自社で「おすすめ◯選」の記事を作って自社を1位にしても、AIに薦められやすくなるとは、いま公開されている研究からは言えません。
自社サイトに置いた記事は「自社の媒体」に数えられ、海外の実験でAIが引用元に選びにくかった側の材料になります。
第三者のサイトに見せかけて出した場合は、ステルスマーケティング規制の対象になりえます。
代わりになるのは、順位を付けない比較を自社サイトに書くことと、第三者が自分の判断で書く言及を増やすことの2つです。
結論:同じ「おすすめ◯選」でも、置き場所で扱いが3つに分かれます
先に全体を表で示します。
誰が書いて、どこに置き、読者にどう見えるかで、AIの扱いも規制との関係も変わります。
置き場所ごとの、AIの扱い・読者の受け取り・規制
| 置き方 | AIの扱い(海外の実験の範囲) | 読者の受け取り(弊社の見方) | 規制との関係 |
|---|---|---|---|
| 自社サイトに置いた自作のランキング | 自社の媒体に数えられる。引用元に占める割合は14.3〜30.9%だった側 | 運営元が1位だと分かった時点で、宣伝として読まれる | 読者に広告だと分かるかどうかで変わる。消費者庁の資料で確かめる |
| 第三者に見せかけた自作のランキング | 見かけは第三者の媒体。AIが見分けているかどうかは確かめられていない | 第三者の評価として受け取られる | 広告であることを隠した表示として、ステルスマーケティング規制の対象になりうる |
| 第三者が自分の判断で書いた言及 | 第三者の媒体に数えられる。引用元に占める割合は69.1〜92.1%だった側 | 書いた人の感想や評価として受け取られる | 個人の感想等の広告でないものは、規制の対象外 |
表の割合は、あとの節で紹介する海外の研究2本の数字です。
右端の列は、消費者庁が公式ページで説明している範囲だけを書いています。
この記事は、やってはいけないLLMO対策を10個まとめた記事の施策4を、1本に広げたものです。
一覧では表1つと数段落で済ませたので、ここでは弊社の実測と、消費者庁の説明と、すでに作ってしまった場合の直し方を足します。
この記事の書き方と、数字の出どころ
この記事では、特定の会社や媒体を名指ししません。
主語にするのは施策で、比較記事を作っている会社の良し悪しは扱いません。
数字の出どころは分けて書きます。
「海外の実験では」と書いた数字は、海外の論文から引いたものです。
「弊社では」と書いたことは、弊社が自分で検索し、自分でAIに聞いて確かめたことです。
お断りしておくと、ここで引く論文は英語と海外の検証が中心で、日本語の質問で同じ数字になるとは言えません。
この記事の「代わりにやること」を行えばAIに薦められる、という約束もできません。
論文は弊社が1本ずつ日本語で解説しており、解説の一覧から原文の情報までたどれます。
LLMO対策という言葉そのものの説明は、LLMO対策とは何かを書いた記事に分けてあります。
「誰が書いたか」で3つに分けた図と、その読み方
比較やランキングの記事は、見た目では区別がつきません。
区別がつくのは、内容を決めたのが誰か、という1点です。
左の箱と中央の箱は、内容を決めたのがどちらも自社です。
違いは、読者がそのことを知ることができるかどうかにあります。
右の箱は、取引先や利用者や記者が、頼まれた文面でなく自分の言葉で書いたものです。
図の使い方
手元に比較記事の提案があれば、その記事が3つの箱のどれに入るかを先に決めてください。
決めるときに見るのは、記事の体裁でなく、順位と文面を誰が決めるかです。
左の箱なら、この記事の「読者の側で起きること」と「順位を付けない比較」の節が関係します。
中央の箱なら、消費者庁の説明をまとめた節を先に読んでください。
箱の境目で迷う場合
費用を払って外部の媒体に書いてもらう記事は、右の箱に入れたくなります。
消費者庁の説明では、広告には、企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含まれます。
依頼や指示をして書いてもらったものは、この図の右の箱には入りません。
右の箱に入るのは、載せるかどうかも、何を書くかも、書く側が決めた言及だけです。
どんな施策で、なぜ勧められるのか
施策の中身は単純です。
「◯◯のおすすめ会社10選」のような記事を作り、1位に自社を、2位以下に同業の会社を並べます。
提案書での言い方
提案書や見積書では、「比較記事の制作」「ランキング記事によるAI対策」という1行で載っています。
