先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。「アクセス数はそれなりにあるのに、問い合わせがほとんど来ません。ページはたくさん作りました。会社の情報も、サービスの説明も、実績も載せています。それなのに、訪れた人がどこかへ消えてしまいます。導線を見直したほうがいいと言われましたが、導線というものをどう直せばいいのか、正直よく分かっていません」。人は来ているのに成果につながらない、というもどかしさが伝わってきました。
この悩みは、サイトを持つ9割の中小企業が同じ場所でつまずく罠です。ページを増やせば増やすほど、訪問者は迷います。情報はそろっているのに、次にどこへ進めばいいのかが示されていない。だから、せっかく興味を持った人が、行き止まりで立ち止まり、そのまま去っていきます。導線とは、この訪問者を目的の行動まで迷わせずに運ぶための道です。この記事では、導線とは何かを言葉にし、設計の考え方と、全ページへの反映のさせ方までを順にお伝えします。読み終えたとき、あなたのサイトで最初に手を入れる場所が一つ決まっているはずです。
アクセスがあるのに問い合わせが来ないという状態は、集客の問題に見えて、実は受け皿の問題であることが多いものです。人はすでに来ています。来た人を行動まで運べていないだけです。この場合、広告を足して人をさらに増やしても、受け皿が漏れていれば成果は変わりません。まず、来ている人が行動までたどり着ける道を通す。順番を間違えなければ、いまのアクセス数のままでも問い合わせは増やせます。
サイトの導線とは何か
サイトの導線とは、訪問者を入口から目的の行動まで運ぶ一本の道です。目的の行動とは、多くの中小企業にとって問い合わせや相談の予約です。訪問者がどのページから入っても、そこから次に何をすればいいのかが示され、迷わず一つの行動までたどり着ける。この道筋が設計されている状態を、導線が通っていると言います。
導線という言葉は、動線と混同されがちです。動線は、訪問者が実際にどう動いたかという結果です。導線は、作り手が訪問者にこう動いてほしいと願って、あらかじめ用意した道です。まず導線を設計し、実際の動線を見て、ずれていれば導線を直す。この2つは、設計と結果という関係にあります。動線の分析だけをしても、導く道が用意されていなければ、訪問者は行きたい場所へ向かってくれません。
身近なたとえで言えば、導線はお店の中に引いた案内表示で、動線はお客さんが実際に歩いた足あとです。案内表示が無ければ、お客さんは店内を迷い、目当ての棚にたどり着けません。足あとだけを眺めても、なぜ迷ったのかは分かりません。案内表示を用意し、足あととのずれを見て表示を直す。この繰り返しで、お客さんが迷わない店になります。サイトの導線設計も、まったく同じ考え方です。
現場でよく聞くのが、こんな声です。「サービスの説明ページはよく見られているのに、そこから問い合わせに進む人がほとんどいませんでした」。これは、説明ページという場所はあるのに、そこから次の行動への道が引かれていない状態です。読んで興味を持った人が、その勢いのまま一歩を踏めるよう、道を用意しておく。導線設計とは、この一歩一歩をつなぐ地道な作業です。
| 比べる点 | 導線 | 動線 |
|---|---|---|
| 意味 | こう動いてほしいと用意した道 | 訪問者が実際に動いた結果 |
| 作る側の立場 | 設計するもの | 観察して分析するもの |
| 使い方 | 目的の行動へ運ぶ道を引く | 引いた道とのずれを見つける |
| これが弱いと | 訪問者が次の一歩を見つけられない | どこで離れたか分からず直せない |
導線が設計されていないと起きること
導線が引かれていないサイトでは、目に見える形で不具合が現れます。訪問者は、興味を持っても次へ進めず、行き止まりで立ち止まり、迷った末に去ります。一つずつのページは丁寧に作られていても、それらをつなぐ道が無ければ、訪問者はページの間で迷子になります。ここでは、導線が空白のときに起きる代表的なことを見ていきます。
