コンテンツ制作を外注したい。ただ、相場が分からないので見積もりを見ても高いのか安いのか判断できない。
この段階で止まっている会社は多くあります。
この記事では、費用を2つに分けて整理します。1つ目は、見積書に載る外注費です。
2つ目は、見積書に載らない社内工数です。この2つ目を計算に入れないまま予算を組むと、あとから「思ったよりコストがかかっている」という認識のずれが生まれます。
先に、数字の扱いについて断っておきます。コンテンツ制作代行の料金について、公的機関や業界団体が公表した相場調査を、この記事の執筆時点で見つけられませんでした。
そのため金額の相場は断定を避けて書きます。代わりに、料金がどう決まるのか、そして自社のコストをどう計算するのかを書きます。
計算の型さえ持っていれば、提示された見積もりが自社にとって高いか安いかは判断できます。
まず、料金の決まり方を3つに分けます
制作会社やライターが提示する料金は、課金の方式がいくつかに分かれます。方式が違うと、同じ金額でも意味が変わります。
| 方式 | 計算の仕方 | 向いている場面 | 注意する点 |
|---|---|---|---|
| 文字単価 | 1文字あたりの単価×文字数 | 分量が読める定型的な記事 | 文字数を増やす動機が働く |
| 記事単価 | 1本あたりの固定額 | 取材や調査が入る記事 | 何をどこまで含むかの確認が要る |
| 月額 | 本数と作業範囲をまとめた月額 | 継続して出し続ける運用 | 本数が減った月の扱いを決めておく |
比較するときは、方式をそろえてから並べてください。文字単価の見積もりと記事単価の見積もりを金額だけで比べると、含まれている作業の違いが見えなくなります。
金額を動かしている要素は6つです
同じ「記事1本」でも、提示額が数倍に開くことがあります。開きを作っているのは、おおむね次の6つです。
見積もりを受け取ったら、この6つがどうなっているかを確かめてください。
| 要素 | 金額が上がる側 | 金額が下がる側 |
|---|---|---|
| 調べる深さ | 一次情報にあたる。取材する | 公開情報をまとめる |
| 書き手の分野知識 | その業界の実務を知っている | 分野を問わず受ける |
| 確認の体制 | 編集者と校正者が別にいる | 書き手がそのまま納品する |
| 作業範囲 | 構成案・図表・入稿まで含む | 本文の原稿だけ |
| 修正の条件 | 回数の上限なし | 初回のみ、または回数制限 |
| 納期 | 短納期 | 余裕のある納期 |
安い見積もりが悪いわけではありません。左側の条件を必要としない記事であれば、右側で足ります。
問題になるのは、左側が必要な記事に右側の予算を当てた場合です。そのとき何が起きるかを、次の章で書きます。
見積書に載らない、もう1つのコスト
外注の説明でよく使われるのが「外注すればリソースが空く」という言い方です。これは半分だけ正しく、残りの半分が抜けています。
予算を組む前に、この部分を知っておく必要があります。
執筆を外に出しても、社内に残る工程があります
外注で消えるのは、記事制作の工程の一部です。工程ごとに、どちらが担うのかを分けて見ると、社内に残る部分がはっきりします。
| 工程 | 主に担うのは | 社内に残る理由 |
|---|---|---|
| キーワードと構成の決定 | 外注先が作成し、発注側が確認 | 何を書くかは自社の方針そのもの。承認は外に出せない |
| 情報提供・取材対応 | 発注側 | 自社の実績・数字・事例は、社外から取得できない |
| 執筆 | 外注先 | ここが外注で最も軽くなる工程 |
| 原稿チェック・修正指示 | 発注側 | 自社の実態と合っているかを判断できるのは社内だけ |
| 事実確認 | 発注側 | 誤りを自社名義で公開する責任は発注側にある |
| 入稿・画像選定 | 契約範囲による | 外注先に含められる場合もある。見積もり時に確認する |
最も重い執筆工程を外へ出せることが、外注の効果です。一方で、構成のすり合わせ、原稿チェック、事実確認は社内に残ります。
ここにどれだけ時間がかかるかは会社によって違うため、発注前に1本試して測っておくのが確実です。
金額に換算する計算の型
社内工数は、次の式で概算できます。相場を調べるより、自社の数字を入れるほうが早く、そして正確です。
社内コスト = 担当者の時間単価 × 1本あたりの社内作業時間 × 月間の本数
時間単価は、担当者の年収を年間の労働時間で割った数に、社会保険料などの会社負担分を上乗せして出します。ここは自社の数字を使ってください。
