先日のQ&Aサイトで見かけた相談から始めます
あるQ&Aサイトで、中小企業の運営者からのこんな相談を拝見しました。広告にお金を回しても、ホームページへの訪問は増えるのに、問い合わせや購入の数がほとんど動かない。周りに聞くと「コンバージョン率を上げればいい」と言われるが、平均値の一覧を見ても自社が高いのか低いのか判断がつかず、何から手をつければいいのか分からない、という切実な声でした。相談の主が口にしていた言葉が印象に残っています。
「広告費を毎月増やしているのに、問い合わせの数だけが去年とほとんど変わらないんです」。この一文には、コンバージョン率という指標につまずく人の悩みが凝縮されています。数字の意味は何となく分かる。平均も調べた。それでも自社サイトの直す場所が特定できない。ここで大半の運営者が、施策の一覧をながめて手当たり次第に試し、時間とお金だけを使ってしまいます。
この記事は、コンバージョン率の平均値や計算式の解説で終わりにしません。読み終えたときに、あなたの手元で「まずこの1画面から直す」という対象が1つだけ決まっている状態を作ります。競合サイトが並べている改善施策の一覧を全部やろうとするから前に進めないのであって、進む順番と、集中する1点を先に決めれば、少ない手数で数字は動き始めます。この記事の背骨は、足すよりも引く、そして直す場所を1つに絞る、という考え方です。私たちはこれを「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいます。
この記事が想定している読み手は、ホームページはあるのに問い合わせや購入が伸び悩む中小企業の経営者と、サイトを預かる担当者です。専門の分析チームがいなくても、無料の道具と自分の手だけで前に進める形にしています。業界別の平均値をずらりと並べる一覧や、専門用語の網羅は他のページに任せます。ここに置くのは、明日から動かせる順番と、最初に直す1画面の決め方だけです。読み終えたときに手が動く状態を作ることを、この記事のゴールに据えています。
冒頭の相談者のように、広告費だけがふくらんで成果が動かないという状況は、決して珍しいものではありません。原因の大半は、直す場所を1つに決めていないことにあります。才能や予算が足りないからではありません。あれもこれもと気になって、結局どこにも本腰を入れられない。この記事は、その堂々めぐりから抜け出すための道順を、順を追って示していきます。読みながら、自社のサイトを頭に思い浮かべてください。
思い浮かべたサイトの、どの画面で人が去っているか。今はまだ分からなくて当然です。この記事を最後まで読めば、その問いに数字で答える手順が手に入ります。答えを持って読み始める必要はありません。読み終えたときに、答えの出し方を持っていればいい。それだけで、明日からのサイトの見え方が変わります。
見え方が変わるというのは、大げさな言い方ではありません。これまで何となく全体をながめて不安になっていた目が、段ごとの通過率という具体的な数字を見る目に変わります。不安は、正体が分かれば課題に変わります。課題になれば、手を打てます。数字で見る習慣は、漠然とした焦りを、動かせる仕事へと変えてくれます。
焦りが仕事に変わると、気持ちにも余裕が生まれます。全部を今すぐ何とかしなければという重圧から解放され、今月はこの1つ、と肩の力を抜いて向き合えます。追い詰められた頭からは、良い判断は生まれません。1つに絞ることは、成果のためだけでなく、改善を長く続けるための心のゆとりのためでもあります。
長く続けられることは、コンバージョン率の改善で見落とされがちな条件です。どんなに正しい手順も、途中で息切れしては数字に結びつきません。無理なく毎月1周できる負荷に収めることが、1年後の成果を大きく左右します。1つに絞るという制約は、その続けられる負荷を自然に守ってくれる仕組みでもあります。
毎月1画面という歩幅は、はじめは遅く感じるかもしれません。けれど、1年で十を超える弱点に手を入れられる計算になります。1度に全部を抱えて身動きが取れなくなるより、確実に一歩ずつ前へ進むこの歩幅のほうが、結果として遠くまで運んでくれます。小さく速く回し続けることが、コンバージョン率の改善ではいちばんの近道です。焦って大きく振りかぶるより、淡々と1画面を直す月を積み重ねてください。その積み重ねだけが、裏切らずに数字を押し上げていきます。半年後、1年後に振り返ったとき、続けてきた自分に助けられるはずです。
コンバージョン率という数字は、直接どうにかしようとして動くものではありません。抜けている1画面を、正しい順番で1つずつ直した先に、結果として静かについてきます。数字だけをにらんで焦るより、目の前の1画面に向き合うほうが、遠回りに見えて確実な道です。今日この場で、最初に数える段を1つ決めてください。決めた瞬間から、あなたのサイトの改善は動き始めます。あとは、その一歩を毎月くり返すだけです。派手さはなくても、この静かな繰り返しが、いつか競合の届かない場所まで御社のサイトを運んでいきます。数字は、正しく手を動かした人に、後から静かについてくるものです。
コンバージョン率という言葉を先にそろえる
コンバージョン率は、サイトを訪れた人のうち、あらかじめ決めた成果に至った人の割合です。成果とは、商品の購入だったり、問い合わせフォームの送信だったり、資料の請求だったりします。この「成果」をコンバージョン、割合をコンバージョン率、略してCVRと呼びます。数字を追いかける前に、自社にとっての成果が何なのかを言葉で固めておかないと、測っているものが人によってばらつき、議論がかみ合いません。
成果を言葉で固めるときは、社内の誰に聞いても同じ答えが返るかを確かめてください。経営者は契約を思い浮かべ、現場は問い合わせを思い浮かべているなら、そのずれを先に埋めます。成果の言葉がそろって初めて、数字が共通の話題になります。ここを曖昧にしたまま数字を追うと、同じ数字を見ても人によって解釈が割れ、打ち手の議論がいつまでも空回りします。
成果の置き方は業種で変わります。すぐに売上が立つ通販なら購入が成果です。検討に時間がかかる商材だと、いきなりの契約は少ないので、問い合わせや資料請求を成果に置きます。自社が今どの段階を成果として数えているのか、ここを最初にそろえてください。ここがずれていると、この先のすべての計算がずれます。
成果の定義がずれる例を挙げます。ある担当者は資料請求を成果と数え、別の担当者は最終的な契約を成果と数えていたとします。同じサイトなのに、前者の数字は毎月高く、後者は低く出ます。そのまま会議に持ち寄ると、サイトが良いのか悪いのかで意見が割れ、直す場所の議論に入る前に時間が尽きます。成果を1つに固定して社内の言葉をそろえることは、地味に見えて、改善の話を前に進めるための最初の一手になります。ここを飛ばすと、この先ずっと足並みがそろいません。
コンバージョン率の計算式
計算そのものは単純です。成果の件数を、訪問の回数で割って、100をかけます。たとえば、1か月の訪問が1000回あって、そのうち問い合わせが20件だったなら、20を1000で割って100をかけ、コンバージョン率は2.0%です。訪問が1000回で問い合わせが5件なら0.5%、40件なら4.0%になります。式が単純だからこそ、分母と分子に何を入れたかで結果が大きく変わります。