やっかいなのは、この迷子が数字に見えにくいことです。アクセス数だけを見ていると、人は来ているので問題ないように見えます。ところが、その人たちが行動までたどり着けずに去っていることは、アクセス数からは分かりません。問い合わせが少ないという結果だけが残り、原因が導線にあると気づきにくいのです。まずアクセスと行動の数を並べて見ることが、迷子の存在に気づく第一歩になります。
行き止まりで訪問者が消える
よくあるのが、読み終えたページに次の一歩が無い行き止まりです。サービスの説明を読み終えた人が、次に何をすればいいのか示されないと、その場で手が止まります。もっと知りたい、相談したいという気持ちが芽生えても、進む先が見当たらなければ、その気持ちは行き場を失います。行き止まりは、せっかく高まった関心を、静かに手放す場所です。
行き止まりが生まれるのは、各ページを個別に作るからです。担当者はそのページを完成させることに集中し、そのページの次にどこへ進むかまでは考えが及びません。一枚ずつは丁寧でも、ページとページの間の道が抜け落ちます。サイト全体を一つの流れとして見渡し、どのページの次にどこへ進むかを描く視点が、行き止まりを防ぎます。個別の完成度より、つながりを見る目が要ります。
訪問者が迷って離れる
逆に、進む先が多すぎても訪問者は迷います。あれも見てほしい、これも読んでほしいとリンクを並べると、どれを選べばいいのか分からず、選ぶこと自体をやめてしまいます。人は迷うと立ち止まる生き物です。道が多すぎることは、道が無いことと同じくらい、訪問者を止めます。導線は、増やすほど良いものではありません。
目的の行動が示されない
そもそも、取ってほしい行動がページのどこにも示されていないこともあります。会社の情報やサービスの説明は充実しているのに、では問い合わせはどこから、という入口が見当たらない。訪問者が行動したくなった瞬間に、その入口がすぐ目に入らなければ、気持ちは冷めていきます。目的の行動への入口は、探させてはいけません。
行動の入口を控えめにしてしまう背景には、売り込みが強いと嫌われるという心配があります。その気持ちは分かりますが、相談したいと思った人にとって、入口が見つからないことのほうが不親切です。押し売りと、必要な人にすぐ入口を示すことは、別のことです。行動したい人がいつでも手を伸ばせる場所に入口を置くのは、迷わせないための配慮です。遠慮して隠すと、いちばん行動に近い人を取りこぼします。
| 起きること | 訪問者の状態 | 次にすること |
|---|---|---|
| 行き止まり | 読み終えて次の一歩が見えず止まる | 各ページの末尾に次の一歩を置く |
| 道が多すぎる | 選択肢が多く選べずに離れる | 進む先を主役の一つに絞る |
| 行動の入口が無い | 相談したいのに入口を探せない | 目的の行動への入口を目立たせる |
| 入口と中身がずれる | 期待と違い着地してすぐ離れる | 入口の言葉とページの中身をそろえる |
導線と回遊は別の話
導線を考えるとき、たくさんのページを見てもらう回遊と混ざりがちです。この2つは、目指すものが違います。回遊は、サイト内で多くのページを見てもらうことです。導線は、目的の一つの行動まで運ぶことです。ページをたくさん見てもらうこと自体を目的にすると、訪問者はサイト内をさまようだけで、肝心の行動にたどり着きません。
大切なのは、回遊を目的の行動へ向かう回遊にすることです。むやみに滞在時間を延ばしても、問い合わせにつながらなければ成果になりません。訪問者が次々にページを見ていても、その流れが行動から遠ざかる方向なら、導線としては失敗です。見てもらうページの数を増やす前に、その流れが一つの行動へ向かっているかを確かめます。導線の物差しは、ページの数よりも、行動までたどり着いたかどうかです。
回遊を増やす施策として、関連記事をたくさん並べる方法がよく使われます。ここに落とし穴があります。関連記事を読み進めるうちに、訪問者は最初の関心から離れ、行動の入口から遠ざかっていきます。関連記事を置くなら、それが最終的に一つの行動へ戻ってくる流れになっているかを確かめます。読み物として楽しませるだけで行動に戻らない回遊は、成果の面では時間を消費させているだけになりかねません。