「おすすめ記事の制作」「業界まとめ記事」と書かれることもあり、名前だけでは中身が分かりません。
確かめるのは、記事を置く場所と、1位に載る会社の2点です。
よくある売り文句
「AIはランキング形式の記事を好んで引用します」という説明が付きます。
「AIにおすすめを聞く人は比較記事を読んでいるのと同じなので、そこに自社を載せます」と続くこともあります。
置き場所については、「自社サイトとは別のサイトに載せれば、第三者の評価として扱われます」と説明される場合があります。
| 売り文句 | 前提になっていること | 確かめること |
|---|---|---|
| AIはランキング形式の記事を好んで引用する | 形式が合っていれば、誰が書いたかは問われない | 引用元が第三者の媒体に寄っていた、という海外の実験と合うか |
| 自社が1位の記事があれば、AIも自社を1位に挙げる | AIが記事の順位をそのまま答えに写す | 同じ質問を複数回聞いて、出典と答えが毎回同じか |
| 別のサイトに載せれば第三者の評価になる | 読者にもAIにも、作ったのが自社だと分からない | 広告であることを隠した表示に当たらないか |
| 同業の会社もみな作っている | 数が多い施策は効いている | 作られている数と、AIに薦められた回数は別に数えているか |
4行とも、売り文句そのものが誤りだと言っているのではありません。
前提の列に書いたことが確かめられているかどうかを、次の節から順に見ていきます。
なぜ勧められるのか
勧められる理由には、根拠のある部分があります。
社名を入れない質問でAIに名前を出してもらうのは、社名を入れた質問よりずっと難しいからです。
海外の実験では、製品名を入れて聞くと99.4%の質問で名前が出たのに、名前を伏せてカテゴリで聞くと3.32%だったと報告されています。
新製品の紹介サイトに載った112社を、ChatGPTの小型モデルに英語で聞いた、査読前の論文の数字です。
弊社でも同じ向きの結果が出ています。
2026年10月1日、社名を入れない買い手の質問11問をClaudeに各2回聞いたところ、弊社の名前が出たのは22回中0回でした。
この計測は、弊社のパソコンの作業メモがAIに渡る条件で行っていたことが、2026年10月2日に分かりました。
メモが渡らない条件で同じ日に測り直すと、社名を入れない11問で弊社のページが引用されたのは22回中1回でした。経緯は測り直しの記事に書いています。
社名を入れた2問は、10月1日の記録では4回中4回でしたが、測り直しでは弊社のページが引用されたのは4回中2回でした。
2026年9月30日に「おすすめの会社」を聞く2問を試したときも、弊社の名前が出たのは4回中0回です。
この差を埋めたいという動機は、弊社にもあります。
「おすすめ」を聞かれたときに出る場所を自分で作ってしまおう、という発想が出てくるのは自然なことだと考えています。
確かめたいのは、その場所を自分で作ったときに、AIがそこを選ぶかどうかです。
実測:比較記事を作っているのは誰か
この施策がどれくらい行われているかを、弊社の仕事と同じ分野で確かめました。
読者が比較記事を読むときに、運営元を確かめる材料として出します。
調べ方
2026年10月1日、Googleで「LLMO対策 おすすめ会社」を検索しました。
検索は、Googleにログインしていない状態で行っています。
上位に出た9件を1件ずつ開き、ページの運営元がどこかを確かめました。
見たのは運営者の表示と、掲載の条件が書かれているかどうかです。
結果:9件のうち8件は、同じ仕事をしている会社の記事でした
| 運営元の種類 | 件数 | 読むときに確かめること |
|---|---|---|
| LLMO対策を仕事にしている会社が、自社のサイトで作った記事 | 8件 | 運営元の会社が、一覧の何番目に載っているか |
| 比較メディア(掲載は成果報酬型) | 1件 | 掲載の条件と、広告であることの表示 |
| 合計 | 9件 | 運営元と利害のない書き手の記事は、この9件には見当たらなかった |
8件の中には、運営会社自身を1番目に載せている記事もありました。
弊社は、この9件のどれにも載っていません。
弊社は自作の「おすすめ◯選」を作っていないので、載る場所を自分で用意していない、という言い方もできます。
この実測から言えること、言えないこと
言えるのは、この検索語では、比較記事の書き手がほぼ同業の会社だったということです。
よく行われている施策だ、という事実として受け取ってください。
