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  3. KGIとKPIの違いとは 決める順番と中小企業のサイトで追う数字の例

KGIとKPIの違いとは 決める順番と中小企業のサイトで追う数字の例

2026 11/02
2026年11月2日
中野輝規
KGIとKPIの違いとは 決める順番と中小企業のサイトで追う数字の例

KGIとKPIを調べると、略語の元になった英語と、売上を例にした図が並びます。言葉の意味は分かっても、自社のホームページで何の数字を追えばよいのかは、どの解説にも書かれていません。

この記事は、中小企業の経営者と、サイトの目標づくりを任されたWeb担当者に向けて書きました。KGIとKPIの意味、違い、KSFやKDIとの関係、決める順番、数字を置きすぎたときの失敗、業種ごとの例、そのまま使える記入表を押さえます。

使った資料は、書いた日に開いて確かめたものだけです。総務省の令和7年通信利用動向調査の報道資料(2026年5月29日公表)を、2026年11月2日に開いて確認しました。

KGIとKPIという言葉の出どころや、最初に使い始めた人については、辞書や学術の一次情報で確かめられなかったため、書いていません。略語の意味は、解説記事で広く共通している内容を、自分の言葉で書き直しています。

目次

先に答え:KGIは1つ、KPIは3つまで。サイトの数字は、問い合わせの手前から逆算して決める

KGIは、最終のゴールを数字で表したものです。KPIは、そのゴールに向かう途中の進み具合を測る数字です。

中小企業のホームページなら、KGIは「月に受ける問い合わせの件数」や「月の予約の件数」のように、売上や受注につながる結果を1つ置きます。KPIは、その結果の手前にある動きを、多くても3つまで置きます。

置く順番は、KGI、KSF、KPI、KDIの順です。KSFはゴールに届くための条件、KDIは日々の行動を測る数字で、後の章で説明します。

多くの解説では、この順番を「ゴールから分解する」と説明します。この記事では、もう1歩具体的に、お客様がサイトの中で通る道の手前から数えます。

問い合わせが月に5件のサイトなら、問い合わせフォームに来た人、フォームを開いた人、料金や事例のページを読んだ人、と1段ずつ手前に戻ります。戻った先に、手を打てる数字が見つかります。

次の表が、この記事で進める全体の流れです。

段 やること 出てくるもの
1 KGIを1つに決める 月の問い合わせ件数などの結果の数字
2 ゴールに届く条件を文章で書く KSF(成功の条件)
3 条件を測る数字を3つまで選ぶ KPI
4 数字を動かす日々の行動を決める KDI
5 週に1回、数字を見る日を決める 見直しの予定表

流れの出口は、見直しの予定表です。数字を決めるだけで終わらせず、いつ誰が見るかまで決めて、初めて目標として働きます。

1文で言うと

KGIは「ここまで行きたい」という到着点、KPIは「いまどこまで来たか」を知らせる目印です。

目印は、到着点の手前にしか置けません。到着点が決まる前に目印を置くと、どこにも向かわない道に標識を立てることになります。

この記事で使う言葉

読み進めやすいように、記事の中で使う言葉を先に決めておきます。

言葉 意味 例
KGI 最終のゴールを表す数字 月の問い合わせ件数
KSF ゴールに届くための条件 料金が先に分かること
KPI ゴールに向かう途中の進み具合を測る数字 料金ページを読んだ人の割合
KDI 数字を動かす日々の行動の量や回数 事例を毎週1本追加する
OKR 目標と、その達成を測る数個の結果を組にする方法 目標1つにつき結果3つまで

KDIとOKRは耳慣れない言葉かもしれません。この記事では、KDIを日々の行動の数字として、OKRをほかの目標の立て方として、それぞれ1つの節だけで扱います。

先に決めておく3つのこと

数字を決める前に、次の3つを決めておくと、後の作業が止まりにくくなります。

決めること 決める内容 決めないとどうなるか
見る期間 月ごと、週ごとのどちらで見るか 数字がぶれて、増減の理由が分からなくなる
見る人 誰が毎回数字を開くか 誰も開かず、数字が放置される
直す権限 数字が悪いとき、誰が何を直せるか 気づいても直せず、会議で終わる

特に3つ目の直す権限が抜けやすいです。数字を見る人と、サイトを直す人が別にいるときは、依頼の経路まで決めておきます。

1日で終える進め方

この記事の手順は、1日で一通り終えられます。午前に現状の数字を集め、昼からKGIとKPIを決め、夕方に見直しの予定を入れます。

最初から完璧な数字を探す必要はありません。まず仮に置いて、1か月使ってから直すほうが、現場に合った数字になります。

先日見かけたQ&Aサイトの悩み:「PDCAとKGI・KPIが同じことに思えて、違いが分からない」

先日、Q&Aサイトでこのような悩みを拝見しました。仕事でPDCAとKGI・KPIを習ったが、どちらも目標に向かって進める話に見えて、同じことのように感じる。明確な違いを知りたい、という内容です。

質問者は、2つの言葉を別々に覚えたものの、使い分けの場面が思い浮かばずに困っているようでした。

寄せられた回答の内容

回答は複数ありました。そのうちの1つは、飲食店の売上を10パーセント増やすという例で説明していました。

売上を10パーセント増やすことがKGIで、客数を増やす、リピーターを増やす、新規のお客様を増やすと枝分かれさせたものがKPIだという説明です。そのKPIのうち、どれを動かすかを試しながら探す進め方がPDCAだと整理していました。

別の回答は、PDCAを「計画、実行、評価、改善を繰り返す管理の回し方」と説明し、KGIとKPIは「目標の達成具合を測る数字」だと分けていました。

どちらの回答も、筋の通った説明です。KGIとKPIは測る数字、PDCAは回す手順、と分けて覚えると混ざりません。

質問に書かれていなかったこと

回答を読んでも、まだ残る疑問があります。自分の仕事では、それぞれ具体的に何の数字を置けばよいのか、という点です。

質問には業種も、扱う商品も書かれていませんでした。短い質問に、一般論の回答が返るのは自然なことです。

ただ、一般論の説明だけでは、会議室に戻ったときに数字が決まりません。売上10パーセントという例は、飲食店の話として読めても、士業の事務所や工務店の話としては読みにくいからです。

中小企業のホームページでも、同じ所で手が止まる

ホームページの目標づくりでも、同じ所で手が止まります。KGIは売上や受注と分かっていても、サイトの数字としては、問い合わせの件数なのか、訪問者の数なのか、迷うのです。

迷ったまま、アクセス数を目標に置く会社が多くあります。アクセス数は測りやすい数字ですが、問い合わせとの距離が遠く、増えても受注が増えないことがあります。

この記事の後半では、この迷いを断ち切る基準を示します。基準は「お客様が次の一歩に進んだことを示す数字だけを置く」の1本です。

PDCAとKGI・KPIの使い分け

質問に戻って、使い分けを表にまとめます。

言葉 役割 答える問い
KGI 到着点を決める どこまで行くのか
KPI 途中の位置を知らせる いまどこにいるのか
PDCA 動き方を決める 次に何を試すのか

3つは役割が違うので、同時に使います。KGIで行き先を決め、KPIで現在地を見て、PDCAで次の一手を試す、という流れです。

KGIとKPIとは:意味と違いを、サイトの例で押さえる

ここからは、言葉の意味を押さえます。例はすべて、中小企業のホームページに引き直して説明します。

KGIの意味

KGIは、最終のゴールを、数字と期限で表したものです。解説記事では、略語の元の英語を「Key Goal Indicator」と書き、日本語に「重要目標達成指標」と訳すものが目立ちます。

サイトで言えば、「来年3月までに、月の問い合わせを8件にする」のように、数字と期限を持つ目標がKGIです。

「問い合わせを増やしたい」だけでは、KGIになりません。いくつを、いつまでに、が抜けているからです。

KPIの意味

KPIは、KGIに向かう途中の進み具合を測る数字です。略語の元は「Key Performance Indicator」と書かれ、「重要業績評価指標」と訳されます。