この違いを取り違えると、直す場所を間違えます。滞在時間を延ばそうと関連記事を増やし、かえって行動から遠ざかる流れを作ってしまう。そうならないために、まず一つの行動を決め、すべての道をそこへ向けます。回遊は、その一本道を補強するときにだけ足します。順番を守れば、回遊と導線は矛盾せずに両立します。
導線設計の考え方
導線設計は、3つの順番で考えると迷いません。訪問者がどこから入るかを知る。各ページに次の一歩を置く。進む先を一本に絞る。この3つを順に進めると、ばらばらだったページが、一つの行動へ向かう道でつながります。難しい分析の前に、まずこの考え方の骨格を持つことが、どこから手をつけるかを見えやすくします。
この3つの順番には理由があります。入口を知らずに道を引くと、実際には使われない入口ばかりを整えてしまいます。次の一歩を置かずに絞ろうとしても、そもそも道が無ければ絞れません。順番どおりに、まず現状の入口を知り、道を通し、それから余計な道を削る。この流れで進めると、無駄なく、迷わず、導線を組み立てられます。骨格を持つことが、細かい作業に入る前の道しるべになります。
訪問者がどこから入るかを知る
訪問者は、必ずしもトップページから入るとは限りません。検索から特定の記事に、広告から特定のページに、直接たどり着きます。どのページも入口になり得ます。だから、トップページだけに道を引いても足りません。よく見られている入口のページを知り、そこから目的の行動まで道が通っているかを確かめます。入口を知ることが、導線設計の出発点です。
各ページに次の一歩を置く
入口が分かったら、そのページを読み終えた人が次にどこへ進めばいいかを示します。どのページも、読み終わりが行き止まりにならないようにします。サービスの説明を読んだ人には相談への入口を、実績を見た人にはより詳しい相談への道を。読み終えた気持ちの高まりを、次の一歩へつなぎます。全ページに次の一歩を置くことが、道を通す作業の中心です。
進む先を一本に絞る
次の一歩を置くとき、進む先を欲張らないことが大切です。あれもこれもと複数の道を並べると、訪問者は迷います。各ページで、いま最も進んでほしい一つの道を主役にし、それを目立たせます。他の道は、控えめに添える程度にします。道を一本に絞ることが、迷わせない導線の要です。増やす誘惑をこらえ、削って一本にします。
| 考え方の順番 | やること | 飛ばすと起きること |
|---|---|---|
| 入口を知る | よく見られる入口のページを把握する | トップだけに道を引き入口が放置される |
| 次の一歩を置く | 各ページの末尾に進む先を示す | 読み終えた人が行き止まりで消える |
| 一本に絞る | 進む先を主役の一つにする | 道が多すぎて訪問者が迷う |
全ページに次の一歩を置く
導線設計で最も効くのが、すべてのページに次の一歩を用意することです。訪問者は、どのページから入り、どのページで読み終えるか分かりません。だから、どのページで読み終えても、次に進む先が示されている状態を作ります。行き止まりのページを一つずつ無くしていく。この地道な作業が、消えていく訪問者を引き止めます。
ページの内容に合った次の一歩にする
次の一歩は、そのページの内容に合ったものにします。サービスの説明を読んだ人と、料金の考え方を読んだ人では、次に進みたい先が違います。説明を読んで興味を持った人には相談への入口を、比較で迷っている人には判断を助ける情報への道を。読み終えた人の気持ちに寄り添った一歩を示すと、自然に次へ進んでもらえます。どのページにも同じ一歩を貼るだけでは、この寄り添いが生まれません。
寄り添った一歩を用意するには、そのページを読み終えた人がいまどんな気持ちかを想像します。まだ迷っている人に、いきなり契約を迫っても引かれます。もう少し知りたい人には、その知りたいことに答える道を。ほぼ決めている人には、相談への短い道を。同じサイトの中でも、ページごとに読み手の段階は違います。その段階に合わせて次の一歩を変えることが、寄り添った導線をつくります。
次の一歩を分かる言葉で書く
次の一歩を示すボタンやリンクの言葉も大切です。詳しくはこちらのようにぼやかすと、押した先で何が起きるか分からず、訪問者は手を止めます。無料で相談する、資料を受け取る、というように、押した先の景色が分かる言葉にします。行動の直前に、その一歩が軽いことや、無理な売り込みがないことを一言添えると、迷っている人の背中を押せます。