作っている会社を責める材料にはなりません。
自社のサービスを自社のサイトで紹介するのは、ごく普通の営業活動です。
言えないことも書いておきます。
1日、1つの検索語、1回の検索の結果なので、ほかの業種やほかの日に同じ割合になるとは言えません。
これらの記事がAIの回答でどれだけ引用されているかも、この実測では測っていません。
比較記事を読む側として確かめること
発注先を探して比較記事を読むときは、本文より先に運営者の表示を開いてください。
運営元が一覧の中に入っているなら、その記事は運営元の自己紹介を含んだ資料として読めます。
自己紹介として読めば、載っている会社の特徴を知る材料として十分に使えます。
提案そのものの確かめ方は、LLMO対策の怪しい提案を見分ける記事にまとめました。
研究1:AI検索の引用元は、第三者の媒体に寄っていました
売り文句の1つ目、「形式が合っていれば誰が書いたかは問われない」という前提に関わる研究です。
海外の実験では、AI検索の引用元は第三者の媒体に大きく偏っていたと報告されています。
何を調べた研究か
トロント大学の研究者が、2025年9月に公開した査読前の論文です。
「◯◯のトップ10」のようなランキングを求める質問を1,000問用意し、米国とカナダで、GoogleとAI検索に投げました。
この実験でAI検索として使われたのは、検索機能をつけたChatGPTです。
引用されたサイトは、獲得、自社、ソーシャルの3種類に分けて数えられています。
獲得は第三者の媒体、自社は企業自身が運営する媒体、ソーシャルは利用者が投稿する場を指します。
質問の形が「おすすめ◯選」を求める聞き方に近いので、この記事の題材にそのまま重なります。
結果:5つの行すべてで、AI検索のほうが第三者に寄っていた
| 業種と地域 | AI検索の引用元のうち、第三者の媒体 | AI検索の引用元のうち、自社の媒体 | Googleの上位10件のうち、第三者の媒体 |
|---|---|---|---|
| 家電・カナダ | 77.6% | 22.1% | 54.1% |
| 自動車・カナダ | 69.1% | 30.9% | 40.6% |
| 自動車・米国 | 81.9% | 18.1% | 45.1% |
| ソフトウェア・カナダ | 74.2% | 25.8% | 31.8% |
| ソフトウェア・米国 | 72.7% | 26.7% | 45.4% |
家電・米国の行は、原文の本文に数字の無い項目があるため表から外しました。
その行でも、AI検索の引用元のうち第三者の媒体は92.1%と書かれています。
6つの組み合わせを通して見ると、AI検索の第三者の割合は69.1〜92.1%、Googleは31.8〜54.1%です。
差がいちばん大きかったのはソーシャルで、Googleでは約10〜23%を占めたのに、AI検索ではほぼ0でした。
知名度の高いブランドと低いブランドに分けて、4つのAI検索を比べた別の実験でも、向きは同じでした。
ChatGPTでは第三者の媒体が93.5%と95.1%、Geminiでは63.4%と66.4%で、割合はサービスによって違います。
この研究の限界
査読を経た形跡が無い論文で、データは2025年8月に集められたものです。
論文自身が、数字を恒久的な事実として扱わないよう書いています。
3つの分類は著者が作った枠組みで、振り分けはAIが行いました。
論文は限界の節で「獲得メディアとブランドのブログの境目はあいまいなことがある」と述べています。
日本語は翻訳した質問で試されただけで、日本の中小企業の業種や日本のサイトは対象に入っていません。
謝辞にはGEOを事業にする会社への感謝が書かれているので、結論は少し割り引いて読んでいます。
もう1点、これは引用元を数えた観察です。
第三者に取り上げられたことが原因でAIに選ばれた、という因果までは、この実験では確かめられていません。
研究2:引用元のうち、自社サイトは14.3%でした
研究1はランキングを求める質問の話でした。
こちらは、ブランドについてAIが答えるときに、どのサイトを根拠にしていたかを数えた調査です。
何を調べた研究か
海外の調査では、128ブランドについてAIが引用したサイトのうち、第三者のサイトが85.7%を占めていたと報告されています。
2026年6月に公開された査読前の論文で、対象は北欧・バルト・中東欧の12市場、13言語です。
日本語と日本の市場は、この調査の対象に入っていません。
自社サイトかどうかは、ドメインの名前にブランド名が含まれるか、という機械的な決まりで判定されています。
