月曜日の朝、デイサービスの送迎車が、いつもより2台少ない人数で戻ってきました。
管理者は利用予定表を見ながら、先月の欠席の多さと、新しい利用者の名前が1つも増えていない欄を、黙って見つめています。
定員は決まっているのに、席が埋まらない。
通所介護の事業所を営んでいる方なら、こうした朝に覚えがあるのではないでしょうか。
この記事は、通所介護(デイサービス)を運営している経営者と管理者の方に向けて書いています。
地域密着型通所介護の小さな事業所の方にも、そのまま使える内容にしました。
利用者が集まらず、稼働率が上がらないと悩んでいる方が、最初の1歩を決められるように書いています。
介護施設に入居を考える家族が、施設を選ぶときの集客は、介護施設の集客について書いた記事で扱っています。
デイサービスは、自宅から通って利用する介護サービスで、入居はしません。
そのため、利用が決まるまでの道すじも、決める人の顔ぶれも、入居施設とは違います。
デイサービスの利用は、利用者本人と家族に加えて、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが関わって決まります。
この記事では、チラシの枚数や広告の費用を増やす話はしません。
ケアマネジャーからの紹介と、本人と家族の見学や体験という、2つの経路で、事業所が先に答えておくべき問いを整理します。
あわせて、厚生労働省の統計と、e-Govで公開されている省令の条文のうち、原文で確かめられたものだけを使います。
読み終えたときに、自分の事業所で最初に直す資料が1つ決まっている。
それがこの記事のゴールです。
Q&Aサイトで見かけた、紹介がなければ利用者は来ないのかという相談
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿されたのは2023年の初めで、デイサービスの開設を考えている方からの相談でした。
新しい事業所には、利用者が来ないのではという不安
投稿者は、近いうちに通所介護の事業所を開きたいと考えていました。
ところが、調べるうちに、地域のケアマネジャーは付き合いのある事業所に利用者を紹介することが多いと知ったそうです。
開設したばかりで実績のない事業所には、紹介が回ってこないのではないか。
そう感じて、開設を前にして手が止まってしまった、という内容でした。
回答には、調べることと、選ばれる理由をつくることが書かれていた
この相談には、2つの回答が寄せられていました。
1つ目は、開く前に、その地域の需要と、すでにある事業所の状況をよく調べるようにという助言です。
2つ目は、ケアマネジャーが紹介したくなる理由を事業所の側でつくるという考え方でした。
利用者が通った感想は、やがてケアマネジャーや地域包括支援センターにも伝わります。
評判は、広告よりも、通った人を通して広がっていくという趣旨の回答でした。
相談から読み取れる、3つの課題
この相談は、開設前の方の悩みですが、すでに運営している事業所にもそのまま当てはまります。
読み取れる課題を、次の表に整理しました。
| 相談の中の言葉 | 事業所の課題 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| 付き合いのある事業所に紹介が集まる | 新しい事業所はケアマネジャーに知られていない | 紹介の経路を整える |
| 実績がない | 受け入れの条件や得意な利用者が伝わっていない | 紹介の資料を1枚にまとめる |
| 評判は通った人から広がる | 見学や体験の場で、本人と家族が納得できていない | 見学と体験の場で答える順番を決める |
3つの課題は、どれも広告で解決する話ではありません。
ケアマネジャーと、本人と家族の問いに、事業所が先に答えられているかどうかの話です。
利用者が来ない原因は、新規開設だけの悩みではない
開設したばかりの事業所だけが、紹介に苦労しているわけではありません。
何年も運営している事業所でも、担当のケアマネジャーが替わったり、近くに新しい事業所ができたりすると、紹介の流れは変わります。
通所介護の利用は、3者の合意で決まる
デイサービスの利用は、事業所が決めるものではありません。
要介護の認定を受けた本人と、その家族と、居宅サービス計画を作るケアマネジャーの3者の合意で、利用する事業所が決まります。
事業所の営業は、この3者のうち、ケアマネジャーにも、本人と家族にも届く形でなければ、利用の決定に結びつきません。
| 決める人 | 知りたいこと | 事業所が先に答えること |
|---|---|---|
| 利用者本人 | 行って嫌な思いをしないか、何をして過ごすのか | 1日の流れと、断ってよいこと |
| 家族 | 安全か、送迎はどうなるか、急な変更に応じてくれるか | 送迎の範囲と、連絡の方法 |
| ケアマネジャー | この人の状態に合うか、報告は早いか、空きはあるか | 受け入れの条件と、空き状況 |
紹介を待つだけでは、稼働率は動かない
稼働率が低いとき、まず浮かぶのは、チラシを配ることや、ケアマネジャーのところへ足を運ぶ回数を増やすことでしょう。
けれども、挨拶の回数が増えても、紹介するときに必要な情報がそろっていなければ、ケアマネジャーは紹介の判断ができません。
