晴れた日曜の朝、公園の入口にテントが並びます。
出店者が机に布をかけ終えても、通りを歩く人はまだ数えるほどです。
主催者は、前の週に投稿した告知の画面を、何度も見返しています。
出店者は、隣のテントの人と顔を見合わせて、今日はどうなるだろうかと小さく笑う。
マルシェを開いたことがある方、出店したことがある方なら、この朝の空気に覚えがあるはずです。
この記事は、手づくり市、ファーマーズマーケット、商店街のマルシェ、公園やカフェの庭で開くイベントを主催している方に向けて書いています。
主催者の集客を主軸にして、出店している小さな店や生産者の方が自分でできることも、後半に節を設けました。
申込の画面があるイベントの集客は、別の記事で書いています。
イベントの集客は告知より申込みページで決まるという記事では、申し込む人を相手にした話をしました。
マルシェは違います。
来る人の大半は、申し込みをしません。
当日の朝に思い立って、ふらっと足を運ぶ人が来場者の中心です。
この記事では、広告を増やす話や、投稿の本数を増やす話はしません。
「今日やっているのか」「誰が出ているのか」「何が買えるのか」の3つに、来る前の人が答えを見つけられる形を作る話をします。
あわせて、総務省と、保健所が公表している資料のうち、原文で確かめられたものだけを使います。
読み終えたときに、次の開催までに直す場所が1つ決まっている。
それがこの記事のゴールです。
Q&Aサイトで見かけた、初めてのマルシェ出店で客が来なかったという相談
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿されたのは2024年の晩秋で、手づくりの品を持って、初めてマルシェに出店した方からの相談でした。
人がまったくいない時間があり、来場は30人ほどだった
投稿者は、出店料を払って、あるマルシェに初めて出店しました。
ところが当日は、来場者が極端に少なく、誰も通らない時間帯があったそうです。
1日を通して、来た人は30人ほどだったと数えています。
出店料を払っているのに、この人数では納得がいかない気持ちを抱えながら、主催者に不満を伝えることは我慢したと書かれていました。
開催の前から、出店者はSNSでの集客を強く求められていた
投稿者が引っかかっていたのは、当日の人数だけではありませんでした。
開催の前に、主催者から出店者全員に向けて、SNSを使ってもっと集客してほしいという注意があったというのです。
自分は出店料を払い、さらに自分で客まで連れてくる役割を負っていたのか。
この疑問が、相談の終わりにある「これはマルシェではよくあることか」という問いにつながっています。
寄せられた回答は、よくあることだからいらいらしないほうがいいという一言だった
回答は1つでした。
来客が予想より少ないのはよくあることで、あまりいらいらしないほうがいい、という内容です。
SNSでの集客の件については、よく分からないと書かれていました。
投稿者が一番知りたかった「出店者がSNSで客を連れてくるのは普通なのか」には、答えが返っていないままです。
相談の奥にある、マルシェの集客に特有の問題
この相談を主催者の側から読み直すと、人数の多い少ないとは別の問題が見えます。
誰が、いつ、どの場所で、お客さんに知らせる役を持つのかが、開催前に決まっていないのです。
決まっていないから、主催者は出店者に頼み、出店者は主催者の集客を待ちます。
その間に、来るはずだった人は、今日マルシェが開かれていることにすら気づかずに通り過ぎます。
| 相談の中で起きていること | その奥にある問題 | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 来場者が30人ほどで、誰もいない時間があった | 当日、来る人が何を目当てに足を運ぶのか決まっていない | 開催を知った人が、行く理由を見つけられるか |
| 主催者が出店者にSNSでの集客を求めた | 告知を誰が受け持つのかが、出店者との間で言葉になっていない | 主催者の告知と出店者の告知の分担が書かれているか |
| 出店料を払ったのに、割に合わないと感じた | 出店者が何を期待してよいのか、募集のときに伝わっていない | 来場の見込みの考え方が募集の文面にあるか |
| 不満を伝えず、匿名の場に書き込んだ | 感想を伝える窓口が、出店者から見えていない可能性がある | 出店者が感想を伝える手段があるか |
| 回答が「よくあること」で終わった | 原因が見えないまま、次回も同じことが起きる | 開催後に、人の動きを書き残しているか |
これはマルシェの主催者と出店者が入り込みやすい落とし穴です
来場者が少ないとき、原因を「知られていないから」と考えるのは自然なことです。
