがあっても何を評価するのか決まりません。
5つの言葉を、1枚の表で見る
5つの言葉の関係を、1枚の表にまとめます。
| 言葉 | 形 | 決める時期 | サイトでの例 |
|---|---|---|---|
| KGI | 数字と期限 | 最初 | 月の問い合わせを8件にする |
| KSF | 文章 | KGIの次 | 料金の決まり方が先に分かる |
| KPI | 数字 | KSFの次 | 料金ページを読み切った人の割合 |
| KDI | 行動の回数 | KPIの次 | 事例を毎週1本追加する |
| PDCA | 手順 | 全体を回す間 | 毎週金曜に数字を見て1つ直す |
この表のとおり、決める時期には順番があります。順番を飛ばすと、後ろの言葉が根拠を失います。
決める順番:KGIから始めて、問い合わせの手前へ戻る
ここから、実際に数字を決める手順を説明します。手順は5つです。
手順1:KGIを1つ決める
最初に、サイトの最終の結果を1つ決めます。業種ごとに、次のような型があります。
| 業種の型 | KGIの例 |
|---|---|
| 見積もりを受ける仕事 | 月の見積もり依頼の件数 |
| 予約を受ける仕事 | 月の予約の件数 |
| 商品を売る仕事 | 月の注文の件数 |
| 相談を受ける仕事 | 月の初回相談の件数 |
結果は1つに絞ります。2つ以上あると、どちらを優先するかが決まらず、現場が迷います。
手順2:KSFを文章で2つか3つ書く
KGIに届くための条件を、文章で書きます。書き方は、「お客様が〜できること」の形にそろえます。
たとえば、「お客様が、申し込む前に費用の決まり方を知れること」「お客様が、自分と近い事例を見つけられること」「お客様が、スマホだけで申し込めること」です。
お客様を主語にすると、お客様の行動に焦点が合います。
手順3:KPIを3つまで選ぶ
KSFごとに、満たされたかどうかを測れる数字を探します。1つのKSFに対して、1つのKPIを置きます。
| KSF | KPIの候補 |
|---|---|
| 費用の決まり方を知れる | 料金ページを読み切った人の割合 |
| 近い事例を見つけられる | 事例ページから問い合わせへ進んだ人の割合 |
| スマホだけで申し込める | スマホでフォームを送信し終えた人の割合 |
KSFが3つなら、KPIも3つです。4つ目の数字が思いついても、置きません。置く場所を空けたければ、既存のKPIを1つ外します。
手順4:KDIを決める
KPIを動かす行動を、1つのKPIにつき1つか2つ決めます。行動は、1週間で終わる大きさに切ります。
| KPI | 日々の行動の例 |
|---|---|
| 料金ページを読み切った割合 | 料金の説明の冒頭に、費用の決まり方を3行で書く |
| 事例から問い合わせへ進んだ割合 | 事例の末尾に、問い合わせのボタンを置く |
| スマホで送信し終えた割合 | 入力欄の数を減らし、スマホで試す |
行動が1週間で終わらないなら、まだ大きすぎます。2つか3つに割って、小さい単位にします。
手順5:見る日を決める
最後に、数字を見る日と、見る人を決めます。毎週金曜の午後、担当者が10分だけ開く、といった形で十分です。
見る日を決めないと、数字は日々の忙しさに紛れて、誰にも開かれなくなります。
5つの手順を、1つの流れで見る
手順の流れを、問い合わせの手前から戻る形で並べてみます。
| 戻る順 | 問い | 例(A社) |
|---|---|---|
| 結果 | 何が起きれば成功か | 見積もり依頼が月に8件 |
| 1つ手前 | その前にお客様は何をするか | 見積もりフォームを送る |
| 2つ手前 | その前に何を確かめるか | 施工事例と料金の決まり方を読む |
| 3つ手前 | その前にどこへ来るか | 検索から事例のページへ着く |
この表を上から下へ読むと、お客様の道を逆にたどっています。それぞれの段が、KPIの候補になります。
中小企業のサイトで追う数字の例:業種ごとに、KGIとKPIを並べる
次に、5つの小さな会社で、実際に数字を決めてみます。数字は説明のために作った例です。
A社(リフォームを請ける工務店)の例
A社のKGIは、「半年後に、月の見積もり依頼を3件から6件にする」と決めました。
KSFは2つです。「施工の費用の決まり方が、依頼の前に分かること」と、「近所の施工事例が見つかること」です。
KPIは、料金の説明ページを読み切った人の割合と、地域名のついた事例ページの閲覧数です。日々の行動は、事例の追加を毎月2件にすることに決めました。
B社(学習塾)の例
B社のKGIは、「3か月後に、体験授業の申し込みを月に4件から8件にする」です。
KSFは、「保護者が、授業の様子を申し込み前に知れること」と、「申し込みの手続きが短いこと」です。
KPIは、授業の様子のページから申し込みへ進んだ人の割合と、申し込みフォームの送信完了率です。日々の行動は、フォームの入力欄を減らすことに決めました。
C社(基板修理を請ける工場)の例
C社のKGIは、「半年後に、修理相談を月に2件から5件にする」です。
KSFは、「修理できる基板の種類が、相談前に分かること」です。一覧がなく、電話で聞かれることが多かったためです。
KPIは、修理できる種類のページを読んだ人の割合です。日々の行動は、修理できた事例を月に1件、種類別に書き足すことです。
D社(雑貨を売る小売店)の例
D社のKGIは、「3か月後に、通信販売の注文を月に10件から15件にする」です。
KSFは、「商品の大きさや質感が、写真と文章で伝わること」です。
KPIは、商品ページから注文カートへ進んだ人の割合と、スマホでの購入完了率です。日々の行動は、写真に寸法の入った1枚を足すことにしました。
E社(税理士事務所)の例
E社のKGIは、「半年後に、初回相談の予約を月に3件から6件にする」です。
KSFは、「相談の流れと費用の決まり方が、予約前に分かること」です。
KPIは、相談の流れのページを読み切った人の割合です。日々の行動は、よくある質問に、問い合わせで実際に聞かれた言葉を毎月3つ足すことです。
5社を並べて見えること
5社のKGIは、どれも「入口の件数」です。売上そのものは置かず、売上の手前にある、相談や注文の件数を置いています。
KPIは、どの会社も「費用や中身が前もって分かるページを、読み切った人の割合」が中心でした。お客様が申し込む前に不安を解く動きが、結果を左右しているからです。
2回目の来店を、KPIに置く場合
店舗やサロン、飲食店のように、同じお客様が繰り返し来る商売では、2回目の来店率もKPIに置けます。
2回目の来店が増える手順は、別の記事で詳しく書いています。リピーターを増やすには 初回のあとの空白を埋める手順と2回目の人向けページで、初回のあとの連絡や、2回目の人向けのページの作り方を説明しています。
この記事では、2回目の来店率をKPIの1つとして置けることだけ覚えておいてください。置く場合は、KGIが来店の件数のときに限ります。
公的な数字で見る:お客様はスマホの上で調べるので、KPIも画面の大きさ別に見る