紹介する側にとって、迷うのは、事業所の熱意よりも、この利用者を安心して任せられるかどうかです。
見学と体験は、紹介のあとにも続く
ケアマネジャーから名前が挙がっても、本人と家族が見学や体験をして、合わないと感じれば、そこで話は終わります。
反対に、紹介がなくても、家族が自分で探して見学に来ることもあります。
紹介と見学は、別々の経路に見えて、じつは同じ1本の線の上にあります。
紹介の資料に書いてあることと、見学で聞く説明と、重要事項の説明が同じなら、安心につながります。
これらの話が食い違っているとき、本人と家族もケアマネジャーも、事業所への信頼を少しずつ減らしていきます。
この記事は、その1本の線をそろえる方法を、順に書いていきます。
紹介がなかった理由は、事業所には届かない
紹介が来ない事業所には、もう1つ見えにくい事情があります。
ケアマネジャーが別の事業所を選んだとき、その理由を事業所に伝えてくれることは、ほとんどありません。
空きがなかったのか、送迎の範囲に入らなかったのか、受け入れの条件が分からなかったのか。
理由が届かないので、事業所は同じ営業を続けるしかなくなります。
だからこそ、紹介の判断に必要な情報を、先に資料へ書いておく価値があります。
この記事で書く、2つの経路
この記事では、紹介の経路と、見学と体験の経路を、次の順で扱います。
| 経路 | 入口にあたる場面 | 事業所が整えるもの |
|---|---|---|
| ケアマネジャーからの紹介 | 紹介の資料、最初の電話、空き状況の連絡 | 紹介の判断に必要な1枚の資料 |
| 本人と家族の見学や体験 | 見学の予約、当日の案内、体験の振り返り | 見学の流れと、重要事項の説明 |
| 2つに共通するもの | 資料と説明の言葉 | 同じ約束を、同じ言葉で伝える |
2つの経路の左側に並ぶ場面は、事業所の側から見ると別々の仕事です。
しかし、受け取る側から見れば、すべて同じ事業所からの話として聞こえています。
そのため、どこか1か所で言葉が違うと、全体の信用が揺らぎます。
広告費を増やす前に確かめること
稼働率が低いと、広告やチラシに費用をかけたくなる気持ちは自然です。
ただ、広告で見学の申込が増えても、見学で聞く説明が紹介の資料と食い違っていれば、契約には進みません。
増やす前に、いまある資料と説明を確かめるほうが、順番として先です。
確かめる場所は、紹介の資料、電話の応対、見学の案内、重要事項の説明の4つです。
この4つに同じ言葉が使われているかどうかが、利用が決まる前の分かれ目になります。
自分の事業所の入口を、先に数えておく
最初の作業は、直近の1年間に利用を始めた人が、どの入口から来たかを数えることです。
ケアマネジャーからの紹介が何人、家族の問い合わせが何人、病院や地域包括支援センターからの案内が何人かを、利用開始の記録から拾います。
数が少なくても構いません。
紹介が多いのに稼働率が低いのなら、空きの伝え方や欠席の対応に課題があります。
紹介が少ないのなら、ケアマネジャーに渡す資料から見直します。
どちらの入口が細いかが分かると、このあとの章のどこから読むかが決まります。
| 数えた結果 | 考えられる状況 | 先に読む章 |
|---|---|---|
| 紹介が少ない | ケアマネジャーに受け入れの条件が伝わっていない | 紹介の資料を1枚にまとめる章 |
| 見学の申込が少ない | 家族が事業所の様子を知る手がかりが少ない | 地図検索と公表システムをそろえる章 |
| 見学のあとに断られる | 説明が食い違っているか、答えが足りない | 見学と体験で答える順番の章 |
公的な数字で見る、通所介護の事業所を取り巻く状況
ここで、デイサービスを取り巻く状況を、公的な統計で確かめておきます。
「近くに事業所が増えた気がする」という感覚だけで動くよりも、数字で規模と変化を知っておくほうが、打ち手の順番を決めやすくなります。
通所介護は24,585事業所、地域密着型通所介護は18,921事業所
厚生労働省の「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、2024年10月1日現在の通所介護の事業所数は24,585事業所でした。
同じ資料で、地域密着型通所介護は18,921事業所と書かれています。
この2つを足すと43,506事業所になります。
足し算はこの記事での計算で、統計の表にある数字ではありません。
全国に、4万を超えるデイサービスがあることになります。
地域によって密度は違いますが、利用者と家族とケアマネジャーが、複数の事業所を見比べる状況は、全国のどこにでもあると考えられます。
5年間で、通所介護はほぼ横ばい、地域密着型通所介護は減っている
同じ資料には、2020年から2024年までの各年10月1日現在の事業所数が載っています。
| 年 | 通所介護 | 地域密着型通所介護 | 居宅介護支援事業所 |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 24,087 | 19,667 | 39,284 |
| 2021年 | 24,428 | 19,578 | 39,047 |
| 2022年 | 24,569 | 19,394 | 38,538 |
