展示会に出る予算も人手もない。それでも見込み客との接点は増やしたい。
そう考える中小企業にとって、ウェビナー(オンラインセミナー)は現実的な選択肢です。会場費がかからず、遠方の担当者にも参加してもらえます。
録画を残せば、あとで記事や短い動画にも使い回せます。
ただし、配信がうまくいっても商談が生まれない会社は少なくありません。原因の多くは、配信の腕前よりも、前後の段取りにあります。
この記事では、専任のマーケティング担当がいない会社でも回せるように、次の順で説明します。
企画、ツール選び、申込フォーム、集客、当日の運営、終了後のフォロー、GA4での計測、録画の再利用、法令上の注意点です。
ツールの機能は、Zoom、Microsoft Teams、Google Meetの公式ヘルプを2026年10月17日に開いて確かめました。個人情報、迷惑メール、著作権の説明も、個人情報保護委員会、総務省、文化庁の公開資料に沿っています。
プランによって使える機能や人数が変わる部分は、数字を書かずに「自社のプランで確認する」と案内しています。
先に結論 商談になるウェビナーの5つの条件
最初に、この記事で伝えたいことを表にまとめます。
| 工程 | 先に決めること | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 企画 | 相手の悩みから選んだテーマと、1文で書ける対象者 | 製品紹介になり、申込が集まらない |
| ツール | 視聴専用か、対話型か | 参加者の顔や声が意図せず録画に入る |
| 申込 | 個人情報の利用目的と、メールの同意の取り方 | あとから案内を送れなくなる |
| 当日 | 録画の告知と、アンケートで聞く次の行動 | 終わった後に誰へ連絡すべきか分からない |
| 計測 | 経路別の申込数と、個別相談の件数 | 何が効いたのか振り返れない |
どの工程も、特別な技術は要りません。順番に決めていくだけで、商談につながる確率が上がります。
配信の上手さより前後の段取りで決まる
ウェビナーの成果は、開催当日の1時間では決まりません。開催前の6〜8週間と、終了後の2週間で決まります。
この期間に何をするかを、次の節で時系列に並べます。
1回で成果を求めない
1回目は、申込数も参加率も想定を下回るのが普通です。
2〜3回開催して結果を並べ、テーマ、曜日、時間帯のどこが合っていたかを見つけていきます。
ウェビナーで商談につながるまでの全体像
流れを先に押さえておくと、各工程で何を決めればよいかが分かりやすくなります。
工程ごとの目安の時期
次の表は、開催日から逆算した目安です。会社の規模や準備にかけられる人数に合わせて、前後させて構いません。
| 段階 | やること | 目安の時期 |
|---|---|---|
| 企画 | テーマ、対象者、ゴール(何件の相談につなげたいか)を決める | 開催の6〜8週間前 |
| 準備 | ツールを決め、申込ページとフォームを作り、計測を設定する | 5〜6週間前 |
| 集客 | 自社メール、SNS、パートナー経由で告知する | 4週間前から前日 |
| 当日 | リハーサル、本番、質疑応答、アンケート | 当日 |
| フォロー | お礼メール、録画の配布、アンケートからの個別連絡 | 終了当日から2週間後 |
| 再利用 | 録画から記事や短い動画を作る | 終了後1か月以内 |
担当者が1人でも回せる分け方
専任がいない場合は、1人で全部を抱えず、役割を3つに分けます。
司会と進行、技術面の対応(入室、画面共有、録画)、質問の整理の3つです。登壇者が司会を兼ねると、質問を拾い損ねたり、時間が押したりしがちです。
社内に人手がなければ、営業担当に質問の整理だけを頼む方法があります。営業担当が当日の質問を聞いておくと、終了後の連絡がそのまま商談の入口になります。
企画 テーマと対象者と時間の決め方
企画の段階で、申込数のほとんどが決まります。
テーマは自社が売りたいものから選ばない
BtoBのウェビナーで集まりやすいのは、製品紹介よりも、相手の業務上の悩みを扱うテーマです。
製品名を前面に出す例と、悩みを前面に出す例を並べます。