結果:最も比率が高いブランドでも34.4%
| 数えたもの | 自社サイト | 第三者のサイト |
|---|---|---|
| 引用先が分かる13万1,514件の全体 | 14.3% | 85.7% |
| BtoBの企業のブランド | 13.1% | 86.9% |
| 消費者向けの企業のブランド | 15.7% | 84.3% |
| 自社サイトの比率が最も高かったブランド | 34.4% | 残りの3分の2近く |
| 自社サイトから1件も引用されなかったブランド | 0%(6ブランド) | すべて |
企業向けの商売でも消費者向けの商売でも、自社サイトの割合は13.1%と15.7%で、大きくは変わりません。
128ブランドのうち6ブランドは、自社サイトから1件も引用されていませんでした。
AIの種類で分けると、自社サイトの割合は5.8%、12.9%、16.8%と開きがあります。
引用元はごく一部のドメインに集中していた
同じ調査は、引用元の偏りも数えています。
2万815のドメインのうち、引用の80%は3,778のドメインから来ていました。
全体の18.2%にあたります。
新しく作ったサイトが、この少数の側にすぐ入るとは考えにくい数字です。
ランキングを載せるために新しいサイトを立てる提案を受けたときは、この偏りを思い出してください。
この研究の限界
著者は、AIでのブランドの見え方を分析する道具を作る企業に所属しており、データはその企業が商用に集めたものです。
論文はこの点を開示していますが、自社のデータを自社の研究者が分析した論文であることは変わりません。
集計は自動で行われ、人が1件ずつ確かめた工程はありませんでした。
自社サイトを充実させれば引用が増えるかどうかも、この調査では確かめられていません。
自社サイトに置いた自作のランキングは、どちらに数えられるか
2本の研究を、この記事の題材に当てはめます。
当てはめると、自社の媒体の側に入ります
自社サイトに置いた自作のランキングは、研究1の分類では自社の媒体に入ります。
研究2の判定の決まりでも、ドメインにブランド名が入っていれば自社サイトです。
記事の体裁が比較やランキングであっても、分類は運営元で決まります。
AIが第三者の媒体を選びやすいのだとすれば、自社が自社を1位にした記事は、選ばれにくい側の材料です。
自社サイトの役割が無くなったという話ではありません。
研究1でも、自社の媒体は引用元の2〜3割を占めていました。
購入に近い質問では自社の媒体の割合が上がる、という記述も原文にあります。
ただ、その数字は図にしか載っておらず、本文からは確かめられませんでした。
確かめられていないこと
ここから先は、2本の研究では分かりません。
| 問い | 分かっていること | 分かっていないこと |
|---|---|---|
| 自社サイトのランキングはAIに引用されるか | 自社の媒体は、引用元の14.3〜30.9%だった | ランキングの体裁にすると、その割合が上がるか下がるか |
| 第三者の媒体に載れば引用されるか | 引用元の69.1〜92.1%は第三者の媒体だった | 載ったことが原因で引用された、という因果 |
| AIは、第三者に見せかけたサイトを見分けるか | 研究1の分類はAIがドメイン単位で行った | 作ったのが誰かまで、AIが見ているかどうか |
| 日本語でも同じ割合になるか | 研究1は翻訳した質問だけ、研究2は日本が対象外 | 日本語の質問、日本のサイトでの割合 |
| 1度引用されたら、引用され続けるか | 同じ質問でも出典の重なりは平均で約3〜4割 | 自社の質問で、何回に1回出るか |
2行目は、とくに読み違えやすい所です。
第三者の媒体に載りさえすれば自社が引用される、という所までは示されていません。
3行目も、正直に書いておきます。
第三者に見せかけたサイトをAIが見分けて外している、という研究は、弊社が読んだ範囲では見つかっていません。
見分けられないから効く、という結論にもなりません。
効くかどうかが分からないうえに、次の節で書く規制の話が加わる、というのが現在の状態です。
出典は日によって入れ替わります
表の5行目は、スイスの研究者が4つのAI検索サービスを45日間追いかけた論文の数字です。
同じ質問を毎日投げても、出典の重なりは平均で約3〜4割だったと報告されています。
質問はドイツ語の32問で、これも査読前の小さな研究です。
自作のランキングがAIの出典に1回出たとしても、次の日にも出るとは限りません。