ボタンの言葉は、少し変えるだけで押される数が変わります。こちらという指示語だけの言葉と、押した先で得られることを表した言葉では、受け取る印象がまったく違います。相手が押す前に、その先の景色を思い描ける言葉を選ぶ。この小さな工夫の積み重ねが、導線全体の通りやすさを底上げします。言葉一つひとつが、道の途中に立つ案内板の役目を果たします。
次の一歩を見つけやすい場所に置く
次の一歩は、訪問者が読み終えたところにあるのが自然です。長いページなら、途中にも置きます。読み進めて気持ちが高まったところで、すぐ手を伸ばせる場所に入口があると、その勢いのまま行動につながります。ページの一番下まで探さないと見つからない状態は、高まった気持ちを冷まします。見つけやすさが、行動の量を左右します。
スマートフォンでの導線を最優先する
いまや、多くのサイトで訪問者の大半はスマートフォンから訪れます。ところが導線は、作り手が見慣れたパソコンの広い画面を基準に設計されがちです。小さな画面では、パソコンで見えていた次の一歩が、下のほうに埋もれて見えなくなります。導線を考えるときは、まず小さな画面で、迷わず一つの行動までたどり着けるかを確かめます。
小さな画面で次の一歩が見えるか
パソコンの画面では、横に並んだメニューやボタンが一目で見えます。スマートフォンでは、それらが縦に長く連なり、目的の入口までたくさんスクロールすることになります。読み終えた場所のすぐ近くに次の一歩があるか、指で押しやすい大きさかを、実際に自分のスマートフォンで確かめます。小さな画面で押しにくい入口は、そこで訪問者を取りこぼします。
指の動きに沿った配置にする
スマートフォンは指で操作します。片手で持って親指で届く範囲に、主役の入口があると押されやすくなります。画面の隅の押しにくい場所や、他の要素と近すぎて誤って押しやすい配置は避けます。読み進める指の流れに沿って、自然に行動の入口へ手が届く。この配置の工夫が、小さな画面での取りこぼしを減らします。
実際に、自分のスマートフォンでサイトを開いて、入口まで指で進んでみるのが一番の確かめ方です。パソコンの画面では気づかなかった押しにくさや、見つけにくさが、その場で分かります。作り手はパソコンで作業するので、小さな画面での使い勝手を見落としがちです。訪問者の大半が使う画面で、自分の指で試す。この一手間が、机の上では気づけない導線の穴を見つけます。
行き止まりページをなくす
導線を直すとき、まず探すのが行き止まりのページです。訪問者がよく訪れるのに、そこから次へ進む道が無いページ。ここが、成果を取りこぼしている場所です。よく見られているのに行動につながっていないページを見つけ、そこに次の一歩を足すだけで、同じアクセス数から生まれる行動が増えます。
よく見られる行き止まりから直す
すべてのページを一度に直す必要はありません。よく見られているのに、そこから先へ進む人が少ないページから手をつけます。訪問数が多いということは、そこに関心が集まっているということです。関心が集まる場所に次の一歩を足すと、効果が大きく出ます。訪問の少ないページを直すより、まず多く見られる行き止まりを一つ直すほうが、少ない手間で成果が変わります。
この考え方は、限られた時間で成果を出したい中小企業に特に向いています。すべてのページを完璧にしようとすると、手が回らず途中で止まります。最も多くの人が訪れ、最も多く取りこぼしている一枚に絞って直せば、同じ労力で得られる成果が大きくなります。一枚直して効果を確かめ、その手応えを次の一枚に生かす。この積み重ねが、無理なく続けられる改善のかたちです。
読み終えた気持ちを次へつなぐ
行き止まりを直すとは、読み終えた人の気持ちを次へつなぐことです。現場でも「一覧から個別のページへは進むのに、そこから先の相談まで進む人がいませんでした」という声をよく聞きます。この内容を読んだ人は、次に何を知りたいか、何をしたいか。それを想像し、その先へ進む道を用意します。ここで自社の都合で進めたい先へ無理に引くと、訪問者の気持ちとずれます。あくまで読み手が次に望むことに沿って、道を引きます。気持ちの流れに沿った道が、無理なく行動へつながります。