| 前面に出すもの | タイトルの例 |
|---|---|
| 製品名 | 「〇〇システムのご紹介」 |
| 悩み | 「月末の請求書処理を半日短くする3つの見直しポイント」 |
テーマの候補は、営業担当が商談でよく聞かれる質問や、問い合わせに多い相談から拾うと外れにくくなります。
対象者は業種と役職と状況を1文にする
「中小企業の皆さま」では広すぎて、案内文も内容もぼやけます。
次のように、1文で書けるところまで絞ります。
従業員30〜100名の製造業で、総務と経理を兼任し、紙の請求書処理に時間を取られている担当者。
この1文があると、告知文の言葉選びも、スライドの例も決まります。
時間は本編30〜45分と質疑15分から始める
平日の業務時間中に参加する担当者が多いため、長すぎる構成は途中退出につながります。
初回は合計60分以内に収め、次の配分から始めます。
| 内容 | 時間の目安 |
|---|---|
| 冒頭のあいさつと注意事項(録画の有無など) | 3分 |
| 本編 | 30〜40分 |
| 自社サービスの紹介 | 5分以内 |
| 質疑応答 | 10〜15分 |
| アンケートのお願い | 2分 |
開催日は、自社の顧客層の繁忙期(月末や決算期など)を避けます。
何曜日の何時が合うかは業種で変わるため、2〜3回開催して、申込数と当日の参加率を比べて決めるのが確実です。
ゴールは人数だけでなく個別相談の件数まで置く
集める人数だけでなく、何件の個別相談につなげるかまで決めておきます。
たとえば「申込40件、当日参加20件、アンケートで個別相談の希望3件」のように、各段階に目標を置きます。
終了後に、どの段階で数が減ったのかを振り返れるようになります。
ツール選び 公式ヘルプで確かめた違い
利用者の多いZoom、Microsoft Teams、Google Meetについて、公式ヘルプで確かめた機能の違いを整理します。
料金、プラン、参加人数の上限は変わりやすいため、数字はここに書きません。契約中のプランの管理画面で確認してください。
まず視聴専用か対話型かを決める
ツールを比べる前に、決めておく軸が1つあります。
出席者に見てもらう形にするのか、出席者同士が顔を見て話す形にするのかです。
社外の見込み客を多く集める回は、視聴専用の形が向きます。参加者の顔や声が、意図せず録画に入るのを避けられるからです。
少人数の勉強会や、参加者に発言してもらう回は、対話型が向きます。
Zoom ミーティングとウェビナーの違い
Zoomの公式ヘルプでは、ミーティングは全員が話し、画面を共有し、チャットを使える対話型と説明されています。参加者の一覧も全員に見えます。
ウェビナーは、ホストと指定したパネリスト(登壇者)が発表し、出席者は視聴専用の形です。出席者はホストが許可すれば、マイク、チャット、Q&A、投票を使えます。
ウェビナーには、登録機能とウェビナー専用のQ&Aが最初から備わっています。
Zoom ウェビナーの役割と人数
ウェビナーには、ホスト、共同ホスト、パネリスト、出席者の役割があります。パネリストは映像を出し、画面を共有できます。
出席者の上限は、購入した契約の規模で変わります。公式ヘルプも、購入した容量によって変わると説明しています。
ウェビナーは、購入する容量に応じて使う機能です。契約内容は、事前にZoomの管理画面か販売窓口で確認します。
Zoom 登録フォームと経路別の登録数
ウェビナーの登録フォームには、独自の質問を足せます。質問の型は、短い回答、単一回答、複数回答の3種類です。
登録項目を編集すると、登録済みの人は参加前に再登録が必要になります。項目は受付を始める前に確定させます。
「ソーストラッキングリンク」を使うと、配布先ごとに登録用のURLを最大50件まで作れます。どのリンクから何人が訪れ、何人が登録したかを確認でき、CSVで書き出せます。
Microsoft Teams のウェビナー
Teamsのウェビナーは、通常の会議より構造化された形式です。
公開のウェビナーでは、出席者は自分でマイクとカメラをオンにできません。主催者か共同主催者が全員に対してオンにしたときだけ使えます。