1回の結果を「効いた」と数えると、判断を誤ります。
第三者に見せかけた場合:消費者庁が説明していること
ここからは、図の中央の箱の話です。
消費者庁はステルスマーケティングについての公式ページを公開しており、弊社は2026年10月1日にこのページを開いて確かめました。
以下は、そのページに書かれている範囲だけをまとめたものです。
ページに書かれていること
令和5年(2023年)10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法違反となります。
ステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことです。
規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです。
理由も説明されています。
消費者は、企業の広告であればある程度の誇張が含まれると考えたうえで、商品やサービスを選んでいます。
広告であることが分からないと、第三者の感想だと誤って受け取ってしまう、というのがその説明です。
| 区分 | 消費者庁のページの説明 | 自社で確かめること |
|---|---|---|
| 対象になるもの | 広告であって、一般消費者が広告であることを分からないもの | 読者が、作ったのは誰かを知ることができるか |
| 広告に含まれるもの | 企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するもの | 内容や順位を、自社が頼んだり決めたりしていないか |
| 対象になる場所 | SNS投稿やレビュー投稿などインターネット上の表示のほか、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌等の表示 | ウェブの記事だけの話だと考えていないか |
| 対象にならないもの | 個人の感想等の広告でないもの | 書いた人が、自分の判断で書いているか |
| 対象にならないもの | テレビのコマーシャル等の、広告であることが分かるもの | 広告であることが、読者に伝わる形になっているか |
規制の対象になるのは、広告主の側です
消費者庁の説明では、規制の対象となるのは、商品やサービスを供給する事業者です。
依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は、規制の対象になりません。
比較記事の話でも、最初に確かめる立場にあるのは、商品やサービスを供給している自社の側です。
自社が作ったランキングを第三者の評価として出すことは、社名が公表される行政処分(措置命令)の対象になりうる行為です。
個別の記事が該当するかどうかを、この記事で判断することはできません。
同じページから「運用基準」「ガイドブック」「Q&A」が公開されています。
弊社はその中身までは読んでいないので、内容には触れません。
判断に迷う場合は、その資料で確かめてください。
AIの回答と広告の開示は、研究者も論じています
AIの回答に宣伝が混ざることは、研究の側でも取り上げられています。
2026年に機械学習の国際会議で採択された立場論文は、GEOが生むリスクの1つに、開示されない商業的な影響を挙げています。
論文は、広告には表示が要るという米国の考え方を整理したうえで、AIサービスの運営者と規制する側に対応を求めています。
立場論文は「こうすべきだ」という提案で、提案の効果を試した論文とは性格が違います。
扱っているのも米国・欧州連合・英国の制度で、日本の制度は対象に入っていません。
弊社は、つながりを隠した掲載を前提にした施策は、規則が変わったときに続けにくくなると見ています。
読者の側で起きること
この節には、研究の裏づけがありません。
弊社の見方として、短く書きます。
運営元が1位のランキングは、どう読まれるか
運営元が1位に載っているランキングを見た読者は、2位以下の評価も含めて、記事全体を割り引いて読むと弊社は考えています。
消費者庁が説明しているとおり、読者は企業の広告であれば、ある程度の誇張が含まれると考えて読むからです。
割り引かれること自体は、損とは言い切れません。
広告だと分かったうえで読まれているなら、読者との間に行き違いは起きていないからです。
気をつけたいのは、読者が運営元にあとから気づいた場合です。
最初は中立の比較だと思って読み、途中で作り手が1位の会社だと知ると、記事だけでなく会社の説明全体が疑われます。