知られていないなら、知らせる量を増やせばいい。
そう考えて、投稿を増やし、出店者にも投稿を頼み、チラシを刷り足す。
ところが、知らせる量を増やしても、当日の人数が思うほど増えないことがあります。
「入り込みやすい」と書きましたが、これは統計の数字ではありません。
マルシェの募集ページや、開催後の振り返りの文章に、同じ形の悩みが並んでいる様子を読んだ印象です。
主催者は出店者に告知を頼み、出店者は主催者の集客を待つ
主催者の頭の中では、出店者それぞれにお客さんがいるはずだと考えています。
出店者の頭の中では、会場の場所と日程を決めた主催者が、人を呼んでくれるはずだと考えています。
この2つの期待がすれ違ったまま当日を迎えると、どちらの告知も弱くなります。
誰の責任かを問う前に、告知の置き場所を1か所に決めることが先です。
マルシェの来場者は、申込をしない
セミナーや見学会であれば、申込のあった人数がわかります。
マルシェには申込がありません。
当日の天気、朝の気分、前の日に見かけた投稿で、行くかどうかが決まります。
主催者は、何人来るのかを開催の前に知ることができず、出店者も売れる数を読めません。
来る前に、確かめたいことがある
申込がなくても、来る人は何も調べずに来るわけではありません。
スマートフォンで、地図や投稿を見て、今日やっているのかを確かめます。
そして、誰がいて、何が買えるのかを見て、行くか行かないかを決めます。
この3つの問いに、画面1枚で答えがあるかどうかが、足を向ける人の数を左右します。
| 来る前の人の問い | 答えが見つからないとき | 答えがあるとき |
|---|---|---|
| 今日やっているか | 天気が怪しい日は、行くのをやめる | 開催の有無を見て、予定に入れる |
| 誰が出ているか | 前回と同じだろうと考え、足が向かない | 目当ての店を見つけて、足を運ぶ |
| 何が買えるか | 手ぶらで行って無駄になるかもしれないと考える | 買う物を思い浮かべて、財布を持って行く |
マルシェの集客が、申込のあるイベントと違う理由
マルシェの集客を考えるとき、セミナーや見学会と同じ考え方で進めると、うまくいかない場面が出てきます。
違いを先に整理しておくと、どこから手を付けるかが見えてきます。
来る人の数が、開催の前に分からない
申込のあるイベントは、締め切りの日に人数が確定します。
足りなければ、残りの日数で告知を足すという判断ができます。
マルシェは、当日の朝まで人数が読めません。
読めないからこそ、前日までの準備で「行きたい」と思ってもらえる材料を揃えておく必要があります。
目当てがある人と、通りがかりの人が混ざる
マルシェの来場者には、2つの層があります。
お目当ての出店者がいて、その店を目指して来る人。
通りがかりに音や匂いに引かれて、立ち寄る人。
前者には事前の告知が効き、後者には現地の見え方が効きます。
同じ工夫で両方に届くことはないので、2つに分けて考えます。
出店者の顔ぶれが、開催のたびに変わる
毎回同じ出店者がそろうマルシェもあれば、半分以上が入れ替わるマルシェもあります。
顔ぶれが変わるなら、前回の評判は今回の保証になりません。
だから、今回は誰が出るのかを、開催ごとに見せる必要があります。
「また来月も開催します」だけの告知では、前回来た人にも足を運ぶ理由が伝わりません。
開催の間隔が空くと、覚えていてもらえない
月に1回、あるいは季節に1回のマルシェは、次の開催までの間に、来場者の記憶が薄れます。
毎週開く朝市と違い、習慣になる前に忘れられてしまうのです。
そのため、開催の日が決まったら、場所と時間と顔ぶれを、早めに同じ形で出す必要があります。
| 申込のあるイベント | マルシェ | 主催者が最初にすること |
|---|---|---|
| 締め切りで人数が確定する | 当日の朝まで人数が読めない | 前日までに行く理由を揃える |
| 申し込んだ人が来る | 当日思い立った人も来る | 現地で足を止める見え方を作る |
| 内容が毎回ほぼ同じ | 出店者が毎回変わる | 開催ごとに顔ぶれの一覧を出す |
| 日程が近い | 次の開催まで間が空く | 次の日程を当日に渡す |
主催者の集客と出店者の集客は、別の層にある
先ほどの相談で、主催者が出店者にSNSでの集客を求めていたことを書きました。
この求め方がすれ違いを生むのは、主催者の集客と、出店者の集客が、届く相手の違う別々の仕事だからです。
主催者が集めるのは、場の名前で来る人
主催者が集められるのは、このマルシェという場の名前を覚えている人です。
公園の入口に毎月立つ、あの市に行きたいと思って来る人たちです。
この層は、開催の有無と、時間と、場所が分かれば足を運びます。
主催者の仕事は、場の名前で来る人に、迷わず知らせることです。