公開のイベントは、リンクを知っていれば誰でも登録できます。非公開のイベントは、組織内のメンバーだけが入れます。
既定では、Teamsの会議を設定できる人はウェビナーも設定できます。
Teams の発表者と登録管理
組織外の発表者は最大20人まで追加でき、それぞれに個別の参加リンクが発行されます。このリンクなら、ロビーで待たずに入れます。
登録には、定員の設定、手動承認、キャンセル待ち、カスタム質問があります。高度な登録管理は、最大1,000人の出席者までのイベントで使えると案内されています。
リマインダーのメールは、既定で開始の1時間前に届きます。録画を公開したときは、録画のお知らせメールも送られます。
Teams のレポート
登録レポートでは、登録ページを見た人の数、登録した人、取り消した人を確認できます。
出席レポートは終了後に見られ、最初の参加時刻、最後の退出時刻、各出席者の滞在時間が載ります。レポートを見られるのは主催者です。
Q&Aは、ウェビナーの終了後に、主催者と共同主催者がCSV形式のレポートでダウンロードできます。対象は直近28日間です。
Google Meet の位置づけ
Google Meetには、ウェビナーという名前の独立した製品はありません。Google Workspaceのエディションによって、Q&A、アンケート、出席状況の記録、ライブ配信、録画が使えます。
Q&Aは、会議の参加者なら誰でも質問できます。終了後、モデレーターに質問の一覧がメールで届きます。
出席状況の記録は、終了後に主催者へスプレッドシートが届きます。名前、メールアドレス、参加と退出の時刻、参加時間が載ります。
Google Meet のライブ配信は社外に向けられない
社外の見込み客を集める用途で、最も気をつけたい点です。
Meetのライブ配信は、公式ヘルプで、視聴できるのは組織内の参加者に限られると説明されています。管理者が設定した場合に限り、信頼するドメインの人も視聴できます。
つまり、不特定の見込み客に向けた公開ウェビナーには、そのままでは使えません。社外向けには、Meetで少人数の回を開くか、別のツールを選びます。
ツール別の比較表
| 観点 | Zoom ウェビナー | Teams ウェビナー | Google Meet |
|---|---|---|---|
| 出席者の立場 | 視聴専用が基本 | 公開では視聴専用 | 会議の参加者として入る |
| 登録フォーム | 独自の質問を追加できる | カスタム質問を追加できる | 自社サイトの申込フォームと組み合わせる |
| 経路別の登録数 | ソーストラッキングリンク | 登録数はレポートで確認し、経路は自社サイト側で計測 | 自社サイトのGA4で計測 |
| 終了後の記録 | レポートをCSVで出力 | 出席レポートとQ&AのCSV | 出席状況のシートと質問レポート |
| 社外への公開 | 可能 | 公開イベントで可能 | ライブ配信は組織内が基本 |
状況別の選び方の目安
| 状況 | 検討しやすい選択肢 |
|---|---|
| 社外向けに、登録フォームから事後アンケートまでツール内で完結させたい | Zoom ウェビナー、Teams ウェビナー |
| Microsoft 365を使っていて、契約を増やしたくない | Teams ウェビナー(自社の上限を管理者に確認) |
| 少人数の勉強会で、参加者との対話を重視したい | Zoom ミーティング、Google Meet |
| Google Workspaceを使っている | Google Meet(エディションで使える機能を確認) |
迷ったときの決め方
3つのツールの機能差よりも、社内で今すぐ使えるかどうかのほうが、実際の決め手になります。
すでに契約があるツールで、まず1回開く。
その結果を見てから、必要なら有料の機能を足す。この順番が、無駄な契約を避ける近道です。
申込ページと申込フォームの作り方
申込ページは、読んだ人が「これは自分向けだ」と判断できるかどうかで、申込数が変わります。
申込ページに書く9つの項目
最低限、次の項目を入れます。
| 項目 | 書き方の要点 |
|---|---|
| タイトル | 悩みと、得られることを入れる |