| 2023年 | 24,577 | 19,156 | 37,784 |
| 2024年 | 24,585 | 18,921 | 37,258 |
通所介護は、5年で498事業所増えましたが、直近の1年では8事業所の増加にとどまっています。
地域密着型通所介護は、5年で746事業所減りました。
事業所の数は、急に増える段階を過ぎて、落ち着いた状態にあると読めます。
増えもせず、大きく減りもしない状態が続いているので、全国で見れば、すでにある事業所どうしで利用者を分け合っていると考えられます。
居宅介護支援事業所は37,258事業所で、5年で2,026事業所減った
表の右端の列を見てください。
利用者に居宅サービス計画を作る居宅介護支援事業所は、2024年に37,258事業所で、2020年の39,284事業所から2,026事業所減っています。
デイサービスの事業所は、ほぼ同じ数で、紹介の窓口であるケアマネジャーの事業所は減っているのです。
通所介護と地域密着型通所介護の合計43,506事業所は、居宅介護支援事業所の37,258の約1.2倍にあたります。
この割り算も、この記事での計算です。
複数のサービスを提供している事業所は、それぞれに数えられているので、単純な比較ではありません。
それでも、紹介を受ける側の事業所が、紹介する側の事業所より多いという構図は読み取れます。
ケアマネジャーから見れば、紹介の選択肢は多く、そこから選ばれる理由が必要になります。
開設の主体は、営利法人が通所介護で55.0%、地域密着型通所介護で76.6%
同じ資料の開設・経営主体別の表によると、通所介護の事業所のうち、営利法人(会社)が55.0%、社会福祉法人が34.0%でした。
地域密着型通所介護では、営利法人が76.6%、社会福祉法人が12.1%です。
地域密着型通所介護の4分の3は、会社が運営していることになります。
運営主体が違えば、営業や広報への取り組み方も変わることがあるでしょう。
ただ、数字だけでは、広報の力の差までは分かりません。
確かなのは、同じ地域に、同じ程度の規模の事業所が並び、ケアマネジャーも家族も、それぞれの説明を比べているという点です。
数字を自分の地域に置き換える
全国の数字は、地域の状況をそのまま表しているわけではありません。
自分の事業所がある市区町村で、通所介護と地域密着型通所介護の事業所が何か所あるかは、介護サービス情報公表システムで調べられます。
厚生労働省が2012年8月に公表した資料によると、この制度は介護保険法に基づいて2006年4月に始まり、利用者がサービスや事業所を比べて選べるように、都道府県が情報を提供する仕組みです。
資料の公表から年数がたっているため、いま公表されている項目は、実際の画面で確かめてください。
| 確かめること | 確かめる場所 | 見る目的 |
|---|---|---|
| 同じ市区町村の事業所数 | 介護サービス情報公表システム | 比べられる相手の数を知る |
| 自分の事業所の公表内容 | 同じシステムの事業所のページ | 古い情報が残っていないかを見る |
| 近隣の事業所の説明の仕方 | 公表されている基本情報 | 利用定員や営業日の見せ方を知る |
数字が示している、選ばれる理由の必要性
事業所の数がほぼ変わらず、紹介の窓口になる居宅介護支援事業所が減っているのなら、1つのケアマネジャーのところには、複数の事業所からの案内が集まっていると考えられます。
その中で名前が思い出されるのは、受け入れの条件が分かりやすく、連絡が早い事業所です。
派手な宣伝よりも、判断に必要な情報が整っていることのほうが、紹介のときには役に立ちます。
利用者の側から見ても同じです。
見学に行く事業所は、限られた時間で選ぶことになるので、答えが先に書かれている事業所のほうが選びやすくなります。
利用が決まるまでに、事業所が通る5つの場面
数字の次に、利用が決まるまでの道すじを、省令の条文で確かめます。
事業所が通る場面ごとに、事業所が答えておくべきことが見えてきます。
ここで使うのは、e-Govで公開されている、居宅介護支援と通所介護の運営に関する基準です。
場面1 ケアマネジャーが、地域の事業所の情報を利用者に伝える
居宅介護支援の基準である「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号)の第13条第5号には、居宅サービス計画の作成の開始にあたり、地域の事業者のサービスの内容や利用料などの情報を、利用者や家族に適正に提供するという趣旨の定めがあります。
つまり、ケアマネジャーが利用者や家族に話す前提として、事業所の情報が、ケアマネジャーの手元にあることが求められています。
事業所が資料を渡していない場合、その情報は、古いか、足りないままになりがちです。
場面2 本人と家族が、複数の事業所を求められる
同じ基準の第4条第2項には、利用の開始に際して、利用者が複数の事業者を紹介するよう求めることができることを、ケアマネジャーが説明するよう定められています。
さらに第4条第3項では、前の6か月間に作成した居宅サービス計画のうち、通所介護などが位置づけられた割合や、同じ事業者に集中している割合を説明するよう、努めなければならないとされています。
利用者と家族は、複数の候補を見比べて選べる立場にある、ということが条文に書かれています。