サイトで言えば、問い合わせフォームを開いた人の数や、料金ページを最後まで読んだ人の割合が、KPIの候補です。

KPIは、KGIの手前にある出来事を数字にします。問い合わせという結果は、手前の出来事がそろって初めて起きるからです。

KGIとKPIの違いを、表で見る

違いを4つの観点で並べます。

観点 KGI KPI
位置 最終の結果 結果の手前の動き
数 1つ 3つまで
見る頻度 月に1回 週に1回
例 月の問い合わせ件数 料金ページを読んだ人の割合

数の違いに注目してください。KGIは1つに絞り、KPIは3つまでに絞ります。数が増えるほど、どれを直せばよいのかが分からなくなるからです。

売上や利益は、KGIに置いてよいのか

売上や利益も、KGIになります。ただし、ホームページの担当者が直接動かせる範囲を超えることがあります。

売上は、価格や営業、商品の出来にも左右されます。サイトの担当者が責任を持てる範囲は、問い合わせや予約の件数までのことが多いです。

担当者の手が届く結果をKGIに置くと、数字と行動が結びつきます。経営全体のKGIが売上のときも、サイトのKGIは問い合わせの件数に落とすのが現実的です。

KGIを決めるときの3つの条件

KGIを決めるときは、次の3つを満たしているか確かめます。

条件 確かめる問い 外れた例
数字で言える いくつと言えるか 「もっと増やす」
期限がある いつまでか 「いずれ」
自社の手で動かせる 自分たちの行動で変わるか 「世の中の景気が良くなれば」

3つ目が特に大切です。自社の行動で動かせない数字は、KGIに置いても、何をすればよいのかが決まりません。

KGIの期限は、どのくらい先に置くのか

期限は、3か月から1年の間に置くことが多いです。短すぎると、数字がぶれるだけで終わります。長すぎると、途中で見直す機会がなくなります。

月の問い合わせが5件前後の小さなサイトなら、1件の増減で率が大きく動きます。その場合は、3か月分をまとめて見て、期限を半年先に置くと落ち着きます。

期限を決めたら、途中の確認日も一緒に決めます。半年の目標なら、3か月目に1度、現在地を確かめる日を入れます。

KPIの期限は、KGIより短く置く

KPIは、KGIより細かい間隔で見ます。KGIを月に1回見るなら、KPIは週に1回です。

見る間隔が短いほど、悪化に早く気づけます。気づいてから直すまでの時間が短くなり、KGIに届く確率も上がります。

ただし、見る間隔を短くするほど、偶然のぶれも増えます。1週間の数字が下がっても、すぐに慌てて直さず、2週続けて下がってから動くと決めておくと、振り回されません。

よくある誤解

KGIとKPIについては、いくつか誤解が広まっています。

誤解 実際
KPIは多いほど管理が行き届く 多いと、どれを直すか決まらず止まる
KGIは売上でなければならない サイトの担当者が動かせる結果で決めてよい
数字が上がれば成功 結果につながる数字だけが成功の目印になる
一度決めたら変えない 1か月使って、合わなければ直す
目標は高いほどよい 届かない目標は、現場が数字を見なくなる

5つ目の「高いほどよい」は、現場でよく起きます。届かないと分かっている数字を毎週見せられると、人は数字から目をそらすようになります。

この記事に出てくる5つの会社

説明をそろえるため、記事の中では次の5つの会社を例にします。実在の会社は使わず、説明のために作った小さな会社です。

会社 業種 サイトの役目
A社 リフォームを請ける工務店 見積もりの問い合わせを受ける
B社 学習塾 体験授業の申し込みを受ける
C社 基板修理を請ける工場 修理の相談を受ける
D社 雑貨を売る小売店 来店と通信販売の注文を受ける
E社 税理士事務所 初回相談の予約を受ける

5社とも、サイトの最終の目的は「相談や注文の入口を増やすこと」です。この共通点を使って、KGIを同じ型で決めていきます。

忙しい人のための読み方

時間がない人は、「決める順番」の章と、「記入表」の章だけを先に読んでください。そこだけで、今日の作業が終わります。

背景を知りたい人は、先頭から順に読むと、なぜその順番になるのかが分かります。

記事の中で使う数字について

記事の中の数字は、2種類に分かれます。1つは、官公庁が公表した統計の数字で、出典の名前と公表日を添えています。もう1つは、説明のために作った会社の数字で、「例」と書いています。

作った数字は、実在のサイトの実績ではありません。自社に当てはめるときは、必ず自社の数字に置き換えてください。

数字を決める前に、現状を書き出しておく

KGIもKPIも、現状の数字が分からないと決められません。次の4つを、メモ程度でよいので、先に書き出しておきます。

書き出すもの 例 どこで分かるか
直近3か月の問い合わせ件数 月に4件、5件、3件 受信箱、予約の記録
問い合わせの経路 電話が6件、フォームが6件 電話の記録、フォームの記録
サイトの訪問者の数 月に800人 アクセスの記録
問い合わせを受けた月に何をしたか 事例を2件追加 更新の記録

現状が分かれば、「3件を6件にする」といった、根拠のある目標が立てられます。記録がないときは、今日から付け始めることが最初のKPIになります。

迷ったときの判断の軸

KGIにするかKPIにするかで迷う数字が出たら、「その数字が上がったとき、お客様は買う(頼む)ところまで進んだと言えるか」を問います。言えるならKGI、言えないならKPIです。

たとえば、問い合わせの件数が増えれば、お客様は頼む手前まで進んだと言えるので、KGIに置けます。料金ページの閲覧が増えただけでは、まだ頼んでいないのでKPIです。

KSF、KDI、OKR、PDCAとの関係:KGIとKPIの間と前後を埋める言葉

KGIとKPIだけを決めても、2つの間に大きな空白が残ります。KGIが月に8件の問い合わせで、KPIが料金ページの閲覧率だとしても、なぜその閲覧率なのかが説明できないのです。その空白を埋めるのが、KSFです。

KSFは、ゴールに届くための条件を、文章で書いたもの

KSFは、ゴールに届くために欠かせない条件のことです。略語の元は「Key Success Factor」と書かれ、「重要成功要因」と訳されます。

KSFは、文章で書きます。たとえば、「料金の決まり方が、問い合わせの前に分かること」「自分と同じ悩みの事例が、すぐ見つかること」といった文です。

KGIを決めたら、次にKSFを2つか3つ書きます。この文が、KPIを選ぶときの根拠になります。

KPIは、KSFが満たされたかを測る数字

KSFが文章なら、KPIはその文章が本当に満たされているかを測る数字です。

「料金の決まり方が、問い合わせの前に分かること」というKSFなら、料金ページを最後まで読んだ人の割合が、KPIの候補になります。

KSFを間に挟むと、KPIを選ぶ理由が説明できます。理由を説明できる数字は、会議で疑われにくく、続けやすいです。

KDIは、数字を動かす日々の行動を測る

KDIは、KPIを動かすための、日々の行動の量や回数のことです。略語の元は「Key Do Indicator」と書く解説もあれば、別の書き方をする解説もあり、表記が定まっていません。

そのため、この記事ではKDIという略語にこだわらず、「日々の行動の数字」と呼びます。

たとえば、料金ページの閲覧率を上げたいなら、「事例を毎週1本追加する」「料金の説明文を月に1回見直す」が日々の行動です。行動は、数えられる形で書きます。

OKRは、KGIやKPIとは別の目標の立て方

OKRは、目標と、その達成を測る数個の結果を、組にして立てる方法です。解説記事では「目標と主要な結果」と訳されます。

KGIとKPIは「ゴールと、途中の進み具合」という上下の関係です。OKRは「目標と、その結果の数個」という組の関係で、目標のほうに熱量のある言葉を置きます。

どちらかが正しいという話ではありません。中小企業のサイトの数字なら、まずKGIとKPIで十分です。OKRは、チームの人数が増えて、目標の共有が難しくなってから検討すれば間に合います。

PDCAは、数字を回すための手順

PDCAは、計画、実行、評価、改善を繰り返す手順のことです。KGIとKPIは、その中の「評価」の物差しになります。

KPIを見て、悪いところを見つけ、直して、また見る。この繰り返しがPDCAです。物差しだけがあっても回らず、手順だけがあっても何を評価するのか決まりません。

5つの言葉を、1枚の表で見る

5つの言葉の関係を、1枚の表にまとめます。

言葉 形 決める時期 サイトでの例
KGI 数字と期限 最初 月の問い合わせを8件にする
KSF 文章 KGIの次 料金の決まり方が先に分かる
KPI 数字 KSFの次 料金ページを読み切った人の割合
KDI 行動の回数 KPIの次 事例を毎週1本追加する
PDCA 手順 全体を回す間 毎週金曜に数字を見て1つ直す