ここで、お客様の側の状況を、官公庁の数字で確かめておきます。KPIを置く場所を決める手がかりになるからです。
総務省の令和7年通信利用動向調査が示したこと
総務省は2026年5月29日に、令和7年通信利用動向調査の結果を公表しました。報道資料の「今回調査結果の要点」には、「スマートフォンの保有状況について、世帯の保有割合が91.8%となり、引き続き9割を上回っている」と書かれています。
同じ資料には、インターネットの利用目的で「SNS(無料通話機能を含む)の利用」の割合が82.3%と最も高い、とも書かれています。
調査は、2025年8月末を時点として、世帯調査で17,916世帯から回答を得ています。回収率は45.5%です。
この数字を、KPIにどう結びつけるか
世帯の9割以上がスマートフォンを持っているということは、サイトを見に来る人の多くが、小さな画面で見ている可能性が高いということです。
そのため、KPIは、パソコンとスマホを合算せず、画面の種類ごとに見ておくと、直す場所が見つかります。
たとえば、フォームの送信完了率がパソコンでは高く、スマホでは低いなら、スマホの入力欄に問題があります。合算すると平均に埋もれて、この差が見えなくなります。
数字を読むときの注意
この調査の世帯調査は、全国の世帯を対象にした数字です。自社のお客様の層がそのとおりとは限りません。
高齢のお客様が中心のサイトや、パソコンで調べる法人のお客様が中心のサイトでは、実際の画面の比率が異なります。自社のアクセスの記録で、画面の種類ごとの割合を1度確かめてください。
総務省の企業調査は、常用雇用者が100人以上の企業を対象にしています。100人未満の小さな会社の数字は、この調査には含まれません。小さな会社の数字を引くときは、調査の対象を確かめてから使います。
公的な数字は、目標の根拠にも使える
公的な数字は、目標を決めるときの根拠にも使えます。「世帯の9割以上がスマホを持つから、スマホでの申し込み完了率をKPIに置く」と書けば、置く理由が会議で通りやすくなります。
理由のない数字は、担当者が変わると、置いた意味が忘れられます。理由を1行添えておくと、後任が見直す手がかりになります。
公表の日付を知ると、見直しの予定が立つ
通信利用動向調査は、毎年同じ時期に公表されています。公表の日付を知っておくと、数字を見直す日の目安になります。
見直しの日に、官公庁の最新の数字を開いて、自社の目標の根拠が古くなっていないかを確かめます。数字は更新される前提で、年に1度見直す予定を入れます。
数字が見つからないときの代わりの集め方
自社の業種に合う官公庁の数字が見つからないこともあります。その場合は、自社の記録から数字を取ります。
問い合わせの記録、予約の記録、電話で聞かれた質問の記録が、そのままKPIの材料になります。外の数字がなくても、自社の数字で十分に目標は立てられます。
数字を決めた直後に、メモしておくこと
数字を決めた日に、3つのことをメモしておきます。決めた日付、決めた理由、見直す予定の日です。
3つのメモがあれば、半年後に自分で読み返したときも、他の人が引き継いだときも、数字の意味が失われません。メモは、記入表の余白に書くだけで足ります。
数字を決める会議を、短く終わらせるコツ
決める会議は、1時間以内に終わらせます。事前に、現状の数字と、KPIの候補の案を、担当者が1枚にまとめておきます。
会議の当日は、案を選別表に通して、3つに絞ることだけに時間を使います。ゼロから議論を始めると、決まらないまま時間が過ぎます。
決めた数字は、社内の誰にでも見える場所に置く
決めた表は、担当者だけが持つと、他の人が数字の意味を知らないままになります。社内の共有の場所に置き、誰でも開ける状態にします。
経営者が表を見て、「今月はここを直すのか」と分かれば、担当者への声かけも変わります。数字は、会社の共通の言葉にして初めて力を持ちます。
担当者が1人しかいない会社の場合
担当者が1人しかいない会社では、見る人と直す人が同じになります。その分、権限の問題は起きません。
代わりに、続ける仕組みが要ります。手帳やカレンダーに、毎週の10分を予定として入れておきます。予定になっていない作業は、忙しい週に真っ先に消えるからです。
数字を置いたのに何も変わらない5つの症状:KPIが増えるほど、サイトは直らなくなる
KGIとKPIを決めたのに、サイトが少しも良くならない。この状態に陥る会社は、珍しくありません。数字を置く作業そのものが、目的になってしまうからです。
次の5つの症状に、思い当たるものがないか確かめてください。
症状1:数字の一覧が増えて、会議が長くなる
月例の会議で、アクセス数、直帰率、滞在時間、閲覧ページ数、問い合わせ数と、10種類以上の数字を順に読み上げる。この形が、症状の1つ目です。
読み上げるだけで時間が過ぎ、「で、何を直すのか」が決まらないまま会議が終わります。数字が多いほど、どれが大事なのかが見えなくなります。
症状2:アクセス数だけが目標になっている
アクセス数は、いちばん測りやすい数字です。測りやすいので、目標に置かれがちです。
ところが、アクセス数が増えても、問い合わせが増えるとは限りません。検索に出る語を広げて訪問者を増やしても、依頼する気のない人が増えるだけのことがあります。
症状3:数字が下がっても、誰も動かない
KPIが下がっているのに、誰も直さない。この症状は、数字を見る人と、サイトを直す人が別にいるときに起きます。
見る人は「下がっています」と報告して終わり、直す人は報告が来ないので気づきません。手順1で説明した「直す権限」を決めていなかったことが原因です。
症状4:KPIが達成されたのに、KGIが動かない
KPIが目標を超えたのに、問い合わせが増えない。この症状は、KPIがKGIの手前にある出来事になっていないときに起きます。
たとえば、「ブログの記事数」をKPIにして、記事を50本増やしたのに、問い合わせが変わらなかった。記事の数と問い合わせの間に、つながりがなかったのです。
症状5:目標を決めた日から、一度も見直されていない
年度のはじめに決めたKGIとKPIが、年度の終わりまで放置されている。5つ目の症状です。
サイトの状況も、お客様の動きも、半年あれば変わります。決めた日の数字がそのまま通用するほうが珍しいです。
5つの症状を、表で診断する
自社の状態を、次の表で確かめてください。
| 症状 | 確かめる問い | 当てはまると |
|---|---|---|
| 数字の一覧が増える | 会議で読み上げる数字は5つ以内か | 絞る |
| アクセス数だけ | 問い合わせの数字が並んでいるか | KGIを置き直す |
| 誰も動かない | 数字が下がったとき、直す人が決まっているか | 権限を決める |
| KPIだけ達成 | KPIはKGIの手前の出来事か | KPIを選び直す |
| 見直されない | 最後に見直したのはいつか | 予定を入れる |
「当てはまる」が3つ以上あれば、数字を置き直す時期です。
なぜKGIとKPIの設定は、中小企業で行き詰まるのか
症状の裏には、構造的な原因があります。解説記事の多くは、大きな会社の経営管理を想定して書かれているからです。
解説の例は、大きな会社の営業部門が多い