同じ現実でも、数え方を変えると印象は大きく動きます。訪問1000回で問い合わせ20件を、訪問回数で割れば2.0%です。ところが、この1000回のうち実際に訪れた人数が700人で、そのうち20人が問い合わせたとすると、人数で割った割合は約2.9%になります。どちらの数字も嘘ではありません。同じ成果を、違う分母で見ているだけです。だからこそ、社内で数え方を1つに決め、それを変えずに追い続けることが、数字を信じて判断できる状態を作ります。途中で数え方を変えると、良くなったのか数え方が変わっただけなのかが分からなくなります。
| 自社の状態の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 成果の定義があいまい | 担当者ごとに数える成果が違い、数字が比べられない | 成果を1つに決めて社内の言葉をそろえる |
| 分母が混在している | 訪問回数と人数を混ぜて計算している | 分母をどちらか一方に固定する |
| 期間がそろっていない | 先週と先月を並べて増減を語っている | 同じ長さの期間どうしで比べる |
| 数が少なすぎる | 1週間の数件で良し悪しを判断している | 判断できる件数がたまるまで待つ |
分母を何にするかで数字は変わる
分母には主に2つの選び方があります。訪問の回数で割る方法と、訪れた人の数で割る方法です。同じ1人が3回訪れて1回だけ問い合わせた場合、回数で割ると3分の1、人数で割ると1分の1になり、同じ現実から違う数字が出ます。どちらが正しいということはありません。大事なのは、自社の中でどちらかに固定して、以後ずっと同じ数え方で追うことです。途中で分母を変えると、良くなったのか数え方が変わっただけなのか判別できなくなります。
分母を固定すると決めたら、その定義を短い言葉で書き留めて、いつでも見返せる場所に置いてください。担当者が代わっても、同じ数え方が引き継がれます。人が代わるたびに数え方が揺れるのは、記録の残っていないサイトでよく起きる問題です。数え方の定義そのものを資産として残すことが、長く数字を追い続けるための土台になります。地味な一手間が、来年の自分を助けます。
数え方の記録には、いつから測り始めたかも書いておくと役立ちます。計測を入れた日をまたいで数字を比べると、途中で条件が変わっているのに気づかず、誤った結論に飛びつきかねません。いつ、何を、どう数え始めたか。この3つを記しておけば、後から数字を読むときに迷いません。記録は、未来の自分への手紙のようなものです。
手紙を書くように記録を残すと、半年後や1年後に読み返したとき、当時の判断の理由まで思い出せます。なぜこの画面を選び、なぜこう直したのか。数字だけでは、そこまでは残りません。短くていいので、判断の理由を一言添えておく。その一言が、後から同じ失敗を繰り返さないための、いちばん安い保険になります。
同じ失敗を避けられるだけで、改善の速度は目に見えて上がります。人は忘れる生き物なので、記録がなければ、去年つまずいた同じ石に今年もつまずきます。書いて残すというたった一手間が、その繰り返しを断ち切ります。前に進む会社と、同じ場所をぐるぐる回る会社の違いを生むのは、才能の差ではありません。この記録が残っているかどうかであることが少なくありません。
広告からの流入だけを見たいときは、広告のクリック数を分母にすることもあります。この場合、広告費に対してどれだけ成果が出たかを測れます。自然検索やSNSからの流入と混ぜてしまうと、広告が効いているのか別の経路が効いているのかが分からなくなるので、経路ごとに分けて数える習慣をつけてください。
経路ごとに分けると、思わぬ発見があります。広告からの流入はコンバージョン率が低いのに、検索から来た人は高い、ということがよく起こります。この差が見えると、広告の出し先か着地先の言葉がずれている可能性に気づけます。1つに混ぜた平均だけを見ていると、この差は最後まで見えません。経路ごとに分けて数えるだけで、次に手を打つ場所のあたりがつくのです。手間はかかりますが、勘で全体をいじるより、はるかに近道になります。
最終地点の手前にある中間地点
購入や問い合わせという最終の成果だけを見ていると、その手前で何が起きているのかが見えません。そこで、最終地点の手前にある小さな到達点も数えます。たとえば、商品ページを見た、カートに入れた、フォームを開いた、という段階です。これらを中間の成果として数えておくと、人がどこまで進んで、どこで止まったのかが分かります。最終の数字が動かないとき、この中間地点の数字が、直すべき場所を教えてくれます。
中間地点を測る意味は、犯人を絞り込めることにあります。フォームを開く人は多いのに送信まで至らないなら、問題はフォームの中にあります。商品ページまでは来るのにカートに入らないなら、問題は商品の見せ方にあります。最終の数字1つだけを握りしめていると、この切り分けができません。
中間地点を数え始めると、直す作業がぐっと具体的になります。たとえば、商品ページの閲覧が月に800回、そこからカート投入が80回、購入が40回だと分かれば、閲覧から投入への段が弱いと一目で分かります。数字が段ごとに並ぶと、勘で「たぶんここが悪い」と決めていたころとは、打ち手の確かさがまるで変わります。中間地点を測ることは、そのまま直す場所を教えてもらうことと同じです。最終の成果という結果だけを見ていては、この道案内は手に入りません。
業界平均と比べても自社サイトは直らない
コンバージョン率を調べ始めると、必ず業界別の平均値の一覧に行き当たります。そして自社の数字と見比べて、高い低いと一喜一憂します。ところが、この比較から具体的な打ち手はほとんど出てきません。平均を知っても、自社のどの画面を直せばいいのかは1ミリも分からないからです。平均値は現在地の目安にはなりますが、地図にはなりません。
地図の代わりになるのは、自社のサイトを歩いた人の足あと、つまり段ごとの通過率です。どこで人が立ち止まり、どこで引き返したかは、平均値の一覧のどこにも書かれていません。自社のサイトの中だけにあります。外にある平均を探し回るより、自社の中にある足あとを読むほうが、直す場所へまっすぐ着きます。答えは、いつも自社のデータの側にあります。
自社のデータを読む習慣がつくと、他社の華やかな事例に振り回されなくなります。よその成功談は、その会社の商材と客層の上でだけ成り立った話です。同じ手が自社で効くとは限りません。参考にするのはかまいませんが、採用するかどうかは、自社の数字で確かめてから決める。この順番を守るだけで、無駄な回り道がぐっと減ります。
回り道が減ると、限られた時間を、本当に効く一手に集中できます。小さな会社にとって、時間は何よりも希少な資源です。よそ見をして試した施策の数だけ、自社の弱点から目が離れます。自社の数字だけを見つめ、一番低い段に手を集める。この集中こそが、資源の少なさを補って余りある力になります。
相談の場でよく聞くのが「うちは業界平均を下回っているらしいので、とにかく全部てこ入れしたい」という言葉です。気持ちは分かりますが、全部に手をつけると、どれが効いたのか分からないまま予算が尽きます。平均との差を埋める作業と、自社の離脱箇所を直す作業は、別物として切り分けてください。