同じ記事でも、冒頭で「弊社が作った一覧です」と名乗っているかどうかで、読後の印象は変わるはずです。
代わりにやること1:順位を付けない比較を書く
比較の記事を自社で書くこと自体は、やめる必要がありません。
変えるのは、順位を付けることと、自社をいちばん上に置くことの2点です。
順位の代わりに、選ぶ基準を並べる
発注先を探している読者が知りたいのは、どの会社が1位かより、自分の条件に合う会社がどれかです。
そこで、順位の代わりに、選ぶときの基準を見出しにします。
対応している地域、引き受ける仕事の範囲、契約の期間、担当者と直接話せるかどうか、といった項目です。
基準ごとに「この条件の人には、こういう会社が合う」と書けば、読者が自分で当てはめられます。
自社は、その基準のうち当てはまる所にだけ出します。
自社が向いていない相手と、対応できない条件を書く
比較の記事でいちばん書きにくいのが、自社が向いていない相手です。
書きにくい内容ですが、ここを書いた記事は、自社を1位にしたランキングとはっきり違うものになります。
| 書く項目 | 中身の例 | 読者が使う場面 |
|---|---|---|
| 選ぶ基準 | 地域、仕事の範囲、契約の期間、連絡の方法 | 自分の条件を、基準に1つずつ当てはめる |
| 自社が向いている相手 | 業種、会社の規模、社内に担当者がいるかどうか | 自分がその相手に入るかを確かめる |
| 自社が向いていない相手 | 急ぎの案件、対応していない業種や地域 | 候補から外すかどうかを、問い合わせの前に決める |
| 対応できない条件 | 引き受けていない作業、約束していない成果 | 契約のあとの行き違いを避ける |
| 作り手の表示 | 記事の冒頭に、自社が作った比較であることを書く | 割り引いて読むかどうかを、読者が自分で決める |
表の「中身の例」は書き方の例で、実際の中身は自社の中にある事実から埋めます。
LLMO対策のやり方を全部書いた記事でいうと、工程5の「書く」にあたる作業です。
その工程では、冒頭で質問に答え、比べられる数字と、自社ができないことを書きます。
順位を付けない比較にしても、自社サイトに置くかぎり、研究の分類では自社の媒体のままです。
AIに引用されやすくなるとは言えません。
言えるのは、読者が自分で比べられる記事になり、作り手を隠す必要が無くなるという2点です。
代わりにやること2:第三者が自分の判断で書く言及を増やす
図の右の箱を増やす作業です。
やり方の記事では、工程7の「第三者に載る」として書きました。
工程7の中身
自社のことが、自社以外の媒体に事実として書かれている状態を作ります。
対象になるのは、業界団体の会員名簿、取引先の導入事例、地域の媒体の取材記事、登壇や寄稿の記録などです。
すでに載っているものがあれば、まず一覧にします。
社名や所在地やサービスの説明が古いままの掲載は、相手に連絡して直してもらいます。
そのうえで、載っていておかしくないのに載っていない場所へ、掲載や取材を依頼します。
相手の都合で進む作業なので、自社だけで期間を決めることはできません。
依頼した日、相手、返事の内容を1行ずつ記録して、毎月続けます。
依頼と、自分の判断で書かれた言及の境目
掲載や取材を依頼することと、内容を指示することは別です。
消費者庁の説明では、広告には、企業が第三者に依頼・指示するものも含まれます。
文面や評価をこちらで決めて書いてもらったものは、この節でいう言及には数えません。
| 言及の種類 | 内容を決める人 | 自社が次にすること |
|---|---|---|
| 業界団体の会員名簿 | 団体。載せる項目は団体の決まりによる | 社名、所在地、事業の説明が現在のものかを確かめる |
| 取引先が書く導入事例 | 取引先 | 事実の誤りだけを伝え、評価の言葉には手を入れない |
| 地域や業界の媒体の取材記事 | 記者と媒体 | 聞かれたことに、数字と事実で正確に答える |
| 登壇や寄稿の記録 | 主催者と媒体 | 肩書きと社名の表記を、自社サイトとそろえる |
| お客様の声 | お客様本人 | 載せる前に、そのつど掲載の許可を確かめる |
弊社では、お客様の声を載せるときは、そのつど掲載の許可を確かめています。
弊社が自作の「おすすめ◯選」を作っていないのも、同じ考えからです。
この工程で分かっていること、いないこと
根拠は、研究1と研究2の数字です。
引用元の7〜9割が第三者の媒体だったのなら、自社サイトの外に事実が書かれている状態を作るほうが、理にかなっています。
ただし、載れば引用されるとまでは示されていません。