読み手が次に望むことを知るには、想像だけに頼らず、実際の動きを見るのが確実です。あるページを読んだ人が、次にどのページへ多く進んでいるか。その動きは、読み手が自然に望んだ方向を教えてくれます。その方向に沿って道を太くすれば、無理なく流れが生まれます。作り手の願いと、読み手の自然な動き。この2つを重ね合わせたところに、最も通りやすい道が引けます。
問い合わせフォームまでの最後の導線
導線がうまく行動の入口まで運べても、その先のフォームでつまずくと、そこまでの道のりが水の泡になります。フォームは、導線の一番奥にある最後の関門です。ここで入力の負担が重いと、せっかく行動しようと決めた人が、面倒くささで手を止めます。行動の入口から送信の完了までを、一続きのなめらかな道として設計します。
入口からフォームまでを一続きにする
行動の入口を押した人が、フォームまで迷わずたどり着けるかを確かめます。押した先が別のページの分かりにくい場所だったり、そこからさらに探させたりすると、その間に気持ちが冷めます。入口を押したらすぐ入力を始められる。この一続きの流れが、高まった気持ちを行動へつなぎます。入口とフォームの間に、余計な回り道を挟まないようにします。
よくあるのが、問い合わせボタンを押したら、いろいろな案内が並ぶ別のページに飛ばされる作りです。相談したい人は、そこでまた探すことになり、熱が冷めます。押したらすぐ入力欄が目に入る。この一手で、最後の取りこぼしが減ります。導線の一番奥まで丁寧に設計してこそ、それまでに引いてきた道が生きます。最後の数歩を、決して雑に扱わないことです。
入力の負担を軽くする
フォームの入力項目は、少ないほど最後まで埋めてもらえます。後で使うかもしれないからと項目を増やすと、その一つひとつが離脱の理由になります。いま本当に必要な項目だけに絞り、それ以外はやり取りが始まってから聞きます。導線を丁寧に引いても、最後のフォームが重ければ、そこで取りこぼします。最後の一歩まで軽くして、初めて導線が完成します。
導線は増やすより削って一本にする
導線を良くしようとすると、道を足したくなります。あれも見てほしい、これも読んでほしいと、リンクやメニューを増やす。ところが、道が増えるほど訪問者は迷います。良い導線は、道の多さよりも、迷わなさで決まります。増やす誘惑をこらえ、要らない道を削って、目的の行動へ向かう一本を太くする。この引き算が、導線設計の勘所です。
削るときの基準は、その道が目的の行動へ近づけるかどうかです。行動から遠ざかる道、訪問者を迷わせるだけの道は、思い切って外します。メニューの項目が多すぎるなら、主要なものだけに絞ります。ページ内のリンクが散らかっているなら、いま進んでほしい一つを残して整理します。削ることは、訪問者への親切です。選択肢を減らすほど、訪問者は迷わずに進めます。
とはいえ、必要な道まで削ってはいけません。会社の信頼を伝える情報や、判断に必要な材料は残します。削る対象は、行動から遠ざける道や、あってもなくても訪問者の判断を助けない道です。何を残し何を削るかの基準を、目的の行動へ近づくかどうかに置く。この基準がぶれなければ、削りすぎる心配はありません。訪問者が迷わず、かつ必要な情報にはたどり着ける。その両立が、整った導線です。
道を削るのは、勇気のいる作業です。せっかく作ったページへのリンクを外すのは、もったいなく感じます。それでも、訪問者の立場に立てば、選択肢が多いほど迷い、決められなくなります。作り手が見せたいものと、訪問者が迷わず進める道は、必ずしも一致しません。訪問者が一つの行動まで迷わず進めることを最優先に、それを妨げる道を外す。この割り切りが、成果の出る導線をつくります。
| 足しがちな道 | 良かれと思う理由 | 実際に起きること |
|---|---|---|
| 関連リンクを増やす | もっと見てほしい | 選択肢が増えて訪問者が迷う |
| メニュー項目を増やす | すべての情報へ行けるように | どれを押せばよいか分からなくなる |
| 行動の入口を複数並べる | 選べるようにしたい | 主役がぼやけてどれも押されない |
| あらゆる情報を一画面に | 親切のつもり | 情報過多で肝心の一歩が埋もれる |
入口ごとに導線を変える