KGIとKPIの解説には、「営業担当者の訪問件数」「商談化率」「受注率」といった例がよく登場します。営業部門が何十人もいる会社で、数字に統計的な意味が出る規模の話です。
小さな会社のサイトでは、問い合わせが月に数件しか起きません。1件の増減で率が大きく動き、受注率や商談化率の細かい数字を追っても、ぶれを見ているだけになります。
数字の意味が出るまでの母数が足りない
数字に意味を持たせるには、一定の母数が要ります。月に5件の問い合わせから、「商談化率」を出しても、1件の違いで2割動きます。
母数が少ないときは、率を追わず、件数と、行動の完了の有無を追うほうが実用的です。たとえば、「事例を2件追加できたか」は、率よりも確実に判断できます。
測る道具を入れても、集計に手が回らない
解説では、アクセス解析の道具を使った細かい集計がよく紹介されます。集計のたびに設定が要り、担当者が兼務の会社では、手が回りません。
測る数字は、毎週10分で確かめられる範囲にとどめます。10分で終わらない数字は、続きません。
他の会社の目標をそのまま写すと、噛み合わない
検索で出てきた「KPIの例」を、そのまま自社に写す会社があります。例が自社の事情と合っていないと、数字が現場の行動と結びつきません。
たとえば、店舗型の事業が「資料請求の件数」をKPIに置いても、資料請求のページがなければ測れません。例は参考にとどめ、自社のお客様の道に合わせて選び直します。
よくある間違ったKGI・KPIの設定と、その末路
次に、設定の間違いを5つ挙げます。いずれも、実際の現場でよく見られる型です。
間違い1:KGIを売上にして、サイトの担当者が責任を持てなくなる
サイトのKGIに売上を置くと、価格や営業の努力まで含まれます。担当者が動かせない部分が大きく、数字が悪くても、直し方が決まりません。
末路は、担当者が数字を見なくなることです。「自分には関係ない数字」と感じた時点で、目標は機能を失います。
間違い2:KPIを10個以上並べる
網羅したい気持ちから、KPIを10個以上置く会社があります。数字は網羅されても、直す行動は網羅されません。
末路は、「どれも気になるが、どれも直さない」状態です。3つまでに絞るのは、手が回る範囲に収めるためです。
間違い3:測りやすい数字を、KPIに選ぶ
アクセス数、ページの表示回数、SNSの反応の数など、測りやすい数字が選ばれがちです。測りやすい数字は、お客様の次の一歩から遠いことが多いです。
末路は、数字だけが上がり、問い合わせは変わらない状態です。数字を見るたびに、「上がっているのに、なぜ」という疑問が残ります。
間違い4:KGIとKPIの期限を同じにする
KGIを半年後、KPIも半年後に置くと、途中で現在地を確かめられません。KPIは、KGIより短い間隔で見る前提で置きます。
末路は、期限の直前に慌てることです。半年後に初めて「届かなかった」と気づいても、取り返す時間がありません。
間違い5:決めて満足して、見る日を決めない
数字を決めた日が、いちばん熱量の高い日です。その後は、日々の仕事に紛れて、数字を開く機会が減っていきます。
末路は、数字が存在しているだけで、使われない状態です。手順5の「見る日を決める」を飛ばしたことが原因です。
うまくいった設定と、うまくいかなかった設定の見分け方
2つの設定を、並べて比べます。
| 観点 | うまくいかなかった設定 | うまくいった設定 |
|---|---|---|
| KGIの数 | 3つ以上 | 1つ |
| KPIの数 | 10個以上 | 3つまで |
| 数字の選び方 | 測りやすさ | お客様の次の一歩 |
| 見直し | 年に1度 | 週に1回と月に1回 |
| 責任者 | 決まっていない | 数字ごとに1人 |
右の列は、特別な技術を必要としません。数と見る間隔を決めるだけで、左の列から抜けられます。
間違いが起きやすい場面
間違いが起きやすい場面は、サイトを作り直した直後と、担当者が代わった直後です。
作り直した直後は、新しい数字を張り切って置きすぎます。担当者が代わった直後は、前任が置いた意味を知らないまま、数字だけを引き継ぎます。
どちらの場面でも、KSFを文章で残しておくと、数字を置いた理由が引き継げます。
数字が合わないと感じたときの確かめ方
「数字が合わない」と感じたら、まず数え方が変わっていないかを確かめます。アクセスの記録の設定を変えたり、フォームを作り直したりすると、前の月と数え方が違ってしまうことがあります。
数え方が変わった日をメモしておくと、数字の急な増減に慌てずに済みます。
B社に起きたこと:体験授業の申し込みは増えたのに、入塾が増えなかった
B社は、KGIを「体験授業の申し込みの件数」に置き、キャンペーンの案内を目立たせました。申し込みは月に4件から9件に増えました。
ところが、入塾した人の数は変わりませんでした。キャンペーン目当ての申し込みが増え、授業の内容を知らないまま来た保護者が多かったためです。
KGIが「入口」の件数だけだったので、入口の質が見えませんでした。入塾までを見る数字を、KPIとして1つ足すべきでした。
C社に起きたこと:アクセスは増えたが、相談は減った
C社は、アクセス数をKPIに置いて、基板に関する広い話題の記事を増やしました。アクセスは月に300から700に増えました。
しかし、修理の相談は月に2件から1件に減りました。広い話題で来た人の多くは、修理を頼む人ではなかったためです。
アクセス数が増えたことで、「うまくいっている」と判断してしまい、相談が減った事実に気づくのが遅れました。KGIの数字を毎月見ていれば、早く気づけた失敗です。
D社に起きたこと:KPIを12個並べて、1つも直せなかった
D社は、通信販売のページを任された担当者が、12個の数字を毎週報告する形にしました。報告書の作成だけで、毎週1時間以上かかっていました。
数字が12個あったので、毎週どこかが悪化していました。直す箇所が毎週変わり、1つのページを腰を据えて直す時間が取れませんでした。
3つに絞ってからは、報告に10分しかかからなくなり、浮いた時間で商品ページの写真を撮り直せました。
E社に起きたこと:目標の根拠を、後任が知らなかった
E社は、前任の担当者が「相談の流れのページを読み切った人の割合」をKPIに置いていました。後任は、その意味を知らないまま、数字を引き継ぎました。
数字が下がっても、後任には何を直せばよいのか分かりませんでした。KSFの文章を残していなかったため、数字の裏にある意図が失われたのです。
KSFを1行ずつ書いて数字の横に添えただけで、後任が数字の意味を説明できるようになりました。
4つの失敗に共通すること
4つの失敗は、起きた場所は違っても、原因が共通しています。
| 会社 | 起きたこと | 共通する原因 |
|---|---|---|
| B社 | 入口だけを見て、質が見えなかった | お客様の次の一歩が、途中で途切れていた |
| C社 | 測りやすい数字だけを見た | 結果の数字と、途中の数字が別々だった |
| D社 | 数字が多すぎて動けなかった | 数を絞る基準がなかった |
| E社 | 意図が引き継がれなかった | 数字を置いた理由が、文章で残っていなかった |
