「設定方法の記事を公開したのに、同じ問い合わせが減らない」。
「自社サービスの使い方をAIに聞いたら、手順の途中が抜けた答えが返ってきた」。
マニュアルやブログで操作手順を公開している会社のWeb担当者から、こうした悩みを聞くことがあります。
手順の記事は、読む人が実際に手を動かす記事です。書き方が少しずれるだけで、途中で止まる人が出ます。
この記事は、ハウツー記事の書き方を、1本分の型としてまとめたものです。人にもAI検索にも正確に伝わる手順記事の書き方を扱います。2026年10月17日に、GoogleとMicrosoftの公式な文章ガイドと、Googleの公式ドキュメントを開いて確かめた内容をもとにしています。
扱うのは、手順を1本書くときの型です。ヘルプセンター全体の設計は、別の記事「ヘルプセンターの作り方」で扱っています。
先に結論:手順記事で押さえる9つのこと
結論を表にまとめます。右の列は、確かめた出どころです。
| 押さえること | 内容 | 出どころ |
|---|---|---|
| 前提を先に書く | 権限、プラン、必要なものは、手順より前に置く | Googleの文章ガイド |
| 番号付きリスト | 順番のある操作は、番号付きリストにする | Google、Microsoft |
| 1手順1動作 | 1つの指示を1つの項目にする。ごく短い操作はまとめてよい | Google、Microsoft |
| 場所を先に書く | 「どこで」を、操作より前に書く | Google、Microsoft |
| 結果を添える | 操作のあとに、画面に出るものを同じ項目へ書く | Googleの文章ガイド |
| 画面の表記どおり | ボタン名やメニュー名は太字にし、画面の表記に合わせる | Google、Microsoft |
| 条件は先に | 「〜の場合は」を、指示より前に書く | Googleの文章ガイド |
| コードはテキストで | 文字やコードを画像にせず、コピーできる形で載せる | Googleの文章ガイド |
| 更新日を書く | 画面が変わりやすいので、確認した日と対象を明記する | 筆者の判断 |
このうち、更新日の書き方は公式のガイドに直接の定めがなく、筆者の判断です。
特別な書き方は必要ない
Googleは、AI OverviewsとAI Modeに表示されるための追加の要件や、特別な最適化は無いと説明しています。通常の検索で、インデックスされ、スニペット付きで表示できるページであることが前提です。
つまり、手順記事をAI専用の形に作り替える必要はありません。人が読んで迷わない手順を、正確に書くことが基本です。
HowTo構造化データは入れなくてよい
手順の構造化データ(HowTo)による検索結果の表示は、2023年に終了しています。表示のために新しく入れる必要はありません。
詳しい経緯は、この記事の後半で説明します。
この記事で使った情報源
使った情報源は、次の5種類です。
| 情報源 | 使った内容 |
|---|---|
| Googleの開発者向け文章ガイド | 手順、注意書き、画像、画面の部品の名前、アクセシビリティ |
| Microsoftの文章スタイルガイド | 手順の書き方、手順内の文字の整え方 |
| Google検索セントラルのAI機能の解説 | AI OverviewsとAI Modeの前提 |
| Google検索セントラルの告知と更新履歴 | HowToの縮小と終了 |
| schema.org | HowToの語彙 |
公式の文章ガイドは英語で書かれています。この記事では、趣旨を日本語で紹介します。
AI検索は手順記事をどう扱うのか
最初に、AI検索と手順記事の関係を、確かめられる範囲と筆者の考えに分けて整理します。
公式に確認できること
Googleのドキュメントは、AI機能でリンクとして表示される条件を説明しています。ページがインデックスされ、スニペット付きで検索に表示できること。追加の技術要件は無い、という書き方です。
同じページは、通常のSEOの基本が引き続き有効だとして、いくつかの項目を挙げています。
その中に、重要な内容を文字で読める状態にすることがあります。構造化データは、ページに見えている文章と合わせることも挙げられています。
手順記事に当てはめると、画像の中にしかない設定値は、避けたほうがよい書き方だといえます。
ここからは筆者の考え(推測)