1本あたりの社内作業時間は、次の3つを足したものです。
| 社内に残る作業 | やること | 測り方 |
|---|---|---|
| 構成の確認 | 見出し案を読み、方針と合っているかを判断する | 1本目で実際にかかった時間を計る |
| 原稿のチェック | 通読して、自社の実態と違う箇所を指摘する | 同上 |
| 事実確認 | 数字・固有名詞・法令の記述を確かめる | 同上 |
この3つを1本目で実測すれば、以降は本数を掛けるだけで月間のコストが出ます。1本目を測らずに本数を増やすと、担当者の負荷だけが静かに積み上がります。
BtoBの専門的な記事では、この時間がさらに伸びます。技術的な内容の確認、製品仕様や型番の照合、競合他社への言及のチェック、法務部門の確認。
扱う分野によっては、これらだけで一般的な記事の倍近くかかります。ここも、推測せずに1本目で測ってください。
本数を決めるときの目安
計算した1本あたりの社内時間に、発注本数を掛けます。掛けた結果が、担当者の月間の稼働時間のなかに収まるかどうかで、発注できる本数が決まります。
| 月間の発注本数 | 社内に残る作業 | 確認にかかる負荷 |
|---|---|---|
| 3本 | 構成確認3件、原稿チェック3件、事実確認3件 | 週の業務に組み込める範囲に収まりやすい |
| 5本 | 同じ工程が5件ずつ | 担当を決めないと滞留し始める |
| 10本 | 同じ工程が10件ずつ | 専任担当がいない体制では吸収しきれない |
外注費が予算内に収まっていても、この表の右列が破綻していれば、記事は公開まで進みません。予算の上限を決めているのは、金額より担当者の時間であることが多いというのが、実務での実感です。
初稿がそのまま通ることは、まずありません
社内工数が膨らむ最大の要因は、修正です。往復が増えるほど、担当者の時間も、公開までの期間も伸びます。
そして、修正が多発する原因は、書き手の文章力よりも発注前に決めていなかったことの多さにあります。原稿に出る症状から、どこが決まっていなかったのかを逆算できます。
| 手戻りの原因 | 原稿に出る症状 | 構成案の段階で潰す方法 |
|---|---|---|
| 事実の誤り | 自社が扱っていない商材やサービスが例に出てくる | 使う数字と出典を構成案で確定させる |
| 論点のずれ | 読者の疑問と見出しが噛み合わない | 見出しごとに「答える問い」を1文で書き添える |
| 表現の不一致 | 社内で使わない言い回しが混ざる | 過去の記事か商談資料を、口調の見本として渡す |
| 情報の不足 | どの会社にも当てはまる一般論で終わる | 取材の時間を工程に組み込む |
4行とも、原稿を受け取ってからでは直しにくく、構成案の段階なら安く潰せます。構成案の確認を「形だけ」で済ませると、その分が原稿の往復に戻ってきます。
問題になるのは、往復が収束しない場合です。何度直しても自社の実態に近づかず、最後は発注側が自分で書き直す。
費用を払ったうえで、自社で作り直している状態です。ここまで来ると、外注による工数削減の効果は反転します。
もう1つ、実務で起きやすい詰まりがあります。承認者が複数いる状態です。
3人がそれぞれ赤入れをすると、指摘どうしが矛盾します。矛盾を調整する作業は外注先にはできないため、発注側の時間がそこで消えます。
発注前に、原稿の最終判断をする人を1人に決めておいてください。
外注が続かないと、施策そのものが止まりやすい
予算判断に直結する話をもう1つ書きます。外注がうまくいかなかったあと、会社がどう動くかです。
| 外注が続かなかったときの選択 | その後に起きやすいこと |
|---|---|
| 内製へ戻す | 止まった原因が体制側にある場合、同じ場所でまた止まる |
| Web集客そのものを疑う | 手段の問題を目的の問題と取り違え、施策全体が止まる |
| 別の会社へ出し直す | 選び方を変えないまま相手だけ替えても、結果は変わりにくい |
1回の外注失敗は、業者の乗り換えでは終わりにくいものです。施策そのものの凍結につながります。
だからこそ、最初の1社選びと、社内工数を織り込んだ体制設計が効いてきます。
予算を組むときの考え方は3つです
ここまでを、予算計画に落とし込みます。
外注費と社内工数を足した総額で見る
記事単価×本数だけで計算すると、実態より低く見積もることになります。先ほどの式で出した社内コストを足したものが、実際に投下している金額です。
この総額で、費用対効果を判断してください。
本数を絞る
月10本は、確認と事実確認だけでかなりの時間を要します。専任担当者がいない体制では吸収しきれません。