この表のとおり、決める時期には順番があります。順番を飛ばすと、後ろの言葉が根拠を失います。

決める順番:KGIから始めて、問い合わせの手前へ戻る

ここから、実際に数字を決める手順を説明します。手順は5つです。

手順1:KGIを1つ決める

最初に、サイトの最終の結果を1つ決めます。業種ごとに、次のような型があります。

業種の型 KGIの例
見積もりを受ける仕事 月の見積もり依頼の件数
予約を受ける仕事 月の予約の件数
商品を売る仕事 月の注文の件数
相談を受ける仕事 月の初回相談の件数

結果は1つに絞ります。2つ以上あると、どちらを優先するかが決まらず、現場が迷います。

手順2:KSFを文章で2つか3つ書く

KGIに届くための条件を、文章で書きます。書き方は、「お客様が〜できること」の形にそろえます。

たとえば、「お客様が、申し込む前に費用の決まり方を知れること」「お客様が、自分と近い事例を見つけられること」「お客様が、スマホだけで申し込めること」です。

お客様を主語にすると、お客様の行動に焦点が合います。

手順3:KPIを3つまで選ぶ

KSFごとに、満たされたかどうかを測れる数字を探します。1つのKSFに対して、1つのKPIを置きます。

KSF KPIの候補
費用の決まり方を知れる 料金ページを読み切った人の割合
近い事例を見つけられる 事例ページから問い合わせへ進んだ人の割合
スマホだけで申し込める スマホでフォームを送信し終えた人の割合

KSFが3つなら、KPIも3つです。4つ目の数字が思いついても、置きません。置く場所を空けたければ、既存のKPIを1つ外します。

手順4:KDIを決める

KPIを動かす行動を、1つのKPIにつき1つか2つ決めます。行動は、1週間で終わる大きさに切ります。

KPI 日々の行動の例
料金ページを読み切った割合 料金の説明の冒頭に、費用の決まり方を3行で書く
事例から問い合わせへ進んだ割合 事例の末尾に、問い合わせのボタンを置く
スマホで送信し終えた割合 入力欄の数を減らし、スマホで試す

行動が1週間で終わらないなら、まだ大きすぎます。2つか3つに割って、小さい単位にします。

手順5:見る日を決める

最後に、数字を見る日と、見る人を決めます。毎週金曜の午後、担当者が10分だけ開く、といった形で十分です。

見る日を決めないと、数字は日々の忙しさに紛れて、誰にも開かれなくなります。

5つの手順を、1つの流れで見る

手順の流れを、問い合わせの手前から戻る形で並べてみます。

戻る順 問い 例(A社)
結果 何が起きれば成功か 見積もり依頼が月に8件
1つ手前 その前にお客様は何をするか 見積もりフォームを送る
2つ手前 その前に何を確かめるか 施工事例と料金の決まり方を読む
3つ手前 その前にどこへ来るか 検索から事例のページへ着く

この表を上から下へ読むと、お客様の道を逆にたどっています。それぞれの段が、KPIの候補になります。

中小企業のサイトで追う数字の例:業種ごとに、KGIとKPIを並べる

次に、5つの小さな会社で、実際に数字を決めてみます。数字は説明のために作った例です。

A社(リフォームを請ける工務店)の例

A社のKGIは、「半年後に、月の見積もり依頼を3件から6件にする」と決めました。

KSFは2つです。「施工の費用の決まり方が、依頼の前に分かること」と、「近所の施工事例が見つかること」です。

KPIは、料金の説明ページを読み切った人の割合と、地域名のついた事例ページの閲覧数です。日々の行動は、事例の追加を毎月2件にすることに決めました。

B社(学習塾)の例

B社のKGIは、「3か月後に、体験授業の申し込みを月に4件から8件にする」です。

KSFは、「保護者が、授業の様子を申し込み前に知れること」と、「申し込みの手続きが短いこと」です。

KPIは、授業の様子のページから申し込みへ進んだ人の割合と、申し込みフォームの送信完了率です。日々の行動は、フォームの入力欄を減らすことに決めました。

C社(基板修理を請ける工場)の例

C社のKGIは、「半年後に、修理相談を月に2件から5件にする」です。

KSFは、「修理できる基板の種類が、相談前に分かること」です。一覧がなく、電話で聞かれることが多かったためです。

KPIは、修理できる種類のページを読んだ人の割合です。日々の行動は、修理できた事例を月に1件、種類別に書き足すことです。

D社(雑貨を売る小売店)の例

D社のKGIは、「3か月後に、通信販売の注文を月に10件から15件にする」です。

KSFは、「商品の大きさや質感が、写真と文章で伝わること」です。

KPIは、商品ページから注文カートへ進んだ人の割合と、スマホでの購入完了率です。日々の行動は、写真に寸法の入った1枚を足すことにしました。

E社(税理士事務所)の例

E社のKGIは、「半年後に、初回相談の予約を月に3件から6件にする」です。

KSFは、「相談の流れと費用の決まり方が、予約前に分かること」です。

KPIは、相談の流れのページを読み切った人の割合です。日々の行動は、よくある質問に、問い合わせで実際に聞かれた言葉を毎月3つ足すことです。

5社を並べて見えること

5社のKGIは、どれも「入口の件数」です。売上そのものは置かず、売上の手前にある、相談や注文の件数を置いています。

KPIは、どの会社も「費用や中身が前もって分かるページを、読み切った人の割合」が中心でした。お客様が申し込む前に不安を解く動きが、結果を左右しているからです。

2回目の来店を、KPIに置く場合

店舗やサロン、飲食店のように、同じお客様が繰り返し来る商売では、2回目の来店率もKPIに置けます。

2回目の来店が増える手順は、別の記事で詳しく書いています。リピーターを増やすには 初回のあとの空白を埋める手順と2回目の人向けページで、初回のあとの連絡や、2回目の人向けのページの作り方を説明しています。

この記事では、2回目の来店率をKPIの1つとして置けることだけ覚えておいてください。置く場合は、KGIが来店の件数のときに限ります。

公的な数字で見る:お客様はスマホの上で調べるので、KPIも画面の大きさ別に見る

ここで、お客様の側の状況を、官公庁の数字で確かめておきます。KPIを置く場所を決める手がかりになるからです。

総務省の令和7年通信利用動向調査が示したこと

総務省は2026年5月29日に、令和7年通信利用動向調査の結果を公表しました。報道資料の「今回調査結果の要点」には、「スマートフォンの保有状況について、世帯の保有割合が91.8%となり、引き続き9割を上回っている」と書かれています。

同じ資料には、インターネットの利用目的で「SNS(無料通話機能を含む)の利用」の割合が82.3%と最も高い、とも書かれています。

調査は、2025年8月末を時点として、世帯調査で17,916世帯から回答を得ています。回収率は45.5%です。

KGIとKPIを決める順番KGIを決める数字と期限で書く条件を書くお客様が主語測るKPIに絞る3つまでに決める見る日を決める毎週10分だけ

この数字を、KPIにどう結びつけるか

世帯の9割以上がスマートフォンを持っているということは、サイトを見に来る人の多くが、小さな画面で見ている可能性が高いということです。

そのため、KPIは、パソコンとスマホを合算せず、画面の種類ごとに見ておくと、直す場所が見つかります。

たとえば、フォームの送信完了率がパソコンでは高く、スマホでは低いなら、スマホの入力欄に問題があります。合算すると平均に埋もれて、この差が見えなくなります。

数字を読むときの注意

この調査の世帯調査は、全国の世帯を対象にした数字です。自社のお客様の層がそのとおりとは限りません。

高齢のお客様が中心のサイトや、パソコンで調べる法人のお客様が中心のサイトでは、実際の画面の比率が異なります。自社のアクセスの記録で、画面の種類ごとの割合を1度確かめてください。

総務省の企業調査は、常用雇用者が100人以上の企業を対象にしています。100人未満の小さな会社の数字は、この調査には含まれません。小さな会社の数字を引くときは、調査の対象を確かめてから使います。

公的な数字は、目標の根拠にも使える

公的な数字は、目標を決めるときの根拠にも使えます。「世帯の9割以上がスマホを持つから、スマホでの申し込み完了率をKPIに置く」と書けば、置く理由が会議で通りやすくなります。