場面3 サービス担当者会議で、利用者の状況が共有される
第13条第9号は、ケアマネジャーが、居宅サービス計画の原案に位置づけたサービスの担当者を招集して、サービス担当者会議を開くことを定めています。
この会議で、利用者の状況の共有と、原案の内容についての専門的な意見の聴取が行われます。
通所介護の事業所の担当者は、会議で、受け入れの可否や、過ごし方について、短い言葉で答えられる準備が必要です。
場面4 重要事項の説明に同意をもらう
通所介護の基準は、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)で定められています。
第105条で準用される第8条は、利用の開始に際して、あらかじめ、利用申込者または家族に、運営規程の概要や従業者の勤務の体制などの重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得るよう求めています。
利用を決める前に、文書で説明する場面が、制度の中に用意されているのです。
場面5 通所介護計画で、約束が文書になる
第99条は、通所介護事業所の管理者が、機能訓練などの目標と、具体的なサービスの内容を記した通所介護計画を作ることを定めています。
居宅サービス計画がすでにある場合は、その内容に沿って作ること、利用者や家族に説明して同意を得ること、作成したら利用者に交付することも、同じ条文にあります。
ここまでの5つの場面を、次の表にまとめます。
| 場面 | 主な担当 | 事業所が先に答えておくこと |
|---|---|---|
| 1 情報の提供 | ケアマネジャー | 受け入れの条件と、得意な利用者の姿 |
| 2 複数の事業所の比較 | 本人と家族、ケアマネジャー | 見学や体験ができること、その方法 |
| 3 サービス担当者会議 | ケアマネジャーと担当者 | 受け入れの可否と、過ごし方の案 |
| 4 重要事項の説明 | 事業所 | 営業日、営業時間、利用定員、送迎の範囲 |
| 5 通所介護計画 | 管理者 | 目標と、サービスの具体的な内容 |
5つの場面は、すべて文書や言葉で、事業所の約束を相手に渡す場面です。
そのため、場面ごとに言葉が違うと、本人も家族もケアマネジャーも、どれが本当の約束なのか分からなくなります。
よくある打ち手と、その先に起きること
稼働率が低いとき、多くの事業所が同じ手を打ちます。
どれも間違いではありませんが、先に確かめておくべきことを飛ばすと、手間をかけたわりに、利用につながりません。
チラシの配布を増やす
近隣の家に、チラシを配る。
地域に事業所の名前を知ってもらうには、役に立つ場合があります。
ただ、チラシを見て電話をかけてくる家族は、利用を決めるための条件を、すぐに知りたいと考えています。
そのとき、電話の応対で伝える内容がチラシと違っていたり、担当者によって説明が違ったりすると、問い合わせは見学に進みません。
配る枚数を増やす前に、電話で聞かれることを、先にチラシに書いておきます。
ケアマネジャーへの訪問の回数を増やす
挨拶に回る回数を増やすのも、よく取られる手です。
しかし、ケアマネジャーは、多くの事業所から案内を受け取っていて、1件ずつの訪問に長い時間は割けません。
回数が増えても、渡す資料に、受け入れの条件や空きの状況が書かれていなければ、話は次の機会に持ち越されます。
訪問の回数よりも、短い時間で必要な情報を渡せる資料があるかどうかが、紹介の判断を左右します。
送迎の範囲を広げる
利用者が集まらないと、送迎の範囲を広げて、遠くの利用者を受け入れようとする事業所があります。
通常の事業の実施地域は、運営規程に定める項目の1つです。
通所介護の基準の第100条にも、運営規程に定める事項として、通常の事業の実施地域が挙げられています。
通所介護の基準の第96条第3項には、利用者の選定により、通常の事業の実施地域以外に住む利用者へ行う送迎について、その費用の支払いを利用者から受けられるという定めがあります。
範囲を広げるときの手続きや、費用の扱いは、事業所を指定した都道府県や市町村に確かめてください。
送迎の時間が長くなると、利用者の負担が増えて、通う日数が減ることもあります。
体験の特典を増やす
初回の体験を無料にしたり、特典を付けたりして、利用のきっかけをつくる方法もあります。
体験の費用や、体験中の利用の扱いについて、この記事では、一次資料で確かめられていません。
事業所の判断だけで決めないことが大切です。
確かめられていない内容は、書かないことにしました。
実施する場合は、事業所を指定した自治体に、事前に確かめてください。
特典を大きく見せるよりも、体験の当日に何をして、何を断ってよいかを、先に伝えるほうが、家族の安心につながります。
ホームページや投稿の更新を増やす
ホームページや、SNSの投稿を増やして、事業所の様子を知ってもらう方法です。
更新が増えること自体は、悪いことではありません。
ただ、載せた写真や、書いた紹介文と、見学で見たもの、聞いた説明が違えば、期待を裏切られたと感じる人が出ます。
投稿の数を増やす前に、載せている内容が、いまの運営と合っているかを確かめます。
| 打ち手 | 起きやすいこと | 先に確かめること |