訪問者は、いろいろな入口からやってきます。検索から、広告から、SNSから。それぞれの入口で、訪問者の気持ちの段階が違います。同じ導線を全員に当てても、うまくかみ合いません。入口ごとに、その人がいまどの段階にいるかを考え、合った道を用意します。入口に合わせて道を変えることが、行動の量を底上げします。
検索から来た人の導線
検索から来た人は、打ち込んだ言葉の答えを探しています。まずその答えをページの上のほうで示し、探し物が見つかった安心感を与えます。その上で、関連する自社のサービスへ、そして相談への道を用意します。答えを出し惜しみして、いきなり売り込みへ引くと、探し物が見つからないまま離れられます。答えを先に、行動の道はその後に置きます。
検索から来た人を無理に行動へ引こうとすると、かえって逆効果になります。まだ調べている段階の人に、いきなり契約を迫れば離れます。この段階では、まず役に立つ答えを渡して信頼を得ることが先です。信頼が生まれれば、その延長で相談への道も自然に受け入れられます。急いで刈り取ろうとせず、答えで関係を作ってから行動へ運ぶ。この順番が、検索から来た人には効きます。
広告から来た人の導線
広告から来た人は、広告で見た言葉に引かれて来ています。着地したページで、その言葉をそのまま受け止めることが大切です。広告とページで言っていることが食い違うと、着地した瞬間に違和感で離れます。広告の約束を受け止め、その勢いのまま行動へ運ぶ短い道を用意します。広告から来た人には、迷わせる余計な道を見せないほうが効きます。
知り合いや紹介から来た人の導線
紹介や名刺から会社名で検索して来た人は、すでにあなたの会社に一定の関心があります。この人には、会社の信頼が伝わる情報と、相談へのなめらかな道を用意します。関心が高いので、余計な説明で回り道させず、相談したくなったときにすぐ手を伸ばせる入口を目立たせます。関心の段階に応じて、道の長さと見せる情報を変えます。
この関心の高い人を、他の入口と同じ長い導線に乗せてしまうのは、もったいない話です。すでに信頼している相手に、一から会社説明を読ませる必要はありません。むしろ、余計な情報で回り道させると、行動への熱が冷めます。関心が高い人ほど、短く、まっすぐ、行動の入口へ運ぶ。この人たちは、最も商談に近い層です。ここへの導線を短く保つことが、確実な成果につながります。
| 入口 | 訪問者の段階 | 合う導線 |
|---|---|---|
| 検索 | 答えを探している | 答えを先に示し行動の道を後に置く |
| 広告 | 広告の言葉に引かれている | 約束を受け止め短い道で行動へ運ぶ |
| 紹介や名刺 | すでに関心がある | 信頼を伝え相談への入口を目立たせる |
導線設計の手順
導線設計は、4つの手順で進めます。現状を把握し、道を設計し、サイトに反映し、数字で確かめる。この順に進めると、思いつきの手直しに頼らず、根拠を持った改善になります。下の図は、この4つが一つの流れとしてつながり、確かめた結果をまた設計に戻す循環になっていることを表しています。
現状を把握する
まず、いまの導線がどうなっているかを知ります。よく見られる入口はどこか、どのページで訪問者が離れているか、目的の行動にたどり着く人はどれくらいか。この現状を数字で押さえると、思い込みで直す事故を防げます。数字を見ずに感覚で直すと、実は問題の無かった場所を触り、本当の弱点を見逃します。
Googleが公表しているサイト運営の指針でも、訪問者が次に何をすればよいか迷わない分かりやすさが繰り返し重視されています。検索で成果を出すための土台として、使い勝手の良さ、迷わせない構成が挙げられているのです。導線設計は、この分かりやすさをサイト全体で作り込む作業にあたります。数字で現状を押さえることは、その分かりやすさが実際に働いているかを確かめる目になります。
設計して反映する
現状が分かったら、入口から行動までの道を設計し、サイトに反映します。行き止まりに次の一歩を足し、多すぎる道を削り、入口ごとに合った道を引く。設計は紙の上で一度整理してから、サイトに落とし込みます。頭の中だけで進めると、全体の流れを見失います。一度書き出して、道の全体像を目で見えるようにします。