理由のない数字は、担当者が変わると、置いた意味が忘れられます。理由を1行添えておくと、後任が見直す手がかりになります。

公表の日付を知ると、見直しの予定が立つ

通信利用動向調査は、毎年同じ時期に公表されています。公表の日付を知っておくと、数字を見直す日の目安になります。

見直しの日に、官公庁の最新の数字を開いて、自社の目標の根拠が古くなっていないかを確かめます。数字は更新される前提で、年に1度見直す予定を入れます。

数字が見つからないときの代わりの集め方

自社の業種に合う官公庁の数字が見つからないこともあります。その場合は、自社の記録から数字を取ります。

問い合わせの記録、予約の記録、電話で聞かれた質問の記録が、そのままKPIの材料になります。外の数字がなくても、自社の数字で十分に目標は立てられます。

数字を決めた直後に、メモしておくこと

数字を決めた日に、3つのことをメモしておきます。決めた日付、決めた理由、見直す予定の日です。

3つのメモがあれば、半年後に自分で読み返したときも、他の人が引き継いだときも、数字の意味が失われません。メモは、記入表の余白に書くだけで足ります。

数字を決める会議を、短く終わらせるコツ

決める会議は、1時間以内に終わらせます。事前に、現状の数字と、KPIの候補の案を、担当者が1枚にまとめておきます。

会議の当日は、案を選別表に通して、3つに絞ることだけに時間を使います。ゼロから議論を始めると、決まらないまま時間が過ぎます。

決めた数字は、社内の誰にでも見える場所に置く

決めた表は、担当者だけが持つと、他の人が数字の意味を知らないままになります。社内の共有の場所に置き、誰でも開ける状態にします。

経営者が表を見て、「今月はここを直すのか」と分かれば、担当者への声かけも変わります。数字は、会社の共通の言葉にして初めて力を持ちます。

担当者が1人しかいない会社の場合

担当者が1人しかいない会社では、見る人と直す人が同じになります。その分、権限の問題は起きません。

代わりに、続ける仕組みが要ります。手帳やカレンダーに、毎週の10分を予定として入れておきます。予定になっていない作業は、忙しい週に真っ先に消えるからです。

数字を置いたのに何も変わらない5つの症状:KPIが増えるほど、サイトは直らなくなる

KGIとKPIを決めたのに、サイトが少しも良くならない。この状態に陥る会社は、珍しくありません。数字を置く作業そのものが、目的になってしまうからです。

次の5つの症状に、思い当たるものがないか確かめてください。

症状1:数字の一覧が増えて、会議が長くなる

月例の会議で、アクセス数、直帰率、滞在時間、閲覧ページ数、問い合わせ数と、10種類以上の数字を順に読み上げる。この形が、症状の1つ目です。

読み上げるだけで時間が過ぎ、「で、何を直すのか」が決まらないまま会議が終わります。数字が多いほど、どれが大事なのかが見えなくなります。

症状2:アクセス数だけが目標になっている

アクセス数は、いちばん測りやすい数字です。測りやすいので、目標に置かれがちです。

ところが、アクセス数が増えても、問い合わせが増えるとは限りません。検索に出る語を広げて訪問者を増やしても、依頼する気のない人が増えるだけのことがあります。

症状3:数字が下がっても、誰も動かない

KPIが下がっているのに、誰も直さない。この症状は、数字を見る人と、サイトを直す人が別にいるときに起きます。

見る人は「下がっています」と報告して終わり、直す人は報告が来ないので気づきません。手順1で説明した「直す権限」を決めていなかったことが原因です。

症状4:KPIが達成されたのに、KGIが動かない

KPIが目標を超えたのに、問い合わせが増えない。この症状は、KPIがKGIの手前にある出来事になっていないときに起きます。

たとえば、「ブログの記事数」をKPIにして、記事を50本増やしたのに、問い合わせが変わらなかった。記事の数と問い合わせの間に、つながりがなかったのです。

症状5:目標を決めた日から、一度も見直されていない

年度のはじめに決めたKGIとKPIが、年度の終わりまで放置されている。5つ目の症状です。

サイトの状況も、お客様の動きも、半年あれば変わります。決めた日の数字がそのまま通用するほうが珍しいです。

5つの症状を、表で診断する

自社の状態を、次の表で確かめてください。

症状 確かめる問い 当てはまると
数字の一覧が増える 会議で読み上げる数字は5つ以内か 絞る
アクセス数だけ 問い合わせの数字が並んでいるか KGIを置き直す
誰も動かない 数字が下がったとき、直す人が決まっているか 権限を決める
KPIだけ達成 KPIはKGIの手前の出来事か KPIを選び直す
見直されない 最後に見直したのはいつか 予定を入れる

「当てはまる」が3つ以上あれば、数字を置き直す時期です。

なぜKGIとKPIの設定は、中小企業で行き詰まるのか

症状の裏には、構造的な原因があります。解説記事の多くは、大きな会社の経営管理を想定して書かれているからです。

解説の例は、大きな会社の営業部門が多い

KGIとKPIの解説には、「営業担当者の訪問件数」「商談化率」「受注率」といった例がよく登場します。営業部門が何十人もいる会社で、数字に統計的な意味が出る規模の話です。

小さな会社のサイトでは、問い合わせが月に数件しか起きません。1件の増減で率が大きく動き、受注率や商談化率の細かい数字を追っても、ぶれを見ているだけになります。

数字の意味が出るまでの母数が足りない

数字に意味を持たせるには、一定の母数が要ります。月に5件の問い合わせから、「商談化率」を出しても、1件の違いで2割動きます。

母数が少ないときは、率を追わず、件数と、行動の完了の有無を追うほうが実用的です。たとえば、「事例を2件追加できたか」は、率よりも確実に判断できます。

測る道具を入れても、集計に手が回らない

解説では、アクセス解析の道具を使った細かい集計がよく紹介されます。集計のたびに設定が要り、担当者が兼務の会社では、手が回りません。

測る数字は、毎週10分で確かめられる範囲にとどめます。10分で終わらない数字は、続きません。

他の会社の目標をそのまま写すと、噛み合わない

検索で出てきた「KPIの例」を、そのまま自社に写す会社があります。例が自社の事情と合っていないと、数字が現場の行動と結びつきません。

たとえば、店舗型の事業が「資料請求の件数」をKPIに置いても、資料請求のページがなければ測れません。例は参考にとどめ、自社のお客様の道に合わせて選び直します。

よくある間違ったKGI・KPIの設定と、その末路

次に、設定の間違いを5つ挙げます。いずれも、実際の現場でよく見られる型です。

間違い1:KGIを売上にして、サイトの担当者が責任を持てなくなる

サイトのKGIに売上を置くと、価格や営業の努力まで含まれます。担当者が動かせない部分が大きく、数字が悪くても、直し方が決まりません。

末路は、担当者が数字を見なくなることです。「自分には関係ない数字」と感じた時点で、目標は機能を失います。

間違い2:KPIを10個以上並べる

網羅したい気持ちから、KPIを10個以上置く会社があります。数字は網羅されても、直す行動は網羅されません。

末路は、「どれも気になるが、どれも直さない」状態です。3つまでに絞るのは、手が回る範囲に収めるためです。

間違い3:測りやすい数字を、KPIに選ぶ

アクセス数、ページの表示回数、SNSの反応の数など、測りやすい数字が選ばれがちです。測りやすい数字は、お客様の次の一歩から遠いことが多いです。

末路は、数字だけが上がり、問い合わせは変わらない状態です。数字を見るたびに、「上がっているのに、なぜ」という疑問が残ります。

間違い4:KGIとKPIの期限を同じにする

KGIを半年後、KPIも半年後に置くと、途中で現在地を確かめられません。KPIは、KGIより短い間隔で見る前提で置きます。

末路は、期限の直前に慌てることです。半年後に初めて「届かなかった」と気づいても、取り返す時間がありません。

間違い5:決めて満足して、見る日を決めない

数字を決めた日が、いちばん熱量の高い日です。その後は、日々の仕事に紛れて、数字を開く機会が減っていきます。

末路は、数字が存在しているだけで、使われない状態です。手順5の「見る日を決める」を飛ばしたことが原因です。

うまくいった設定と、うまくいかなかった設定の見分け方

2つの設定を、並べて比べます。

観点 うまくいかなかった設定 うまくいった設定
KGIの数 3つ以上 1つ
KPIの数 10個以上 3つまで
数字の選び方 測りやすさ お客様の次の一歩
見直し 年に1度 週に1回と月に1回
責任者 決まっていない 数字ごとに1人