|---|---|---|
| チラシを増やす | 電話で聞かれて、説明が食い違う | 電話の応対とチラシの言葉が同じか |
| 訪問の回数を増やす | 資料がなく、判断が次回に延びる | 渡す1枚の資料があるか |
| 送迎の範囲を広げる | 運営規程との整合や、利用者の負担が問題になる | 運営規程の記載と、自治体への確認 |
| 体験の特典を増やす | 条件の取り扱いが曖昧になる | 自治体に確かめた内容を文書にしたか |
| 投稿を増やす | 見学の印象と合わない | いまの運営と投稿の内容が同じか |
打ち手を選ぶ順番
表の左側にある5つの打ち手は、どれも捨てる必要はありません。
順番を変えるだけで、同じ手間でも、結果が変わります。
先に、渡す資料と、電話と見学の説明をそろえます。
そのあとで、チラシや訪問の回数を増やします。
そろえる前に増やすと、食い違いが、増やした数だけ広がってしまいます。
これらの打ち手の共通点は、入口の数を増やす話で、入口の中身を整える話ではないところです。
入口を増やす前に、入口で渡す約束を、1本の線にそろえます。
次の図は、紹介と見学のどちらから入った人も、同じ約束を何度か確かめながら、利用の開始に進む流れを示しています。
図の2つ目の箱にあたる最初の電話は、紹介の資料と同じ言葉で話せているかどうかが、いちばん手前の分かれ目になります。
資料には書いてあるのに、電話で聞くと違う答えが返ってくる。
そのずれが、ケアマネジャーにも家族にも、不信の最初のきっかけになります。
ケアマネジャーと家族に向き合うときの、守るべき決まり
紹介や見学の場面で何を伝えるかを考えるときには、制度の決まりも、あらかじめ確かめておく必要があります。
ここで書くのは、e-Govで公開されている条文のうち、原文で確かめられたものだけです。
ケアマネジャーは、公正中立に行うよう定められている
居宅介護支援の基準の第1条の2第3項には、指定居宅介護支援の提供にあたって、利用者の意思と人格を尊重し、常に利用者の立場に立って、サービスが特定の種類や特定の事業者に不当に偏らないよう、公正中立に行わなければならないという定めがあります。
つまり、ケアマネジャーは、特定の事業所を優先して紹介する立場にはありません。
事業所の側も、紹介を頼み込む営業より、判断に必要な情報を渡す営業のほうが、制度の考え方に合います。
介護保険法は、利用者の選択に基づくと定めている
介護保険法の第2条第3項には、保険給付は、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービスと福祉サービスが、多様な事業者や施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない、と書かれています。
選ぶのは、本人と家族です。
事業所が、選ばれる側として、選ぶために必要な情報を渡す、という立ち位置が条文と合っています。
紹介の見返りに、金品を渡してはいけない
居宅介護支援の基準の第25条第3項には、居宅サービス計画の作成や変更に関して、利用者に特定の事業者のサービスを利用させることの対価として、事業者から金品その他の財産上の利益を受け取ってはならない、という定めがあります。
通所介護の側にも、同じ趣旨の定めがあります。
通所介護の基準の第105条が準用する第35条は、居宅介護支援事業者やその従業者に対して、利用者に特定の事業者のサービスを利用させることの対価として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない、としています。
地域密着型通所介護でも、同じ内容の条文が準用されています。
紹介の見返りを考えるよりも、紹介の判断に必要な情報を渡すことに、力を使います。
広告は、虚偽や誇大であってはいけない
通所介護の基準の第34条は、事業所について広告をする場合に、その内容が虚偽または誇大なものであってはならないと定めています。
第105条で通所介護に準用されており、地域密着型通所介護にも同じ趣旨の条文が準用されています。
「必ず機能が回復する」「地域で1番」のような言い切りは、誇大と受け取られるおそれがあります。
事業所が確かめられる事実として、利用定員、営業日、送迎の範囲、スタッフの資格を、そのまま書くほうが安全です。
利用者の情報は、同意を得て扱う
通所介護の基準の第33条(第105条で準用)には、事業所の従業者が、正当な理由なく、業務上知った利用者や家族の秘密を漏らしてはならないという定めがあります。
同じ条の第3項には、サービス担当者会議などで、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の、家族の個人情報を用いる場合は家族の同意を、あらかじめ文書で得ておくことも書かれています。
紹介を受けるときに、ケアマネジャーから利用者の情報を受け取る場面や、見学の記録を残す場面では、この決まりを守ります。
見学や体験の案内でも、家族の話を聞き取ったメモを、どのように保管するかを決めておくと、安心して相談してもらえます。
個別の判断は、指定を受けた自治体に確かめる
この章で紹介した条文は、制度の大枠を知るためのものです。
事業所の種類や地域の取り扱いで、細かい運用は変わることがあります。