AI検索が手順を答えるとき、どのページのどの部分をどう使うかは、各サービスが詳しく公開していません。そのうえで筆者は、次のような手順記事は、要約されたときに情報が欠けやすいと考えています。
- 手順が文章に埋もれていて、どこからどこまでが1手順か分からない
- 「設定画面を開いて」のように、どの画面かが書かれていない
- 権限やプランが、後半の注意書きにしか書かれていない
- 設定値が、画像の中にしかない
これらは、人が読んでも迷う書き方です。直すと人にも伝わりやすくなるので、AIのためだけの作業にはなりません。
手順記事の4つの工程
手順記事は、書いて終わりにならない記事です。次の4つの工程を、順に回します。
図の4つの箱を順にたどると、前提の記述から更新まで、1本の記事に必要な作業が分かります。画面が変わったら、また最初の工程に戻ります。
手順記事の全体構成
1本の手順記事は、次の順番で組み立てます。この順番は、公式ガイドの内容をもとに、筆者が実務向けにまとめたものです。
| 順番 | 要素 | 書くこと |
|---|---|---|
| 1 | 冒頭の1〜2文 | この記事で何ができるようになるか |
| 2 | 始める前に | 対象者、必要なもの、所要時間の目安、対象の画面 |
| 3 | 手順 | 番号付きリスト、1手順1動作、結果 |
| 4 | 完了の確認 | 全体がうまくいったかを確かめる方法 |
| 5 | うまくいかない場合 | 症状、原因、対処の表 |
| 6 | 関連する手順 | 次にやること、元に戻す方法へのリンク |
| 7 | 更新日 | 最後に確認した日と、確認した画面 |
以下、順に書き方を見ていきます。
前提条件を手順の前に書く
手順の途中で「この操作には管理者権限が必要です」と出てくると、読者は途中まで進んでから引き返すことになります。
なぜ最初に書くのか
Googleの文章ガイドは、注意書きを使って、前提条件や、先にやっておく操作を伝えないよう求めています。そうした情報は、その手順より前に置くという考え方です。
AI検索の回答でも、前提条件が手順から離れていると、条件を欠いた手順だけが要約されるおそれがあります。これは筆者の推測です。
前提を手順の直前にまとめれば、手順と一緒に読まれやすくなります。
書く項目
前提条件に入れる項目は、次の5つが目安です。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 対象者 | 管理者アカウントを持つ方 |
| 対象のプランと環境 | 上位プラン、パソコンのブラウザー |
| 必要なもの | 取引先一覧のCSVファイル(文字コードはUTF-8) |
| 所要時間の目安 | 約10分(自社で試した場合) |
| 確認した画面 | 管理画面の2026年10月時点の表示 |
所要時間は、実際に自分たちで手順をたどって計った時間を書きます。根拠のない「たった3分で」のような表現は避けます。
当てはまらない場合の行き先も書く
同じ作業でも、条件によって別の手順が必要なことがあります。たとえば臨時休業の設定は、通常の営業時間の変更とは別の画面です。
その場合は、前提条件の中に「この手順に当てはまらない場合は、こちらをご覧ください」とリンクを置きます。読者が、手順の途中で迷子にならずに済みます。
手順は番号付きリストで「1手順1動作」
順番に意味がある操作は、番号付きリストにします。Googleの文章ガイドも、順序のあるものは番号付きリストにするよう勧めています。
本物のリスト要素を使う
HTMLでは、番号付きリストはol要素です。手で「1.」と打った段落は、見た目だけの番号です。リスト要素にしておくと、ページの構造として順番のある手順だと伝わります。
<h2>請求書の送付先メールアドレスを変更する手順</h2>
<ol>
<li>管理画面の右上にある<b>設定</b>をクリックします。</li>
<li>左のメニューで<b>請求情報</b>をクリックします。</li>
<li><b>送付先メールアドレス</b>の欄に、新しいアドレスを入力します。</li>
<li><b>保存</b>をクリックします。</li>
</ol>
上のコードは、説明用の例です。ボタン名を、画面の表記どおりに太字へそろえています。
公式ガイドが定めていること
Googleの文章ガイドは、手順を番号付きの一連のステップとして書くこと、各ステップの最初の文に動作を表す動詞を含めることを定めています。1つの指示は、1つのリスト項目にします。