出店者が連れてくるのは、店の名前で来る人
出店者が連れてこられるのは、その店を知っている人です。
普段から買っている常連の方、SNSでフォローしてくれている方、近所の知り合いなどです。
この層は、あの店が今日そこにいるから行く、という動きをします。
出店者の仕事は、店の名前で来る人に、今日の出店日を知らせることです。
二層の分担を、募集の時点で言葉にする
2つの層を混ぜて「集客はみんなでお願いします」と頼むと、誰も自分の仕事だと思わなくなります。
募集のページに、主催者が行うことと、出店者にお願いしたいことを、分けて書いておきます。
たとえば、主催者は開催日の知らせと出店者の一覧と当日の案内を担当し、出店者は自分の出店日を自分のアカウントで一度知らせる。
このくらいの分担なら、出店者も無理なく引き受けられます。
| 層 | 来る理由 | 届ける人 | 知らせる内容 |
|---|---|---|---|
| 場の名前で来る人 | この市が好き、近所だから | 主催者 | 開催の有無、時間、場所、顔ぶれ |
| 店の名前で来る人 | あの店に会いたい | 出店者 | 今日の出店日と、持っていく品 |
| 通りがかりの人 | 音や匂いに引かれた | 現地の見え方 | 何を売る市なのかがひと目で分かる看板 |
公的な数字で見る、告知が届く範囲
ここからは、告知がどこまで届くのかを、公的な数字で確かめます。
総務省が2026年5月29日に公表した「令和7年通信利用動向調査」を使います。
スマートフォンは、世帯の91.8%が持っている
総務省の同じ調査によると、スマートフォンを持っている世帯の割合は91.8%です。
調査は2025年8月末の時点で、世帯を対象に行われています。
持っている世帯がほとんどなので、画面で確かめて来る人が大半を占めると考えるのが自然です。
だから、画面の中の情報が薄いままでは、行く先の候補から外れてしまいます。
SNSの利用は、年齢が上がるごとに下がっていく
一方で、SNSを使っている人の割合は、年齢で大きく変わります。
総務省の調査では、50歳以上について「年齢階層が上がるごとに利用割合が下がっていく」と説明されています。
インターネットを利用している人のうち、SNSを使っている割合は、全体で82.3%です。
年齢別に見ると、40代は91.3%、60代は78.3%、70代は67.9%、80歳以上は54.3%でした。
| 年齢 | インターネット利用者のうち、SNSを使う人の割合 | 告知の置き場所 |
|---|---|---|
| 40~49歳 | 91.3% | 投稿と地図検索で届きやすい |
| 60~69歳 | 78.3% | 投稿に加えて、紙や現地の看板も添える |
| 70~79歳 | 67.9% | 約3割は使っていないので、現地と紙が要る |
| 80歳以上 | 54.3% | 半数近くは使っていない。口コミと現地が中心 |
数字が示している、2つの置き場所
この数字から読み取れるのは、画面の中の告知と、現地の告知を、両方持つ必要があるということです。
投稿が届くのは、投稿を見る習慣のある人です。
70代では、インターネットを使う人のうち、およそ3割がSNSを使っていません。
しかも、この割合はインターネットを使っている人の中での数字です。
インターネットそのものを使わない人は、ここに含まれていません。
数字を自分のマルシェに置き換える
自分のマルシェの来場者は、どの年代が多いでしょうか。
公園で開くファミリー向けのマルシェなら、30代と40代が中心になり、投稿の効果が高く出ます。
商店街や住宅地の朝市のように、近所の年配の方が多い場では、紙の掲示と現地の看板の比重を上げます。
自分の来場者の年代を、先に数えてみるところから始めます。
よくある打ち手と、その先に起きること
来場者が少ないとき、主催者が最初に思いつく手があります。
どれも間違いではありませんが、3つの問いに答える形が整っていないまま続けると、手間だけが増えていきます。
出店者の数を増やす
出店者が増えれば、店ごとの知り合いが来て、人数も増えると考えるのは自然です。
確かに、出店者の知り合いが来る分は増えます。
ところが、会場の広さが同じなら、店が増えるほど1店あたりの客は減ります。
出店者が「来る人が少なかった」と感じて次回の出店を見送れば、翌月の顔ぶれがまた変わり、安定した評判が育ちません。
先に増やすのは、来る前の人が顔ぶれを見られる場所です。
出店者の数を増やすのは、その場所ができてからです。
投稿の本数を増やす
毎日投稿すれば、目に触れる回数は増えます。
けれども、投稿の中に「開催日、時間、場所、顔ぶれ」が揃っていなければ、見た人は行くかどうかを決められません。
写真が美しくても、日付が最新の投稿の奥に埋もれていれば、探している人は見つけられないままです。