平均を下回っていたとしても、それ自体が悪い知らせとは限りません。検討に時間のかかる商材や、価格の高いサービスは、成果に至る割合が構造として低くなります。割合の高い業種と同じ土俵で自社を責めても、直す場所は1つも出てきません。自社の商材の性質を踏まえたうえで、先月の自分と比べて上向いているかを見るほうが、はるかに実りがあります。平均は現在地のおおよその位置を教えてくれますが、そこから先の道順までは示してくれません。
平均値が当てにならない理由
平均値が自社の判断に使いにくいのには理由があります。集計するサイトの顔ぶれが調査ごとに違い、成果の定義もばらばらで、商材の価格帯も検討期間も混ざっているからです。購入までじっくり考える高額な商材と、日用品の買い直しでは、成果に至る割合が最初から桁で違います。この2つを平均した数字を、自社の目標に据えても意味がありません。
それでも平均を知りたくなるのは自然なことです。使うなら、自社と商材の性質が近いサイトの数字だけに絞り、しかも現在地のおおよその確認にとどめてください。平均より上でも下でも、やることは同じです。段に分けて弱点を見つけ、そこを直す。平均は出発前の体温計のようなもので、走る道順そのものは、自社の通過率だけが教えてくれます。数字の高低に一喜一憂する時間があれば、自社の段を1つ数えるほうが前に進みます。
| 平均値を見るときの分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 商材の性質が違う | 検討の長い商材と衝動買いの商材が同じ表に並ぶ | 自社に近い性質の数字だけを参考にする |
| 成果の定義が違う | 購入を成果にした数字と資料請求の数字が混在 | 成果の種類を合わせてから比べる |
| 集計元が不明 | どんなサイトを集めた平均か分からない | 出どころの分かる数字だけを使う |
| 季節がずれている | 繁忙期と閑散期を無視して平均を当てる | 自社の同じ季節の数字と比べる |
比べる相手は先月の自分
比べる相手として最も役に立つのは、他社の平均よりも、先月の自分のサイトです。先月2.0%だったコンバージョン率が今月2.4%になったなら、あいだにやったことが効いた可能性が高い。先月と同じ数え方で、同じ経路の、同じ長さの期間を並べる。この地道な自己比較こそが、直す場所を見つけるための一番確かな物差しになります。他社の数字は励みにはなっても、手順にはなりません。
先月の自分と比べるには、記録が残っている必要があります。まだ計測を入れていないなら、平均値を調べる前に、自社の訪問と成果を数えられる状態を作るところから始めてください。測れないものは直せません。
計測を入れると聞くと身構えるかもしれませんが、無料の計測ツールを設置し、成果のページに到達したときの記録を残す設定を入れるだけで、最初の一歩は踏み出せます。設定に不安があるなら、まずは訪問数と成果数という2つの数字を、月ごとに手元の表に書き写すところからでもかまいません。記録が2か月分たまれば、先月の自分との比較がその日から始められます。完璧な計測をそろえるより、粗くても続けられる記録を今日始めるほうが、結果として早く直す場所にたどり着きます。
数字を追う前に直す画面を1つに絞る
ここからがこの記事の背骨です。コンバージョン率を上げたいとき、ほとんどの人は改善施策の一覧を手に入れて、上から順にやろうとします。ボタンの色を変え、写真を差し替え、キャッチコピーをひねり、フォームを作り直す。全部が正しそうに見えます。だからこそ、全部に手が伸びて、どれも中途半端になり、何が効いたのかが永遠に分かりません。
私たちのやり方はその逆です。まず、人が一番大きく抜けている1つの画面を特定します。そして、その1画面だけを直します。他の画面には、この期間は手をつけません。手をつけないと決めることが、効果を測るための条件になります。少ない手数で、確実に、原因の分かる改善を積む。これが「売れるサイトはみな謙虚」という直し方の中身です。
手をつけないと決めるのは、意外と難しい判断です。気になる箇所が目に入ると、つい直したくなります。けれど、同時に複数を触った瞬間に、効果を測る条件が崩れます。今月はこの1画面、と決めたら、他の気になる箇所はメモに書き留めて、来月以降に回します。我慢することそのものが、改善を確かなものにする技術です。急ぐ気持ちを手綱でおさえる力が、結局は成果を早めます。
メモに書き留めた気になる箇所は、消えてなくなるわけではありません。来月、再来月と、順番が来れば必ず手を入れられます。今すぐ全部やらないというのは、あきらめの言葉ではありません。順番をつけるという宣言です。優先順位の一番上から、1つずつ。この並べ替えができる人が、限られた時間と予算で最大の成果を引き出します。
並べ替えの基準は、いつも段ごとの通過率です。感情や思いつきで順番を決めず、抜けが大きい段から手をつける。この基準がぶれなければ、何から手をつけるべきかで迷う時間がなくなります。迷いが消えれば、その分だけ実際に手を動かす時間が増えます。判断の基準を1つに定めることは、時間を生み出すことでもあります。
30施策を全部やると失敗する
施策を一度に10個入れて、翌月コンバージョン率が0.5%上がったとします。喜ばしいことですが、10個のうちどれが効いたのかは分かりません。次の月に同じ効果を再現できず、効いていない施策を後生大事に残し続けることになります。同時に多くを変えると、成功しても学びが残らないのです。時間をかけて全部やった割に、社内には再現できるノウハウが1つも積み上がりません。
再現できるノウハウが積み上がらないと、改善は毎回ふりだしからのやり直しになります。担当者の勘と経験だけが頼りになり、その人が抜けると何も残りません。1画面ずつ直して記録を残す進め方は、地味に見えて、組織の力を少しずつ厚くしていきます。数字の改善と、知恵の蓄積を、同時に手に入れられるのです。人が代わっても続く仕組みは、こうして作られます。
仕組みとして残すのに、大げさな道具は要りません。1枚の表に、今月直した画面、その理由、前後の数字を書き込むだけで十分です。それが12か月ぶんたまれば、自社だけの改善の教科書になります。外から買ってきた一般論より、自社の数字で裏づけられたこの1枚のほうが、はるかに頼りになります。
逆に、1か月に1画面だけを直すと決めると、上がっても下がっても理由が1つに絞れます。上がれば横展開できるし、下がればすぐ元に戻せる。手数が少ないほど、学びは濃くなります。急がば回れという言葉のとおり、絞ったほうが結局は速いのです。
絞ることには、もう1つ大きな利点があります。社内やお客様への説明がしやすくなることです。今月はこの1画面を、この理由で、こう直しました、と1本の筋で語れます。10個を同時に変えた月は、報告が箇条書きの羅列になり、何が成果につながったのかを誰も説明できません。絞った改善は、数字を動かすだけでなく、組織の中に再現できる知恵を1つずつ積み上げます。来年も再来年も同じやり方で伸ばせる形が残るのは、絞ったときだけです。
引き算という考え方
直す画面を選んだあと、その画面に対してやることも、足すより引くを優先します。訪れた人が迷う原因は、情報が足りないからよりも、選択肢が多すぎて何を押せばいいのか分からないことのほうがずっと多い。ボタンを増やし、リンクを増やし、説明を増やすほど、人は決められなくなります。要素を1つ減らして、次の一歩を1本道にする。これが引き算です。