Microsoftの文章スタイルガイドにも、複数ステップは番号付きリストにすること、1つの指示ごとに別のステップにすることが書かれています。同じ画面で完結する短い操作は、まとめてよいとされています。
| 場面 | Microsoft | |
|---|---|---|
| 複数の手順 | 番号付きリスト | 番号付きリスト |
| 1つしかない手順 | 1項目の箇条書き | 番号の代わりに箇条書きでもよい |
| 1つの項目の中身 | 1つの指示 | 1つの指示。同じ場所の短い操作はまとめてよい |
| 任意の手順 | 文頭に Optional: と書く | 該当の記載は確認できず |
| 最後の操作 | 記載は確認できず | OKや適用の操作まで含める |
日本語の記事では、Optional: を「任意:」と書き換えます。これは翻訳で、公式の定めとは別に筆者が決めた書き方です。
1手順1動作の目安
「設定画面を開き、請求情報のタブで送付先を変更して保存します」は、4つの動作が1文に入っています。読者がどこまで進んだかを見失い、要約されるときにも動作が抜けやすくなります。
次の目安で分けます。ここから先は、筆者の目安です。公式ガイドの定めとは別です。
- 1つの手順に、クリック、入力、選択などの動作は原則1つ
- 同じ画面で完結する短い操作は、まとめてよい
- 1手順が3行を超えたら、分けられないか見直す
- 手順が10を超えるなら、見出しで「準備」「設定」「確認」のように区切る
保存や適用まで書く
操作を確定させる、保存や適用の動作も省略せずに書きます。Microsoftの文章スタイルガイドも、多くの場合は、手順を完了させる操作を含めるよう勧めています。
書き手にとっては当たり前の操作です。保存を忘れて設定が反映されない読者は、少なくありません。
場所を先に書く
Googleの文章ガイドとMicrosoftの文章スタイルガイドは、どちらも、操作をどこで行うかを、操作より前に書くよう求めています。
- 良い例:管理画面で、右上の設定をクリックします。
- 避けたい例:設定をクリックします(管理画面の右上にあります)。
日本語は語順が違うので、「どこで」を文頭に置くと、同じ効果になります。
各手順に「結果の確認方法」を添える
手順に結果が書かれていると、読者は「ここまでは合っている」と確かめながら進められます。結果と違う画面が出たら、その場で前の手順に戻れます。
操作のあとに結果を続ける
Googleの文章ガイドは、操作と、その結果として起きることを書くとき、操作を先に、結果を後に書くよう勧めています。結果は、操作と同じ段落に置きます。
日本語の記事では、同じ項目の中で、操作の文のあとに結果の文を続けると読みやすくなります。
- 保存をクリックします。画面の上部に「設定を保存しました」と表示されます。
書くべき結果の種類
結果として書くものは、次の4種類です。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 画面の切り替わり | 請求情報のページが開きます。 |
| 表示されるメッセージ | 「設定を保存しました」と表示されます。 |
| 状態の変化 | ステータスが「有効」に変わります。 |
| 届くもの | 登録したアドレスに確認メールが届きます。 |
すべての手順に結果を書く必要はありません。画面が切り替わる手順、保存や送信などの確定操作、時間がかかる処理には書く、と決めておくと運用しやすくなります。
Googleの文章ガイドは、同じことの繰り返しや、画面の名前の太字が増えすぎることも避けるよう注意しています。結果を書くときも、書きすぎないようにします。
AI検索から見た結果の記述
具体的な結果が書かれた手順は、読者が正しく操作できたかを自分で判断する材料になります。AIが手順を要約するときにも、結果が一緒に使われれば、読者の確認に役立つはずです。
ただし、AIがそうした結果を実際に引用するかどうかは、公式には説明されていません。ここは筆者の期待です。
最後に全体の完了確認を書く
手順の最後には、全体が成功したことを確かめる方法を、1つ書きます。たとえば「テスト送信を押して、新しいアドレスにメールが届くことを確認します」のように、読者が自分で再現できる方法にします。
完了確認が書かれていれば、読者は途中のどこかで失敗していても、ここで気づけます。
画面名・ボタン名・入力値を正確に書く