弊社自身、「おすすめの会社」を聞く質問では4回中0回から始めており、この工程が足りていないためだと見ています。
結果が出たかどうかは、同じ質問を複数回聞いて、回数で記録していきます。
すでに作ってしまった場合の直し方
自作のランキングをすでに公開している場合も、あわてて全部消す必要はありません。
置き場所によって、直す順番が変わります。
置き場所ごとの直し方
| いまの状態 | 起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 自社サイトに置き、運営元が自社だと分かる | 読者には自社の宣伝として読まれている | 冒頭に作り手を書き、順位を外して選ぶ基準の並びに組み替える |
| 自社サイトに置いたが、作り手がどこにも書かれていない | 読者が、中立の比較だと受け取る余地がある | 記事の冒頭と運営者の表示に、自社が作ったことを書く |
| 自社とは別のサイトに置き、関係を示していない | 第三者の評価に見える状態になっている | 消費者庁の資料を読み、関係を示すか、取り下げるかを決める |
| 制作を外に頼み、どこに何が載ったか把握していない | 自社の名前で何が出ているかを、自社が知らない | 制作した相手に、掲載先と文面の一覧を出してもらう |
| 同業の会社の説明に、古い内容や誤りがある | 載せた相手の事実と食い違っている | 相手の公式の説明と照らして直すか、その行を外す |
自社サイトに置いた場合
自社サイトの記事は、消すより組み替えるほうが手間が少なく済みます。
調べて書いた同業の会社の特徴は、順位を外しても使える材料だからです。
順位の数字を外し、見出しを選ぶ基準に変え、自社が向いていない相手を1段落足します。
組み替えたあとは、冒頭に見直した日を書いておくと、読者にも変更が伝わります。
別のサイトに置いた場合
3行目にあたる場合は、ほかの作業より先に確かめてください。
この記事では、個別の記事が規制に該当するかどうかを判断できません。
消費者庁の公式ページと、そこから公開されている資料を読んだうえで、関係を示すか取り下げるかを決めることになります。
4行目のように、掲載先を自社が把握していない状態は、内容の良し悪し以前に直したい所です。
規制の対象になるのは広告主の側だと、消費者庁は説明しているからです。
提案を受けたときに聞く質問
比較記事の制作を提案されたときに、その場で尋ねる質問をまとめます。
相手を試すための質問として使うより、記事が図のどの箱に入るかを一緒に確かめるために使ってください。
質問と、答えの聞き分け方
| 聞くこと | 確かめたい点 | 答えを聞いたあとにすること |
|---|---|---|
| 記事は誰が書き、順位は誰が決めますか | 内容を決めるのが自社か、書き手か | 自社が決めるなら、図の1か2の箱として扱う |
| 記事はどのサイトに載せますか | 自社サイトか、別のサイトか | 別のサイトなら、運営者の表示に何と書かれるかを尋ねる |
| 自社と掲載先の関係は、記事のどこに書きますか | 読者が、広告だと分かる形になっているか | 書かない予定なら、消費者庁の資料を先に読む |
| 2位以下の会社には、掲載を知らせますか | 載せる会社の説明が、事実と合っているか | 各社の公式の説明と照らす工程があるかを確かめる |
| 効果は、何を何回測って報告しますか | 1回の結果で「出た」と数えていないか | 同じ質問を複数回聞いた回数で報告してもらう |
3つ目の質問に、はっきりした答えが返ってくる提案は、あとで隠すものがありません。
「関係は書かないほうが効きます」という答えが返ってきたら、その場で決めずに持ち帰ってください。
質問するときの進め方
質問は、口頭より書面のほうが向いています。
掲載先と作り手の表示は、あとから「聞いていなかった」となりやすい項目だからです。
提案した相手が、置き場所による違いを知らないまま勧めていることもあります。
その場合は、この記事の最初の表を見せて、どの行にあたる提案かを一緒に確かめれば足ります。
5つ目の質問に使う測り方は、AIに自社名が出るかを調べる方法の記事に手順を書きました。
よくある質問
Q. 自社サイトに「おすすめ◯選」を置くだけで、規制の対象になりますか
この記事では判断できません。
消費者庁の説明では、規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです。
テレビのコマーシャル等の、広告であることが分かるものは対象外とも書かれています。