引き算というと、手を抜くことのように聞こえるかもしれません。実際は逆で、何を残し何を消すかを決めるのは、足すよりずっと頭を使う作業です。訪れた人が迷わず一歩を踏み出せるよう、いらないものを見極めて削ぎ落とす。その判断の積み重ねが、静かで強いサイトを作ります。飾りを足して画面を埋めるほうが、じつは楽な逃げ道です。引く勇気を持てたサイトだけが、訪れた人の背中を押せます。
下の図は、直す画面を1つに絞るまでの順番を表したものです。アクセスを段に分けて数え、抜けが最大の段を1つだけ選び、そこだけを直して数字で測る。この3手を回し続けます。
離脱している場所を数字で特定する
直す画面を1つに選ぶには、まず人がどこで抜けているかを数字で見なければなりません。感覚で「トップページが弱い気がする」と決めると、たいてい外します。訪れた人の動きを段に分けて、それぞれの段を何人が通過したかを並べれば、抜けが最大の段が目で見て分かります。ここで使う道具は、無料の計測ツールで十分です。
数字で特定するとき、思い込みを一度手放すことが欠かせません。運営者は自分のサイトを見慣れているので、どこが弱いかを勘で知っていると感じがちです。ところが、通過率を並べてみると、弱いと思っていた画面が実は問題なく、まったく疑っていなかった段で人が抜けていた、ということがよく起こります。見慣れた目には、いつもの景色の中の欠陥が映りません。数字は、その見えないものを黙って指し示してくれます。まず数えてから考える、この順番を崩さないでください。
段に分けて数えるという発想が、直す場所を1つに絞る作業の土台になります。全体のコンバージョン率という1つの数字だけを見ていると、どこが悪いのか分からないまま、勘で手をつけることになります。
勘で手をつけた改善は、当たれば気持ちよく、外れれば徒労に終わります。そして、当たったのか外れたのかさえ、全体の数字だけでは判別しにくい。段に分けて数えるという一手間は、この運任せから抜け出すための、いちばん確実な方法です。手間を惜しんで勘に頼るほど、改善は遠回りになります。急がば、まず数える。これが鉄則です。
数えることは、誰にでもできる平等な作業です。特別なセンスも長い経験も要りません。要るのは、面倒がらずに手を動かす素直さだけです。だからこそ、資源の限られた小さな会社にこそ向いています。大きな予算で派手な施策を打てなくても、丁寧に数えて一箇所ずつ直す会社は、時間をかけて確実に強くなります。地道さが、そのまま武器になります。
派手な施策は真似されますが、丁寧に数えて直し続ける文化は、簡単には真似されません。それは道具として買えるものではありません。日々の習慣として組織に根づくものだからです。1年、2年と続けた会社と、思いつきで動く会社の差は、時間とともに開いていきます。地道な周回は、追いつかれにくい強さを、静かに育ててくれます。
そして、この強さは特別な誰かだけのものではありません。この記事に書いた手順は、どれも今日から、自分の手だけで始められるものばかりです。段に分けて数え、一番低い段を選び、引き算で直し、数がたまるまで待つ。この4つを順に回すだけです。難しく考える必要はありません。まず1つ、自社の段を数えるところから始めてください。
数えた結果、思っていた画面と違う段で人が抜けていたら、それは大きな収穫です。勘で直し始めていたら、見当違いの場所に時間を注いでいたことになります。数字が予想を裏切る瞬間こそ、この手順のいちばんの値打ちが表れる場面です。予想が外れることを恐れず、まずは自社の現実を数字で確かめてください。
アクセスを4つの段に割る
典型的なサイトは、入口、回遊、フォーム、完了の4つの段に分けられます。入口は、訪れた人が最初に着地する段。回遊は、商品やサービスの内容を見て検討する段。フォームは、問い合わせや購入の入力を始める段。完了は、送信や決済を終えて成果に至る段です。この4段のそれぞれで、何人が次の段へ進んだかを数えます。
自社のサイトが4段にきれいに当てはまらないこともあります。その場合は、自社の導線に合わせて段を引き直してかまいません。大事なのは、成果に至るまでの道のりを、いくつかの区切りに分けて通過の数を数えることです。
各段の通過率を出す
各段の通過率は、その段に来た人のうち次の段へ進んだ人の割合です。入口に1000人来て、回遊に600人進んだなら、入口から回遊への通過率は60%です。回遊600人からフォーム到達が120人なら20%、フォーム120人から完了が48人なら40%です。この例だと、全体のコンバージョン率は1000人から48人で4.8%になりますが、注目すべきは段ごとの通過率のばらつきです。
全体のコンバージョン率だけを見ていると、4.8%という1つの数字しか手元に残りません。その数字からは、直す場所を導けません。段に割った瞬間、回遊からフォームへの20%という具体的な弱点が姿を現します。全体の数字は結果であって、原因はいつも段の途中に隠れています。段に分けるという一手間が、抽象的な悩みを、手を動かせる課題へと変えてくれるのです。
| 段の分類 | いま起きていること(例) | 次にすること |
|---|---|---|
| 入口から回遊 | 1000人中600人が進む(通過率60%) | まずまず。この段はいったん保留 |
| 回遊からフォーム | 600人中120人が進む(通過率20%) | 抜けが最大。ここを最初の1画面にする |
| フォームから完了 | 120人中48人が進む(通過率40%) | 次点。回遊を直したあとに着手 |
| 全体の成果 | 1000人中48人(4.8%) | 段ごとに分けて初めて弱点が見える |
一番低い段が最初の1画面
通過率を並べると、どの段で人が最も抜けているかが分かります。先ほどの例では、回遊からフォームへの20%が一番低い。ここが、あなたが最初に直すべき1画面です。入口の60%や完了の40%は、この段を直し終えるまで手をつけません。一番低い段を直せば、全体のコンバージョン率への効きが最も大きいからです。全体の数字は各段の通過率を掛け合わせた結果なので、一番低い段を持ち上げると全体が連動して伸びます。
掛け合わせという性質は、直す順番の根拠になります。60%、20%、40%という3つの段があるとき、20%を40%へ倍にできれば、全体はおよそ2倍まで跳ねます。いっぽう、すでに高い60%を70%へ上げても、全体への効きは控えめです。同じ労力を注ぐなら、一番低い段に注ぐのが最も報われます。どこから直すかで迷ったら、この掛け算の理屈を思い出してください。低いところを持ち上げるのが、いつでも一番の近道です。
1つの段を直し終えて数字が改善したら、また4段を数え直します。すると次に低い段が浮かび上がる。それを次の1画面として直す。この繰り返しが、着実にコンバージョン率を押し上げていく道筋です。
この繰り返しには終わりがありません。1周まわすたびにサイトは少しずつ良くなり、次に低い段が新しい課題として現れます。ゴールへ一足飛びで着く方法を探すより、この地道な周回を続けるほうが、気づけば競合の届かない場所まで来ています。毎月1つの弱点をつぶす習慣こそが、時間を味方につける道です。派手な打ち手を1回打つより、静かな1周を12回重ねるほうが、遠くまで行けます。
入口の画面で人が消えるとき