| こんな方におすすめ | 対象者を3項目程度で示す |
| 内容 | 話す項目を3〜5個にする |
| 日時と所要時間 | 使うツール名も添える |
| 登壇者 | 経歴は短く、話す内容との関係を書く |
| 参加費 | 無料の場合も明記する |
| 録画の有無 | 後日配布するかも書く |
| 個人情報の取り扱い | 利用目的をフォームの近くに置く |
| 申込ボタン | ページ内に1種類だけ置く |
申込フォームの項目は必要最小限にする
項目が多いほど、申込の途中でやめる人が増えます。
氏名、会社名、メールアドレスの3つを必須にし、残りは任意か、アンケートで後から聞きます。
| 区分 | 項目の例 |
|---|---|
| 必須 | 氏名、会社名、メールアドレス |
| 任意 | 部署と役職、従業員規模、当日聞きたいこと(自由記述) |
商談化のために知りたい情報は、終了後のアンケートで聞くほうが、回答を得やすくなります。
公式ツールの登録フォームを使うときの注意
Zoomの登録フォームは、登録項目を編集すると、登録済みの人が再登録を求められます。
受付を始める前に、項目を最終確認しておきます。
個人情報の利用目的を明示する
Webの入力画面で、本人が記入して直接取得する個人情報には、原則として利用目的の明示が必要です。個人情報保護委員会のFAQは、これを個人情報保護法第21条第2項の定めとして説明しています。
例外は、取得の状況からみて利用目的が明らかな場合です。FAQは、申込みの確認のために使うメールアドレスをその例に挙げています。
一方で、新しいサービスの案内や、提携先への提供に使うことは、「自明の利用目的に該当しない場合があるので注意を要します」と書かれています。
ウェビナーの申込では、当日の案内だけでなく、今後のセミナーやサービスの案内にも使うことが多いはずです。その旨をフォームの近くに置きます。
| 書く内容 | 記入例 |
|---|---|
| 運営のための利用 | 参加方法のご案内、資料と録画のお送り、アンケートのご依頼 |
| 案内のための利用 | 当社のセミナーとサービスに関するご案内 |
| 問い合わせへの対応 | お問い合わせへの対応 |
| 詳細 | プライバシーポリシーへのリンク |
共催するパートナーと申込者の情報を共有する場合は、その旨も明示します。共有の範囲は、事前に社内で決めておきます。
メール配信の同意は申込と分けて取る
広告や宣伝のメールは、特定電子メール法で、原則としてあらかじめ同意した相手にだけ送れる「オプトイン方式」が採られています。総務省の資料にある要点は、次の4つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 同意の記録 | 同意を得た記録を保存する。保存期間は、その記録に係る広告宣伝メールを最後に送った日から1か月 |
| 表示義務 | 送信者の氏名または名称と、受信拒否の通知先をメールに表示する |
| 受信拒否 | 受信拒否の通知を受けたあとは送れない |
| 例外 | 取引関係にある相手、名刺などの書面でアドレスを通知した相手には、同意なしで送れる場合がある |
名刺交換した相手への送信は、例外に当たる場合があります。ただし条件があるため、自社の運用が当てはまるかは、総務省の資料とガイドラインで確認します。
フォームでは、セミナーの申込とは別にチェック欄を設けると、同意の記録を残しやすくなります。
□ 株式会社〇〇からのセミナー情報とサービス案内のメールを受け取る
お礼メールや録画のお知らせなど、申し込んだセミナーの運営に必要な連絡と、宣伝を目的とするメールは、分けて扱います。
集客の段取り いつどこで告知するか
申込ページができたら、告知を始めます。
告知スケジュールの例
開催の4週間前から始める形が、中小企業でも回しやすい目安です。
| 時期 | 行動 |
|---|---|
| 4週間前 | 申込ページを公開し、自社メール1回目、SNS投稿、パートナーへの告知依頼 |
| 2〜3週間前 | SNSで、話す項目や登壇者を紹介する |
| 1週間前 | 自社メール2回目(未申込者へ)、営業担当から個別に声をかける |