自社の記事が読者にどう見えるかは記事ごとに違うので、消費者庁の公式ページから公開されている資料で確かめてください。
Q. 他社が作った比較記事に、費用を払って載せてもらうのはどうですか
載せるかどうかと書く内容を、誰が決めているかで変わります。
消費者庁の説明では、広告には、企業が第三者に依頼・指示するものも含まれます。
弊社が調べた9件のうち1件は、掲載が成果報酬型の比較メディアでした。
こうした媒体に載せる場合は、広告であることが読者に分かる表示になっているかを、掲載の前に確かめます。
Q. 順位を付けない比較にすれば、AIに引用されますか
引用されるとは言えません。
自社サイトに置くかぎり、研究の分類では自社の媒体のままだからです。
順位を外す理由は、読者が自分で比べられる記事にすることと、作り手を隠さずに済むことにあります。
Q. AIに聞いたら、自作のランキングが出典に出ました。効いているのではありませんか
1回の結果では、効いているとも、いないとも言えません。
海外の研究では、同じ質問でも出典の重なりは平均で約3〜4割でした。
日を変えて同じ質問を複数回聞き、何回中何回出たかを記録してください。
出典に出たことと、答えの中で自社が薦められたことも、分けて数えます。
Q. 比較記事の制作を提案されたら、断ったほうがいいですか
断るかどうかは、記事の置き場所と作り手の表示を聞いてから決めれば間に合います。
自社サイトに置き、自社が作ったと書き、順位を付けない形なら、通常の記事の制作と変わりません。
別のサイトに置いて関係を書かない、という提案だけは、契約の前に消費者庁の資料を読んでください。
まとめ
自社を1位にした「おすすめ◯選」がAIに効く、と確かめた研究は、弊社が読んだ範囲では見つかっていません。
海外の実験では、AI検索の引用元の69.1〜92.1%が第三者の媒体で、自社サイトは128ブランドの調査で14.3%でした。
自社サイトに置いた自作のランキングは、この少ない側に数えられます。
第三者に見せかけて出した場合は、消費者庁が説明しているステルスマーケティング規制の対象になりえます。
弊社が2026年10月1日に調べた検索結果では、上位9件のうち8件が、同じ仕事をしている会社の自作の記事でした。
よく行われている施策であることと、AIに効くことは、別々に確かめる話です。
代わりにできるのは、順位を付けない比較を自社サイトに書くことと、第三者が自分の判断で書く言及を増やすことです。
どちらも効果を約束できる作業とは言えませんが、あとで隠したり消したりする必要が無い点は、はっきりしています。
ほかの9個の施策は、やってはいけないLLMO対策の一覧で扱っています。
今日できる点検
読み終えたら、自社の名前で出ている比較記事を1つずつ確かめてください。
点検の表
| 点検すること | 当てはまった場合の状態 | 次にすること |
|---|---|---|
| 自社サイトに、自社が1位のランキングがあるか | 図の1の箱に入る記事がある | 冒頭に作り手を書き、順位を外す日を決める |
| その記事に、自社が作ったことが書かれているか | 書かれていなければ、中立の比較に見える余地がある | 冒頭と運営者の表示に1行足す |
| 自社とは別のサイトに、自社が内容を決めた比較記事があるか | 図の2の箱に入る記事がある | 消費者庁の公式ページを開き、資料を読む |
| 外に頼んだ制作物の、掲載先の一覧が手元にあるか | 無ければ、自社の名前で出ているものを把握できていない | 制作した相手に一覧を依頼する |
| 自社以外の媒体に、事実として載っている場所がいくつあるか | 0件なら、図の3の箱が空いている | 載っていておかしくない場所を3つ書き出す |
| 社名を入れない質問をAIに聞いたことがあるか | 無ければ、現在地が分かっていない | 1問を3回聞き、名前が出た回数を記録する |
点検のあとにすること
6行のうち、3行目に当てはまった場合だけは、ほかより先に手を付けてください。
残りの行は、当てはまった所から1つずつで足ります。
何から始めるかを決めかねる場合は、やり方の記事の9工程の表で、工程5と工程7の欄を読むと順番が決まります。
比較記事を1本作る時間があれば、取引先に事例の掲載を1件お願いすることもできます。
どちらに時間を使うかは、この記事の表と数字を材料に、ご自身で決めてください。
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