数字で確かめて戻す
反映したら、その効果を数字で確かめます。直したページから次へ進む人が増えたか、目的の行動にたどり着く人が増えたか。効果が出ていれば、その考え方を他のページにも広げます。効果が出ていなければ、想定した気持ちの流れがずれていたということです。確かめた結果を次の設計に戻すことで、導線は少しずつ精度を上げていきます。
この循環は、一度回して終わりではありません。事業の内容が変わったり、新しいページが増えたりするたびに、導線はまた乱れます。だからこそ、定期的にサイト全体を見渡し、行き止まりが増えていないか、道が散らかっていないかを確かめます。導線設計は、作って終わりの工事というより、育て続ける庭仕事に近いものです。手を入れ続けたサイトだけが、迷わせない状態を保ちます。
数字で導線の弱点を見つける
導線の弱点は、感覚では見つかりません。数字が、訪問者がどこで止まったかを教えてくれます。とはいえ、細かい数字を全部追う必要はありません。まず見るのは、よく見られる入口と、そこから次へ進んだ人の割合、そして目的の行動までたどり着いた人の数です。この3つが、導線のどこが細いかを指さしてくれます。
入口はよく見られているのに、そこから次へ進む人が少ないなら、そのページが行き止まりになっています。途中まで進むのに、目的の行動の手前で多くが離れるなら、その手前に迷わせる何かがあります。数字が示すのは、次に直す一箇所です。すべてを一度に直そうとせず、最も多く取りこぼしている一箇所から手をつけると、変化を確かめながら進められます。
数字を見るときに気をつけたいのが、少ない訪問数で結論を出さないことです。数人の動きは、たまたまの上下に大きく揺れます。ある程度の人数が集まってから割合を見ないと、良し悪しを取り違えます。あわてて何度も作り替えると、どの直しが効いたのかも分からなくなります。人数がたまるまで待ち、たまったら一箇所ずつ直して、その効果を確かめる。この地道な繰り返しが、導線を確実に良くしていきます。
| 見る数字 | 読み取れること | 次にすること |
|---|---|---|
| 入口の訪問数 | どのページに関心が集まるか | 関心の集まる入口から道を確かめる |
| 次へ進んだ割合 | そのページが行き止まりか | 低いページに次の一歩を足す |
| 行動の手前の離脱 | どこで迷わせているか | 手前の道を削って迷いを減らす |
| 行動までの到達数 | 導線全体が働いているか | 最も細い箇所から一つずつ太くする |
よくある間違いとその末路
導線を良くしようとして、かえって悪くする間違いがあります。どれも良かれと思ってやることですが、訪問者を迷わせる結果になります。ここでは代表的なものと、その末路を整理します。当てはまるものがあれば、そこが導線を立て直す入口です。
| やってしまう間違い | 良かれと思う理由 | 実際に起きる末路 |
|---|---|---|
| 情報を全部一画面に詰める | 探させないよう親切に | 肝心の一歩が埋もれて押されない |
| 滞在時間を延ばそうとする | 長くいてもらうほど良い | 行動から遠ざかる回遊を作る |
| 行動の入口を隠し気味にする | 売り込みが強いと嫌われる | 行動したい人が入口を探せず離れる |
| 全ページに同じ案内を貼る | 手間をかけずに次を示せる | 読み手の気持ちに合わず素通りされる |
業種ごとのつまずきどころ
導線の考え方はどの業種にも共通しますが、つまずく場所には業種ごとの傾向があります。自社がどれに近いかを知ると、先に手をつけるべき場所が見えます。ここでは中小企業でよく見る例を並べます。当てはまるものがあれば、そこから直すと効きます。
| 業種の例 | つまずきやすい場所 | 先に直すと効く一箇所 |
|---|---|---|
| 製造業 | 製品ページが行き止まりで相談へ進めない | 製品ページの末尾に相談の入口を足す |
| 専門サービス | 実績ページは見られるが行動が無い | 実績を読んだ人へ相談の道を引く |
| 小売や店舗 | 商品情報は多いが来店や注文の道が細い | 商品ページから行動への道を太くする |
| 建設や工事 | 施工事例が入口だが問い合わせが遠い | 事例のそばに相談の入口を置く |