| 前日 | 申込者へのリマインダー(参加URLと時間の再案内) |
| 当日の1時間前 | リマインダー(ツールの自動送信も活用) |
Teamsのウェビナーでは、リマインダーが既定で開始の1時間前に送られます。前日の案内は自社のメールで別に送ると、当日の欠席を減らしやすくなります。
自社メール
既存のお客様や、過去に問い合わせてくれた方など、メール配信に同意を得ている相手に送ります。
件名には、誰向けの内容かと、何が分かるかを入れます。
SNS
会社のアカウントだけでなく、登壇者個人の投稿も効きます。
投稿は、対象者の悩みから書き始めます。
パートナー
取引先、士業、業界団体などに、共催や告知の協力を頼みます。
相手のお客様にも役立つテーマかどうかが、引き受けてもらえるかを左右します。
どの経路から申込があったかを記録する
チャネルごとの効果を比べるために、告知に使うURLにUTMパラメータ(URLの末尾に付ける目印)を付けます。
GA4のヘルプでは、utm_source、utm_medium、utm_campaignの3つを使うよう案内されています。値は大文字と小文字が区別され、標準的な手法として小文字を使うよう案内されています。
あわせて読みたい
社内で命名のルールを決め、毎回同じ書き方をします。「Newsletter」と「newsletter」は、別の値として集計されるためです。
Zoomの登録ページを直接配る場合は、ソーストラッキングリンクで、配布先ごとに登録の数を確認できます。
申込ページを1つに絞る
告知のたびに別のページへ案内すると、申込の入口が散らばり、集計も難しくなります。
どの経路からでも、行き先は同じ申込ページ1つにします。経路の違いはUTMで見分けます。
当日の運営チェックリスト
当日の失敗は、準備で防げるものがほとんどです。
前日までに終えておくこと
次の項目を、前日までに確認します。
| 項目 | 確認の内容 |
|---|---|
| 役割 | 登壇者、司会、技術対応、質問の整理を決めた |
| リハーサル | 本番と同じ機材、場所、回線で通した |
| スライドの素材 | 画像、グラフ、引用の出典と利用条件を確認した |
| 録画 | 録画するか、誰に配布するか、一部を公開するかを決めた |
| アンケート | URLを用意した(ツール内の機能か、外部のフォームか) |
| 想定質問 | 回答を5〜10個用意した |
| 連絡先 | トラブル時のメールと電話を申込者に案内した |
登壇者だけの準備の場を使う
Zoomのウェビナーには、出席者が入る前に、ホストとパネリストが準備できる練習セッションがあります。
日程の設定時か、設定の編集で有効にしておく必要があります。有効にしていないと、開始のボタンが「練習セッションを開始」に変わりません。
パネリストは、専用の参加リンクか、パネリストとして登録したメールアドレスでサインインしたZoomアカウントで入ります。サインインしていないと出席者として扱われ、練習セッションに入れません。
Teamsにも、グリーンルームという準備用の場所があります。有効な間、出席者は待機室で待ちます。
開始前と開始直後にやること
開始30分前に、登壇者と司会が入室して、音声と画面共有を確認します。
冒頭では、次の4点を口頭とスライドで伝えます。
| 伝えること | 理由 |
|---|---|
| 録画すること | 参加者が不安にならない |
| 録画の使い道 | 後日の配布か、一部の公開かを知らせる |
| 質問の受け方 | Q&Aかチャットかを案内する |
| 最後のアンケート | 回答する時間を確保してもらう |
録画の通知はツールごとに違う
録画を始めると、各ツールとも参加者に通知が出ます。
Zoomでは、同意を求める表示が出ます。
参加者は同意して残るか、退出するかを選べます。この文面を変えたり無効にしたりできるのは、100以上のライセンスを持つ法人向けのアカウントに限られます。
Teamsは、録画の開始時に全員へ通知します。公式ヘルプは、地域によっては録画に全員の許可が必要な場合があると注意しています。
Google Meetも、録画の開始と停止を参加者に通知します。録画は主催者のGoogleドライブに保存されます。