手順記事のなかで、いちばん誤りが起きやすいのが、画面の表記と入力値です。
画面の表記をそのまま使う
画面のボタンが「保存する」なのに、記事では「登録」と書くと、読者は画面で探せません。AIが「ボタンが見つからない」という相談に答えるときも、表記がずれた記事は材料になりにくくなります。
ルールは3つです。
- 画面の表記を、一字一句そのまま書く(全角と半角、カタカナ、英字も含める)
- ボタン名、メニュー名は太字にする
- メニューをたどる順番は、1つの太字でまとめて書く
太字にする点は、Googleの文章ガイドとMicrosoftの文章スタイルガイドが、どちらも勧めています。
メニューの順路は1つの太字でまとめる
Googleの文章ガイドは、メニューの順路を書くとき、各メニューの名前を別々に太字にせず、順路の全体を1つの太字で囲むよう求めています。
- 良い例:設定 > 請求情報 > 送付先
- 避けたい例:設定 > 請求情報 > 送付先
順路の区切りの記号には、Googleの文章ガイドが山括弧(>)の例を挙げています。Microsoftの文章スタイルガイドは、スクリーンリーダーが記号を読み飛ばすことがあるため、アクセシビリティの専門家に確認するよう注意しています。
ボタンの種類は書かない
Microsoftの文章スタイルガイドは、画面の部品の名前を書くとき、「ボタン」「チェックボックス」のような種類は、必要な場合を除いて書かないよう求めています。
- 良い例:保存をクリックします。
- 避けたい例:保存ボタンをクリックします。
日本語では「ボタン」を付ける書き方も一般的です。記事内で書き方をそろえることが、いちばん大切です。
入力値を3つに分ける
入力値は、読者が書き写す情報なので、写し間違いが起きやすい部分です。次の3つに分けて書きます。
| 種類 | 書き方 |
|---|---|
| そのまま入力する値 | コードの書式にして、全角と半角の区別がつくようにする |
| 読者ごとに変わる値 | 置き換える部分だと分かる書き方にして、例を添える |
| 形式に決まりがある値 | 「半角数字8桁、ハイフンなし」のように条件を書く |
Googleの文章ガイドは、コマンドなどの手順では、置き換える部分(プレースホルダー)の説明を、コマンドのあとに書く順番を示しています。
分岐(〜の場合は)の書き方
手順の途中で、条件によって操作が変わることがあります。分岐の書き方を決めておくと、読者が迷いません。
条件を先に、指示を後に
Googleの文章ガイドは、条件は指示より前に書くよう勧めています。指示のあとに書く形は、避けるべきとされています。
- 良い例:上位プランを使っている場合は、詳細設定をクリックします。
- 避けたい例:詳細設定をクリックします(上位プランの場合のみ)。
読者は前から順に読みます。条件が後ろにあると、条件を読む前に操作してしまいます。
分岐の大きさで書き方を変える
分岐の大きさごとの書き方は、次のとおりです。これは筆者の整理です。
| 分岐の大きさ | 書き方 |
|---|---|
| 1つの手順だけが変わる | その手順の中で「〇〇の場合は△△します」と書く |
| 数手順が変わる | 小さな項目を入れ子にする。入れ子は1段までを目安にする |
| 手順全体が変わる | 見出しを分ける(パソコンの場合、スマートフォンの場合) |
| 選択肢が多い | 先に表で、どれを選ぶかを示して、それぞれの手順へ案内する |
Googleの文章ガイドは、入れ子の項目に小文字のアルファベットを使うこと、その下はローマ数字にすることを定めています。深い入れ子まで許されていますが、読者が追いにくくなるので、筆者は1段までをすすめます。
任意の手順には印を付ける
やってもやらなくてもよい手順には、文頭に「任意:」と付けます。Googleの文章ガイドも、任意の手順には文頭に印を付けるよう定めています。
必須なのか任意なのか分からない手順は、読者を不安にさせます。
よくあるエラーと対処を表にする
手順どおりに進めても、エラーが出ることはあります。エラーが出た人は、表示されたメッセージをそのまま検索したり、AIに貼り付けて質問したりします。
症状、原因、対処の3列にする
エラーの表は、読者が自分の画面と照らし合わせられる形にします。症状の列には、画面に出るメッセージを、表記どおりに書きます。