共通する原因は、「お客様の道」と「数字」が結びついていなかったことです。次の章で、結びつけ直す方法を説明します。
自社のKGIとKPIを診断する
自社の設定を、次の表で診断してください。「はい」が少ないほど、見直す余地があります。
| 診断の問い | はい | いいえ |
|---|---|---|
| KGIは、1つだけか | ||
| KGIに、数字と期限があるか | ||
| KPIは、3つ以内か | ||
| KPIは、KGIの手前の出来事か | ||
| 数字ごとに、直す人が決まっているか | ||
| 数字を見る日が、決まっているか | ||
| 数字を置いた理由が、文章で残っているか |
「いいえ」が3つ以上なら、決める順番の章に戻って、手順1から順に決め直します。
数字が悪いときに、人を責めない
数字が悪いとき、担当者を責める会社があります。責められた担当者は、数字をよく見せる方向に動きます。
たとえば、フォームの送信数を上げるために、入力欄を極端に減らして、連絡のつかない問い合わせを増やすような動きです。数字は上がっても、受注にはつながりません。
数字は、サイトのどこを直すかを知らせる目印です。悪い数字が出たときは、「どこを直そうか」と問う会議にします。
経営者と担当者で、見ている数字が違うとき
経営者は売上を見ていて、担当者はアクセスを見ている。このずれが、会社の中で起きることがあります。
ずれたままだと、担当者の頑張りが経営者に届きません。担当者がアクセスを増やしても、経営者の見る売上は動かないからです。間にKGIとKPIを置くと、2人が同じ表を見て話せます。
外部に制作を頼んでいるときの注意
制作を頼んでいる会社が、報告書に多くの数字を並べてくることがあります。数字が多いと、頑張っている印象は伝わりますが、直す場所は見えません。
頼んでいる会社には、自社のKGIとKPIの表を渡し、報告はこの3つを中心にしてほしいと伝えます。報告が短くなり、打ち合わせが「何を直すか」の話に変わります。
数字を目標にした途端に、数字が歪む
数字を目標にすると、その数字をよく見せる行動が増えます。これは、人が目標に合わせて動くからで、悪意とは限りません。
たとえば、「問い合わせの件数」をKGIにすると、問い合わせの定義を甘くして件数を増やしたくなります。定義は、決めた日に文章で残し、途中で変えないようにします。
小さな会社ほど、数字を減らす勇気が要る
数字を減らすのは、情報を捨てることのように感じられ、不安になります。しかし、減らして初めて、残した数字に手が届くようになります。
捨てた数字は、消えるわけではありません。アクセスの記録の中に残っていて、必要になったときに開けます。いま追わないと決めただけです。
減らす数字の選び方
どの数字を減らすかは、次の表の順に決めます。
| 順番 | 減らす数字 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 見ても何も直さなかった数字 | 行動につながっていない |
| 2 | 他の数字と同じ動きをする数字 | 見る意味が重なっている |
| 3 | 自社で動かせない数字 | 手を打てない |
この順に外していくと、3つ前後まで自然に絞れます。
数字が増える会社の、共通する習慣
数字が増えていく会社には、共通する習慣があります。新しい数字を足すときに、古い数字を外さないことです。
足すたびに、外す数字を1つ決める。この約束を守るだけで、数字は増えすぎません。
失敗を記録に残す価値
失敗した設定も、記録に残しておく価値があります。何を置いて、何が起きなかったのかが分かれば、次に同じ数字を置くことを避けられます。
失敗の記録は、成功の記録より役に立つことがあります。自社のお客様に効かなかったことが、はっきり分かるからです。
解決策:「売れるサイトはみな謙虚」の考え方で、KGIとKPIをお客様の次の一歩に置き直す
ここまでの失敗は、数字が自社の都合で選ばれていたことから起きていました。直す方向は1つです。数字を、お客様が次の一歩に進んだかどうかで選び直します。
土台に置くのは、「売れるサイトはみな謙虚」という考え方です。ウェブサイトから要素を引き算して、訪れた人が迷わず次の一歩に進める形に組み直す、という考え方です。
謙虚とは、自社の数字より、お客様の動きを先に置くこと
謙虚に数字を置くとは、見せたい数字より、お客様の動きを映す数字を先に置くことです。
見せたい数字は、アクセス数や記事の本数のように、自社の頑張りを示すものです。お客様の動きを映す数字は、料金を読み切った人の割合や、フォームを送り終えた人の割合のように、お客様が迷わず進んだかを示すものです。
前者は自社を主役にし、後者はお客様を主役にします。KPIは、後者から選びます。
数字を置き直す4つの問い
数字を選び直すときは、次の4つの問いを順に確かめます。
| 問い | 確かめる内容 | 外れた数字の例 |
|---|---|---|
| お客様の動きか | お客様が何かをした記録か | 自社の記事の本数 |
| 次の一歩に近いか | 問い合わせや注文の手前か | ページの表示回数 |
| 自社の手で動かせるか | 直したら変わる数字か | 景気に左右される訪問者数 |
| 毎週10分で確かめられるか | 手間が続く範囲か | 手作業の集計が必要な数字 |
4つとも「はい」になる数字だけを、KPIの候補に残します。1つでも外れたら、その数字は置きません。
お客様の道を、4つの段に分ける
サイトの中でお客様が通る道を、4つの段に分けます。この4つの段のそれぞれに、KPIの候補が1つずつ見つかります。
| 段 | お客様の動き | 測る数字の例 |
|---|---|---|
| 着く | 検索や紹介から、ページに着く | 狙いのページへの訪問の数 |
| 確かめる | 料金や事例を読んで確かめる | 読み切った人の割合 |
| 進む | 問い合わせや注文のボタンを押す | ボタンを押した人の割合 |
| 終える | フォームを送り終える | 送信完了の割合 |
4つの段のうち、いちばん数字が悪い段が、今月直す場所です。全部の段を同時に直そうとしないことが、続けるコツです。
いちばん悪い段を見つける
4つの段の数字が出たら、前の段から次の段へ、どれだけの人が進んだかを並べます。
| 段 | 人数の例 | 前の段からの割合 |
|---|---|---|
| 着く | 800人 | |
| 確かめる | 240人 | 30% |
| 進む | 48人 | 20% |
| 終える | 24人 | 50% |
この例では、「進む」の段で20%と低くなっています。確かめた人の8割が、ボタンを押さずに去っています。今月は、この段の直し方を考えます。
悪い段の直し方は、お客様の迷いを減らすこと
悪い段を直す方法は、お客様の迷いを減らすことです。「進む」の段なら、ボタンの近くに、料金の決まり方や、申し込み後の流れを1行ずつ書き添えます。
迷いの原因は、お客様に聞くのがいちばん確かです。最近の問い合わせの記録から、電話で聞かれた質問を3つ拾い、その答えをボタンの近くに置きます。
直す前と後を、必ず記録する