ツールの通知に頼るだけでなく、申込ページと冒頭の説明で、用途まで伝えておきます。
質疑応答の進め方
司会が質問を読み上げ、登壇者が答える形にすると、進行が安定します。
個別の事情に踏み込む質問は、「個別にご連絡します」と引き取り、終了後のフォローにつなげます。
TeamsのQ&Aは終了後にCSVで、Google Meetは質問の一覧がモデレーターのメールに届きます。誰がどんな質問をしたかは、関心の強さを示す大事な情報です。
アンケートで聞く次の行動
満足度だけを聞くアンケートでは、商談につながりません。次の行動を選ぶ設問を、必ず入れます。
| 設問 | 形式 |
|---|---|
| 本日の内容は業務に役立ちそうか | 5段階 |
| 特に参考になった点 | 自由記述 |
| 現在の課題に近いもの | 選択式(複数可) |
| 今後の希望 | 資料だけほしい、個別に相談したい、次回の案内がほしい、特になし |
| ご質問とご要望 | 自由記述 |
Zoomのウェビナーは、終了時にアンケートを送り、ブラウザで表示することもできます。
フォローアップのメールにアンケートのリンクを載せることも可能です。外部のフォームのリンクも設定できます。
終了後のフォロー 48時間以内を目安に
商談になるかどうかは、終了後の2日間でほぼ決まります。
お礼メールは当日から翌日に送る
参加者と、申し込んだのに欠席した人で、文面を分けます。
Zoomのウェビナーには、フォローアップメールの設定があります。Teamsは、録画を公開すると、録画のお知らせメールが登録者に届きます。
参加者向けの文面の例を示します。
件名:本日はご参加ありがとうございました(資料と録画のご案内)
本日は「〇〇」にご参加いただき、ありがとうございました。資料と録画は、下記からご覧いただけます。
当日お答えしきれなかったご質問への回答も掲載しています。自社の状況に当てはめて相談したい方は、オンラインで30分の個別相談を承っています。
録画の配布方法
申込者だけが見られるURLにするか、限定公開の動画として共有します。
質疑応答で参加者の名前や顔が映っている部分は、配布の前に確認し、必要なら編集します。
アンケート結果を商談につなげる
アンケートとレポートの情報を組み合わせて、連絡の優先順位を決めます。
| 優先度 | 条件 | 対応 |
|---|---|---|
| 高 | 「個別に相談したい」を選んだ | 2営業日以内に営業担当が日程調整の連絡をする |
| 中 | 具体的な質問をした、最後まで視聴した、課題欄を詳しく書いた | 質問への回答と関連資料を個別のメールで送る |
| 低 | 資料のみ希望、または途中で退出した | メール配信に同意があれば、次回の案内を送る |
Zoomのレポートは、登録者のうち誰が出席したかを示し、CSVで書き出せます。Teamsの出席レポートには、各出席者の滞在時間が載ります。
顧客管理の表に取り込むときは、メールアドレスで突き合わせると作業しやすくなります。
GA4で申込を計測して効果を見る
自社サイトに申込ページを置くなら、申込完了をGA4で数えます。
申込完了をキーイベントにする
GA4のヘルプには、フォームの送信や情報請求を表す推奨イベントとして、generate_leadが載っています。
申込完了ページを用意する方法では、管理画面で次の手順を踏みます。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 「イベントを作成」で、page_viewを条件に、申込完了ページのURLを指定する |
| 2 | イベント名をgenerate_leadにして、キーイベントとしてマークする |
| 3 | テスト申込をして、リアルタイムのレポートで記録を確かめる |
設定が反映されるまで、数分から数時間かかることがあります。
page_view自体をキーイベントにしてはいけません。すべてのページ表示が成果として数えられてしまうためです。
キーイベントを設定するには、管理者か編集者の権限が必要です。
ツールの登録ページを直接使うときの分担