右の列は、特別な技術を必要としません。数と見る間隔を決めるだけで、左の列から抜けられます。

間違いが起きやすい場面

間違いが起きやすい場面は、サイトを作り直した直後と、担当者が代わった直後です。

作り直した直後は、新しい数字を張り切って置きすぎます。担当者が代わった直後は、前任が置いた意味を知らないまま、数字だけを引き継ぎます。

どちらの場面でも、KSFを文章で残しておくと、数字を置いた理由が引き継げます。

数字が合わないと感じたときの確かめ方

「数字が合わない」と感じたら、まず数え方が変わっていないかを確かめます。アクセスの記録の設定を変えたり、フォームを作り直したりすると、前の月と数え方が違ってしまうことがあります。

数え方が変わった日をメモしておくと、数字の急な増減に慌てずに済みます。

B社に起きたこと:体験授業の申し込みは増えたのに、入塾が増えなかった

B社は、KGIを「体験授業の申し込みの件数」に置き、キャンペーンの案内を目立たせました。申し込みは月に4件から9件に増えました。

ところが、入塾した人の数は変わりませんでした。キャンペーン目当ての申し込みが増え、授業の内容を知らないまま来た保護者が多かったためです。

KGIが「入口」の件数だけだったので、入口の質が見えませんでした。入塾までを見る数字を、KPIとして1つ足すべきでした。

C社に起きたこと:アクセスは増えたが、相談は減った

C社は、アクセス数をKPIに置いて、基板に関する広い話題の記事を増やしました。アクセスは月に300から700に増えました。

しかし、修理の相談は月に2件から1件に減りました。広い話題で来た人の多くは、修理を頼む人ではなかったためです。

アクセス数が増えたことで、「うまくいっている」と判断してしまい、相談が減った事実に気づくのが遅れました。KGIの数字を毎月見ていれば、早く気づけた失敗です。

D社に起きたこと:KPIを12個並べて、1つも直せなかった

D社は、通信販売のページを任された担当者が、12個の数字を毎週報告する形にしました。報告書の作成だけで、毎週1時間以上かかっていました。

数字が12個あったので、毎週どこかが悪化していました。直す箇所が毎週変わり、1つのページを腰を据えて直す時間が取れませんでした。

3つに絞ってからは、報告に10分しかかからなくなり、浮いた時間で商品ページの写真を撮り直せました。

E社に起きたこと:目標の根拠を、後任が知らなかった

E社は、前任の担当者が「相談の流れのページを読み切った人の割合」をKPIに置いていました。後任は、その意味を知らないまま、数字を引き継ぎました。

数字が下がっても、後任には何を直せばよいのか分かりませんでした。KSFの文章を残していなかったため、数字の裏にある意図が失われたのです。

KSFを1行ずつ書いて数字の横に添えただけで、後任が数字の意味を説明できるようになりました。

4つの失敗に共通すること

4つの失敗は、起きた場所は違っても、原因が共通しています。

会社 起きたこと 共通する原因
B社 入口だけを見て、質が見えなかった お客様の次の一歩が、途中で途切れていた
C社 測りやすい数字だけを見た 結果の数字と、途中の数字が別々だった
D社 数字が多すぎて動けなかった 数を絞る基準がなかった
E社 意図が引き継がれなかった 数字を置いた理由が、文章で残っていなかった

共通する原因は、「お客様の道」と「数字」が結びついていなかったことです。次の章で、結びつけ直す方法を説明します。

自社のKGIとKPIを診断する

自社の設定を、次の表で診断してください。「はい」が少ないほど、見直す余地があります。

診断の問い はい いいえ
KGIは、1つだけか
KGIに、数字と期限があるか
KPIは、3つ以内か
KPIは、KGIの手前の出来事か
数字ごとに、直す人が決まっているか
数字を見る日が、決まっているか
数字を置いた理由が、文章で残っているか

「いいえ」が3つ以上なら、決める順番の章に戻って、手順1から順に決め直します。

数字が悪いときに、人を責めない

数字が悪いとき、担当者を責める会社があります。責められた担当者は、数字をよく見せる方向に動きます。

たとえば、フォームの送信数を上げるために、入力欄を極端に減らして、連絡のつかない問い合わせを増やすような動きです。数字は上がっても、受注にはつながりません。

数字は、サイトのどこを直すかを知らせる目印です。悪い数字が出たときは、「どこを直そうか」と問う会議にします。

経営者と担当者で、見ている数字が違うとき

経営者は売上を見ていて、担当者はアクセスを見ている。このずれが、会社の中で起きることがあります。

ずれたままだと、担当者の頑張りが経営者に届きません。担当者がアクセスを増やしても、経営者の見る売上は動かないからです。間にKGIとKPIを置くと、2人が同じ表を見て話せます。

外部に制作を頼んでいるときの注意

制作を頼んでいる会社が、報告書に多くの数字を並べてくることがあります。数字が多いと、頑張っている印象は伝わりますが、直す場所は見えません。

頼んでいる会社には、自社のKGIとKPIの表を渡し、報告はこの3つを中心にしてほしいと伝えます。報告が短くなり、打ち合わせが「何を直すか」の話に変わります。

数字を目標にした途端に、数字が歪む

数字を目標にすると、その数字をよく見せる行動が増えます。これは、人が目標に合わせて動くからで、悪意とは限りません。

たとえば、「問い合わせの件数」をKGIにすると、問い合わせの定義を甘くして件数を増やしたくなります。定義は、決めた日に文章で残し、途中で変えないようにします。

小さな会社ほど、数字を減らす勇気が要る

数字を減らすのは、情報を捨てることのように感じられ、不安になります。しかし、減らして初めて、残した数字に手が届くようになります。

捨てた数字は、消えるわけではありません。アクセスの記録の中に残っていて、必要になったときに開けます。いま追わないと決めただけです。

減らす数字の選び方

どの数字を減らすかは、次の表の順に決めます。

順番 減らす数字 理由
1 見ても何も直さなかった数字 行動につながっていない
2 他の数字と同じ動きをする数字 見る意味が重なっている
3 自社で動かせない数字 手を打てない

この順に外していくと、3つ前後まで自然に絞れます。

数字が増える会社の、共通する習慣

数字が増えていく会社には、共通する習慣があります。新しい数字を足すときに、古い数字を外さないことです。

足すたびに、外す数字を1つ決める。この約束を守るだけで、数字は増えすぎません。

失敗を記録に残す価値

失敗した設定も、記録に残しておく価値があります。何を置いて、何が起きなかったのかが分かれば、次に同じ数字を置くことを避けられます。

失敗の記録は、成功の記録より役に立つことがあります。自社のお客様に効かなかったことが、はっきり分かるからです。

解決策:「売れるサイトはみな謙虚」の考え方で、KGIとKPIをお客様の次の一歩に置き直す

ここまでの失敗は、数字が自社の都合で選ばれていたことから起きていました。直す方向は1つです。数字を、お客様が次の一歩に進んだかどうかで選び直します。

土台に置くのは、「売れるサイトはみな謙虚」という考え方です。ウェブサイトから要素を引き算して、訪れた人が迷わず次の一歩に進める形に組み直す、という考え方です。

謙虚とは、自社の数字より、お客様の動きを先に置くこと

謙虚に数字を置くとは、見せたい数字より、お客様の動きを映す数字を先に置くことです。

見せたい数字は、アクセス数や記事の本数のように、自社の頑張りを示すものです。お客様の動きを映す数字は、料金を読み切った人の割合や、フォームを送り終えた人の割合のように、お客様が迷わず進んだかを示すものです。

前者は自社を主役にし、後者はお客様を主役にします。KPIは、後者から選びます。

数字を置き直す4つの問い

数字を選び直すときは、次の4つの問いを順に確かめます。

問い 確かめる内容 外れた数字の例
お客様の動きか お客様が何かをした記録か 自社の記事の本数
次の一歩に近いか 問い合わせや注文の手前か ページの表示回数
自社の手で動かせるか 直したら変わる数字か 景気に左右される訪問者数
毎週10分で確かめられるか 手間が続く範囲か 手作業の集計が必要な数字

4つとも「はい」になる数字だけを、KPIの候補に残します。1つでも外れたら、その数字は置きません。

お客様の道を、4つの段に分ける

サイトの中でお客様が通る道を、4つの段に分けます。この4つの段のそれぞれに、KPIの候補が1つずつ見つかります。

段 お客様の動き 測る数字の例
着く 検索や紹介から、ページに着く 狙いのページへの訪問の数
確かめる 料金や事例を読んで確かめる 読み切った人の割合
進む 問い合わせや注文のボタンを押す ボタンを押した人の割合
終える フォームを送り終える 送信完了の割合