月3本まで落とせば、繁忙期でも吸収できる範囲に収まりやすくなります。本数を減らすと成果が遅れるように見えますが、公開まで進まない記事は本数に数えられません。
単価を下げすぎない
業界知識のないライターへ安く発注すると、修正回数が増え、社内工数のほうが高くつきます。安い記事を多く出す形と、高い記事を少なく出す形を、総額で比べてみてください。
修正の往復まで入れると、後者のほうが安く収まることがあります。
自社で書く場合のコストも、同じ式で出せます
外注と内製を比べるときも、計算の型は変わりません。内製の場合は、社内工数の項目に執筆の時間が加わります。
| 外注 | 内製 | |
|---|---|---|
| かかる費用 | 外注費+社内工数 | 社内工数のみ |
| 社内に残る工程 | 構成確認・情報提供・チェック・事実確認 | すべて |
| 止まりやすい原因 | 認識のずれによる修正の往復 | 担当者の繁忙と異動 |
| 蓄積されるもの | 自社の言葉を外部に渡す型 | 書く技術そのもの |
内製は費用が発生しないように見えて、担当者の時間をそのまま使っています。そして本業を持っている担当者が書き続ける形は、繁忙期に止まります。
止まった月があるかどうかで、その体制が続くかどうかは判断できます。
制作会社を選ぶときに確かめる5つ
金額の比較に入る前に、次の5つを確かめてください。ここが不明なまま金額だけを比べても、比較になりません。
- 作業範囲。構成案の作成、図表、画像の選定、入稿までのどこまでが含まれるか
- 修正の条件。回数の上限、何を修正と数えるか、追加費用が発生する境目
- 著作権の扱い。納品後に自社で書き換えたり転載したりできるか
- 事実確認の責任範囲。数字や法令の記述を誰が確かめるか
- 誰が書くか。担当するライターが自社の分野を扱った経験を持っているか
5つ目は、見積書に金額として出てきません。それでも、社内工数を最も大きく動かす項目です。
分野を知っている書き手なら、事実確認と修正の往復が減ります。
コンテンツ制作代行に関するよくある質問
費用対効果はどう見ればよいですか
外注費と社内工数を足した総額を分母に置いてください。分子は、記事経由の問い合わせ件数です。
分子を数えるには、問い合わせフォームに「どのページから来たか」を記録する仕組みが要ります。ここが動いていないと、効果を測る手段そのものがない状態になります。
発注より先に、この記録が取れているかを確かめてください。
安く始めて、あとから単価を上げてもよいですか
単価を上げる前に、社内工数を測っておいてください。安い段階で修正の往復が多かったなら、その時間が実質的な追加コストです。
単価を上げた結果、社内工数が減って総額が下がる場合があります。比べるのは単価ではなく総額です。
何本くらいで成果が見え始めますか
本数より先に、期間で考えてください。公開した記事が検索結果に安定して出るまで、早くて2か月、遅いと半年ほどかかります。
この期間より短い区切りで判断すると、通常の変動と成果が混ざります。本数を増やして期間を縮める方法も、いまのところ見つかっていません。
費用を抑えるには、どこを削ればよいですか
削る順番があります。最初に削るのは本数です。
次に、取材の有無です。最後まで残すのは、自社の分野を知っている書き手と、事実確認の工程です。
この2つを削ると、社内工数に跳ね返って総額が上がります。
まとめ:相場を探す前に、自社の社内工数を測ってください
コンテンツ制作代行の費用について、この記事で書いたことを整理します。
- 料金の方式は、文字単価・記事単価・月額の3つ。比べるときは方式をそろえる
- 金額を動かしているのは、調べる深さ・分野知識・確認体制・作業範囲・修正条件・納期の6つ
- 見積書に載らない社内工数がある。構成確認、原稿チェック、事実確認は社内に残る
- 社内コストは「時間単価×1本あたりの社内作業時間×本数」で概算できる。1本目で実測する
- 修正の往復は、発注前に決めていなかったことの多さから生まれる
- 予算は外注費と社内工数の総額で見る。本数は絞る。単価は下げすぎない
相場の金額を1つ覚えるより、自社の総額を計算できる状態になるほうが役に立ちます。計算の型を持っていれば、どの見積もりが自社にとって高いのかを自分で判断できます。
そして、最初の1本は測るために出してください。測らずに本数を決めると、社内の誰かの時間が静かに削られていきます。
削られている間は、その事実が数字として表に出てきません。
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