ZoomやTeamsの登録ページを直接配る場合、そのページは自社サイトではないため、GA4で申込完了を計測できません。
自社の告知ページから登録ページへのリンクのクリックをGA4で見て、実際の登録数は各ツールのレポートで確認する、という分担が現実的です。
効果を見る指標
| 指標 | 確認する場所 | 見方 |
|---|---|---|
| 経路別の申込数 | GA4、Zoomのソーストラッキング | どの告知が効いたか |
| 申込率 | GA4(申込ページの閲覧数に対する申込数) | ページとフォームに直す余地があるか |
| 当日の参加率 | 各ツールの出席レポート | リマインダーと日時の設定は適切か |
| 視聴時間 | 各ツールの出席レポート | どこで離脱したか |
| アンケートの回答率 | アンケートの結果 | 案内のタイミングは適切か |
| 個別相談と商談の数 | 自社の営業管理 | 最終的な成果 |
最も大事なのは、最後の行です。申込数が少なくても、対象を絞った回で商談が生まれていれば、その企画は成功です。
申込数が多くても商談がゼロなら、テーマと対象者がずれていないかを見直します。
売れるサイトはみな謙虚 申込ページは足さずに引く
ここまでの工程で、申込ページの出来が結果を左右すると繰り返してきました。ここで、その作り方の考え方を1つ紹介します。
「売れるサイトはみな謙虚」という考え方です。大きく見せる言葉や機能を足していくより、訪れた人が迷う要素を引いていくほうが、次の一歩を踏み出してもらえるという見方です。
申込ページから引くもの
ウェビナーの申込ページに当てはめると、引く対象は次のようになります。
| 引くもの | 引いたあとの状態 |
|---|---|
| 自社の沿革や実績の長い紹介 | 登壇者の紹介が数行で済み、話す内容が目立つ |
| 複数の申込ボタン | 入口が1つになり、迷わない |
| 必須項目の多いフォーム | 3項目の入力だけで完了する |
| 専門用語の多い案内文 | 対象者の悩みから書き始める |
引いたあとに残すもの
引いても、判断に必要な情報は残します。
日時、所要時間、使うツール、参加費、録画の有無、個人情報の利用目的です。
これらがないと、申込をためらう理由が増えます。
録画を記事と動画に再利用する
1回のウェビナーから、複数の発信材料を作れます。
本編をブログ記事にする
本編の内容を見出しごとに整理し、スライドの図を加えて記事にします。
質疑応答は、「よくある質問」としてまとめられます。
短い動画に切り出す
本編から1〜3分の要点の部分を切り出し、SNSや自社サイトに載せます。
切り出す部分に、参加者の顔や名前、チャット欄が映っていないかを確認します。
録画を常設で公開する
申込フォーム付きのページで録画を公開すると、開催日が過ぎても見込み客を集め続けられます。
その場合の申込ページには、録画であることと、公開の範囲を明記します。
著作権と映り込みの注意
配信と録画の公開には、他者の権利が関わります。
スライドで使う他者の著作物
ウェビナーの配信や録画の公開は、インターネットを通じた送信です。文化庁の著作権テキストは、公衆送信権を、放送や有線放送、インターネットなど、著作物を公衆向けに送信することに関する権利と説明しています。
他社の記事の図表、写真、イラスト、音楽を使うときは、利用条件を確認するか、許諾を得ます。
引用として使う場合の条件
他者の著作物を引用として使うときは、文化庁の資料にある条件を満たす必要があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 公表された著作物 | 未公表のものは対象外 |
| 公正な慣行に合う | 引用の必然性があり、引用部分が明確に区別されている |
| 正当な範囲内 | 自分の内容と引用の間に主従関係があり、分量が必要最小限 |
| 出所の明示 | 出典を示す |
社内の勉強会用に作ったスライドを、社外向けのウェビナーに流用するときは、特に確認します。
参加者の映り込みと名前の表示
個人情報保護委員会のFAQは、特定の個人を識別できる映像情報は個人情報に該当すると回答しています。