本数を増やす前に、日付と顔ぶれが書かれた1枚を、プロフィールの最初の画面に固定することを先に行います。
出店者に告知を義務として課す
出店者に、開催前の投稿を条件として求める主催者もいます。
冒頭の相談の投稿者は、まさにこの形を求められていました。
出店者に条件を課すと、投稿は増えます。
しかし、内容は「出ます」の一言に近い短い投稿になりがちで、見た人が行く理由は生まれません。
義務にするより先に、投稿に使える画像と文面を、主催者が用意して渡すほうが、出店者の負担も減ります。
目玉になる出店者やステージを呼ぶ
人気の店や演奏のステージを呼ぶと、その日の来場者は確かに増えます。
その一方で、目玉の出店者が来ない回には、足が向かなくなる人が出ます。
目玉に頼る形は、毎回の開催が一回ごとの勝負になってしまいます。
目玉の有無にかかわらず、毎回の一覧を見せる形を先に整えておくと、目玉を呼ぶ回の効果も高まります。
チラシを広い範囲に配る
近所の住宅や店に置くチラシは、年配の来場者に届く大切な手段です。
ただし、広い範囲に大量に配っても、日付と顔ぶれが載っていなければ、手に取った人は何を見に行くのかが分かりません。
チラシには、開催日、時間、場所、顔ぶれの一覧へ進む二次元コードを載せます。
配る数を増やす前に、受け取った人がその場で判断できる内容かを確かめます。
開催の回数を増やす
月に1回を月に2回に増やせば、覚えてもらえる機会は増えます。
しかし、運営の手が足りないまま回数を増やすと、一覧の更新が追いつかず、告知の質が落ちます。
回数を増やすのは、毎回の一覧を30分で作れる仕組みができてからです。
| よくある打ち手 | その先に起きること | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 出店者の数を増やす | 1店あたりの客が減り、次回の出店が見送られる | 顔ぶれを見られる場所が1か所にあるか |
| 投稿の本数を増やす | 日付と顔ぶれが埋もれて、見つけられない | 固定した1枚に日時と顔ぶれが載っているか |
| 出店者に告知を課す | 「出ます」だけの短い投稿が並ぶ | 投稿に使える画像と文面を渡しているか |
| 目玉の出店者を呼ぶ | 目玉がいない回に人が来なくなる | 目玉がなくても一覧で足が向くか |
| チラシを大量に配る | 受け取った人が何を見るのか分からない | 日付と顔ぶれの一覧へ進めるか |
| 開催の回数を増やす | 一覧の更新が追いつかない | 一覧を短時間で作れる仕組みがあるか |
食品を扱う出店者がいるとき、主催者が先に確かめること
ファーマーズマーケットや手づくり市には、食品を扱う出店者が並びます。
食品の出店に関わる手続きは、集客とは別の話ですが、出店者の一覧を作る場面で必ず出てきます。
許可や届出の扱いは、地域によって違う
イベントでの食品の提供には、保健所への営業許可や、臨時の出店の届出が関わる場合があります。
どの手続きが必要かは、提供する食品の種類、出店の日数、自治体の運用によって異なります。
この記事で、必要な手続きを一律に言い切ることはできません。
主催者も出店者も、管轄の保健所に確認するのが、いちばん確実です。
主催者に確認を求める自治体の手引きがある
埼玉県の狭山保健所が公表している、イベント主催者向けの手引き(令和5年8月15日版)には、次の記載があります。
「食品等事業者の出店については、イベント主催者側で、営業許可書の写しの保管及びその内容の確認をお願いします」。
この手引きでは、臨時の出店の扱いになる場合に、「行事主催者がその食品提供の責任及び指導監督が可能なもの」であることも条件の1つに挙げています。
つまり、食品を扱う出店者を募るとき、主催者が出店者の許可の状況を把握しておく必要がある地域もあるということです。
手引きの内容は埼玉県のものなので、自分の地域では、管轄の保健所の案内を確かめます。
出店者の一覧に、食品の出店かどうかを書く
来場者にとっても、食品の出店者が誰かは、行くかどうかを決める材料になります。
一覧に「食品」「雑貨」「苗や花」と分類を付けておくと、来る人が買いたい物を探しやすくなります。
主催者にとっても、食品の出店者を一覧の上で区別しておくと、保健所への相談や、当日の確認の漏れが減ります。
分類は、出店の申込書の品目欄から写せば、手間がほとんど増えません。
申込書の品目欄が「その他」だけの出店者には、開催の前に一度、何を並べるのかを聞いておきます。
| 確かめること | 誰が行うか | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 食品を提供する出店者がいるか | 主催者 | 出店の申込書の品目欄 |