直したら、直した日を記録します。数字が変わったときに、何が効いたのかを説明できるようにするためです。
記録は、日付と、直した場所と、直した内容の3つで十分です。表計算の1行で足ります。
謙虚に置くと、目標も小さくなる
謙虚に数字を置くと、目標も小さくなります。「3件を5件にする」のように、手が届く大きさで置けるようになります。
小さな目標は、達成すると次が見えます。達成の経験が積み重なって、現場が数字を見る習慣になります。
お客様の迷いを、問い合わせの記録から拾う
迷いの原因を探すいちばん確かな材料は、自社に届いた問い合わせの記録です。電話で聞かれたこと、メールで尋ねられたこと、来店したときの最初の一言を、書き留めておきます。
書き留める形式は、日付、聞かれた言葉、答えた内容の3列の表で足ります。3か月分たまると、同じ質問が何度も出てくることに気づきます。
同じ質問が3回以上出ていれば、その答えは、サイトのどこかに書かれていないということです。書かれていないページが、「確かめる」の段の弱点です。
質問をページに置く場所の決め方
拾った質問は、答えを置く場所を決めます。置く場所は、お客様がその疑問を持つ瞬間のすぐ近くです。
| 質問の種類 | 置く場所 | 置き方の例 |
|---|---|---|
| 費用の決まり方 | 料金ページの冒頭 | 3行で決まり方を書く |
| 申し込み後の流れ | 申し込みボタンの近く | 4つの手順を1行ずつ |
| 対応できる範囲 | 事例の末尾 | 対応可能な内容を一覧にする |
| 営業日や連絡の方法 | 問い合わせページの上 | 受付の時間を明記する |
置く場所を間違えると、書いてあるのに読まれません。疑問が生まれる場所に置くのが基本です。
3つのKPIを、どの段に割り振るか
3つのKPIは、4つの段のうち、いちばん悪い段と、その前後の段に割り振ります。
たとえば、「進む」が弱いなら、「確かめる」「進む」「終える」の3つを選びます。「着く」は、問い合わせの手前から遠いので、このときは外します。
割り振りを毎月見直すと、弱い段が変わるたびに、数字も入れ替わります。固定せず、弱い段を追いかける形にします。
画面の種類別に、数字を分けて見る
先に書いたとおり、フォームの送信完了率は、パソコンとスマホで別々に見ます。合算した平均では、片方の問題が隠れてしまうからです。
| 見る単位 | 合算した場合 | 分けた場合 |
|---|---|---|
| 送信完了率 | 40% | パソコン60%、スマホ25% |
| 読み切った割合 | 35% | パソコン45%、スマホ28% |
この例では、合算の40%だけを見ると問題がないように見えます。分けて初めて、スマホの25%が低いと分かり、直す場所が決まります。
数字を分ける手間は、最初の1回だけ
画面の種類別に分ける作業は、最初に設定するときだけ手間がかかります。設定が終われば、毎週の確認は同じ10分で足ります。
最初の設定が難しいときは、制作を頼んだ会社に、画面の種類別に数字を見られるようにしてほしいと依頼します。依頼の言葉は、「パソコンとスマホで、数字を分けて見たい」の1文で伝わります。
目標を達成したあとの次の目標
KGIを達成したら、同じ型で、次のKGIを置きます。前回より少しだけ大きい数字を置くのが基本です。
達成した理由を、記録から振り返ります。どの行動が効いたのかを知っていれば、次の目標の行動も決めやすくなります。
達成できなかったときも同じです。届かなかった理由を、記録から探します。どの段の見立てが外れていたのかを確かめます。責任探しには使いません。
点検の質問を、お客様の言葉に直す
数字を見ても原因が分からないときは、数字の隣に、お客様の言葉を置きます。最近の問い合わせから、一言ずつ拾って並べます。
「結局いくらになるのか分からなかった」「他と何が違うのか分からなかった」という言葉が並べば、確かめる段の弱点が文章で見えてきます。数字は場所を教え、言葉は理由を教えます。
数字と言葉を、同じ表に並べる
| 段 | 数字 | お客様の言葉 | 直す案 |
|---|---|---|---|
| 確かめる | 読み切った割合30% | いくらか分からなかった | 料金の決まり方を冒頭に |
| 進む | 押した割合20% | 申し込んだ後が不安 | 流れを4行で添える |
| 終える | 送信完了50% | 入力が面倒だった | 入力欄を半分に |
表の右端の「直す案」が、そのまま今週の行動になります。
小さな直しを、1つずつ積み重ねる
大きな作り直しを待たず、小さな直しを1つずつ積み重ねるほうが、数字は確実に動きます。料金の冒頭に3行を足す、ボタンの近くに一文を足す、といった直しです。
小さな直しは、元に戻すのも簡単です。直して数字が悪化したら、すぐに戻して、別の案を試せます。失敗しても傷が浅いので、試す回数を増やせます。
試す回数が、改善の速さを決める
数字の改善の速さは、試す回数で決まります。1年に1回の大きな作り直しより、週に1回の小さな直しを50回重ねるほうが、学べることが多いです。
毎週1つ直せば、1年で50前後の試みが記録に残ります。その記録が、自社のお客様に何が効くのかを教えてくれます。
数字を共有するときの、言葉の選び方
数字を社内に共有するときは、略語を使いすぎないようにします。KGIやKPIという言葉に慣れていない人には、「ゴールの数字」「途中の目印」と言い換えたほうが伝わります。
言葉が難しいと、数字を見る人が増えません。見る人が増えるほど、直す案も集まります。伝わる言葉を選ぶことも、謙虚さの1つです。
週に1回10分の見直し:数字を見る日の進め方
数字は、見る日を決めて初めて働きます。ここでは、週に1回10分の進め方を説明します。
見直しの10分の使い方
10分の内訳は、次のとおりです。
| 時間 | やること | 出てくるもの |
|---|---|---|
| 3分 | 3つのKPIを開いて、先週と比べる | 上がった、下がった、同じ |
| 3分 | いちばん下がった数字を1つ選ぶ | 今週直す場所 |
| 3分 | 直す行動を1つ決める | 今週の行動 |
| 1分 | 記録に書く | 日付と行動 |
10分で終えることが大切です。長くなる会議は、続かなくなります。
先週と比べるときの見方
KPIの数字は、先週と比べて見ます。前の月や、前の年と比べるのは、月に1回で十分です。
週の数字は、偶然でぶれます。1週間下がっただけでは慌てず、2週続けて下がったときに、直す行動を決めます。
月に1回、KGIを見る日
KGIは、月に1回見ます。目標に対して、いまどこまで来たかを確かめる日です。
月の見直しでは、次の3つを確かめます。KGIの数字、3つのKPIの動き、先月の行動が効いたかどうかです。
3か月に1回、数字そのものを見直す
3か月に1回は、KGIとKPIの選び方そのものを見直します。お客様の道が変わっていないか、数字の意味が古くなっていないかを確かめます。
見直しの結果、KPIを入れ替えることもあります。入れ替えるときは、外す数字と、足す数字の理由を、文章で残します。
見直しの記録を、1枚の表にまとめる