入口の段の通過率が一番低かった場合、問題は最初に着地する画面にあります。訪れた人は、着地して数秒で「ここは自分の探している場所か」を判断します。ここで違うと感じられると、内容を読む前に戻ってしまいます。入口で抜けるとき、原因はたいてい、何の話か伝わらない、結論が見えない、表示が遅い、のいずれかです。
入口を直すときも引き算が効きます。最初の画面に情報を詰め込むほど、訪れた人は要点をつかめず離れます。伝えることを1つに絞り、その1つを大きく置くのが基本です。
| 入口で抜ける症状の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 何の話か伝わらない | 抽象的なコピーだけが画面の最上部にある | 誰のどんな悩みを解決するか正直な一文を置く |
| 結論が下にある | スマホの一画面目が大きな画像とメニューだけ | 一画面目に要点と次の一歩を必ず入れる |
| 表示が遅い | 画像や外部の部品で最初の表示が数秒遅れる | 画像を軽くし読み込む部品を減らす |
| 広告と言葉がずれる | 広告で見た文言が着地先に見当たらない | 広告と着地先の言葉を一致させる |
最初の画面で何の話か伝わらない
着地した画面の一番上に、抽象的なキャッチコピーだけが置かれていると、訪れた人は自分に関係がある場所かどうか判断できません。誰の、どんな悩みを、どう解決する場所なのかを、飾らない言葉で最初に置いてください。うまいコピーを考える前に、正直な一文を置くほうが、入口の通過率は上がります。
正直な一文とは、飾らずに事実を言い切る一文です。誰に向けた、何のためのサイトかを、そのまま書きます。凝った比喩や気取った言い回しは、読み手の理解を一拍遅らせます。着地して数秒で去るか残るかが決まる場所では、その一拍が命取りになります。まず伝わること、うまさはその次でかまいません。かっこよさを捨てて分かりやすさを取る、その割り切りが入口を守ります。
広告から来た人には、広告で見た言葉と着地した画面の言葉をそろえることも効きます。広告で書いてあった内容が着地先で見当たらないと、訪れた人は場所を間違えたと感じて戻ります。広告と着地先の言葉を一致させるだけで、入口の抜けが減ることがあります。
スマホの最初の一画面に結論が無い
いまや訪問の大半はスマホです。スマホで開いて最初に見える範囲、いわゆる一画面目に、結論と次の一歩が入っているかを確認してください。パソコンの画面では見えていた要点が、スマホでは下にはみ出していて、訪れた人が最初に見るのは大きな画像とメニューだけ、ということがよく起きます。スマホの一画面目に、要点と次の一歩を必ず入れます。
スマホの一画面目は、面積がごく限られています。その狭い場所に、パソコンの横長の画面で考えたあれこれを詰め込むと、結局何も伝わりません。載せるのは、誰のためのサイトかを示す一言と、押してほしい一歩だけです。それ以外は下へ送ってかまいません。狭いからこそ、絞る力が試されます。この一画面を制すると、入口の抜けは目に見えて減ります。パソコンの見え方で満足せず、必ず手のひらの画面で確かめてください。
確認の仕方は簡単です。自分のスマホでサイトを開き、指でスクロールする前に見えている範囲だけを見て、何の話でどこを押せばいいか分かるかを自問してください。分からなければ、その画面が入口の抜けを作っています。
表示が遅い
着地してから画面が出るまでに時間がかかると、内容を見る前に人は離れます。画像が重い、外部の部品を読み込みすぎている、といった原因で、最初の表示が数秒遅れるだけで通過率は落ちます。画像の容量を抑え、読み込む部品を減らすと、入口の抜けが改善することがあります。表示速度は無料の計測ツールで測れるので、まず現状の秒数を把握してください。
表示速度の改善は、コピーの手直しよりも地味ですが、入口で抜けている場合は効きが大きい打ち手です。特にスマホの回線では、パソコンで見ているときには気づかない遅さが起きています。
入口の抜けを直すときの順番は、まず言葉、次に速度です。着地した人が最初に読む一文を正直で具体的なものに整え、それでも抜けが残るなら表示速度に手を入れます。この順で進めると、費用のかかる速度改善に着手する前に、言葉の手直しだけで通過率が戻ることが少なくありません。安く早く試せる手から順に打つのが、入口を直すときの原則です。いきなり大がかりな改修に飛びつくと、費用ばかりかさんで学びが薄くなります。
検討の途中で人が消えるとき
回遊の段の通過率が一番低かった場合、問題は検討している最中の画面にあります。入口は通過して内容を見始めたのに、フォームまで進まない。この段で抜ける人は、買いたい気持ちが芽生えかけたのに、判断の材料か、不安を消す情報が足りず、決めきれずに離れています。ここは、情報を足すことが効く数少ない場面です。
足すことが効くといっても、その中身は、決めるために要る情報を、要る順に置くという作業です。むやみに文章量を増やすことではありません。検討している人が次に知りたいと感じることを先回りして置き、余計な回り道をさせない。ここでも根っこにあるのは、訪れた人の一歩に奉仕するという同じ姿勢です。足す場面でも、軸は引き算のときと変わりません。
検討の画面で情報を足したら、足したあとに一度引いて見直すことも忘れないでください。加えた説明が、かえって別の要点をぼやけさせていないか。足す作業は、いつも散らかりと隣り合わせです。足しては見直し、いらない部分をそっと引く。この往復を繰り返すうちに、必要なものだけが残った、澄んだ画面に近づいていきます。
ただし、足すといっても無秩序に増やすわけではありません。訪れた人が決めるために必要な情報を、必要な順番で置く。過剰な情報は検討の途中でもやはり人を迷わせます。
| 検討中に抜ける症状の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 判断材料が足りない | 料金の考え方や対応範囲が書かれていない | 訪れた人が知りたい順に材料を置く |
| 不安に答えていない | 失敗や勧誘への不安が放置されている | 利用者の声と対応の流れを正直に示す |
| 情報が多すぎる | 説明が長く肝心の要点が埋もれている | 決めるために要る情報だけを残す |
| 次の一歩が見えない | 検討の後に何をすればよいか示されない | 問い合わせや資料請求への入口を1つ置く |
選ぶ材料が足りない
検討している人は、自分の状況にこの商品やサービスが合うのかを確かめようとします。ところが、料金の考え方、使い方、対応できる範囲、といった判断の材料がページに書かれていないと、確かめようがなく離れます。訪れた人が知りたい順に、判断の材料をそろえて置いてください。書き手が言いたいことよりも、読み手が確かめたいことを優先します。
読み手が確かめたいことは、書き手の想像とずれていることがよくあります。作り手は商品の強みを語りたくなりますが、検討している人は、自分の場合にどう使えるか、断られないか、後で後悔しないか、といった自分ごとの疑問を抱えています。強みの説明を並べる前に、その疑問に先回りして答えます。順番を入れ替えるだけで、同じ情報がぐっと届きやすくなります。主語を自社から読み手へ移すことが、検討中の抜けを減らす鍵になります。