| 必要な許可や届出の種類 | 主催者と出店者 | 管轄の保健所の案内 |
| 許可書の写しの保管 | 主催者 | 開催前の出店者とのやり取り |
| 当日の掲示や衛生の注意 | 出店者 | 保健所の手引きと開催要項 |
迷ったら、開催の計画段階で保健所に相談する
保健所への相談は、出店者を募集する前の、計画の段階が最も動きやすい時期です。
募集を始めてから出店者の品目が変わると、手続きの案内も組み直しになります。
開催の日が決まったら、食品の出店を受け入れる範囲をどこまでにするかを、最初に決めておきます。
その範囲を募集ページに書いておけば、出店者も申し込む前に自分の品が対象かどうかを判断できます。
今日やっているか、誰がいるか、何が買えるかを、1枚にそろえる
ここからが、集客を直す具体的な手順です。
マルシェでまず直すのは、来る前の人が見つける情報の置き場所と、その中身です。
投稿の数や、出店者の数は、その後に考えます。
出店者の一覧を、開催のたびに1枚作る
最初の作業は、開催ごとの出店者の一覧を1枚作ることです。
店の名前、売る物、食品かどうかの分類を、1行ずつ並べます。
この1枚が、投稿、地図検索の案内、現地の看板、チラシの元になります。
元になる紙を1つにしておけば、変更があったときも1か所を直すだけで済みます。
一覧に載せる項目を決める
載せる項目は、来る前の人の3つの問いに合わせて決めます。
開催の日時と場所、今日やっているかを示す一言、出店者の名前と売る物の一覧、雨の日の扱いです。
出店者のこだわりや来歴は、一覧の後ろに別の項目として置きます。
先頭に置くのは、来る人が行くかどうかを決めるための情報だけです。
| 載せる項目 | 答える問い | 書き方の目安 |
|---|---|---|
| 開催の日時と場所 | いつ、どこに行けばいいか | 駅や目印からの行き方を1行添える |
| 今日の開催の有無 | 今日やっているか | 開催か中止かを、朝に一言で更新する |
| 出店者の名前と売る物 | 誰がいて、何が買えるか | 店名と品目を1行で並べる |
| 食品の出店の分類 | 食べ物は買えるか | 食品、雑貨、花や苗などに分ける |
| 雨の日の扱い | 雨でもやっているか | 判断の時刻と知らせる場所を書く |
一覧を置く3か所を決める
一覧は、置く場所を最初に決めて、増やしません。
1か所目は、投稿のプロフィールの最初の画面に固定する画像です。
2か所目は、地図検索の事業者情報の説明欄で、営業の情報を載せる場所があれば、そこに開催日と一覧へのリンクを書きます。
3か所目は、現地の看板と、近所に貼る紙です。
この3か所が同じ内容であれば、どこから来た人にも、同じ答えが届きます。
一覧を出すタイミングを、2回に分ける
顔ぶれが固まった開催の1週間前に、1回目を出します。
前日に、変更があった部分を直して、2回目を出します。
1週間前の一覧は、予定に入れてもらうためのものです。
前日の一覧は、行くかどうかを最終的に決める人のためのものです。
会場のこだわりを後ろに下げて、来る人の問いに先に答える
マルシェを開く人には、場への思いがあります。
地元の生産者を応援したい、ものづくりをする人を増やしたい、街に朝の風景を作りたい。
その思いは大切ですが、告知の先頭に置くと、来る人の問いに答えるのが遅くなります。
思いは、一覧の後ろに置いて、読みたい人にだけ届けます。
会場の自慢を後ろに下げて、来る人が知りたいことに先に答える。
その考え方が「売れるサイトはみな謙虚」です。
当日ふらっと来る人に向けて、現地で見せるもの
通りがかりの人には、画面の中の告知は届いていません。
その人たちを足止めするのは、現地で目に入る情報です。
入口の看板に書く3つのこと
入口の看板には、今日が開催日であること、何を売る市なのか、何時までかを書きます。
遠くから読める大きさの字で、1文ずつ書きます。
場の名前だけが大きい看板は、通りがかりの人には、何の店かが分かりません。
「朝市 野菜とパンと雑貨 午後3時まで」のように、品目が見える言葉を選びます。
一覧を現地にも貼る
投稿に出した一覧と同じ紙を、入口に貼ります。
来た人が、一覧を見ながら歩く順番を決められるようになります。
画面を見ない人にも、同じ答えが届きます。
特に年配の来場者には、紙の一覧が、いちばん分かりやすい案内になります。