見直しの記録は、次のような1枚の表にまとめておくと、後任への引き継ぎにも使えます。
| 日付 | 見たKPI | 先週との差 | 直した場所 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 第1週 | 確かめる段 | 2ポイント低下 | 料金の説明を3行に | 次週に確認 |
| 第2週 | 確かめる段 | 1ポイント上昇 | なし | 継続 |
| 第3週 | 進む段 | 4ポイント低下 | ボタンの近くに流れを追記 | 次週に確認 |
| 第4週 | 進む段 | 3ポイント上昇 | なし | 継続 |
表は数行で足ります。続けるうちに、どの直しが効いたのかが、自社の記録として溜まります。
数字が動かないときの考え方
行動を起こしても、数字が動かないことがあります。その場合は、すぐに別の行動へ移らず、2週間は様子を見ます。
2週間たっても動かないときは、直した場所が数字に関係していなかった可能性があります。その場合は、KSFの文章に戻って、本当に満たされるべき条件が何だったのかを問い直します。
記入例:5社の記入表を、1枚ずつ埋めてみる
最後に、5つの小さな会社の記入表を、1枚ずつ埋めてみます。自社の表を作るときの見本にしてください。
A社の記入表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| KGI | 半年後に、月の見積もり依頼を3件から6件にする |
| KSF | 費用の決まり方が、依頼の前に分かること |
| KPI | 料金ページを読み切った人の割合 |
| 日々の行動 | 事例を毎月2件追加する |
| 見る日 | 毎週金曜の午後に10分 |
B社の記入表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| KGI | 3か月後に、体験授業の申し込みを月に4件から8件にする |
| KSF | 授業の様子が、申し込み前に分かること |
| KPI | 授業の様子のページから、申し込みへ進んだ人の割合 |
| 日々の行動 | フォームの入力欄を減らす |
| 見る日 | 毎週月曜の朝に10分 |
C社の記入表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| KGI | 半年後に、修理相談を月に2件から5件にする |
| KSF | 修理できる基板の種類が、相談前に分かること |
| KPI | 修理できる種類のページを、読み切った人の割合 |
| 日々の行動 | 修理できた事例を、月に1件、種類別に書き足す |
| 見る日 | 毎週水曜の午後に10分 |
D社の記入表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| KGI | 3か月後に、通信販売の注文を月に10件から15件にする |
| KSF | 商品の大きさと質感が、写真と文章で伝わること |
| KPI | 商品ページから注文カートへ進んだ人の割合 |
| 日々の行動 | 寸法の入った写真を、1商品に1枚足す |
| 見る日 | 毎週火曜の午前に10分 |
E社の記入表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| KGI | 半年後に、初回相談の予約を月に3件から6件にする |
| KSF | 相談の流れと費用の決まり方が、予約前に分かること |
| KPI | 相談の流れのページを、読み切った人の割合 |
| 日々の行動 | よくある質問に、実際に聞かれた言葉を毎月3つ足す |
| 見る日 | 毎週木曜の午後に10分 |
5枚を並べて見えること
5枚とも、KGIは1つ、KSFは1つか2つ、KPIは1つか2つに収まっています。数が少ないからこそ、週に10分で回せます。
自社の表を作るときも、最初は1枚の表に、1つのKGIと1つのKPIだけを書き込んでください。足すのは、それが回り始めてからで間に合います。
謙虚に書くと、約束も小さくなる
謙虚に置くとは、できないことを書かず、確かめられる数字で書くことです。目標も、お客様への約束も、手が届く大きさで置きます。
小さな約束を守り続けるサイトは、お客様から見て信頼できます。数字を小さく置くことは、サイトの信頼にもつながります。
数字を見る人の気持ちを考える
毎週数字を開く担当者は、数字の悪化に気落ちすることがあります。気落ちが続くと、数字を開く足が重くなります。
そこで、良くなった数字を先に確かめてから、悪くなった数字を見る順番にします。小さな前進を確かめてから課題に向かうと、続けやすくなります。
見直しの会議で使う、3つの言葉
見直しの場では、「なぜ下がったのか」と責める言葉を避け、次の3つの言葉を使います。「どこで人が減っているか」「お客様は何に迷ったか」「今週は何を1つ直すか」です。
3つの問いに答えていくだけで、会議は10分で終わります。
KGIとKPIのテンプレート:コピーして使える記入表と、見直しの記録表
ここまでの手順を、そのまま使える3枚の表にまとめます。表計算の1枚に写して、使ってください。
テンプレート1:目標の記入表
| 項目 | 書く内容 | 書き方の注意 |
|---|---|---|
| KGI | 結果の数字と期限 | 1つだけ。数字と期限を入れる |
| KSF | ゴールに届く条件 | 「お客様が〜できること」の形で2つか3つ |
| KPI | 条件を測る数字 | 1つの条件に1つ。全体で3つまで |
| 日々の行動 | 数字を動かす行動 | 1週間で終わる大きさに切る |
| 見る日 | 数字を開く曜日と時間 | 担当者の名前も添える |
| 直す人 | 数字が悪いとき直す人 | 依頼の経路まで書く |
表の1行目から順に埋めていくと、決める順番が自然に守れます。上の行が決まらないうちは、下の行に進まないでください。
テンプレート2:数字の選別表
KPIの候補を選ぶときは、次の表で通します。候補ごとに、4つの問いに「はい」か「いいえ」を付けます。
| 候補の数字 | お客様の動きか | 次の一歩に近いか | 自社の手で動かせるか | 毎週10分で確かめられるか |
|---|---|---|---|---|
| 例:料金ページを読み切った割合 | はい | はい | はい | はい |
| 例:記事の本数 | いいえ | いいえ | はい | はい |
| 例:訪問者の数 | はい | いいえ | いいえ | はい |
4つとも「はい」の候補だけが、KPIとして残ります。候補の欄は、思いつくだけ書き出してから、この表で絞ります。
テンプレート3:見直しの記録表
| 日付 | 見た数字 | 先週との差 | 直した場所 | 次に確認する日 |
|---|---|---|---|---|
記録表は、空欄のまま置いておき、毎週1行ずつ埋めます。1年続けると、52行の自社の記録になります。
3枚の表を使う順番
3枚は、次の順番で使います。
| 順番 | 表 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 1 | 数字の選別表 | KPIの候補を絞るとき |