迷ったときは、事業所を指定した都道府県や市町村の窓口に、書面で確かめてください。
| 決まり | 出典の条文 | 事業所の行動 |
|---|---|---|
| 公正中立 | 居宅介護支援の基準 第1条の2第3項 | 頼み込まず、判断の材料を渡す |
| 利用者の選択 | 介護保険法 第2条第3項 | 選ぶために必要な情報を書く |
| 利益供与の禁止 | 居宅介護支援の基準 第25条第3項、通所介護の基準 第35条(準用) | 金品を紹介の見返りにしない |
| 広告の制限 | 通所介護の基準 第34条(準用) | 言い切りを避け、事実を書く |
| 重要事項の説明 | 通所介護の基準 第8条(準用) | 文書で説明し、同意を得る |
紹介と見学の答えを1枚にまとめて、1本の線にそろえる
ここからが、この記事の中心です。
紹介の資料、最初の電話、見学の案内、重要事項の説明に、同じ答えを置くために、まず答えを1枚の紙にまとめます。
紹介の資料を1枚にまとめる
ケアマネジャーに渡す資料は、1枚にまとめます。
1枚にする理由は、ケアマネジャーが、多くの事業所の資料を見比べるときに、1つの資料に使える時間には限りがあるためです。
書く項目は、事業所の運営規程にすでにある内容から選びます。
通所介護の基準の第100条は、運営規程に、営業日と営業時間、利用定員、サービスの内容と費用、通常の事業の実施地域、サービス利用にあたっての留意事項、緊急時の対応方法などを定めるよう求めています。
その内容をもとに、ケアマネジャーが知りたいことを、先に書いておきます。
| 項目 | 書く内容 | 書くときの注意 |
|---|---|---|
| 営業日と営業時間 | 曜日と時間 | 運営規程と同じ言葉にする |
| 利用定員 | 1日の定員 | 運営規程と同じ数にする |
| 送迎の範囲 | 通常の事業の実施地域 | 町名まで書く |
| 受け入れの目安 | 受け入れられる状態と、相談が必要な状態 | 相談の入口として書く |
| 1日の流れ | 到着から帰りまでの時間割 | 入浴や食事の有無も書く |
| 緊急時の対応 | 連絡の順番 | 運営規程の記載と合わせる |
| 連絡の窓口 | 担当者名と、つながる時間 | 電話の時間帯を書く |
書き終えたら、運営規程と1行ずつ見比べて、食い違いがないかを確かめます。
空き状況は、日付を入れて伝える
紹介の判断で、ケアマネジャーがいちばん知りたいのは、いつから利用できるかです。
空き状況は、「空きあり」だけでは足りません。
曜日ごとの空きと、更新した日付を、一緒に書きます。
古い情報のまま紹介の話が進むと、利用の開始の直前に、定員がいっぱいだったと分かって、ケアマネジャーも家族も困ります。
通所介護の基準の第102条は、利用定員を超えて通所介護を提供してはならないと定めています。
災害など、やむを得ない事情がある場合を除いて、定員を超えた受け入れはできません。
そのため、空きの情報は、定員の範囲で、正確に伝えます。
最初の電話は、紹介の資料と同じ言葉で受ける
電話に出る人が、事業所で何を約束しているかを、同じ言葉で話せるようにしておきます。
最初の電話で聞かれることは、おおむね決まっています。
次の5つの問いには、紹介の資料と同じ言葉で答えられるようにします。
- いつ、何曜日に空いているか
- 送迎は、家のどこまで来てもらえるか
- 入浴や食事はあるか
- 家族が、見学や体験をするには、どうすればよいか
- 急に休むときは、いつまでに、誰に連絡すればよいか
電話を受けるたびに言い方が変わると、聞いた人は、事業所の説明がばらばらだと感じます。
サービス担当者会議で答えることを、先にメモにする
居宅介護支援の基準の第13条第9号にあるサービス担当者会議では、事業所の担当者に、利用者の状況に応じた意見が求められます。
会議の場で慌てないように、受け入れの可否、過ごし方の案、気をつけてほしいことの3点を、短いメモにしておきます。
通所介護の側から先に、利用者の1日の様子を想像して話せると、ケアマネジャーも、本人と家族に伝えやすくなります。
利用が始まったあとの様子を、紹介した人に返す
紹介の資料は、利用が始まったら役目を終えるわけではありません。
居宅介護支援の基準の第13条第13号は、居宅サービス計画の作成後も、ケアマネジャーが実施状況の把握を続け、必要に応じて、事業者との連絡調整を行うと定めています。
通所介護の側にも、事故が発生した場合に、居宅介護支援事業者などへ連絡することを定めた第104条の3があります。
利用者が居宅サービス計画の変更を希望したときに、居宅介護支援事業者へ連絡する援助を行うことも、準用される第17条に書かれています。
| 場面 | 事業所がすること | 根拠にあたる条文 |
|---|---|---|
| 利用が始まったあと | 様子を定期的に伝える | 居宅介護支援の基準 第13条第13号(ケアマネジャーの把握に応じる) |
| 本人が計画の変更を希望したとき | 居宅介護支援事業者へ連絡する | 通所介護の基準 第17条(準用) |
| 事故があったとき | 市町村、家族、居宅介護支援事業者などへ連絡する | 通所介護の基準 第104条の3 |
報告が早く、内容が具体的な事業所は、ケアマネジャーから見て、次の利用者も任せやすい事業所になります。