何を知りたいかは、問い合わせや電話でよく聞かれる質問がヒントになります。同じ質問が繰り返し来るなら、その答えがページに書かれていない証拠です。よくある質問をページに載せるだけで、検討中の抜けが減ることがあります。
不安を消す情報が置かれていない
検討の最後に人を止めるのは、期待よりも不安です。失敗したくない、しつこく売り込まれたくない、思っていたのと違ったら困る。こうした不安に何も答えていないページは、あと一歩のところで人を逃します。実際に利用した人の声、対応の流れ、無理な勧誘をしない姿勢を、正直に置いてください。相談の場で運営者からこう言われたことがあります。「良いことばかり並べたら、かえって胡散臭く見えると言われました」。不安に先回りして答えるほうが、信頼は積み上がります。
不安を消す情報は、盛るほど効くわけではありません。事実を淡々と示すほうが伝わります。誇張した表現を重ねると、検討している人はむしろ警戒します。
不安に答える情報は、置く場所も肝心です。料金や申し込みを考え始める画面のすぐ近くに、対応の流れや利用者の声を置くと、決断の直前で背中を押せます。ページの一番下にまとめて置いても、そこへたどり着く前に離れた人には届きません。人が不安を感じるまさにその場所の隣に、その不安への答えを置く。この配置を意識するだけで、検討中の抜けが目に見えて減ることがあります。情報の量よりも、要る人の目の前に要るものがあるかどうかが効きます。
最後のフォームで人が消えるとき
フォームの段の通過率が一番低かった場合、問題は入力画面にあります。買う気になってフォームを開いたのに、送信まで至らない。この段で抜けるのは最ももったいない離脱です。あと少しで成果になる人を、入力の面倒さや不親切さで逃しているからです。フォームの改善は、効果が数字にすぐ表れやすい場所でもあります。
フォームこそ引き算が最も効きます。入力の手間を1つ減らすたびに、送信まで到達する人が増えます。ここでは、足すことよりも減らすことだけを考えてください。
| フォームで抜ける症状の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 入力項目が多い | 後から聞ける情報まで最初に求めている | 必要な項目だけ残して他を削る |
| エラーが不親切 | どこをどう直せばよいか分からない | 間違いの場所と直し方をそのそばに示す |
| 入力形式が厳しい | ハイフンの有無などで送信をはじく | 受け取る側で吸収できる違いは許す |
| スマホで押しにくい | ボタンが小さく入力欄で画面が拡大する | 指で押せる大きさと読める文字にする |
入力項目が多い
フォームの項目が多いほど、送信までたどり着く人は減ります。本当に必要な項目だけを残し、後から聞けばいいものは削ってください。名前と連絡先だけで受けられるなら、それ以外は最初の段階で聞かない。項目を減らすことは、フォームの通過率を上げる最も確実な打ち手の1つです。あれば便利という理由で残している項目が、成果を削っていないかを見直します。
項目を削る判断は、社内の都合との綱引きになりがちです。営業が欲しがる情報、管理のために集めたい情報を、つい最初の入力で求めてしまいます。けれど、その1項目のために送信をあきらめる人が出ているなら、集めた情報は届かない相手のものです。まず連絡が取れる形で受け、詳しい話は後の会話で聞く。この割り切りが、フォームの通過率を守ります。集めたい気持ちと、来てほしい気持ちを、天秤にかけてみてください。
どうしても項目が多くなる場合は、入力の途中経過が見えるようにする、任意の項目をはっきり任意と示す、といった工夫で負担感を下げられます。ただし、まず削れないかを先に考えるのが順番です。
エラーの出方が不親切
入力の途中でエラーが出たとき、どこがどう間違っているのか分からないと、人はそこで諦めます。どの項目を、どう直せばいいかを、その項目のすぐそばに、分かる言葉で示してください。入力し終えてから画面の上に赤い文字がまとめて出るだけの作りは、間違えた場所を探させることになり、送信をあきらめさせます。エラーの案内を親切にするだけで、フォームの完了率が変わります。
入力形式の指定が厳しすぎるのも抜けの原因です。電話番号にハイフンを入れるか入れないか、といった些細な条件で送信をはじくと、人は面倒に感じて離れます。受け取る側で吸収できる違いは、はじかずに受け入れる作りにします。
送信できないときの人の気持ちを想像してみてください。買う気で入力を終えたのに、原因の分からない赤い文字ではじかれる。その瞬間に芽生えるのは、このサイトは面倒だという感情です。せっかく最後まで来た人を、最後の一押しで逃がすのは、あまりにもったいない。エラーの案内を親切にすることは、それだけで完了率を押し上げる、費用のかからない改善です。人を責める作りをやめて、人を助ける作りに変えるだけで、数字は動きます。
スマホで押しにくい
スマホでフォームを操作したとき、送信ボタンが小さくて押しにくい、入力欄をタップすると画面が拡大してしまう、といった不便があると、それだけで人は離れます。ボタンは指で押せる大きさにし、入力欄は文字が読める大きさにします。自分のスマホで一度、最後まで送信してみると、パソコンでは気づかない不便がいくつも見つかります。
フォームの入力は、疲れた指先で、細切れの時間に行われます。パソコンの大きな画面と落ち着いた環境で作ったフォームが、スマホの現実に合っていないことは珍しくありません。作った環境と使われる環境の差を、必ず自分の指で確かめてください。
フォームの改善は、効果がすぐに数字へ表れるので、最初の1画面として選ばれることがよくあります。項目を1つ削った翌週に完了率が上がる、といった手応えを早く得られると、改善を続ける気力もわいてきます。入口や回遊の直しは効果が見えるまで時間がかかりがちなので、フォームで一度、確かな成功体験を作ってから上流へさかのぼるのも賢い進め方です。小さな成功を1つ積むと、社内で改善への理解が得やすくなり、次の一手が打ちやすくなります。
売れるサイトはみな謙虚という直し方
ここまでの段ごとの見方を貫いているのが、私たちが大切にしている「売れるサイトはみな謙虚」という考え方です。売れているサイトは、言いたいことを全部並べたてる代わりに、訪れた人が次に進むために必要な最小限だけを、静かに差し出しています。運営者の都合を脇に置いて、訪れた人の一歩に奉仕する。この姿勢が、コンバージョン率という数字に表れます。
謙虚なサイトは、見た目が地味とは限りません。むしろ、要素が絞られているぶん、一つひとつが際立ち、読み手はすっと要点を受け取れます。にぎやかで情報の多いサイトのほうが立派に見えることもありますが、成果を出すのは、訪れた人の頭を疲れさせない、静かに整ったサイトのほうです。引き算の美しさが、そのまま数字の強さになって返ってきます。
謙虚とは、遠慮して何も言わないことではありません。訪れた人が迷わないよう、要素を絞り込み、道を1本にする勇気のことです。載せたい情報を我慢して削るのは、書き手にとって苦しい作業です。その苦しさを引き受けたサイトが、結果として成果を伸ばします。
足すよりも引く
コンバージョン率を上げたいとき、人はつい要素を足したくなります。バナーを増やし、キャンペーンの告知を増やし、おすすめを増やす。ところが、要素が増えるほど、訪れた人の視線は分散し、押してほしい1つのボタンが埋もれます。1つ足す前に、まず1つ引けないかを考えてください。引き算のほうが、たいていコンバージョン率を上げます。