| 2 | 目標の記入表 | 決めた内容を1枚にまとめるとき |
| 3 | 見直しの記録表 | 毎週の確認のとき |
選別表を最初に使うのは、候補を絞らずに記入表へ書くと、数字が増えてしまうからです。
30分で3枚を埋める進め方
3枚の表は、30分あれば一通り埋められます。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 0分から10分 | 現状の数字を集める(問い合わせの件数、訪問の数) |
| 10分から20分 | KPIの候補を書き出し、選別表で3つに絞る |
| 20分から30分 | 記入表を埋め、見る日と直す人を決める |
初回は完璧を目指さず、仮に置くつもりで進めます。1か月使ってから、合わなければ直します。
記入例:A社の記入表を、1行ずつ読む
A社の記入表を、1行ずつ読んでみます。
| 項目 | A社の記入 | 読み方 |
|---|---|---|
| KGI | 半年後に、月の見積もり依頼を3件から6件にする | 数字と期限があり、自社で動かせる |
| KSF | 費用の決まり方が、依頼の前に分かること | お客様を主語にした文 |
| KPI | 料金ページを読み切った人の割合 | KSFを測る数字で、毎週開ける |
| 日々の行動 | 事例を毎月2件追加する | 1週間で終わる大きさに近い |
| 見る日 | 毎週金曜の午後に10分 | 曜日と時間が決まっている |
6項目のどれもが短く、迷わず読めます。長い文や、複数の意味を含む言葉は、表の中では避けます。
業種の型ごとの、KPIの置き換え表
自社の業種に近い型を見つけて、KPIの候補を置き換えてください。
| 業種の型 | 確かめる段のKPI | 進む段のKPI | 終える段のKPI |
|---|---|---|---|
| 見積もりを受ける | 料金ページを読み切った割合 | 見積もりボタンを押した割合 | フォームを送り終えた割合 |
| 予約を受ける | 空き状況ページを見た割合 | 予約ボタンを押した割合 | 予約を確定した割合 |
| 商品を売る | 商品ページを読み切った割合 | カートに入れた割合 | 購入を完了した割合 |
| 相談を受ける | 相談の流れのページを読んだ割合 | 相談ボタンを押した割合 | 予約を送り終えた割合 |
表の中の「割合」は、前の段の人数に対する、次の段の人数の割合です。段ごとに分母が変わる点に注意してください。
割合の出し方
割合は、前の段の人数を分母にして出します。たとえば、料金ページを見た人が240人で、そのうちボタンを押した人が48人なら、48割る240で、割合は20%です。
分母を「サイト全体の訪問者」に固定すると、段ごとの弱点が見えなくなります。段ごとに、直前の段を分母に取ります。
割合が出せないときは、人数のまま見る
訪問が少ないサイトでは、割合が不安定になります。その場合は、割合を出さず、人数のまま並べて見ます。
月に10人、5人、2人と、各段の人数を並べるだけでも、どの段で人が減るのかは分かります。割合を出すのは、各段の人数が月に30人を超えてからで間に合います。
数字の記録を、手書きで始める方法
アクセスの記録を見る道具がまだ整っていないときは、手書きで始められます。問い合わせが来るたびに、「どのページから来たか」をお客様に尋ねて、ノートに1行書きます。
1か月続けると、問い合わせの経路が分かります。道具がなくても、数字の習慣は始められます。
KPIを動かす行動の、優先順位の付け方
行動の候補が複数あるときは、「効果の大きさ」と「手間の小ささ」で優先順位を付けます。
| 行動 | 効果 | 手間 | 優先 |
|---|---|---|---|
| 料金の冒頭に3行を足す | 大きい | 小さい | 1番目 |
| ボタンの近くに流れを足す | 中くらい | 小さい | 2番目 |
| 事例のページを新しく作る | 大きい | 大きい | 3番目 |
| ページ全体のデザインを変える | 不明 | 大きい | 後回し |
効果が大きく手間が小さい行動から手を付けます。手間の大きい行動は、小さい行動で効果を確かめてから取り組みます。
行動の効果を、確かめる期間
行動の効果は、直してから2週間後に確かめます。1週間では、偶然のぶれと区別できないことがあるからです。
確かめるときは、直した場所の数字だけを見ます。他の数字まで広げると、何が効いたのかが分からなくなります。
表を埋めたあとに、確かめる3つの問い
表を埋めたら、次の3つの問いで最後の確認をします。
| 問い | 確かめる内容 |
|---|---|
| 他の人に説明できるか | 数字を置いた理由を、1分で話せるか |
| 今週、直す行動が決まっているか | 行動が1週間で終わる大きさか |
| 来月の見直しの日が入っているか | 予定表に、日付が入っているか |
3つとも「はい」になれば、表は使える状態です。1つでも「いいえ」なら、その行を直してから使い始めます。
表を更新するときの約束
表を更新するときは、2つの約束を守ります。1つは、変更した日付と理由を書くこと。もう1つは、古い表を消さずに残すことです。
古い表が残っていれば、数字を変えた経緯をたどれます。何が効いて、何が効かなかったのかを、後から振り返れる記録になります。
サイトの作り直しと、KGI・KPIの関係
サイトを作り直すときは、先にKGIとKPIを決めてから、制作を依頼します。数字が決まっていれば、どのページを増やし、どのページを減らすかが決めやすくなります。
数字を決めずに作り直すと、見た目の好みで判断が分かれ、結論が出ません。制作を頼む会社にも、記入表を見せれば、意図が正確に伝わります。
部署が複数あるときの置き方
営業や店舗、サイトの担当が別々の部署にある会社では、KGIは部署ごとに置かず、1つに共通させます。たとえば、全員で「月の問い合わせ件数」を見ます。
KPIは、部署ごとに分けて持ちます。サイトの担当は読み切った割合、営業は返信の早さ、というように、各自が動かせる数字を持ちます。
部署ごとのKPIの例
| 部署 | KPIの例 | 動かせる行動 |
|---|---|---|
| サイト担当 | 料金ページを読み切った割合 | 説明文の書き直し |
| 営業 | 問い合わせへの返信までの時間 | 返信の当番の決め方 |
| 店舗 | 来店の予約から来店までの割合 | 前日の連絡 |
共通のKGIを見ながら、それぞれが自分のKPIを動かします。同じ方向を向いているので、部署間で数字が衝突しにくくなります。
記入表を、紙に印刷して持つ
記入表は、画面の中だけに置かず、紙に印刷して机の近くに貼っておくと、毎週の見直しを思い出しやすくなります。
見る日が来たら、紙の余白に先週との差を書き込み、画面の表には後で写します。紙を1枚持つだけで、数字が日々の仕事の中に居場所を持ちます。
数字の習慣を、チームに広げる順番
1人で始めた数字の習慣は、次の順番でチームに広げると定着します。
| 順番 | 広げ方 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 担当者が1人で、4週間続ける | 1か月 |