事業所の種類ごとの、答えの置き場所
事業所の種類によって、制度の中で用意されている入口が違います。
自分の事業所に合う置き場所を確かめます。
通所介護は、運営規程の言葉をそのまま使う
通所介護の事業所は、紹介の資料と、重要事項の説明と、ホームページの説明を、運営規程の言葉に合わせます。
運営規程の言葉は、指定を受けたときに、自治体に出した内容でもあります。
別の言葉に言い換えるたびに、違う約束に見えてしまいます。
地域密着型通所介護は、運営推進会議を入口にする
地域密着型通所介護には、通所介護にない決まりがあります。
地域密着型サービスの基準(平成18年厚生労働省令第34号)の第34条は、利用者、家族、地域住民の代表者、市町村の職員や地域包括支援センターの職員などで構成する運営推進会議を設け、おおむね6月に1回以上、活動状況を報告し、評価や助言を聴く機会を持つよう定めています。
また、会議の報告や評価、助言の記録を作り、公表することも定められています。
この会議は、地域の人に、事業所の様子を知ってもらう入口にもなります。
会議で出た質問は、そのまま、見学の案内で先に答えておく内容として使えます。
認知症の方を受け入れる事業所は、体制を具体的に書く
通所介護の基準の第98条第6号には、認知症の要介護者に対しては、必要に応じて、その特性に対応したサービスを提供できる体制を整えることが書かれています。
認知症の方を受け入れている事業所は、その体制を、資料と見学の説明で、具体的に書いて話します。
「認知症の方も歓迎します」とだけ書くよりも、1日の過ごし方や、職員の関わり方を書くほうが、ケアマネジャーも家族も、状態に合うかどうかを判断しやすくなります。
本人と家族が見学や体験で確かめること
紹介を受けた本人と家族は、見学や体験で、事業所を見て、決めます。
ここでの答え方が、利用を決める最後の分かれ目になります。
見学の予約の電話で、聞かれることを先に伝える
見学を申し込む電話では、見学の所要時間、持ち物、同行できる人数を、先に伝えます。
本人と家族は、どんな服装で行けばよいか、見学でどこまで見せてもらえるかを、聞きにくいことがあります。
そのため、聞かれる前に、案内しておくと、当日の緊張が和らぎます。
当日の案内は、本人に話しかけることから始める
見学の日は、家族への説明が中心になりがちですが、通う本人にも、話しかけます。
本人が、何を楽しみにしていて、何を心配しているかを聞くと、家族が気づかなかった要望が出ることもあります。
本人が納得していない利用は、続きにくいからです。
体験の1日の流れを、先に渡す
体験の日が決まったら、その日の流れを、1枚の紙で渡します。
迎えの時間、到着してからの過ごし方、昼食、入浴の有無、帰りの時間を書きます。
本人にも家族にも、先が見えると、安心して参加できます。
体験のあとに、見たことをそのまま伝える
体験が終わったら、家族に、当日の様子をそのまま伝えます。
何をして過ごしたか、どんな話をしたか、疲れた様子はなかったか。
良かった点だけでなく、気になった点も、事実として伝えると、家族は、事業所を信頼しやすくなります。
利用に至らなかったときは、理由を聞いて資料に戻す
見学や体験のあとに、利用に至らなかった場合も、そのまま終わらせません。
家族の都合を押しつけない形で、気になった点があったかを聞き、答えてもらえた内容は、紹介の資料や案内の言葉に戻して書き直します。
送迎の時間が合わなかったのか、本人が環境に慣れにくかったのか、説明で分からないことがあったのか。
理由が分かれば、次に同じ質問をされたときに、先に答えを渡せます。
聞き取りの内容は、利用者の個人情報にあたるため、前の章で書いた同意の決まりを守って扱います。
事業所の自慢を、本人と家族の問いのあとに置く
ここまでの話に共通するのは、事業所の自慢を後ろに下げて、ケアマネジャーと、本人と家族が知りたいことを先に置く考え方です。
私たちはこれを「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいます。
事業所の歴史や、設備の新しさ、スタッフの人数は、相手の問いに答えたあとに、短く添える形にします。
問いに先に答えた事業所は、読まれたあとに、見学や紹介へ進みやすくなります。
地図検索と公表システムと自社の資料を、そろえる
紹介の資料と電話と見学の説明をそろえたら、次は、家族やケアマネジャーが、事業所の名前で検索したときに見る場所を確かめます。
どこで見ても同じ内容が出てくるように、元になる情報を1つに決めて、そこから合わせていきます。
地図検索の営業日と時間を、運営規程と同じにする
事業所の名前で検索すると、地図に営業日と営業時間が出てきます。
その内容が、運営規程や紹介の資料と違っていると、見学の予約の電話で、聞き違いが起きます。
祝日の営業や、年末年始の休みも、あわせて見直します。
地図検索の情報を直すときは、紹介の資料を元にして、そこに合わせます。
介護サービス情報公表システムの内容を見直す
厚生労働省が2012年8月に公表した資料によると、介護サービス情報公表制度では、毎年1回、各事業所が直近の事業所情報を都道府県に報告し、都道府県が内容を審査して、インターネットに掲載します。