出店者のテントの前に、一言を置く
出店者それぞれの机の前にも、立ち止まる理由が必要です。
「今日の新しい品」「試食あります」「この季節だけの品」など、一言だけを紙に書いて、見える位置に置きます。
通りがかりの人は、品を見る前に、その一言を読んで足を止めます。
出店者に、その一言を書く紙と、貼る位置を、主催者が渡しておくと、揃った見た目になります。
音や匂いで足を止める置き方を考える
焼き菓子、コーヒー、焼きたてのパンの香りは、遠くからでも人を引きます。
香りの強い出店者は、入口から少し奥に置くと、人が会場の中まで入ってきます。
音の出るステージは、入口の近くに置くと、通りがかりの人が足を止める目印になります。
会場の配置は、一覧の順番と合わせておくと、迷う人が減ります。
| 現地の場所 | 置くもの | 足を止める人 |
|---|---|---|
| 入口の看板 | 開催日、品目、終わりの時刻 | 通りがかりの人 |
| 入口の一覧 | 出店者の名前と売る物 | 歩く順番を決めたい人 |
| 各テントの前 | 今日の一言 | 品を見る前の人 |
| 会場の奥 | 香りの強い出店者 | 中まで歩く人 |
雨の日と、開催の有無の知らせ方
雨の日にやっているかどうかは、来る前の人がいちばん知りたい情報のひとつです。
知らせ方が曖昧だと、来る人も出店者も、当日の朝に迷います。
中止の判断の基準を、募集のときに決めておく
雨の日の扱いは、出店者の募集のときに、基準を書いておきます。
たとえば、前日の何時の時点で天気を確かめるか、どの程度の雨なら実施するか、中止のときに出店料をどう扱うかです。
基準が決まっていないと、当日の朝に主催者が悩み、知らせる時刻が遅くなります。
基準は、細かすぎなくても構いません。
判断する時刻と、知らせる場所の2つが決まっていれば、足ります。
知らせる場所を、1か所にする
開催の有無は、投稿、地図検索、現地、出店者への連絡と、あちこちに出すと、更新の漏れが起きます。
最初に更新する場所を1か所に決め、そこから他の場所へ写します。
投稿のプロフィールの最初の画面に、「今日は開催します」「今日は中止します」という一言を固定しておくと、見る人が迷いません。
前日と当日の朝に、分けて知らせる
天気は前日の夕方に予報を見て、第一報を出します。
当日の朝には、実際の空模様を見て、最終の知らせを出します。
2回に分けると、来る人は前日の時点で心づもりができ、当日の朝には最終の確認だけで済みます。
出店者への連絡と、来場者への知らせを同時に出す
出店者と来場者への連絡の時刻がずれると、出店者が先に知り、来場者に伝わるのが遅れる、という食い違いが起きます。
出店者への連絡と、来場者への知らせは、同じ時刻に、同じ言葉で出します。
出店者に渡した文面を、そのまま来場者向けの文面にもできるように、書き方を揃えておきます。
| 場面 | 知らせる内容 | 知らせる場所 | 時刻の目安 |
|---|---|---|---|
| 前日の夕方 | 天気の見込みと、実施か中止かの第一報 | 固定した画像と出店者への連絡 | 夕方の早い時間 |
| 当日の朝 | 実施か中止かの最終の知らせ | 固定した画像と地図検索の説明欄 | 開場の2時間前 |
| 中止になった場合 | 次の開催日 | 同じ場所 | 中止を決めた直後 |
| 実施の場合 | 雨の日の出店者の顔ぶれ | 固定した画像 | 当日の朝 |
出店している店や生産者が、自分でできること
主催者の準備が整わないマルシェに出店することもあります。
そのとき、出店者の側でできることを、4つにまとめました。
出店前に、主催者へ聞いておくこと
申し込む前に、主催者に確かめておきたいことがあります。
告知はどこまで主催者が行い、出店者にどこまで求められるのか。
出店者の一覧は、いつ、どこに公開されるのか。
雨の日は、いつ、どの方法で、開催の有無が知らされるのか。
この3つの答えが募集ページに書かれていなければ、問い合わせの時点で聞くと、当日の食い違いが減ります。
自分の店の「今日の品ぞろえ」を、前日に1枚出す
店の名前で来る人には、今日どんな品を持っていくのかが、いちばんの来る理由になります。
前日に、写真と品名を1枚にまとめて、自分の投稿に出します。
数量が限られる品があれば、先に書いておきます。
常連の方は、その1枚を見て、財布を持って来てくれます。