| 症状(表示されるメッセージ) | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 「権限がありません」と表示される | 管理者以外のアカウントでログインしている | 管理者のアカウントでログインし直すか、管理者に権限の付与を依頼する |
| 「ファイル形式が正しくありません」と表示される | CSVの文字コードがUTF-8ではない | 表計算ソフトで「CSV UTF-8」の形式を選び、保存し直す |
| 保存したのに設定が反映されない | 画面の表示が古いまま | ページを再読み込みする。変わらなければ、時間をおいて確認する |
上の表の内容は、説明用の例です。実際の記事では、自社のサービスの画面に合わせて書き換えます。
サポートの記録から作る
エラーの表は、サポート担当者に「この手順で多い問い合わせ」を聞いてから作ると、実態に合います。机上で考えたエラーより、実際に起きたものを優先します。
問い合わせの記録から記事を増やす考え方は、「ヘルプセンターの作り方」にまとめています。
コードや設定値はコピーできる形で載せる
設定値やコードは、読者が手で打ち直すと、写し間違いが起きます。テキストで載せておけば、コピーして貼り付けられます。
画像にしない
Googleの文章ガイドは、文字、コードのサンプル、ターミナルの出力に画像を使わず、実際のテキストを使うよう、複数のページで求めています。
AI検索が画像の中の文字を確実に読み取れるとは限りません。Googleの検索セントラルも、重要な内容を文字で読める状態にするよう挙げています。
HTMLでは、コードブロックを使います。たとえばWebhookの送信先URLを入力させる手順なら、次のように値を載せます。
https://example.com/webhook/orders
上のURLは、説明用の例です。
スクリーンショットの使い方
画面のボタンが見つけにくい場合には、スクリーンショットが役立ちます。Googleの文章ガイドも、画面の部品が見つけにくいときは、スクリーンショットを使うよう挙げています。
ただし、次の点に注意します。
- 必要な部分だけを切り抜く。Googleの文章ガイドは、ウィンドウ全体を載せず、関係する情報だけを見せるよう求めている
- 画像には代替テキスト(alt)を付ける
- 個人を特定できる情報が写り込んでいないか確認する
- 手順の文章だけで操作できるように書いたうえで、補助として添える
切り抜いておくと、画面の別の部分が変わっても、画像を差し替えなくて済みます。
コピーしやすくする工夫
コードブロックには、次の工夫をします。ここは筆者の運用上の工夫です。
- 1つのコードブロックには、そのまま貼り付けられる内容だけを入れる
- 置き換える部分は、コードの直後に「〇〇を、自社のものに置き換えます」と書く
- 全角のスペースや引用符が混ざっていないか、公開前に確認する
更新日と対象の画面を明記する
手順記事は、サービスの画面が変わると、すぐに古くなります。古い手順が残っていると、読者は存在しないボタンを探すことになります。
書く項目
記事の冒頭か、前提条件の中に、次の2つを書きます。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 最終更新日 | 2026年10月15日更新 |
| 確認した対象 | 管理画面の2026年10月時点の表示で確認 |
アプリの場合は、確認したバージョンを書きます。確認していない環境の手順は、書かないほうが安全です。
画面が変わったら見直す仕組み
更新日を書くだけでは足りません。サービスの更新情報が出たら、影響のある手順記事を見直す担当を決めておきます。
ページに表示する日付と、構造化データに入れる日付は、そろえておきます。日付だけを書き換えて、中身を見直さない更新は、避けます。
HowTo構造化データの現状
以前は、HowToの構造化データを入れると、Googleの検索結果に手順が表示されることがありました。現在は事情が違います。
2023年に終了した経緯
Google検索セントラルの告知から、経緯を表にします。
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2023年8月8日 | HowToのリッチリザルトの表示を、パソコンだけに限定すると告知した |
| 2023年9月13日 | パソコンでも表示しなくなり、この種類のリッチリザルトは非推奨になった |