参加者が顔を出して発言した録画や、名前が画面に出た録画を、申込時に示した目的を超えて公開すると、トラブルの原因になります。
| 場面 | 対応 |
|---|---|
| 視聴専用の形式を選ぶ | 出席者の顔や声が録画に入りにくい |
| 質問の受け付け | Q&A機能で受け、読み上げるときは名前を出さない |
| 参加者に発言してもらう | 事前に録画と公開の有無を伝え、了解を得る |
| 公開用の編集 | 顔、名前、チャット欄が映る部分を確認して削除かぼかしを入れる |
| 申込ページ | 録画の扱い(配布、一部の公開)を利用目的に書く |
判断に迷う場合は、弁護士などの専門家に相談してください。
よくある質問
Q1. 初めてのウェビナーは何人を目標にすればよいですか
人数の目標は、業種や顧客の数で大きく変わるため、一般的な数字はありません。
初回は、自社の既存のお客様に告知して集まった人数を基準にします。そのうえで、個別相談の希望が1件でも出れば、企画としては成功と考えられます。
Q2. ZoomとTeamsは、どちらを選べばよいですか
社外向けに、登録フォームから終了後のアンケートまでツール内で完結させたいなら、どちらも候補になります。
すでに契約しているほうを、まず選んでください。参加人数の上限は契約内容で変わるため、管理画面か販売窓口で確認します。
Q3. 無料のツールだけで開催できますか
少人数の勉強会なら、手持ちの会議ツールで開催できます。
登録フォーム、経路別の集計、終了後のレポートがほしい場合は、ウェビナー用の機能が必要になります。使える機能は、契約中のプランで変わります。
Q4. 参加者全員にメールを送ってよいですか
申し込んだセミナーの運営に必要な連絡(参加方法、資料、録画)は送れます。
宣伝を目的とするメールは、原則として、あらかじめ同意した相手に限られます。
名刺交換した相手など、同意なしで送れる例外もありますが、条件があります。総務省の資料で確かめてください。
Q5. 録画は公開してもよいですか
登壇者と資料だけが映る部分は、他者の著作物の利用条件を確認すれば公開できます。
参加者の顔、名前、チャット欄が映る部分は、申込時に示した目的の範囲か、本人の了解があるかを確認します。迷う部分は、編集で外します。
配信前の点検表
開催の前に、次の表で漏れがないかを見ます。
| 区分 | 確認する項目 | 状態 |
|---|---|---|
| 企画 | テーマが相手の悩みから選ばれている | □ |
| 企画 | 対象者を1文で書ける | □ |
| 申込 | 利用目的をフォームの近くに書いた | □ |
| 申込 | 宣伝メールの同意欄を申込と分けた | □ |
| 集客 | 告知のURLにUTMパラメータを付けた | □ |
| 当日 | 冒頭で録画の使い道を伝える | □ |
| 当日 | 想定質問を用意した | □ |
| フォロー | 個別相談の希望者へ2営業日以内に連絡する担当を決めた | □ |
| 計測 | 申込完了をキーイベントにした | □ |
| 権利 | スライドの素材の利用条件を確認した | □ |
まとめ
BtoB中小企業のウェビナーは、配信の上手さよりも、前後の段取りで成果が決まります。
| 工程 | 要点 |
|---|---|
| 企画 | 相手の悩みからテーマを選び、対象者を1文で書けるまで絞る |
| ツール | 視聴専用か対話型かを決め、自社のプランで使える機能と人数を確認する |
| 申込 | 利用目的を明示し、宣伝メールの同意は申込とは別の欄で取る |
| 集客 | 4週間前から告知し、UTMパラメータで経路を記録する |
| 当日 | リハーサル、録画の告知、質疑応答、次の行動を聞くアンケート |
| フォロー | 48時間以内にお礼と録画を送り、個別相談の希望者には2営業日以内に連絡する |
| 計測 | 申込をgenerate_leadなどのキーイベントで数え、最後は商談の数で評価する |
| 再利用 | 録画を記事と短い動画に展開し、著作物と映り込みに注意する |
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