公表される内容は、事業所の名称や所在地、従業者に関すること、提供するサービスの内容、利用料などの基本情報と、運営情報に分かれていると、同じ資料に書かれています。
家族やケアマネジャーが事業所を比べるときに見る場所でもあるため、古い情報が残っていないかを確かめます。
報告の時期や項目は、見直しがあった可能性があるため、都道府県の案内で最新の内容を確認してください。
重要事項は、ホームページにも載せる
通所介護の基準の第32条(第105条で準用)の第3項には、原則として、重要事項をウェブサイトに掲載しなければならないという定めがあります。
2024年4月に施行された省令の附則には、この規定について、令和7(2025)年3月31日までの経過措置が書かれています。
いまの時点では、その期限は過ぎていますので、載せていない事業所は、早めに確かめておきます。
自分の事業所の扱いは、事業所を指定した自治体に確かめてください。
ホームページに載せるときは、運営規程の概要と、従業者の勤務の体制を、紹介の資料と同じ言葉で書きます。
家族の声には、次に見る人への案内として答える
口コミや、家族からの声に返事をする機会があるときは、その人だけでなく、次にそのページを見る人に向けて書きます。
良い声には、感謝と、どんな工夫をしているかを短く書きます。
厳しい声には、事実の確認と、改善した内容を書きます。
個人が特定される内容や、利用者の情報は書きません。
| 場所 | 点検すること | そろえる元 |
|---|---|---|
| 地図検索 | 営業日、営業時間、電話番号 | 運営規程 |
| 介護サービス情報公表システム | 事業所の基本情報と運営情報 | 運営規程と紹介の資料 |
| 自社のホームページ | 重要事項の掲載と、更新日 | 運営規程の概要 |
| 紹介の資料 | 空き状況の日付と、連絡先 | 運営規程と、最新の空き |
| 見学の案内 | 所要時間、持ち物、流れ | 実際の見学の進め方 |
見直しの時期を、毎月、半年、1年に分ける
資料や説明は、1度そろえても、時間がたつと、古くなります。
見直す頻度を分けておくと、忙しい時期でも続けられます。
毎月は、空き状況と連絡先を更新する
毎月のはじめに、紹介の資料の空き状況と、更新した日付を入れ替えます。
担当者が替わったときや、電話の受付時間が変わったときも、その日のうちに直します。
小さな更新を忘れないことが、紹介の判断の信頼につながります。
半年に1回は、運営推進会議の質問を資料に戻す
地域密着型通所介護の事業所は、おおむね6月に1回以上、運営推進会議を開きます。
会議で出た質問や助言を、紹介の資料と見学の案内に戻して、答えを書き足します。
会議の記録は公表する決まりですので、公表した内容と、資料の言葉が合っているかも、あわせて確かめます。
通所介護の事業所も、地域の人や家族から出た質問があれば、同じように資料へ反映できます。
年に1回は、運営規程と全資料を読み合わせる
年に1回、運営規程、紹介の資料、見学の案内、ホームページ、公表システムの内容を、担当者全員で読み合わせます。
営業日、利用定員、送迎の範囲、費用の説明が、すべて同じ言葉になっているかを、1行ずつ見ます。
食い違いが見つかったら、運営規程を元にして直します。
運営規程を変える場合は、自治体への手続きが必要になることがあるため、事前に確かめてください。
よくある質問
Q. 新しく開いた事業所は、ケアマネジャーにどう知ってもらえばよいですか?
まず、受け入れの条件と空き状況を書いた1枚の資料を作ります。
そのうえで、資料を渡す時間を短く決めて、居宅介護支援事業所を訪ねます。
ケアマネジャーは、公正中立に紹介する立場にありますので、頼み込むよりも、判断に必要な情報を渡す形が、制度の考え方に合います。
開設したばかりで実績が少ないときは、受け入れの条件を具体的に書くことが、実績の代わりに、安心を渡す手がかりになります。
利用が始まった人の様子を、早く、具体的に返す約束も、資料に書いておきます。
Q. ケアマネジャーに、お礼の品を渡してもよいですか?
紹介の見返りとして、金品その他の財産上の利益を渡すことは、通所介護の基準の第35条(準用)で禁じられています。
挨拶の品などをどう扱うかは、事業所を指定した自治体に、書面で確かめてください。
判断に迷う場合は、渡さないという選択が、いちばん安全です。
Q. 見学の申込が少ないとき、まず何から見直せばよいですか?
地図検索と、公表システムと、ホームページの内容が、運営規程と同じかどうかを確かめます。
家族は、見学を申し込む前に、これらの場所で事業所を調べます。
営業日や、送迎の範囲が違っていれば、申込の前に離れてしまいます。
Q. 体験の費用や、体験中の利用の扱いは、どうなっていますか?
この記事では、一次資料で確かめられていないため、扱いを書きません。
事業所を指定した都道府県や市町村に、事前に書面で確かめてください。
確かめた内容は、体験の案内にそのまま書き、本人にも家族にも、同じ言葉で伝えます。
Q. 小さな事業所で、何から整えればよいですか?
紹介の資料1枚から始めます。
運営規程を開き、営業日、営業時間、利用定員、送迎の範囲を書き写して、空き状況の日付を入れます。
次に、電話で聞かれる5つの問いに、同じ言葉で答える練習をします。
そのあとで、地図検索やホームページへ、広げていきます。
まとめ
デイサービスの集客は、紹介の経路と、本人と家族の見学や体験の経路で、同じ約束を同じ言葉で伝えられるかどうかで決まります。
厚生労働省の統計では、2024年10月1日現在、通所介護は24,585事業所、地域密着型通所介護は18,921事業所でした。
一方、居宅介護支援事業所は37,258事業所で、2020年から2,026事業所減っています。
選ぶ側の選択肢は多く、事業所には、選ばれるための情報が必要です。
利用が決まるまでには、情報の提供、複数の事業所の比較、サービス担当者会議、重要事項の説明、通所介護計画という5つの場面があります。
そのすべてで、運営規程と同じ言葉を使います。
ケアマネジャーには、紹介の判断に必要な情報を渡し、金品を見返りにしません。
広告は、虚偽や誇大にならないよう、確かめられる事実だけを書きます。
事業所の自慢を後ろに下げて、ケアマネジャーと本人と家族が知りたいことに先に答える。
その考え方が「売れるサイトはみな謙虚」です。
今日できる点検
次の表の項目を、今日、1つずつ見てください。
| 点検する場所 | 見ること | 見つけたときの方向 |
|---|---|---|
| 紹介の資料 | 営業日、利用定員、送迎の範囲が運営規程と同じか | 運営規程の言葉に直す |
| 空き状況 | 曜日ごとの空きと、更新した日付があるか | 日付を入れて、毎月入れ替える |
| 電話の応対 | 5つの問いに、同じ言葉で答えられるか | 答えを書いたメモを置く |
| 見学の案内 | 所要時間、持ち物、流れを先に伝えているか | 予約の電話で伝える |
| 体験の案内 | 1日の流れを紙で渡しているか | 1枚の紙にまとめる |
| 地図検索と公表システム | 営業日と時間が運営規程と同じか | 今日のうちにそろえる |
| ホームページ | 重要事項が載っていて、更新日があるか | 運営規程の概要を載せる |
どこから手をつけるか迷ったときは、紹介の資料を開くところから始めてください。
その1枚が、ケアマネジャーにも、本人と家族にも、事業所の約束を渡す、最初の入口になります。
次に、新しい利用者の問い合わせが来る前に、自社の紹介の資料を、初めて受け取るケアマネジャーの目で、上から読んでみてください。
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