引くという判断は、測って初めて自信を持てます。この要素を消したら数字が下がるのではないかと不安になりますが、段ごとの通過率を測っていれば、消した結果を数字で確かめられます。測る仕組みがあるからこそ、思い切って引けるのです。
引き算が怖いのは、消したものが実は効いていたらどうしよう、という不安があるからです。その不安にこたえるのが、段ごとの計測です。消してみて通過率が下がったなら、すぐ戻せばよい。上がったなら、その要素は迷いの原因だったと分かります。測る仕組みがあれば、引き算は賭けではなくなり、確かめられる実験に変わります。この安心感があるからこそ、直す前に測れる状態を整えることが、いつも先に来るのです。測れない引き算は、ただの度胸試しになってしまいます。
次の一歩を1つに絞る
1つの画面には、訪れた人にとってほしい次の一歩を1つだけ置きます。問い合わせてほしいのか、資料を請求してほしいのか、購入してほしいのか。ページごとに、その1歩を決めて、それ以外の出口を目立たせません。出口が複数あると、人はどれを選ぶか迷い、結局どれも選ばずに離れます。次の一歩が1つに絞られているサイトは、訪れた人にとって親切で、結果として成果に結びつきます。
出口を1つに絞ると、売り込みが弱くなるのではと心配になるかもしれません。実際は逆で、選択肢を減らすほど、人は迷わず前に進めます。あれもこれもと出口を並べたページは、一見手厚く見えて、訪れた人を立ち止まらせます。1つに絞るのは、訪れた人を信じて、まっすぐな道を1本だけ差し出す親切です。その親切が、数字となって返ってきます。迷わせない設計は、いちばん強い売り込みでもあります。
この記事の最後にも、次の一歩を1つだけ置いています。あなたのサイトの各画面でも、同じ問いを立ててください。この画面で、訪れた人にしてほしいことは何か。それが2つ以上あるなら、1つに絞れないかを考えます。
よくある間違った打ち手とその結末
コンバージョン率が上がらないとき、運営者がとりがちな打ち手には、共通した落とし穴があります。どれも一見もっともらしく、実際に一時的な効果が出ることもあるため、なかなか間違いだと気づけません。ここでは代表的な3つを取り上げ、なぜ根本の解決にならないのかを見ていきます。
共通するのは、直す場所を特定しないまま、全体に手を打とうとしている点です。段ごとの通過率を見ずに打つ手は、当たれば運、外れれば予算の無駄になります。
広告費を増やす
問い合わせが少ないとき、真っ先に広告費を増やす運営者は多くいます。訪問は確かに増えます。ところが、抜けている段をそのままにして訪問だけ増やすと、同じ割合で抜け続けるので、費用に見合った成果は返ってきません。冒頭の相談者が「広告費を増やしても問い合わせが変わらない」と言っていたのは、まさにこの状態です。穴の空いたバケツに水を足しても、たまる水は増えません。まず穴をふさぐのが先です。
広告は、サイトの各段の通過率が整ってから増やすと、費用の効きが大きくなります。順番が逆だと、広告費だけがふくらみます。
この順番は、費用の使い方そのものを変えます。同じ予算でも、抜けている段を先に直してから広告に回すと、増えた訪問の一人ひとりが、より高い割合で成果に届きます。穴をふさいでから水を足すので、注いだ分がたまっていくのです。冒頭の相談者が抜け出せずにいたのは、穴の空いたバケツに水を足し続ける形に、気づかないまま入り込んでいたからです。順番を入れ替えるだけで、同じ広告費がまるで違う成果を生み始めます。
デザインを全面から作り替える
コンバージョン率が悪いと、サイト全体を作り替えたくなります。見た目は新しくなり、気分も一新されます。ところが、どこが悪かったのかを特定せずに全部を変えると、良くなっても悪くなっても理由が分かりません。運が良ければ改善し、運が悪ければ、前は効いていた部分まで壊してしまいます。全面の作り替えは、費用も時間もかかるうえに、学びが残らない打ち手です。
作り替えたくなる気持ちの裏には、今のサイトへの漠然とした不満があります。その不満を、見た目を一新することで晴らそうとするのです。ところが、数字で見れば、悪いのはサイト全体ではありません。たいていは特定の1つか2つの段だけです。全体を壊す前に、どの段が弱いのかを数えてみてください。直すべきは見た目の印象ではありません。抜けている一箇所であることがほとんどです。壊してから後悔する前に、まず測る手間を惜しまないでください。
作り替えるとしても、段ごとの通過率を測ってから、抜けている段に絞って手を入れるほうが、費用も学びも無駄になりません。全部を一度に変える誘惑を、まず断ってください。
流行りの施策を全部入れる
他社が使っている新しい施策を見ると、自社にも入れたくなります。話しかけてくる小さな窓、割引の告知、期間限定の表示。1つずつは効くこともありますが、全部を一度に入れると、画面がにぎやかになりすぎて、訪れた人はどれに反応すればいいか分からなくなります。流行りの施策を足すほど、押してほしい1つのボタンが埋もれていきます。
| 間違った打ち手の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 広告費を増やす | 訪問は増えるが同じ割合で抜け続ける | 抜けている段を直してから広告を増やす |
| 全面の作り替え | 何が効いたか分からず学びが残らない | 抜けている段に絞って手を入れる |
| 流行りの施策を全部入れる | 画面がにぎやかで押すボタンが埋もれる | 1つに絞って効果を測ってから足す |
| 平均値に合わせにいく | 他社の数字を追い自社の弱点を見ない | 先月の自分と比べて弱点を直す |
直した効果を正しく測る
1画面を直したら、その効果を正しく測らなければ、次の判断ができません。測り方を間違えると、効いていない手を効いたと勘違いしたり、効いた手を無駄だったと切り捨てたりします。測ることは、直すことと同じくらい大事な工程です。ここを飛ばすと、改善が運任せになります。
測ることを面倒に感じるのは、直すことのほうが目に見えて進んでいる実感があるからです。けれど、測らずに直すのは、目を閉じて的に矢を放つようなものです。当たったかどうかも分からないまま、次の矢を放ち続けることになります。少しの手間で目を開けられるなら、開けたほうがいい。測る工程は、その目を開ける作業にほかなりません。
正しく測るための原則は2つあります。1度に1箇所だけ変えること。そして、判断できるだけの数がたまるまで待つことです。どちらも、当たり前のようでいて、現場ではよく破られます。
1度に1箇所だけ変える
効果を測るには、変える箇所を1つに限る必要があります。同じ週にフォームとキャッチコピーを両方変えたら、数字が動いてもどちらが効いたのか分かりません。1つ変えて、数字を見て、次の1つを変える。この順番を守るからこそ、効いた手を積み上げられます。これは、直す画面を1つに絞るという背骨と、同じ考え方の別の面です。
1箇所に絞ると、改善のリズムも整います。今月はここ、来月はここ、と1つずつ順に手を入れるので、いつ何を変えたかが記録として残ります。半年後に振り返ったとき、どの手が効いて、どの手が空振りだったかを、はっきりたどれます。まとめて変えた履歴からは、この学びを取り出せません。1箇所ずつという制約が、じつは改善の速度を上げます。制約を面倒がらず、味方につけてください。