隣の店と、お互いの出店日を知らせ合う
隣り合った店同士で、相手の出店日を自分の投稿で紹介し合うと、届く相手が増えます。
異なる品を扱う店同士のほうが、お客さんを取り合わず、気持ちよく紹介できます。
マルシェの会場では、開店の準備中に、次の出店予定を聞いておく。
その一言が、翌月の紹介につながります。
買ってくれた人に、次の出店日を渡す
初めて来た人が買ってくれたら、その場で、次に会える日を渡します。
名刺の裏、紙袋に貼るシール、小さなカードなど、何でも構いません。
書くのは、次の出店日と、投稿の名前だけで足ります。
マルシェは次の開催まで間が空くので、渡した紙が、再会までの橋になります。
| 出店者の場面 | できること | 渡す物 |
|---|---|---|
| 申し込む前 | 告知の分担と雨の日の扱いを聞く | 質問のメッセージ |
| 出店の前日 | 今日の品ぞろえを1枚出す | 写真と品名の画像 |
| 当日の準備中 | 隣の店と出店日を教え合う | 次の出店予定の紙 |
| 買ってもらった後 | 次の出店日を渡す | 小さなカード |
次の開催に来てもらう、リピートの作り方
マルシェの集客は、初めて来る人を増やすことと、一度来た人にもう一度来てもらうことの2つで成り立っています。
後者は、前者より手間がかからず、効果が出やすい場合が多いものです。
次の開催日を、当日のうちに渡す
来場者が帰る前に、次の開催日が分かるようにします。
出口の近くに、次回の日付と、顔ぶれを告知する場所を書いた紙を貼ります。
袋や、買った人に渡す紙にも、次の日付を入れておきます。
その場で知れば、スマートフォンの予定に入れてもらえます。
次回の顔ぶれを、少しだけ予告する
次回の出店者が決まっている部分は、開催が終わった直後に、少しだけ予告します。
全部の顔ぶれを出さなくても、「次回は焼きたてのパンの店が初めて来ます」と一言あれば、足が向く理由になります。
この予告が、1週間前に出す本番の一覧までの間、期待をつなぎます。
感想を受け取る窓口を作る
冒頭の相談の投稿者は、不満を主催者に伝えず、匿名の場に書き込みました。
主催者の窓口が見えていれば、その場で伝えられたかもしれません。
出店者にも来場者にも、短い感想を書ける用紙か、メッセージの窓口を用意します。
書かれた感想を読めば、人の少なかった時間帯や、分かりにくかった案内が見えてきます。
開催日を、決まった曜日に揃える
毎月、第2日曜、というように、開催日を固定すると、覚えやすくなります。
日付が毎回変わるマルシェより、曜日が固定されたマルシェのほうが、来場者の習慣になりやすい。
固定できない事情があれば、年間の日程を最初に出しておきます。
| リピートの工夫 | やること | 効果が出るまで |
|---|---|---|
| 次回の日付を渡す | 出口の掲示と、袋への印刷 | 次の開催 |
| 顔ぶれの予告 | 終了直後に一言だけ出す | 1週間後の本番 |
| 感想の窓口 | 用紙かメッセージの宛先を置く | 開催後の振り返り |
| 開催日の固定 | 曜日を揃え、年間の日程を出す | 数回の開催後 |
開き方ごとの、一覧の置き方
マルシェといっても、開き方によって、来る人も、見せるべき情報の重みも変わります。
自分のマルシェに近い開き方を見て、最初に整える場所を決めます。
手づくり市は、作り手の顔ぶれと作風を見せる
作り手が中心の手づくり市では、出店者の作風が、来る人の判断材料です。
一覧には、店名のほかに、作品の写真を1枚ずつ並べます。
目当ての作家がいる人は、その写真で、行くかどうかを決めます。
ファーマーズマーケットは、旬の品と数量の目安を見せる
生産者が出るマーケットでは、旬の品が来る理由になります。
前日に、今日並ぶ野菜や果物の名前を一覧に書いておくと、買い物の計画が立てやすくなります。
数量が限られる品は、早い時間に売り切れることを、先に書いておきます。
商店街のマルシェは、近所の年配の来場者を忘れない
商店街の開催では、近所の年配の方が、大切な来場者になります。
先ほどの総務省の数字のとおり、70代以上ではSNSを使わない人の割合が上がります。
紙の掲示と、店先の看板を、投稿と同じ内容で出しておきます。
公園やカフェの庭の小さな市は、通りがかりを入口で受け止める
小さな会場で開く市は、会場の外を通る人が、主な来場者になることがあります。