4つの段のうち、いちばん数字が悪い段が、今月直す場所です。全部の段を同時に直そうとしないことが、続けるコツです。

いちばん悪い段を見つける

4つの段の数字が出たら、前の段から次の段へ、どれだけの人が進んだかを並べます。

段 人数の例 前の段からの割合
着く 800人
確かめる 240人 30%
進む 48人 20%
終える 24人 50%

この例では、「進む」の段で20%と低くなっています。確かめた人の8割が、ボタンを押さずに去っています。今月は、この段の直し方を考えます。

悪い段の直し方は、お客様の迷いを減らすこと

悪い段を直す方法は、お客様の迷いを減らすことです。「進む」の段なら、ボタンの近くに、料金の決まり方や、申し込み後の流れを1行ずつ書き添えます。

迷いの原因は、お客様に聞くのがいちばん確かです。最近の問い合わせの記録から、電話で聞かれた質問を3つ拾い、その答えをボタンの近くに置きます。

直す前と後を、必ず記録する

直したら、直した日を記録します。数字が変わったときに、何が効いたのかを説明できるようにするためです。

記録は、日付と、直した場所と、直した内容の3つで十分です。表計算の1行で足ります。

謙虚に置くと、目標も小さくなる

謙虚に数字を置くと、目標も小さくなります。「3件を5件にする」のように、手が届く大きさで置けるようになります。

小さな目標は、達成すると次が見えます。達成の経験が積み重なって、現場が数字を見る習慣になります。

お客様の迷いを、問い合わせの記録から拾う

迷いの原因を探すいちばん確かな材料は、自社に届いた問い合わせの記録です。電話で聞かれたこと、メールで尋ねられたこと、来店したときの最初の一言を、書き留めておきます。

書き留める形式は、日付、聞かれた言葉、答えた内容の3列の表で足ります。3か月分たまると、同じ質問が何度も出てくることに気づきます。

同じ質問が3回以上出ていれば、その答えは、サイトのどこかに書かれていないということです。書かれていないページが、「確かめる」の段の弱点です。

質問をページに置く場所の決め方

拾った質問は、答えを置く場所を決めます。置く場所は、お客様がその疑問を持つ瞬間のすぐ近くです。

質問の種類 置く場所 置き方の例
費用の決まり方 料金ページの冒頭 3行で決まり方を書く
申し込み後の流れ 申し込みボタンの近く 4つの手順を1行ずつ
対応できる範囲 事例の末尾 対応可能な内容を一覧にする
営業日や連絡の方法 問い合わせページの上 受付の時間を明記する

置く場所を間違えると、書いてあるのに読まれません。疑問が生まれる場所に置くのが基本です。

3つのKPIを、どの段に割り振るか

3つのKPIは、4つの段のうち、いちばん悪い段と、その前後の段に割り振ります。

たとえば、「進む」が弱いなら、「確かめる」「進む」「終える」の3つを選びます。「着く」は、問い合わせの手前から遠いので、このときは外します。

割り振りを毎月見直すと、弱い段が変わるたびに、数字も入れ替わります。固定せず、弱い段を追いかける形にします。

画面の種類別に、数字を分けて見る

先に書いたとおり、フォームの送信完了率は、パソコンとスマホで別々に見ます。合算した平均では、片方の問題が隠れてしまうからです。

見る単位 合算した場合 分けた場合
送信完了率 40% パソコン60%、スマホ25%
読み切った割合 35% パソコン45%、スマホ28%

この例では、合算の40%だけを見ると問題がないように見えます。分けて初めて、スマホの25%が低いと分かり、直す場所が決まります。

数字を分ける手間は、最初の1回だけ

画面の種類別に分ける作業は、最初に設定するときだけ手間がかかります。設定が終われば、毎週の確認は同じ10分で足ります。

最初の設定が難しいときは、制作を頼んだ会社に、画面の種類別に数字を見られるようにしてほしいと依頼します。依頼の言葉は、「パソコンとスマホで、数字を分けて見たい」の1文で伝わります。

目標を達成したあとの次の目標

KGIを達成したら、同じ型で、次のKGIを置きます。前回より少しだけ大きい数字を置くのが基本です。

達成した理由を、記録から振り返ります。どの行動が効いたのかを知っていれば、次の目標の行動も決めやすくなります。

達成できなかったときも同じです。届かなかった理由を、記録から探します。どの段の見立てが外れていたのかを確かめます。責任探しには使いません。

点検の質問を、お客様の言葉に直す

数字を見ても原因が分からないときは、数字の隣に、お客様の言葉を置きます。最近の問い合わせから、一言ずつ拾って並べます。

「結局いくらになるのか分からなかった」「他と何が違うのか分からなかった」という言葉が並べば、確かめる段の弱点が文章で見えてきます。数字は場所を教え、言葉は理由を教えます。

数字と言葉を、同じ表に並べる

段 数字 お客様の言葉 直す案
確かめる 読み切った割合30% いくらか分からなかった 料金の決まり方を冒頭に
進む 押した割合20% 申し込んだ後が不安 流れを4行で添える
終える 送信完了50% 入力が面倒だった 入力欄を半分に

表の右端の「直す案」が、そのまま今週の行動になります。

小さな直しを、1つずつ積み重ねる

大きな作り直しを待たず、小さな直しを1つずつ積み重ねるほうが、数字は確実に動きます。料金の冒頭に3行を足す、ボタンの近くに一文を足す、といった直しです。

小さな直しは、元に戻すのも簡単です。直して数字が悪化したら、すぐに戻して、別の案を試せます。失敗しても傷が浅いので、試す回数を増やせます。

試す回数が、改善の速さを決める

数字の改善の速さは、試す回数で決まります。1年に1回の大きな作り直しより、週に1回の小さな直しを50回重ねるほうが、学べることが多いです。

毎週1つ直せば、1年で50前後の試みが記録に残ります。その記録が、自社のお客様に何が効くのかを教えてくれます。

数字を共有するときの、言葉の選び方

数字を社内に共有するときは、略語を使いすぎないようにします。KGIやKPIという言葉に慣れていない人には、「ゴールの数字」「途中の目印」と言い換えたほうが伝わります。

言葉が難しいと、数字を見る人が増えません。見る人が増えるほど、直す案も集まります。伝わる言葉を選ぶことも、謙虚さの1つです。

週に1回10分の見直し:数字を見る日の進め方

数字は、見る日を決めて初めて働きます。ここでは、週に1回10分の進め方を説明します。

見直しの10分の使い方

10分の内訳は、次のとおりです。

時間 やること 出てくるもの
3分 3つのKPIを開いて、先週と比べる 上がった、下がった、同じ
3分 いちばん下がった数字を1つ選ぶ 今週直す場所
3分 直す行動を1つ決める 今週の行動
1分 記録に書く 日付と行動

10分で終えることが大切です。長くなる会議は、続かなくなります。

先週と比べるときの見方

KPIの数字は、先週と比べて見ます。前の月や、前の年と比べるのは、月に1回で十分です。

週の数字は、偶然でぶれます。1週間下がっただけでは慌てず、2週続けて下がったときに、直す行動を決めます。

月に1回、KGIを見る日

KGIは、月に1回見ます。目標に対して、いまどこまで来たかを確かめる日です。

月の見直しでは、次の3つを確かめます。KGIの数字、3つのKPIの動き、先月の行動が効いたかどうかです。

3か月に1回、数字そのものを見直す

3か月に1回は、KGIとKPIの選び方そのものを見直します。お客様の道が変わっていないか、数字の意味が古くなっていないかを確かめます。

見直しの結果、KPIを入れ替えることもあります。入れ替えるときは、外す数字と、足す数字の理由を、文章で残します。

見直しの記録を、1枚の表にまとめる

見直しの記録は、次のような1枚の表にまとめておくと、後任への引き継ぎにも使えます。

日付 見たKPI 先週との差 直した場所 結果
第1週 確かめる段 2ポイント低下 料金の説明を3行に 次週に確認
第2週 確かめる段 1ポイント上昇 なし 継続
第3週 進む段 4ポイント低下 ボタンの近くに流れを追記 次週に確認
第4週 進む段 3ポイント上昇 なし 継続

表は数行で足ります。続けるうちに、どの直しが効いたのかが、自社の記録として溜まります。

数字が動かないときの考え方

行動を起こしても、数字が動かないことがあります。その場合は、すぐに別の行動へ移らず、2週間は様子を見ます。

2週間たっても動かないときは、直した場所が数字に関係していなかった可能性があります。その場合は、KSFの文章に戻って、本当に満たされるべき条件が何だったのかを問い直します。