| 2023年9月 | 更新履歴に、HowTo構造化データのドキュメントを削除したと記載された |
2023年9月の告知の追記では、検索のレポートや、リッチリザルトテストでの対応も、順次終了すると説明されています。
今のところ入れる必要はない
schema.orgには、HowToの型と、手順を表すHowToStepの語彙が、今も載っています。ただし、Googleの検索結果で見た目が変わる効果は、現在はありません。
告知には、使われていない構造化データは、検索に問題を起こさないと書かれています。すでに入れているものを、急いで外す必要は無いということです。
AI検索のための追加は不要
Googleは、AI機能のために、特別なマークアップは必要ないと説明しています。構造化データを使う場合は、ページに見えている文章と内容を合わせます。
手順記事では、構造化データに時間を使うより、本文の手順を正確に書くほうが、確実な改善になります。
悪い例と良い例
ここでは、架空の予約管理サービス「サンプル予約」で、営業時間を変更する手順を例にします。サービス名、画面名、メッセージは、すべて説明用に作ったものです。
悪い例
営業時間の変更は、設定から簡単にできます。設定画面を開いて、店舗情報の営業時間を変えて保存すればOKです。なお、スタッフの権限では変更できないので注意してください。また、臨時休業の場合は別の画面です。設定値は下の画像を参考にしてください。
この例には、次の問題があります。
| 問題 | 理由 |
|---|---|
| 権限の説明が後ろにある | 前提は手順より前に書く |
| 番号が無く、1文に動作が複数ある | どこまで進んだか分からない |
| 画面名の位置が分からない | 「設定」がメニュー名かどうかも不明 |
| 保存後の結果が無い | 成功したか確かめられない |
| 臨時休業の行き先が無い | 「別の画面」だけでは探せない |
| 設定値が画像の中にある | 写し間違いが起きる |
| 更新日が無い | いつの画面か分からない |
良い例
次は、同じ内容を、この記事の型で書き直したものです。
サンプル予約で通常の営業時間を変更する手順
最終更新日:2026年10月15日。管理画面の2026年10月時点の表示で確認しています。
始める前に
- 対象:オーナー権限のアカウントをお持ちの方(スタッフ権限では変更できません)
- 所要時間の目安:約3分
- 臨時休業や特定の日だけ時間を変える場合は、「臨時営業日を設定する手順」をご覧ください。この手順は、通常の営業時間の変更用です。
手順
- 管理画面の右上にある設定をクリックします。設定のページが開きます。
- 左のメニューで店舗情報をクリックします。
- 営業時間の欄で、変更したい曜日の編集をクリックします。
- 開始時刻と終了時刻を、半角で入力します(例:10:00と19:00)。
- 任意:同じ時間をほかの曜日にも使う場合は、ほかの曜日にもコピーにチェックを入れます。
- 保存するをクリックします。画面の上部に「営業時間を保存しました」と表示されます。
完了の確認
予約ページをお客さま側の画面で開き、変更した曜日の受付時間が、新しい時刻になっていることを確認します。
うまくいかない場合
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 編集が表示されない | スタッフ権限でログインしている | オーナー権限のアカウントでログインし直す |
| 「時刻の形式が正しくありません」と表示される | 全角の数字で入力している | 半角の数字とコロンで入力し直す |
良い例では、前提と分岐の行き先が手順より前にあります。各手順は1動作で、確定操作の結果とエラーの対処までそろっています。
コピーして使える手順記事のひな形
社内で使うときは、【】の部分を書き換えてください。
## 【〇〇で△△する手順】
【この手順で何ができるようになるかを、1〜2文で】
最終更新日:【YYYY年MM月DD日】。【確認した画面・バージョン】で確認しています。
### 始める前に
- 対象:【権限、プラン、環境】
- 必要なもの:【アカウント、ファイル、情報など】
- 所要時間の目安:【実際に試した時間】
- 【この手順が当てはまらないケースと、案内先】
### 手順
1. 【場所】で、**【ボタン名】**をクリックします。【表示される画面やメッセージ】
2. **【欄の名前】**に、【入力値】を入力します。
3. 【条件】の場合は、【指示】します。