道に面した側の看板に、開催日と品目を書き、会場の入口を分かりやすくします。
出店者が数店でも、一覧を入口に貼ると、「何をやっているのか」が一目で伝わります。
| 開き方 | 来る人の特徴 | 最初に整える場所 |
|---|---|---|
| 手づくり市 | 目当ての作家がいる人 | 作品の写真つきの一覧 |
| ファーマーズマーケット | 旬の品を買いに来る人 | 前日の品目の一覧 |
| 商店街のマルシェ | 近所の年配の方 | 紙の掲示と店先の看板 |
| 公園やカフェの庭の市 | 通りがかりの人 | 道に面した看板と入口の一覧 |
よくある質問
Q. 初めて出店して客が少なかったとき、主催者に何を伝えればいいですか?
感想として、時間帯ごとの人の動きと、事前の案内で分かりにくかった点を伝えます。
次回の改善に使える材料として書くと、主催者も受け取りやすくなります。
あわせて、告知の分担と、出店者の一覧の公開時期を、次回の前に教えてほしいと頼みます。
Q. 出店者にSNSでの告知を頼むとき、どこまで頼んでいいですか?
出店者が自分の出店日を、自分の投稿で一度知らせる、くらいが無理のない範囲です。
主催者が画像と文面を用意して渡すと、出店者の負担が軽くなります。
告知の分担を募集のときに書いておけば、出店後の食い違いも起きにくくなります。
Q. 雨の日は、中止にしたほうがいいですか?
実施か中止かは、会場の屋根の有無、出店者の品、安全面を見て、主催者が決めます。
どちらにするかより先に、判断する時刻と、知らせる場所を決めておくことが大切です。
募集のときに基準を書いておけば、当日の朝に迷いません。
Q. 食品の出店者を受け入れるとき、何を確かめますか?
出店者の品目と、必要になる許可や届出の種類を、開催の前に確かめます。
扱いは地域によって違うので、管轄の保健所に確認します。
自治体によっては、主催者が出店者の許可書の写しを確認する手引きもあります。
Q. 小さなマルシェで、何から整えればいいですか?
出店者の一覧を1枚作り、プロフィールの最初の画面に固定することから始めます。
次に、入口の看板に開催日と品目を書きます。
この2つだけでも、来る前の人と通りがかりの人の、どちらにも答えが届きます。
まとめ
マルシェの集客は、投稿や出店者の数を増やすだけでは、当日の来場者が安定しません。
来る人の大半は、申込をせずに、当日の朝の気分と、画面で確かめた情報で足を運びます。
総務省の調査によると、スマートフォンを持つ世帯は91.8%ですが、70代のインターネット利用者でSNSを使う人は67.9%にとどまります。
画面の中の告知と、現地の看板や紙の一覧を、同じ内容で両方持つ必要があります。
主催者の集客は場の名前で来る人へ、出店者の集客は店の名前で来る人へと、届ける相手が違います。
その分担は、募集のときに言葉にして渡します。
今日やっているか、誰がいるか、何が買えるか。
この3つの問いに先に答えて、会場の思いは後ろに下げる。
それが「売れるサイトはみな謙虚」の考え方です。
今日できる点検
最後に、今日のうちに自分のマルシェで確かめられることを、表にまとめました。
全部を一度に直す必要はありません。
1つだけ選んで、次の開催までに直します。
| 点検すること | 確かめ方 | 直す場所 |
|---|---|---|
| 次回の開催日と顔ぶれが、1枚にまとまっているか | プロフィールの最初の画面を開く | 固定する画像 |
| 開催の有無を、当日の朝に知らせる場所が決まっているか | 前回の雨の日の知らせを見返す | 知らせる場所と時刻 |
| 入口の看板に、開催日と品目が書いてあるか | 道の反対側から看板を読んでみる | 入口の看板 |
| 紙の一覧が、現地に貼ってあるか | 前回の会場の写真を見る | 入口の一覧 |
| 告知の分担を、出店者に書いて渡しているか | 募集ページを開く | 募集の文面 |
| 食品の出店者の許可を、保健所の案内で確かめたか | 申込書の品目欄を見る | 管轄の保健所への相談 |
| 次の開催日を、帰る人に渡しているか | 出口の掲示を見る | 出口の掲示と袋 |
| 感想を受け取る窓口があるか | 前回の感想の数を数える | 用紙かメッセージの宛先 |
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