記入例:5社の記入表を、1枚ずつ埋めてみる

最後に、5つの小さな会社の記入表を、1枚ずつ埋めてみます。自社の表を作るときの見本にしてください。

A社の記入表

項目 内容
KGI 半年後に、月の見積もり依頼を3件から6件にする
KSF 費用の決まり方が、依頼の前に分かること
KPI 料金ページを読み切った人の割合
日々の行動 事例を毎月2件追加する
見る日 毎週金曜の午後に10分

B社の記入表

項目 内容
KGI 3か月後に、体験授業の申し込みを月に4件から8件にする
KSF 授業の様子が、申し込み前に分かること
KPI 授業の様子のページから、申し込みへ進んだ人の割合
日々の行動 フォームの入力欄を減らす
見る日 毎週月曜の朝に10分

C社の記入表

項目 内容
KGI 半年後に、修理相談を月に2件から5件にする
KSF 修理できる基板の種類が、相談前に分かること
KPI 修理できる種類のページを、読み切った人の割合
日々の行動 修理できた事例を、月に1件、種類別に書き足す
見る日 毎週水曜の午後に10分

D社の記入表

項目 内容
KGI 3か月後に、通信販売の注文を月に10件から15件にする
KSF 商品の大きさと質感が、写真と文章で伝わること
KPI 商品ページから注文カートへ進んだ人の割合
日々の行動 寸法の入った写真を、1商品に1枚足す
見る日 毎週火曜の午前に10分

E社の記入表

項目 内容
KGI 半年後に、初回相談の予約を月に3件から6件にする
KSF 相談の流れと費用の決まり方が、予約前に分かること
KPI 相談の流れのページを、読み切った人の割合
日々の行動 よくある質問に、実際に聞かれた言葉を毎月3つ足す
見る日 毎週木曜の午後に10分

5枚を並べて見えること

5枚とも、KGIは1つ、KSFは1つか2つ、KPIは1つか2つに収まっています。数が少ないからこそ、週に10分で回せます。

自社の表を作るときも、最初は1枚の表に、1つのKGIと1つのKPIだけを書き込んでください。足すのは、それが回り始めてからで間に合います。

謙虚に書くと、約束も小さくなる

謙虚に置くとは、できないことを書かず、確かめられる数字で書くことです。目標も、お客様への約束も、手が届く大きさで置きます。

小さな約束を守り続けるサイトは、お客様から見て信頼できます。数字を小さく置くことは、サイトの信頼にもつながります。

数字を見る人の気持ちを考える

毎週数字を開く担当者は、数字の悪化に気落ちすることがあります。気落ちが続くと、数字を開く足が重くなります。

そこで、良くなった数字を先に確かめてから、悪くなった数字を見る順番にします。小さな前進を確かめてから課題に向かうと、続けやすくなります。

見直しの会議で使う、3つの言葉

見直しの場では、「なぜ下がったのか」と責める言葉を避け、次の3つの言葉を使います。「どこで人が減っているか」「お客様は何に迷ったか」「今週は何を1つ直すか」です。

3つの問いに答えていくだけで、会議は10分で終わります。

KGIとKPIのテンプレート:コピーして使える記入表と、見直しの記録表

ここまでの手順を、そのまま使える3枚の表にまとめます。表計算の1枚に写して、使ってください。

テンプレート1:目標の記入表

項目 書く内容 書き方の注意
KGI 結果の数字と期限 1つだけ。数字と期限を入れる
KSF ゴールに届く条件 「お客様が〜できること」の形で2つか3つ
KPI 条件を測る数字 1つの条件に1つ。全体で3つまで
日々の行動 数字を動かす行動 1週間で終わる大きさに切る
見る日 数字を開く曜日と時間 担当者の名前も添える
直す人 数字が悪いとき直す人 依頼の経路まで書く

表の1行目から順に埋めていくと、決める順番が自然に守れます。上の行が決まらないうちは、下の行に進まないでください。

テンプレート2:数字の選別表

KPIの候補を選ぶときは、次の表で通します。候補ごとに、4つの問いに「はい」か「いいえ」を付けます。

候補の数字 お客様の動きか 次の一歩に近いか 自社の手で動かせるか 毎週10分で確かめられるか
例:料金ページを読み切った割合 はい はい はい はい
例:記事の本数 いいえ いいえ はい はい
例:訪問者の数 はい いいえ いいえ はい

4つとも「はい」の候補だけが、KPIとして残ります。候補の欄は、思いつくだけ書き出してから、この表で絞ります。

テンプレート3:見直しの記録表

日付 見た数字 先週との差 直した場所 次に確認する日

記録表は、空欄のまま置いておき、毎週1行ずつ埋めます。1年続けると、52行の自社の記録になります。

3枚の表を使う順番

3枚は、次の順番で使います。

順番 表 使う場面
1 数字の選別表 KPIの候補を絞るとき
2 目標の記入表 決めた内容を1枚にまとめるとき
3 見直しの記録表 毎週の確認のとき

選別表を最初に使うのは、候補を絞らずに記入表へ書くと、数字が増えてしまうからです。

30分で3枚を埋める進め方

3枚の表は、30分あれば一通り埋められます。

時間 やること
0分から10分 現状の数字を集める(問い合わせの件数、訪問の数)
10分から20分 KPIの候補を書き出し、選別表で3つに絞る
20分から30分 記入表を埋め、見る日と直す人を決める

初回は完璧を目指さず、仮に置くつもりで進めます。1か月使ってから、合わなければ直します。

記入例:A社の記入表を、1行ずつ読む

A社の記入表を、1行ずつ読んでみます。

項目 A社の記入 読み方
KGI 半年後に、月の見積もり依頼を3件から6件にする 数字と期限があり、自社で動かせる
KSF 費用の決まり方が、依頼の前に分かること お客様を主語にした文
KPI 料金ページを読み切った人の割合 KSFを測る数字で、毎週開ける
日々の行動 事例を毎月2件追加する 1週間で終わる大きさに近い
見る日 毎週金曜の午後に10分 曜日と時間が決まっている

6項目のどれもが短く、迷わず読めます。長い文や、複数の意味を含む言葉は、表の中では避けます。

業種の型ごとの、KPIの置き換え表

自社の業種に近い型を見つけて、KPIの候補を置き換えてください。

業種の型 確かめる段のKPI 進む段のKPI 終える段のKPI
見積もりを受ける 料金ページを読み切った割合 見積もりボタンを押した割合 フォームを送り終えた割合
予約を受ける 空き状況ページを見た割合 予約ボタンを押した割合 予約を確定した割合
商品を売る 商品ページを読み切った割合 カートに入れた割合 購入を完了した割合
相談を受ける 相談の流れのページを読んだ割合 相談ボタンを押した割合 予約を送り終えた割合

表の中の「割合」は、前の段の人数に対する、次の段の人数の割合です。段ごとに分母が変わる点に注意してください。

割合の出し方

割合は、前の段の人数を分母にして出します。たとえば、料金ページを見た人が240人で、そのうちボタンを押した人が48人なら、48割る240で、割合は20%です。

分母を「サイト全体の訪問者」に固定すると、段ごとの弱点が見えなくなります。段ごとに、直前の段を分母に取ります。

割合が出せないときは、人数のまま見る

訪問が少ないサイトでは、割合が不安定になります。その場合は、割合を出さず、人数のまま並べて見ます。

月に10人、5人、2人と、各段の人数を並べるだけでも、どの段で人が減るのかは分かります。割合を出すのは、各段の人数が月に30人を超えてからで間に合います。

数字の記録を、手書きで始める方法

アクセスの記録を見る道具がまだ整っていないときは、手書きで始められます。問い合わせが来るたびに、「どのページから来たか」をお客様に尋ねて、ノートに1行書きます。

1か月続けると、問い合わせの経路が分かります。道具がなくても、数字の習慣は始められます。

KPIを動かす行動の、優先順位の付け方

行動の候補が複数あるときは、「効果の大きさ」と「手間の小ささ」で優先順位を付けます。

行動 効果 手間 優先
料金の冒頭に3行を足す 大きい 小さい 1番目
ボタンの近くに流れを足す 中くらい 小さい 2番目
事例のページを新しく作る 大きい 大きい 3番目
ページ全体のデザインを変える 不明 大きい 後回し