| 2 | 記録を見せながら、経営者に共有する | 2か月目 |
| 3 | 直す人を巻き込み、週の見直しに同席してもらう | 3か月目 |
| 4 | 他の部署にも、同じ表を渡す | 4か月目以降 |
最初から全員でやろうとせず、1人で成果の記録を作ってから広げます。記録があれば、説得に言葉を尽くさなくても、数字が説明してくれます。
よくある質問
KGIとKPIについて、よく聞かれる質問に答えます。
Q1:KGIとKPIは、どちらから決めますか
KGIから決めます。KGIが決まらないうちにKPIを決めると、どこへ向かう途中の数字なのかが分からなくなります。
順番は、KGI、KSF、KPI、KDIの順です。KPIを先に思いついても、いったん脇に置いて、KGIを決めてから戻します。
Q2:KPIは、何個まで置けますか
3つまでです。サイトの数字を毎週10分で確かめる前提なら、3つが実用的な上限です。
4つ以上になると、毎週どれかが悪化して、直す場所が定まらなくなります。置きたい数字が増えたら、既存のKPIを1つ外して、入れ替えます。
Q3:小さなサイトで、問い合わせが月に1件か2件しかありません
その場合は、率を追わず、件数と行動の完了を追います。1件の増減で率が大きく動くため、率を見ても、ぶれを見るだけになるからです。
KGIは「3か月で合計6件」のように、期間を長く置きます。KPIは、料金ページを更新できたか、事例を足せたか、といった行動の完了で置きます。
Q4:アクセス数は、KPIに置いてはいけませんか
置いても構いません。ただし、アクセス数は問い合わせの手前から遠いので、置くなら4つの段の「着く」を測る数字として位置づけます。
アクセス数だけを目標にすると、増えても問い合わせが変わらない失敗が起きます。置くときは、問い合わせの数字と並べて見ます。
Q5:数字を見る道具は、何を使えばよいですか
最初は、表計算の1枚で足ります。問い合わせの件数は、受信箱や予約の記録から数えられます。
アクセスの記録を見る道具は、制作を頼んだ会社に尋ねるのが近道です。パソコンとスマホで数字を分けて見たい、と伝えれば、設定してもらえます。
質問の答えを、表で見る
5つの質問の答えを、1枚の表にまとめます。
| 質問 | 答え |
|---|---|
| 先に決めるのは | KGI |
| KPIの数 | 3つまで |
| 問い合わせが少ないとき | 件数と行動の完了を追う |
| アクセス数 | 「着く」の段のKPIとして置ける |
| 道具 | 最初は表計算の1枚 |
まとめ:KGIとKPIは、数字を決める作業から、直す場所を決める作業へ
この記事では、KGIとKPIの意味と違い、KSFとKDIの関係、決める順番、中小企業のサイトの例、置きすぎの失敗、記入表を説明しました。
KGIは到着点、KPIは現在地を知らせる目印です。この2つを、お客様の道を逆にたどる形で決めると、手を打つ場所が見つかります。
記事全体の振り返り
| 章 | 要点 |
|---|---|
| 意味と違い | KGIは結果の数字、KPIは途中の進み具合 |
| 関連する言葉 | KSFは条件、KDIは日々の行動 |
| 決める順番 | KGI、KSF、KPI、KDIの順で、問い合わせの手前から戻る |
| 失敗の型 | 数が多い、測りやすさで選ぶ、見る日がない |
| 解決の方向 | お客様の次の一歩で選び、少なく、小さく置く |
| 続け方 | 週に10分、月に1回、3か月に1回 |
読み終えたあとの、最初の一歩
最初の一歩は、現状の問い合わせ件数を、直近3か月分だけ書き出すことです。10分で終わります。
次に、KGIを1つ仮に置きます。数字と期限を入れて、「半年後に、月の問い合わせを〇件にする」と書けば足ります。
3つ目に、お客様の道を逆にたどり、いちばん数字が悪そうな段を1つ選びます。その段を直す行動を1つ決めて、今週中に実行します。
今日できる点検
次の表で、自社の設定を点検してください。「いいえ」の行が、今週の候補です。
| 点検する場所 | 確かめること | はい・いいえ |
|---|---|---|
| KGI | 数字と期限を持つKGIが1つだけあるか | |
| KGIの種類 | サイトの担当者が動かせる結果になっているか | |
| KPI | 3つ以内に絞られているか | |
| KPIの選び方 | お客様の次の一歩を映す数字になっているか | |
| 画面別の数字 | パソコンとスマホを分けて見ているか | |
| 見る日 | 毎週数字を開く曜日と時間が決まっているか | |
| 直す人 | 数字が悪いとき、直す人が決まっているか | |
| 記録 | 数字を置いた理由が、文章で残っているか | |
| 最後の見直し | 3か月以内にKPIを見直したか |
「いいえ」が付いた行のうち、いちばんお客様に近いものを1つ選び、今週中に直します。
点検の結果の読み方
「いいえ」の数によって、次にやることが変わります。
| 「いいえ」の数 | 状態 | 次にやること |
|---|---|---|
| 0から1 | 数字の設計が整っている | 週に10分の見直しを続ける |
| 2から4 | 一部の設計が足りない | お客様にいちばん近い行から直す |
| 5以上 | 数字が目標として働いていない | 記入表を1枚つくり、手順1から決め直す |
行の数を気にしすぎる必要はありません。1つ直すと、その周りの行も直しやすくなります。
点検を月に1度の習慣にする
この点検は、今日1度やって終わりにせず、月に1度の習慣にします。月の見直しの日に、表の9行を読み返して、「いいえ」が増えていないかを確かめます。
「いいえ」が減っていく様子が、自社のサイトの整い方を示します。点検の結果も、見直しの記録表に1行で残しておきます。
点検の記録から、1年後に見えること
月に1度の点検を12回続けると、1年分の記録が残ります。いつ「いいえ」が減り、どの行がなかなか直らなかったのかが、一目で分かります。
直らなかった行は、自社の弱点です。1年後の見直しでは、その行を最初の議題にします。
点検の表は、印刷して机の近くに貼っておくと、見直しの日を忘れにくくなります。
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
生成AIに引用されるページを、お話しいただくだけでお作りします。お時間をいただくのは初回15分のヒアリングだけです。まず1ページ、無料でお作りします。
OKが出るまで、何度でも直します。事実が違う、言い回しが硬い、この話は入れないでほしい。どれも遠慮なくおっしゃってください。何度お直ししても、追加の料金はいただきません。
これまでに127社にご利用いただきました。毎月ご依頼いただいている方の6割以上が、月10ページを選ばれています。料金はページに掲載しています。
ページを増やしても問い合わせが来ないなら、原因はページの外にあります。その場合は、下の入口からご相談ください。
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