よくある質問
導線と動線はどう違いますか
導線は、作り手が訪問者にこう動いてほしいと願って用意した道です。動線は、訪問者が実際にどう動いたかという結果です。まず導線を設計し、実際の動線を見て、ずれていれば導線を直します。設計が導線、結果が動線という関係です。動線を分析するだけでは足りません。導く道を用意したうえで、その道と実際の動きのずれを見て直していくのが、導線設計の進め方です。
ページをたくさん見てもらうことは良いことですか
それ自体が目的になると危ういです。大切なのは、目的の行動へ向かう流れになっているかです。たくさんのページを見ていても、行動から遠ざかる流れなら、成果につながりません。まず一つの行動を決め、すべての道をそこへ向けます。多くのページを見てもらうのは、その一本道を補強するときにだけ足す、と考えると、回遊と導線が矛盾せずに両立します。
どのページから直せばよいですか
よく見られているのに、そこから次へ進む人が少ないページから直します。訪問数が多いということは、関心が集まっているということです。そこに次の一歩を足すと、効果が大きく出ます。訪問の少ないページを直すより、多く見られる行き止まりを一つ直すほうが、少ない手間で成果が変わります。数字で最も取りこぼしている一箇所を見つけ、そこから手をつけます。
行動の入口はいくつ置くべきですか
各ページで、主役は一つに絞ります。複数の入口を同じ大きさで並べると、訪問者は選べず、どれも押されなくなります。いま最も進んでほしい一つを目立たせ、他は控えめに添えます。主と従の順番をつけるだけで、迷いが減ります。全部を同じ強さで見せるより、一つを主役に立てるほうが、結果として多くの人が行動します。
導線を直しても行動が増えないときはどうしますか
まず、想定した気持ちの流れが実際とずれていないかを確かめます。作り手が引きたい道と、訪問者が進みたい道が違うと、道を用意しても進んでもらえません。数字で、どこで離れているかを見直します。次に、次の一歩の言葉が分かりやすいか、入口が見つけやすい場所にあるかを確かめます。この2つが、増えないときに最初に見る場所です。
まとめ
サイトの導線とは、訪問者を入口から目的の行動まで運ぶ一本の道です。訪問者が実際にどう動いたかという動線とは違い、作り手が用意して引く道です。導線が設計されていないと、訪問者は行き止まりで消え、多すぎる道で迷い、行動の入口を見つけられずに離れます。ページをたくさん見てもらう回遊と混同せず、すべての道を一つの行動へ向けます。
導線設計は、入口を知り、各ページに次の一歩を置き、進む先を一本に絞る、という順で考えます。よく見られる行き止まりから直し、道は増やすより削って一本を太くします。入口ごとに訪問者の段階に合った道を引き、現状把握から設計、反映、測定へと循環させます。数字で最も取りこぼしている一箇所を見つけ、そこから一つずつ直していくことが、同じアクセス数から生まれる行動を増やします。
導線設計は、派手な作り替えを必要としません。行き止まりに一歩を足し、多すぎる道を削り、入口ごとに合った道を引く。どれも地味な作業です。ですが、この地味な積み重ねが、いまあるアクセスを成果に変えます。新しく人を集める前に、来ている人を行動まで運ぶ道を整える。この順番を守ることが、限られた力で成果を出す近道です。
今日できる点検
読み終えたら、次の点検を一つずつ確かめてみてください。当てはまらない項目が、あなたのサイトで最初に手を入れる場所です。
| 点検する場所 | 確かめること | 当てはまらなければ直す方向 |
|---|---|---|
| 入口の把握 | よく見られる入口を知っているか | 数字で入口のページを確かめる |
| 次の一歩 | 各ページの末尾に進む先があるか | 行き止まりに次の一歩を足す |
| 道の数 | 進む先が一つに絞られているか | 多すぎる道を削り主役を一つにする |
| 行動の入口 | 目的の行動の入口が目立つか | 探させず見つけやすい場所に置く |
| 数字の確認 | どこで離れているかを見ているか | 最も取りこぼす一箇所から直す |
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