可能なら、変えた画面と変えていない画面を同じ期間で見比べる比較テストの形をとると、季節や広告の変動の影響を差し引いて効果を見られます。仕組みが難しければ、先月と今月の比較でもかまいません。大事なのは、変えた箇所を1つに絞ることです。
数がたまるまで待つ
直した翌日に数字が上がった、下がったと一喜一憂しても意味がありません。数件の成果では、偶然のばらつきなのか、直した効果なのか区別がつかないからです。判断するには、ある程度の件数がたまるまで待つ必要があります。成果の件数が少ない事業ほど、この待ち時間は長くなります。焦って早すぎる判断を下すと、効いている手を途中でやめてしまいます。
どれくらい待てばいいかは、ふだんの成果の件数によって変わります。1週間に数件しか成果が出ない事業なら、1か月単位で見ることになります。数が少ないうちは、日々の上下に反応せず、腰を据えて待つのが正解です。
待つあいだにやることは、次に直す段の準備です。今の1画面を直し終えたら次はどこか、通過率の表を見ながらあたりをつけておきます。数がたまって効果が確認できた瞬間に、次の1画面へすぐ移れる。待つ時間は空白ではありません。次の一手を仕込む時間です。この段取りができると、改善の歩みが途切れずに続き、毎月1つずつ確実に弱点がつぶれていきます。焦って早く動くより、この静かな連続のほうが、1年後には大きな差になります。
最初の90日でやること
ここまでの考え方を、最初の90日でどう動かすかにまとめます。いきなり全部を変えようとせず、測る、絞る、直す、また測るという流れを、3か月かけて1周させます。焦らず1周させることが、その後の改善を回し続ける土台になります。
| 時期の分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 最初の30日 | そもそも段ごとに数えられていない | 4つの段の通過率を数えられる状態を作る |
| 31日から60日 | 抜けが最大の段が見えてきた | その1画面だけを引き算で直す |
| 61日から90日 | 直した効果を判断する数がたまる | 先月と比べて効果を確かめ次の段へ移る |
| 90日以降 | 1周まわして手順が身についた | 同じ流れを毎月回し続ける |
この90日で最も大事なのは、最初の30日です。段ごとに数えられる状態を作らないまま2か月目に進むと、勘で直すことになり、結局ふりだしに戻ります。急いで直したくなる気持ちを抑えて、まず測れる状態を整えてください。測れさえすれば、あとの2か月は自然に前へ進みます。
90日を1周と考えると、あわてる必要がなくなります。初月に測る土台を作り、2か月目に1画面を直し、3か月目に効果を見て次へ渡す。この落ち着いたリズムが身につくと、以降は毎月が小さな一歩の連続になります。1年で少なくとも数箇所の弱点をつぶせる計算です。派手さはありませんが、この積み重ねが、気づけば大きな差を生みます。最初の90日を丁寧に回すことが、その後の何年ぶんもの成長を決めます。
よくある質問
コンバージョン率の目安は何%を狙えばいいですか。
業種や商材で正解が桁で変わるため、他社の平均を目安に据えても役に立ちません。狙うべきは、先月の自社の数字を今月上回ることです。まず自社の現在地を測り、そこから少しずつ上げていく形が、最も確実で再現できます。
訪問は多いのに成果が出ません。どこから直せばいいですか。
訪問を入口、回遊、フォーム、完了の4つの段に分けて、それぞれの通過率を出してください。一番低い段が、最初に直すべき1画面です。全体の数字だけを見ていると直す場所が分からないので、必ず段に分けて数えます。
計測ツールは有料のものが必要ですか。
最初は無料の計測ツールで十分です。訪問の数と、各段の通過数、成果の件数が数えられれば、直す場所は特定できます。道具の性能を上げる前に、いまある無料の道具で段ごとに数える習慣をつけるほうが先です。
広告費を増やせばコンバージョン率は上がりますか。
広告費は訪問を増やしますが、コンバージョン率そのものは上げません。抜けている段をそのままにして訪問だけ増やすと、同じ割合で抜け続けます。先に抜けている段を直し、通過率が整ってから広告を増やすと、費用の効きが大きくなります。
直してから効果はどれくらいで分かりますか。
ふだんの成果の件数によります。1週間に数件しか成果が出ない事業なら、判断できる数がたまるまで1か月ほど待つことになります。翌日や数日の上下で判断すると、偶然のばらつきに振り回されるので、数がたまるまで腰を据えて待ってください。
まとめ
コンバージョン率は、平均値の一覧をながめても上がりません。上げるための道筋は、測る、絞る、直す、また測るの繰り返しです。まず訪問を4つの段に分けて通過率を出し、抜けが最大の1つの段を最初の1画面に選びます。その画面を、足すより引くで直し、1度に1箇所だけ変えて、数がたまるまで待って効果を確かめます。そして次の段へ移ります。
この手順の良いところは、特別な才能も大きな予算も要らないことです。要るのは、段に分けて数える手間と、直す場所を1つに絞る決断と、数がたまるまで待つ辛抱だけです。どれも、今日から始められます。難しい理論を学ぶ前に、まず自社のサイトを4つの段に分けて数えてみてください。それだけで、これまで見えなかった弱点が、数字になって目の前に現れます。
この記事の背骨は、数字を追う前に直す画面を1つに絞る、という一点でした。改善施策の一覧を全部やろうとするから前に進めないのであって、順番と集中を先に決めれば、少ない手数で数字は動きます。訪れた人の次の一歩に静かに奉仕する。「売れるサイトはみな謙虚」というのは、その姿勢のことです。読み終えたいま、あなたのサイトで最初に直す1画面が1つ決まっていれば、この記事の役目は果たせています。
もし1画面がまだ決まらないなら、それは測る土台がまだ無いというしるしです。焦って直し始める前に、まず4つの段を数えるところへ戻ってください。数えれば、直す場所はおのずと1つに定まります。順番を守るほど、遠回りに見えて近道になります。今日できるのは、たった1つの段を数えることです。そこから、すべてが始まります。
その日にできる点検
最後に、今日この場で始められる点検を並べます。どれも特別な道具は要りません。上から順に、自社のサイトを開いて確かめてください。
| 点検する箇所の分類 | いま確かめること | その場でできる次の一歩 |
|---|---|---|
| 成果の定義 | 自社の成果が1つに決まっているか | 問い合わせか購入か資料請求か1つに決める |
| 段ごとの計測 | 4つの段の通過数を数えられるか | 無料の計測ツールで各段の数を確認する |
| 入口の画面 | スマホの一画面目に結論と一歩があるか | 指でスクロールする前の範囲だけを見て判断する |
| フォーム | 入力項目に削れるものはないか | 後から聞ける項目を1つ削ってみる |
| 次の一歩 | 各画面の出口が1つに絞られているか | 目立つ出口を1つ残して他を控えめにする |
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