4. 任意:【やらなくてもよい操作】
5. **【確定ボタン名】**をクリックします。「【表示されるメッセージ】」と表示されます。
### 完了の確認
【全体が成功したことを確かめる方法】
### うまくいかない場合
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 【メッセージ】 | 【原因】 | 【対処】 |
### 関連する手順
- 【次にやること】
- 【元に戻す方法】
公開前チェックリスト
公開前に、次の表で点検します。
| 区分 | 確認項目 |
|---|---|
| 前提 | 対象者、権限、プランが、手順より前に書かれている |
| 前提 | 必要なものと、所要時間の目安が書かれている |
| 前提 | 当てはまらない場合の案内先がある |
| 手順 | 本物の番号付きリスト(ol)になっている |
| 手順 | 1手順1動作で、場所が先に書かれている |
| 手順 | 保存や適用などの確定操作が書かれている |
| 手順 | 画面が変わる手順と確定操作に、結果が書かれている |
| 手順 | 最後に、全体の完了確認がある |
| 表記 | 画面名、ボタン名、メッセージが、画面の表記と同じ |
| 表記 | 太字などの書き方が、記事内でそろっている |
| 表記 | 分岐は条件が先で、任意の手順に印が付いている |
| コード | コードや設定値が、コピーできるテキストで載っている |
| コード | 置き換える値と、そのまま入れる値が区別されている |
| 更新 | 最終更新日と、確認した画面が書かれている |
| エラー | よくあるエラーが、症状、原因、対処で書かれている |
| 総合 | 記事だけを見て、別の人が最後まで操作できた |
最後の項目が、いちばん大切です。書いた本人以外の人に記事だけを渡して操作してもらうと、書き手が省いていた前提や手順がすぐに見つかります。
よくある質問
Q1. スクリーンショットは入れないほうがよいのですか?
入れてかまいません。ボタンの場所が見つけにくいときには、読者の助けになります。
ただし、手順の文章だけで操作できるように書いたうえで、補助として使います。設定値やコードを画像の中にだけ載せるのは避け、画像には内容が分かる代替テキストを付けてください。
Q2. HowTo構造化データは、もう入れる意味がないのですか?
Googleの検索結果で手順が表示されるHowToのリッチリザルトは、2023年に終了しています。表示のために新しく入れる必要はありません。
すでに入れている場合は、急いで外す必要もありません。残すなら、ページの手順と内容がずれないようにしてください。
Q3. 手順が20を超える長い作業は、どう書けばよいですか?
「準備」「設定」「動作確認」のように、段階ごとに見出しを分けて、それぞれを番号付きリストにします。段階ごとに完了の確認を入れると、読者が途中で中断しても再開しやすくなります。
Googleの文章ガイドは、同じ作業の手順が複数ある場合、別のページや見出しに分けることを勧めています。段階ごとに独立した作業なら、記事を分けて相互にリンクする方法もあります。
Q4. 手順記事の見直しは、どのくらいの頻度で行えばよいですか?
公式には、決まった頻度の定めはありません。筆者は、サービスの画面が変わったときにすぐ見直すことと、問い合わせの多い記事から順に、定期的に点検することを、組み合わせて運用するよう勧めます。
見直したら、更新日と、確認した画面も書き換えてください。
まとめ
AI検索に手順として使われるために、特別な形式や、専用のマークアップは必要ありません。大切なのは、人が記事だけを見て、最後まで迷わず操作できることです。
- 前提条件(対象、必要なもの、所要時間)を、手順の前に書く
- 番号付きリストで、1手順1動作にして、確定操作まで書く
- 操作のあとに結果を添え、最後に全体の完了確認を置く
- 画面名、ボタン名、入力値、エラーの文を、画面の表記に合わせる
- 分岐は条件を先に書き、大きな分岐は見出しを分ける
- コードや設定値は、コピーできるテキストで載せる
- 更新日と確認した画面を書き、画面が変わったら見直す
まずは、問い合わせの多い手順記事を1本選び、このチェックリストで見直すところから始めてください。
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