効果が大きく手間が小さい行動から手を付けます。手間の大きい行動は、小さい行動で効果を確かめてから取り組みます。

行動の効果を、確かめる期間

行動の効果は、直してから2週間後に確かめます。1週間では、偶然のぶれと区別できないことがあるからです。

確かめるときは、直した場所の数字だけを見ます。他の数字まで広げると、何が効いたのかが分からなくなります。

表を埋めたあとに、確かめる3つの問い

表を埋めたら、次の3つの問いで最後の確認をします。

問い 確かめる内容
他の人に説明できるか 数字を置いた理由を、1分で話せるか
今週、直す行動が決まっているか 行動が1週間で終わる大きさか
来月の見直しの日が入っているか 予定表に、日付が入っているか

3つとも「はい」になれば、表は使える状態です。1つでも「いいえ」なら、その行を直してから使い始めます。

表を更新するときの約束

表を更新するときは、2つの約束を守ります。1つは、変更した日付と理由を書くこと。もう1つは、古い表を消さずに残すことです。

古い表が残っていれば、数字を変えた経緯をたどれます。何が効いて、何が効かなかったのかを、後から振り返れる記録になります。

サイトの作り直しと、KGI・KPIの関係

サイトを作り直すときは、先にKGIとKPIを決めてから、制作を依頼します。数字が決まっていれば、どのページを増やし、どのページを減らすかが決めやすくなります。

数字を決めずに作り直すと、見た目の好みで判断が分かれ、結論が出ません。制作を頼む会社にも、記入表を見せれば、意図が正確に伝わります。

部署が複数あるときの置き方

営業や店舗、サイトの担当が別々の部署にある会社では、KGIは部署ごとに置かず、1つに共通させます。たとえば、全員で「月の問い合わせ件数」を見ます。

KPIは、部署ごとに分けて持ちます。サイトの担当は読み切った割合、営業は返信の早さ、というように、各自が動かせる数字を持ちます。

部署ごとのKPIの例

部署 KPIの例 動かせる行動
サイト担当 料金ページを読み切った割合 説明文の書き直し
営業 問い合わせへの返信までの時間 返信の当番の決め方
店舗 来店の予約から来店までの割合 前日の連絡

共通のKGIを見ながら、それぞれが自分のKPIを動かします。同じ方向を向いているので、部署間で数字が衝突しにくくなります。

記入表を、紙に印刷して持つ

記入表は、画面の中だけに置かず、紙に印刷して机の近くに貼っておくと、毎週の見直しを思い出しやすくなります。

見る日が来たら、紙の余白に先週との差を書き込み、画面の表には後で写します。紙を1枚持つだけで、数字が日々の仕事の中に居場所を持ちます。

数字の習慣を、チームに広げる順番

1人で始めた数字の習慣は、次の順番でチームに広げると定着します。

順番 広げ方 期間の目安
1 担当者が1人で、4週間続ける 1か月
2 記録を見せながら、経営者に共有する 2か月目
3 直す人を巻き込み、週の見直しに同席してもらう 3か月目
4 他の部署にも、同じ表を渡す 4か月目以降

最初から全員でやろうとせず、1人で成果の記録を作ってから広げます。記録があれば、説得に言葉を尽くさなくても、数字が説明してくれます。

よくある質問

KGIとKPIについて、よく聞かれる質問に答えます。

Q1:KGIとKPIは、どちらから決めますか

KGIから決めます。KGIが決まらないうちにKPIを決めると、どこへ向かう途中の数字なのかが分からなくなります。

順番は、KGI、KSF、KPI、KDIの順です。KPIを先に思いついても、いったん脇に置いて、KGIを決めてから戻します。

Q2:KPIは、何個まで置けますか

3つまでです。サイトの数字を毎週10分で確かめる前提なら、3つが実用的な上限です。

4つ以上になると、毎週どれかが悪化して、直す場所が定まらなくなります。置きたい数字が増えたら、既存のKPIを1つ外して、入れ替えます。

Q3:小さなサイトで、問い合わせが月に1件か2件しかありません

その場合は、率を追わず、件数と行動の完了を追います。1件の増減で率が大きく動くため、率を見ても、ぶれを見るだけになるからです。

KGIは「3か月で合計6件」のように、期間を長く置きます。KPIは、料金ページを更新できたか、事例を足せたか、といった行動の完了で置きます。

Q4:アクセス数は、KPIに置いてはいけませんか

置いても構いません。ただし、アクセス数は問い合わせの手前から遠いので、置くなら4つの段の「着く」を測る数字として位置づけます。

アクセス数だけを目標にすると、増えても問い合わせが変わらない失敗が起きます。置くときは、問い合わせの数字と並べて見ます。

Q5:数字を見る道具は、何を使えばよいですか

最初は、表計算の1枚で足ります。問い合わせの件数は、受信箱や予約の記録から数えられます。

アクセスの記録を見る道具は、制作を頼んだ会社に尋ねるのが近道です。パソコンとスマホで数字を分けて見たい、と伝えれば、設定してもらえます。

質問の答えを、表で見る

5つの質問の答えを、1枚の表にまとめます。

質問 答え
先に決めるのは KGI
KPIの数 3つまで
問い合わせが少ないとき 件数と行動の完了を追う
アクセス数 「着く」の段のKPIとして置ける
道具 最初は表計算の1枚

まとめ:KGIとKPIは、数字を決める作業から、直す場所を決める作業へ

この記事では、KGIとKPIの意味と違い、KSFとKDIの関係、決める順番、中小企業のサイトの例、置きすぎの失敗、記入表を説明しました。

KGIは到着点、KPIは現在地を知らせる目印です。この2つを、お客様の道を逆にたどる形で決めると、手を打つ場所が見つかります。

記事全体の振り返り

章 要点
意味と違い KGIは結果の数字、KPIは途中の進み具合
関連する言葉 KSFは条件、KDIは日々の行動
決める順番 KGI、KSF、KPI、KDIの順で、問い合わせの手前から戻る
失敗の型 数が多い、測りやすさで選ぶ、見る日がない
解決の方向 お客様の次の一歩で選び、少なく、小さく置く
続け方 週に10分、月に1回、3か月に1回

読み終えたあとの、最初の一歩

最初の一歩は、現状の問い合わせ件数を、直近3か月分だけ書き出すことです。10分で終わります。

次に、KGIを1つ仮に置きます。数字と期限を入れて、「半年後に、月の問い合わせを〇件にする」と書けば足ります。

3つ目に、お客様の道を逆にたどり、いちばん数字が悪そうな段を1つ選びます。その段を直す行動を1つ決めて、今週中に実行します。

今日できる点検

次の表で、自社の設定を点検してください。「いいえ」の行が、今週の候補です。

点検する場所 確かめること はい・いいえ
KGI 数字と期限を持つKGIが1つだけあるか
KGIの種類 サイトの担当者が動かせる結果になっているか
KPI 3つ以内に絞られているか
KPIの選び方 お客様の次の一歩を映す数字になっているか
画面別の数字 パソコンとスマホを分けて見ているか
見る日 毎週数字を開く曜日と時間が決まっているか
直す人 数字が悪いとき、直す人が決まっているか
記録 数字を置いた理由が、文章で残っているか
最後の見直し 3か月以内にKPIを見直したか

「いいえ」が付いた行のうち、いちばんお客様に近いものを1つ選び、今週中に直します。

点検の結果の読み方

「いいえ」の数によって、次にやることが変わります。

「いいえ」の数 状態 次にやること
0から1 数字の設計が整っている 週に10分の見直しを続ける
2から4 一部の設計が足りない お客様にいちばん近い行から直す
5以上 数字が目標として働いていない 記入表を1枚つくり、手順1から決め直す

行の数を気にしすぎる必要はありません。1つ直すと、その周りの行も直しやすくなります。

点検を月に1度の習慣にする

この点検は、今日1度やって終わりにせず、月に1度の習慣にします。月の見直しの日に、表の9行を読み返して、「いいえ」が増えていないかを確かめます。

「いいえ」が減っていく様子が、自社のサイトの整い方を示します。点検の結果も、見直しの記録表に1行で残しておきます。

点検の記録から、1年後に見えること

月に1度の点検を12回続けると、1年分の記録が残ります。いつ「いいえ」が減り、どの行がなかなか直らなかったのかが、一目で分かります。

直らなかった行は、自社の弱点です。1年後の見直しでは、その行を最初の議題にします。

点検の表は、印刷して机の近くに貼っておくと、見直しの日を忘れにくくなります。

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合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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